もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
ゴルドポートの宿屋にて……ルカとヴィクトリーは激しい戦いで傷つき、負傷してしまった体を寝かせていた。
受けたダメージには差があり、ヴィクトリーの方は昏睡状態にまで陥っていた。
ルカはある魔王の過去の夢を見ていたが……ヴィクトリーが見た夢とは──
「……何だ、ここは……?」
精神と時の部屋のようなただひたすらに何も無い空間に立っていた。一応言っておくと、精神と時の部屋のような神殿部分はない。
「……俺は、グランベリアに倒されて……え〜っと……」
その空間をグルグルと歩いていると……背後からモンスターが強襲した。
「なんだっ!?」
「……」
モンスターの正体は……クィーンハーピーだった。
「く、クィーン!あんた、何でこんな所に!?」
「……」
ヴィクトリーの問答を聞かずに、彼女は脚でラッシュを仕掛けた。
「うわっ!?なにすんだ!やめろ!!」
「……」
無言のまま、ヴィクトリーの腹を真っ直ぐに蹴り据えてくる。
「がはっ……!!」
ヴィクトリーはぶっ飛ぶも、四つん這いになって着地する。
「……感じられる気は、クィーンそのものなのに……!!おめぇ、何者だ!?」
「……」
クィーンハーピーはヴィクトリーに近寄り、猛攻を仕掛けてくる。
「こ……のっ!!」
しばらくの攻防の後、ヴィクトリーは一瞬のスキを見てクィーンハーピーの顔面を思いっきり殴る。
その一撃で彼女の頭が紙細工のようにフシャッと弾け、肉体が消滅してしまった。
「な……!?」
「ほう……人の身でありながらここに来て、追憶の戦士を倒すとはな……」
驚くヴィクトリーの背後から、声がかけられる。
「くっ!?」
彼はそこに廻し蹴りを放ったが、あっけなく受け止められてしまった。
「な……!?」
「落ち着け、私は追憶の戦士ではない。」
ヴィクトリーの足を受け止めたのは……黒い羽衣に身を包んだ死神のような女だった。
「……おめぇはっ!?」
「私は死神……本来ならば冥府を管理している者だが……ここに何かが紛れていると聞き、やって来た。」
死神と名乗る女は、優しくヴィクトリーの足を離す。
「死神……!?じゃあ、俺は死んじまったのか!?」
「……完全に死んだ訳ではない。今のお前はいわゆる脳死状態にある。」
「それってほぼ死んだって事じゃねぇか……どうすんだよ!ルカの旅についていけなくなっちまう!」
ヴィクトリーは死神から背を向け、走り出す。背を向けられた彼女はその身を浮かせ、スーッと水平に移動してその背を追った。
「何とかここから出ねぇと!」
「無駄だ。ここは冥府の一つ手前……お前一人では断じて不可能だ。」
「なに……!?」
「私の手を借りれば、帰せない事も無いが……」
「それは本当か!?」
ヴィクトリーは止まり、死神の方を向いた。
「ど、どうすればいい!?何でもするからさ!何とかしてくれよ!」
「……」
死神は、少しばかり困った顔をした。
「お前、この世界の住人では無いだろう。」
「な……!?なんで分かった!?」
「本来のこの物語にお前は居ないはずだ。やはり、一つの平行世界が狂うと、別の世界まで狂ってしまうのか……?」
なんとも言えない顔で、言い続ける死神。
「……?何言ってんだおめぇ。」
ヴィクトリーは疑問を口にするが、彼女は答えなかった。その代わり、彼の目を真っ直ぐ見る。
「……まぁいいだろう。少しばかりお前に興味が沸いた……」
彼女そう言いながら、指パッチンをした。すると、今度は七尾が強襲してきた。
「うわっ!?」
「この追憶の間はお前の記憶から戦士を生み出す空間……その全てに打ち勝つ事が出来たら、手を貸してやろう……ただし、勝てなかった場合はお前はその程度の存在ということで、冥府に連れていく。」
「……なんだよ、そんな簡単な事でいいのかよ。」
ヴィクトリーはそう言い、ニヤッと笑った。
「せいぜい足掻くのだな。」
死神はそう言い、安全な所に座る。
「よし、こい!!」
ヴィクトリーがそう言うと、応じるように七尾が彼に突撃してきた。
「ふんっ!」
ヴィクトリーの拳が、彼女の胸を貫いた。その身体は、塵となって消滅する。
「おっしゃあ!」
その背後から、クラーケンが触手で叩き潰してきた。
「……」
「油断したなぁっ!!」
ヴィクトリーはクラーケンの背後に瞬間移動し、その頭に廻し蹴りを放った。彼女の頭が吹っ飛び、その身体も消えた。
次の瞬間、彼の体が誰かにホールドされた。
「なっ!?」
この冷たくも豊満な質感……間違いない。
「フレデリカか……!!」
「フレデリカだけでは無いぞ。」
死神がそう言うと、彼に二つのエネルギー弾が迫ってきた。
「うわっ!?」
そのエネルギー弾に直撃してしまう。
フレデリカは直撃を確認した瞬間に逃げたようだ。
「ぐ……」
しかし、所詮は『あの時』の敵。大したダメージにはならない。
「……おめぇは……」
今、対峙していたのは、クロムとフレデリカだった。
彼女達は、ヴィクトリーに飛びかかってきた。
「だりゃあああっ!!」
だが彼は無数の蹴りを彼女達の全身に放ち、一瞬で片付けた。
だが追憶の戦士は次々と襲いかかってくる──
「うぁありゃああーーーっ!!」
キメラドリアード、リリィ、ヤマタノオロチなどといった超強敵を相手を一瞬で片付けていった。
「……強い……!これが、異世界の人間の力なのか……!?」
驚く死神の前で、クィーン・ビーやディーナ、ゴーレムにクィーンアントなど──かつての強敵達をなぎ倒していった。
そして、あっという間にカサンドラが現れた。
「どぉりゃああーっ!!!」
あれだけ苦戦していたカサンドラと、互角以上の戦いを繰り広げるヴィクトリー。彼女の
「……」
カサンドラはしびれを切らし、ヴィクトリーにヘルドライバーを放った。
しかし彼は瞬間移動でそれを避け、彼女の背後に回った。
「10倍界王拳かめはめ波だぁあああーーーっ!!!」
ヴィクトリーの放ったフルパワーのかめはめ波が直撃し、カサンドラは消滅してしまった。
「よっしゃあ!」
「……」
喜ぶヴィクトリーの背後に、また追憶の戦士が現れた。
「次はおめぇか……っ!?」
その追憶の戦士は……なんとルカだった。
「そいつが最後の戦士だ……ただ、そいつは凄まじく強いぞ……」
死神がそう言い終わった後、ルカは剣を抜いた。エンジェルハイロウではなく、殺傷用の鉄の剣。
そして、ヴィクトリーに刃を向けてから構えた。
「……」
ヴィクトリーはニッと笑い、軽く跳躍してから構えた。
「……」
二人は対峙し、互いを見据えた。
「……はぁっ!!」
そして、激突した。剣技と拳が激しくぶつかり合い、追憶の間を揺らす。
「……たかが人間のぶつかり合いで、ここまでのエナジーが響くとは……」
「……」
ルカはシルフの力を開放し、スピードアップした。
「なっ!?」
「……」
そしてヴィクトリーの背後に回り、その首に横一文字の斬撃を放った。
しかし、斬撃は彼をすり抜けた。
「……」
「こっちこっち!」
ヴィクトリーは、ルカの背後に居た。
「……」
ルカは剣を構え直し、再び切りかかってきた。
その斬撃をヴィクトリーは素手で受け止める。
「やぁっ!」
その剣を掴みながら、腹を真っ直ぐに蹴り据えた。
「……」
「だだだだだだ……!!!」
その調子で、「ズドドドドッ」と蹴りを連打する──が、こたえてる様子は無さそうだ。
「……まさかっ!!」
そのまさかだった。ルカはノームの力を解放しており、鋭い蹴りに耐えていた。
そしてそのノームの力で、剣ごとヴィクトリーを持ち上げる。
「うわっ!?」
咄嗟に手を離そうとするが、もう遅い。
そのまま、地面に叩きつけられた。
「ち……!」
剣から手を離し、ルカの方を見る。
彼は疾風の動きでこちらに迫り、剣を振るってきた。
「10倍界王拳っ!!」
その斬撃のラッシュをフルパワーで切り返し、逆に拳で圧倒してみせた。
「……」
ルカはそのラッシュの隙を見、その懐に入って魔剣・首刈りを放った。
「おっと!」
ヴィクトリーはその剣先を手で受け止めてから、腹に膝蹴りを叩き込んだ。
それをモロに受けたルカは腹を押さえて悶絶した。
「容赦する気はねぇぞ!!」
悶絶するルカに、ヴィクトリーは凄まじい猛攻を仕掛けた。
「……」
次の瞬間、ルカの姿は消え、ヴィクトリーに背を向けるように現れた。
「……っ!!」
案の定、無数の斬撃が全身に走った。
「負けるか……!!」
だがヴィクトリーは踏ん張り、ヒュバババッと手を動かしてからある構えに入った。残像が残るほど激しく手を動かしてから、人差し指と親指を合わせて手を広げ──
「バーニングアターック!!!」
そう、トランクスの技である。
ヴィクトリーは、ルカにバーニングアタックを放った。
そのバーニングアタックはルカの背に直撃するかに思われた……
「……」
ルカは、流れる水のようにゆらりとそれを避けた。
「……今度はウンディーネか……」
「……」
彼は目を瞑り、精神を集中させ、水の流れに身を委ねていた。
「……」
ヴィクトリーは構え直し、目を鋭くする。
「……」
「……」
先に仕掛けたのは、ヴィクトリーだった。
瞬間移動でルカの背後に移動し、廻し蹴りを放った。
その廻し蹴りを避け、流れのままに剣を振るう。
だがヴィクトリーはそれを避け、気弾を放った。しかし、それは剣で切り弾かれる。
そうしている間にヴィクトリーはルカの懐に入って足を払いをかけた。
ルカはその足払いを跳んで避け、後ろ回し蹴りを放った。その足を受け止め、地面に投げた。
ルカは投げられる寸前で両手を突き出し、逆立ちをして耐えて見せた。更にヴィクトリーの方に倒れてその首を脚で挟もうとする。が、彼はすぐさまに飛び退け、距離をとった。
ルカは地面に足をつき、ヴィクトリーに飛びかかり、壊斧・大山鳴動を放った。
それを瞬間移動で避け、ルカの背後に回り、蹴りを放った。が、それも避けられてしまった。
「……やるじゃねぇか。」
「……」
勇者と武闘家の、互角の攻防。
だが、ヴィクトリーは余裕の表情を浮かべていた。
「……よっと!」
ヴィクトリーは、靴をルカの顔面に飛ばした。その靴は撫で切り払われた。
「あっ!おめぇ、その靴気に入ってたんだぞ!」
「お前が飛ばしたんだろうが……」
死神のツッコミを無視し、戦士達はぶつかり合う。
「……何故靴を……?靴を脱げばパワーアップするのか……?」
死神はぶつかり合う戦士達の横目で、靴を持ち上げてみた。
「……!これは……!」
その靴に一瞬の違和感を感じた瞬間、その違和感の正体に気付く。
「……なんという古典的な……」
彼女はそう呟きながら戦士達の戦いを見つめていた。
「はぁっ!」
ヴィクトリーは、ルカの顔に蹴りを放った。
「……」
だがルカはそれを流れるように避けた……かに思われた。
「そこだっ!」
ルカの髪の毛を足で掴み、そして膝を曲げてこちらに手繰り寄せる。そして、その顔面を膝で打ち抜いた。
「……」
ルカは鼻血を垂らしながら地面に踏ん張り、頭を傾けて無理矢理ヴィクトリーの足を引き剥がした。
「うわっ!?」
「……」
更に剣を寝かせ、瞬剣・疾風迅雷を一閃してきた。
「ぎゃっ……!?」
直撃し、ぶっ飛ぶヴィクトリー。
「……」
ルカはそれに追いつき、無数の斬撃を放った。
「うわっ!?ぎゃあっ!ぐぁっ!おぐっ!ぎゃっ!」
次々に斬撃が叩き込まれ、苦悶する。
「……」
そして切るだけ切った後、跳躍し、その顔面に両足蹴りを放った。
「うわぁあああっ!!」
ヴィクトリーはその一撃でぶっ飛ぶが、すぐに体制を立て直して着地した。
ルカは、そんな彼に切りかかろうとしていた。
「そろそろだな……」
その時だった。
「……」
ルカのウンディーネの力が解けた。そう、この流水の力の弱点である気力の消費を狙っていたのだ。
「そこだぁっ!!」
そして、ヴィクトリーは拳に全てを込めた一撃を放った。その拳は、ウンディーネの力が切れたルカに、直撃する。
「うぉおおおおおッッ!!!」
ヴィクトリーから、黄金のような気が噴き出す。それは彼を包み込み、爆発と共に龍の姿へと変えた。
「……これは……!?」
死神も、彼から放たれるエナジーに驚愕する。
「どぉらぁあああああーーーっ!!!!」
「……!」
龍はルカを貫き、またヴィクトリーの姿になる。
彼はルカに背を向けるように着地し、立ち上がる。その次の瞬間だった。
「……!!」
ルカの体が大爆発し、その身体を完全に消し飛ばした。
「……」
ヴィクトリーは拳を掲げ、勝ち名乗りを上げた。
「どうだ!全部倒したぞ!」
「……見事だ、異世界の強き人よ……」
死神はそう言いながら、ヴィクトリーの背後に現れた。
「ヴィクトリーって呼んでくれよ……それで、返してくれるのか?」
「……まぁ、約束は約束だからな……」
死神の手に禍々しい鎌が現れる。そして、その鎌で次元を切った。
「おおっ!」
「ここから出れば、この世に帰れる……後は好きにするがいい……」
「サンキュー死神さん!じゃあまた次に会うときは俺が死んだ時になるのか?」
「……それは、どうだろうな……」
「……?」
煮えきらない回答に、疑問するヴィクトリー。
「……いいから、行け。お前にはこの世でやる事があるのだろう?」
しかし彼女はそう言い、ヴィクトリーを追い払うように言った。
「あ、あぁ!じゃ、またな!」
ヴィクトリーはそう言って次元の裂け目に入り、彼を入れた次元の裂け目は閉じてしまった。
「……不思議な人間だ……」
死神はそう呟くと、冥府に帰っていった……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい