もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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魔導科学のグランゴルド城

 そして翌日、グランゴルド城への旅は続く。

「おらぁああっ!!」

「きゃあああーっ!!」

「おいおい……」

 道中、強襲してきたメデューサにヴィクトリーは筋肉バスターをかけて一蹴する。

 それはともかく、とうとうグランゴルド城が見えてきたのだった。

「あれがグランゴルド城か……」

「ひゃ〜……でっけぇな〜……」

 目的地を眼前にして、いよいよ胸が躍る。

 このグランゴルド城では、人間と魔物の理想的共存が築かれているという。

「グランドノアでも、あれだけ魔物は普通に暮らしていたのになぁ……あそこより進んだ共存社会なんて、ワクワクするよ。」

「ふむ、彼女達はいったいどんなものを食べているのだろうな。余も、ワクワクしてきたぞ!」

「おめぇいつもそれだな……」

「……」

 ……まぁ、これもいつもの事だ。呆れながらも、城へと近づく僕達だが……

「……ルカ、剣を抜け。」

「え……!?」

 ヴィクトリーがそう言って構えた時だった。なんと、巨大なゴーレムが現れたのだった。

「警告スル……ココカラ先ハ通セナイ……立チ去ルガイイ……」

「で、でかい……!なんなんだ、こいつ!?」

「おいおい……その気になったら俺達なんて踏み潰せるんじゃねぇか……?」

 こんな魔物が、こんなに城に近い場所に出現するなんて……

「ふむ……こんな魔物、余は知らんな。」

「魔王でも知らない魔物……?まさか、精霊の森で見た……!」

「い、いや……そんな気は感じねぇ……多分、人工物だと思うぜこれ……」

「うむ、ヴィクトリーの言う通り、魔導の匂いが濃い。」

「じ、人工物……こいつが……!?」

 ゴーレムは、拳をガチンと合わせた。

「立チ去ラナイナラバ、排除スル……」

 悠長に会話してる暇も無さそうだ。こいつは、グランゴルド城に入るのを妨害しているらしい。退かない以上は、やるしかない!

「行くぞ……!!」

「俺はいきなり全力だぜっ!!」

 ヴィクトリーは10倍界王拳を使い、ゴーレム娘の顔面に飛んでいった。

「おっす、俺ヴィクトリー!よろしくな!」

「排除スル……」

 ゴーレムは両手で、彼を蚊でも潰すかのようにバチンと手を合わせた。

「ど、どうやら……!話は通じねぇみてぇだ……!」

 ヴィクトリーは両手両足を開いて手を止め、何とか耐えていた。

「瞬剣・疾風迅雷!!」

 ルカの新技が、ゴーレムの足に炸裂した。雷鳴突きを強化した技だが……シルフの力を纏いし突きは絶大な威力を誇っていた。

「……」

 ゴーレムはそんなルカを、巨大な足で踏み潰しにかかった。

「うわぁっ!」

 シルフの力を解放していたので、何とか踏みつけは避けれた……

「へっ?」

 しかしゴーレムはヴィクトリーを握り、思いっきり投げつけてきた。

「うわぁああーっ!!」

「ぐあぁっ!!」

 その衝撃で大地が砕け、小さなクレーターのようなものが出来る。戦士達は砂ぼこりを払いながら立ち上がった。

「ま、マジかよあいつ……!」

「強敵……みたいだな……!」

 二人が体勢を整え直した、その時だった。

「攻撃パターンA、選択……」

 ゴーレムは腕を振り上げ、巨大な拳を二人に振り下ろしてきた。

「ちぃっ!!」

「うわぁっ!ノームっ!!」

 二人は力を合わせ、その巨人の鉄槌を受け止める。

「おりゃあっ!!」

「だあぁっ!!」

 ヴィクトリーは蹴り上げ、ルカは切り上げでゴーレムの拳を弾き飛ばす。

「調子に……乗んなっ!!」

 そして、ヴィクトリーが10倍界王拳かめはめ波を放った。それはゴーレムの顔面に命中し、大爆発した。

「……ダメージ、低。」

「うっわ……マジか……!!」

「そ、そんな……!!」

 10倍界王拳のかめはめ波が、たいしたダメージになっていなかった。

「じゃあルカ!」

「あぁっ!」

 僕は跳び、ヴィクトリーが廻し蹴りを放つ。僕はその彼の蹴り足に、両足をついた。

「行ってこい!!」

 そして、僕をゴーレムの顔面にまで蹴り飛ばした。

「死剣・乱れ星ーーーっ!!」

 ルカはゴーレムの顔面に、無数の斬撃を放った。だが、これもあまり効果は無いらしい。

「な……!」

 ゴーレムは、ルカをはたき落とした。

「ぐあぁっ!」

「ちっ!」

 ヴィクトリーが駆けつけ、ルカの身体が地面に激突する寸前で抱きかかえる。

「た、助かった……!」

「……」

 ヴィクトリーはゴーレムから少し離れた所で、僕を下ろした。

「……ルカ、よく聞け……このままやっても俺達は永遠にゴーレムを倒せねぇ。」

「じゃあ、どうすれば……!?」

「ああいう敵は一部分に攻撃を集中させて、じわじわとぶっ壊すのが得策だ……攻撃するポイントは右足、左足、右腕、左腕、顔面……って所だ。」

「……」

 ヴィクトリーの妙案に、僕は頷いた。

「じゃあ、足から始めるぜ!」

「あぁ!」

 二人は構え、気を解放してからゴーレムの足に迫った。

「……」

 ゴーレムは、そんな二人にまた巨人の鉄槌を放った。だが二人は、それを軽々と避ける。

「俺は右足に行く!おめぇは左足を!」

「分かった!」

 ルカは左足に駆け寄り、瞬剣・疾風迅雷を放った。

「うぉおおおっ!!」

 そして、猛烈な剣技のラッシュでガリガリと左足を削った。

「攻撃パターンA……」

「うわっ!?」

 ゴーレムはルカに巨人の鉄槌を放った。何とか直撃は免れるが、衝撃でぶっ飛ばされてしまう。

「ぐっ……!!」

「排除スル……」

 ゴーレムはちゃぶ台返しでもするかのように、地面をひっくり返した。無数の岩石が彼に向かって飛んでくる。

「うおぉ……!」

 それを前に、シルフの力を最大限に引き出し、岩石から岩石へ八艘飛びした。

「天魔頭蓋斬ーーーっ!!」

 そして天魔頭蓋斬をゴーレムの左足に放った。その技で、左足がズバァッと両断された。

「……!」

 ゴーレムは体勢を崩し、仰向けに倒れた。

「よし、俺も……!!」

 ヴィクトリーは空高く飛び、猛スピードでコマのように回転しながらゴーレムの右膝に飛び蹴りを放った。

「うおおぉっ!!」

 ただでさえ速かった回転が更に加速し、火花が散る。

「はああぁっ!!」

 そしてドリルのように突貫し、右足も完全破壊した。

「よし、いいぞ……!」

「ダメージ中……戦闘ヲ続行スル……」

 ゴーレムはなんと両腕で身体を支え、襲いかかってきた。

「まだまだやるらしいな……」

「だな……」

 ヴィクトリーはルカを背中に乗せ、飛び上がった。

「はああぁーっ!!」

「……」

 ゴーレムは突っ込んできた二人を右手で掴み、握り込んだ。そのまま握力を込める……

「うおぉ……!死剣・乱れ星!!」

 次の瞬間、右手は細切れになった。

「はぁあああああ!!」

 ルカはヴィクトリーの背中からゴーレムの右腕に飛び乗り、ズバズバと右腕を切り裂きながら肩まで駆け抜けた。

「……ッ!」

「やっほー!」

 ヴィクトリーは、ゴーレムの顔面の前に降り立つ。そして両の拳に力を込めた。

「あだだだだだだだだだ……!!」

 そして凄まじいラッシュで顔面を連打した。そのラッシュでたちまちゴーレムの顔が変形する。

「だあぁっ!!」

 ゴーレムの額に正拳突きが叩き込まれ、ラッシュは止まる。

「究極龍翔拳ーっ!!」

 そして顎にフルパワーのアッパーカットを叩き込んだ。ゴーレムの巨体は上空にぶっ飛ばされてから、地面に墜落した。

「動力炉破損、予備動力ニ変更……ダメージ高、戦闘続行不可能……」

 ゴーレムはその言葉を最後に、動かなくなった。

「や、やったぜ……!」

「ふぅ……」

 なんとかゴーレムを倒し、ようやく一息吐いた。その巨体は動きを停止し、眼前に横たわっている。

「どうする?このまま二度と活動できねぇようにバラバラにするか?」

「いや、封印しようかな……」

 僕がゴーレムに切りかかろうとしたその時だった。城門が開き、大勢の兵士が飛び出してきたのだ。

「お、兵士さん!おっす!」

「もう大丈夫ですよ。このモンスターは僕達が退治しました。」

「……」

 しかし兵士達は物々しい様子で、僕達に槍先を向けている。

「な、何だ……?」

「おのれ、魔物め……よくも、ゴーレムを!」

「うかつに近付くな!こいつら、信じられないほどの怪力だぞ!」

 兵士達は周囲を取り巻き、じりじりと囲んでくる。どうやら、僕達を魔物と勘違いしているようだ。

「お、おい待ってくれよ!そりゃあねぇだろ!」

「僕達は人間です!魔物じゃないです!」

「馬鹿を言うな!生身でゴーレムを倒せる人間が、どこの世界にいるんだ!」

「ここに居るぜ。」

「ええい、引っ捕えろ!」

「うわあぁ……!」

「ちっ……!」

 誤解しているだけの兵士達に暴力を振るうわけにもいかず、僕達は捕らえられてしまったのだった……

 

「いやはや、本当に失礼しました……」

 兵士の隊長が僕達に頭を下げる。

 イリアスヴィルに伝書バトを飛ばし、僕達の身元が確認されたらしい。それまでの時間、僕達はずっと町外れの牢に閉じ込められていたのだ。

「確かに、男の姿をした魔物など聞いたこともありませんでしたね。この非礼、心よりお詫び致します。」

「あのゴーレムという魔物は、いったい何なんですか?」

「あれは、このグランゴルド城の門番。魔導科学で生み出された、人造のモンスターなのです。」

「魔導科学の魔物……」

 そんなモンスターを倒してしまったのなら、魔物と勘違いしてもおかしくない。

「そんなでっけぇ魔物作る技術があったら、人間と魔物の違いぐらい見分けられるようにして欲しいぜ。」

「予め身元が登録されている者は攻撃しません。登録されていない人でも、普通はゴーレムを見て逃げますよ。ゴーレムは逃げる者を攻撃しないようにプログラムされていますし。真正面から叩き潰したのは、あなた達が初めてです。」

「まぁ右腕と両足と顔面をぶっ壊したからな……」

「……」

 普通は逃げるのか……確かにそうだよな……

「とにかく、すみませんでした。ゴーレムを壊してしまって……ほら、ヴィクトリーも謝れ。」

「……すまん。」

 ……ゴーレムが先に喧嘩売ってきたんだろうが。まぁしょうがねぇか。

「まぁ仕方ありません。今は魔導技師達が総出で修理中ですが、数日で治りますよ。とにかく、牢から出てください。」

「あ、はい……」

「数日で直るんならもっと派手にぶっ壊しときゃ良かったぜ……」

「おいおい……」

 ようやく、誤解が晴れて僕達は牢から出たのであった……

 

 隊長さんについていきながら、外を歩く。

「さて、せっかくですからグランゴルド王に謁見していかれませんか?」

「王様に、ですか……?」

「冗談じゃねぇ、確実にゴーレムぶっ壊した事でどやされんだろ。」

「ははは、そんな事はありませんよ。王はいつでもお暇で、時間を持て余しておられるのです。最近の楽しみは、旅人の話を好んで聞かれること。あなた達ほどの強者ならば、さぞ面白い冒険話をお聞かせできるでしょう。」

「いや、僕達は遊びに来たわけじゃ無いんですけど……」

「いえいえ、少しで構わないのですよ。せめて、壊れてしまったゴーレムの修理が終わる間ぐらいは……」

 隊長は、巧みにゴーレムを壊した事をちらつかせてくる。これでは、断る事などできはしなかった。

「わ、分かりました……」

「へへへ、面白そうだな……」

 結局、僕達はグランゴルド王に会う事になった。しかし、王が暇とはどういう事なのだろう……?

「では、城まで案内致しましょう!」

 隊長さんに案内され、僕達はグランゴルド城下町を歩く。そこは、普通の市街……に見えて行き交う人の中に魔物が混じっていた。

 グランドノア城で見たような、雑多な種の魔物達ではない。アリの魔物や土石系の魔物達が、忙しく働いているようなのだ。そしてアリの魔物のうちの一人が、僕達の側に立った。

「オ荷物ヲ、オ持チシマス……」

「え……?」

 突然の申し出の前に、僕達は困惑するのみだった。

「あの、こいつは……」

 ヴィクトリーはアリ娘を撫でながら、隊長に聞いた。

「このグランゴルドで、我々と共存しているアリ娘。彼女達は魔術でコントロールされ、人間の役に立ってくれているのです。荷物を預けてもらってもいいぞ。」

「じゃあ、お願いします……」

「オ受ケ取リシマス……貴方ハ……」

 アリ娘は渡された荷物をしっかりと抱えながら、ヴィクトリーの方に向いた。

「俺はいいや。」

「……」

 そして、再び歩き出す隊長と僕達。アリ娘は荷物を抱え、使用人のように後へと着いてくる。

 見れば町のあちこちにアリ娘の姿が見え、荷物を運んだり土木作業をしたりと忙しく働いているようだ。

「アリ娘、働き者だなぁ〜……」

 ヴィクトリーが、僕が言おうとしていた事を呟いた。

「えぇ、その通りです。この町では、人間はアリ娘達にほぼ全ての仕事を任せられるのですよ。」

「へぇ……」

 もっと見ると、市内の水路で土木工事しているのも人間ではない。泥でできた大型の魔物が、色々と作業をしているのだ。

「あれは……?」

「あれも人工物か?」

「そうです。マッドゴーレム娘……あれも魔導科学の人造モンスターです。アリ娘と共に、このグランゴルドでの労働を任せているのですよ。」

「そうなんですか……」

「おっす!」

「……」

 マッドゴーレム娘はちょっとヴィクトリーに振り向くも、すぐに作業を再開する。

 ……なんだか、腑に落ちない気分。こうして僕は、客人として城内に導かれたのだった……

 

 グランゴルド城、謁見の間……

「なるほどぉ、キミがゴーレムを倒したっていう旅人か。あれを倒すなんて、凄いんだなぁ。」

 予想よりも、グランゴルド王は柔和で気さくな感じだった。ただ、その佇まいは頼りなさを感じさせる。サバサ王のような気迫や、グランドノア女王のような凛とした雰囲気……そういったものは、いっさい感じられなかった。

「せっかくだから、冒険の話を聞かせてもらいたいなぁ。血湧き肉躍る冒険話を聞くのが、最近の楽しみなんだよ。」

「まぁ、ゴーレムぶっ壊しちまったんだし、そのお詫びとして……」

「あぁ……」

 僕とヴィクトリーはアリスの存在はうまく隠し、これまでの冒険を軽く話す。途中、何故か三回ぐらいヴィクトリーに殴られて、その度にグランゴルド王は手を叩いて笑う。王は、楽しそうに僕達の話に聞き入っていたが……

「少シヨロシイデショウカ、王様……」

 そこに、アリ娘が顔を出した。

「……何か用なのかい?今は客人と話をしているんだから、後にしてほしいんだけど……」

「本年度ノ治水計画ニツイテ、ゴ報告ガアリマスガ……」

「あぁ、うん、全部君に任せるよ。」

「マタ、ノルド地区商業地域ヘノ物資搬入ガ滞ッテイル問題ニ関シテ……」

「……ああ、それも任せるよ。君達で対策を立てて、実行してくれ。」

「了解シマシタ、失礼シマス……」

 こうして、アリ娘は王の間を後にした。

「おいおい、全部任せっきりかよ……」

「これは、恥ずかしい所を見せちゃったね……その通り、政治は全部アリ娘達に任せっきりなんだよ。おかげで、王としての仕事は暇でねぇ……はははっ。」

「そ、そうですか……」

「はははって……俺達ここのアリ娘共が造反したりとかしても知らねぇぞ……」

「それは大丈夫だよ。君たちも見ただろう?ここの人と魔物の共存関係を。」

「は、はい……」

「……まぁな。」

「魔物達のおかげでら全ての国民は労働から解放されたんだ。これこそ、グランゴルドは人と魔物が共存する町と呼ばれる所以なんだよ。」

 そう言って、グランゴルド王は満足げに笑ったのだった……

 

「まぁ、ざっとこんなもんだ。」

「ふむ……」

 アリスは気難しそうに腕組みをした。

「アリ娘は集団で行動し、生活をする習性がある……これを利用して、労働奴隷にするとは……」

「こんなの、とても共存とは言えないよ。面倒な仕事を魔物に押し付けてるだけだ。」

「まぁ、悪く言っちゃアリ娘どもを奴隷にしているって所か……」

 ヴィクトリーがそう言いながら見てる先には……アリ娘が一人で重そうな荷物を運んでいた。それを横目に住人達はおしゃべりに興じている。

 他にも、ゴーレムがレンガを積んでいたり……

「ここは魔導科学も進歩しているようだな……だが、使い方に感心はできんな……」

 アリスの言葉に二人はうんうん、と首を縦に振った。

「……で、何しにここに来たんだっけ?」

 ヴィクトリーの素っ頓狂な発言に、僕はずっこける。

「サラマンダーについての情報収集だよっ!しっかりしてくれ!」

「あ、あぁ……悪ぃ悪ぃ……」

 ここで、ようやく目的に入った。

「じゃあ、解散だな……」

「あぁ、例によって細かい情報は宿で交換するとしよう。」

 こうして僕達は解散し、情報収集にかかった……

流血表現

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