もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
またまた強襲したグランベリア。
その目の前で戦士達が始めた事とは……
「じゃんけん、ぽんっ!」
「あいこでしょ!」
──なんと、じゃんけんだった。
「なに……!?」
グランベリアは、構えながら驚嘆する。
意味は分かる。じゃんけんで勝った方が、グランベリアと戦おうというのだ──一対一で。
「なっ……ふ、二人で戦わんか!ドアホめ!貴様らに勝ち目は無いぞ!」
アリスが焦り気味に、二人に言う。
しかし彼らは、じゃんけんを続けた。
「……あいこでしょ!」
……勝ち目が薄い事ぐらいは承知してる。だったらせめて一対一でやって、悔いの残らないように戦ってやる!
「おっしゃーっ!俺の勝ちーっ!」
「……」
ヴィクトリーが、チョキで勝ちを名乗る。
ルカは、「よ、よかった……」という感情と「ちっ、あいつが先かよ……」という感情が混ざったような表情で下がった。
「……武道家、まずは貴様が相手か……」
「武闘家だけどさ……所で、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「何だ?」
「おめぇの目的はルカの筈だろ。何故俺まで?」
「そんな事か……決まっているだろう、私は今ここで貴様ら二人とも倒すつもりで来たのだ!」
「へぇ〜……」
ヴィクトリーは指をボキボキと鳴らし、軽くジャンプしてから構えた。
「それじゃあ、俺も最初から全力で行かねぇとな!今ここであっけなくやられちまったら、これまでの旅がパァだ!」
「そういう事だ……!」
「行くぞっ!!」
ヴィクトリーは気を解放し、グランベリアに突撃した。
「がぁっ!」
前蹴りを放つが、それは見切られ、横っ腹に蹴りを入れられた。
「ごふっ!?」
ヴィクトリーはぶっ飛ぶが、すぐさま体制を立て直してグランベリアの周りを飛び回り、背後から強襲した。
「ふんっ!!」
グランベリアは剣を薙ぎ払い、ヴィクトリーをぶっ飛ばした。
彼は壁にぶっ飛ばされ、叩きつけられてしまった。
「い、いってぇ〜……!お〜いてぇ!やっぱつえぇな……!」
壁から降りて、剣が叩きつけられた所を擦る。刃で切りつけられたものの、少し切り傷がある程度で、胴は繋がっていた。
「……10倍界王拳とやらを使うがいい。」
「……え?」
「アルマエルマから、貴様の事は及んでいる。さっさと全力を出せ!」
「……はは、バレてた?」
ヴィクトリーはそう言いながらも、「やっぱりな」という表情を浮かべて笑った。
「……じゃあ、遠慮なく……!!」
ヴィクトリーは腕をクロスし、気を全開放した。
確かに、10倍の界王拳を使っていた……だが、以前のような赤いオーラが見えなかった。
「どうだ!これが全開の10倍界王拳だ!」
「……っ……なるほど、凄まじい戦闘力だ……!」
ルカとアリスはその様子を見ながら、話をする。
「か、界王拳特有の赤いオーラが消えてる……!」
「いや、今のヴィクトリーの界王拳は凄まじいぞ。」
「なっ!?」
「……余計な気を使わず、比較的安定している。これなら気の消費も最小限に抑えられ、長期戦にも耐えられる……そして、何より界王拳の効力そのものも大幅にアップしている筈だ。おそらく、貴様と修行している内に編み出したのかもな……澄み切った水のような、界王拳を……」
「……」
ルカは、歯噛みした。
せっかく、炎の精霊の力を会得したのに……また、いつの間にか追いつかれていた……悔しいけど……今はヴィクトリーに賭けるしかない!
「がぁっ!!」
ヴィクトリーはグランベリアに踏み込んでから顔面を思いっきりぶん殴りにかかった。
「っ!?」
グランベリアの反応が少し遅れ、拳が顎にカスった。
「だっ!」
次に腹に拳を放った。これは命中した。
「ぐぶっ……!?」
「どりゃあーっ!!」
更にアッパーカットを決め、グランベリアの体を上空にぶっ飛ばした。
「ぐっ!」
グランベリアは空中で留まり、ヴィクトリーの方を見る。しかし、そこに彼はいなかった。
「なに……!?」
「こっちだっ!!」
ヴィクトリーはどこからともなく飛んできて、グランベリアの脇腹に蹴りを放った。
彼女はぶっ飛び、壁に叩きつけられた。
「……グランベリア、本気を出せ!こんなモンじゃねぇはずだ!」
「……ふん。」
グランベリアは立ち上がり、気を解放する。そして、ヴィクトリーに歩み寄った。
彼も同様に、彼女に歩み寄る。そして、二人は胸と胸の間1センチの所まで来た。
本当は顔と顔まで近付きたいのだが、グランベリアはそこそこ胸が大きく、彼女の鎧が胸に当たってしまうだろう。故に、この距離が一番と見た。
「……こいよ。」
「ああ!」
グランベリアは剣を振り下ろし、ヴィクトリーがそれを避ける。
彼は脇腹にパンチを放ち、彼女はそれをバックステップで避けた。
「がぁっ!!」
「っ!?」
その瞬間、グランベリアは気合砲でヴィクトリーをぶっ飛ばした。
「……初めて貴様と相対した時の決まり手が、これだったな……」
ヴィクトリーは吹っ飛びながら、額に指をつける。そして、グランベリアの背後に瞬間移動した。
「昔のハナシだろ!」
「……っ!」
グランベリアが背後を振り向こうとすると、既に頬に拳が迫っていた。
「がぁっ!」
彼女はその腕を掴み、拳を止めた。
「じゃあ、これならどうだ!」
ヴィクトリーは拳を開き、片手でかめはめ波を放った。
しかし、グランベリアはそれを見切って避けた。
「なにっ!?」
「ふっ!」
グランベリアはヴィクトリーの手を弾き飛ばし、懐に入った。
「うわっ!?」
「魔剣・首刈りっ!!」
ヴィクトリーの喉元にドズッと剣が突き上げられ、体が上空にぶっ飛んだ。
「ぐ、ぐえぇ……!!?」
「フルパワーだ……!!」
グランベリアは剣の柄を持ちながら気を解放し、その姿を消した。
「死剣・乱れ星ッッ!!」
次の瞬間、ヴィクトリーの体中に無数の重圧な斬撃が走った。
「が、がはぁ……!!?」
「……ふん。」
グランベリアは現れ、ヴィクトリーの方を見る。
彼は大ダメージを負って宙を舞い、白目を剥きかけたが……すぐさま意識を取り戻し、体制を整えて着地した。
「なに……!?」
「はぁっ……はぁっ……!い、今のはやばかったかもな……」
そう言いながらも、フラフラだ。
「……いや、アルマエルマから及んでいる。お前は鉄の意思で何度も立ち上がり、勝利にしがみつくタフネスと気合いと意地を備えていると……」
「……それがどうした。」
グランベリアは構え直し、気を全解放した。
「ならば……どう足掻いても超えられぬ壁というものを見せてやる!!来い!!ヴィクトリーっ!!」
そう言いながら、灼熱がグランベリアの剣を包む。凄まじい熱気と威圧と気の嵐が吹きすさび、ぶっ飛ばされそうになる。
ヴィクトリーはそれに怯まず、手を合わせてエネルギーを集中させた。
「10倍界王拳のフルパワーのかめはめ波だ……!!」
「お互い、全力というわけか……!行くぞっ!!」
二人は激突し、一瞬のぶつかり合いの後、着地した。
「……乱刃・気炎万丈!!」
「……っ!!?」
グランベリアが鞘を納めた、次の瞬間だった。
ヴィクトリーの体中に無数の灼熱の斬撃が走った。
「がはぁああああっ!!!」
「なっ……!?」
かめはめ波がグランベリアの技に消し飛ばされ、彼女の技がヴィクトリーに炸裂したようだ。
彼は、バタッと倒れた。
「ヴィクトリーっ!」
「く、くそぉ……!!」
ヴィクトリーは立ち上がろうとしたが……白眼を剥いて完全に気絶してしまった。
「生憎だが、私はアルマエルマより甘くはない……もうそいつはしばらくは立てないはずだ……」
「く、くそ……!!」
あの凄まじいタフネスのヴィクトリーが倒れた。これは、本格的にマズイぞ……!
「さて、次は貴様の番だ、ルカ!」
グランベリアはヴィクトリーを蹴り飛ばし、ルカに剣を向けた。
「や、やるしかないか……!!」
ルカは剣を抜き、構えた。
何にしろ、ここは水の力を使わないと確実にやられる……!
「ウンディーネッ!!」
ルカは、すかさずウンディーネの力を使った。そして、水に浮かぶ葉のごとく揺れている……
「ほう……?」
グランベリアはそのルカに勢いよく切りかかった。
だが、彼は流水の動きでかわした。
「……」
「っ……!」
そして、流れのままにカウンターしてから距離をとった。
「……」
「なるほど、確かに本物のようだな……」
グランベリアはそう言って、気を納める……
「……?」
「だがな……」
次の瞬間、グランベリアの攻撃がルカに炸裂した。
「ぐはぁ……!?」
なんと、水の心を持ってさえしても見切れなかった。
「私は、その遥か先の世界にいる……!」
「そ、そんな……!」
なんと、グランベリアもその境地に達していたのだ。
「いい事を教えてやる……私は五歳でこの明鏡止水の世界にたどり着いた……要するに私と貴様の明鏡止水は、磨きが天と地ほどの差があるのだ。」
「な、何だって……!?」
次々と明かされる事実に、衝撃を覚える。
圧倒的な差に物怖じしてしまうルカだったが……
「……やるしか、無い……!!」
「来い……」
二人は構え、水の流れに心を集中させた……
しばらくしてから、互いにぶつかり合ってから距離をとった。
「はぁっ!」
「ふんっ!」
ぶつかり合う剣と剣。それらが火花を散らしながら、踊るように舞う。
「うぉおっ!!」
「はぁっ!」
すると、互いの剣が打ち上げられた。
「やっ!」
「くっ!」
グランベリアの廻し蹴りをしゃがんで避け、腹にパンチを放つ。
彼女それをいなして、彼の足を踏みにかかった。
だが彼は流れるように足を引き、もう片方の足で彼女のこめかみに廻し蹴りを放つ。
「やるなっ!」
グランベリアはしゃがんで避けながら、ルカに足払いをかけ、真っ直ぐに蹴り飛ばした。
「ぐっ!はぁっ!」
だがルカは踏ん張り、ジャンプしてグランベリアの顎を拳で打ち抜いた。
「っ!」
「はぁっ!」
そこに互いの剣が降りてきて、二人ともキャッチし、そして剣技のぶつかり合いが再開する。
「がっ!」
「やぁっ!」
グランベリアの剣を捌き、ルカの剣をいなし、剣を避け、剣を受け流し……そして、二人はまた距離をとった。
「遊びは終わりだ……ヴィクトリーを倒した、この奥義で終わらせよう!」
「ぐっ……!?あの奥義か……!?」
この世界で最高峰のグランベリアが放つ奥義……あの技をまともに食らってしまったら、ただではすまない。
ここで、サラマンダーがルカに語りかけてきた。
「まずい、あの技は防御も回避も不可能だ……!こちらも連撃技を繰り出し、相殺するしか道は無いぞ!」
「分かってる……!」
ルカは気を全解放し、出せる限りの力を振り絞り、フルパワーになった。
「はぁあああ……!!」
「がぁあああ……!!」
どうやら、グランベリアもフルパワーになったらしい。これで、お互いの準備が整ったというわけだ。
「死剣・乱れ星っ!!」
「乱刃・気炎万丈っ!!」
二人は同時に消えた。
その場に不気味に空を切る音が響く……
「……」
「……」
そして二人は背中を合わせるように現れ、剣を納めた。
次の瞬間だった。
「うわぁぁぁぁッッ!!!!」
「……ッ!!」
互いの体中に、斬撃が走った。
ただしルカがくらった斬撃は重く、熱く、圧倒的な斬撃だった。その威力で彼の体は舞い、地面に転がった。
「ぐはっ……!!」
乱刃・気炎万丈……やはり、実際にくらってみると凄まじい剣技だった。僕の放った死剣・乱れ星など比較にはならない。
「見事……我が奥義を受けながら、私にここまでの手傷を負わせるとはな。」
グランベリアの方も、ノーダメージでは無かったようだ。だが、ダメージは歴然たる差があった。
「う……ぐ……!!」
なるほど、ヴィクトリーが倒れる訳だ……僕にはもうハナクソをほじる気力も残されていない……明らかに、僕達の完敗だった。
「……さて、介錯するか。それとも……」
「グランベリアよ……」
今まで黙っていたアリスが、おもむろに口を開いた。
「ルカは、たった今サラマンダーの力を手に入れたばかり。当然ながら、まだ使い方さえ知らない。これを極め、四属性の使い方を知れば……まだまだ、こいつは強くなるだろうな。」
「それまで待て……と、そう仰せですか?」
「……単に、余は事実を言ったまでよ。生かすか殺すかは、貴様の好きにするが良い。まだまだ育つ実を、熟さぬうちにもぐのも貴様の自由という事だ……」
「……」
グランベリアはヴィクトリーに剣を向けた。
「ならば、こいつはどうします?」
「……そいつはサラマンダーの力を持っていなければ、四精霊の力すら持ってはいない……たが……」
「たが……?」
「この男、戦って死の淵から這い上がる毎に強くなるのだぞ。」
「……通りで、ついてこれる訳だ……この武闘家が、あのルカに……」
グランベリアはそう言って、剣を納めた。まるで、最初からこうするつもりだったと言わんばかりに。
「……魔王城で待つ。」
そう言い残して、グランベリアは去っていった。無駄な言葉を一切省いた、シンプルな挑戦のセリフを残して……
「ふむ……助け舟を出すまでもなかったか。グランベリアの奴、あくまで様子見だったらしいな。」
「様子見で、これだよ……」
ルカは、地面にひっくり返ったまま呟いた。そんな情けない姿を、アリスはまじまじと見る。
「……どうでもいいが、酷い怪我だな。これは下手をすれば、一生剣を持てない体になるやも知れんぞ。」
「いやいやいや、どうでもよくないよ!!そんな事になったら、大変じゃないか!!」
「……まぁ、それは並の戦士だったらの話だ。貴様なら、半月ほど安静にしていれば動けるようになるはずだ。」
「は、半月も……?そんな長い間、旅を中断しないといけないのか……?」
アリスは、尻尾でルカの身体を抱え込んだ。
「話を最後まで聞け……問題は、ヴィクトリーの方なのだ。」
「ヴィクトリー……?」
「あぁ……」
気絶しているヴィクトリーを、アリスは僕の横に抱える……
「……!!」
彼は息をしていなかった。
「ヴィクトリーっ!!うぐっ……」
ルカは吐血しながら、大声を上げた。
「安心しろ、まだ生きている。しかし、あのグランベリアの大技をまともに食らったとはいえ……ヴィクトリーがこのザマでは旅は出来まい……」
「……」
あのタフネスの塊だったヴィクトリーが、グランベリアの手で昏睡状態にまで追い込まれていた。その事実に、僕の体は震え上がった。
「……ぼ、僕は……いつかあんな化け物と戦うのか……」
そうぶつぶつ呟く僕を横目に、アリスは歩を進める。
「とりあえず、近くの町まで運ぶぞ。ここからなら、ゴルドポートが近いな……」
「ああ、うん……手間を掛けて、ごめん……」
「……全く、とんだ手間だ。後でご馳走してもらわねば、割に合わんな……」
アリスはそう言って、二人を抱えて火山洞窟を出た……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい