もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
見事、ヤマタノオロチをすっ転ばせた二人。だが、彼女はすぐさまに立ち上がった……
「この妾を地につけるとは……」
「やはり、ただものではないようだな……」
「くふふふ……それだけに、美味そうだ……」
二人はサッと構え直す。彼女の二首は目を光らせ、その二人にビームを放った。
「ふんっ!」
「たぁっ!」
二人はそのビームを弾き飛ばし、突進した。
「弾いた……!?」
「悪いけど、もうさっきまでの俺じゃねぇぞ!」
ヴィクトリーは既に、彼女の正面にいた。
「かめはめ波っ!!」
「ぬっ!?」
ヴィクトリーの放ったかめはめ波は、その首に直撃した。すると、残りの首が彼に襲いかかった。
「うぉりゃああああああ!!!」
ヴィクトリーはその猛攻に対応しきり、首の一本を掴んで思いっきり彼女を振り上げた。
「っ!?」
「妾を……!?」
「うりゃあああああっ!!」
ヴィクトリーは、ヤマタノオロチを背負い投げしたのだった。だが、彼女は前足一本で何とか地面への激突を防いだ。
「こ、この妾が二回も地につくと思うか!?」
その言葉を聞いて、ヴィクトリーはニヤッと笑う。
「い〜や、計画通りさ。」
「なにっ!?」
次の瞬間、ヤマタノオロチの頭部の一つに天井からルカが躍り出た。
「天魔頭蓋斬ーーーっ!!!」
「ぐぶぅっ!?」
彼の技をくらい、今度こそヤマタノオロチは地についた。
「ツーダウン!」
「よし……!」
「くっくっく……!」
八つ首が不敵に笑い、彼女は立ち上がった。
「なるほど、両者とも面妖な力を使いおるわ……」
「嫌いではないぞ……猛き男は……」
クスクスと笑いながら、十六の視線が二人を射抜く。
「……大して効いてないんじゃないか?」
「かもな……」
ヴィクトリーは界王拳を解き、両手を上げた。
「だけど、この技ならどうだよ……!」
「……元気玉か……!?」
突如両手を上げた彼に、彼女は奇妙な視線を向ける。
「何だ……?」
「降参のお手上げ……という訳でも無さそうだな……」
ルカは、視線をヴィクトリーからヤマタノオロチにやった。
ど、どうにかなるのか……!?僕一人で……!
「容赦はせんぞっ!」
「臨む所だ……!」
ルカは剣を構え、単身でヤマタノオロチに突っ込んだ。
「ふふふっ……!」
そんなルカに、次々とビームが飛んでくる。彼はそれを全部避け、雷鳴のように加速した。
「雷鳴突き!!」
ヤマタノオロチに、ドスッと突きが炸裂する。
「今、何かしたか……?」
「痒いな……」
効かない事ぐらい分かってる……!!
「うぉおおおおおおっ!!」
ルカは、ヤマタノオロチの体に連続で剣を叩き込んだ。しかし、これもあまり効果はないようだ。
「くどいわ……!」
彼女は、そんな彼を捕らえた。
「う……!」
「ふふふ……」
そして、その全身を味見するようにゆっくりと舌を這わせた。
「ひゃあっ……」
「ふふふ……どう味わってくれようか……」
ルカは必死に暴れ、無理矢理拘束から逃れた。
「ほほう……」
「やるな……」
「はぁっ……!!」
そして、ヤマタノオロチに死剣・乱れ星を放った。
「ぐ……」
「なかなかに……手強い男達だな……」
「ふふふ……どれ、後ろの少年は……っ!?」
彼女のうちの一首が、ヴィクトリーに目をやる。
彼は凄まじい閃光を右腕から放ちながら、それを掲げていた。
「出来たぜ……!!」
「な、なに……!?」
「どこにあんな力が……!?」
「お、おぉ……!」
ヴィクトリーはその腕を、大きく振りかぶった。
「とんでけーーーっ!!!」
そして、元気玉をヤマタノオロチに放った。
「そ、そんなもの……!」
しかし、それはひょいと跳びかわされてしまった。
「そ、そんな……!!」
ヴィクトリーが膝をつきかけた、その時だった。
「えぇーいっ!!」
なんとルカが飛び上がり、元気玉を彼女の方に弾いたのだ。
「な、なに……!?」
「よ、良くやったぁああ!!ルカぁああああ!!」
元気玉はヤマタノオロチに直撃し、超絶的な大爆発を巻き起こした。
「ぎゃあああーっ!!?」
「くっ……!」
「相変わらず、凄い威力……!!」
その場にいるだけで、吹っ飛ばされそうな気の嵐が舞う。しばらくの爆発の後、ヤマタノオロチは地に伏せた。
「や、やった……!」
「やったぞ……!俺達が勝った……!!」
二人はハイタッチを交わし、勝利の余韻に浸る。
「いやぁ……ヴィクトリーの元気玉が無けりゃ、こいつは倒せなかっただろうな……」
「なんの、ルカのおかげさ……おめぇが元気玉を弾かなきゃ、やられてたぜ……」
二人はヤマタノオロチから背を向け、帰ろうとした時だった……急に、二人に悪寒が走った。
「……!?」
「まさか……!?」
二人は振り返り、ヤマタノオロチを見る。なんと、彼女は立ち上がり、僕達をギロリと見つめているではないか。
「妾を怒らせたな……」
「許さんぞ……」
「思いっきり締め上げて、その体をひねり潰して……溢れた血を啜ってくれるわ……!!」
「今更降参しようと遅いぞ……!!」
ヤマタノオロチは、ギロギロと僕達を睨みつける。
「や、やべぇぞルカ……!あいつの目、マジでブチ切れた時の爬虫類の目だ!」
「か、完全にご立腹って訳か……!!」
熾烈な攻撃に、とんでもない生命力。そして放たれるオーラで、二人は力の差を悟った。
まずい、このままでは殺される……
「やれやれ、ヘタクソじゃのう。」
不意に、ルカの道具袋からたまもの声がした。
「え……!?」
「ルカの道具袋が喋った!?」
「いや、ウチじゃよ。」
ルカの道具袋からひょっこりと飛び出すたまも玉。それは、たちまちたまもの姿になった。
「た、たまも……!?」
「ルカよ、先までの土の力の扱い、全然なっておらんぞ。」
たまもはそう言いながら、ヴィクトリーの肩に座る。
「だから何で俺の肩に座るんだよ……」
「よいか、土の力とはすなわち大地の息吹。その身に、大地を宿すことをイメージするのじゃ。ほぉれ、こんな風にな……!」
たまもはヴィクトリーを無視しながら、その身に大地の力を宿した。
「うおぉ……!!」
……ヴィクトリー、重そうだぞ。
「……何用よ、小さき獣。妾の愉しみを邪魔した報い、受けてもらうぞ!」
「その少年の首ごと、吹っ飛ぶがいい!」
ヤマタノオロチは、たまもに首での一撃を放った。
「や、やべぇぞ……!?避けるか……!?」
「お主が動く必要は無いぞ。」
たまもはそう言って、手を突き出す。そして、その一撃を掌でなんなく受け止めた。
「な、なんだと……!?」
「す、すげぇ……!!」
ヤマタノオロチは驚き、間近で見ていたヴィクトリーもそう漏らした。
そして、たまもはルカの方に向く。
「重ねて言うが、大切なのはイメージじゃ。己の体を、力強き大地だとイメージするが良い。ならば、これしきの攻撃など大地の力に阻まれるはずじゃ。」
「自分の体に……大地を……?」
そんなことを言われても、簡単に出来そうにはないが……
「ほれ、とっととやってみよ。ノームを従えておる以上、あとは心掛けの問題じゃぞ。」
「わ、分かった……!」
自信は無いが、やってみるしかない!
「……かあぁぁぁ……!!」
ルカの体に、大地の息吹が根付く……するとボンッと彼の筋肉が張り、凄まじいパワーが体から溢れてきた。今までに、土の力を使った時とは全く違う感じ。まるで自分の体が、力強い大地と化したかのようだ。これならば、多少の攻撃ならものともしないはず……
「す、すげぇぞルカ!」
「ふむ、出来るではないか。その身に土を宿せば、防御力を大幅に高められるのじゃ。」
たまもはヴィクトリーの肩で立ち上がり、にやりと笑った。
「それじゃあ、ウチも楽しもうかの……!」
そしてドォンッと彼の肩を蹴り、大地の力を込めた拳をヤマタノオロチに叩き込んだ!
「い……いっでぇ……!!か、肩が外れる……!!」
ヴィクトリーは肩を押さえて悶絶するが、攻撃をくらったヤマタノオロチも吐血し、狼狽えた。
「なんと……!この不可思議な力はいったい……!?」
「大地の力を拳に乗せて、敵にぶつけたのか……!?」
土の力を使えば、そんな事も出来るのか……!
「お、おめぇちょっとは俺の心配しろ……!!」
ルカは悶絶するヴィクトリーを無視し、ヤマタノオロチに攻撃を加える。だが溢れんばかりの力を、うまく敵に当てるのは難しい。結局、普段と変わらない攻撃になってしまったようだ。
「う〜む……まだ力を持て余しおるか。大地の力を攻撃に用いるのは、まだまだ難しいようじゃのう。」
たまもはそう言いながら跳び上がり、大地の力を込めた尻尾をヤマタノオロチに叩きつけた。
「ぬぅっ……!うぬのような小娘に、この妾が遅れを取るとは……!」
ヤマタノオロチは戸惑い、静止してしまった。
「やれやれ……数百年も里帰りしておらんと、思い上がった小娘も現れおるか。」
たまもは着地して、ルカの横についた。
「さぁて、そろそろ事を納めようかの。せっかくだし、お主の流儀で幕を引くぞ。」
たまもは、彼の手から堕剣エンジェルハイロウをひったくった。
「あっ、おい!」
「これで終わりじゃ!!」
そして剣を掲げ、高く跳躍した。
「伏せろーっ!!」
「うわっ……!?」
ヴィクトリーは、ルカを抱えて身を低くする。
大地の力を込めた一撃が、ヤマタノオロチの脳天に繰り出される。そして、凄まじい衝撃が洞穴内に響き渡った。
「わ、妾の力が……こんな……!!」
「切り捨て御免……」
ヤマタノオロチは、複数の頭を持った蛇の姿になった。
「うむ、これでもう悪さはできまい。万事解決じゃのう。」
たまもの大暴れで、今度こそヤマタノオロチを倒した。封印されてちゃ、もう生き返るもクソも無いだろう。
「なぁ、たまも……何で僕に土の力の使い方を教えてくれたんだ……?」
「ウチは長い間、モノを教える立場じゃったからのう。今一歩な若者に、つい手ほどきをしてしもうただけじゃ。」
ルカとたまもが話をする横目で、ヴィクトリーは封印されたヤマタノオロチに目をつけた。
「このエロ蛇ばばあ!踏み潰してやる!」
早速、ヴィクトリーがヤマタノオロチを追いかけ回した。彼女はしゃーしゃーと声を上げながら逃げ回る。
「よさんかヴィクトリー、どうせその姿では何も出来ん。」
たまもの声で、彼は追いかけるのをやめた。そして、彼女は涙を流しながら逃げていった……
「ふん……これからのおめぇの暮らしを思うと、同情するぜ……」
ヴィクトリーが、そう呟いた時だった。
「ふむ、終わったか。」
そして、全てが終わった後にようやく顔を出したアリスは……もむもむと、おにぎりを食べていた。
「あ、アリス!いいなぁ!」
「なんで、もうメシ食ってるんだよ……」
「ふん、別に手こずることもあるまい。たまもがいる以上、こんな妖魔に遅れは取らんだろう。」
「そう言う事じゃ!」
えっへん、と胸を張るたまも。
「とは言え、あまりにも二人が不甲斐ないならば放っておいたぞ。二人が生贄代わりになっても、それはそれで解決じゃからのう。」
「……」
「へへへ……」
ともかく、これでヤマタノオロチは封印された。こうして無事に依頼を終わらせ、僕達は洞を出たのだった……
翌朝……
村長が、ルカ達に頭を下げた。
「本当に、ありがとうございました。これで、この村も救われます……ぜひ、勇者様にお礼がしたいのですが……そんなに豊かでもない村で、出来ることなどはあまり……」
「いえいえ、お礼なんていりません。勇者として当然の事をしたまでですよ。」
「……ニセ勇者じゃがな。」
たまもがそう呟く。
……いや、何故お前が言う!?
「所で、若いのはどうなったんだ?ヤマタノオロチが封印されたんで、別の魔物探してたりしてるんか?」
ヴィクトリーが、村長に質問する。
そうだとしたら、また新たな問題が起きそうな予感……
「みな肩を落とし、畑仕事も手につかぬ有様。やれやれ、情けない事です……」
「……」
「そ、そっか……ははは……」
本当にろくでもない連中だな……
「おにぎり……!」
「あぶらあげじゃ!」
人外二人は、それぞれ大好物をもらったらしい。美味しそうにかじりながら、揃って目を細めている。これで一件落着、僕達はそろそろ冒険の旅に戻るとするか。
「それでは、僕達はこれで失礼します。」
「まぁた何かあったら、いつでも呼んでくれよ!」
「本当にありがとうございました、勇者様。その旅に、幸運のあらん事を……」
こうして、僕達はヤマタイ村を後にしたのだった……
「それでは、ウチはこのへんで帰るのじゃ。」
村を出た所でたまもはヴィクトリーから降りて、そう言った。
「もう行っちまうんか?」
「今回は世話になったね。ありがとう。」
たまもの助けが無かったら、土の力は使いこなせなかっただろう。その挙句、ヤマタノオロチの餌食になっていた筈だ。
「この貸しは、ツケにしておくぞよ。お主たちが魔王城まで来ることがあったら、容赦はせんからのう。」
ルカは真剣な面持ちで、ヴィクトリーは笑いながらたまもを見た。
「……必ず行ってやる。」
「おめぇ達四天王をぶっ飛ばしにな……!」
「ふっふっふ……大した心意気よ。それでは、楽しみに待っておるぞ……!」
たまもはぴょいんと宙返りをし……そして、そのまま姿を消したのだった。
「……あいつ、悪いやつなのかな。」
ヴィクトリーは首を傾げ、アリスは腕を組む。
「さぁ……?」
「善悪の基準は、人間と魔物の関係を良好にさせるか悪化させるか……なのだろう?ならば少なくとも、悪とは言い切れんな。」
「……うん、そうだよな……」
今回の一件で、結果的にたまもは人間達に力を貸してくれた。ヤマタイ村を困らせる妖魔を退治するのに、一役買ってくれたのだ。
「四天王って言っても、各地で暴れているわけじゃないんだな……」
「そして、それはたまもだけではないぞ。四天王のなかに、好んで人間と敵対している者など一人もおらん。みんな、飛び掛る火の粉を払っているだけに過ぎんのだ。……少々、好戦的すぎる奴もいるがな。」
「グランの事か……」
四天王は、各地の町では恐怖の対象となっている。グランベリアがイリアスベルクを陥落させかけた一件も、今頃は全世界に伝わっているだろう。
なぜ彼女達がそんな行動をとるのか……それは、人と魔物が公に敵対関係にあるから。
少なくとも、四天王はただ人間が憎くて暴れているのではないらしい。勇者があちこちで魔物を襲うという事態が起きているから、仲間のために勇者退治をしている……そうとも言える。ならば四天王とて、本当に戦うべき相手なのだろうか。
「でも、世界中で暴れ回んのはやめさせねぇと。」
「あぁ、これじゃあ人間と魔物の間に溝が出来る一方だよ。」
「その理想、結局は力をもってして成すしかあるまい。それが、貴様らの戦いなのだろう……?」
「あぁ、その通りだ!」
四天王を倒す事に決して迷いはない。
誓いも新たに、僕達はヤマタイ地方を出たのだった……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい