ネイ「アシスタントのネイです」
グリーフィア「アシスタントのグリーフィアね。さぁて、少し間が空いての第2部開幕ね」
今回も2話分投稿です。まずはその一つEPISODE1からです。
ネイ「あ、エピソード数リセットなんですね」
ぶっちゃけ別で投稿しても良かったんだけど、それだとなんかと思ったのでこうなりました(^o^)
グリーフィア「元さんとジャンヌがあの後どうなったのか。気になる感じだから早速行きましょ」
そうだね。それでは本編開始です。
EPISODE1 黒き悪魔は舞い降りた1
西暦2025年。この世界「地球」は戦乱の世にあった。世界とその外側を構成するという「次元粒子」の発見と、それを動力として起動する次世代作業用スーツ「モバイルスーツ」。この2つの発見が世界を大きく変えた。
この世界以外の、同じ次元粒子で作られた世界があることを知った人類。だがその中に悪しき考えを持つ者が現れた。次元粒子を用いて次元世界を作った何者かがいると考えた者達が、まだいるかどうかも知らないその存在を神であるとし、その考えに至った自分達は神の使いであると自称し出したのだ。そういったカルト集団は、古今現在に至るまでにいくつも存在した。しかし彼らはそれらとは違った強みを持つ。それがモバイルスーツ改め、モビルスーツの運用だった。彼らはMSを神が与えた使徒であると解釈し、その力でたちまちに都市を制圧、教えを広めていった。
教えを広めると言っても、それは結局のところ武力による併合である。それらカルト集団は西日本を中心として多くの民間人を殺戮した。やがて散発的だった集団は1つの教団を作り上げた。「次元覇院」。それが次元粒子を神からの贈り物と称し、自分達の身勝手な考えを押し付ける者達の名前だった。次元覇院設立後はその勢いを増して日本は争いで満ちていく。だが、それらの動きは設立後にとある集団により阻まれるようになった。
MSによる警備・犯罪の取り締まり・大規模災害救援を主とした、民間軍事組織「MSオーダーズ」の設立が、次元覇院を押しとどめた。彼らは元々MSを開発していた企業が母体となっており、政府との協力の下次元覇院を含めたMS犯罪者達を取り締まるべく活動する。日本のMSの生産トップシェアを誇っており、日本の自衛隊、そして警察などのMS部隊設立にも携わるほどだ。MSを正しき使い方、モバイルスーツで提唱された「災害から人々を救い出す力へと戻す」ために、東日本を拠点に次元覇院や他の新興カルト教団に立ち向かっていた。
2020年に起こったモバイルスーツ暴走事件から5年の間に、世界はモビルスーツの存在をそれぞれの形で受け入れていた。兵器として、人々の命を救うため。日本は今、かつての戦国時代のように東と西で戦っていた。神という「理想」を押し通すか、人という「現実」で抗うか。2つの異なる思想がぶつかり合っていく。
そして今宵もまた現実が理想を駆逐していく。紅き鉄の輝きで包まれた双眼のモビルスーツ率いる部隊が、東響の街を駆け抜けていく。
◆
『MSオーダーズめっ、我らが神の布教を邪魔するな……グァッ!?』
『次元覇院の勢いに負けるなっ!奴らを残らず殲滅だっ』
MSオーダーズの部隊が東響の街を蹂躙する次元覇院のMS「マキイン」との戦闘に入る。実戦経験豊富なMSオーダーズの精鋭たちは、機体性能でこちらを上回りながらも練度の低い次元覇院のMSを制圧していく。だが次元覇院のパイロット達も無様にやられまいと抵抗を続けていく。
この5年の間、正確には4年程前からこのような光景を見続けていた。「彼」が爆発の先に消え、事件の責任にあの人が追われ、それを超えてようやく生まれた夢のマシーン「モビルスーツ」。だけど懸念されていた通り、希望は「兵器」として世界中に悲劇をまき散らした。奇しくもあの事件が、MSの兵器の有用性を見出してしまった。それ以外にも様々な派閥が生まれ、MSオーダーズは、私達は四苦八苦しながら戦い続けている。
「……マルチロック、シュート」
肩から展開した誘導レーザーが、多数の次元覇院のマキインの機体を貫く。腕部、脚部を貫かれて恐怖で撤退していく者、バックパックを破損し、逃げられないと自棄になって攻撃を繰り返す者……。それらの光景を見るたび、胸の奥が苦しくなる。本当に自分達が選んだのは正しいことなのか。
そのせいか注意力が鈍る。弾幕を抜けて来たビームが迫る。
「しまっ……」
だが、その攻撃を1機のソルジアが防ぐ。専用カラーの紫で塗装されたソルジアのパイロットが呼びかけてくる。
『大丈夫ですか、光姫さん』
「うん。ごめんなさい、華穂ちゃん。助けられたね」
私――――次元光姫は、ソルジアのパイロットである「黒和華穂」に礼を述べる。彼女はあの暴走事件で亡くなった「黒和元」の妹だ。わけあって自分達の組織に所属する様になったパイロット。そして先程の悩みの種の1つでもある。
更に次元覇院のMSがアサルトライフルを向けてくるが、別方向から放たれたビームがそれを貫く。突然の狙撃に慌ててマキインは下がるが、追い打ちをかけるが如く放たれた2本のビームと、光姫の機体「ロートケーニギンガンダム」が放ったビームライフルの弾撃が機体を葬る。回線に狙撃を行ったパイロットからの声が届く。
『駄目だよ~、紅き砲手と呼ばれるほどの光姫ちゃんがそんなんじゃ。やっぱりそろそろ引退した方がいいんじゃないかな?』
「私が引退するのはまだよ、深絵。まだ私は戦場に立ち続けなきゃいけないから。ふと昔の事を思い出しちゃっただけだから、安心して」
MSオーダーズのエースパイロット、蒼梨深絵。彼女もまたあの事件を経験した被害者だ。MSオーダーズ発足当時からの古参で、光姫と共に何度も戦場に立っている。昔は内気な性格で自分から話すことも少なかったが、それが嘘だったかのように今は明るい。その理由はとても彼女らしい、哀しいものだったが。
そうこうしている内にMSオーダーズ側が優位に立っていた。自らも敵の攻撃を肩と膝のアーマーから形成した防壁で実弾の威力を落としながら、ホーミングレーザーと下腕部パイルガンで敵を近づけさせずに後退させる。このまま東響外側に逃げるように誘導していく。民間人には被害は出させない。
『次元覇院のMS、勢いを落としていきます』
「このまま制圧、あるいは街から追い出す。敵の逃走先のトレースの準備を……」
このままいつも通り一網打尽にするように告げようとした、その時、回線に割り込みが入った。割り込み相手は自分がもっともよく知り、そして心を許した相手。MSオーダーズの総司令官である自身の夫からの緊急を要するものだった。
『光姫、戦闘中すまない。たった今戦闘エリアの上空で次元障害が発生した』
「次元障害が?」
次元障害。世界を構成する次元粒子が何らかの原因で崩壊、空気中に次元世界への穴が開く現象のことだ。次元世界の自然現象の1つでもあり、神隠しがそれではないかとも言われる。そして、光姫の友人でもあった黒和元が暴走事故に巻き込まれた際にも、次元障害が起こった。死体がないまま死亡扱いになったのは、それが原因だった。
今この状況で次元障害が起こるのは非常に危うい。しかし、それで撤退すれば次元覇院の連中を野放しにすることになる。光姫は戦闘継続を打診する。
「それでも戦闘は継続するわ。ここで次元覇院を逃がすわけにはいかない。東響に攻め込む連中はなるべく潰しておかなくちゃ!」
『無論だ。だが問題なのはその次元崩壊は既に収まった事なんだ。……同時に、その宙域にMSと思われるエネルギー反応が出現した』
「……黎人、それってどういう………………まさか」
その言葉が意味することを光姫が指摘する前に、戦線に変化が生じた。上空から連続したビームが降り注ぐ。それらはマキイン、ソルジア、そして光姫のロートケーニギンガンダムや離れた場所にいた深絵のブラウジーベンガンダムの周囲に着弾する。
当たることはない、むしろけん制と呼べる弾撃の後上空からの接近警報が響く。両軍ともに後退して空からの何者かの着地に備える。丁度両軍の真ん中に、1機のMSが降り立つ。
『―――――――』
降り立ったのは、漆黒のMSだった。両肩にシールドを備え、右手にはライフルを備えていた。その背には膜のないコウモリの羽のような、突起物が両側3つずつ装着したウイングを持っている。そして注目すべきは顔。4本のブレードアンテナの下に輝く2つの蒼い双眼は、光姫と深絵が乗りこなすカラーシリーズ、別名ガンダムシリーズと呼ばれるMSの顔にそっくりだった。
MSオーダーズしか現状開発していない、MSの一種の登場にMSオーダーズ側で困惑が生まれる。
『が、ガンダム!?』
『機体カラーが黒……カラーシリーズの1機か?』
『ううん。黒はカラーシリーズの開発プランにはない。今稼働してる光姫さんの
他の隊員達の言葉を華穂が否定する。黒のガンダムは運用プランにない。未知のガンダムの登場に光姫達の緊張が高まる。
◆
「敵……?それとも味方?」
機体のデュアルアイセンサーから見える黒い機体に深絵もフォーカスを合わせる。先程のビームはあの機体のビームライフルだろう。しかし、なぜいきなり発砲したのか。ビーム兵器と言えば現在の技術では連射が効かず、実弾兵器などで体勢を崩したところに放つトドメの一撃としての運用がほとんど。そんな貴重な武器をけん制程度に使うなど、あり得ない。
(……まさか、本当に別世界から来たの?)
異世界のMS。先程の通信で生まれた可能性。それならばビーム兵器の運用を確立してけん制弾として使用するのはおかしくない。
だがもし本当なら目的は何なのか。いきなり戦闘に介入してきた以上、こちらも無視できない。光姫へと対応を協議する。
「どうする、光姫ちゃん」
『こちらとしては事情を聴きたいところだけど、問題はあっち……』
光姫が示したのは当然次元覇院の連中だ。あの連中は短絡的な思考の者達が多い。敵として襲ってきたと見るか、はたまた天からの授かり物と判断するか。選ばれたのは後者だった。
「ガンダムだ!遂に我らの神が争いに怒られてガンダムを遣わした!」
「これでMSオーダーズも怖くねぇ!やっちまえ!」
「私達も加勢するのよ!私達の神に続くのよ!」
機体外部スピーカーから発せられた敵の声。勢いを取り戻してこちらに武器を構えて向かってくる次元覇院のMS達。確かな事実もなく、自分達の妄想で物事を決める。やはり次元覇院は次元覇院だ。スナイパーライフルを構えて応戦許可を求める。
「光姫ちゃん、華穂ちゃん、あのモビルスーツは気になるけどっ」
『そうね。今は次元覇院を止めないと!』
『……?待ってください、あの機体が』
華穂からの指摘の直後、漆黒のMSが動いた。右手に構えたライフルから再度ビームが放たれる。2発のビームは真っ直ぐと次元覇院のマキインの1機の頭部と右腕部を撃ち抜いた。反動で地面へと倒れるマキイン。仲間に対する突然の事態に次元覇院に混乱が生まれた。
「な、何故だッ!?まさか敵か!?」
次元覇院の敵意は瞬く間にそのMSへ注がれた。そもそもの話突然割り込んできた機体を味方だと判断する方がおかしいのだが、次元覇院のこれまでを見ている深絵達にとっては日常的なものだった。
その矛先を向けられた漆黒のガンダムは両陣営に対し、オープン回線で呼びかけた。ため息と宣言を交えた、その声に深絵は見開く。
『――――シュバルトゼロガンダム リペアツヴァイ ファーフニルツヴァイ、これよりこの戦闘に武力を以って介入する!まずはそっちの神だとどうだのほざく方からだ!』
「えっ……?」
深絵の驚きは、言葉に対してではない。驚いたのは発言した声に対してだ。聞き覚えがあった。しかしあり得ない。なぜならその声の主は既にこの世にはいないはずだからだ。遺体も残さず消えた、自分が密かに想っていた青年の声を、確かに聞いたのだ。
深絵が思索に耽る中、漆黒のガンダム「シュバルトゼロガンダム」はマキインとの戦闘に入る。敵のマシンガンとビームの混成弾を回避してビームライフルの弾丸を放つ。弾丸は頭部、腕部、脚部、シールドをたちまち奪っていく。圧倒的な性能にMSオーダーズは手出しが出来なかった。自分達が標的になるのではと危機感を抱いて。
『ぐふっ!?』
『畜生!MSオーダーズめ、こんな兵器を隠していたのかっ!うわぁ!?』
『って言われてますけど?』
『あんなの司令夫人の私でも知らないわよ。それより……気づいた?』
「気づくって、声の事?」
光姫からの問いに深絵は聞き返す。もしかすると光姫も声の主に気づいたのかもしれないと思った。だが光姫が指摘していたのはもう1つの問題の方だった。
『声?誰か分かったってこと?私が気づいたのはビーム兵器の事だったんだけど……』
「あ……そっちか。うん。私もおかしいって思ってた」
光姫の指摘に相槌を打つように同意する。光姫もそれに真っ先に気づいていたようだ。もっと気づくべきことが他にあったが、とりあえず話に合わせる。話を聞いていた華穂はその話の内容に疑問符を浮かべて質問する。
『おかしい?どういうことです?ビーム兵器使うなんて今は珍しくもなんとも……』
「華穂ちゃん、私達のビーム兵器ってどういうの?」
分かっていない華穂に質疑応答形式で答えを誘う。戸惑いつつも華穂は深絵の出したビーム兵器の特徴について答える。
『え?そりゃあ威力は高いけど、弾数がないから必殺の一撃にしか使えないでしたよね?』
「……じゃあ、あのMS同じ武器から何回攻撃している?」
『え……あっ!』
ようやく華穂も深絵の指摘で気づく。そうしている間に更なる衝撃の光景が目の前で繰り広げられる。漆黒のMSは武器を腰の銃剣に変更する。するとその刀身に合わせてビームサーベルを展開した。身の丈以上の光剣を構えて突撃したガンダムは、次々と敵機を斬り裂いていく。
『な、なんですか、あのバカでかい……ビームソード?ですよ!?』
『技術力がまるで違う……私達の機体でも勝てるの……?』
「分からない。それより、もう……」
あまりにも長大なビームソードの出現に驚く間に、漆黒のMSは次元覇院が展開したマキイン18機を制圧してしまっていた。銃剣のビームソードは未だ煌々と輝いており、まだ戦えることを伺わせる。
あまりにも強大な敵の出現にMSオーダーズ所属機17機は硬直する。そんな中で深絵は味方への合流を開始する。ここからでは声が届かないからだ。
(元君……!)
もしかするといるのかもしれない。消えたはずの彼が、MSに乗って再びこの世界に。だが声をかける前にその機体は空へと浮上する。警戒状態で対峙するMSオーダーズを一瞥するシュバルトゼロと言う名の機体。それを迎えるように黒いドラゴンが夜の空より舞い降りる。
舞い降りた黒いドラゴンにまたがると、黒いガンダムはその場を去っていく。まだ行ってもらっては困ると、深絵は自機の手を伸ばす。
「待って!」
『深絵!?』
『深絵さんどうしたんですかっ?』
その後を光姫と華穂が制止しようとする。だがそうするまでもなくシュバルトゼロと言ったガンダムは夜の闇へと消えて行った。
残されたのは壊滅状態となった次元覇院のMSと、茫然と立ち尽くすMSオーダーズの者達。MSオーダーズの切り札とも呼べる2機のガンダムもその戦闘に介入することも叶わなかった。そして深絵の確かめたかったことも、確かめられなかった。
静寂となった東響の街。通信で黎人が状況報告を要求した。
『どうした、光姫、深絵、華穂。どうなった?』
『こちらロート。次元覇院のMSは全員撃破。これから生存者確認に入るわ。けど、ごめん。乱入してきた黒いガンダムは捕まえられなかった』
『そうか……』
光姫の落ち込んだテンションに周りのMSオーダーズの者達も同じく項垂れる。結局次元覇院を倒したのは、あの黒いMSだったのだ。圧倒的な性能にこうなるのも無理はない。
それに光姫も気付いてフォローを入れる。
『単純に技術が違い過ぎたわ。後で映像を見てくれる?多分あなたからしてみればとんでもないの一言に尽きるだろうけど』
『そんなにか』
『そうですよ!もう私達の機体じゃ誰も立ち向かえそうにない位、別次元のMSでした!』
華穂の誇張した表現も今は的を射ている。けれどもっと重要なことを深絵は気づいた。深絵は回線を通してそれを報告する。
「うん。確かにすごかった。……でも私はあのMSに乗っている人が、誰なのか分かったも知れない」
『何だって?』
『深絵さん分かったんです!?まさか次元覇院の連中?』
「ううん、それは違う。それよりも光姫ちゃんや、華穂ちゃんもよく知っている人の声を、私は聞いた」
『私や、華穂ちゃんが?』
注目が集まる。だが確かにあの声は間違いない。その人物の名前を、2人の前で明かした。
「あれは、華穂ちゃんのお兄さん……元君の声だよ」
NEXT EPISODE
EPISODE1はここまでとなります。同日公開のEPISODE2も合わせて是非ご覧ください。
ネイ「……まさかプロローグの光姫さんや深絵さんがガンダムのパイロットになっていらっしゃるとは……」
グリーフィア「それに元君の妹ちゃんも登場ね。旧作のSSRでも義妹は登場していたけど、今回は本当の血のつながった妹なのねっ」
そうですね。いずれも5年前の事件、プロローグでのことが関係しています。華穂ちゃんがMSオーダーズに所属しているのもそれが理由なので、あの事件はこちらで相当傷跡を様々な人物に残しているという感じです。
ネイ「そうなんですね……けどかなりMSの性能差があるようですが……」
グリーフィア「ビーム兵器の使用に制限出ているっていうのは第1部じゃまったく見られなかったことね。これはかなり戦闘で重要になってきそうっ」
それと同時にシュバルトゼロガンダムの性能の高さが顕著に出ますがね(;´・ω・)それではそろそろEPISODE2へ続きますということで。