もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「それじゃあ、ウンディーネの泉に行こうか。」
「ふむ、いよいよウンディーネの元に行くのだな。」
「遂に三体目か……わくわくしてきたぜ!」
この地でやり残したことも、特には無いはずだ。
こうして僕達は、地元の人からは『禁忌の泉』と呼ばれる地……ウンディーネの元へと向かったのであった。
「これが……泉……?」
「ひゃ〜!で、でけぇな〜!」
ウンディーネの泉は予想以上に大きかった。これでは泉というより、湖だ。それに、何処か神秘的な雰囲気も漂っている……これはシルフの居た精霊の森や、ノームの居たサファル砂漠に似ている。
「確かに、ここならウンディーネが居そうだな……」
「よ〜し、とっとと探して力を貸してもらおうぜ!」
気を引き締める二人の横で、アリスは腕を組んで考える。
「この地は……そうか、エルベティエの……なかなか厄介な事になりそうだな……」
「え……?」
「どういう事だ?」
「……」
アリスは、それ以上は語ろうとしなかった。こういう時は、無理に聞いても無駄なのだ。
「さて、どうしようか。」
「とりあえず、泉の周り回ってみようぜ。」
「ん、そうだな。」
僕達が、一歩踏み出した時だった……
「近寄らないで……」
不意に、泉の中から声が聞こえた。
「人間は、この地に近寄らないで……」
「……何のこっちゃ……?」
「まさか……ウンディーネなのか!?」
僕はそう問いかけるが、返事は無い。
謎の声も、もう聞こえなくなってしまった。
「今のは、ウンディーネの声だったのかな……」
「さぁな……」
ふと、僕の頭に精霊達が浮かび上がる。ヴィクトリーもそれを感じ取ったようで僕の背中に手をつける。
「ううん、違うよ。感じは似てるけど、ウンディーネちゃんの声じゃないよ。」
「……」
シルフは、ノームの頭に乗りながらそう言う。
「そうなのか?」
「じゃあ一体……」
「でも、ウンディーネちゃんの気配がするよ。きっと、泉の中にいるよ。」
「泉の中……?」
ヴィクトリーが、泉に視線をやる。
「おーい!ウンディーネ〜!出てきておくれ〜!」
「ウンディーネちゃ〜ん!一緒にあそぼ〜!」
二人の問いかけにも関わらず、彼女からの返事はない。
「普通に呼んでもダメみてぇだな。」
「あれれ、聞こえてないのかなぁ……?ノームちゃんも一緒に呼ぼうよ。せ〜の……」
「……」
ノームは、ベシッとシルフを叩いた。
「うにゃっ!」
「……」
「あはは……」
さて、どうしたものか。
「居るのは間違いねぇみてぇだ。泉にダイブするか?」
「うん……泉の地下はダンジョンになってるって聞いたけど……」
「何処でそんな情報手に入れたんだ?」
「グランドノア。」
そう会話を交わしながら、二人で泉を覗き込む。向こうから出てこないとなれば、こっちから出向くまでだ。泉の地下ダンジョンとやらに、足を踏み入れてみるか……?
「でも、どうやって行くんだ?ドボン?」
「い、いやぁ……そこまでは……」
どこかに、地下への入り口でもあるのかときょろきょろしてみる。
「泉の水面がそのまま入り口になっている。ヴィクトリーの言う通り、そこに飛び込めば地下のダンジョンに行けるはずだ。」
「やっぱりな。」
「アリスはどうせ行かないんだろ?」
「ジメジメした所は嫌いだ。ここで待っている。」
面倒事についてこないのは、いつもの事だ。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「れっつごー!」
「ウンディーネの力を手にして、無事に戻ってこい。くれぐれも、つまらんところで力尽きるなよ。」
「あぁ!」
僕達はそのまま、泉の中へと飛び込んでいた……
みるみるうちに不思議な光に包まれ、風景が切り替わる。
「ここは……?」
「へぇ……こりゃ面白ぇや。」
気付けば、暗く湿った地下洞窟の中にいた。
ここが、ウンディーネの泉の地下に広がるダンジョンか……
「見ろよ、マジで地下洞窟のダンジョンになってるぜ。」
「これは、気が抜けなさそうだな……」
神秘的な雰囲気ではあるが、ジメジメ感がなんとも不気味だ。風の音も、湿気のようなもので鈍ってしまう。
「さぁ、ウンディーネを探さないと。」
「いっくぞ〜!」
二人が、一歩踏み出した時だった。目の前の水たまりが、不意に人型を成した。
「うわっ!?」
「なんだっ!?」
スライム……というよりは弾力性がある。こいつは……ジェリー娘か。
「人間が、ここに何の用……?せっかくだから、精液を吸い取ってあげる……」
彼女は、ゆっくりと僕達に這い寄ってくる。
「あの、僕達はウンディーネに会いたいだけで……」
「この体で包んであげる……」
「問答無用かよ……!」
ヴィクトリーは、少し引き下がった。
「わ、わりぃルカ、ここはおめぇに任せる……素手の俺じゃ相性が悪いぜ……」
「あぁ……」
迫ってくる軟体のモンスターを相手に、剣を抜いた。スライムの時は苦戦したが……今はあの時とは違うはずだ!
「いざ、参る!」
ルカはまず最初に、雷鳴突きを放った。
「っ……」
不意打ちにも近い電光石火の一撃に、彼女は揺らいだ。
「おぉ……ちゃんと切れるようになってやがる……」
「これなら……勝てる!」
「ほら、包んであげる……」
「はっ!」
油断していた彼に、弾力のある粘液が降り掛かってくる。
「くっ!」
「うふふ……」
彼女の一部が大きな手を作り、それで彼を握り込んでしまう。そのまま力が込められ、ギチギチと体が軋む。
「ちっ……ノームっ!!」
大地の力を力を解放し、その手から脱出した。
「逃げられちゃった……」
着地し、剣を構えて力を込める。
「はあぁ……!!」
「なにするの……?」
次の瞬間、彼の姿が消え、彼女に無数の斬撃が走った。
「死剣・乱れ星……」
彼はそう言いながらしゃがみながら現れ、剣を納めた。次の瞬間、彼女の体がバラッと細切れになった。
「なに……これ……?」
その姿が消散し、水たまりとなった。
「ふぅ……いきなり襲ってくるんだな……」
「まぁ、そんな気はしてたけどよ……」
この地下洞窟でさえ、問答無用で襲いかかってくる魔物達。人間と魔物が共存できる世界は、まだまだ遠そうだ……
「ウンディーネは何処に居るんだろう……」
「一番奥じゃねぇの?行こうぜ。」
「そうだな……」
僅かな風の声が、ルカを奥へと導く。一方でヴィクトリーは、最奥に水のように静かな気を感じていた。
これが、ウンディーネか……?
二人の戦士はそんな事を思いながら奥へと進んでいった……
「近寄らないで、と言ったのに……なぜ、ここまで来たの……」
「……!?」
「なんだ……?」
進んでいたら、突如として地上でも聞こえたあの例の声が聞こえた。ウンディーネとは違うと言うが、これはいったい……?
その声に問いかけようとした時、声の主とは別の魔物が姿を現した。
「う、うえぇ……?なんだこいつ……?」
ヴィクトリーは、困惑する。
現れたのは赤いスライムだった。
「あははっ!美味しそうな人間だ〜!」
肉汁のように、赤いその体。粘液というより、とろけたチーズといった感じか……
「じゃあとろけたチーズ娘か?」
「ブロブよ。ゼリー状の塊って意味らしいわ。」
「へ、へぇ……」
「うふふ、どうせだからキミをじ〜っくりと溶かして、おいしく食べてあげるね……」
「ま、マジか……」
ブロブ娘は、どうやらヴィクトリーに目をつけたらしい。
「やれそうか?ヴィクトリー。」
「なるようにする!」
そう言いながら構え、目を鋭くして笑顔を向けた。
「じゃ、まずは一発!」
ドンッと真正面から突撃し、彼女の顔面を殴り飛ばした。
「っ!?」
ぶっ飛んで、壁に激突してしまう。
「い、いったぁ〜……!素手なのに、どうやって……!」
「拳に気を纏ってぶん殴らせて貰った……ダメもとでやってみたけど、どうやら効くみてぇだな……」
「よし……!」
どうなる事かと思ったが、ヴィクトリーもスライムを攻撃出来るようだ。
とりあえずは一安心……
「やぁーっ!」
彼女の粘液が、彼に襲いかかってきた。
「い、嫌だ……!」
体にべちょべちょべちょと粘液が降りかかり、物凄く不快。痛いよりかはマシだが。
「えーいっ!」
彼女は次に、拳で殴りかかってきた。多分、アレは痛いやつだ。
「ちっ!」
「きゃ!?」
その腕を抱え、背負い投げを決めた。
「い、いったぁ〜……ぶっ!!?」
更に起き上がろうとした彼女の顔面を、踏みつけた。ビクンビクンと跳ねた後、気絶して大人しくなった……
「ふにゃ〜……」
「ふぅ……」
「肉食のスライムがこんな所に……」
どうやら、想像以上に危険な場所らしい。あまり、ここに長くとどまっているべきではない。
「早く、ウンディーネを探さないとな……」
「ああ、行こうぜ。」
幸い、洞窟はほとんど一本道。僕達は足早に、奥へと進むのだった……
あの奇妙な声は聞こえなくなった。いったいなぜ、こうまで立ち入りを拒むのか……そう考えていると、またもやモンスターが立ちはだかった。
「緑色のスライム……グリーンスライムか……」
「まんまかよ……」
グリーンスライムは、僕達を見る。
「あれ……?人間がこんな所で何してるの……?」
「こいつがウンディーネに会いたいんだとさ。俺はその付き添いだけど……」
「ウンディーネは、人間が嫌いなの。だから、あんた達になんか会ってくれないわよ。」
険しい表情でそう言ったかと思えば、今度はニヤッと笑う。
「でも、あたしは人間が大好き。いっぱいいじめてあげたら、すっごくいい声で悶えるんだもん……」
「知らねぇ。」
どうやら、こいつも敵みたいだ……
「じゃあ、いっくよ〜!」
グリーンスライムは、粘液を周囲に広げた。辺りの床が緑に染まり上がる。
「よっ!」
「わっ!?」
ヴィクトリーは飛んで避けたが、ルカは油断していたみたいで、靴が粘液に侵食されてしまった。
「な、なんて奴だ……!」
「おめぇ、相手を見た目だけで判断してやがったな……?」
グリーンスライムは体躯が小さく、一見すれば雑魚モンスターだ。ただ潜在能力はそれなりにある。見た目で敵を判断するなの、いい見本だ。
「う、浮いてる……」
彼女は宙に浮くヴィクトリーを見つめていた。彼は宙に浮いてる為、緑の侵食を受けていない。
ここは、舞空術持ちのヴィクトリーに任せるか……
「おらおらおらおらっ!!」
彼は飛び回りながら、彼女に蹴りの猛攻を仕掛けた。
「あうぅ……!ひ、ヒキョーよ!」
「うるせぇ!俺は自分の力で飛んでんだ!」
そう言いながら、その顔面をドカドカ蹴りまくる。
「このっ!」
彼女も反撃に、何発か粘液を飛ばす。しかし、彼は全部避けた。
「そらっ!いいもんやるぜ!」
そして、彼のエネルギー弾が、彼女の顔に放たれた。
「ふぎゃっ!」
直撃したことでダメージを与え、緑の侵食を阻止した。
「ふぅっ!」
ルカも、怪我なく済んだようだ。
「あんた、なかなかやるじゃない。勇者なんて口だけの連中だと思ってたけど……」
「だろ?」
グリーンスライムは、不敵な笑みを浮かべた。
「仕方ないなぁ……仲間を呼んじゃおうかな……」
「なに……!?」
驚く僕達の前で、彼女は指笛を吹いた。ピューッという甲高い音が、洞窟の奥まで響く──
すると、ブルースライムが現れた。
「そ、そんな……!」
「もう一体だけじゃねぇみてぇだな……」
ヴィクトリーは、察していた。後もう二体は来ると。
「うふふっ……ご名答。」
彼の言う通り、今度は二体のスライムが現れた。レッドスライムとパープルスライムだ。
「なるほどな……食べ放題って訳か……!」
「ぼ、僕も加勢するぞ!」
二人の戦士は並び、構える。
「確か、ウンディーネに会いに来たと言ってましたね。でも、残念でしたね。あなた達はここで私達の慰み者となってしまうのです。」
パープルスライムが、そう言って不敵に笑う。
「人間を弄ぶの、久しぶり……いっぱい、いじめてあげる……」
「あははっ、覚悟しなさい!じゅるじゅる、ぐちゅぐちゅの粘液地獄を味わわせちゃうから!」
青と赤のスライムも、クスクス笑う。
「悪いけど、僕はウンディーネに会わなくちゃいけないんだ。」
「俺は単なる付き添いだけど、邪魔すんならぶっ飛ばす!」
状況は、二対四。切り抜けられるか?この状況……
構えるヴィクトリーを、ルカが肘でつっついた。
「見た所、リーダー格はあのパープルスライムみたいだな……」
「あぁ……あいつが一番つえぇみてぇだな……」
「いいか、ヴィクトリー。こういう集団はリーダー格を倒せば崩れる。あのパープルスライムを狙うぞ。」
「おう……!」
「なにぼそぼそ喋ってるの!」
「来ないなら、こっちから行くわよ……!」
スライム達も臨戦態勢に入り、気を解放してきた。
「望むところだ!!」
「行くぜっ!!」
二人も気を解放し、構えた。
迫り来るスライム地獄に、二人はどう戦う……!?
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい