もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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炎の精霊、サラマンダー

 ゴルド火山にて、戦士達は一匹の魔物と遭遇した。その魔物は、全身から灼熱の魔力が放たれていた。どう見ても、一般のモンスターには見えそうもない……

「おめぇがサラマンダーか……」

 ヴィクトリーは、出会うなりそう言う。

「いかにも、私は炎の精霊サラマンダー。そこの勇者が、私に力を借りに来たのは知っている。既に、シルフ、ノーム、ウンディーネが力を貸していることもな……」

 ヴィクトリーが下がり、ルカが一歩前に踏み出る。

「だったら、話が早い。頼む、僕に力を貸してくれ。」

「それに対する答えは、他の三精霊と同じだ。お前の力、私の前で示してみろ!」

「分かった、勝負だ!」

 サラマンダーに力を示すべく、ルカは剣を抜いた……

 そこに、横からアリスが出てくる。

「ルカ、ひとつ教えといてやろう。サラマンダーはグランベリアの師匠なのだ。」

「えぇっ……!?」

「な、なんだと……!?」

 サラマンダーと相対した状況で告げられる、衝撃の事実。

 あのグランベリアの師匠が、サラマンダー……!?

「それじゃあ、むちゃくちゃ強いって事じゃないか……」

「へへへ……許されんなら俺も戦いてぇな……」

「ふっ……奴を指導したのも、もはや昔の話だ。今のグランベリアの力は、すでに私を超えている。」

「つまり、おめぇを倒せねぇとグランには太刀打ち出来ねぇって訳か……」

 何故かヴィクトリーが口を挟み、サラマンダーが頷く。

「ふふ、そういう事だ……!」

「……分かった、行くぞ!」

 グランベリアは、絶対に勝ちたい敵の一人でもある。

 あの戦士を育て上げたのが、サラマンダーだというのならば……絶対に、僕の力を認めさせてやる!

「はぁあああーっ!!」

 ルカは気を全解放し、完全に臨戦態勢に入る。

「……ほう……!?」

「はぁあああああ……!!」

 そして足を天に向けてから思いっきり地面を踏み、サラマンダーを見据えて突進した。

「がぁっ!!」

「っ!?」

 まずは、土の力を解放しながら、顔面に拳で一撃かます。

「うぉあぁあああーーーっ!!」

 更に風の力を解放し、剣技で超スピードの猛攻を繰り出し、サラマンダーを圧倒した。そして体に何発も蹴りを放ってから、顔面を蹴り飛ばした。

「ぶっ……!?」

「うぉおおーっ!!」

 そこに魔剣・首刈りをかまし、サラマンダーの体を打ち上げる。助走をつけて跳び上がり、打ち上げられている最中のサラマンダーに両膝を落とす。

 そして、足を掴んでブンブンと振り回してから思いっきりぶん投げた。

「はぁあああーーーっ!!」

 そのぶっ飛んでいるサラマンダーに追いつき、剣技を連発してから跳び、顔面に両足蹴りを放って壁へとぶっ飛ばした。

 彼女を叩きつけられた壁は崩れ、ガラガラと崩れる。

「力を貸してくれっ!!ノームッ!!」

 更にノームの力をフルパワーに引き出し、大きく剣を振りかぶった。

「なっ……!!?」

 ヴィクトリーは危険を察知し、飛び上がる。

 ルカは、フルパワーの壊斧・大山鳴動を放った。

 とんでもない衝撃がゴルド火山を揺るがし、凄まじい衝撃波が辺りに波動する。その一撃で大地が砕け、火山の地形が少し変わった。

「あ、あっぶねぇ……!な、なんちゅう奴だ……!!」

 崩れていない地形を見つけ出し、ヴィクトリーはそこに着地する。

「や、やった……!すげぇ、一瞬で決めちまった……!!」

「……ドアホめ、サラマンダーの気を感じてみろ。」

 ヴィクトリーの横に居たアリスがそう言う。

 彼女の言われた通り、気を感じてみる。

「……っ!?」

 サラマンダーの気は、ちっとも減っちゃいない,

「なっ……!?」

 ルカも、同様に目を瞬かせる。

「……ふぅっ……」

 サラマンダーは体のホコリを払いながら、何食わぬ顔で首をゴキゴキ鳴らしながら立っていた。

「ば、馬鹿な……僕は本気でやったぞ……!?」

「げげ……ダメージをほとんど受けてねぇ……!!」

「さて、準備運動はここまでだ!ここからは、私も本格的にやらせてもらうぞ!」

 サラマンダーはそう言って、構えた。

「はぁっ!」

 ルカの眼前に高速移動し、パンチを放つ。

「っ!!?」

 ガードが追いつかず、パンチをモロにくらってぶっ飛ばされてしまう。

「くっ!」

 ルカは空中で身を翻し、着地してからサラマンダーを見た。しかし、そこに彼女は居なかった。

「うしろだっ!」

「なにっ!?」

 サラマンダーはルカの背中に灼熱の両足蹴りを放った。体が軋み、ぶっ飛ばされる。

「ぐふぁっ……!?」

 ルカは回転しながら体制を整え、高く跳躍した。

「おそいっ!」

「!?」

 既にサラマンダーはその上に居て、スレッジハンマーで叩き下ろした。

「ぐっ!」

 ルカは何回転かした後に、着地する。

 その目の前に、サラマンダーも着地する。

「ふっ……」

「ぐっ……!」

 ルカは跳び回り、多重残像拳を使った。

「なっ……あいつまで残像拳を……!」

 ヴィクトリーは驚きながら、そう漏らす。

「おっ?」

 サラマンダーは目を動かし、ルカの動きを見る……

「……そこかっ!」

 そして、拳を放った。だが、拳は彼をすり抜けた。

「なにっ!?」

「ここだっ!!」

 ルカは、呆気に取られる彼女を、背後から蹴り飛ばした。

「なるほど……少しは出来るようだな……っ!!」

 サラマンダーは両手に炎を纏い、ルカに殴りかかった。

「ぐっ……!!?」

 炎の拳を、剣で防ぐ。

 なお、ガードしても腕がビリビリと痺れる程の威力。

「ずあぁっ!!」

「っ!?」

 来るっ!顔面を狙った右ストレート!

「っ!!!?」

 その強烈な一撃を、ルカはマトモに食らってしまった。

 予測は出来た。だが、体が追いつかなかった。

 ルカの体はぶっ飛び、壁に叩きつけられてしまう。

「が、がっはぁ……!!?」

「……まるで、なっていないな。」

 ふと、サラマンダーはそう呟いた。

「お前は、水の力を全く使えていない。」

「そ、それは……」

「さっきのドラゴンとの戦いを見せてもらったぞ。あの時、お前は心を水の流れに委ねる事が出来た筈だ。」

「……」

 確かに、あの時は水の流れに乗ることができた。だが、再び上手くいくのか……

「お前に宿っているウンディーネの力を、心に投影させろ。そして、心を水の流れに乗せるのだ。それが出来ない者に、我が心を貸すわけにはいかん。」

「……」

 ルカは、ヴィクトリーの方を向いた。

「……」

 ヴィクトリーは、コクンと頷く。その目からは、「お前なら出来る」と言わんばかりの信頼が見えた。

 ルカも、覚悟を決めることにした。

 正直、上手くできるかどうかは分からないけど……ここは、やってみるしかない!

「……この心を、水の流れの中に……!」

 ルカは、心を水の流れに委ねた。

「こ、これは……」

 自分の心が、水の流れの中にあるのが実感できる。森羅万象の流れに心を委ね、身を委ねている感じだ……

「ふふっ、出来るではないか……では、これをどう避ける!?」

 サラマンダーは、炎を纏った拳でルカに殴りかかった。

 しかし、彼は流水のようにかわした。

「……」

 まるで、水の流れに浮かぶ木の葉の感覚。大きな流れに揺らめきながら、ひらりと避けてしまったのだ。

「……なるほど、結構だ。今のお前には、いかなる攻撃も当たるまい。」

 サラマンダーは両の拳を握り、腰に備えた。

「では、次に攻撃を繰り出してみろ。剣技ではなく、ただの攻撃をな。」

「……あぁ。」

 ルカは流れるように移動し、その流れのまま刃を繰り出した。その一撃は、確かな手応えと共にサラマンダーに傷を与えた。

「……今のは……」

 ただ流れに乗り、剣を振っただけ……それだけで、大ダメージを与えることができた。

「……そう、それでいい。水の流れに乗っている間は、攻撃も回避も通常時とは比較にならん。しかし、気付いているか?お前の気力が、じわじわと削れていることに……つまり、水の力を使うには気力をじわじわと持っていかれるのだ。」

「……」

 確かに、集中力がじわじわと削られているようだ。そのせいで、気力を消費してしまうのだろう。

「……話はここまでだ。では、戦いを続けるぞ!」

「……」

 ルカは流れるように動き、サラマンダーに猛攻を仕掛けた。

「ふむ、それなりに心得があるようだが……」

「……」

 ルカは冷静に、ズバズバとサラマンダーに攻撃を仕掛ける。

「はぁっ!」

 サラマンダーは高速移動でルカの背後に回り、回し蹴りを放った。

 彼はしゃがんで避け、彼女に足払いを放った。

「……はっ!」

 次の瞬間には、水の力が消えていた。気力が尽きたのだろう。まるで、幻想世界から現実に戻されたかのような感覚だった。

「……理解したようだな。水の力が発動している間は、お前は無敵と言えるだろう。ただし、その間は気を削られていく。その気がゼロになった時、水の力の効力が切れるのだ。」

「なるほど……界王拳と同じか……」

「……カイオーケン?」

「俺の技だよ。」

 ヴィクトリーが、挙手する。

「気をコントロールして戦闘力を倍増する技だけどよ……気力は削られていくし、更に体力をごっそりと持ってかれちまう……だけど、四精霊みてぇに複雑なことをしなくて済む。」

「……ほう?」

「んな事はどうでもいいんだ。どうなんだ、ルカとの戦いは?」

 ヴィクトリーはサラマンダーの興味を突っぱね、言い放った。

「あ、あぁ……まぁ、私からの教えはこんなところか。」

 サラマンダーはそう言って、ルカに向かった。

「……合格だ、ルカよ。我が炎の力、お前に預けるとしよう!」

「や、やった……!」

 とうとう、サラマンダーにも力を認めて貰えた。

「これで、ルカに四精霊全員が宿るのか……」

「未来ある戦士よ、我が力を受け取るがいい!」

 サラマンダーは、僕に向かって掌をかざす……その体が光の粒子となり、そのまま消えてしまった。同時に、僕の体に熱のようなものが沸き上がってくる。

 サラマンダーの力が、確かに僕の中へと根付いたのだ……

「ついに、サラマンダーの力をもモノにしたか。」

「ああ、とうとう四精霊の力が揃ったよ。これでいよいよ……」

「……っ!!」

 僕達の喜びは、不測の事態によって封じられた。

 不意に地面が揺れ、ぐらぐらと周囲が振動を始めたのだ。

「な、何だ……噴火か……!?」

「いや、まだ噴火の時期ではない……」

「でけぇ気がこっちに来る……!!この気は……!!」

 突如、がらがらと崩れ落ちる天井。そこから降り立ったのは……なんと、魔剣士グランベリアだった。

「ま、まさか……」

「グラン……!!」

 改めて感じる、凄まじい重圧感。さっきのドラゴンとは、一枚も二枚も違う重厚さ。やはり、グランベリアは他の魔物とは別格なのだ……

「……見違えたな、少年達。以前に会った時から、まるで二十年の時を隔てたようにも見えるぞ。」

「……」

「そりゃどうも……」

 褒めてもらって、喜んでいる場合でもない。

 あのグランベリアが、気まぐれに遊びに来た訳が無いんだ。

「僕達に何の用だ!」

 ルカがそう聞くと、グランベリアは剣を構え、彼を睨みつけた。

「聞くまでもあるまい、貴様()と戦いに来た!」

 巨剣を構え、凄まじい気迫を発するグランベリア。その熱気と重圧だけで、二人は吹っ飛ばされそうになる。

「……ずいぶん急な話だな、グランベリアよ。余の命令もなく、また勇者を排除しようというのか?」

「お言葉ですが、アリスフィーズ様。『勇者』というのは、イリアスの忌まわしき洗礼を受けた三流戦士。目の前の男達は、そんな粗製濫造の『勇者』と別格……私の見た所、刃を交えるに足る戦士なのです。」

「なるほど……」

 アリスは軽く息を吐き、ルカ達の方に向かい直った。

「ルカ、そしてヴィクトリーよ。今のグランベリアは、魔王も勇者もどうでもいいようだ。ただ戦士として、貴様らと戦いたいようだが……どうする?」

 二人はしばらく考えた後、笑いながら構えた。

「無論、受けて立つ!」

 この戦いを受けなきゃ、僕達は勇者でも、戦士でも、男でもない。

「さぁ見せてみろ、少年達!お前らが会得した、水の心構えというものを……!」

 またまた強襲したグランベリア。

 今の戦士達に、勝てるのだろうか……!?

流血表現

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