もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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伝説の淫魔

 サキュバスの村にて……

 とうとう復活してしまった五百年前の淫魔。戦士達は、その前で構えていた。

「うふふふっ……」

「くすくすくす……」

 部屋の中から、二人の女性の笑い声が聞こえた。

「……なにっ!?二人だとっ!?」

「……」

 驚愕する、ヴィクトリー。眉をひそめる、ルカ。

 そして、部屋の中央に出現する魔法陣。

 膨大な妖気と共に、その中から姿を現したのは──妖艶な二体の淫魔だった。

「復活してしまったのか……」

「おいおい……二体ってのは聞いてねぇぞ……どういう事だ?」

 二人は身構えながら、眼前の二体を見据える。淫魔は両方とも、とてつもない気を放っていた。

「久しぶりに現世に戻りましたね、リリスお姉様……」

「えぇ、リリム……ここには男の精が満ちていて、たまらないわ……」

 二人の淫魔は、舞いながら互いに挨拶している。

「聞いたかよ、ルカ……」

「あぁ……」

 リリスとリリム……どうやら、伝説の淫魔は姉妹セットで復活を遂げたようだ。

「うふふ……美味しそうな男の子達がいるわ……」

 リリスは、僕達の方に視線をやった。

「本当に美味しそうな子達ね、お姉様……たっぷりと弄んで、吸い取ってあげたいわ……」

 リリムもそう言いながら、こちらに目を向ける。

 目をつけられただけでも、背筋を舐められるかのような感触──しかし、屈する訳にもいかない。

「くっ……こうなったら、また封印してやる!」

「おっしゃあ!乗ったぜ!」

 たじろぎながら、やぶれかぶれに構える二人……

──唐突に、二体の淫魔の視線がルカの剣に集まった。

「お姉様……あの子が持っている剣は、もしかして……」

「堕剣エンジェルハイロウ……間違いないわね。あの剣の持ち主が、またしても私達の前に立ちはだかるなんて……」

「そう言えばあの子、似ているわ……五百年前に私達を封印した、あの(にっく)き勇者に……」

「見た目だけじゃなく、精の匂いも似ているわね。おそらく、あの勇者の子孫……」

「……何の話だ!?」

 前の剣の持ち主……?五百年前の勇者……?

「目を瞑れ、ルカ。」

「……ん?」

 二人の淫魔はルカに視線を集めながら、話している。

 ルカは言われた通りに目を瞑った。

「太陽拳!!」

 次の瞬間、ヴィクトリーの体から眩い閃光が迸った。

 閃光が、彼女達二人を覆い尽くす。

「っ!?」

「きゃ……!?」

 その閃光を直視した淫魔達は、目を押さえて悶絶する。

「おりゃあっ!」

 ヴィクトリーはそんな二体の間に飛び込み、リリスをルカの方へぶん殴った。

「きゃあっ!」

「っ……雷鳴突きィッ!!」

 ルカは剣を抜いて、吹っ飛んできたリリスに突きの一閃をくらわせた。

「くっ……!」

 リリムはというと、ヴィクトリーに飛びつこうとしていた。

「あはっ!」

 彼女は、彼の背に抱きつく形をとる。

「なんのっ!」

 しかし彼はそんな彼女を背負い、思いっきりリリスの方へ投げつけた。

「ぎゃっ……!?」

「ぐふっ……!」

 二体は激突し、倒れる。

「ベラベラ喋ってねぇで、とっととかかってこい!」

「お前らみたいな危険な魔物を外に出すわけにはいかない!封印させてもらう!」

 二人は構え、臨戦態勢に入った。

「……なるほど、確かに強いわね……」

「だけど、慌てるほどじゃないわ……私達でも、十分に勝てるレベル……」

「あ、そう。」

「じゃあ、行くぞっ!」

 まずルカが、シルフの力を開放しながらリリムに突進した。

「はっ!」

 彼女は手刀で薙ぎ払うが、ルカはその懐に入った。

「魔剣・首刈りっ!」

「っ!?」

 ドズッと喉元を突き上げられ、リリムの体が宙に打ち上げられた。

「はぁっ!」

 ルカの背後から、リリスが迫ってくる。

 だが、彼女はヴィクトリーに蹴り飛ばされてしまった。

「っ!?」

「忘れんなよ。俺も居るんだぜ。」

「……ふっ!」

 淫魔二体もその気になった模様で、戦士と激突する。

「おらおらおらっ!」

「てゃああぁっ!」

 攻撃が、防御が、入り乱れる。暴風のぶつかり合いのような攻防は、次第に加速していく。

「ふふふっ……」

「くすくすくす……」

「なんだこいつら……!?」

「く……!!」

 淫魔二体の不敵な笑みを見た二人は、一旦離れる。

 そこで、一旦戦いは止まった。

「だーっ!!」

 最初に行動したのはヴィクトリーだった。リリムに向かってかめはめ波を放ったのだ。

「……あははっ……!」

 リリムの尻尾が口を開け、かめはめ波を受け止める──いや、違う。

「なっ……まさか……こいつもエネルギーを吸い取っちまうのか……!?」

「くっ……相当の隙を作らないと、気功波の類は叩き込めそうにないぞ……!」

 驚く二人の前で、彼女達は気を解放する。

「ああぁ……私達の体に、特別な力が流れ込んでくるわ……」

「ふふっ……この力で、とってもイイことをしてあげる……」

 リリスとリリムは呪文を唱える。すると、ルカとヴィクトリーの足下に巨大な魔法陣が出現した。

「さぁ、悶えなさい……」

「惨めによがりながら、精を撒き散らしなさい……カオスプレジャーっ!!」

 魔法陣の中から無数の触手が伸び、触手の渦のようになった。二人は渦の中心に囚われ、全身を触手で嫐られる。

「うわぁあああっ!!」

「うぐぐっ……!!10倍界王拳だあぁーっ!!」

 ヴィクトリーはルカの手を掴みながら10倍界王拳を使い、触手の渦から舞空術で抜け出した。

「な、何ですって……!?」

「かめはめ波ーーーっ!!」

 その触手にかめはめ波を放ち、カオスプレジャーを消し飛ばした。

 そして、二人で着地する。

「俺から行くぜっ!」

 ヴィクトリーがダァンッと床を蹴り、リリスに突進した。

「はっ!」

 リリスはそれを尻尾で薙ぎ払ったが、既にヴィクトリーは残像。彼女の背後に回り込んでいた。

「なにっ!?」

 そして、肘打ちで彼女をぶっ飛ばした。

「ぐっ!」

「このっ!」

 リリムはそのヴィクトリーの背後から、迫る。

「天魔頭蓋斬ーっ!!」

「っ!?」

 次の瞬間、ルカの天魔頭蓋斬がリリムの脳天に直撃した。

「くっ……!」

 リリムはすぐに立ち上がり、ルカと激突する。

「よし……!」

 ヴィクトリーは、それを見ながら拳を握った。

「あはっ……!」

 その背後から、リリスがヴィクトリーに飛びついてきた。

「おらよっ!」

 飛びかかってきた彼女の顔面に、パンチを放つ。しかし、そのパンチはリリスの両手によって押さえられてしまった。

「なにっ……!?」

 次の瞬間だった。その腕が一瞬にして水分を失い、細くなってしまった。

「なっ……うわぁあああっ!!?」

 苦痛もないままに、腕のエネルギーが全て吸われてしまったのだ。何も感じなかっただけに、恐ろしい技だった。

「うふふふっ……凄まじいパワーですね……」

「確かに……圧倒的な力がこの身に……」

 リリムはルカの剣を片手で押さえながら、拳を握った。

「くっ……!?」

 リリムの力が、強くなっている。ヴィクトリーの力を吸ったことで、その力が宿っているのだ。

「はっ!」

「ぐあぁっ!」

 ルカの腹に拳が叩きつけられ、壁にぶっ飛ばされる。

「はぁ……はぁ……や、やべぇ……一気に逆転されちまった……!」

 ヴィクトリーは、細くなった右腕を押さえながら彼女達を見る。

「それでは……うふふふっ……」

「くすくす……二人で、いたぶってあげましょう……!」

 淫魔二体は、ヴィクトリーに猛攻を仕掛けた。

「ぐっ……!くそぉっ……!!」

 右側が完全に死角になってしまった。片手だけで受け切れる攻撃には流石に限度がある。

「ノームっ!!」

 そこにルカが飛び込んで、彼女達をなぎ払った。

「へぇ……」

「やるじゃない……」

 ルカは、ヴィクトリーの右腕に目をつけた。

「……それ、大丈夫なのか?」

「まぁ見てな……!」

 そう言うと、ヴィクトリーは水筒の水を飲み始めた。

「……?」

「何を……」

「……ふんっ!!」

 彼が力むと……腕に水分が戻り、元通りになった。

「なっ……!?」

「よし……!」

 手をグーパーさせながら、ヴィクトリーは気を開放した。

「反撃開始だ!!」

「おうっ!」

 全力になった二人は、淫魔二体に疾風怒涛の猛攻を仕掛ける。

「くっ……!」

「うぐぐ……!」

「だああぁーっ!!」

 淫魔達は、強力な一撃でぶっ飛ばされた。

「かめはめ波っ!!」

 追い打ちをするように、ヴィクトリーがかめはめ波を放つ。

「うふふふっ……」

 リリムが、それを受け止めようと手を突き出す。

「よっ!」

「!?」

 しかし彼の操作によってかめはめ波の軌道が曲がり、彼女のこめかみに直撃した。

「あがっ……!」

 不意打ちの、曲がるかめはめ波。作戦勝ちで、見事に叩き込むことに成功した。

「おっしゃ!大成功!」

 喜んでるのも束の間。リリムはすぐに持ち直し、ヴィクトリーに突進した。

「おっ!?」

 二人は手を掴み合い、押し合う形をとった。

「ふんぎぎぎ……!」

「うぐぐぐ……!」

 全力の二人の押し合いは、拮抗する。

 二人から溢れた気が、周囲の小石やら埃やらを持ち上げるように浮かばせた。

「リリムっ!」

「させないっ!」

 そこにリリスが飛び込もうとするが、ルカはその尻尾を掴んだ。

「っ!?」

「はぁぁあっ!!ノームっ!!」

 腕にノームの剛力を宿し、そのまま床に叩きつけた。

「ぶっ!?」

 床が粉砕し、粉塵が舞う。

「……このっ!」

 しかしリリスは尻尾で粉塵を払い、ルカに突撃しようと起き上がる。

「はあぁーっ!!」

 しかし、起き上がり際のその顔面を蹴り飛ばした。

「!?」

 リリスは蹴り飛ばされ、床にどしゃりと投げ出される。しかし後転し、四つん這いになりながらルカを睨んだ。

「ぐ……!!」

「お前の相手は僕だっ!」

 ルカは勇ましくそう言い、リリスに突撃する。

「リリスお姉様っ!」

「おりゃあっ!」

 ヴィクトリーは、油断したリリムの腹を蹴った。

「ぶっ……!?」

「おらよっ!」

 次にリリムの背後につき、その体を抱きしめてバックドロップした。

「がっ!?」

「これで……どうだぁっ!」

 トドメに無理矢理起き上がらせ、両足蹴り(ドロップキック)を顔面へと叩き込んだ。

「きゃあっ!」

「くっ……!」

 淫魔二体は立ち上がり、二人で何かを詠唱した……

「……紫淫の絶槍。」

 なんと、二人の手元に妙な形の槍が現れた。

「なに……!?」

「それじゃあ、勇者の方を……!」

 リリムはルカの方を向き、槍を構えた。

「避けろっ!ルカっ!」

「えっ……!?」

「はぁっ!」

 リリムはその槍を、ぶん投げる。投げられた槍は、猛スピードでルカに迫った。

「くっ……!」

 ルカは避けようとしたが……僅かに反応が遅れ、槍が肩に刺さった。

「ルカーっ!!」

「いっ……ふわぁあ……なに、これぇ……?」

 妙な事が起きていた。

 ルカに出血は無い。それどころか、気持ちよくなっているみたいだ……

「どういう事だ……!?」

「うふふ……この槍に殺傷能力は無いわ……刺さった所から快楽が広がり、何も出来なくなるだけ……」

「あひ……あうぅ……」

 ルカは、ついに股間を押さえながら膝をついてしまった。

「くそっ!」

 ヴィクトリーは、その槍を蹴り飛ばす。槍は案外あっさりと抜けた。

「ひゃあっ!?……も、もっとゆっくりやってくれよ……!」

 そう言いながら、ルカは瞑想する……

「回復の隙なんて、あげるわけ無いでしょう……?」

 今度はリリスが、その槍を投げてきた。

「じゃあ俺が作るまでだ!」

 しかしヴィクトリーがルカの前に立ち、その槍を蹴っ飛ばした。

 槍はリリスの手に返ってきた。

「じゃあ、あなたをこの槍の餌食にしてあげるわ……!」

 リリスはヴィクトリーを見据え、また槍を投擲(とうてき)した。

「おらぁっ!!」

 しかし彼はその槍を受け止め、その手に持った。

「!?」

「はっ!?」

 淫魔二人は仰天し、硬直する。

 猛スピードで投げたハズの槍。それは、およそ人間の反射神経で見切ることは不可能のはず。しかし、それが受け止められてしまったのだ。

「お、おぉっ!」

「おりゃあっ!!」

 ヴィクトリーは、槍を思いっきり投げ返す。

 彼女達が投げるより速いソレは、リリスを貫いた。

「ふぅっ……ひ、ひゃあぁーっ!?」

「リリスお姉様っ!」

 リリスは体をビクンビクンと跳ねながら、快楽に悶えた。

「へっ……!」

「くっ!」

 リリムはもう一度『紫淫の絶槍』を持ち、ヴィクトリーに突撃した。

「くっ!」

 その槍が、頬にかする……すると、頬からじんわりと弱い快楽が広がった。

「確かにやべぇみてぇだな……!」

 直撃したら、それそこ戦闘不能に陥るほどの快楽だろう。直撃は、してはいけない。

「覚悟なさいっ!」

「お前がなっ!」

 ルカが唐突に飛び込み、リリムの横っ腹に瞬剣・疾風迅雷を放った。

「がっ……!?」

 吹っ飛びこそはしなかったが、彼女は揺らいだ。

「的確なアシストだな、ルカっ!」

 ヴィクトリーは、ルカを褒めながらリリムの顔面を掴む。

「がっ!?」

「どうせこいつじゃ死なねぇんだろ!じゃあ容赦なく使わせて貰うぜ!」

 そしてリリムの槍を手から奪い取り、その槍で彼女の腹を貫いた。

「っ……!?ぁああっ……!」

「おらっ!おらっ!おらっ!」

 そして槍をピストン運動させ、より深く快楽を植え付ける。

「ひゃ……うぐぅ……!」

「……」

 傍目で見ていたルカは、リリムの顔を見て固まる。

 ……何だか、エロい。

「おらぁっ!」

 ヴィクトリーは持てる気を全部開放し、槍ごと彼女をリリスの方へぶっ飛ばした。

「うぐぁああっ!」

「きゃあああっ!」

 淫魔二体はドッカァンと激突し、壁にまでぶっ飛び、その壁まで砕けた。彼女達は大ダメージを負い、瓦礫に埋もれる。

「くっ……!」

「私達が、人間ごときに……!」

 彼女達が、瓦礫を払いながら立ち上がった時だった。

「やれーっ!!ルカーっ!!」

「うおおおおおぉっ!!!」

 ルカの姿が消え、しばらくしてから淫魔二人に背中を見せるような形で現れた。

 そして、剣を納め始めた──

「──死剣・乱れ星っ!!」

 鞘があれば、「チン」と納刀音がなる瞬間だろうか。

 その瞬間、淫魔二人の体中に無数の斬撃が走った。

「ぁが……!?お姉様、こんなことが……!!」

「まさか……復活早々に……封印される……なんて……!!」

 二体の肉体はバラバラになってから消散し、魔法陣の中に消えていった。

「や、やったぞ……」

「げ、激戦だった……」

 極限のバトルの末に、伝説の淫魔を封じる事ができた。

 周囲に立ち込めていた異様な妖気も、みるみる掻き消えていく……そして、村全体を包み込んでいた妖気も薄れていった。村長やリリス達を倒す事により、魔力供給源が絶たれたのだろう。

「よし、これで万事解決……」

「じゃない!吸われた人達を助けないと!」

「あ、そうか……」

 今も、サキュバスに精を吸われた人達が村中に転がっているのだ。衰弱死寸前の者も居るだろうし、早く助けないと……

「よっしゃ、行こうぜ。」

「あぁ……急ぐぞ!」

 勇者たるもの、救助活動もやらねばならない。

 二人は儀式の間から出たのであった……

流血表現

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