もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
女貴族が向かった先は、なんとグランドノア城。まるで自分の家のように、入城の許可も求めずに城門に進む。
「あの……勝手に入ると、怒られますよ……?」
すると、衛兵の一人が女貴族に敬礼した。
「おかえりなさいませ、女王陛下!」
「えっ……!?」
「女王陛下……?」
城門の前に立っていた衛兵の言葉に、僕達は目を丸くしてしまった。
「この方達は私の客人です。お通ししなさい。」
「はっ!どうぞ、お通り下さい!」
そのまま、場内をつかつかと進む。
「あの……あなたは、まさか……」
ルカが、女貴族の背後におずおずと問いかけた。
「私はノア10世、このグランドノアの女王です。」
「そ、そうですか……」
「ふーん……」
まさか、グランドノアの女王様だったとは。
こうして僕達は、謁見の間へと導かれたのだった……
「……我が国の伝統であるコロシアムは、見ての通り嘆かわしい有様になってしまいました。」
玉座に深く腰掛け、ドレスに身を包んだグランドノア女王は嘆息して言った。
「試合に出場するのも、勝利するのも魔物ばかり。人間の戦士がまれに出場しても、ほとんど相手にならず敗北するのです。私が即位してからの十五年、人間が大会で優勝した事さえありません。決して魔物を差別するわけではありませんが……とても嘆かわしい限りです。」
「確かに、そうですね……」
「うーん……」
人間の戦士はまるで試合に勝てず、魔物ばかりが勝利する……同じ人間として、この状況は少々ながら寂しい。
「今では、敗北した男性を魔物が陵辱するという嘆かわしい慣習さえ出来てしまう始末。コロシアムに集まっていた客を見たでしょう?戦いが好きというよりも、男が嫐られるところが見たいという女性ばかり。また出場する戦士も、被虐嗜好を持つ男性ばかりという惨状。我が国の栄誉であったコロシアムは、いまや堕落しきっているのです。」
「なるほど……」
「そうなんですか……」
戦士の聖地であるコロシアムが、そんな事になっていたなんて……
「しかし……それが国民の求めるものならば、仕方ないのでしょう。ただ私は、一度でいいから見てみたいのです。四年に一度、コロシアムで行われる女王杯。この大会で、人間の戦士が優勝するという光景を……さて、あなた達がここに呼ばれた理由は、察しがついたでしょう?」
「女王杯に出場し、優勝せよ……って事ですか?」
「えぇ、その通り。」
ルカの答えに、グランドノア女王は静かに頷いた。
「今年の女王杯は即位十五周年記念大会にあたり、優勝者にはグランドノアに伝わる秘宝グリーンオーブが与えられます。私はこれを、人間の戦士に授けたいのです。この私の願い、聞き届けてくれませんか?」
「……」
さて、どうしようか……
「やろうぜ、ルカ……俺達が本物の戦いって奴を見せてやる……!」
「あぁ、やろう!」
ヴィクトリーのやる気につられ、僕も快く承諾していた。
「そう言ってくれたのは、あなた達で六人目……そして、武道家の貴方で七人目ですよ。」
「な、七人……」
つまり、同じように勧誘された戦士が後五人もいるという。見所のありそうな戦士を何人も大会に出場させ、そのうちの誰かが優勝すれば良し……という事らしい。
「俺はそれで構わねぇよ。」
「僕もさ……コロシアムに出場する以上、全力で戦い抜くだけだ!」
「何とも、気合い闘志が溢れ、頼もしい……」
グランドノア女王は、二人に微笑んだ。
「女王杯まで、ほんの数日。それまで、この町でゆるりと待つがいいでしょう。」
「はい!分かりました!」
「おう!やってやる!」
こうして僕達は、コロシアムに出場することが決定した。
「でやぁああーーーっ!!」
「はあぁああーーーっ!!」
二人は魔物が出ない程度の町の外で修行する。互いの拳と剣をぶつかり合わせるガチの実戦訓練だ。
アリスはというと、町を徘徊してるとか。
女王杯を数日後に控える戦士達に修行は欠かせなかった……
「なぁ、ヴィクトリー……どう思う?コロシアムについて。」
「あぁ……前から観客を楽しませるだけのショーになってるってのは察してたけど、まさか陵辱ショーとは思わなかったぞ。」
攻撃を交わしながら、僕達は話し合う。
「この世界ってこんな感じなのか?」
「うーん……僕もこの世界で何年か生きてるけど、こんな光景は初めてだよ。」
「そっか……」
ルカですら知らない世界……一体、どうなるんだ……?
「おっと!」
考えていたら、なぎ払いが飛んできた。俺は間一髪、身を反らして避ける。剣が顎にかすったが、問題は無い。
「なぁルカっ!コロシアムの戦士達ってどんなんだろうなっ!」
ヴィクトリーが僕に突進し、肘打ちを放ちながら話しかけた。僕は放たれた一撃を受け止める。
「う〜ん……やっぱり、それなりに強い戦士が出ると思うよ。あのミノタウロスやケンタウロスを超えるような……」
「そうか……わくわくして来ねぇか?」
ヴィクトリーは、笑いながら言った。
「当然、ルカや俺の知らねぇような奴が来るんだろ?俺はわくわくするぜ!」
「……お前、意外と子供っぽいんだな……」
ルカは後退し、距離をとる。
「子供っぽいって何だよ……」
ヴィクトリーは頬を膨らませ、腕を組んだ。
「だって、何だか玩具を買ってもらう子供みたいだったからさ……」
「へへへ……そうかな……」
ルカはシルフの力を、ヴィクトリーは界王拳を使い、気を開放した。
「全力でいくぞっ!」
「俺もだっ!!」
二人は全力でぶつかり合う。ここから、純粋に二人の戦闘が始まるのだ。
「やっ!」
ヴィクトリーは剣でのなぎ払いを腕で受け止め、ルカの腹に一撃食らわせた。
「いつの間にか、剣を素手で受け止められるようになったぜ。」
「や、やるな……!」
ヴィクトリーは飛び上がり、ルカに踵落としを放った。
「はっ!」
ルカはそれを側転して避け、カウンターに雷鳴突きを放つ。
「おぐっ!」
ヴィクトリーはその一撃で吹っ飛ばされるが、地面に手をつきながら何とか立て直した。
「そこだっ!」
「なんのっ!」
更にルカは一撃を放つが、ヴィクトリーはそれをガードし、背後に高速移動する。そして、思いっきり蹴り飛ばした。
「うわぁっ!?」
「おらぁっ!」
ルカは吹っ飛び、ヴィクトリーがそれに追いつき、もう一度彼をぶん殴る。
更に、吹っ飛んだ先に回り込み、蹴り上げた。
「うぐっ……!」
「ほいっ!」
ヴィクトリーは飛び上がり、ルカを蹴りつけ、拳を振り下ろした。
「うぐぁっ!」
「うぉおおお!!超龍撃拳っ!!」
ヴィクトリーは吹っ飛ぶルカをドカドカと殴りつけ、そして重い一撃でぶっ飛ばした。
「あがぁっ……!」
「どうしたぁ!そんなもんじゃねぇ筈だ!」
ルカは着地し、汗を拭った。
「まぁね……はぁっ!」
今度はノームの力を開放し、ヴィクトリーに向かった。
「よぉし、来いっ!」
ヴィクトリーも構え、ルカと向かい合う。そして二人は再びぶつかり合う……
女王杯への日々は、瞬く間に過ぎていくのだった……
女王杯当日……
「大変です、二人とも……」
グランドノア女王が、コロシアムに来た二人の戦士達を呼び止めた。
「ん?どした?」
「何かあったんですか?」
彼女は頭を抱え、汗を垂らした。
「他の五人の人間の戦士が、急に出場をキャンセルしました……」
「ああっ!?」
「な、何だって……!?」
俺達以外の戦士、コロシアムの出場をドタキャンしたらしい。一人は風邪、一人は急用、……みたいな感じで。
「に、人間の戦士はもう俺達しかいねぇんか!?」
「はい……」
「えぇ……」
僕達は、困惑しながら頭を抱えた。すると、ヴィクトリーが思いついたように顔を上げる。
「チーム戦方式で戦えばいいんじゃねぇか?」
ヴィクトリーは、そう言って人差し指を上げた。
「チーム戦方式……?」
「いわゆるバトルロワイヤルだ。俺達二人とそっちの二人で同じリングに上がってバトルすんだ。面白ぇだろ。」
「そ、それは確かに面白そうですね……しかし……こっちは目立つ魔物魔物が三体……」
「その三体はどんな感じに強い?」
グランドノア女王は、考えた。
「えっと……デュラハンとケルベロスが少し強くて……キュバという戦士が恐ろしく強い……と言った感じです。」
「簡単じゃねぇか。デュラハンとケルベロスと俺とルカでバトろうぜ!」
「し、しかし、そうするとキュバが……」
「観客にどっちが輝いてたかアンケートしてそいつをキュバと戦わせればいい!」
「む、むむぅ……!」
想定外すぎる事態に当惑しながら、ヴィクトリーとグランドノア女王の二人で話は進む。
「よ、よし!そうしましょう!前例の無い話ですが、それがいいでしょう!」
「あぁ!十五周年だからな!」
グランドノア女王は頷くと、コロシアムの中にそそくさと去ってしまった。
「ち……チーム戦……!?いけるのか……!?」
「大丈夫だ、いつも通りやりゃいい!」
僕達もコロシアムに入る。さてさて、どうなりますことやら……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい