もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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激闘、植物族!

 ヴィクトリーは、プリエステスの所に降り立った。

「よう。」

「武闘家ですか、あの勇者は……」

「うっせぇ、まずは俺の話聞けや。」

 彼はまず、彼女の言葉を遮った。そして、目を鋭くしながら睨みつけた。

「やいプリエステス、話が違ぇじゃねぇか。相手が戦意喪失したら、こっちも矛を納めるんじゃねぇのか?」

 彼女はその言葉を前に、大きなため息をついた。

「それにしても、随分と暴れたものですね……一体、何がお気に召さなかったのです?」

「話を聞けこの野郎。昆虫族はもう戦えねぇ、残党狩りなんてやるだけ無駄だ。」

「……それがどうかしました?」

「戦いは終わったっつってんだ。これ以上、昆虫族を虐げるつもりか……?」

 彼がそう言うと、その言葉は鼻で笑われた。

「いいえ、まだ戦いは終わっておりません。昆虫族を一匹残らず殲滅してこそ、戦いは終わります。昆虫族の脅威を完全に取り除かなければ、我々の生存権は守れないのです。」

「だけどよ、よく考え直してみろよ。これ以上は戦争なんかじゃねぇ、虐殺だ。」

「どうやら、見解の相違は決定的のようですね……それでは、この私が相手をさせていただきましょう……」

「そうかよっ!!」

 ヴィクトリーはいきなり近くの木を掴んで引っこ抜き、彼女の脳天に叩きつけた。しかし、それは腕一本で受け止められた。

「なにっ!?」

「ふふ……」

 彼女は座ったまま足を組み、顎丈をつく。

「確かに単純な戦闘力ならば貴方の方が上……ですが、種族の差ならばどうでしょうか……」

「勝つのは俺だと思うぜ……」

 彼はそう言って、木を投げ捨てる。そして、指をパキパキと鳴らして構えた。

「私は高貴なアルラウネ。貴方の体には触る気もありませんが……それでも、武道家一人程度ならば相手出来ますよ……」

「じゃあ、俺がおめぇに触ってやるよ……」

 そう言い、クラウチングスタートの体勢をとる。

「ん?」

「よーいっ!ドンッ!!」

 そして、彼女に向かって駆け出した。

「はやいっ……!?」

「だっ!」

 猛ダッシュの勢いを利用し、彼女の顔面に肘打ちする。直撃し、ぶっ飛ばした。

「これで終わるか……!!」

 更にぶっ飛んでる最中の彼女に瞬間移動で追いつき、その足を掴んで地面へと叩きつけた。

「ぐはぁっ!!」

「そらよっ!」

 倒れたその体に乗り、マウントポジションをとった。

「ま、待ちなさい……!貴方のどこにそんな力が……!!」

「おらぁっ!!」

 またしても、彼女の言葉を遮る。今度は、顔面パンチで。

「ぶ……!!」

「虫の痛みを思い知れ……!!」

 そして、両の拳でドカドカと顔面を連打した。

「だだだだだだ……!!!」

「ぐ……ぐぶ……!!」

 彼女はとてつもない握力で彼の顔面を掴み、連打を静止させた。

「こ、この……!!」

 グググと引き離し、そこから脱出した。

「はーっ……はーっ……!」

「やっぱ一筋縄じゃいかねぇか。」

 カナン姉妹の事もあるから、出来れば界王拳を使わずに戦いたい。この様子ならば、界王拳無しでいける……

「はあっ!!」

 プリエステスは一本の木にツタを伸ばし、思いっきりヴィクトリーの方に引っ張った。木は砕け、無数の木片が彼に降り掛かってきた。

「おっと。」

 彼はサッと身を傾け、最小限の動きでそれらを避ける。だが、回避の後隙に差し込まれるようにツタが伸び、身体にグルグルと巻き付いてきた。

「にっ!?」

「はあぁっ!」

 それで彼を上方向に振り上げ、そして地面に叩きつけた。

「がはぁっ……!!」

「もう一回……!!」

 再び振り上げられ、地面に叩きつけられようとする。しかし彼は猫のように身を翻し、両足で地面に踏ん張った。

「なっ……!」

「だぁっ!」

 そして、目にも留まらぬスピードで跳び、彼女の顔面に膝蹴りを繰り出した。

「がっ!」

 直撃してぶっ飛び、彼の体を巻いてたツタが緩む。

「待てやっ!!」

 そう言い、ぶっ飛んでる最中の彼女の足を掴んだ。そしてグルグルとぶん回し、木に叩きつけた。

「がはぁっ……!!」

「これで終わりだっ!!」

 そう言って、ある物をぶん投げる。

 彼がぶん投げたのは……さっき引っこ抜いて捨てたあの木だった。彼女の顔面に、その木が迫る。

「きゃ……!!?」

 決して逃れられない、確実な死を確信した時だった。木がいきなりバラバラになって地面に落ちたのだ。

 そして、彼の背後に誰かが着地した。

「……それはやり過ぎだよ。」

 着地したのは、ルカだった。

「る、ルカぁ!やっぱ来てくれたんだなぁ〜!」

「時間がかかってごめんよ。道中の植物達の邪魔が激しくて……」

 プリエステスは地面に降り、ルカを見た。

「ふふふ……私を倒せる唯一のチャンスを無駄にしましたね……」

「無駄になんかしてないさ。」

「え……?」

 ルカがそう言いながら剣を納めた次の瞬間、彼女の体中に斬撃が走った。

「死剣・乱れ星……」

「ば、馬鹿な……っ!?」

 その体がバラっと細切れになった後、その破片の一つ一つが消散し、一輪の花の姿になってしまった。

「……さぁて、お次はカナン姉妹の番だ……!!」

「出てこい、カナン姉妹!」

 僕達はプリエステスを封印し、森へと呼びかけた。カナン姉妹をなんとかしなければ、この戦いは終わらないのだ。

「私を呼ぶのは、誰かしら……?」

 そこに現れたのは、なんとも異様なモウセンゴケのモンスターだった。

「も、モウセンゴケか……?誰だてめぇは。」

「あら、植物に詳しいのね。私はドローシー・カナン……カナン姉妹の一人よ……」

「お前一人だけか?姉だか妹だかも居るんじゃ無かったのか……?」

「お姉様は、お食事で忙しいのよ。おかげで私が、人間のオスっていうご馳走にありついたみたい……ふふっ。」

 彼女は、餌を見るような目で僕達を見つめている。

 ふと、ルカが一歩踏み出した。

「一つ聞きたいんだけど……お前は、人間や昆虫の魔物を食べないの生きていけないのか?」

「いいえ、そんな下等肉食生物と一緒にされては困るわ。私ほど高等な植物妖魔は、水と酸素だけでも生きられるのよ。」

「ピッコロみてぇだなおめぇ。」

「なら、何で他者を捕食するんだ……?」

 ヴィクトリーの見解を無視し、ルカは質問を投げつけた。その質問を聞いた彼女はクスクス笑う。

「人間も好きな筈でしょう、敗者をいたぶるのが……もがく敗者を、じっくりと溶かすのは愉しいからよ……」

「……」

 生きていくために、他者を捕食するしかない……そんな魔物なら、僕もどうしていいか分からない。だが、目の前のこいつは違う。楽しみのためだけに、敗者を、弱者をいたぶるのだ。そして、こんな戦いを助長させた……

「……ヴィクトリー、ここは僕一人でやる。」

「おめぇ一人で……?」

「信頼してくれるよな?」

「……」

 ヴィクトリーは少し固まった後、頷いた。

「じゃあ、俺は他の姉妹を探してぶっ叩く。この気のコントロールさえ出来れば簡単だ。」

「あぁ、任せた!」

 ヴィクトリーは飛び去り、場に残されたのはドローシーとルカの二人だった。

「あらあら、一人で戦うつもり……?」

「悪いけど、お前はこの僕が封印させてもらう!!」

 ルカは剣を抜き、構えた。プランセクトに争いを呼び、悪逆非道を尽くす妖魔……こいつを封印しなければ、また残酷な蛮行が繰り返される。

「ふふっ、人間のオスを食べるのは久しぶりですよ……貴方も幸せですねぇ、この食虫植物は」

「雷鳴突きィ!!」

 その言葉が終わる前に、その胸に雷鳴突きを放った!

「ぐぇっ……!!」

 彼女は退けぞってから、彼を見た。

「……殺す!!」

「来い!!」

 こうして、勇者と植物妖魔の戦いの火蓋が切られたのであった……

 

 その頃……

「ひいぃ……!」

「誰か……誰か助けて……」

 逃げ惑う昆虫族の中心にウツボカズラの妖魔が居る。その妖魔は触手のようにツタを操り、昆虫族を捕らえていた。

「あははっ……!」

「ひっ……!!」

 そのツタが、子供の昆虫娘に伸びた時だった。

「おらぁっ!!」

「んぶっ!?」

 彼女に、ヴィクトリーが飛び蹴りを放った。その時に全身のツタが緩み、昆虫族を解放してしまう。

「に、人間……!?」

「た、助かった……!」

「こ、怖かったよぉ……!」

「自分達の巣に戻るんだ!!カナン姉妹にはぜってぇ見つかんな!!」

 ヴィクトリーの一喝により、昆虫族はたちまちと巣へと走る。そして彼女達が去ったのを確認し、妖魔の方へ向いた。

「へへへ……モウセンゴケの次はウツボカズラか……」

「……何者かしら?」

「俺が聞きてぇ。」

 ウツボカズラの縁から女の上半身が生えた奴に、「何者?」と言われても説得力が無い。

「おっと失礼……私はラフィ・カナン……カナン姉妹の次女よ。」

「俺はヴィクトリー、よろしくな。」

 そう言いながら指をボキボキ鳴らし、彼女を見た。

「一応聞いとくけど、ぶっ飛ばされねぇ内に帰るつもりは無いわけ?」

「ふふっ、それは出来ない相談ですね。獲物を、長時間かけてじっくりとドロドロに溶かすのが私の楽しみなのですから。」

「おめぇ、なかなか悪趣味だな……」

「そんな事言わずに、私のウツボカズラに食べられてみてはどうです……?死んでしまうほど、気持ち良いですよ……?」

 彼女はウツボカズラの一つを持ち、その中身を「くぱぁ」という音と共に開いて見せる。その中は、卑しくヒクつきながら粘液のようなものが糸を引いていた。

「じゃあこいつでも食ってろ!」

 彼はそれに、パァンッと気弾を放つ。それは、見事にウツボカズラの中に入った。

「ちぃっ!」

 ラフィはそれを、すぐさま投げ捨てた。そして、空に舞った食虫植物は爆発した。

「あ、味な真似をしてくれますね……!」

「安心しろよ。面白ぇのはこっからだ……!!」

 彼の筋肉が張り、ドンッと力が溢れる。目が鋭くなり、気を解放した。

「界王拳4倍だあぁーっ!!」

 とんでもない気を放ちながら彼女の前に高速移動し、顔面をぶん殴った。

「うぶっ……!!」

「どりゃあっ!!」

 更に顎を蹴り上げ、顔面に踵落としを叩き込んだ。

「ふふっ!」

 彼女はダメージを負うも、冷静になって一旦離れ彼にツタを伸ばした。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!」

 俊敏なラッシュで、ツタの一本一本を叩き落とす。だが、襲いかかってきたのはツタだけではなかった。

「うわっ!あぶねっ!」

 なんと、ウツボカズラが口を広げて顔面に迫ってきたのだ。それを何とかサッと避け、気を張り詰める。

「まだ来んのか……!!」

 迫り来るウツボカズラとツタを避けながら、彼女の所へと着実に前進する。

「いいものをあげるわ……!」

「何だっ!?」

 色の明るいウツボカズラが、超高速で飛んでくる。避ける程の余裕は無いので、一旦それを掴んで止めた。しかし、そこから奇怪な色をした煙が吹き出した。

「わっ!?」

 それを、危機一髪の所で避ける。彼女はその様子を見て、舌打ちをした。

「あら……惜しいわね……陶酔させてあげようと思ったのに……」

「どうせ毒ガスか何かだろ!」

「……まぁ、正解ね。」

 そう言い、余裕そうな表情で彼を見る。

「余裕かましやがって……!!」

 なるほど、流石はカナン姉妹。こりゃ、プリエステスやクィーン・ビーより問題児のようだ。

 そう思いながらツタを払っていたらいつの間にか猛攻は止み、ウツボカズラも飛んでこなくなり、彼女の姿も消えていた。

「し、しまった……ツタに気をとられすぎて本体を忘れてた……!」

 しかも、気まで消されちゃどうしようもない。辺りをきょろきょろと見回している時だった……

 背後から大きなウツボカズラが現れ、覆いかぶさるように彼に襲いかかった。そして、声も残さずそのウツボカズラに捕らえられてしまった……かに思われた。

「あ、あぶね〜……そんな事出来んのかよお前……!」

「なにっ!?」

 なんと、彼女の背後に瞬間移動していたのだった。そのままその両腕を掴み、背中を蹴りつけた。彼女は弓ぞりになりながら、悶絶する。

「こ、この……!!」

 そんな彼の全身に、ツタが伸びる。

「はああっ!!」

 彼女の両腕から手を離し、その後頭部を掴み、顔面を地面に叩きつけ、円を描くように擦り付けた。

「痛い痛い痛い痛い……!!」

 ツタも止まり、絶好の好機となった。

「おらぁっ!!」

 そのまま、彼女と共に高く跳躍した。

「っ!?」

「ここをこうしてこうやって……!!おらぁっ!!」

 更に空中で猛回転し、彼女の巨乳に座り、地面に激突させた。

「きゃあああ……!!」

 彼女の人間体の体中が、ミキミキと軋む。悶絶しながら、腕をじたばたさせた。

「落ちろ!!」

 彼は跳び上がり、彼女の顔面にとてつもなく重い一撃を落とした。

「も一発!!」

 今度は胸の中心部に、思いっきり拳を叩きつける。

「ひ、ひっ……!!」

「だあぁーっ!!」

 そして、トドメに彼女の顔面を蹴り上げた。

「きゃあぁああぁっ!!!」

 彼女はぶっ飛んで木に叩きつけられ、白目を向いて気絶してしまった……

「よぉし……後は長女だけか!?」

「その通りです。」

 彼の独り言に応じて、背後から声をかけられた。そこに居たのは──

「……ハエトリグサ……」

 そう、ハエトリグサの妖魔であった。

「ディーナ・カナン……カナン三姉妹の長女です。」

 下半身が植物、髪部分がハエトリグサになってるアルラウネはそう名乗った。

「じゃあ、おめぇが最後になるって訳か……」

「その通り……」

 そう言い、冷たい殺気を彼に向けた。

「私はムシケラを嫐る趣味などありませんが……妹が世話になった事ですし、相手をしてあげましょう。」

「俺がムシケラだと……?分かんねぇ〜ぞ〜……」

 ヴィクトリーは構え、カナン姉妹と連戦するのであった……

流血表現

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