もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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淫夢の夜明け

「とりあえず、全員を一箇所に集めるか……」

「おっ、そうだな……で、その次は?」

「……どうするんだろう。」

 戦士達に、サキュバスに吸われて衰弱した人の処置が分かるはずがない。

「メシでも食わせてみるか?」

「う〜ん……」

 悩む二人の背後に、ぬっと現れる影。

「貴様ら、いったい何をする気だ?百人以上いる衰弱者を、どうにかできるのか……?」

 アリスが登場し、二人の傍らについたのだった。

「アリス、おめぇも手伝えよ。」

「魔物と戦うわけじゃないから、魔王としても問題無いだろ?」

「そんな面倒な事、余に手伝わせるな。」

 アリスはそう言い、きっぱりと断ってしまった。

「けち。」

 ヴィクトリーが頬を膨れながら、そう言い捨てる。

「うるさいドアホ。」

 アリスは、ただそう返すだけだった。

「……しかし魔王として、サキュバス共による宴の後片付けはするべきかもな。衰弱した人達を、手っ取り早く回復させれば良いのだろう?」

「出来るのか?」

 ルカが聞いてみると、彼女はいつも通り「ドアホめ」と返した。

「余は魔王だぞ。この程度の連中に生命力を分け与えたとて、揺るぎもせんわ。」

 そう言い、彼女は目を閉じて、何やら呪文を詠唱する……

「我が精、力弱りし者共に分け与えん……生命の灯、いざ輝きを取り戻せ……はぁっ!」

 次の瞬間、ふんわりした光のようなものが周囲へと広がった。これは、柔らかく温かな生命の波だ。

「す、すげぇ……」

「こんな事が出来るなんて……」

 アリスの放った生命の波動は村中に広がっていく……すると、ヴィクトリーが目を瞬かせた。

「この気は……サキュバス達!?」

 減らしたハズの気が、復活している。

「えっ!?」

「アリスの生命の波動がサキュバス達にも……!」

「おいおい、ちょっと待てよ!」

「……あ。」

 アリスは口を開けて硬直した。

「これじゃ、せっかくの苦労が水の泡じゃないか!また、サキュバス達と戦わなきゃいけないのか……!?」

「そんじゃあ、もういっちょやってみっかぁ!」

 ヴィクトリーが拳をパンッと叩き、走り出そうとした時だった。

「……その必要は無いわ。もはや、私達の悲願は断たれたのだから。」

 サキュバス村長が、声をかけてきた。その横にはウィッチもいる。

「伝説の淫魔リリスは、またも人間の勇者に打ち破られた……結局、サキュバスである私達に安息の地は無いのね。」

 その後ろから、伝説の淫魔二体も出てくる。

「その通りよ、この時代の同胞達……勇者に勝てなかった私達は、とんだ力不足の道化者ね……」

「お姉様……この時代でも、また流浪しなければならないの……?」

「……」

「え、えっと……」

 ……どうしよう、この状況。もう戦意は無いらしいが、とてもネガティブなムードだ。

 リリスとリリムはふと、アリスに目を向けた。

「所で、貴女様が現在の魔王とお見受けしました……」

「アリスフィーズ8世閣下の時代から、五百年……その御代、11世程でしょうか?」

「いや、余はアリスフィーズ16世である。」

「それはそれは、ご機嫌麗しう存じます。我々姉妹、8世陛下には随分と世話になりました。」

「……」

 会話を続ける伝説の淫魔と魔王の横目で、ヴィクトリーは眠そうにあくびをする。

「そんな事はどうだっていいだろ、おめぇらそんな追い詰められてたのかよ。」

 あくびを終えた彼は、話を投げた。

 それを聞いた村長は重苦しい顔で口を開いた……

「サキュバスは生態上、人間と共存しなければ生きていけない……それなのに、人間の町や村は私達を受け入れてはくれないわ。多くの男は、私達の色香で従える事ができるのだけれど……問題は、女なのよ。」

「……ほう?」

「人間の女のほとんどは、私達を敵視するわ。町にサキュバスが居るってわかったら、徹底的に排除しようとするの。」

「まぁ、そうだろうなぁ……」

「人間の女だって、どこの馬の骨かも分からねぇ魔物に男を取られたくねぇからな……この世界では。」

「……この世界では?」

 ヴィクトリーは咳をついた。

「……失礼、話を続けてくれ。」

「……そんなわけで、私達は正体を隠して町に潜むしか無いの。もしくは、町から町へ流浪の生活を続けながら食い繋ぐか……」

「いつしか私達サキュバスは、定住の地を求めるようになったわ。飢えることなく、幸せに生きていける楽園……人間男性を家畜として管理する、サキュバスの村をね。」

「……そりゃおっかねぇ。」

 サキュバスは、ルカとヴィクトリーを見ながら、口を開く。

「私の血族は、代々この村の長として計画を進めてきたの。何百年もかけて仲間を増やし、この村を乗っ取る日を夢見ながら……」

「だけど、それを見事に俺達にぶっ潰されちまったって訳だな……」

 ヴィクトリーの言葉で、淫魔達は俯いた。

「私達は、多くを望みはしないわ。ただ、小さな村で男達を家畜にして、静かに生きていきたいだけなの。そんなささやかな夢さえ、許されないなんて……」

 ウィッチが、ため息を吐いた時だった。

「……いや!その夢、諦めるのはまだ早い!」

 なんとその場に、一人の戦士が飛び込んで来たのだった。いや、彼だけではない。青年や、ガラの悪いごろつきまで入ってきた。

「サキュバスの楽園を築くのに、協力させてもらえないかな?僕が、搾精のための家畜になるよ。」

「ああ、俺も家畜の一人として手を貸そう。サキュバス達が落ち着いて暮らせる地を、ここに築こうじゃないか。」

「み、みんな……」

「私達を受け入れてくれるの……?」

 サキュバス達は顔を上げて、男達を見た。

「あぁ、もちろんだとも!」

「僕達は、サキュバスと共存していきたいんだ。人間として……いや、家畜として。」

「さあ、俺達を家畜にしてくれ。思う存分、搾り取ってくれていいんだ。」

 ルカは、たじろいだ。

「え、えっと、その……」

 これは、どうするべきか。本人達が良いと言っているんだから、放っておくべきだろうか。

「あはははっ!良かったじゃねぇかサキュバス達も!」

「……エロめ。」

 アリスとヴィクトリーの横で、リリスとリリムは嬉しそうな顔を浮かべていた。

「本当に構わないの……?この村を、サキュバスの楽園にしてしまっても……」

「お姉様、とうとう私達の楽園が築けますのね……」

 男達は、「うんうん」と頷く。

「人間とサキュバスの共存、なんと素晴らしい。俺は、この村に骨をうずめる覚悟だ。」

「そうだ、移民を募集するのはどうだろう。きっと、志を同じくする男達が集まってくる筈だ。」

「まさに、サキュバスの理想郷だな。そして、俺達にとっても楽園だ!」

 ヴィクトリーはけらけら笑いながら、ルカの方に向いた。

「おいルカ、どう思う?」

「うん……なんだか、もうどうでもいいや……」

 アリスも、ルカの横につく。

「……魔姦の禁は、構わないのか?」

「信仰は、おのおのの心の中にあるもの。他人に押し付けるべきものじゃ無いよ。」

「ふむ……貴様、少し柔軟になったな。」

「あははははっ!」

 男達はと言うと、サキュバス達に迫っていた。

「では、まず俺から搾ってくれ。さあ、遠慮なく犯してくれていいんだ。」

「ぼ、僕も……!家畜として、思う存分に搾り取って欲しい。」

「いやいや、まずは俺が……」

 ルカはため息を吐きながら、ヴィクトリーの肩を叩いた。

「……疲れたから、僕はもう宿に戻って寝るよ。」

「あははっ!俺もそうするか!あはははっ!」

「……エロめ。」

 先を争う男達を、アリスは蔑んだ目で眺めて居たのだった……

 

 こうして、『紫のサバト』の夜は明けた。

 村を発とうとする僕達を、サキュバスや戦士達が見送りに出る。

「あなた達は、人間と魔物の共存のために旅をしていると聞いたわ。この村でも、その為に力を振るったのかしら……?」

 ふと、村長が僕達を呼び止めた。

「えっと、まぁ……そうかもしれません。」

「……俺は強いヤツと戦いたいだけだったから、そのついでに……みたいな感じになっちまっただけさ。」

「うふふ、強いヤツには出会えた?」

 村長は、ウィッチを横目で見ながらヴィクトリーに訪ねる。彼は頷き、「まぁな」と返事する。

「でも、良かったじゃねぇか。結果的にこの村でサキュバスと人間が共存する事になって。」

「そうね、一応、礼を言っておいた方が良いかもね。」

 ウィッチはそう言いながら、微笑みながら親指を上げた。

 リリスとリリムが、また僕達に声をかけてきた。

「あのまま、私達が村を支配しても……ここまで、人間の協力は仰げなかったわ。」

「お姉様、世界中から移民が集まってくるのね……私達に、精を捧げるために……」

「あぁ、えっと……よかったですね……」

「これも、人間と魔物の共存か?」

 ヴィクトリーが、僕に向かって呟いた。

「……」

 う〜ん、そうなのだろうか?

 男達も、僕達を見送ってくれた……

「き、君たちの旅にも……こ、幸運が……あ、あると、いいな……」

「あうぅ……が、がんばってね……僕達も、がんば……る……うぁぁ……」

「あぅぅ……足腰が……」

「皆さんも、なるべくお元気で……」

 ヴィクトリーは男達を一望し、けらけら笑う。

「瀕死じゃねぇかおめぇら。完全にエサにされちまったみてぇだな。」

 昨晩から、こってりと搾られたのだろう。

「近くまで来た時は、この村にも顔を出しなさい。私達が、たっぷりと歓迎してあげるから……」

「いっそ、キミ達もここに住めばいいのに。毎日、天国を見せてあげるわよ……」

「あはは……ま、まぁ機会があればな……」

「ぼ、僕達は行きますね!それじゃあ、さよなら!!」

 こうして僕達は、本当の意味で「サキュバスの村」となった村をスタコラサッサと後にした。

 

 色々と先行きが不安ではあるが……これも、一つの共存の形ではある。なんとか、上手い具合に行くことを祈るのみだ。

 さて、次の目的地は……

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