もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「……ドアホめ、上手く丸め込まれおって。」
アルラウネ達の目が無くなった所で、アリスが姿を現した。
「……別に、丸め込まれはしていないさ。自分の意志で、アルラウネ達に力を貸そうと決めたんだよ。」
「あ……俺もだぜ?」
「ドアホ共め……」
アリスはいつもの如く、呆れたような口で溜息を吐いた。
「なぁ、アリス。魔王の力で、こんな争いを止めさせられないのか?」
ルカが、彼女に質問を投げかけた。しかし、それは難しそうな顔で返される。
「プランセクトは先々代の魔王により、プリエステスとクィーン・ビーに分割統治が任された地。その領主達が共に戦いを選択している以上、要請がなければ魔王の出る余地はないのだ。」
「そこを、魔王の権力で強引に調停するとか……」
「ばかだなぁルカは。そんな事したら、互いの為にもなんねぇだろ。」
アリスが答えるより先に、ヴィクトリーが答えた。
「こういう問題は、君主同士で解決するものなんだ。魔王の出る幕なんて何処にもねぇよ。そうだろ、アリス?」
「……まぁ、そんな所だな。」
「だからって、放っておくのか……?魔物同士の無益な戦いを……」
アリスは、頭を抱えた。
「……放っておくしかないのだ。両者が、戦いを望んでいるのなら……」
アリスも、色々と面倒な立場である事には理解できる。だからって、こんな争いを放置しておくのは……
「おっと、質問タイム終了だ……敵の気が近づいてくる……」
「あぁ……!」
「鋭いな、貴様は……」
アリスがふっと姿を消した。
当然ながら、昆虫族も黙って通してはくれないらしい。
目の前に、一体のモンスターが立ちはだかった……ムカデ型のモンスター娘……ムカデ娘だ。
「うわぁーっ!!きめぇーっ!!」
ヴィクトリーはそれを見て、ルカの背後に隠れてしまった。
「い、いきなり僕の後ろに隠れるなよ……!」
「だ、だってマジでキモいんだもん……!」
ムカデ娘は下半身がムカデで、何と両腕までムカデの節足があるのだ。ヴィクトリーはその異形さに絶句し、生理的嫌悪感を感じて震えてしまう。
彼女はそんな戦士二人を見ながら口を開く。
「まさか、人間の戦士……?植物族に味方する人間が現れたっていう報告は、本当だったようね……」
ヴィクトリーは、僕の耳元で震えた声を出している。
「わ、わりぃけどマジで相手したくねぇんだけど……頼めっか?」
彼の声が、耳にかかってくすぐったい。
「わ、分かったから耳元で囁くな!」
ムカデ娘は、そんな様子をクスクス笑いながら見ていた。
「……腐ってるわね。」
「うるっさい!」
ルカはそう言い放ち、彼女の前に進み出た。
「悪いけど、クィーン・ビーを討たせてもらう!この無益な戦いを、一刻も早く終わらせるために!」
「ああそう、口ばかりは達者なのね……体液をじゅるじゅる吸われながら、同じ口が叩けるかしら……?」
ルカは剣を抜き、構えた。昆虫族には、戦闘に長けた者が多いとプリエステスは言っていた。その言葉通り、こいつは入り口付近で戦ったモス娘達とは別格のようだ……
「はぁあああ……!!」
ルカはノームの力を開放し、その身に大地の力を宿した。
「へぇ……」
ムカデ娘は素早く彼に這い寄り、脳天に腕を振り下ろした。しかし、それは剣で受け止められる。
「そぉいっ!」
そして、反撃に彼女の腹に蹴りが入った。
「ぐ……!」
「雷鳴突き!」
さらに雷鳴突きの追い討ちをかけたが、それはムカデ娘の両腕にガードされてしまった。
「なっ……!?」
「ふふふ……」
彼女の防御力は高かった。これは、一瞬で終わらせられそうにも無い……
「ほらほらほらほら!」
「うぐぐっ……!」
ムカデ娘の猛攻にたじろぐルカ。だが、その目は彼女の動きを追っていた……
「……そこだっ!」
「うっ……!?」
ルカはその懐に入り、喉元に魔剣・首刈りを放った。
「うぐぅ……!!」
彼女はよろけ、多少は後退したがその場で踏ん張った。
「なめるなっ!」
そして、節足の腕で殴りかかった。
「ふっ……!!」
その瞬間ルカの姿が消え、彼女の腕は木に突き刺さった。
「なにっ!?」
「こっちだ……!!」
ルカはというと、木の上によじ登っていた。
「うおぉ……!!天魔頭蓋斬ーっ!!」
そして、彼女の脳天に天魔頭蓋斬を放った。
「つ、強い……!!」
彼女はダウンし、封印される。そして、ムカデの姿になった。
「ふぅ……」
ほっと一息つくが、のんびりしている暇は無い。早くクィーン・ビーを退治して、この戦いを終わらせないと……
「よし、行くぞ!」
「レッツゴー!」
遠方に見える大木の根元にあるのが、クィーン・ビーの巣。目的地であるセクトの森へ、僕達は再び歩み出したのだった……
しばらく進み、かなりセクトの森へと近づいてきた頃。その途中で僕達は、道端で奇妙なものを見つけた。
「これ、なんだろう……?」
「蚕の繭か……?それにしてはでっけぇなぁ……」
ヴィクトリーの言う通り、何かの繭らしいが……その大きさは、人間一人がすっぽり包み込めるほどのものだった。
「な、中に誰かいるのか……?」
よく見ると微妙に動いていて、不気味なことこの上ない。
「モ〇ラでも生まれんじゃねぇのか?」
「そんなもの生まれたらこの森が荒野になると思うんだけど……」
何にしても、中から敵でも出てきたら厄介だ。ここは、あまり構わずに進んでいこう……
「あ、まただ……」
少し進むと、また繭がある。しかも、今度は三個も並んでいた。
「ん、ホントだ……おいルカ、これヤマタイ村で高く売れねぇかな。」
……確かに、蚕の繭の糸って美しい織物作るのに使ったりするけども。
「いや、これだけじゃねぇみてぇだ……ここにも、あそこにもあるぞ……」
「ホントだ……」
繭の数は三個どころじゃ無かった。周囲の至るところに、無数の繭が転がっていたのだ。なんとも不吉な予感を覚えた、その時だった。
「!!」
突如草陰から謎のモンスターが現れ、ヴィクトリーに襲いかかった。
「何だてめぇっ!」
彼はそのモンスターとつかみ合い、顎に蹴り上げを放つ。だがモンスターはひらりと飛びかわし、避けてしまった。
「あら……先制攻撃は失敗みたいね……」
「何もんだおめぇは……うっ!!」
ヴィクトリーの先に居たのは……下半身がでっかいカイコそのものの、カイコ娘だった。
「その中には、植物族の連中が入っているわ……この辺りをウロウロしていたから、繭にしてあげたの。私の繭はとても気持ちいいから、中で天国を味わっているはずよ……」
「なるほど、この繭はぜ〜んぶおめぇのか……」
セクトの森に向かったのは、植物族の精鋭のはず……それを、一人で片付けてしまうとは……こいつ、やべぇ。
「ヴィクトリー、手を貸そうか?」
「いや、あいつは俺に仕掛けてきたんだ。俺一人でやるさ。」
ヴィクトリーが構え、カイコ娘はそれを見ながら笑う。
「あなた達も、繭にしてあげる……私のまゆぁっ!?」
カイコ娘の言葉が終わるより先に、彼女の顔面をぶん殴った。
「悪ぃなぁ。あんまりにも隙だらけだったもんでよ。」
「こ、この……!!」
カイコ娘は、腫れた鼻を抑えながらヴィクトリーを見た。
「よし、行くぜ!」
ヴィクトリーは地面を蹴り、カイコ娘に殴りかかる。彼女はそれを受け止め、反撃と言わんばかりに殴りかかった。彼もそれを受け止め、今度は頭突きを放った。
「ぐっ……!?」
それに命中し、よろける。だが踏ん張り、今度は勢いよく、お返しの頭突きを放った。
「ぎゃっ!」
それで吹っ飛ぶ、ヴィクトリー。だが途中で空中回転し、着地してから腕に気を込めた。
「うおぉ……!!リベリオントリガーっ!!」
「にっ!?」
これはバーダックの技だ。ヒーローズでは空中で一回転し、腕にエネルギーを込めて放つ技……多分、エピソードオブバーダックでチルドとの戦いのクライマックスに使った技だ。
「くっ!」
カイコ娘は、それを飛んで避ける。それを見てヴィクトリーも飛び、彼女を追いかけた。
「なっ……!?人間が飛んだ!?」
「舞空術ってんだ!」
そう言い、スレッジハンマーで地面にたたき落とした。
「くっ……!」
「そりゃあっ!」
そして急降下し、その腹に思いっきり蹴りを入れた。
「がはぁっ……!」
カイコ娘は目を見開いた後、かくんと気絶してしまった。
「い、いって〜……一発くらっちまった……!」
ヴィクトリーは額を押さえながらルカの横に来て、そう言った。昆虫族は、戦闘に適した強者が多いと聞いたが、まさかここまでとは……
二人の戦士は警戒を怠らず、先へと進むのだった……
「ここが、セクトの森……」
周囲の風景は、これまでとあまり変わらない。だが例の大木の根元には、洞窟のような空洞が口を開けていた。
「あれが、クィーン・ビーの巣か……確かに、でけぇ気を感じる……」
ヴィクトリーは指を鳴らしながら、その洞窟の中の気を探る。
「周りに、敵はいないみたいだな……」
「……ん、そうみてぇだ。」
確かに、周囲に敵の気はしない。例の熾烈な戦いで、大半が村の中央に集中しているのだろう。
「よし、絶好の好機だ……!」
「行くぞーっ!」
僕達は警戒しながら、その巣穴に踏み込んだのだった……
中は、まるで洞窟のようになっている。その中を、まっすぐ突き進んでいると……
「侵入者……排除スル……」
ブブブブッとうるさい羽音を立てながら、モンスターが現れた。
「なっ……!?」
多腕で、明らかに戦闘に特化した体をして、胸に蜜を塗ったハチの魔物だ。スズメバチのようだが……
「す、スズメバチ……!?じゃあ何で胸に蜜なんか塗りたくってんだ!?」
「大人ノ、事情……」
……緊張感が無くなるなぁ……
「は、ハチの魔物……クィーンビーの従者か。」
しなやかで屈強な肢体に、頑丈そうな外骨格。一見見ただけでわかるほど、戦闘に適した肉体。
「まだまだ来るみてぇだ……!」
「え……!?」
この場に響くスズメバチのやかましい羽音。それは徐々に増えていき、僕達を囲んだ。
「な……!?」
「め、メタルクウラ思い出すなぁ……」
同じ顔をした強敵が、何体も立ちふさがる……そんな感じから、あのメタルクウラを思い出してしまった。ちなみにJM2弾のURメタルクウラ、俺持ってるんだぜ。どうだ羨ましいだろう。
「来るぞヴィクトリーっ!」
「はっ!あ、あぁ!」
スズメバチ娘は、一斉に襲いかかってきた。
囲まれながらの戦いだが、戦士達はものともせずに戦う。
「うおおぉっ!!」
ヴィクトリーは彼女のうちの一体の腹を何度も殴り、その脳天に肘を叩きつけた。
「ふんっ!てやぁっ!」
ルカは一撃を受け止め、切り返した。
「強イゾ、コイツラ……!」
「グッ……怯ムナ!」
スズメバチ娘の一体がそう言うと、二人に猛攻の猛攻が激しくなってきた。
「ぐっ、ぐぐぐ……!!」
「くそ……!数が多すぎる!」
ルカは一旦猛攻から脱出し、敵を正面に置いて一体一体を切り伏せることに集中した。
「ぐっ……!!界王拳だぁあああーーーっ!!!」
ヴィクトリーは界王拳を使い、周囲に取り巻いていた敵を一斉に叩き伏せた。
「ナニッ!?」
「セ、戦闘力ガ上昇シタ……!?」
「何処を見ている!」
ルカは、うろたえるスズメバチ娘達に乱撃技を放った。
「死剣・乱れ星……」
ルカがそう言い終わると、彼女達に斬撃が走り、次々と封印されていった。
「ガ……!」
「ジ、女王様……!」
「す、すげぇや……!」
ヴィクトリーの活躍もあってか、押し寄せてきた猛攻も跳ね返す事ができた。よし、このまま一気に畳み返すぞ……!
そう思っていた時だった。
「控えよ。」
そんな声が響き、彼女達は硬直した。
「コ、コノ声ハ……!」
「女王様……!」
彼女達は戦いをやめ、女王の元へと帰っていく。
「なっ……!?」
「逃げんじゃねーよ!」
二人の戦士は、それを追いかける。そして、追いかけた先には大きな広間があった。その中心に、声の主は鎮座していた……
スズメバチ娘と特徴は同じだが、一回り屈強な体躯に、頭の王冠、何よりも放たれる気……それらが、いかにもそれらしいオーラを放っていた。
「……お前が女王蜂か!」
「いかにも……妾がクィーン・ビー。何をしに現れた、人間達よ……?」
「この戦争を終わらせに来た……」
「先に言っとく。大人しくやめといた方が身のためだぜ〜?」
クィーン・ビーは、玉座に座りながら溜息を吐いた。
「……残念だが、戦いをやめるわけにはいかぬ。妾は、この村の昆虫族を束ねる女王。我が子達を守る責任があるのだ。」
「なら、仕方ない……」
「悪ぃけど、ぶっ飛ばしてやるぜ!」
二人は構え、臨戦態勢に入った。
「……あくまで妾を討つと申すか……ならば、気は進まぬが相手をしようぞ。」
クィーン・ビーは立ち上がり、蜂の腹部で玉座を叩き壊した。
さすがはセクトの森の代表。この地の昆虫族を束ねるだけあり、かなり強そうだ……
「蜂の女王が力、しかとその身で味わうがよい!」
クィーン・ビーの体から気が噴き出し、その場に吹き荒れた。
「……こりゃ早く終わりそうにねぇな……」
ヴィクトリーはその気を感じ、そう呟いたのだった……
流血表現
-
もっとする
-
このままでいい
-
しなくていい