ネイ「アシスタントのネイです」
グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよぉ。クール系の娘が今回の主軸だったかしらぁ?」
そうですね。今回はメイさんのエピソードになりそうです。前作のアヤメと容姿が似ていてマギーさんと話すこと多いのもあって関係あるのかな?(゚∀゚)って毎週思っていましたが、今回でどうなるかな?私は以前と同じように予約投稿して風呂入ってから時間を空けてみる予定ですね(´Д`)
さてそれも大事ですが引き続きEPISODE77の公開になりますよー。
グリーフィア「象徴の体力があとどれくらいか、気になるわねぇ」
ネイ「前話でも更に大きな攻撃を受けたみたいですし、これは一瞬で決めないと時間の問題ですよ」
さぁ、元達の護るという意志は果たされるのか?それでは本編へ。
このままではダメだ。クリムゾン・ドラゴニアスは、目の前で繰り広げられる激突を見て、予感する。
ガンダムの獅子奮迅ぶりは凄まじいものであったが、同時にパイロットとそのパートナーを激しく消耗させる。2人の取り巻くDNが疲弊で弱まっていくことを感じ取る。
かつて古のガンダムの装依者も、その圧倒的な出力によって文字通り機体に喰われた者がいた。記憶はおぼろげだが、戦争最終盤では同じ機体が何度もパイロット交代をさせられていたのを覚えている。
(このままでは、彼らも……)
そんなことはあってはならない。自分が無事でも、それはあまりに残酷な未来だ。自身が竜人族にとって大切なものであるのなら、その逆も然りである。数の多さなどで見捨てられるものではない。自分の為に尽くす者達を、自分が護らなくてはいけないのだ。
「もういい。2人とも、マキナスの戦士を連れてこの場を引いてくれ。この戦いの犠牲は、私だけで十分だ」
単機で奮戦するジャンヌ、そしてハジメにこの場からの撤退を呼びかける。しかし返ってきたのはそれを拒絶する言葉だった。
『嫌です!!もう失うのなんて嫌なの!』
「戦うさ。俺だって、もう誰もお嬢様の前で失わせたくない!」
2人の意志を感じさせるかのようにシュバルトゼロガンダム・イグナイトはさらに激しく空を動き回る。蒼い光の尾はいくつもの残像を残して消える。その度にシールドや腕部装甲と言ったパーツが砕けていく。いつたどり着くともしれない応援を信じて戦い続けている。
自分がこうでなければと傷口となる損傷箇所を見て思う。今や自分は彼らの足手まとい。何も出来ることはない。それでも彼らが戦うのは、失わせたくないからという気持ちからだ。今何も出来ない
(私自身の残存エネルギーは少ない……DNコンバーター装甲もほぼ機能を失っている……出来るのは、せいぜい最後に一矢報いることぐらい。後は、全てを任せる!)
覚悟を決めてクリムゾン・ドラゴニアスはジャンヌ達に言った。
「……ありがとうジャンヌ、ハジメ……」
『クリムゾン・ドラゴニアス……?』
「私が切り開く。明日への道を、だからお前達は、その先にある希望を……私の最後の望みを守ってくれ」
『何を言って……ぐっ!』
真意を問おうとしたハジメの言葉が、敵の攻撃で遮られる。だが、もう決めたことだ。思い続け、自分の中に生まれた最後の希望。それを託すのにふさわしいのは、彼等しかいない。そのための最後の道を作るべく、この第2の命を使おうと決めた。
マギア・マキナスを見上げる。もとは同じ種族だった竜人族、機人族の象徴として生まれた存在。そもそも自分達が生まれたことがそもそもの間違いだったのではと思ってしまう。それでも間違っていないと信じて、クリムゾン・ドラゴニアスは最後の力を振り絞った。
「フゥゥゥゥ……ッ!DNF!」
力を込める動作。それに呼応して体の紅が更なる光を放ち始める。最後の輝きを見せるための行動。止めようとエアクルセイドが攻撃を仕掛けてくるが、光がビームを分解して更なる光のエネルギーへと変える。
『待って……駄目!』
『クソッ、エラクスが……ぐぁっ!?』
エラクスシステムの輝きを失い、砲火に晒されるガンダム。それを救うために、象徴は吠える。
「マキナス、これが私の命の輝きだ。ボルカニック・バイオレンス!!」
瞬間、光が戦場を支配した。クリムゾン・ドラゴニアスを中心として、高純度DNの膨大なエネルギーが解放される。熱線として放射されたそれはまるで魔法の様に敵だけを射貫く。
皇帝機や機械騎士のMSはマントパーツを展開して防御しようとする。しかし攻撃そのものは防御出来ても、それに付与されたMSのシステムへのフリーズまでは防げず攻撃を弾いた直後にそれら機体は機能を停止して地表へと落下する。マキナート・エアクルセイドの1機を撃墜しながら、元達が相手にしていた10機前後のMSと周辺MS隊を沈黙させた。
だがそれだけではない。マギア・マキナスもまたコントロールを失って大きく後方に落下していった。旗艦が遂に地面へと墜ちたのである。
「はぁっ、はぁっ……ぐっ!」
最大火力を放って、体力の限界となるクリムゾン・ドラゴニアス。力尽きてもたげていた首が地面へと金属音を立てて落下する。これ以上攻撃も、生きる力も残されていなかった。命を賭した攻撃は、撃墜の危機に遭ったガンダム達を守った。その身を犠牲にして。
薄れゆく意識。そんな彼女に、ガンダムが駆けつける。
『何で、何で!どうして……!』
『まだ生きているのか?返事をしてくれ』
2人の声にクリムゾン・ドラゴニアスはこれまでの気持ちを明かす。
◆
「ガンダム交戦エリアにて、超高エネルギー反応!周囲に拡散していきます」
「周囲の敵MS軍の80%が撃墜、あるいは機能停止を確認。味方MSへの被害はほとんどありません」
「…………何だ、これは?」
オペレーターからの報告に、ただそう言うしかなかった。戦場に瞬いた光をグランツも見ていたが、あまりに遠すぎて何が起こっているのかは分からなかった。しかし、続く前線部隊からの報告で徐々に分かってきていた。
象徴が見せた光。その行動に嫌な予感を感じるがそれよりもまずは被害確認と、そのための行動に思考を巡らせる。
「前線部隊には周囲の残存戦力を討伐後、皇帝勢力の鎮圧へ向かわせろ。北部・南部の部隊はプランBを発令。ドロスとアヴァルの部隊との連携を」
「了解しました」
想定外の事態だが、攻めるならここしかない。北部・南部のマキナス部隊を、こちらと同盟国ギルン、セントリル、更にマキナスの同盟国ドロス・アヴァル両国の軍で鎮圧する。一気に戦力を瓦解させるのだ。
発令後、ドロスとアヴァル両軍の部隊が大きく動く。後方からマキナスの軍を襲い、次々と制圧していくのがレーダーで見て取れる。マキナスはその行動を理解できないまま制圧されているようだった。
「敵軍南北共に戦力を減らしていきます」
「うむ。ドロスとアヴァルの攻撃がよく効いていると見える。各部隊はこのまま継続」
「了解」
味方から攻撃されれば当然、しかも既にマキナス側が自分達で自分達の軍を攻撃していることが伝わっていれば、更に混乱は必至だろう。結果的にマキナスの行動が自分達の首を絞めたこととなった。因果応報だろう。
利はこちらにある。この優勢を保ったまま、各地の戦況を終わらせる。戦況が崩れれば、流石に皇帝でもただ見ているだけにはならないはずだ。もっともそれを理解していれば、このような事態に陥ってはいないはずだが。
「ハジメ少尉、ジャンヌ君……」
光の先で何が起こったのか。今は2人の無事と戦闘の終結を祈るしかなかった。
◆
『……帝、皇帝!大変です。南北の艦隊の半数が制圧!ドロスとアヴァルが敵に通じていたようです!』
「っ!ドラグディアめ……我ら種族に泥を付けさせるとはどこまでも汚らしい!」
回復した通信回線。だがそこから聞こえて来た、各地の戦況。自分達の種族を戦力として使われたことに激高する。もっともそれは建前で本心は自分達より敵を選んだドロス・アヴァル両国に対する怒りであったが。
『どうしますか?』
「決まっている!南北軍には敵対するすべての者を殲滅せよと伝えよ。撃ってくるのなら、同じ機人族でも敵だ。それを討たねば機人族の真なる未来はないとな」
『了解』
回線が切れ、ギルフォードは機体を動かそうと試みる。だが先程までと同じく、機体は何にも反応することはない。体が岩の様に硬い。MSのパイロットコントロールが効いていなかった。重量がそのまま体に加わり、機体を動かすことも叶わない。このまま攻撃されれば危険だが、何故かガンダムは攻撃してこなかった。
(何故だ……なぜ攻撃してこない?まさか、また象徴に目を向けているのか……?)
先程の様に、また象徴に目を向けているのだとすれば、また自分達が低くみられているように感じる。これほど圧倒的な状況であるにも関わらず、それ以上に大切なものがあるとするのは、それしかない自分達を嘲るようだった。まだ生きているカメラの映像で敵の様子を確認する。
見えたのは敵のガンダムが象徴に向かって何か話しかけている姿だった。決定的だ。彼らには目先の勝利よりも象徴が大切だったのだ。
「……お前らは……お前らはそんなに象徴が大切かぁ!!」
矛盾を孕んだ発言。しかしギルフォードにとっては象徴の無事よりも勝利が何よりも優先される。象徴を失って竜人族が殲滅できるのなら迷わずその道を取る男だった。それが両親達から教わった事をもとにギルフォードが導き出した結論だった。
許さない。誰であろうと悲願を遂行する自分の考えを否定するそれを、生かしておくわけにはいかない。それが自分の存在理由なのだから。その怒りに応えるように、機体のフリーズが徐々に解除されていく。
「エクスッ!ランドォ!奴らを殺せェ!!マギア・マキナスも、エアクルセイド隊も……奴らを灰塵に帰せ!!」
『ヘッ、了解!』
『我らが皇帝の名の下に!』
『は、はい!!』
皇帝の言葉にそれぞれ従い、徐々に地に落ちた機体を起こしていく。マギア・マキナスも亀のような四肢を動かし、再度浮上状態に移行しようとしている。
舐め腐った平和など必要ない。竜人族を滅ぼし、機人族を従わせる。そうすればもう皇帝を追い落とそうとするものなど現れない。それが本当の平和なのだから。
視界に見える竜の首が力尽きようとしていた。それを残さず消し去る勢いでギルフォードは呪詛を吐く。
「ガンダム……我が平和の贄とする!」
すべては停滞と言う名の平和の為に。憎悪が皇帝を立ち上がらせた。
◆
クリムゾン・ドラゴニアスに駆け寄ったガンダム。ハジメと共にジャンヌは彼女に呼びかける。どうしてあのようなことをしたのか。結果的に助かったとはいえ、あの威力の攻撃に体が耐えられるのか。ジャンヌの心配は図らずも的中してしまった。
『もう、私は持たない。いくら機械の体でも、私の命は一度尽きた。命の火を無理矢理燃やし続けられた状態に更に負荷を掛ければ、壊れてしまう。それが今、来たんだ』
「そんな……嘘です!まだあなたは生きて……生きて!こんな簡単に死んだら、お母様に……オルレリアン様にだって顔向けできない……っ!」
クリムゾン・ドラゴニアスの言葉を否定する。全力で。出ないと、消えてしまいそうだったから。約束した。母と。だがそれだけではない。遥かな昔から先祖にこのバトンを託されたのだ。それをこんなところで潰えさせることなど出来なかった。
消えないように必死に呼びかける。ジャンヌから護る様に言われたハジメも、言葉を紡ぐ。
『そうだ、俺だってジャンヌに言われた。あなたを守れと』
『例えそうだったとしても、竜騎士、いや、男が護らねばいけないのは、傍にいる女性だろう?』
『………………』
クリムゾン・ドラゴニアスからの問いかけに、ハジメは沈黙する。ただガンダムの手をただ象徴に付けたままで。その鼓動を確かめるように。ジャンヌも言葉の意味を理解する。それでも自身の気持ちを伝えた。彼女を呼び止める。
「でも……でもっ!」
すると、慰めるように彼女はジャンヌに応じる。
『ジャンヌ、私は、君がこうして心配してくれることを感謝している。一度絶望に堕ちて、憎んだというのにもう一度私の事を信じた。本当は私も怖かったんだ。もしかしたら、どこかで誰かが諦めてしまうのではないかと』
「う……うぅ……っ!」
『だけど、君は来てくれた。君だけじゃない。君のお母さんや、お婆さん、300年もの間ファーフニル家を繋いでくれた者達の強い意志が、どういう想いであれ来てくれた。それが、私の象徴としての誇りだ』
首を曲げてガンダムにこすりよせる。同時にガンダムの電子空間に巨竜が現れる。会ったことはなかったが、それが本来の彼女の姿だと直感する。その竜もまた同じようにジャンヌの体に首をこすりつける。ジャンヌもそれに応え、身体を寄せる。
そして彼女は言った。
『だから、私の最後の望みを託させてくれ。この国の、君達の支えになる小さき希望を』
「希望……?」
『あぁ。機械の体になってからずっと造り続けて来たもの。生前の時も別の形で夢見た、それを……護ってほしい。頼めるかな?』
言葉の示すものをはっきりとは理解できなかったが、それだけ大事なものなのだろう。返答に躊躇う。拒絶したかったが、すれば悲しむ。今際の彼女に対し、ジャンヌは涙を堪え、言った。
「………………はいっ」
『お嬢様……』
『…………ありがとう』
返事を受けて、安堵の声が聞こえた。微笑んだような息遣いと共に、彼女が電子空間から消えていく。顔を上げる。ガンダムのメインカメラが見せる映像には、彼女が見下ろす姿が映る。首をジャンヌ達から遠ざけている。
ハジメもガンダムを離す。何かを察していた。止めたい。これから象徴が行うことを。だが言えなかった。約束したから。そして回線から最後の言葉が届けられる。
『今行くよ、オルレリアン、ジード』
「待……」
思わず言葉に出かけた、待っての言葉を聞くことなくクリムゾン・ドラゴニアスの首が爆発する。敵の攻撃ではない。クリムゾン・ドラゴニアス自身が自らの首を爆砕ボルトで分離したのだ。
首が取れると、身体から光が失われていく。紅の装甲は黒ずみ、機械の駆動音が消えて行った。理解したくなかった。だが理解せざるを得ない。象徴、クリムゾン・ドラゴニアスの命が消えていく。
覚悟したはずなのに心が苦しい。機械でも確かにいたはずの命が消えていく。様々な記憶が呼び起こされる。会ったことのないはずの象徴に憎しみを抱いていた時から、共に戦場を駆け抜けた時まで。走馬灯のように思い出される。どれだけ願っても、もう戻ってこない。父の時と同じように。
しかし悲しみに暮れる暇も、彼女らにはなかった。
『象徴が死んだか。もはやドラグディアに、国の理念はない!』
「ジャンヌ、ハジメ」
スタートが注意喚起を呼びかける。ガンダムが振り向いた先に、皇帝達が再び立っていた。ほぼ無傷の状態で立つ皇帝とマキナガンダム、エクスガンダム、そして6機のエアクルセイドとマキナスの象徴。
彼女の命を奪った者達。それがそこにいた。今すぐにでも掴みかかりたい衝動が生まれる。だがしなかった。怒りに任せて戦えば、彼らと同じになってしまう気がしたから。きっと彼女もそれを望まないはずだ。戦いを止めるための戦いを、しなければいけない。
『国の、理念?象徴が?……バカだろ。象徴がいなかったら、お前らは生きていけないのか』
「象徴が消えても、いたという記憶は残ります。記憶があれば、彼女はいる。例えいなくなっても、それが私達の力の源になる!」
『どうやら頭が沸いているようだ。幻覚を見るほどとはな!』
皇帝が否定する。だが事実だ。象徴が消えても自分達はまだここにいる。300年前の人間たちが選べなかった答え。答えから逃げた結果生まれたものが、
『俺達の答えは、これだ―――――』
「希望はまだ、生きています!!」
瞬間、後方から爆発が起こる。クリムゾン・ドラゴニアスの亡骸が爆発したのだ。覚悟を決めた2人は爆炎を背に振り向かない。しかし燃え上がる残骸の中から、それは飛び出した。
白い体に、紅いラインが刻まれた機械の竜。クリムゾン・ドラゴニアスの面影を残す、1m弱の鋼鉄のドラゴン。姿形で言うならGワイバーンに似ていたそれを後方カメラで確認する。
胸が熱い。あれを見た時から心のどこかで高まりを感じる。それが「安堵」にも似た別の感情であるということに気づいたのはすぐだった。少し前ならちゃんと思えなかっただろう気持ち。それは「感謝」だった。
「ありがとう、生まれてくれて」
新たに生まれた希望に、生まれてくれたことへの感謝の言葉を向ける。ドラグディアの新たなる希望が、ここに誕生したのである。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。新たに生まれた希望、まさに爆誕!となりました( ゚Д゚)
ネイ「象徴さん、最後の力を振り絞って、次の希望に託したんですね」
グリーフィア「タイトルの変わる明日への希望はこれの事を指すみたいね。でも生まれ変わってもまだまだきっつい展開そうよねぇ?」
生まれ変わりし明日への希望、クリムゾン・ファフニールは一体どのような力を見せてくれるのでしょう?では今回はここまでです。
グリーフィア「次回もーよっろしくー!」
ネイ「あ、ちなみに次回からまたアシスタントの順番が変わるみたいです」