一年前に失踪した幼馴染が異世界から帰ってきた件。 作:翠晶 秋
「……平成も終わりかあ」
「ん?どうした、空良」
ニュース番組を見ながら、空良はぼそりと呟いた。
「平成もさ、終わりになるんだって」
「それはこの前話したろ?新元号の事なら、ノンピュールと一緒にさ」
「うん。そーなんだけど、なんか寂しいなってさ」
「そうか……」
「と、言うわけで!」
「仙くん?」
「普段は
「仙くんっ?」
「今回は特別、この方をお呼びしました!」
「~~~~~~ッはい!こんにちわんばんこ!
「作者のアキさんに来ていただきました!」
「控えおろー、少年少女!創造神のお通りだ!」
ドドン!と効果音が付きそうなほど勢いよくポーズを決めたこの少年……もしくは少女は、アキ。
皆さんご存じ、ちょっとお茶目でチャーミングなライターである。
「作者さんか……登場するのは二回目だよね?」
「yes!ご愛読の皆様に説明すると、ここは本編いっっっさい関係無しのメタ空間!いつもじゃ言えないことも遠慮なく言っちゃうぞ!」
「今回は会話メインの回になりそうだから、描写も少なめにするらしい」
アキはそのダークグリーンの現実離れした髪の毛を揺らしながら頷く。
空良は場所がいつの間にか仙の家からラジオスタジオのような場所に変わったことに驚きつつも口を開いた。
「で、なんで作者さんは来たの?」
「へいへい辛辣だなスカイガール。まあかけたまえよ。冒頭で言った通り、今日で平成が終わるでしょ?アキさんもばりばり平成人だから、感傷にひたりに来たんだよ!」
「他の小説とか活動報告じゃなくてもいいの?」
「んー……。なんか自画自賛になりそうなんだけど、ワタシの小説で一番人気があるのはこの小説なんだよね」
どこからともなく取り出したパソコンを机に設置しながら小説投稿サイトのハーメルンにログインするアキ。
投稿小説リストを開くと、『一年前に失踪した幼馴染が異世界から帰ってきた件。』という小説に唯一、黄色の帯が付いていた。
「だったら、見てくれる人が百人以上いるこの小説で祝った方が、ワタシの存在を多くの人に認めてもらえるじゃない?」
小さくウインク、アニメがごとく星をキランッさせたアキは椅子に座り直す。
「さて、雑談で900は文字を使っちゃった。ねえ仙さん」
「ん?俺?」
「明日から新元号だけど、君はどう思う?」
「どう思う、か。難しい質問だなぁ。俺は特に何もないかな」
「KYか」
「え?」
「なーんでもありませーん。じゃあ空良ちゃん、どう思う?」
話を振られた空良は慌てつつも、しっかりと言葉を選んで返していく。
こんななりでも創造神、もしかしたら『仙たちの冒険は、まだ始まったばかりだ!』……的な急な終わり方になってもおかしくはないのである。
……いやおかしいのだが。
「そっ、そうですね……。私は、また新元号も仙くんと一緒に過ごせたらいいなって思ってます」
「本編みたいな軽い口調でいいよぉ。しかしそっか、仙といたいか」
「はっ、はい!」
「その心は?」
「えっ、あ、その、好きなので!!」
「うむ、我ながら良いキャラを作れたな。可愛い。ほれ仙、褒めておやり」
「え、えーと……よくやったな、空良?」
躊躇いながらも空良を撫でる仙。
なんのことで褒められたのかわからない空良は、しかし押さえきれない喜びをはにかむ形で顔に出した。
アキは鼻から血を流した。
「ってええ!?」
「最近ね……。感情が高ぶるとすーぐ鼻血でるのよ……。ワタシの体が病弱になってるのか知らないけど、そのせいでベッドでアニメ見てたらシーツがおしゃかになったからね」
ぐいぐいと鼻にティッシュを詰めながら、アキは「気にしないで」と手を振る。
しばらくしてアキがティッシュを抜くと、鼻血は収まっていた。
実話だ。
我ながら不思議な体質だとつくづく思う。
今度病院に行こうかな。
「しっかし新元号!令和ブームがすごいね!ショッピングモールとか言っても令和セールとか令和フェスとか」
「えっセールやってんの。行かなきゃ」
「でも『令』か『和』の漢字が名前に含まれてなきゃ割引にならなかったり」
「なんだよ……」
「ねえ仙くん、なんでこの状況になれてるのかな。私、まだ心臓ばっくばくなんだけど」
胸に手を当てる空良を尻目に、仙はどこどこアキに詰め寄っていく。
「ところで、アキさん」
「ぬん?なんじゃい」
「各 小 説 を 1 日 1 話 投 稿 す る の で は?」
「──────」
時が、止まった。
比喩ではなく、創造神たるアキを含めるその場の物、者、全てがその活動を停止した。
時の奔流は急停止したことにより次元をねじ曲げ、そして急速に戻っていく。
金色の、赤色の、紫の、様々な光がアキの脳内で弾け、変色し、そして無へと戻っていく。
その瞬間、アキの脳内に一つの
「ナンノコトヲイッテルノカ、ワカラナイデゲス」
「誤魔化すな。風邪だなんだと言っておき、なぜ休んでいる間に一文字も執筆しないんだ?新元号なのに?」
「う、うるさいうるさいうるさい!しょうがないだろ、頭いたかったんだから!」
「ほー?アキさん、あなたの座右の銘はなんでしたっけ?」
「イワナイ」
「『他人の関わることは絶体優先』」
「あああああああ!」
どこから取り出したのか、達筆な字でアキの座右の銘が書かれた紙を見せつける仙。
その顔は、まさに鬼や悪魔。
「ゆっ、ゆーしゃ!勇者ソラ!こいつを倒して!このままじゃボクに多大なダメージを負わせかねない!」
一人称にちょっと地が出ていながらも叫ぶアキ。
少しの間が空いた後、空良はぺこりと頭を下げた。
「好きな人は切りたくありません」
「ちくしょおおおおお!」
「なあ?どうしたんだ?日頃、俺たちに厄介事を解決させているアキさんよお?お?耳ん中に指入れて、奥歯ガタガタ言わしたろかい!」
「ひいいいい!キャラ違うよぉぉおおお!なんでちょっとギャグのセンスが昔よりなんだよおおおお!」
時空がねじ曲げられた空間の中、アキの絶叫が響いた。
後に、アキは語る。
「もうあんな
◇
結局、ただワタシとキャラクターがくっちゃべってるだけでしたね。
新元号も、ワタシ、翠晶 秋をどうぞご贔屓に。
え?最後の帰ってくる宣言?
知らないよ、真相は5月15日を待たれよ。