東方異形録・再   作:TsuKi Aka

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一日目-2:うぇるかむ幻想郷

 太陽の光で目を覚ました。まだ体感では6時間も経っていないだろう。私はベットの上で横になっていた。ふと横を見る。魔理沙さんがこちらを見ていた。

「よお。大丈夫か、急に倒れたからびっくりしたぞ?」

「もう大丈夫です、ありがとうございます」

 簡潔に礼をすませて、私はベットから起き上がる。床には本が散らかっていて、辺りには蛇や蜘蛛がうろちょろしていた。私は虫や爬虫類にはそこまで苦手意識がないらしかった。魔理沙さんの奥にはビーカーに入った色とりどりの液体が乱雑に並べてあった。……魔理沙さんは本当に魔法使いなのかもしれない。すいません、疑ってました。

「お前、もしかして何かあったのか?私でよければ力になるぜ。なんたって私は魔法使いだからな。妖怪でもなんでも解決してやるぜ?」

 魔理沙さんの事を信用していた私は、自分の事を伝えた。

 

「お前、向こうの世界から来たのか!?しかも記憶喪失だって!?大変だ……すぐに元の世界に戻してあげなくちゃな」

 魔理沙さんは驚きを隠せない様子だった。

「しかもその様子だと妖怪に一人も会っていないんだろ……?」

「はい、妖怪……?なんですかそれ?」

 魔理沙さんは「奇跡かなんかか……早苗とかと関係があるんだろうか」とぼそぼそとつぶやいていたが、私には聞き取れなかった。

「とりあえず、困ったときは霊夢に相談だな。私は博麗神社に出掛けようと考えているんだが、お前、当てがないなら私について来るか?」

 私は、その言葉に、「行きます!」と二つ返事で答えた。

「よし、準備するか。あ、その前に……」

 魔理沙さんは私に鏡を見せた。いや、私に私を見せたというのが正しいのだろうか。私の姿は黒い髪に金眼の女の子だった。私の服は、何処か歪さを連想させて、不気味に見えた。

しかし、やはり思い出せることは何もなかった。誰だこいつ。可愛いかよ。

「全然、思い出せない……」

「まぁそうだろうな。じゃあ用意を始めるか」

 私は用意をすることもないので、魔理沙さんの用意を眺めていた。すると、ふときき忘れていた事があるのに気が付いた。大事な事なので彼女に尋ねる。

「ここは、どこですか?」

「あぁ、言い忘れていたな」

魔理沙さんはこちらを向き言葉を続ける。

「ようこそ、幻想郷へ。ここはいろんな奴らがいる楽しいところさ」

 

 幻想郷という言葉は私の記憶には残っていた。情報はないが、聞いた覚えはある。私は幻想郷にいれば記憶を取り戻すことができるのを確信して、魔理沙さんと一緒に博麗神社へ向かうのだった。


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