レイ「アシスタントのレイだよ~」
ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。引き続きEPISODE19の投稿ですね」
その通り。前話にて明かされた東響掃討戦に向けて、元君も隊長として動いてきます。
レイ「初めての指揮官のお仕事、上手く行くのかな~」
ジャンヌ「戦闘勘はよい元さんですが、どうなのでしょう。今までを見ているとかなり不安が……」
では本編をどうぞ。
昼食から20分後、元とジャンヌ、そして華穂はCチーム選抜メンバーの集合場所である第3大ブリーフィングルームに来ていた。昼に配布されたチーム分けを見て、各部隊から選出された隊員達は入ってきた元達の方に視線を向けた。
「全員集まっているな」
誰も答えない。だが静かにしたということは、そう言うことだ。周囲を見渡し、それでも誰かがいないと報告が来ないのを見て第1次ブリーフィングの開始を告げた。
「じゃあ、東響掃討戦Cチーム第1次ブリーフィングを始める」
そう言って、元はスターターを置き、上層部より受け取ったデータを表示させていく。作戦概要、部隊配置などだ。ジャンヌと華穂に資料配布を任せ、資料が行き届いたところで自己紹介に入る。
「今回のCチーム作戦指揮官を務める、黒和元だ。部隊指揮は初めてになるため、至らない点があるかもしれない。その時は指摘してくれて構わない。だけどその時は要点をしっかり言ってくれ。それでは早速今回の説明に入る」
最初にスクリーンに表示されたのは作戦におけるチームの役割。それらを確認していく。
「まず本作戦の目的は東響都に潜伏する次元覇院の掃討だ。MSオーダーズ以外にも自衛軍東響防衛部隊が参加する。その中でも俺達Cチームは敵の東響戦線を支える一大拠点、住宅街の並ぶ地区を丸ごと要塞化したとされる「西東響ガーデンタウン」を攻略する」
表示される地区情報、タウンの規模。口頭で更に住んでいる住人兼次元覇院使徒とそれ以外の住人についても説明を行う。
「住宅街はそうでない箇所との境目を橋で囲われている。都会から離れた別世界の実現のために、
なるべく民間人を巻き込まないのを前提としている。これで敵に気取られるのは避けたいところだが、どうも敵は迎え撃つ算段であると付け加えた。
「敵もこの動きをどの程度かは知らないが察知している。だが敵は更なる戦力で迎え撃つようだ。待ち構えられている以上、こちらは警戒を厳にして攻略に望んでほしい。では続いて担当を発表する」
担当と言っても、簡単に言えばどのエリアに入ってきた敵を迎撃するか、だ。小隊の属する機体の武器、そして隣接する小隊同士、カバーできる部分を作戦会議以前に作成させられていた。
あまり柄ではなかったが、ちゃんと考えた。しっかりとそのポジションが想定した通り動いてくれるかどうかに掛かっている。
「追撃のC-1は第1、第2、第4小隊、背後の東響都内方面からの敵を迎え撃つC-2は第3と第6が担当。基地本体の攻略を担うC-3は俺を含めた第10を上空に配置して残りの第5、第7、第8、第9が担当する。また追撃のC-1グループは追撃までの間こちらの第10の護衛・サポートをしてもらう。ここまでで何か不明点があれば」
そこで真っ先に手が上がったのは玄人さを醸し出す中年男性だ。元は頷いて発言を許可、男性は聞く。
「第2の隊長、
追撃とは逃げる相手に更に手を加えるということ。説明と言葉の意味合いが違うのではと指摘をもらった。それは元も理解しており、答える。
「そうだな。とはいえ追撃部隊はその追い出しが基本だ。逃げていく途中で人質を取られても困るから、その妨害にあたるのも任務に入っている」
「それならそれで防衛部隊ってすりゃあいいんじゃないか?あんたを守るのも任務に入っているし、その方が」
それはもっともだ。元も話を聞いた時に指摘した。だがそうせざるを得ない状況が裏にある。元は明確にはせず、密にそれを示した。
「それは同意見だ。だが上がそうすると決めたから、何も言えない。全く、現場の都合を考えちゃくれない。俺も司令も困ってるよ」
「大変だね、上と相手をする方は……って司令が?」
「そっすね。その上の人の命令ですよ」
それを聞いて口々に呟く周囲。そう、これは黎人達MSオーダーズの上の人、ではない。もっと上の意見が影響していた。
追及されないように、結論だけを素早く押し込む。
「まぁ最終的に、民間人への被害を出さずに敵を外に追い出せればいい。執拗に迫ってくるなら遠慮なく落とせ。あと追撃部隊に限らないが、基地の偵察ドローンが状況の撮影を行う。基本的に作戦状況の記録だが、不審な動きがあれば2機ほどが隊長機からコントロールして記録させられる。上手く使ってくれ」
「はぁ、分かったよ。これはまた大変だ」
掌を上にお手上げと言ったように首を振る。はっきりと言わずにだが、理解はしてもらえたようだ。他の者達もこれ以上の追及はしなかった。
一方で別の質問が飛んでくる。今度は女性、真面目な表情で所属まできっちりと名乗る。
「すみません。第3部隊、基地防衛チームGUARDIAN第2部隊隊長の
「戦力か……一応、Cチームは全部で120機のMSがある。対して敵の推定MS数は……500だ」
「無茶苦茶です!それではこちらが飲み込まれます」
無茶苦茶、間違いないだろう。動揺が広がる。だがそれは決して戦う数とイコールではない。言葉の綾であるのを弁明する。
「まぁ普通はそうだな。けどこれはあくまで「基地にあるMSの数」だ。「実稼働数」じゃない」
「実稼働……数?」
「基地に勤める全員が全員、MSを運用できると思うか?」
組織と言うものは構成員に役割を与える者である。何でもできる人員が欲しいと思うのが組織のトップに立つ者が思う所だが、実際は何らかの役割を果たせる人間を別々に採用するのがほとんどだ。今なおこの国には何でもできる人間を求め、過酷な労働を強いる所謂ブラック企業が存在するが、それはむしろ非効率である。数を多く必要とする新興宗教ならばやってしまえば更に顕著に出かねない。いや、むしろもう出ているからこそあのような奴らばかりなのかもしれないが。
ともあれ基地にいる全員が、あるいは基地にあるMSすべてが丸々戦闘員になるとは限らない。特にこの基地は東響都内に潜伏する次元覇院へのMS供給所にもなっている。稼働できる数以上のMSとそのセットバックルをため込んでいても、動ける数はそれ以下。それだけでも数は少なくなる。更にもう1つ。作戦を進める上で考えられた案があった。
「それにまともに1機ずつ戦う気は毛頭ない」
「それは……」
スライドを操作する。2枚ほど先に送ったところで止める。そこには試作型の大型ミサイルが映し出される。その正体を告げる。
「試作型の対地下要塞攻略用大型ミサイル「アースシェイカー」。これを水路から地下へと打ち込む。こいつは一定距離進むと爆発する。これで基地直下の地盤を弱くして、基地を崩壊させるのさ」
「つまり……基地の人間やMSを生き埋めにすると?」
その指摘にそうだと頷く。もともとはガスを打ち込んでMS装依前に制圧するという作戦だったが、それではMSに装依されたら意味がないと打診した結果、生まれた案だ。自衛軍から借りるものの、借りる先の自衛軍からも試験運用を兼ねてと二つ返事で許可された。
口々に騒いでいた隊員達も騒ぎを小さくしていく。質問をした羽鳥はやや不服そうだったが、諦めたのか認める。
「分かりました。ですが周囲の地域には作戦決行時の余波がなかったことの確認などはしていただけるのですよね?」
「そのはずだな。自衛軍からも釘は刺されているらしいから」
「ならいいです。私からは以上です」
席に座り直す羽鳥。以降は誰も手を上げなかった。確認して元は備考について話す。
「では最後に備考となるが、民間人の被害はゼロを目指せ。周囲の街にはカモフラージュも兼ねて本日より夜間の出入り禁止を徹底するが、それでも外に出ないという保証はない。火器の使用には十分気を付けるように。分かったな」
『了解』
「じゃあ今日はここで解散!戻ったら再度当日使用するMSと武装チェックを提出な」
そう言って第1次会議は終了する。各々部隊に戻っていく中、ジャンヌと華穂が来る。
「第1次会議お疲れ様ですっ」
「あぁ、ありがとう」
「にぃも大変だねぇ。色々伝えなきゃならないのに制限があるって」
先程の発言について華穂が苦労を察してくる。隊員達に下手な危険を与えるわけにはいかない。それでもはっきりと事実は伝えたいからこそ、あのようにぼかした言い方しか出来ないのは正直辛い。このあたりの事情はドラグディア、アレク隊長などはどう思っていたのか。
だからと言って今帰還して訊くなんてことは出来ない。自分で何とかする。元は頷いて華穂にも釘をさしておく。
「気遣いどうも。けどお前も下手なことを言うなよ?どうなっても俺はお前自身の責任まで取りきれるか分からないんだから」
「分かってる。自重するし、にぃに余計な迷惑はかけないよ。ちょっかいは掛けるけど」
「ちょっかいもやめろ」
舌を出す妹を軽く小突く。調子づかせると妹は際限がない。この後も何度か面白がる妹に手を焼かされるのであった。
基地攻略まで、残り9日。
◆
東響掃討戦の作戦発動に向けた動きは着々と進められていた。基地上層部の各方面への通達、作戦参加部隊の打ち合わせ、そして整備部のMSチェック……。MSオーダーズのあらゆる部署が通常業務と合わせて動いていた。
光姫もまた例外ではない。特に彼女はパイロットでオーダーズ主要メンバー。自衛軍側との連携や自らが指揮するAチームの配備状況確認など、やることが多い。幸いなのは基地方面を防衛するだけの為、護ることを第一に考えればいいことだろうか。しかしそれでも全体の動きを見て、必要によっては指示しなければならない。おそらくMSオーダーズ始まって以来の大作戦だろう。
失敗は許されない。ここで東響の次元覇院は全て駆逐する。もう光巴が怖い目に遭わない、平和な街で元気よく暮らせるように。その為に今自分が出来ることを精一杯やる。それが親の役目だ。そんなことを考えながら、彼女は整備ハンガーまで来ていた。どうやらガンンダム3機種の追加兵装が完成したらしい。その確認に来たのだ。整備主任の真希がこちらに手を振る。
「あ、光姫さんいらっしゃーい。もう出来上がってますよ」
「うん。みんなの分、完成させてくれてありがとう」
「それが私達、技術者の仕事です。それに支部からこっちに来てくれた人達が優秀でしたから」
そう言って彼女は仲間の技術者に目を向ける。その中にいた黒髪と茶髪の、眼鏡を掛けた2人組が頭を下げる。
光姫もまた同じように頭を下げた。彼らには頭が上がらない。元のことを知り、わざわざこちらに来てくれたのだ。彼らを見て、元も驚くに違いない。そんな彼らを傍らに据え、真希が順にガンダムの装備について紹介する。
「まずはこちら、光姫さんのロートケーニギンの追加兵装、多目的ランチャー「
赤色を主体に、ファンタジックな文様を表面に施した大型の盾。だがその裏には大砲門が接続されており、腕をその後部から入れて保持する形が見て取れた。その兵装の解説を茶髪の男性が行う。
「ヴァッペン・シルトは大型シールドを多構造式冷却フィン搭載の冷却器としても扱えるように改造した、大出力ビーム砲装備のマルチウエポンプラットフォームです。事前に光姫さんから要求されていたロートケーニギンの火力増加と非常時の主力格闘兵装を両立させるため、ビーム砲の冷却機能をシールドに付与。更に非常時の格闘兵装を基部に取り入れた多機能兵装に仕上がりました」
自身の為に用意された、ロートケーニギンの火力を底上げするための兵装だ。盾とセットにしたそれはまさしく光姫が求めていたものに間違いない。光姫もうんうんと頷き、満足を示す。
「うん、これで肩のドローンに頼らない長距離射撃が出来る。元々のビームキャノンよりも効率よく運用できそう」
「あのビームキャノンもシュバルトゼロの技術で改良はしているんだけどね。やっぱり構造から見直さないとあれ以上の性能強化は無理だね」
既にあるビームキャノン・ロートはエディットアームの恩恵でフレキシブルな可動域を実現するが、いかんせん出力が低い。加えて連射間隔もやや悪かったため、使いづらかった。しかしこの兵装のおかげでそれもきっと解消されるだろう。
続いて紺に塗装されたコンテナの前に案内される。黒髪の男性が今度は説明を行う。
「続いて、蒼梨深絵さんのブラウジーベンガンダム専用装備、ライフルコンテナ「バルミザン」です。本来深絵さんからは実弾・ビーム双方を放てるスナイパーライフルが要望書に出さていましたが、今現在の技術では東響掃討戦に間に合わない為、このような形になってしまいました。ご容赦を」
「あの子は本当、無茶が多いわね。ブラウも本当なら高機動遊撃型だったのを狙撃型にして、それでもほぼ遊撃と同じことやってるんだから」
「深絵ちゃんは本当に規格外だよ。でもなるべく要望に沿えるセッティングはしたよ」
「えぇ。こちらです」
男性が端末を操作する。するとコンテナが動く。内側と思われる部分が開閉する。その中には名前通り、深絵が普段使用するスナイパーライフルがそれぞれ格納している。内部はいくつものメカニックが内包されており、順に説明を受ける。
「ライフルはこれまで通りのスナイパーライフルを2丁。アイスボックス仕様ですが、コンテナ内部にもアイスボックスを内蔵します。またライフル格納時にはアイスボックス交換を自動で行い、連続狙撃をサポート。また下部ミサイルランチャーで実弾攻撃を実現しています」
「ミサイルか……これだけ多いと、機動力は落ちるわよね?」
「それに関してはマイクロスラスターで可能な限り相殺しています。ですが、多少の低下は目をつぶるしかないです。仮に高機動戦闘に突入する際は、任意で切り離しは可能ですので」
これまでの売りだった機動性は低下するが、そもそもの話深絵はスナイパーだ。無理に動かされることがあれば狙撃どころの話ではない為、さほど問題ではないだろう。了解を伝える。
「分かったわ。深絵にもそれは伝えておいて」
「はい。無論です」
「じゃあ、最後は私が、元君の追加兵装について説明しちゃおうかな?」
ブラウジーベンの追加兵装の説明を終えたところで、満を持して真希が最後の説明に入る。隣へ移動すると先程までとは明らかにサイズの違う、何かの端のような小さい爪に似たパーツが鎮座されていた。
「これがシュバルトゼロの追加兵装」
「追加スカートユニット「フェザー・ブレイズ」。元々シュバルトゼロガンダムに装備されている腰部ホルダーバインダーのスラスター部に追加で装備する兵装。イグナイターが使うDNフェザーショットを私たちなりにアレンジして作ったんだ」
そう言ってイメージ映像を見せられる。映像ではノーマルのシュバルトゼロがこのユニットから光線をいくつも放ち、多数の敵を撃破しているのが見える。データでは更に機動性のパラメータが表示されており、機動性にも寄与しているのが分かる。
「ホーミングレーザーによるマルチロック射撃。機動性も5パーセント向上。もとがハイスペックだから、下手にはいじれなかったけど、余計なものを付け足すよりはいいと思う。元君を招いての変容テストでもイグナイターのフェザーショットが強化されているのが確認できたしね」
「最小限の武装増加でイグナイターの武装まで強化、なら十分成功って言えるわね」
完成度の度合いに納得する。東響中の次元覇院をすべて駆逐する為に、持てる戦力は投入する。東響の戦いを終わらせ、次なるステージに行くために。
「じゃあ、作戦当日までにパイロットとの最終チェック、終わらせてね。私もその時に」
「了解でーす。あ、2人も今から休憩に上がっていいよ」
「分かりました。ちょうどいいですね」
「ありがとうございます。光姫さん、もう今からで会いに行っても?」
休憩を頂いた2人は光姫に訊く。2人の会いに行く相手は無論彼のことだろう。長年の友人となれば彼もまた会いたいに違いない。光姫は二つ返事で許可する。
「もちろん。あっちも休憩スペースで休んでいる頃だろうし」
「2人のおかげで準備がこれだけ早く済んだんだから、久しぶりの話に花を咲かせてきてね~」
真希の声を背に受け、2人を連れて整備ハンガーを後にした。元の驚く顔が目に浮かぶ。5年前あの場にいた関係者の2人に、元は何というのだろうか。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。
レイ「地下を落とすんだ……なかなか豪快っていうか」
ジャンヌ「少数で攻めるなら、地形を利用するというのは必然ですね。というかなぜ次元覇院はそんな形で基地を」
何で作ったのか(;´・ω・)それは次元覇院にしか分かりません。大方カモフラージュも兼ねてだったんでしょうね。あとは周囲の民間人を盾にする狙いもあります。
レイ「次元覇院(作者)」
中の人発言はやめましょう(^ω^)そんなに過激派思想じゃないですから。
ジャンヌ「作戦に合わせて新装備も登場するみたいですね。これは黒の館DNをまた挟みそうです?」
そうだね。紹介する人も多いし、一度挟む予定です。今回登場した整備員の男性達もそれなりに重要人物ではあるので紹介します。
では今回はここまでということで。
レイ「次回もよろしくね~」