もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

89 / 227
ゴルド火山

 戦士達の活躍により、領主カサンドラは滅ぼされた。配下の魔物も、みな逃げ去ってしまったようだ。

 村はすっかり無人になり、事実上の廃村だ。しかし、これで犠牲になる男も居なくなるだろう。

 小話を終え、村を出る。そしてまた僕達は旅を続けた……

「……じゃあ、ゴルド火山に行こう!」

「よし来たっ!」

 こうして僕達は、いよいよゴルド火山に向かう。そこには、最後の精霊となるサラマンダーがいるのだ。

 彼女に認めてもらえば、いよいよ四人の精霊が揃う事になる。そうなると、いったいどんな力が身につくのだろうか……

 

 その夜、野営。

 ここ数日は、心を水の流れに委ねるという特訓ばかりだ。

 何か掴めそうな感覚に一喜一憂し……しかし何も掴めず、なんだか気が乗らなくなってきた。

「でも、いいセン行ってたぞ!頑張れば出来るって!」

 ヴィクトリーがそう励ますも、ルカのやる気が上がるわけじゃないし。

「ほら、いつものように目をつぶって禅を組むのだ。余が攻撃するから、かわしてみせよ。」

 アリスはいつものように、うるさく無理難題を指示してくる。

「う〜ん……本当に、これで強くなれるのか?」

「そう思うのなら、この修行は諦めるか?勇者ハインリヒの教えを疑って、何が真の勇者だか……」

「ぐっ……そう言われたら、やるしかない……!」

「扱いやすいなおめぇ。」

 ヴィクトリーのツッコミもともかく、僕は静かに目を閉じていた。

「あぐっ!ぐふっ!ぎゃっ!うぐっ!ぬわーーーーっ!」

 しかし、例によってボコボコにされてしまう……

「ふん、話にならんな……」

「最後、何か燃やされた気がするんだけど……」

 ともかく、この修行は多大な精神力を消費する。少し続ければ、神経がすり減ってヘトヘトになってしまうのだ。

「なぁ、アリス。そろそろ新しい技とか教えてくれないかな……」

「ふむ……貴様も随分と、土の力を使えるようになった。ここはひとつ、土の剣技でも教えてやるとするか。」

「やったぁ!」

「俺も手伝うぜ!」

 こうして、僕達で修行が始まった……

 

「こうだな……ていっ!」

「おっと!」

 一通りの指導を受けて、実戦訓練も兼ねてやってみる。

 土の剛力を全身に満たしながら、それを思いっきり叩きつける……つまりは、土の力を用いた天魔頭蓋斬だ。

「ふむ、飲み込みが早いと楽でいい。この技は、天魔頭蓋斬の発展系とも言えるな。天高く跳躍しながら、全身に土の力を巡らせ、その全てを敵にぶつける……それこそが、壊斧・大山鳴動よ。」

「壊斧って……」

 ルカは自分の剣を見ながら、言う。

「この技、斧の技なのか……?」

 横に居たヴィクトリーは、興味ありげにアリスに聞いた。

「これを編み出したミノタウロス娘は、斧使いだったのだ。だが、剣を用いても問題なく放つ事が出来るはず。伝説の魔斧戦士ミノータは、この技を使って巨山を粉砕したという話だ。」

「何か、ベジータみたいな名前だな……」

 二文字違いだが、「○○ータ」と付けば何でもベジータ風に聞こえてしまうのは、ヴィクトリー特有であった。

「やっぱり魔物の技なのか。まぁ、粉砕したのが人間じゃないだけマシだな。」

 まぁ、血なまぐさい話が無いだけマシ──

「何を言うか、ドアホめ。その山に住んでいた人間達も、まとめて粉々だぞ。」

「ひゃ〜……そりゃすげぇ……」

「……うえぇ……」

 やっぱり、あんまり愉快じゃない話だ。とは言え、この技は戦力になる筈!

「この技は、天魔頭蓋斬みてぇにどっかに登らなくても使える技みてぇだな。」

「その通りだ。」

「そうか、それは便利だね。」

 要するに、天魔頭蓋斬と違って不自由なく打てるらしい。これなら──

「それにしても、貴様はもう立派な魔剣士だな……」

「そうだね……って、魔剣士!?」

 驚くルカに、ヴィクトリーは笑いかける。

「だっておめぇ、勇者のハズなのに技は魔物の技じゃねぇか。」

「今日からニセ勇者じゃなくて、魔剣士と名乗ったらどうだ?ニセ勇者よりはいい通り名だぞ。」

「あぁ……なんて事だ……イリアス様、お許しください……」

 ルカは手を合わせ、天を仰いだのだった……

 

 翌朝、ゴルド火山内……

「あ、あつい……」

「は、肺が焼けそうだ……」

 暑いというより、熱い。ゴルド火山洞窟に入った瞬間、うんざりするような熱気が僕達を襲う。ヴィクトリーの言う通り、吸う空気も灼熱の如しだ。

 しかし、その灼熱地獄と相反するような気を感じた。これまで精霊達が居た場所に、どこか雰囲気が似ているようだ。

「……最深部に、精霊の気を感じる……」

「じゃあそこに、サラマンダーがいるのか……」

「サラマンダーは、妖魔の間では猛者として名が知れているのだ。ゆえに、ここに住んでいるのも周知の事実。サラマンダーの元に、弟子入りに訪れる魔剣士も多いという。ほぼ全員、門前払いをくらうがな。」

「猛者……か。」

 例によって、「力が欲しくば私を倒せ!」となる筈だ。その相手が猛者ならば、随分と厄介な話である。

「ルカ、このまんまだと俺達はサラマンダーに会う前に焼け死ぬぞ……」

「そうだな……早く、見つけ出さないと……」

「……ん?」

 ヴィクトリーが目を瞬かせ、僕の背中に手を当てる。すると、僕の中に精霊が浮かんできた。

「サラマンダーちゃんの匂いがするよ〜!」

「……」

 浮かんできたのは、シルフとノームだった。

「どこにいるのか分かるのか……?」

「奥の方……まっすぐ行けば、会えるよ!」

 シルフが指した先──そこから、確かに精霊の気を感じた。

「間違いねぇみてぇだぜ……」

「そうか、ありがとう。所でウンディーネは?」

「あついから、とけちゃった!」

「……」

「そ、そんな馬鹿な……」

 とけちゃったって……

「ノームちゃんも、熱くて元気が無いみたいね。」

「……」

 ノームはシルフをひっぱたこうとしたが、シルフはひらりとかわした。

「……!?」

「わ〜い!」

「……」

「ははは……」

 シルフは、何故こんなにも元気なのだろうか。

「よし、とにかく行くぞ!」

「れっつごー!」

 こうして僕達は灼熱の中を進んでいく……

 

 すると、モンスター達がかかってきた。

「そら来たっ!構えろルカ!」

「あぁっ!」

 まずは、溶岩娘がルカに襲いかかってきた。

「私のマグマで……」

「やぁっ!!」

 それを地面に叩き伏せ、そして胸の部分に剣を突き刺して封印する。

 次にバジリスク娘がヴィクトリーに襲いかかってきた。

「私の石化能力で……」

「うるせぇ!!」

 ヴィクトリーはかめはめ波で、彼女を火山の外へぶっ飛ばした。

「いぇいっ!」

 ルカとヴィクトリーは、ハイタッチを交わす。

 しかし、次の瞬間にはまた新手が来ようとしていた。

「ま、まだ来るのか……!?」

「そう来なくっちゃ……!」

 身構える二人の背後には、いつの間にかアリスが居た。

「……このような場所、人が踏み込む事など滅多にない。魔物はみな、オスの味に飢えているのだろうな。さしずめ、ピラニアの群れの中に生肉を投げ込んだようなものだ。」

「僕は生肉じゃないよ……」

「例えばの話だ……」

 アリスは、洞窟の奥を睨む。

「ともかく、次の相手は厄介だぞ。」

「みてぇだな……かなりでけぇ気が近づいてる……」

「……」

 アリスは、ルカの肩を叩いた。

「水の力は、外に対して使うものではない。己の内に投影するもの……これが出来れば、貴様にも勝機はある。」

「勝機はあるって……できなければ?」

「……」

 返答もなく、アリスは去ってしまった。あの助言をする為に、一旦戻ってきたのだろう。

 そして洞窟の奥から猛々しいうなり声が響く。このうなり声の主は、相当の強者というわけだ……

 そんな事を考えていたら……目の前に、ドラゴンが現れた。

「ど、ドラゴン……!!」

「遂に出たか……!!」

 知らない人はいないであろう、伝説のモンスター。その牙はいかなる防具をも切り裂き、吐き出す炎は全てを灰に変える。またその鱗は、いかなる剣にも耐えるのだという……

 ドラゴンは口を開ける。すると、その中に女の上半身があった。

「ほう、人間か……随分と活きの良さそうな獲物だな。」

 そう言って口の中の女はじゅるり、と舌なめずりをした。

「ぐっ……!」

「へへへ……」

 圧倒的な迫力に、ルカは思わず後ずさってしまう。一方でヴィクトリーは、小さくジャンプしながら臨戦態勢に入る。

「ふふっ……そう身構えずともいい。この爪で引き裂いたり、炎で焼き尽くしたりなどはせん。お前らのような小さな存在に、この私が本気で戦う事はないのだ。だから恐怖する事はない、私がたっぷり──」

「かめはめ波っ!!」

 ヴィクトリーは不意打ちに、女体の顔面にかめはめ波を放った。

 直撃し、ドカンと爆発する。

「ぐっ……!?」

「ベラベラベラベラうるせぇんだよ……ドラゴンならドラゴンらしくかかってこいっ!!」

 ヴィクトリーは腕をクロスしてから、気を解放した。

「……その生意気な口が何時まで続くか、見物だな……!!」

「よ、よし……やるぞっ!!」

 ルカも気を解放し、まずはシルフの力を使う。

「爪と炎を使えよ……じゃねぇと、俺達には勝てねぇぞ……」

「何を……!!」

 ヴィクトリーはドラゴンの顎部分に飛び、その顎を思いっきりパンチした。

「ごっ!?」

 ドラゴン娘はぶっ飛ぶ。ヴィクトリーはその尻尾を掴んだ。

「だりゃあぁーっ!!」

 その尻尾を抱え込み、溶岩の海へと叩き落とした。

「い、一瞬……」

「いや……!」

 溶岩から、何か飛び出してきた。それは、全く無傷のドラゴン娘だった。

 溶岩程度の熱、竜の鱗には通用しないのだろう。

「……いいだろう、マトモに戦ってやろう……その後は言わずもがなだがな……」

「そう来なくっちゃ!」

「はぁっ!!」

 ドラゴン娘は、灼熱の息をヴィクトリーに吐いた。

「っ!!」

 ヴィクトリーは、その息に直撃してしまい、炎に飲まれた。

「壊斧・大山鳴動……!!」

 ルカは、新技をドラゴン娘に叩きつけた。凄まじい衝撃が火山中に響き、衝撃が大地を割った。

「ぐぉっ!?」

 ドラゴン娘は、そこに振り返る。すると、既にルカは眼前にまで飛び上がっていた。

「死剣・乱れ星っ!!」

 そして、無数の斬撃をドラゴン娘に放った。

「ぐっ……!小賢しいわっ!」

 ドラゴン娘は口内で炎をチャージし、火球をルカに吐き出した。

「おらぁっ!」

 しかしヴィクトリーがルカの前に瞬間移動し、火球を蹴り弾いた。

「なにっ!?」

「はぁっ!」

 その背中にルカを乗せ、ドラゴン娘に突進する。

「行くぞルカっ!!」

「あぁっ!!」

 そしてドラゴン娘に当たる寸前で消え、ドラゴン娘の背後に着地した。

「死剣・乱れ星……」

「超龍撃拳……」

 次の瞬間、ドラゴン娘の全身に無数の斬撃と打撃が叩き込まれた。

「ぐぅ……!?」

 ドラゴン娘は揺らいだが……すぐに持ち直し、ヴィクトリーの方を向いた。

「うおおぉっ!」

「な、何っ!?」

 ヴィクトリーが背後を振り返った瞬間、ドラゴンの口に食われてしまった。

「ヴィクトリーっ!!」

「なに?」

 ヴィクトリーはルカの背後に居た。彼の名を叫んだルカは、思わずずっこけてしまった。

「なにっ!?」

「し、瞬間移動か……」

「そう。一歩遅れてたらやばかったかも……」

 ドラゴン娘は、わなわなと震える。

「く、くそ……!この私が……人間如きに……!!」

「どうしたドラゴン!おめぇの力はそんなもんか!?」

 更にそこに、ヴィクトリーが挑発を入れた。その挑発で、ドラゴン娘はキレた。

「なら見せてやる……!!真の実力をな……!!」

 ドラゴン娘は腕をクロスし、気を解放した。その気の爆発で、火山が揺れ、大気がウネり、ビリビリとした気迫が戦士達を襲った。

「や、やっべぇ……!マジギレしやがった……!」

「こ、こんなの……まともに戦ったって……!」

 その圧倒的な迫力を前に、僕は勝ち目が無いことを悟った。

 しかし──

「……いや、勝てる!」

 ヴィクトリーは、笑いながらそう言い切ってみせた。

「俺は強くなってるし……何より、おめぇには自分でもよく分かってねぇ実力を隠し持っていて……なおかつ、水の力をあと一歩で操れるんだ……」

「……!」

 その言葉で、アリスとの特訓が頭によぎる。水の力を心に投影し、その流れを掴み取るという修行……

「行くぞっ!!」

「おぉっ!!」

 ヴィクトリーとドラゴン娘がぶつかり合い、一進一退の攻防を繰り広げる。

「……」

 僕は目を閉じ、心を水の流れに委ねる。すると、今までと違う澄んだ感覚が湧き上がってきた……

「……これは……」

 周囲の『流れ』が、自分の中に感じる。空気の流れ、音の流れ、力の流れ……その全ての流れを、心という感受器で感じ取っているのだ。

 それは、まるで自分が世界と一体となったかのような心地だった……

「……成功したか……!?」

「よそ見をしている場合かっ!」

 ヴィクトリーに、竜の豪爪が迫る。

「うぉおおおりゃあああーっ!!」

 それを気合でいなし、ルカの方へ受け流した。

「ならばこいつに当てるまでよ!」

「……」

 じんわりと、大きな流れが近づいてきた。周囲を圧しながら、乱れた波が押し寄せてくる……

「……」

 まるで、水と油が反発するように、ルカはその攻撃をひらりと避けた。

 いや……避けたというより、水に流れる木の葉が、自然と障害物を避けた……そんな気分だ。

「見えるぞ……水の流れが……!」

「どうやら、成功したみてぇだな……」

 ヴィクトリーが、ルカの横に降りる。

「水だと……何を言っている?恐怖のあまり、幻覚でも見えているのか……?」

 二人に、竜の豪牙が迫ってきた。彼らは、全く同じように避ける。

「……見える。流れを乱しつつ迫ってくる攻撃が……目を使わなくても……!」

「……だろ?」

 そして、流水のごとく敵の攻撃を自在に避けてしまうのだ。

「なんだと……!?私の攻撃を、こうも避けるとは……!」

「……」

「ほらほらぁ!どぉしたどぉした!」

 二人はドラゴン娘の猛攻を、目を瞑って避けまくる。

「アリスとの修行で、あれだけ手こずったのが嘘みてぇだ……」

「いや……手こずったからこそ、こうして身についているんだよ。」

 遂に、会話する余裕までも生まれる。

「どういう事だ、何故攻撃が当たらん……!?」

 さらに振りまかれる、攻撃的な流れ。振り回される爪、鋭い牙……それを彼らは全て避けきっていた。

「……お前は何の流れに乗ってるんだ?」

「う〜ん……『気』?」

「……そうか……」

 気と水の流れに乗りさえすれば、この身が勝手に攻撃をかわす。そして……その流れのままに、攻撃をすればいい!

 ルカは流水の流れのままに、ヴィクトリーは気の流れのままにドラゴン娘を攻撃した。ルカの攻撃で鱗が切り裂かれ、ヴィクトリーの攻撃で鱗がグシャリと潰れ、ドラゴン娘は大きく揺らいだ。

「な、なんだと……!?」

「……よしっ!」

「……」

 その一撃には、確かな手応えがあった。

「……馬鹿なっ!?我が鱗が、まるで紙のように……!紙細工のように……!!その細腕のどこに、それほどの力が……!?」

「力で切ったんじゃない、流れで切ったんだ。」

「……隣に同じ。」

「訳の分からぬことを……!!ならば、これはどうだ!?ギガンティックブレイズ!!」

 ドラゴン娘は大きく息を吸って、凄まじい豪炎を吐き出した。

「……ヴィクトリー、僕の後ろへ。」

「分かった。」

 唐突に、激しく乱れた波が周囲へと広がった……それも、流れのままに刃で斬ってしまう。

 ギガンティックブレイズが、真っ二つに裂けた。

「馬鹿な……!炎を切っただと……!?」

「えっ!?今の炎だったの!?」

 ルカはハッとして、現実に戻ってしまった。なんと彼は、ドラゴン娘の巨大な口の目前に居たのだ。

「このまま、丸呑みに……!」

「う、うわぁああっ!!」

「……」

 ヴィクトリーが僕の前に瞬間移動し、中指と人差し指でドラゴン娘を指す。

「……終わりだっ!!」

 ドラゴン娘の喉に、超龍閃撃が放たれた。

「がっ……!?」

 彼女はぶっ飛び、壁に叩きつけられた。

「貸せっ!!」

「あっ!」

 ヴィクトリーはルカの手からエンジェルハイロウをひったくり、ドラゴン娘の胸にぶん投げた。

 ぶん投げたエンジェルハイロウが、ドラゴン娘の胸に深々と突き刺さり、彼女は壁に磔となった。

「こ、こんな馬鹿な……!!お前らは……いったい……!!」

 ドラゴン娘の体が消散し、大きなトカゲの姿になって地面に落ちた。

 ヴィクトリーはエンジェルハイロウを抜き、ルカに投げる。

「ふぅ、びっくりしたなぁ……」

 ルカはそのエンジェルハイロウをキャッチし、納める。

「びっくりしたのは、こっちだ!ドアホめ!」

 現れるなり、アリスは喚き立てた。

「自分の剣技に、自分で驚く馬鹿がいるか!あんなタイミングで、水の流れから心を離してしまうとは……ヴィクトリーが居なければ、どうする気だったのだ!見ているこっちの寿命が縮まったぞ!」

「いや、まさか無意識のうちに炎を斬ってるなんて思ってもみなくて。気分的には、水の流れの中でふわふわしている感じに……」

「ドアホめ!」

 アリスは、再度確認するように毒を吐く。

 確かに、さっきのは危なかった。これからは、気を付けなければ……

「でも、すげぇじゃねぇか!水の力をものにしちまったんだから!」

「うん……ドラゴン娘の攻撃が目を使わずに見えた……アリスと特訓している時とは大違いだよ。」

「あの特訓で攻撃役を買っていたのは、魔王たる余なのだぞ。こんな野良ドラゴンの攻撃など、比較になるものか。」

「……つまり、あの特訓は実戦より大変だったのか……!?」

 道理で、面白いぐらい殴られっぱなしだったはず。僕は修行の身で、魔王に何度もどつき回されていたのだ。

「過酷な訓練を受けたからこそ、水の力に目覚めたのだろうが。余に感謝しろ、このドアホめ。」

「あぁ、アリスに感謝するよ……」

 僕がそう呟いた時だった。

「……妙な気が近づいてくる……」

 ヴィクトリーが、そんな事を言う。

「ん?」

 またしても、奥の方から奇妙な気配を感じたのだ。

「また、モンスターか……!?」

「いや、こいつは……」

 それは、僕達の前に姿を現した……

流血表現

  • もっとする
  • このままでいい
  • しなくていい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。