もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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超サイヤ人だヴィクトリー!

 ヴィクトリーがディーナと対峙した頃、こっちでも決着がつきつつあった。

「く……!」

「無駄だよ。僕のシルフの力は植物族の攻撃をほぼ無効化できるんだ……」

 対峙する、ルカとドローシー。やはりこの勝負はルカの圧倒だった。

 シルフの力が攻撃を遮ったり、その疾風の動きで攻撃を避けたりしている。そして今、彼が疾風のような動きでドローシーに踏み込んだ──

「これで終わりだっ!死剣・乱れ星っ!!」

「きゃあぁっ!!」

 彼女の体がバラバラになり、モウセンゴケの姿に封印された。

「……」

 剣を納め、ヴィクトリーの元へと向かおうとした時だった。

「ぐはぁああああっ!!」

「ふふっ……!」

 いきなり森から彼が飛んできて、それを追いかけるようにカナン三姉妹の長女も飛び出してきた。

「はぁっ!!」

 彼女は彼の顔面を掴み、地面へと叩きつけた。

「うわぁああっ!!」

「ふふっ……どうしました?その程度ですか?」

 そう言いながら、彼の顔面を掴んだ手に握力を込める。

「ぎゃああああ……!!」

「やめろっ!」

 その彼女の背中を、ルカが切りつけた。

「っ!?」

 突然の痛みに驚き、握力を緩めてしまった。

「今だっ!!」

 ヴィクトリーは開放された隙に、彼女の顔面に両足蹴りをかまし、立ち上がった。

「ぐ……!」

 顔を蹴られた彼女はぶっ飛んでから回転し、着地する。

「へぇ……今度は剣士ですか……」

「くっ……!」

「気を付けろルカ……こいつ、ディーナってんだけど、相当つえぇぞ……!」

 彼の言葉通り、ディーナは別格らしい。その実力は、クィーン・ビー以上か。

「シルフっ!」

「界王拳5倍!!」

 二人の素早さが跳ね上がり、圧倒的なスピードで彼女に迫る。

「ふっ!」

 彼女は二人の猛スピードの猛攻を、冷静に対応していた。

「はぁっ!」

 そして高速移動で二人の背後に回り込み、ツタでなぎ払った。

「うわっ!?」

「ちっ!」

 突然の事態に対応が遅れ、ガードが追いつかなかった二人。

「この……!!」

 ヴィクトリーは跳び上がり、彼女に反撃のかめはめ波を放った。

「ふんっ!」

 彼女は手を突き出し、そのかめはめ波を受け止めた。

「ぐぐぐぐ……!!」

「はぁあああ……!!」

「6倍だあぁーっ!!!」

「っ!?」

 ヴィクトリーは界王拳を6倍に引き上げ、押し切った。彼女の手の中で、かめはめ波は大爆発を起こした。

「がっ……!」

「はああぁっ!」

 よろけた彼女に、ルカの雷鳴突きが一閃する。

「ぐっ!」

 彼女は何とか地面に踏ん張り、ルカの体を掴む。

「え……!?」

「はあぁっ!!」

 そのまま大きく振り上げ、彼を高い高いした。

「うわぁあ……!!!」

 その体が勢いよく振り下ろされ、地面に叩きつけられた。衝撃が森を揺るがす。

「がっはぁ……!!」

「終わりよ……!!」

 地面に伏せた彼の体に、彼女のハエトリグサ部分が迫る。それが彼を覆い、その口を閉じた。

「……?」

 次の瞬間、彼女は違和感に気付く。そして、ハエトリグサ部分を開いてみると……なんと、ルカの姿はなかった。

「!?」

「あ、あぶねぇ……!」

「助かった……!」

 彼女の背後で、ヴィクトリーがルカを抱えながら汗を拭う。

「……貴方……いったい何をしたんですか……?」

 振り向きながら、彼に殺気と怒気を飛ばす。

「へへへ……瞬間移動ってやつだ……」

「瞬間……移動……?」

 ヴィクトリーはルカを下ろし、構えた。

「へぇ……面白い技を使う人間がいますね……ですが……!」

 彼女の姿がふっと消え、ヴィクトリーの背後に現れた。

「私もスピードには自身があるんですよ?」

「し、しまっ……!?」

 完全に油断していたヴィクトリー。ハエトリグサが大きな口を開け、彼を咥え込んだ。

「ヴィクトリーっ!!」

「ふふふ……こうなってしまえば、もうこの男は抵抗できません……さて、残るは勇者一人ですか……」

 そう言いながら、ルカの方向に向かい直した時だった。またしても、ハエトリグサの違和感に気付く。

「今度は何ですか……っ!?」

「かぁあ……!!!」

 なんと、ヴィクトリーが気合いでハエトリグサの口をこじ開けようとしていた。下の口で踏ん張り、上の口を押し上げ、その場から脱出しようという目論見らしい。

「こ、この……!!」

「10倍界王拳だああぁーーーっ!!!!」

 彼女が力を込めようとした瞬間、それは圧倒的な力によって押し返されてしまった。

「うりゃあっ!!」

 ヴィクトリーは脱出し、彼女の顔面に回し蹴りを放った。

「うぐっ!?」

 その一撃でぶっ飛び、木に叩きつけられてしまった。

「へぇ……!」

「で、出た……!ヴィクトリーの10倍界王拳……!!」

 ようやく、この微妙な流れを押し返せるか……!?そう思っていた時だった。

「なるほど……確かに、ただ者では無いみたいですね……プリエステスが信頼する訳です……」

 彼女はポキポキと指を鳴らし、とうとう構えた。

「私もフルパワーで相手をしましょう……」

「なっ……!?」

 今まで、本気を出していなかったのか……!?

「なるほど……やっと、ここの植物族で一番つえぇ奴のフルパワーのお出ましか……わくわくしてきたぜ……」

「こ、こんな状況なのに何を……!」

 二人も、構える。

 ここからが、本当の戦いなのだ……!

「……」

 ディーナは超スピードで二人の間に入り、二人の顔面に肘打ちをかました。

「っ!?」

「ぐっ!!」

 ルカはモロにくらい、ヴィクトリーはギリギリでガードする。

「はっ!」

 だが、彼女の拳がヴィクトリーの腹に埋まる。

「おうぅうっ……!?」

「ぐっ……!」

 ルカが剣を振り上げた……が、次の瞬間にはルカの胸に掌底が入り、ルカはぶっ飛ばされてしまった。

「ぐはぁっ!」

「ルカっ!」

 ヴィクトリーは、ルカの方を向いてしまった。その隙がアダとなり、腹に思いっきり肘打ちが炸裂してしまった。

「おうぅっ……!!」

「はぁっ!」

 腹を押さえて倒れ込む彼の髪の毛を掴み、ルカの方にぶん投げた。

「うわぁああっ!!」

「ぐぶぅっ!?」

 ルカにヴィクトリーが激突し、二人は重なるように木に叩きつけられた。

「ふんっ!!」

 次の瞬間、ディーナの正拳がヴィクトリーの腹を打ち抜いた。差し込まれた衝撃が、ダイレクトにルカの腹にまで響く。

「がはぁっ!!」

「ぐはぁっ……!」

「はあぁーーっ!!」

 更に彼女の渾身の一撃が、ヴィクトリーの顔面を打った。それで彼の後頭部がルカに叩きつけられ、そのルカの後頭部も木に叩きつけられる。そのまま木も粉砕し、二人は森の中にぶっ飛ばされてしまった。

「うわぁああああーっ!!!」

「ぐわああぁっ!!!」

 ゴロゴロと森の中を転がる二人だったが、すぐに体勢を立て直す。

「はぁ……はぁ……!強い……強すぎる……!!」

「ち、ちくしょう……隠しておいた実力に差がありすぎた……このまんまだと、俺達殺されちまうぞ……!」

 そう話し合ってる間にも、あの気は迫ってくる。

「くそ……!!」

「くっ……!!」

 やるだけ、やるしかない!

「はあぁーっ!!」

 なんと、彼女は両腕を大きく広げて突進してきた。そのまま二人にダブルラリアットをかまし、ぶっ飛ばす。

「ぐあぁっ!」

「ごふぁっ……!!」

 圧倒的な実力差。先までの意気込みを消すが如くの、威力。二人はそれに、倒れてしまった……

「……じゃあ、まずはどっちから食べましょうか……」

 遂に、遂に捕食の瞬間が来てしまったのだ。

 彼女はぺろりと舌舐めずりをしながら、獲物を物色する。そして──

「決めた!」

 そのハエトリグサの髪を、ヴィクトリーに迫らせた──

「くっ……!!!」

 ルカは、思わず目を逸らしてしまった。自分の実力不足で、仲間が殺されるのを見ていられなかったのだ。

「まずは一匹……!!」

 ドンッと、衝撃が響き渡る。

 ダメだった……ヴィクトリーが……

「……っ!?」

「えっ……?」

 彼女の驚いた声に、反応する。

「……」

 ヴィクトリーは、ハエトリグサの一撃を止めていたのだ。

「……はぁっ!!」

 次の瞬間、彼の髪が逆立ち、凄まじい気の嵐が辺りに吹き荒れた。森はざわめき、大地が揺れ、空気がウネる。

「なっ……!?何処に……何処にそんな力が……!!?」

「……負けるわけには行かねぇ……!!ぜってぇ負けらんねぇ!!」

 その気が、激しさを増す。ルカは吹っ飛ばされそうになりながらその様子を見ていた。

 ふと、彼はこちらの方を向く。

「ルカ……クィーン・ビーはおめぇがやったんだ……こいつは、俺に譲ってくれ……」

「あ、あぁ……!」

 僕は離れ、安全な所でヴィクトリーの戦いを見守る事にした。

「ふ、ふふふ……!一対一で戦うつもりですか……?」

「あぁ、そうだ……!!」

「……五秒!五秒で終わらせます!!」

 ディーナは渾身の力を込め、一撃を放った。だが彼はそれを受け止め、反撃に顔面への蹴りを放つ。それで彼女はぶっ飛び、ゴロゴロと転がりながら倒れ伏した。

「……とっくに五秒は過ぎたぞ。」

「ぐぅっ……!?」

 彼女は立ち上がり、構え直す。

「……」

 ヴィクトリーも、仕掛けずに構える。どうやら、ディーナの体制が整うまで待つつもりらしい。

「……とことんまで決着をつけるつもりですか……!!」

「……」

「ぐっ!!」

 ディーナは真正面から突っ込み、猛攻を仕掛ける。

「だぁっ!!」

 だが、彼は一撃も放たせる事無く、その顔面をぶん殴った。

「んぐっ……!?」

「だあぁーっ!!!」

 そして、その土手っ腹に思いっきり前蹴りを放った。

「きゃあぁああぁっ!!!」

 彼女はぶっ飛び、木を何本かなぎ倒してからようやく地面に落ちる。

「うぐぅ……!!」

 立ち上がろうとした顔面に、思いっきりキックが炸裂した。

「んぎゃあぁっ!!」

 彼女は顔面を押さえ、仰向けになってビクンビクンと跳ねる。

「おらぁっ!!」

 彼は跳び上がり、その腹に両膝を落とした。

「ごふぅっ!!」

「おりゃあああーっ!!!」

「……っ……!!」

 ヴィクトリーの圧倒的な戦闘力により、確実に追い詰められていくディーナ。この戦いに入り込む隙は無く、その様子を見る事しか僕には出来なかった。

「はっ!!」

 ここで、だいぶ前にヴィクトリーから聞いた話を思い出した。かつて、宇宙の帝王と伝説の戦士が戦った話……その、伝説の戦士というのが……

「超サイヤ人……!?」

 まさか……!!

 確かに、話では『窮地に陥って、もうダメかと思った時にいきなり覚醒した』とあった。

 まさか……これが伝説の戦士、超サイヤ人なのか……!?

「カナン三姉妹の長女の私が……!こんな訳の分からない人間如きに……!!」

「……終わりだ、ディーナ。」

「終わってません!!」

 ディーナは、ヴィクトリーの顔面に拳を放った。が、それはひょいと首を傾けて避けられた。

 次の瞬間、とてつもなく重い一撃が彼女の腹に叩き込まれた。

「がっはぁ……!!!」

「はぁっ!!」

 彼は悶絶する彼女を思いっきり蹴り上げ、上空にぶっ飛ばした。

「うぉおおおおおっ!!!」

 そして全てのエネルギーを開放し、両手を合わせた。

「ま、待っ……!!」

「超かめはめ波あああぁーーーっ!!!!」

 彼の手から爆発のようにエネルギーが溢れ、凄まじい威力のかめはめ波が彼女に向かって放たれた。

「そ、そんな……!私達カナン三姉妹をことごとく……!!」

 かめはめ波は直撃し、物凄い大爆発が巻き起こった。

「ぐぅっ!!」

 その爆発の衝撃が地面と森を揺らし、この場一帯を揺るがした。

「はぁ……はぁ……!!」

 ヴィクトリーは元に戻り、倒れた。なんと、一対一でディーナを圧倒してしまったのだ。

 僕がヴィクトリーに駆け寄ろうとすると……ヴィクトリーの隣に何か落ちてきた。

「か……ぁ……」

 なんと、体の組織の殆どが焦げたディーナだった。

 いけない、このままでは死んでしまう……!

「はぁっ!」

「がはっ!」

 僕はその胸に、エンジェルハイロウを突き刺した。彼女の姿が消散し、食虫植物の姿へと封印されてしまった。これで、死は避けられただろう。

「……よ、ようやく……終わったぜ……この負の戦いが……」

「……あぁ。」

 リーダーと中心戦力を失った以上、植物族も昆虫族同様に総崩れの状態だ。これから戦いを続けようとしても、もはや不可能だろう……

「……肩、貸してくれっか?」

「あぁ……」

 ヴィクトリーに肩を貸し、二人でその場を見渡す。そこには封印されたアルラウネと気絶したアルラウネが並ぶ。それだけではなく、激しい戦争で倒れていった魔物達の姿もあった。

 多くの魔物達が倒れ伏し、周りは静寂に包まれていた……

「……今度こそ、終わったようだな。だが、あまり晴れやかな気分では無いだろう。」

 忍者のように現れたアリスが、僕達の背後から話しかけてきた。

「……僕はこの村に来てから、あまりに多くの魔物を傷つけたよ……僕はただ、勇者として……正義を貫きたいと思っただけなのに……」

「自分で作った勇者の虚像に、己の戦う理由を委託するな。ましてそれを正義と呼べば、貴様はまた過ちを繰り返すぞ。」

 ルカは、彼女の方に向き直した。

「正義……」

「この村で戦っていた連中の多くは、自分を正義の側だと信じていた。自らの敵を悪と断じて思い、時には優勢に酔って暴虐さえ働いた。この村だけではない。この世の争いのほとんどがそうだ。自分を正義と信じた者こそ、凄まじい蛮行をやってのける。自分が正義の側に立っていると信じてるから、他者を傷つける事に疑問を持たないのだ。」

 その言葉を聞いて、しんみりとした表情を浮かべた。

「自分を正義だと思うことも……悪なのかな。」

「……この世の何処を探したって、その答えは見つからねぇよ。」

 ヴィクトリーの言葉に、彼女は頷く。

「その通りだ、正義も悪も相対的な概念。明確に定義できるものでも無いはずだ。結局のところ、言葉遊びに過ぎんのかも知れんな。」

「……」

「……だよな。」

 しょんぼりする二人に、彼女は続ける。

「それでも、貴様らは戦いを終わらせようとして戦った。正義だの、勇者だのといった虚像を削ぎ落としてみれば……残った思いはその一点だけだった。その点だけは、胸を張っていい。結果的には、色々と間違えたがな……」

「……」

 しょんぼりしたままのルカを、ヴィクトリーは見る。そのまま、顔を覗き込んだ。

「ルカ……正義に唯一の答えなんかねぇんだ。だから争いが起きる。戦争を起こすのは、悪なんかじゃねぇ。それぞれの規範や理想の対立だ。」

「……だったら、僕の従う規範は何処にある……?」

「それは自分で考えねぇと……」

 ルカはしばらく考え、顔を上げた。

「……僕はもう過ちを繰り返したくは無いよ。自分が戦う理由も、正義とは呼ばない。人や魔物が、そして人同士や魔物同士が争うところなんて見たくない……それが、僕の戦う理由なんだ。」

「……俺はそんなルカの手伝いをしてぇ。強いヤツと戦いながら、この世界もみんな仲良くできる世界にして、ルカの理想の世界を見てみてぇ!それが、俺の戦う理由だ!」

 決意を固める二人に、アリスは微笑んだ。

「うむ、貴様らはそれでいい。ドアホはドアホなりに、自分の事をしっかり……」

 その時、近くの茂みがざわざわと蠢いた。

「ん?」

「なんだ?」

「これは……」

 その茂みからおずおずと姿を現したのは、怯えた顔をした妙な様子のアルラウネだった。いや、彼女一体ではない。その後ろには、複数のアルラウネや昆虫族の魔物もあったのだ。

「えっと、あの……もしかして、戦いは終わったんですか?」

「ま、まぁな……」

「あの……君達は……?」

「私達は、戦いを忌避したグループなのです。仲間達が争ってる中、どうしても暴力を振るう気にはなりませんでした。そうした魔物達が集い、森の奥で身を隠していたのです。ですが、妙な気配を感じてきて見れば……」

 なるほど、わざわざ気を隠してまで森の奥に隠れてたらしい。通りで気付かないわけだ。

「もう戦いは終わったの……?私達、逃げ隠れしなくてもいいの……?」

 昆虫族の一体のタランチュラ娘が、僕達の前に出てきた。

「あぁ、もう戦いは終わった……カナン三姉妹とやらもプリエステスとやらもクィーン・ビーとやらも何も出来ねぇ状態だ。」

「そうですか、やっと平和が……!」

「みんな、聞いた?戦争はもう、終わったんですって……!」

 タランチュラ娘の言葉で、木陰や森の茂みから魔物達がわいわいと出てきた。戦いを避け森の奥に隠れていたという事だが、その数は予想以上に多いらしい。

「それにしても、負傷者が多いですね……なんとかしないと……」

「手分けして救護しましょう。私は、セクトの森の方をあたりますね。」

「では、私達はプランの森の方の負傷者を助けます……」

 こうして彼女達は、手分けして救護活動にあたった。その様子を、僕達は意外な面持ちで見る。

「戦いを避けた魔物達も、こんなに居たんだな……」

「これだけの数が居れば、ルカが封印した者達もそう時間も掛からず元に戻れるはずだ。ヴィクトリーの相手した連中は知らんけどな。」

「でへへへ……」

 アリスは、二人の肩を叩く。

「貴様らの行動は目茶苦茶だったが……結果論で言えば、戦争の幕引きとしては悪くない。クィーン・ビーやカナン三姉妹など、タチの悪い連中はみな静かになった。双方に破滅的な打撃を与えなければ、この戦いは終わらなかったのかもな。」

「結果論だけどね……」

「結果論だけどな……」

 二人の言葉が、重なった。

 後先考えずに、両陣営の主戦力を倒してしまった結果がこれなのだ。もしかしてアリスは、この結末を予想して……

「プランセクト村の連中も決して馬鹿ではない。この一件で、争いの無益さも身に染みて分かっただろう。」

「あぁ、そうだといいな……」

「そう、信じたいね……」

 今の所、タチの悪い連中は封印してある。彼女達の封印を解くのか解かないのかも含めて、ここから先は村に住む魔物達次第なのだろう。

「ルカよ……貴様は、いくつも間違った。それでも、まだ誰の命をも奪ってはいない。だから、取り返せる過ちなのだ……余と違ってな。」

「え……?それってどういう……」

「……」

 ヴィクトリーは、二人を横目に空を見上げる。

 そのまま目を瞑って暫く考え、いつもの顔に戻った。

「とにかく、ここに居てもご馳走は期待できなさそうだ。」

「あ、当たり前だろ……」

 呆れながら周囲に目をやると、植物族も昆虫族も関係なく、傷つき倒れた魔物達を救護しているのだ。

「……じゃあ、行こうか。僕達がここに居ても、出来る事はないよ。」

「あぁ、そうみてぇだな……」

「うむ、旅を続けよう。今度はもっと、美味しいモノがある場所がいいな……」

 色々と、苦い思いを重ねたプランセクト村。ここで学んだ事は、非常に大きいはずだ。そして、今度こそ植物族と昆虫族が共存していける事を信じて……僕達は、プランセクト村を後にした。

 

「……所でヴィクトリー、ディーナと戦ってる時のアレは何だったの?」

 あの尋常ではない、凄まじいパワーアップ。どう考えても普通では無さそうだ。

「し、知らねぇ……覚えてねぇな……あの一撃を受け止めた時点で記憶が飛んでて……」

 なんと、ヴィクトリーも自覚が無いらしい。

 ……とすると、僕と同じように無意識に超パワーが爆発したのか……?

「どうやら、底知れぬ実力を隠し持っているのはルカだけでは無いみたいだな……今度からヴィクトリーは死にかけの状態から、ルカは寝ながら戦ったらどうだ?」

「む、無茶言うなよ……」

 それは流石に勘弁願いたい。

 果たして、この力の正体が分かる時が来るのか……?そして、ヴィクトリーは本当に超サイヤ人なのか……?

 そう思いながら、旅路を進んだ……

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