もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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ミニマムファンタズム

 ヴィクトリーは、瞬間移動でウィッチの背後に立った。

「よう。」

 彼の呼びかけに、彼女が振り返る。その表情には、驚愕の色が見えていた。

「あら……?まさかあの村長の妨害を、振り切ったの……!?」

「俺には、『瞬間移動』があるんだ……道を阻んだ所で、無駄だ。」

 ヴィクトリーはそう言ってから、改めてウィッチを睨む。

「やい占い師!リリスの復活なんてやめておけ!ロクな事にならねぇぞ!」

「貴方達人間にとっては──よね?」

「……」

 確かリリスを復活させて、サキュバス一族が人間を家畜化する、なんて計画だったか。確かに、ロクな事にならないのは人間側であって、サキュバスには益にしかならない。

「ああ、その通りだ……だけど、俺達人間にもれっきとした意志があり、誇りがある……それを踏みにじろうとしてんなら、俺は容赦しねぇ……ぶっ飛ばしてやる。」

「ふふふふ……勇ましい事……けど、既に手遅れね。」

 ウィッチがそう言った、次の瞬間──彼女の背後からとてつもない気が溢れ出した。

「なにっ!?」

 リリスが、復活──すらしてない。ただ、儀式が始まっただけだ。

「儀式は始まったばかりだけど……もうじきに、リリス様は復活するわ。各地から手練の戦士を集め、その精をここに集約する事で儀式は成されるの。」

「ぐ……!!」

 儀式が始まり、リリスの力の片鱗を感じられるようになる。片鱗だけでも、吹き飛ばされそうなほどに圧倒的だ。

「リリス復活まで、あと五人分の精が必要ね……けど、それは貴方に頑張って貰いましょうか……」

「復活させてたまるか……!!おめぇはここでぶっ飛ばしてやる!!」

 ヴィクトリーはそう言い放つと、気を解放して界王拳を使った。紅蓮の気は彼の身体に纏われ、その戦闘力を5倍近くまで引き上げる。

 しかしながら、ウィッチはそれを涼しい顔で見ていた。

「もしかして、私を弱い淫魔だと思ってる?魔力だけなら、私はあの少年と戦ってる村長よりも上なのよ……」

「なんだと!?」

 ウィッチは魔力を解放する。言葉に恥じないぐらいの魔力が波動し、ヴィクトリーを威圧した。

「ッッ……!!」

「ふふ……」

 彼女が身に付けていた帽子や手袋が、ふわりと浮かび上がる。

 手袋は光が纏われ、宙に漂う。帽子からは舌が伸び、その中はまるで生物の口腔のようになっていた──

「あなたの精を搾り出して、リリス復活のため──」

「かめはめ波ぁあっ!!」

 ヴィクトリーのお得意の、不意打ちかめはめ波が放たれる。

 ノータイムで放たれたエネルギー波は、手袋によって受け止められた。

「だだだだだだっ!!」

 ヴィクトリーは、機関銃(マシンガン)のように気弾を連射する。その全てがウィッチに殺到するも、手袋によって弾かれ続けた。

「卑怯な子……」

 ウィッチはそう言いながら、帽子を飛ばしてきた。

 彼女の帽子は大きく口を開け、ヴィクトリーに迫ってくる。

「うぉおっ!?」

 彼はそれを飛び避け、片手にエネルギーを込める。

「リベリオントリガー!!」

 再び、エネルギー波を撃つ。今度は貫通力に長けた、リベリオントリガーを放ち、ウィッチの手袋もろとも彼女を貫こうという作戦だ。

「ふふ……」

 しかし、彼女は手袋を退かし、リベリオントリガーを掌で受ける。それと同時に、リベリオントリガーは彼女の手の中に吸い込まれてしまった。

「っぐ……!!」

 そうだ、サキュバスにはエナジードレインがある。アレによって、気功波の類は吸収されてしまう。

 とすると、彼女に攻撃する方法は一つ──

「直接ぶん殴るしかねぇっ!!」

 ヴィクトリーは飛行し、ウィッチに向かう。しかし彼女の帽子と二つの手袋が彼を阻んだ。

「くそっ!!」

 三つの道具に攻撃を乱打する──が、手袋も帽子も所詮は『布』。彼の拳を受けた所で、ふわりと宙に舞ってから彼の邪魔をした。

「邪魔すんじゃねぇええぇーーーっ!!!」

 ヴィクトリーは気を全解放し、とてつもない気の嵐を巻き起こす。それで、手袋も帽子も吹き飛んでしまった。

「なっ……なんて乱暴な──」

「おりゃああーーーっ!!!」

 狼狽えるウィッチの顔面に、渾身の拳を叩き込んだ。それで彼女は吹っ飛んで、壁に叩きつけられた。

「ぐはっ……!」

 彼女は悶えるも、ニヤリと笑う。

 次の瞬間、手袋がヴィクトリーの両手を掴み、帽子が彼の頭を咥え込んだ。

「!!?」

 彼は、拘束されてしまった。

「もう、女の顔面を殴るなんてイケない子……けど、私に一発叩き込んだのは褒めてあげる。とっても強いのね、貴方……」

「ーーーっ!!!」

 拘束されるヴィクトリーは、足をばたばたさせる。叫ぼうとするその口の中に帽子の舌が絡まり、思うように叫べない。

「ふふ……()()()よ……頑張って貰うんだから……」

 ウィッチはそう言いながら、ズボン越しに股間を擦ってきた。

ほこは(そこか)ッッ!!」

 ヴィクトリーは絡まった舌で言いながら、ウィッチの腹を蹴った。

「っきゃあっ!」

 思いっきり蹴られた彼女は、(うずくま)る。

「この……!!」

 しかしすぐに立ち上がり、お返しと言わんばかりに股間を蹴り上げてきた。

「!!!」

「大人しくしないと、オシオキしちゃうわよ……」

 彼女の警告を無視し、ヴィクトリーは気を高めた。

「かああああああ……!!!」

「……!?」

 男ならば誰でも痛がって悶絶するはずの金的が、効いてない。

「玉なし……いや、触った時はあったわ!これは──」

「うりゃあぁあああーーーッッ!!!」

 彼は周囲のもの全てを消し飛ばす超爆発波を、その体から巻き起こした。彼にまとわりついていた手袋も帽子も、消し飛ぶ。

「きゃあぁあっ!?」

 爆発に巻き込まれたウィッチは、吹っ飛んで倒れてしまった。

「っく!?」

「俺に金的は効かねぇぞ。」

 ヴィクトリーはそう言いながら、倒れるウィッチに歩み寄る。

「く……!!」

 彼女は手にエネルギーを込め、ヴィクトリーに放った。

 彼はそれを目視し、腕をクロスして防御する。しかし、いつまで経っても衝撃は来なかった。

「……なんだ!?」

 交差した腕を解き、目の前を見る。そこには、巨大化したウィッチの足が見えた。

「なぁっ!?」

 驚きながら、見上げる。すると、嫌らしい笑みを浮かべながらこちらを見下すウィッチの顔が、遥か上空に見えた。

「お、おめぇ、巨大化まで出来んのか……!!?」

「ちょっと違うわね……」

 ウィッチはそう言いながら、ヴィクトリーを踏み潰しにかかる。

「くっ!!」

 彼は超スピードでダッシュし、彼女の足を避ける。

「くっ!」

 ヴィクトリーは、周囲を見回す。

 よく見ると、巨大化しているのはウィッチだけではない。そこら辺の小道具とか、なんてことの無いはずのホコリとか、更には地面まで──

「ち、違う……!!周りがでかくなったんじゃねぇ!()()()()()()()()()()()!!」

「ご名答!」

 そう言うウィッチは、跳び上がってヴィクトリーの真上に来ていた。

「えぇいっ!」

 そのまま、ドスンと、お尻でヴィクトリーの体を踏みつけてきた。

「っぎゃあぁあぁあぁあーーーッッ!!!」

 柔らかい尻肉が全身を包み、圧迫する。しかしその圧迫が強すぎて、骨は軋んで内臓が揺らいだ。

「ふふふ……そんなに声を上げちゃって、恥ずかしい子……」

 ウィッチはそう言いながら、尻をきゅっと締めてじっくりと押し潰してきた。

 圧迫する力が強くなり、虫けらのように潰されそうになる。

「ぎゃあぁあァアッ!!!うわぁああぁあーーッッ!!!」

 (あばら)が、軋む。折れないか折れるかの境界線を、行ったり来たりする。その度に鋭い激痛が、身体を駆け回る。

「ぐぁあぁあぁーーーッッ!!!」

「あははっ、苦しい……?そんな声出されたら、もっとイジメたくなっちゃうなー!」

 更に体重が掛けられ、重圧がかかる。

「ぐぎゃあぁあぁあーーッッ!!!」

 このままでは、冗談抜きで、本当に死んでしまう。

「くそったれぇええーーっ!!!」

「生命の危機に瀕した生物は、子孫を残そうとする本能が働くの……だから……苦痛を味わいながら射精しちゃう男の子も多いのよ……」

 楽しそうに尻を動かしながら、ウィッチはそう言う。

 しかし彼女の言葉とは違い、生命の危機に瀕したヴィクトリーは、苦悶の表情からとてつもない凄みを含んだ表情になった。

「界王拳、10倍だぁあああーーーッッ!!!」

「……!!?」

 ヴィクトリーの赤い気が、激しさを増す。小さいはずの彼の身体には、その体に見合わないほどのパワーを宿した。

「どぁだーーーッッ!!!」

 そんなパワーでもって、ウィッチの尻を掴む。次第に彼女の尻は持ち上がり、ヴィクトリーを圧迫するものは無くなった。

「な、な……!!?」

「うぉおりゃあぁあーーーッッ!!!」

 ヴィクトリーはそのまんま、ウィッチを思いっきりぶん投げた。

「きゃあぁあーっ!!?」

 彼女の体は放物線を描き、床にどしゃりと墜落した。

「い、いだだ……!!?そ、そんな……!!」

 馬鹿な。彼の体は、10cmほどにまで縮んでいる。こんな馬鹿力、ありえない。

「今度はこっちの番だ、くらえぇえっ!!」

 ヴィクトリーは舞空術で飛び、ウィッチの眼前に来る。そして乱暴に拳を振り下ろし、思いっきり彼女をぶん殴った。

「ぐはっ!?」

 彼女はよろめくが、踏ん張ってダウンを免れる。

「な、なんてパワーなの……!!ミニマムファンタズムを受けておいて、こ、こんな……!!」

「倒れねぇのか……!?倒れねぇってんなら、攻撃を続けさせてもらうぜぇーっ!!」

 そこから先は、一方的な戦いだった。

 小さくなってるヴィクトリーは蝿のように飛び回り、ウィッチに何度もヒットアンドアウェイの攻撃をする。彼女はそれを受けながらも何とか彼を捕まえようとするが、速すぎて捕まえるのは不可能であった。

「どうやら、小さくなっても強さは変わんねぇみてぇだな……!」

「うぐっ、がっ……!!」

 ウィッチは、止まってるヴィクトリーを捕まえようと腕を振り下ろす。しかしそれは既に残像であった。

「ぇ……!?」

「でりゃあっ!!」

 ヴィクトリーは、矢のようにウィッチの額に飛び蹴りした。

「きゃあぁあっ!」

 彼女はそれで吹っ飛び、倒れてしまう。

「あ、ぐぅ……!!」

 悪夢だ。ミニマムファンタズムの直撃で、完全に勝てたと思ったのに、こんな滅茶苦茶な戦士がこの世に居るなんて。

「ヴィクトリーっ!」

 唐突に、ルカがこの部屋に飛び込んできた。

「なっ!?」

 彼がここに来た──という事は、サキュバス村長はしくじったという訳だ。

「ルカ!」

 声のする方へ、ルカは向く。そこには、ヴィクトリーが居た。居たのだが……

「ヴィクトリー……って、なんだその小ささ……まるで小人じゃないか……」

「妙な術かけられて、困ってんだ。何とかしてくれ。」

「ああ……!」

 ヴィクトリーとルカは、ウィッチの方へ向く。

「っぐ……!?」

 小さくなったヴィクトリーだけでもこんなに苦戦しているのに、この状況は不味い。マトモに戦ったら、確実に負ける。

「っく……か、かくなるうえは……!!」

 不意に、ウィッチの体が光に包まれる。そのまま、消え失せてしまった。

 それと同時に、ヴィクトリーの体は元のサイズに戻ったのだった。

「な、なんだ……!?」

「俺の体が元に戻ったって言うことは、奴は戦闘不能に陥ったって事だけど……」

 追い詰められたウィッチは、何かした。

「……まさかッ!」

 ヴィクトリーは、感じていた。儀式している方から、凄まじいパワーが溢れている事を。

「ま、まさかあいつ……!!」

「ああ……リリスに魔力を捧げやがった!!」

 不意に、異様な雰囲気が周囲に広がり始めた。背中をなぞられるような、ぞわぞわした感触が身を震わせる。

「くそっ……!自分のエナジーを捧げるなんて……!」

「ああ……!くるぞ……!!」

 二人の戦士が構えてる、その正面──ついに、伝説の淫魔が復活を果たしてしまうのだった。

流血表現

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