機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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 どうも、皆様。初めましての方は初めまして。知っている方はお久しぶりです。以前は「藤和木弘」と名乗っておりました、「藤和木 士」です。「とうわき つかさ」と読みます。

 「機動戦士ガンダムDN」、投稿開始となります。以前の作品では、アシスタントやらも含めての前書き、あとがきでしたが、今回と次のプロローグ2だけは単独で紹介をさせていただきます。
 まずは、ここで謝罪を。前作「SSRと言う名のG」の更新停止、誠に申し訳ありません。停止以降も読んでくださる人もいるようで、悩みましたが、こちらを進めたいと思っていますので、理解していただけると幸いです。

 そして初めての方に向けて、本作は「SSR」と同じく、ガンダムなどのモビルスーツが人間大サイズ、そしてある意味パワードスーツ的な扱いとなっています。これはある意味、前作から変更すべきかと思った点です。
 ただ、元々この設定・原作で元々投稿しようと執筆開始当初思っていたので、それは崩したくない、ということでこのようになりました。

 なので頑強かつ、大地に立つガンダムを見たい!という方は、ここでブラウザバックをお勧めします。私もそこを言われても、設定として決めたことなので、としか返せません。(´・ω・`)
 他には、地名などを意図的に変更しています。これは歴史改変のタグで含めている内容です。理由は簡単に、そのまま使うのはどうかと考えたためです。

 では、記念すべき新作最初の話、プロローグ1をどうぞ。


プロローグ1 ビギンズナイト1

 数年前、「俺」は死んだ。と言っても、実際には死んではいない。そもそもそうであれば今ここで言っている俺は何なのだという話になる。正確には心が死んだ、ということだ。

 心が死んだ、となると色んなことを思い浮かべるだろう。深いショックを受けて立ち直れないだとか、薬のせいで精神が破壊されたとか。他にはちょっとSFチックに言えば、悪魔に魂を取られた……は、どちらかというとファンタジー単体だろうか。ともかくそれなりに並べたが「俺」の場合は最初の深いショックを受けた、というのが答えだ。

 「俺」には幼馴染がいた。けれど死んでしまった。命を失った。それを見て「俺」も心が死んでしまった。ただそれだけだ。けれども、それは今もなおその出来事は「俺」の心を殺し続けるのには十分な出来事であった。

 あの事件から5年……正確には5年と半年ほどだろうか。それだけの月日がたった。今日は国民の休日の1つ、成人の日。そして成人式だ。「俺」は20歳を迎え、今日は友人達と共に成人式、それに式の後のパーティーに参加する予定である。その友人達はもちろん「俺」と幼馴染の事は知っている。当時の事件が起こる前は茶化していた友人達だったが、事件以後は状況を察してくれている。とはいえ、当時の今以上の気負いからか、元から少なかった友人が更に少なくなったのだが。とはいえ、部活仲間が離れたくらいなら、それは問題ないのではとも思う。

 就職活動用として着込んだこともある、まだ硬さの残るスーツに袖を通し、服装を整え眼鏡をかけた「俺」は写真立てに目をやる。そこには、中学1年のこの時期より少し前の正月に幼馴染に撮らされた写真があった。そこには今より無表情さが全然ない、少し恥ずかしそうにする「俺」と、「俺」の方に顔を寄せて意地の悪そうな笑みを浮かべる幼馴染の少女が写っていた。

 永遠に20歳になることのできない、幼馴染の写真を手に取ると「俺」は呟く。

 

「分かってる。行けっていうんだろう。けど、俺はもう……行けない」

 

 過去の罪を置いては未来になんて行けない。それは未だに立ち止まり続ける「俺」の言い訳だった。だが、そうでもしなければ自分は現実と向き合えない。そう思い込んでいた。

 だが、それ以上の深い記憶の海に突入しようとしたところで、現実へと引き戻される。充電コードに差して机に置いていた携帯がバイブレーションを響かせる。写真立てを本棚に戻し、携帯の画面を起こす。画面にはSNSアプリの画面が表示されており、相手が友人グループの1人であることを知らせる。

 携帯の時計も既に約束の時間を少し過ぎている。そろそろ出ないと成人式に間に合わない、ということの知らせだろう。「俺」は手早く必要なものをスーツのポケットに詰めると、急ぎ足で階段を駆け下りていく。途中眠たげな妹に愚痴と少しばかりの祝いの言葉を頂いた後、親からの定期の挨拶が掛けられる。あまり返事をしない方だが、今日は色々と節目でもあるので珍しく返し、玄関を開けてその先で待っていた友人達と共に成人式へと行く。

 玄関に掛かる表札には「黒和」の苗字。そしてそこに続く4人の名前……その中に「俺」こと、「元」の名前があった。

 

 

 

 

 成人式が終わり、時刻は既に7時半。三枝県四河市(みえけんよつかし)の有名ホテル「四河グランドホテル」8階では既に「市立四河中央中学校」卒の新成人らが成人式後のパーティーに思いのまま盛り上がっていた。久しぶりの再会に号泣とまでは行かないが懐かしむ声と談笑にしゃれ込んだりと、既に活気に満ちていた。

 その少し離れた壁際に黒和元とその友人達もいた。飲み物を片手にメガネをかけた手先が器用そうな青年がその場にいた4人のうち一番身長が小さい、髪を刈り上げている同年代の男に話を振る。

 

「……で、そっちの学校はどうなんだ?道氏?」

 

「道氏って呼ぶなって……!まぁ、ぼちぼち。単位は落としてないから問題ないってーの。それより、既に働いてる組の平氏と海氏はどうなんだよ~、仕事と特にこれの方!」

 

 道氏と呼ばれた男は呼び名を訂正しつつも、返しと共に話を振った青年と4人の中で一番背の高い、少し暗めの眼鏡をかけた男に逆に質問を投げかける。髪を刈り上げた男の手は丸を作っており、それがお金のことを意味するということが分かる。表情からも、如何にもお金にがめつそうな表情だ。

 しかし、ため息をつきつつも、いつもの様子といった具合で青年と暗めの男がその問いに答える。

 

「ホント、そういう関連ばっかだな、道氏。……2年目だけど、まだ慣れてるところの方が多い気がするよ。それよりも、上司がいちいち突っかかってくるのが気に入らないけどな。あ、給料はそれなりにもらってるぞ。趣味に十分使えるし」

 

「がめついなぁ、道氏も……。あー……俺も北さんと同じくって感じかなぁ……。けど、俺の場合はミスも多いし、それで納期がやばいってなって定時超えることもよくあるけども……。それで、給料は俺も平均くらいはもらえてるかな」

 

 各々の仕事内容と給料をはっきりとではないものの、ちゃんとやっていること、もらえていることを示す2人。話を聞いた本人も納得を示すも、ただ一点の事だけは指摘する。

 

「はー、流石ですわ、働いてる2人は!というか、道氏はやめろって!」

 

「えー、いいじゃん。道氏は俺らの事を海氏とか平氏とか呼ぶんだし」

 

「まったくもってだな。元にも……というか、今更だが何で元だけ、元氏とかじゃなくて和氏なんだよ」

 

 自身の名前である元という声にも気づかず、俺は遠くを見ていた。と言ってもその先はカーテンに覆われたステージ。なんでも、今日は特別な「お披露目」があるのだという。だが、今の元の目線はステージを見ているというものではなかった。正確には「今この光景を見ている自分は一体誰なのだろう」というものであった。

 異質かもしれないが、あの事件以来、元はこういうことに陥ることがある。当時を振り返ってみればそれは現実を受け入れられないが故の呆然さが前に出ていただけのことだった。しかし、今なお続くこれはどこかそれとは違う。まるで今あるこの景色を見ている自分は、別の誰かのように思えてしまうようになったのだ。

 とあるオカルト系サイトではこの世界よりも高次元の生命体が自分達を動かしている、なんて話もあったが、そんなものではない。ここにいる自分がこの世界に合っていないように感じられたのだ。心療内科などでは、事件のショックによるものと推測された。きっかけとしてはそうなのだろうが、しかしこの感覚はどうも違っていた。

 意識が無になるかのような感覚でジッとカーテンを見つめる元。その耳に、道氏と呼ばれていた男の声が響く。

 

「―って、おいっ!和氏!!」

 

「―――っ!な、どうした、ZE-ON(ゼオン)

 

 咄嗟にその名を呟く元。道氏とは全く関係のなさそうな名前で、誰かが聞いていれば名前を間違えたのか、と笑うところだろう。だがZE-ONと呼ばれた道氏という男はそのまま頭を抱えつつも、少し違う方面で叱る。

 

「いや、あんまりここで俺のブロガーとしてのネーム出されると……読者がどこにいるか分からねぇしよ」

 

「あぁ、悪い。……けど、そんなに言っても問題ないと思うぞ?前に道治のブログの読者、更新停止してた時期あったから減ったって前に自分で言っていただろ?そんな簡単にばれることはないだろう」

 

「その真顔に限りなく近い表情で、そんな悲しいことを平然と言うんじゃねぇ!!泣くぞ!!」

 

 新成人を迎えた直後での「泣く」という発言は、周りにいた同級生らにも聞こえ、少しばかり笑いが起こる。ZE-ONこと道治も自身の失言に気づき、慌てて平静を装う。他2人も同じく笑いを堪えつつも話を戻そうとする。

 元がZE-ONと言い、友人2人から道氏と呼ばれていた男の名は「桐谷 道治(きりやどうじ)」。中学の友人で、当時は社会分野のテストではほぼすべて満点を取り、その後は社会的問題などを主題とするブログをやっており、今では県外の大学に通いつつブロガー「ZE-ON」として活動している。元が口にしたのは、ブロガーとしてのハンドルネームであったのだ。

 ちなみに友人のうち、眼鏡をかけた暗めの方は「佐倉 海斗(さくらかいと)」。同じく中学の友人で現在は工場で働きつつ、ネット小説の投稿とライトノベルの賞に応募している。ちなみに過去に一度賞を受賞したはずだ。そしてもう一人の眼鏡をかけた好印象の青年は「星北 平次(ほしきた へいじ)」。彼だけは小学生からの友人であり、この中では元とは一番付き合いが長い。現在は海斗とは別だが、機械部品の工場で働いており、趣味でプラモデル工作とフィギュア収集を行っていたりする。

 3人とは事件前からの知り合いで、事件後は趣味の相談をされると同時にこちらのケアを行ってくれていた。元自身も最初はあまり乗り気ではなかったが、それでも大分救われたところもあった。だがもちろんこちらも彼らの悩みを聞くこともあり、結果として助け合って無事中学生活を乗り切ったというのが正しいだろうか(ただし、道治の場合はガセネタをつかまされた時の愚痴相手もさせられたが)。

 しかしながら、彼らが居なければ俺は卒業すら危うかったかもしれない。高校進学もギリギリだったが元々希望するところに行けたので彼らには頭が上がらない。

 と、そこで元は会場の一角に出来ていた人混みに気づく。誰かを囲んで話が盛り上がっているようだ。その視線の先に気づいた平次が元に聞く。

 

「どうした、元。なんかあれが気になるのか?」

 

「ん?……あぁ、まぁ……。こういう場ではよくあることなんだろうけど……」

 

 なんとなく見ていただけ、なのだが道治は茶化すように冗談を囁いてくる。

 

「まさか……可愛くなった女子とかいたのかぁ~?」

 

「アホか。というかその発言、女子が聞いたら色々と誤解するぞ」

 

 調子づく道治を、ハエ叩きで始末するかの如くツッコミを入れる。海斗も元の話の流れに乗る。

 

「確かに……じゃあ成人式の時には可愛くなかったのかって、袋叩きに遭いそう。けど、道氏ならその方が良薬になりそう」

 

「俺はMじゃねぇ!!あと、道氏やめろ!」

 

 まるで芸人のような雰囲気だが、これも悪くない。何せ今日は成人式。主役は俺たちなのだ。だからこそ、節度は守らなければいけないのだが。

 と、そこで人混みの中から誰かが出てくるのが見えた。周りの女性達よりも少し小さい、むしろ少女と言うべきだろう。だが、ここは成人式の場であり、年齢は間違いなく元達と同い年。同級生だ。だが若干着慣れない様子、もしくは恥ずかしがりながらパーティードレスを着るその姿は身長の低さを気にしない程に周りに見劣りしていない。簡単に言えば、綺麗だった。

 だが驚くべきはその彼女の行く先だった。何やらこちらの方に……いや、間違いなく元の方に向かってきていた。そして彼女の口から自身の名前が飛び出してくるなど、思ってもいなかった。

 

「は、元……君。ひ、久しぶり……!!」

 

「え、あ……久しぶり……?で、いいのか?」

 

 目の前の少女が誰なのか、覚えていない元にとってはこれが精一杯の回答であった。当然先程まで彼女を囲っていて、こちらの方に目を向けていた同級生の女性達は散々言っていたが、当の本人は無理もないと言った様子で恥じらいながらも答える。

 

「と、当然だよ……ね。普段私、こんなの着た事なかったから……。中学の時、美術部にいて……そのっ、お昼ご飯も一緒に食べてた……!」

 

「……あー。……ひょっとして、蒼梨さん?」

 

 そう聞くと彼女はコクコクッと頷く。「蒼梨 深絵(あおり みえ)」。中学時代に彼女が学校の不良方面の先輩に絡まれていた時に、幼馴染と共に助けたことがある。その時が縁で知り合いとなり、よく昼食を3人で食べていたものだ。悲劇以来は少し疎遠となってしまっていたが、何度か登校拒否になっていた時の自分に、わざわざ家までプリントを届けてくれたこともあったのを覚えている。

 少し記憶を掘り起こしてしまったものの、悪い気はしない。蒼梨は昔、オシャレなどとはほぼ無関係のような人物であったのに、今目の前にいる彼女はそんな頃の彼女とはとても思えない、可愛らしさがあったからだ。元もそれを指摘して褒める。

 

「へぇ……あの頃よりも……って少し失礼かな。けどすごく綺麗だと思う。俺も誰か分からなかったし」

 

「ふぇあ!?……あ、ありがと……う。元君は、あの頃より変わって……ないね。失礼かもしれない……けど」

 

 元の言葉に照れつつも、蒼梨もまた元の姿に感想を告げる。変わっていないというのは、おそらく2つの意味であろうと元は認識する。1つは、あの頃と肉体的な姿が変わらないということ。そしてもう1つは……元自身が出す雰囲気のことだろう。

 失礼だというからには、間違いなくそうだろう。少し息が詰まるも、蒼梨がそれを察してか話題を変える。

 

「そ、それより、今日のパーティーって何か、重要な発表があるみたいだけど……キャッ!」

 

 と、そこで空気を読んでいるのか読んでいないのか、道治が急に話に入ってきて、その話について語り始める。

 

「そうなんだよ~!!俺もちょーっとだけ、実行委員から話を聞いたんだけど、なんでも、新・時・代の作業ロボット?みたいなのが出るらしいんだよ~!!今日のブログネタはこれで頂き!って感じで……」

 

「ちょっと、桐谷君。なっしー怯えてるじゃん!」

 

「そうだそうだー。ハッジーといい雰囲気だったのにさー!」

 

 流石に見かねたのか、先程まで蒼梨の周りにいた同級生の女性達が道治を非難する。かわいそうだが、今回のは明らかに話に割って入ってきた道治が悪い。とはいえ、助け舟を出さないわけにもいかないし、明らかな誤解も生まれているのでそれを訂正するためにも話に加わる。

 

「そうだな。道治、それも気になるが、とりあえずお前は少し黙ってろ。あと、いい雰囲気ってなんだ。これくらいは普通だろう」

 

「ちょ、和氏……!」

 

「あらあら~、これくらいは普通だってー、なっしー!!」

 

「うう……マイちゃん、は、恥ずかしいよぉ……」

 

 そんなことを話していると、マイクを通して、聞き覚えのある声が会場に響く。

 

『えぇ、同級生皆様。今日は集まってくださり、ありがとうございます。四河中央中学卒業式にて答辞をやらせていただいていました、鈴川光姫です』

 

 鈴川 光姫(すずかわみつき)。彼女は元の幼馴染であった「間宮 柚羽(まみやゆずは)」の一番の親友であり、それもあって元自身もかつてはよく声をかける女友達であった。

 だがあの事件以来、めっきり話さないようになった。いや、正確には元自身が彼女を避けていたようなものだ。彼女はこちらを心配していたが、それを断っただけ。関わるなと、言ったのだから。

 当然、この場に出てくることは予想出来ていた。しかし、この後の話は予想だに出来なかったものが多すぎた。

 

『まず、言いたいことは2つ。1つは、私、結婚しました!』

 

「ブフッ!!」

 

 思わず水を吹きこぼす。パーティー会場にいた面々も様々な反応を見せる。動揺・歓喜……反応はそれぞれ。もちろん、平次達の反応も様々だ。

 

「なんだ、結婚披露宴を兼ねてるってか?」

 

「ファー!?新時代の作業ロボットはガセネタってか!?ざけんなー!!」

 

「落ち着けよ、道氏……」

 

「だから俺は道氏じゃねぇー!」

 

 ……まぁ、若干1名、全く違うことに腹を立てていたが。が、そんな声が聞こえたのか、それとも別でこうなることを予測していたのか、光姫は続けてわずかな訂正と、もう1つの話題について触れる。

 

『あー、正確に言うと、もうすぐ結婚、なんだけどね。で、もう1つの話。ちょっと会場でも聞いてた話と違う!って声が聞こえてるけど、そっちも関係があるの。……実は、私の結婚相手が開発してる、次世代作業用メカの試作機をお披露目したいの!なんと世界初!!』

 

 同時にざわっと会場内が騒ぎ出す。無理もない。成人式の余興程度の話にとても収まらない話題が飛び出たのだから。というか、世界初のお披露目をこんなところでやるのは果たして大丈夫なのだろうか。マスコミに見せるのが一番だと思うのだろうが……。

 しかしながら、それに意見を言えるわけもなく、光姫が次のステップへと進める。

 

『さっ、こちらが私の花婿。新型作業用スーツ開発者の次元 黎人(じげんれいと)!』

 

 光姫が示すと、その先から壇上へ1人の男性が上る。白のスーツの上から、白衣という、少し光が反射しすぎではと思う姿に目が行くが、髪もまた特徴的だ。髪型は少しぼさぼさの、短めのヘアスタイルだが、黒と白という珍しめのメッシュが目に留まる。何か危険とは別の意味でヤバそうな人物のような気がする。

 しかし、その線は別の場所から否定されることとなる。次元黎人の顔を見た道治が、目を丸くする。

 

「あ、あれは次元博士!!」

 

「道治、知ってるのか?」

 

「あぁ。新たな二足歩行ロボットのプランを展開して、世界を驚かせたっていう、若き天才科学者だよ!ついこの間ニュースで取り上げられた時に二足歩行ロボットの新たな可能性を見せたいって言ってたけど……まさかっ!?」

 

「新たな二足歩行ロボット、ねぇ」

 

「あー、俺も前に見たことがあったな、そのニュース。けど、動力がまだ確保できてないとか言ってた気が……」

 

 そうなのか、と元は心の中で思う。元はニュースも見るが、あまりそれに注視したことがなかったため、見ていないか、もしくは忘れてしまったのだろう。自分もこの1年、短期大学の就職活動に振り回されていて、そこまで頭が回らなかったに違いない。

 とはいえ、周りも自分と同じような人がほとんどなので、元も気にせずその成果について見せてもらうことにした。黒と白のメッシュの白スーツの男、次元黎人はマイクに向けて声を発する。

 

『皆様、ご紹介に預かりました、新型作業用スーツ「モバイルスーツ」の開発責任をやらせていただいています。私、次元黎人と申します。本日は嫁の鈴川光姫……いえ、もう次元光姫と言えばいいのかな?彼女のこのめでたい日に合わせ、私も本日、皆様へのお祝いと称してこの発表をさせていただきます』

 

 その紹介と共に同級生や当時の担任達が歓声を上げる。ちょっとしたジョークも入れるあたり、なかなか気遣いはあるのではないだろうか。そう、道治よりもそう言った才能はあるのではないかと思う。とはいえ、道治は道治ですごいところはあるので比べる意味がないというのが正しいだろう。

 そして、黎人が手を挙げてその成果を披露する。

 

 

 

 

『ご紹介いたします。これが次世代の新たな作業用スーツ……『モバイルスーツ』試作第1号、「ガン・ファイター」ですッ!!』

 

 

 

 

 カーテンが開かれ、その中が外気にさらされる。数多の機械が並ぶ中、中央に佇む1体のロボットがいた。銀色のボディに走る黒いライン。機材と通信するために肩から生える2本のフラッグ状のアンテナ。そしてバイザーの奥に光る2つのカメラアイ……。その姿は、戦争物のSFに出てきそうなロボットを人のサイズにまで小さくしたようなものだった……。

 

 

 

NEXT EPISODE

 




 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。久々の投稿で文章の方に少々不安がありますが、出せてよかったと自分では思っています。

 しかしながらプロローグとはいえ、モビルスーツはガンダム自体は出ずに、代わりに試作機「ガン・ファイター」の登場のみとなってしまいました。ここから「ガンダム」が生まれていく予定ではありますので後々の展開を楽しみにしていてください。

 それでは、この話ではここまでで。同時刻に投稿されるプロローグ2もご覧いただけると幸いです。
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