レイ「アシスタントのレイだよー」
ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。あちらは前半の最終戦と言った感じで、予告で不穏さがありましたよね……」
本当だよ(゚Д゚;)カザミさんの涙の訳は何っ!?
さて、では引き続き残りのEPISODE2の公開です。
ジャンヌ「シュバルトゼロガンダムのパイロットが元さんだと深絵さんが気づいたところで終わりましたね……」
レイ「複雑だろうねぇ……何せ元君こっちじゃ死んだって言われていたみたいだし」
遺体が見つからなかったから試作グレネードで消えたことで処理されていますからね。けどそれ以上に生きていたということにどう感じているのか。誰が一番衝撃を受けたのか。そんなEPISODE2をどうぞ!
「……んあ」
部屋に鳴る目覚ましの音で目が覚める。すっかり見慣れた寮の天井が目に入り、起床する。昨日の出来事はまるで夢の様に感じられる。まだ眠くなっていく頭を目覚めさせるべく、黒和華穂は洗面所へ向かった。
「……っと」
顔を洗い、歯ブラシを口に入れて昨日の事を思い出す。いつも通りだと思っていた次元覇院のMS殲滅に出た華穂達MSオーダーズ主力チーム「SABER」は、とんでもない機体と遭遇した。
その機体は全身が黒いガンダム。フレームを蒼く輝かせ自分達の知る次元粒子の赤とは違う蒼い粒子を纏うその姿は、幻想的でありながらあらゆるものを寄せ付けない強さを見せ付けて夜の闇に消えて行った。MSオーダーズも予定していた次元覇院のMS追跡からその機体の追跡に切り替えたが、まったく追えなかったという。
「…………凄く強いMS……でも……まさか」
歯を磨き終え、着ていたパジャマと下着を洗濯籠に入れてバスルームでシャワーを浴びる。黒みがかった紺色の髪からしずくを滴らせて体の汗を落とす中、視線が落ちていく。目の前には鏡に映る自身の姿。しかし別に自分を見ているわけではない。彼女の意識は別にある。
彼女の頭の中にあったのは、上司であり恩人でもある蒼梨深絵の言葉だった。そうして思い返した、漆黒のMSのパイロットの声。
『シュバルトゼロガンダム リペアツヴァイ ファーフニルツヴァイ、これよりこの戦闘に武力を以って介入する!』
手を鏡に付ける。そこにいるはずのない人物、口では適当に相手をしていても血の繋がった最愛の肉親に手を伸ばしたかった。なぜ真っ先に気づけなかったのか。シャワーを止め、その人物の、兄の名を呼ぶ。
「元にぃ……どうして……生きてたなら、もっと早く……」
水滴に交じって、涙がこぼれ落ちる。
1時間後、華穂はMSオーダーズの制服を身に纏ってブリーフィングルームにいた。髪にお古のヘアピンを付けて、作戦会議もとい昨晩の戦闘において出現した黒いガンダムについて話し合っていた。
先輩である次元光姫、蒼梨深絵、そして司令官である次元黎人も混ざっての協議。光姫達は昨日までに調べて分かったことを共有していく。
「昨日のあのガンダムの戦果は次元覇院のMS18機。そのいずれも武装、腕部、脚部といった攻撃しうる箇所のみを損害させただけに留まるわ」
「パイロットも全員生存。だけどうち半数以上が口の中に含んでいた毒薬で死亡。残っていた人達も全員精神病院に搬送だね。これだけの戦果を見るとあの機体のパイロットは狙ってやってたってことで間違いなさそうかな」
「君達の送ってくれた戦闘データは拝見した。確かに兵器としてのレベルがあまりにも違い過ぎる。連射性能の高いビームライフル、次元粒子を実体剣に纏わせる技術、多数対単機でも一切不利を感じさせない機動性……最後に現れたあの機械の竜も、何か秘密があるんだろう。それで深絵君が言っていたパイロットの事だが……死んだ人間が生き返るなど、あり得ない」
「っ!黎人さん何でそんな事!」
まだ兄は死んだわけじゃないと声を荒らげる。あの時は気づかなかったが、音声記録を聴き返して、確かに自分も確信した。あれが兄の声だと。死んだと聞かされていた華穂にはそれがどれだけ希望を持っていたか。そんな華穂をなだめるようにして光姫が夫に結論を言うように伝える。
「……で、わざわざ華穂ちゃんが御守りの様に大事に記録していた映像データとの照合結果は?」
「変に言わないでくれ。確かに死んだ人間が生き返るのはあり得ないと言った。だが華穂君から借りた黒和元の音声データと、昨日のMSパイロットのものと比較したのがこれだ」
渡されたデータ。そこにあったのは兄の声と黒いガンダムのパイロットの音声データが高い確率で一致したことを示すものだった。
「これって……!」
「90パーセント以上の一致……てことは、あれは元君なんだ!」
深絵と喜びを分かち合う。黎人もデータの一致を認める。
「確かにデータは一致した。だがこれが黒和元本人かはまだ疑問が残る。何せ彼は5年前の暴走事故の、試作グレネード「シード」の爆発で命を……」
「でも実際のところ死体もないってことからの行方不明でしょ?あの後そこでたまたま次元崩壊が起きてたって話だし、死んだっていうのもそれを隠すための方便だったわけでしょ」
あの場で起きていたことは華穂もMSオーダーズに参加した時に知らされていた。現状次元崩壊に呑みこまれた際に人がどうなるかも分かっていなかったことから、元の所在は不明のままだった。遺体のない棺桶を燃やして、虚しさを当時感じた。
以来華穂はきっとどこかで兄が生きているのだと信じていた。兄が誕生日にくれた髪飾りに手を当てる。
「それで、私達はどうするんですか?」
「そうだな。MSを扱い、管理する組織のトップとして、MS所持法を有していない、組織に属していないMSを見逃すわけにはいかない。ましてそれが戦闘に関わったんだ。拘束する必要がある。その為の捜索チームを結成する。リーダーは深絵君、頼めるかな」
「私がね。了解だよ」
黎人からの指示に深絵が頷く。拘束と聞き華穂の中で兄が酷い目に遭うことを想像してしまう。昔から兄に生意気な態度を取って、時にはいたずらをすることもあった華穂だが本気で傷つけようと思ったことはもちろんない。兄への好意からのものである。だから本当に他人に兄が傷つけられるのは嫌だった。
しかしそんな気は毛頭ないことが黎人の口からも語られた。
「それと、拘束とは言ったがあくまでも生きた状態で確保することを忘れないでほしい。抵抗した場合はこちらも武力行使はやむを得ないが、周辺地域、機体とパイロット、そしてこちら側への被害を避けて欲しい。機体の技術、パイロットの情報、そして敵か味方かを判明させる。これらの事を君が指揮する部隊でやってくれ。頼めるかな?」
技術者と司令官としての本音を盛り込みながらも、華穂の望む条件を提示した黎人。それに対し、深絵は快く承諾し、華穂へ手を伸ばす。
「分かりました。すぐにメンバーを編成して、漆黒のガンダム捜索を開始します。メンバー第1号は華穂ちゃん、いいかな?」
「はいっ!よろしくお願いしますっ!」
辞令に返事よく応える。これで兄に会える。まだ兄の無事を確認していなくとも、華穂の気持ちは昂った。
やる気を見せる華穂の顔に安堵した様子の深絵は、続けて光姫と黎人に確認を取る。
「あ、それと確保の段階の時に光姫ちゃん借りてもいいですか?」
「私を?確保の段階でって……最初からじゃないの?」
「ほう……その理由は?」
光姫を借りたいとわざわざ言うのは少し妙な気もした。だがそこで深絵の的確な読みが展開される。
「これほどの重要な任務を光姫ちゃんに最初から任せないってことは、多分光姫ちゃんは普段と同じスクランブルに出すってことだよね。そしてそれは私達の調査の時間を稼ぐため……。でも確保するときは最悪戦闘になるかもしれない。ならその時は光姫ちゃんも、カラーシリーズの現状稼働機を全機出して、本気でぶつかり合う必要があるときも、考えて」
「本気でって……戦うってことですか!?そんな……」
深絵の予想だにしていない発言に華穂は戸惑う。兄と戦うなんてありえない。そう思っていたというのに。
しかし深絵の考えは他にあった。
「確かに戦うための戦力だよ。でもそうじゃなくなっても、彼を護送するための戦力がいる。確保した彼を護るのも私達の仕事。それに対して全力で当たる。ダメかな?」
「あ…………」
兄を護るための戦力。護衛も今回の重要な任務だ。後の事を深絵はちゃんと考えてくれているのだ。明かした理由に黎人は頷き要求の可否を告げる。
「なるほどね。大体その指摘は正解だ。まぁそれ以上にメインメンバーから戦力を引き出したくないというのが本音だけどね。だが君の意見ももっともだ。いいだろう。その段階になったら報告後光姫も連れてMSオーダーズ最大戦力で事にあたってくれ。光姫もいいかな?」
「了解。司令に従うわ」
「ありがとうございます、じゃ、そう言うことで」
「深絵さん……黎人さん……!」
華穂は思い出す。昔家を出て途方に暮れた時も、彼女達によって救われた。感謝の使用がない。そのおかげで、兄とようやく再会できるのだから。
こうして漆黒のガンダム捜索隊が結成された。
◆
ガンダム捜索隊の結成から1週間。その間にもシュバルトゼロガンダムは東響の区内あちこちに出現していた。MSオーダーズと次元覇院の戦いに現れては攻撃する側に無差別に攻撃した。だがそれでも圧倒的に攻撃されていたのは次元覇院の方である。
次元覇院が好戦的過ぎる、というのもあったが、それ以外にもシュバルトゼロガンダムはMSオーダーズにあまり積極的な攻撃をしていないというのがあった。まるでMSオーダーズとは事を交えたくないかのように攻撃は威嚇程度の被害で収まっていた。
何が目的なのか、と思うだろう攻撃。それはガンダムの装依者であるハジメにしか分からない。そしてハジメには考えがあったことをジャンヌは知っていた。そんな2人は今、都内のホテルの1室にいた。
「ふぅ、何とか資金は稼げそうですね……不本意ですが」
「そんなことないだろ?時間がない俺達にとっては堅実な策だとは思うけどね。まぁ、多少は法に触れるかもだけど、そもそも今の俺達、MSを持っている時点で犯罪のようですから」
「もぅ……それを知った時には、後の祭りでしたね」
部屋の外の自動販売機から買った紅茶と緑茶にそれぞれ口を付けて、部屋に備え付けのパソコンを見て話す2人。パソコンにはここ最近のニュースと5年の間のMS史、ニュース、そしてなぜか都内と周辺の競馬場を示したマップが開かれていた。
ニュースを調べるのは分かるだろうが、なぜ競馬場なのか。それは元が取った資金調達の話になる。簡単に言うとギャンブルで稼いだという話だ。しかも裏技とも呼べる方法で。呆れ気味にハジメから聞いたそのカラクリを口にする。
「DNL能力によって世界を構成する要素のうち、「運」や「当たり」を構成する要素に関するものを知覚してそれを実際に選ぶ……だなんて。DNL能力者でしか出来ないですって」
「しかも敵意察知をマスターして世界構成物資の動き・変化を読むところまでレベルを上げてようやくだ。正直言って真面目に短期バイトで稼ぐって手段もあったけど、ジャンヌを1人に出来なかったし出現時間で居場所を特定されても困るからな。けど三枝での活動資金は稼げた。もうしないけど」
「あら、どうしてです?いやもちろん、そんなことしてほしくないですけど」
問題があるとはいえちゃんと目的資金まで達成したというのに浮かない顔だ。疲れていると言えばいいだろうか。ギャンブルは想像以上に神経をすり減らすという話もある。したことの後ろめたさからくる疲れか、もしかすると能力の使い過ぎなどのせいかもしれない。だがハジメの辛さは斜め上の物であることを知る。
「単純に集中力を使うっていうのと、あと構成要素から物欲……人の欲望の気持ちみたいなのが溢れてくるんだ。ギャンブルを提供する側の。負のオーラたっぷりで来るからそれ防ぐのにメンタルすり減ってきてた」
メンタルがすり減るという単語にジャンヌは首をかしげる。ハジメの言葉が分かりづらく感じたのだ。だがこれでも名誉詩巫女の1人。ハジメと同じ敵意察知のDNL能力を会得したジャンヌは自身の中で答えに近いのではと思った感覚を伝える。
「メンタル……精神攻撃を受けていた、という感じでしょうか?」
メンタルとすり減るといった単語から連想した感覚だ。当たっているか不安になるが、そんな心配をよそに元はそれが当たっていることを告げた。
「そう。そんな感じ。気を抜くと欲望に心が侵食されていくんだ。ギャンブル依存症になっていくみたいに」
「あ、そうなんですか。なんか嫌ですね、ハジメがそうなっていってしまうのは……」
世界だと言われ嬉しさと共に悲しさを感じる。MSで戦いもするのにそんな心理的負担によるハンデを背負っていたのを気づけなかった。誤れば今ハジメが無事でいられたかどうかも分からない。知らない世界でハジメが変貌してしまったら怖くて仕方がない。
ハジメだけに背負わせてはいけない。姉の夫であるテュートの言葉を思い出したジャンヌは、自分が出来うる限りのサポートをしたいとハジメに申し出る。失言と共に。
「何か私が出来ることはありませんか?MSのサポートだけじゃなくて、何かあなたのメンタルを回復させられる何か……。出来ることなら私、何でもしますから!」
「ゲフン!……いや、あの……なんでもって、あの」
「え?……あっ!いや、あのね!何でもはするって言ったけど、その心の準備とかねっ!ま、まだ昼だし、それにあの、えっとその……はうぅ……」
ハジメの反応を聞いて、ジャンヌも気付いて挙動不審に言葉の訂正をした。まだ日も落ちていないのにそんなことを言って、もしハジメが本気になったらどうしよう。今まで甘えることも多かったとはいえ、いざ誘うとなると胸が苦しくなる。
落ち着いて感情を整理できずに妄想するジャンヌに対し、その姿を見てやれやれといった態度でジャンヌへ助け舟を出した。
「ジャンヌの力になりたいって気持ちは分かったよ。でも前も言ったから。全部終わってから、ちゃんとするって」
「あう……ごめんなさい……少し気が動転してしまって」
「いいさ。なら、せっかくだし少しだけお願いしようかな」
そのおかげでジャンヌも冷静さを取り戻した。続くお願いという単語にジャンヌは少しドキッとしてしまうが、そのお願いというのは実に互いの意見を反映したものだった。
ハジメの出した要求に従い、まずジャンヌはベッドに座る。そしてハジメが座ったジャンヌの太ももに頭を乗せて寝転がる姿勢になった。所謂膝枕である。ジャンヌの膝枕に頭を預けたハジメはその感想を感嘆のため息と共に述べる。
「はぁ……初めてやってもらうけど、意外といい物なんだな、膝枕って」
「なんですかその感想。でも、そうですね。あなたの顔をこうして眺めていられるっていうのは」
苦笑しながらもハジメの顔を覗き込む姿勢で膝枕をする。膝枕をされているハジメの顔はリラックスしており、見ていて安心する。彼の頭を撫でる。
「ゆっくりと、休んでくださいね」
「あぁ。今日の夜から三枝に移動するからな。親とか、妹が心配だ」
今日までに資金をためたのはハジメの家族と接触を取るためだ。ハジメの家族は次元覇院の勢力下、というよりそのホームとも呼べる東日本・西日本の境目近くの地域「三枝県」にある。既に彼らはこれまでの間に起こったことを知った。ハジメの事件以降、この国「日本」が変わってしまったこと、そしてMSが実用配備されて争いの道具となっていることも。
ハジメは確かめたかったのだ。家族の生存を。そしてあわよくば東日本の、次元覇院と対立する組織にして、今の日本の良心たるMSオーダーズに預けたい。ハジメのこの世界に来てから次元覇院の事を知った時の言葉が思い浮かぶ。
『一先ず、俺達の当面の敵は次元覇院だ。神なんていう不確かなものに心酔して、人の考えを否定していくやつに碌なやつはいない。今までも、そしてこれからも、俺は妄想の神を許さない。人を傷つけるような神を、信じる価値なんてないからな』
戦争の終わった後マキナ・ドランディアにて起きた事件で、ハジメが語った過去。幼少期にカルト集団に妹と共に受けた恐怖。それが今、最悪の形でこの国に蔓延していた。ハジメがそれに対して怒り以上の気持ちを持っていることをジャンヌも分かっていた。だからレイアを探す準備を立てるためにも、まずハジメの家族の安否を確かめる方向に行動の指針を決めたのだ。
「レイアの捜索の為に来たのにこっちの事を優先してごめん」
自身の事を優先してしまうことをハジメが謝罪する。しかしジャンヌも無事ハジメの家族と再会できることを願っていた。だから気にしないように伝える
「いいですよ。私だって昔とは違います。あなたが家族の事を心配する気持ちも分かりますから。不安なままのあなたを私も見たくないですから……。そのために、今は休んでください」
「……ありがとう。じゃあ少し……」
そうして2人は夜を待った。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。
レイ「あー、やっぱり妹が一番お兄ちゃんの死を重く受け止めていたよね……」
ジャンヌ「そんなに気にしていないように見えて、華穂さんが辛かったんですね」
私自身は一人っ子だからあれだけど、やっぱり兄弟とか姉妹って仲が悪くても喧嘩するほど仲がいいだと思うんですよね。まー周囲の話ではそうでもなかったりするけど(´・ω・`)(どっちなんだ)
レイ「まー十人十色だよ、そこは。それより元君の能力ヤバくない?」
ジャンヌ「そうですよね……まさか当たりを算出するだなんて……。言っちゃアレですが、ギャンブルに持ってこいですよね」
けどDNLでの使用時にはそれ相応に敵意感知とは別ベクトルでの精神的負荷も掛かるというデメリットも付けて、多用出来ないようになっていますがね(;´・ω・)敵意はシンプルに攻撃するという意志、あるいは動きを感知していますが、今回の場合は確立に関わるあらゆる人の思惟を受け止めるわけですから。
レイ「ニュータイプとかもそういうことできるの?」
ジオリジンだとララァがやってましたね(´Д`)というかそこから得て来た。
ジャンヌ「そ、そうですか……」
というわけで今回はここまで!
レイ「LEVEL2もよろしくねー!」