もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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プランセクト村

「魔物達が共存する村……?」

 旅の途中、ヴィクトリーはそうルカに投げかけた。

「何だそりゃ。」

「あっ、ヴィクトリーは聞いてなかったっけ……」

 プランセクト村……ハーピーの集落とは違い、さまざまな種類の魔物が共存している村だという。

「はぇ〜……そんな村あんのか……ちょっと行ってみてぇな……」

 ヴィクトリーは、後頭部に手を回す。

「本当に行く気か……?やれやれ、よせばいいのに……」

 呆れたような様子で、アリスはそう口にした。ヴィクトリーは知らないが、この村の事を聞いた時もこんな反応だったのだ。

「何で、そんなに嫌がるんだ……?何か、まずいことでもあるのか……?」

「それは、行って自分達の目で確かめているがいい……」

「行けっつってんのか行くなっつってんのかはっきりさせろよ……」

 何だか煮え切らない態度のアリスに戸惑いつつも、戦士達はプランセクト村に向かうのだった……

 

「これが、プランセクト村の入口かぁ……」

「……」

 平野を通り、うっそうと茂った森を抜け……そして、とうとう僕達は目的地にたどり着いていた。

「建物らしきものはないな……」

「ざっと見る限り、森そのものだぜ……魔物達は自然には手を加えずに暮らしてんだろ。」

「さぁ、楽しみだなぁ……」

「……」

 ルカは足取り軽やかに、ヴィクトリーは不穏な雰囲気を感じて、少し気を張り詰めながら村の中に入っていく。

 ……なんだ?気が五体……三体は元気だが、二体が死にかけてる……

「あっ、モンスターがいるぞ!」

「なに……!?」

 そこで二人が目にしたのは……植物系モンスター達と、昆虫系モンスター達が対峙する光景だった。

「ふふっ……植物族の力とは、そんなものですか?あなた達も、もうおしまいですね……」

「あははっ!あんた達の体液も吸い取ってやるよ!」

「えへへっ、あたし達の勝ち〜!」

 蛾のモンスターと蚊のモンスターと幼虫のモンスターが順に口を開く。モス娘とモスキート娘とイモムシ娘だ。

「くっ……!まさか、ここまで追い詰められるとは……!」

「怪我してなきゃ、こんなムシケラごときに……!」

 対するは、二体の植物型モンスター。五体の魔物が、二つの陣営に分かれて対峙しているようだ。その周囲には、傷つき倒れた魔物が何十体も転がっている……

「な、なんだこりゃ……!?」

「入口で感じた気……!あいつらか!」

 ルカの夢見た平和的光景は、あっという間に崩れ去った。一方で、ヴィクトリーは入口で感じた気に納得がついた。

「ほぉら、私の動きについてこれないでしょう!?」

「あははっ、カラカラになるまで樹液を吸ってあげる〜!」

「くっ……!救援は来ないのですか!?」

 一見した限り、植物系モンスターの二体の方が劣勢のようだ。体の半分ぐらいが花のアルラウネと、背中にでっかい花が咲いてるアルラウネだ。受けたダメージも大きいらしく、昆虫系の三体に追い詰められている……

「あたしもたたかうよ〜!ネバネバ糸、しゅるしゅるしゅる〜!」

 イモムシのモンスターは口を開け、一方のアルラウネめがけて糸を吐き掛ける。

「し、しまった……!」

「おらぁっ!」

 ヴィクトリーはそのアルラウネの前に躍り出て、気を纏った手刀で糸を弾き飛ばした。

「あれあれ〜?人間〜?」

「へぇ……人間がこの村に来るなんて、珍しいじゃない。でも、アルラウネどもをかばうってのはどういうわけ?」

「植物族の増援には見えませんし……これはまた、不思議な園入者ですね……」

「何だか知らねぇけど、もう決着はついてる筈だ。これ以上やっても意味はねぇ……」

 ヴィクトリーはアルラウネの怪我を見ながらそう言った。そこに、モスキート娘が彼に突っ込んできた。

「させるかっ!」

「なにっ!?」

 ルカが彼らの間に入り、モスキート娘の方を弾き飛ばしたのだ。

「おっほぉう……やるじゃねぇか。」

「……」

 何が正しくて、何が悪なのかは僕には分からない。だけど、勇者は常に弱者の味方。ここはアルラウネ達につくべきだ!

「何だか知りませんが、植物族に肩入れする者なら容赦はしませんわ……」

「あははっ、今日はごちそうね!植物ジュースに加えて、人間のオスの精液まで搾れるんだから!」

「てき〜!てき〜!やっつけちゃうよ〜!」

 気合を入れながら、戦闘態勢を取る三体。

「何だか知らねぇが、ぶっ飛ばされねぇ内に帰る気もねぇようだ……」

「くっ……!成り行きだけど、仕方ないか……!」

 昆虫系モンスター三体の前で、二人は構えた。

「あの少年達をイカせたものが、精液を啜れるという事にするわね……」

「早い者勝ちの、独り占めって訳ね……!あたしも、それでいいわよ!」

「えっへへ〜!繭にしちゃうよ〜!」

 早速モス娘はルカに、モスキート娘はヴィクトリーに突っ込んだ。

「気を解放しろ!ルカ!!」

「ああ!!」

 二人はドウッと気を解放し、二体の突進を跳び避けて背後に回った。

「なっ……!?」

「避けっ……!?」

「てやぁっ!!」

「おらぁっ!!」

 振り向きざまの二体の顔面に、一撃がかまされた。モス娘は封印され、モスキート娘はぶっ飛ばされて木に叩きつけられ、そのまま気絶してしまった。

 なんと、二体の昆虫娘は一撃で倒されてしまった。

「わわわわっ……!」

 その様子を見たイモムシ娘は、逃走してしまった。

 こうして、昆虫系の魔物三匹を撃退した。その場には、きょとんとした顔のアルラウネ二体が残される。

「おかげで助かったぞ!でも、オマエ達何者なんだ?」

「あなた達は、人間なのでしょう?なぜ、私達を助けてくれるのですか……?」

 二人は、それぞれに答えた。

「気分。」

「成り行き上、助けただけだよ。」

 前者がヴィクトリーで、後者がルカだ。

「それにしても、いったい何があったんだ?」

 あらためて見れば、この場所で激戦が行われたようだ。見渡す限り、あちこちに魔物達が倒れているのである。

「この村は、植物と昆虫が共生してるって話を聞いたんだけどよ……」

 ヴィクトリーが周りを見ながらアルラウネ達に投げかけた。

「……それは、もはや昔の話。現在、このプランセクト村は二つの陣営に分かれて争っているのです。」

「戦争だ!あたし達植物族と、昆虫族のヤツラとの戦争なんだ!」

「戦争……か。」

 ルカは、思わず大きな溜息を吐いてしまった。

 人間と魔物の争い、人間同士の争い……それに加えて、魔物達同士の戦争まであるのか。

「力強き人間の方達、どうか私達を助けてください。こんな愚かな戦争など、一刻も早く終わらせなければいけません。私達植物族は、こんな争いなど望んではおりません。」

「悪いのは、昆虫の連中なんだ!あいつら、ムチャクチャ残酷なんだぜ!」

「そ、そう来たか……」

「助けろ、って……つまり、僕に味方しろって事ですか?」

 アルラウネ達は、頷いた。

「ええ……どうか、お力をお貸し下さい。人間であるあなた達が、魔物の戦争への荷担を躊躇される気持ちも分かります。ですが……せめて、話だけでも聞いてもらえないでしょうか。」

「私達植物族のリーダーは、プリエステスっていうんだ。せめて、プリエステスに会っていってくれよぉ!」

「うーん……じゃあ、話を聞くぐらいなら……」

「何だか面白そうだ、行ってみようぜ。」

 こうまで頼まれれば、さすがに断わりにくい。それに、困っている者を見捨ててもおけないのだ。

「ありがとうございます!それでは、プリエステスの元まで案内しましょう。」

「プリエステスの居場所はプランの森、すぐそこだよ。」

 こうして僕達は、プランセクト村の植物モンスターを束ねる者の元に向かったのである……

 

 植物系モンスター二人に先導され、森の中を進む僕達。

 アリスの姿は、さっきから見受けられない。

「あの……二人とも、アルラウネなんだよね?」

「ええ。アルラウネというのは、妖花族の総称。一般に有名な基本種以外にも、様々な亜種がいるのです。」

「あたしだってアルラウネだぞ!ちょっとドリアードの血が混じってるけどな。」

「へぇ、そうなんだ……」

 人間にも色々な人種がいるように、一概にアルラウネと言っても多種に渡るらしい。

「他にもこの村には、多種のアルラウネがいますよ。ツタのみで花を持たないタイプや、キノコ型のアルラウネもおります。」

「へぇ、色々いるんだな……」

「キノコって植物だったか?」

 ヴィクトリーがそう言うと、背中に花がある方は人差し指を立てて彼に向いた。

「そこはお口チャックしておくんだぞ。」

 そう言われたヴィクトリーが、思いついたように二人に話しかける。

「そういや、おめぇらなんて名前だ?」

「私は、アルムです。」

「あたしはルーティー!よろしくな!」

 体の半分が花のアルラウネがアルム、背中にでっかい花が咲いてて、ドリアードの血が混じっているのがルーティーらしい。

「おめぇ、ポ〇モンのフシ〇ギバナに似てるな。」

「いや、伏せ字ぐらいしっかりしろよ……」

 ヴィクトリーは早速ルーティーの花を撫でている。彼女は半笑いでそれに答えたのだった。

 そんな会話を交わしながら、僕達は植物族の本拠地であるプランの森に導かれたのだった……

 

「初めまして、アルラ・プリエステスと申します。魔王アリスフィーズ14世の御代により、この地を預かっております。」

「は、はい……」

「おっす!」

 引き合わされたのは、意外にも小柄なアルラウネだった。しかし植物系のモンスターのリーダーだけあり、内に秘めた魔力は強そうだ。

「この二人の危機を救って下さり、ありがとうございました。また、昆虫族の三匹を撃退した腕前に感嘆しております。」

「そりゃどうも……」

 ヴィクトリーが、首を鳴らしながらプリエステスに会釈する。

「これまでの熾烈な戦いにより、傷つき倒れる者が多くなりました。今は一人でも多く、共に戦う仲間が欲しいのです……」

「……だから、僕達に力を振るえと?魔物同士が傷つけ合うのに荷担しろと?」

「る、ルカ……そんな高圧的にならなくても……」

「お前は黙ってろ。」

 そんな事、真の勇者のやるべき事ではない。

 プリエステスは、ルカの言葉に目を伏せてしまった。

「……この村は、十年ほど前までは平和でした。我々植物族と昆虫族は、習性は違えど助け合いながら暮らしていたのです。しかし、昆虫族の女王クィーン・ビーは、我々植物族を弾圧し始めた。彼女達は極めて残忍であり、穏和な我々に暴虐の限りを尽くしたのです。当初は、戦闘に長けた昆虫族が一方的に我々を虐殺……その力の前に、老若を問わず多くの血が流されました。」

 それを聞いた二人は、拳を握った。

「そんな……酷い……」

「ひでえ奴等だな〜……」

 彼女は二人を見てから、話を続けた。

「このまま滅ぶか、抵抗するかの選択を突き付けられ……そして、我々は戦いの道を選びました。」

「でもよ、昆虫族ってのはめちゃくちゃつええ奴ばっかなんだろ?勝ち目がねえ戦争をよくやろうと考えたな。」

 ヴィクトリーの突っ込みを受け、プリエステスは彼に目を向ける。

「そうでもありません。カナン姉妹という異国の植物族傭兵の力を借り、なんとか対等に戦えるまでにはなっているのです。」

 そこにルーティーが、ひょこっと顔を出した。

「そういやプリエステス、カナン姉妹はどうしたんだ?」

「二日前の激戦以来、身体を休めていますよ。」

「そのカナン姉妹って奴はつええんか?」

 ヴィクトリーの問いに、プリエステスはふふふんと笑った。

「あの方達は戦闘に長け、戦いの腕前ならば私よりも上ですよ。今はこれからの戦いに備え、英気を養ってもらっていますが……」

「へえ〜!この戦いが終わったらでいいから、いっぺん手合わせしてみてえな〜!」

 プリエステスを含むその場にいたアルラウネ達は、『そんなユニークな言葉は初めて聞いた』という顔をした。

「……この者は、いつもこんな感じなのでしょうか。」

「まぁ……はい。」

 ともかくカナン姉妹という傭兵は、植物族における戦力の要らしい。

「さて、話を元に戻しましょう。カナン姉妹の力もあり、我々は今のところ互角に戦えています。しかし我々の誰一人とて喜びを感じている者はおりません。昆虫族の暴虐がなければ、我々もただちに矛を収めるつもりでいるのです。どうか我々に味方し、共に戦っては頂けないでしょうか。」

「……でも、戦い以外の方法はないんですか?もう一度、話し合いとか……」

「ばーか、話しても聞かねえからこうなったんだろうが。」

 ルカの問いに真っ先にヴィクトリーが答え、アルラウネ達は頷いた。

「見る限り、こいつらは争いを望んじゃいねえみてぇだ。あくまで平和のために戦っているんだ……そうしなきゃ、自分達がやられちまうからな……おめぇとおんなじだよ。」

「……」

 確かに。ヴィクトリーの言う通りだ。僕達とて、理由はどうあれ魔物と戦ってきたではないか。決して僕も、戦いを望んでいるわけではない。しかし、時には剣を振るわなければならないといけない時もある……

「お願いします、人間の勇者様。実は現在、我々植物族は反政作戦を行っている最中なのです。どうかその作戦に参加し、悪の根源であるクィーン・ビーを討ち取って頂けないでしょうか……?」

 二体のアルラウネも、僕達の前に出てきた。

「私からも、お願い致します。」

「頼むよ、一緒に戦おうぜ!」

「……」

「……」

 ヴィクトリーはあることを思い出していた。DBHをやり始めた頃、フリーザとバーダックが戦争起こすミッションあったなぁ……その時だって、俺は滅ぼされそうなサイヤ人のバーダックの側についた筈だ。

「よし。いっちょやってやっかぁ!」

「……僕も、手助けさせてもらうよ。」

 二人は覚悟を決め、とうとう首を縦に振った。

「そのクィーン・ビーって奴をぶっ飛ばせば事態は解決すんだろ?簡単じゃねぇか!」

「ありがとうございます。人間の勇者様。同胞全てを代表し、礼を言わせて頂きます。」

「よし、これでオマエらも仲間だな!」

「よろしくお願いします、これからは共に戦っていきましょう。」

 プリエステスは、こほんと咳をした。

「それでは、現在進行中の作戦についてお話致しましょう。我々の拠点はこのプランの森ですが、昆虫族の拠点はセクトの森という地。そこに、敵首魁であるクィーン・ビーの巣があるのです。」

「なるほど……」

「どうすんだ?真っ正面から切り込めばいいのか?」

「いいえ……」

 ヴィクトリーの疑問に、彼女は首を横に振った。

「現在、我々の軍勢はセクトの森を目指して一直線に進撃しています。向こうからも昆虫族の軍勢が打って出て、真正面から激突。村の中央付近では、現在も熾烈な戦いが繰り広げられているのです。」

 二体のアルラウネが、そこに入る。

「私達二人はその戦いで傷つき、撤退途中を昆虫族の下っ端に襲われたのです。」

「ケガしてなきゃ、あんな奴等には負けなかったぜ……!」

 今この瞬間も、村の中央では軍勢同士が激突している最中というわけか。

「あなた達にお願いしたい役割というのは、敵の本丸への奇襲です。」

「奇襲……?」

 ルカは、首を傾げた。

「はは〜ん……そう言う事か。」

 一方のヴィクトリーは、納得した模様だ。

「どういう事なんだ?」

「今、村の中央で起きてる軍勢のぶつかり合いなんだが……ありゃ敵をあそこに集中させるためのものに過ぎねぇ。真正面の事に気を取られてる隙に裏からセクトの森に奇襲して本命をズドン、と言うわけだ。そうだろ?」

「おっしゃる通りでございます。」

「なるほど……」

 さすが戦闘民族サイヤ人、こういうときは理解が早い。

 ほぼ全軍を囮にして、本命に奇襲する……非常に大胆な作戦のようだ。

「俺達はその奇襲部隊に入って本命を急襲すりゃいいんだろ?簡単じゃねぇか、やってやろうぜ!」

「ああ……」

 ややこしい戦いよりも、そっちの方が分かり易くていい。要は、そのセクトの森に出向いて女王を倒せばいいわけだ。

「遥か向こうに、大きな大木が見えるでしょう。あれがセクトの森の中心であり、クィーン・ビーの巣があるのです。」

 ルカとヴィクトリーはプリエステスの指した方を向いた。その先には、森の中にいても目立つ大木が佇んでいた。

「あれだと、道に迷うことはなさそうだな……」

「あぁ……クィーン・ビーとやらの気もビンビン感じるぜ……」

 あれなら、どこにいても行き先が分からなくなるという事はなさそうだ。

「既に別働部隊はセクトの森に向かっております。あなた達も刺客の一人として、セクトの森へ。そして、クィーン・ビーの討伐をお願いします……!」

「私達も傷が癒え次第、駆けつけましょう。」

「植物族は、水さえあれば回復が早いんだ。こんな怪我、一時間ほどで治してやるぜ!」

 どうやら、アルムとルーティーもあとで来てくれるらしい。

「分かりました……それでは、行ってきます!」

「おーし、いっちょやってみっかぁ!」

 とにかく、クィーン・ビーをぶっ飛ばせば事態は解決するみたいだ。それならとっとと行って、さっさと終わらせてやる……

「御健闘をお祈りしています。どうか、我々に勝利を……」

「ええ、任せて下さい!」

 こうして戦士達は、セクトの森へと向かったのであった……

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