もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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サキュバスの村

「よし、サキュバスの村とやらに行こう!」

 ルカがそう言うと、ヴィクトリーとアリスの二人は怪訝な顔をした。

「……エロめ。」

「かぁっ……ルカの変態……」

「そ、そんなんじゃない!だいたい、この情報を持ってきたのはヴィクトリーだろ!」

 焦りながら、弁明を急ぐルカ。

 サキュバスの村……この村はサキュバスの村という割には、住民は全員人間だという。しかし百年に一度、この村をサキュバスが襲撃するらしい──

──という情報をヴィクトリーはサキュバスの村から逃れてきた老婆から聞いたという。

 その話を聞いた時のアリス曰く「紫のサバト」が原因らしいが……

「とにかく、魔物に襲撃される事が分かってる村を、放置なんてできないじゃないか!」

「でも、期待してるんだろ?」

 凛々しい顔で言うルカに、ヴィクトリーは嫌らしい笑みを浮かべながらそう言う。

「ちーがーうー!!」

「………………」

 アリスの不信な視線を受けながら、僕達はサキュバスの村に向かったのだった……

 

「ここが、サキュバスの村か……」

「何だか活気がねぇな……」

 行き交う住人は少なく、どんよりと暗い雰囲気だ。

「みんな避難しちまってんじゃねぇか?」

「まぁ、当然か……」

 そんな中、暇そうにたむろする戦士達の姿があちこちに見える。おそらく僕達のように、村の危機を見過ごせなかった義侠の戦士だろう。

「『紫のサバト』は、今夜のようだな。紫の月の満ち欠けが、真円に近くなっているぞ。」

「ギリギリの到着って訳か……」

「一日遅かったら、無駄足だったところだね。」

 さて、サキュバス達が襲ってくるのは真夜中という話だ。その時刻まで、宿屋で待機しておくか……と、その前にこの町を歩いてみよう。

 

 男性、娼婦のお姉さん、子供の姉妹、戦士、酒場にはガラの悪そうなごろつき……色々な人がいるが、やはり町は閑静としている。

 そこに、女占い師が僕達に話しかけてきた。

「そこのあなた達、ちょっと占っていかない?村もこんな状態だし、タダにしてあげるわよ。」

「おいルカ、面白そうだぞ。」

「じゃあちょっとだけ……」

 女占い師は、僕達を占った。

「う〜ん……あなた達、女難の相が出てるわね。行く先々で、女性の絡むトラブルがあるはずよ。どう、当たってる?」

「すごい!その通りです!」

「それで、解決方法は?」

 ヴィクトリーがそう言うと、彼女はウィンクした。

「そういう運命だから、諦めなさい。」

「ひ、ひどい……」

「はは……頑張るしかねぇな。」

 まぁ、この占いの事はともかく……

「あなたは、避難しないんですか?」

「せっかくだけど、尻尾巻いて逃げるのは好きじゃないの。サキュバスが攻めてくるなら、彼女相手に商売してやるわ。」

「ひゃ〜……根性あるなおめぇ……」

 ふふふんと彼女は笑うと、今度はにやりと笑った。

「ところであなた達、ここに攻めてくるっていうサキュバス達の目的は知ってる?」

「えっと……何だっけ、ルカ。」

「今晩、サキュバスの魔力が最大に達するから、その時を狙って一気に仲間を増やそうっていう目論見って聞いたけど……」

「……残念、それは少し違うわ。例年の『紫のサバト』は、確かにそうだったの。」

 占い師はこほん、と咳をつく。

「でも、今回はもっと別の目的があるのよ。仲間を増やすとか、腹を膨らませるとか……それ以外の目的がね。」

「その目的っていうのは……?」

「ふふっ……それはヒミツ。今晩になれば、あなた達にも分かるかもね。」

「何でおめぇがそれを知ってるんだ?」

 ヴィクトリーに問われた占い師は、ギクッとした表情を浮かべた。

「さ、さぁ……何ででしょうね……?」

「きっと、占いで知ったんだよ。すごいですね!」

「あ、ありがと……」

 ルカの背後でアリスはため息を吐いた。

「ドアホめ……」

 

 ついでに、村長にも会いに行ってみた。

「おっす!おめぇが村長か?」

「ようこそ、勇者一行さん。私が、この村の村長よ。」

「どうも……」

 意外にも、村長は若くて綺麗な女性だった。彼女は、僕達を上から下までじろじろ舐めるように眺める。

「あなた達も知ってるわよねぇ……この村は百年に一度、サキュバス達の大襲撃を受けるの。『紫のサバト』と言われる宴はもう今晩に始まるのよ。」

「あぁ、知ってるぜ。」

「その襲撃から村を守るため、僕達はここに来たんです。」

 村長はそれを聞き、彼らに微笑んだ。

「ふふっ、それは助かるわ。強いヒトはわどれだけいても足りないなんて事はないものねぇ……」

「は、はい……どうも……」

「……」

 ヴィクトリーは眉をピクッと動かした。この時点で、既に何かを察したらしい。

「期待しているわよ、可愛い勇者さんと武道家さん。」

「ま、任せてください。」

「あぁ……」

 何だか、不思議な感じの人だな……

 

 宿屋……

「……宿屋の主人まで逃げてんのかよ……」

「う〜ん……」

 黙って泊まるのも気が引けるが、いないものは仕方ない。フロントに代金を置き、勝手に部屋に上がらせてもらったのだ。

「後は、サキュバスが来るのを待つだけだな……」

 そう呟き、僕はベッドに寝転がった。いつの間にか、日も暮れているようだ。

「礼によって、この一件に余は関知せん。……しかし、一言だけ忠告してやろう。貴様らも村人共も、サキュバス達が外から襲撃してくると決めつけている。しかし、『紫のサバト』の最も厄介な現象は、人間のサキュバス化なのだ。」

「サキュバス化だと……?」

「それじゃあ、村の女性達がサキュバスになるって事か?」

「……その通り。紫の月が真円を描いた夜、素質のある女が次々にサキュバスと化すのだ。」

「じゃあ、サキュバス達は襲いかかるんじゃなくて湧いて出てくんのか?」

「貴様達が思い込んでいるように、淫魔が大挙して押し寄せるような事はない。ただ……新たな仲間を迎えるため、上級のサキュバスが少数、あらかじめ村に潜伏している事が多いな。そんな上級サキュバスの手引きで、生まれたてのサキュバス達が狂乱する……それこそが『紫のサバト』の本領よ。」

「あらかじめ、上級サキュバスが潜伏しているだって……?」

「……」

 二人が話している間に、ヴィクトリーには思うことがあった。

「月を見て凶暴化か……まるでサイヤ人だな……」

「……サイヤ人も、淫魔になるのか!?」

「違う!」

 ヴィクトリーは、素っ頓狂な事を言うルカをひっぱたく。

「淫魔なんて可愛いもんじゃねぇ。大猿っていう化物になるんだ。」

「お、大猿……!?」

「あぁ、満月がサイヤ人の尻尾に反応して変異が始まるんだけど……」

「お前、尻尾なんてあるのか……!?」

「いや、もうとっくに切り落とした。」

 ヴィクトリーはズボンを少し下ろして半ケツのまま、尾てい骨辺りを見せつけてきた。見ると、何かを切断したような痕があった。

「ほれほれ。」

「……ほ、本当に見せるなよ……」

 こいつ、本当に人間なのかなぁ……

「まぁ、この俺が居るんだ。サキュバスなんてパパパーっとやっつけてやる!」

 ヴィクトリーはそう言って拳を握った。股間を掻きながら。

「……いや、チンチンを掻くなっ!」

 僕は、思わずそう突っ込んでしまった。

「……まぁ、何にせよ余は忠告した。事が全て片付くまで、余は姿を隠すぞ。」

 そう言って、アリスは姿を消してしまった。

「……村人がサキュバスに……ねぇ……」

 そう言いながら、ようやくヴィクトリーがズボンを上げて帯を締める。

「……あぁ……もしかしたら、この村の女性が全員サキュバスになったりして……」

 そうなると、外部から襲撃されるより面倒そうだ。

 とにかく、「紫のサバト」が起こるまで真夜中まで起きていなければならない。

「なんだか修学旅行みたいでドキドキするなぁ。」

「お前は何時だって修学旅行気分だろ……」

 思えば、夜ふかしをするなんて久しぶりだった。子供の時、夜ふかしがかっこいい事だと思って、寝ようとしなかった事があった。でも、どんなに我慢してもウトウトと眠ってしまうのだ……ウトウトと……ウトウト……

「……ルカ?」

 ……ルカが寝てしまった。こいつ、典型的な「いい子」だ。

「……しゃあねぇか。」

 俺も深夜になるまで寝よう。きっと、起きれるはずだ……きっと……

 

「はっ!」

「!」

 ルカは飛び起き、ヴィクトリーも目を覚ました。

 完全に寝過ごしてしまった!いつの間にか、すっかり真夜中じゃないか!

「なんだ、この雰囲気……?なんだか、嫌な感じだぞ……」

「……嫌な気を感じる……これがサキュバスの気なのか……!?」

 艶めかしく、舐め回されるような気配が浸食してくるような不気味さ。

「どうやら、『紫のサバト』は既に始まってるみてぇだ……」

「まさか、もうサキュバスが攻めてきたのか!?」

 僕達は部屋を飛び出し、宿の外へと駆け出たのだった。

「これは……」

 見たところ、何の変化もないように見える。しかし町に流れる気は、甘ったるく粘りつくような感触だ。いかにも穏やかな雰囲気なのが、逆に不気味である。

「おいルカ、酒場の方から気の乱れを感じる……」

「なに……!?」

 あそこは、戦士達の控え場となっていたはず。いったい、そこで何が起きているのか……

 僕達は、酒場の方へと走り出した……

 

「おらぁっ!」

 僕とヴィクトリーが酒場の扉を蹴り飛ばし、飛び込んだ。そこで目にしたのは、サキュバスの凌辱風景だった。

「あ、あうぅ……」

「ほらほら……もっと気持ちよくして欲しいんでしょう……?ほぉらほら……」

 サキュバス化してる娼婦が、戦士を嫐り、精を吸い取っているのだ。

「あひぃ……あっあっあっ……んあーっ!」

 戦士は腰を突き上げ、射精した。その様からは、彼の意識が吹き飛んだかのように見える。そのままビクビクと痙攣したまま動かなくなった……

「ひ、ひどい……」

「いや、一人じゃねぇみてぇだ……」

 周りを見ると、衰弱し切った戦士達が息も絶え絶えで転がっていたのだ。

「もう打ち止めなの……?ずるいじゃない、自分だけ先に果てちゃうなんて……」

 娼婦はゆっくりと腰を上げ……ようやく僕達の方に視線をやった。

「あら……昼間の勇者くんと武道家くんじゃない。それじゃあ、次は君達を食べてあげるわ……ここに転がる餌達の一人にしてあげる……」

 サキュバスと化した娼婦は、じりじりとこちらに歩み寄ってくる。

「……俺がやってやる。」

「ヴィクトリー……」

 僕は下がり、彼に任せる。

「うふふ……」

「……」

 彼女の全身は精液にまみれている。正直、素手では触れたくない……

「私のおまんこ、みんなの精液でぐちゅぐちゅ……食べきれなくて、こぼれちゃってるわ……あなたのおち」

「おりゃあっ!!」

 彼女の言葉が終わる前に、辺のテーブルから酒瓶を取り、ぶん投げる。それは回転しながら一直線に飛び、彼女の顔面に激突した。

「ふぎゃっ!?」

 武器としての役目を終えた酒瓶は、ゴトンと床に落ち、コロコロ転がる。

「う、うぐ……!」

 彼女は鼻血を垂らし、それを掌で受けながら酒瓶を投げた彼を憎悪混じりの眼差しで睨んだ。

「あんた、名前は?」

 彼は悪びれもせず、そう聞いてくる。

「マキュバスよ……完全にキレたわ、君は簡単には堕とさないからね……!」

「俺はヴィクトリー、よろしくな!」

 そうそう、こ〜いう喧嘩してみたかったんだ。酒場で殴り合い……シチュエーションも相手もちょっといただけないけど、形としては充分だ。

「おめぇは界王拳無しで戦ってやるよ!」

「くっ……!」

 飛ぶ。床を蹴り、低空飛行。それはスピードを生み出し、一瞬で彼女の眼前に迫る。そのまま、勢いに任せて攻撃を連打した。

「ふ……」

 しかし彼女はそれに対応し、一瞬のスキを突いて彼の攻撃の雨をすり抜け、その頬に平手打ちを食らわせた。

「ぶっ!?」

 鼓膜を劈くような、平手打ち。妖魔となった女性の力が、容赦なく彼を揺るがせる。

「えーいっ!」

 ダメ押しで、彼の股間を蹴りあげた。

「うっわぁ……」

 僕は思わず股間を押さえながら、全身に力を入れてしまう。男だから分かる、あれは痛い。

「がぁあああ……!!」

 股間と腹を押さえながら、その場にうずくまってしまう。

 彼の中で、男としてこれ以上とない痛みが腹をせりあげている事だろう。

「あはっ……!」

 彼女は容赦なく、ヴィクトリーに襲いかかる──が、彼は顔色を一変させた。

「ウソ!」

「ふぇっ!?」

 立ち上がり、驚いた彼女の顎を頭突きで打ち上げる。

「あぐっ……!?」

 そのまま放物線を描き、床に倒れてしまった。

「悪ぃなぁ、戦いの前にキンタマを体内に隠すのは基本中の基本なんだぜ。」

「た、体内に……隠す……?」

「あぁ、腹筋の操作で睾丸を腹の中に引き上げるんだ。」

 彼はそう言いながら、腹筋をポンポン叩く。

「くっ!」

 彼女は真正面から突っかかり、無造作な前蹴りを放った。

「よっと!」

 所詮は素人の大振りな一撃。難なくそれを避ける。

「え──」

「おりゃああーっ!!」

 次の瞬間、彼女の腹にボディブローが叩き込まれた。

「がっ……かぁあ……!!」

「封印を頼む!」

 彼はそう言い、ルカの所へ彼女を投げ飛ばす。

「はぁっ!」

 それを、ルカはエンジェルハイロウで撫で切った。

「手に入れたばかりの……力がぁ……」

 サキュバスの翼や尻尾が消え、娼婦に戻る。そのまま床に倒れ、気絶した。もう妖しい気も感じられなくなった。

「読み通り、人間に戻ったみてぇだ。」

「あっ、そういう……」

「んな事はどうだっていい……これ、どうする?」

 床には、下半身丸出しで倒れ伏している戦士が沢山いる……が、今はどうする事も出来なさそうだ。まず、サキュバスを何とかしなくては話にならない。

「サキュバスの気はまだもう幾つかある……急ごうぜ。」

「あぁ……!」

 僕達は、酒場を飛び出した……

流血表現

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