機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。年度の締めも残すところ2日ですね。作者の藤和木 士です。

ネイ「アシスタントのネイです」

グリーフィア「アシスタントのグリーフィア~って先週中々ショッキングな内容だったんだけども」

先週の悲劇、今話であの後どうなったのかの結末が公開ですよ(゚∀゚)

ネイ「第2部のメインキャラクターが死んで何言ってんですかこの作者」

グリーフィア「鬼畜よねぇ。死んでその顔文字が本当に人の心があるのかどうか」

( ;∀;)なんていえばいいんだい……さぁ、急行した元とジャンヌ、華穂が見たものは、そして東響掃討戦の行方は?それではEPISODE26、LEVEL2第2章最終話をどうぞ!


EPISODE26 決行、墜ちる砦5

 

 信じたくなかった。その光景を。

 エラクスによる急加速を終えて基地の戦闘へと介入した元。たちまちに数機撃破していく中で発生した爆発に気づいてその方向へと向かった。

 そこで見た。見てしまった最悪の光景。見慣れないドラゴンの意匠を持った機体。転がる武器の数々。そして爆心地にいた胸を焼き貫かれた見慣れた女性の姿。

 

『あ……嘘』

 

『光姫……さん!?』

 

 ジャンヌ、華穂も見て絶句する。空に浮遊して立ち尽くす一同。

 光姫が負けた。いや、負けただけならどれほど良かっただろうか。生きていたならまた会える。希望が残っていたから。

 だがしかし、眼下の基地地面に倒れる光姫にその可能性はわずかにもなかった。貫かれた胸からは既に大量の血が地面に広がっている。手もわずかさえ動いていない。心臓を撃ち抜かれたことが嫌でも理解させられる。

 まざまざと見せつけられるその一方、勝利した敵MSは正体と共に勝利を高らかに宣言した。

 

『聞け!今悪魔の女次元光姫はここに死んだ!この俺、沢下判が成し遂げた!』

 

『あの機体……沢下!』

 

 華穂の怒気に満ちた声が響く。そのまま沢下は続ける。

 

『だがこれは俺だけの勝利ではない。この作戦に参加したすべての使徒達諸君、そして我らが神の与えてくださった勝利だ!今こそ全ての悪を掃除するとき!ガンダムを破壊するのだ!!』

 

『おおおおぉぉぉぉ!!』

 

 回線、そして基地全体に響き渡る次元覇院のパイロット達の咆哮。一斉にこちらに向けて進撃してくる。

 

『にぃ!来るよ!』

 

『ハジメ、迎撃を!ハジメッ!?』

 

 敵を迎撃する華穂に対し、ただ立ち尽くすのみだったシュバルトゼロ。それをいいことに敵は次々とこちらに向かって発砲を繰り返す。

 異変に気付いて華穂がカバーしようとする。そんな様子を見て沢下は嘲笑い自身の成果を自負する。

 

『茫然自失となったか。まぁいい。これで柚羽も、私の妹も思い浮かばれるもの……』

 

 ビームが機体に着弾した、と思われた次の瞬間。

 

「―――――!!」

 

 蒼の閃光が軌跡を描く。ビームを回避してこちらに向かいつつあったマキイン、魁、刃の混成部隊を突破して地上にいた沢下の機体に肉薄する。

 

『な……』

 

 突破した敵機はいずれも胸部、次元粒子発生器の箇所に穴をあけられている。一瞬の接触で半数以上の敵機体を沈黙させた。

 肉薄したゼロオーバーモード状態のシュバルトゼロガンダム・イグナイターが沢下に迫る。

 

「うおおぉぉ!!」

 

『速い!?こいつっ!!』

 

 不意を突かれた沢下は機体を退かせて回避。しかし完全には回避できない。既に使い潰していたと思われる右腕を肘から下から両断した。

 ビームサーベルの軌跡はまだ終わらない。一歩踏み込み両手で振り下ろしたビームサーベルが背部より展開されたアームユニットの手の甲で受け止められる。

 両者激突した状態。元は問いかける。

 

「なんで、何で殺した!なんで柚羽の名前が出る!!」

 

『あぁ?決まっている。俺の妹間宮柚羽は次元光姫がけしかけた母親の再婚相手に殺されたからだ!』

 

「光姫がけしかけた……?ふざけるな!!」

 

 そんな馬鹿な話があるわけがない。相手の妄言にはっきりと否定して弾き飛ばす。

DNフェザーショットを放ち、追撃。狙いは雑に行ったため何発かが地面へと着弾する。

 否定する元。だが沢下はなおも光姫が黒幕だと語る。

 

『ふざけているのは貴様らの方だ!あの女にいつまでも踊らされて!あの方の偉大さも知らぬ愚か者が!理解できぬのならば散れ!!』

 

「!!」

 

 腰部からビームライフルを取り出し、左手で狙いを付けて撃ってくる。通常状態ならまだ張り合えただろうが今はイグナイター。それもゼロオーバーモード下にある機体は完全に攻撃を回避する。

 攻撃を回避しながら元は怒りを滾らせる。何が踊らされているだ。そう言った奴の言葉を真に受けて、都合のいいように解釈している男にそんなことが言えたものか。

 そんな奴に同級生を殺された。その怒りは遂に爆発する。

 

「お前が、ふざけているんだろうがぁ!!」

 

『ELACSSystem、Ignition!』

 

 怒りを込めたエラクスの蒼い炎が燃え上がる。更なる機動性を以って敵を圧倒、叩き潰していく。

 何度も、何度も斬り、蹴り、殴る。その性能はもはや圧倒的を超えて暴力的。かつて機竜大戦でも一度発揮した力の重ね合わせはそれ以上の苛烈さを持ち合わせていた。

だがそれは高負荷の連続を意味する。ジャンヌの方に既に影響が出つつあった。

 

『ぐ、ぐぅ……っ!はぁっ、はぁっ!』

 

 先程から続く連続機動も余計に負荷を高めていた。ところがその声は元には届いていなかった。目の前にいる最底辺の輩を殺すことしか考えていない。

 流石に不味いと見たスタートからも制止が呼びかけられる。

 

『おいハジメ!落ち着け!』

 

 ところがそれすらも今の元には鬱陶しく思えた。元はその忠告を無視する。

 

「お前に、お前なんかに、お前の心酔する奴なんかに、偉大さも正しさもあるものか!!」

 

『Ready set GO!DNF、「アッシュ・ヴァルスラッシュ・ハザードコンビネーション」!』

 

 振り上げた光剣に黒い竜巻が纏う。敵はここまでの攻撃で両腕部を失いアームユニットもほぼ半壊状態だ。しかし容赦などはしない。

 エラクスとゼロオーバーの加速を合わせて詰めると竜巻の光剣を斬りつける。何度も、何度も、何度でも斬って装甲を飛び散らせる。

 最後に光剣を敵の胸部へと突き立てる。竜巻ごと突き刺した機体が中から次元の竜巻に斬り裂かれていく。全方位に刃を飛び散らせて、機体は細切れにされた。爆発が機体を包む。

 

「フッー!フッー!」

 

 爆炎から姿を現したシュバルトゼロガンダム・イグナイター。息を荒くする元。撃破したものの、彼の怒りはまだ収まらない。

 狙いを華穂と交戦するマキイン達に向けようとした。が、次の瞬間機体のバランスが崩れる。

 

「っ!?何で」

 

 怒りのままに疑問を呈した。まだこの程度で、と思った元はようやく気付く。

 

『げほっ、がふっ!』

 

 回線から聞こえた嘔吐音。混ざって聞こえる声の主は同乗するパートナーの物だった。我に返る。

 

「ジャンヌッ!お、俺は……」

 

 イグナイターはパートナー、ジャンヌへの負担が非常に大きい。それだけでも負担なのに元は更にゼロオーバーモード、そしてエラクスの使用を行った。

 負荷の掛かるモードの多重使用とそれらの無断使用。いくらエンゲージシステムが改良されたとは言っても無茶だった。

 当然ジャンヌからも息も絶え絶えの状態で叱責を受ける。

 

『ようやく、気づきましたか……ハジメ……ッ』

 

「すまない、俺は……」

 

『本当、ですよ……?いくらミツキさんが、殺されたからって……私の事を無視してあんな無茶な連続機動。必死に制御してるこっちの身に、なってください。げほっ!』

 

 どれだけ罵られても仕方がない。そう思っていた元とは裏腹に、ジャンヌは厳しくもしっかりしろと激励を送る。

 

『それより今は、基地の敵を殲滅してください……ッ。敵は、まだ……』

 

「ジャンヌ……」

 

 叱咤激励を受けるが、それでも今のジャンヌに無理をさせるべきかと躊躇う。するとため息を漏らしたスタートからも同じく迎撃を優先された。

 

『ジャンヌの言う通りだ。今は迎撃に集中しろ』

 

「スタート」

 

『フン、何とでも言えばいい。だがお前の言葉も、今は説得力もない。これ以上パートナーを傷つけたくないならとっとと終わらせろ』

 

 ストレートな意見に反論も出ない。今の元自身が何を言おうと無意味。ならばすべてが終わってから、反省するしかないとスタートは言っている。

 納得しがたかったが、言葉を呑みこんで元は迎撃へと移る。とはいえ他味方機の奮戦で機体は少ない。華穂の支援にフェザー・フィンファンネルを飛ばした。

 

『くぅ!にぃ!?』

 

「任せてすまなかった。支援する」

 

 支援と言いつつも立ち位置は地上のまま。だがその背後に死体となった光姫を庇う姿勢を維持する。

 二機であらかた撃墜したところで、華穂が下りてくる。同じタイミングでこちらに駆け出してくる光巴、黎人の次元親子も見える。

 

「ママ、ママ!!」

 

「光姫……?光姫!!」

 

 すかさず光姫の下へと駆け寄る二人。華穂も元も、逸る気持ちを抑えて周辺警戒を行いつつ様子を聞き取る。

 どれだけ呼び続けても光姫は答えることはない。死んだという事実に黎人は震える声を抑えて現実を受け入れられずにいた。

 

「嘘だと言ってくれ……君が、こんな!こんなことになるために私はMSを作ったんじゃ、ないのに……!うああ、ぁぁぁ!!」

 

 悲しく響く叫び。何も言葉が出なかった。間に合わなかった事実が胸を抉る。取り乱す父親の黎人とは対照的に、幼い光巴はただ母の亡骸に顔を当てていた。

 しばらくして光巴は顔を上げて言葉を紡ぐ。

 

「……うん、分かったよママ。はじめおにいちゃん、まだおわってないよ」

 

「終わって、いない?」

 

 唐突に告げられた戦いが終わっていないという発言。確かにまだ少数の次元覇院の部隊が散り散りに残っているが、それでも隊長機、あの沢下判は間違いなく殺したはず。機体の残骸だってある。

 それ以上に幼い子どもがまだ終わっていないとはっきりと呟く現状に、気味の悪さを感じる。全てを見透かされているような、歳不相応な冷静さに。

 しかし、誰もこれ以上は起きないと思っていた矢先、それは起こった。海上方面から光が放たれる。それは上空で戦っていたマキイン、ソルジアをすべて呑みこんだ。爆発が空を瞬かせる。

 

「なんだ!?」

 

『き、基地南西海上!海の上に、三つ首の竜が!』

 

『三つ首の竜って……。え、何あれ!?』

 

 馬鹿な話を、と言いかけていた華穂が絶句する。元もそちらに目を向けて目を見張る。

 

「あれも……MA、なのか?」

 

 海上に現れた三つ首の竜。それは機械で体が作られていた。クリムゾン・ドラゴニアスよりも小柄ながら、それ以上に異質さを備えたそれは明らかにこちらに敵意を向けていると言えるほどに、その眼でこちらを捉えていた。

 そしてその竜の中にあると思われるスピーカーからあの男の声が響き渡る。

 

『どうだ!これが我らの決戦兵器、オウ・ヒュドラだ!』

 

「沢下、判!?」

 

『何で、あいつは死んだはずだよね!?』

 

 黎人と華穂がその生存を訝しんだ。元も確かに奴は殺したはずと機体の残骸を再度見る。

 あるのは機体の残骸のみ。だがそこで何かが引っかかる。あるはずの物がない。MSを装依したなら撃墜した時に必ずわずかに残るはずの物が、そこにはないことに気づく。

 死体だ。光姫が死体となったのなら、同じく敵も死体が残るはずなのに、その死体はどこにも見当たらなかった。

 普段は気にもしなかった瞬間の異変。敵もそのカラクリを自慢げに明かす。

 

『我らは得た!MSを操りながら、決して死ぬことのない神の御業を!ドローン操作を応用した、コントロールポッドからのMS運用を可能とする「マリオネッターシステム」。それを得た我らは、死ぬことなく、世界の敵をただ葬ることが出来る。貴様ら正道を阻む悪魔には到達することのできない高みに、我らは達したのだ!!』

 

 MSの遠隔操作。理屈などをかっ飛ばしても、それが本当なら敵は死ぬことなくMSを操れるということ。これまでMSに装依して戦い続けてきた自分達とは圧倒的に違う強さ。死を克服したとも取れるその宣言はさながら勝利宣言のようだった。

 自分達も成しえていない技術を得た次元覇院の成果に黎人は愕然と地面に手を突く。

 

「そんな……MSを遠隔操作など。これでは、死んだ光姫はどれほど愚かだったと……」

 

「……お前がそんなこと言うのかよ」

 

『にぃ』

 

 勝手に失望する黎人を叱責する。まだ負けていない。ここで諦めればたちまち彼らのような戦争をゲーム感覚とする危険な思想が誕生する。

 

「何が死なない兵士だ。前線で命を賭して戦う者達を嘲笑って、得た勝利なんて中身はない。あるのはそんな形だけの勝利に酔いしれた狂人たちの自己満足だ」

 

 これまでに散っていった命への冒涜ともなりかねない彼らのシステムを否定する。敵のMAオウ・ヒュドラは最後の抵抗者であるこちらに向けてその大口を三つ開く。

光が瞬く。シュバルトゼロガンダム・イグナイターはスラスターを噴かせて前へと出た。基地丸ごと吹き飛ばすつもりなのだろうが、そんなことはさせない。

 

『果てろ。悪よ!!』

 

「っ!!」

 

 光が放出される。それに合わせ、シュバルトゼロガンダム・イグナイターもDNFを繰り出す。

 

『Ready set GO!DNF、『ダブルディメンション・ブレイカー』!』

 

 両手から繰り出す高エネルギー砲撃が、敵の砲撃と真っ向から撃ち合った。衝撃と共にエネルギーの放射が辺りに散った。

 

 

 

 

 シュバルトゼロガンダム・イグナイターと敵の砲撃は互角の勝負と言えた。敵は三門のビーム砲で、こちらは二門の腕部ビーム砲からのDNF。むしろ出力だけならこちらの方が上。

 のはずだった。しかし競り合うビームは徐々にこちらが押されつつある。なぜ。

 

「ハッ!ハァッ!」

 

 既に、ジャンヌ自身が限界だった。ハジメにああ言ったものの、負荷が体を蝕んでいる。朦朧とする意識の中、無我夢中にイグナイターの全出力管理を行っていた。

 

(持たせなきゃ……あれを、潰すまで……は!)

 

 出力に波が生じるのを抑え込む。機体側から多数のエラーが検出される。

 

『ジャンヌ……!このぉ!!』

 

 ジャンヌの限界にハジメも気付いて早期に決着させる様に出力を上げる。ぶつかり合うビーム。同時にそれぞれのビームの放出が終了した。

 被害算出、しようとしたがその前に機体のエヴォリュート・アップが解除される。同時にイグナイトパーツが強制的に分離される。

 

「あぅ!そんな……」

 

『イグナイター……強制解除か』

 

 システムがパイロットの保護を優先した。分離して再度機竜形態へと組み直されたGワイバーン。

 一方で敵の機竜オウ・ヒュドラは口部を閉じて冷却態勢へと入る。代わりに尻尾を前方に向けて光を収束させていた。

 

「高エネルギー反応……まだ来るぞハジメ、ジャンヌ!」

 

 スタートに言われハジメが機体を立たせた。ジャンヌも制御に入ろうとした。だが出来なかった。

 

「あっ……」

 

「ジャンヌ!」

 

『ジャンヌ?どうした、おい!』

 

 電子空間で倒れる。もう体中が耐えられなかった。それでも意識だけは保とうとする。敵の砲撃は待たずして発射された。

 放たれた一撃は先程よりも弱いながら、こちらを呑みこまんとする。シュバルトゼロガンダムでは間に合わない。ハジメも機体制御に努めるが、動作は重い。

間に合わない。そう思われた、はずだった。

 Gワイバーンがこちらのカメラに顔を向けた。

 

『グァウ』

 

「ワイバーン……?」

 

 まるで別れを言うかのような顔の見せ方。倒れながらも視界の先まで移動したコンソールに映ったその顔。次の瞬間Gワイバーンは収束されたレーザーに向かって飛び込んだ。

 

『Gワイバーン!?』

 

 ハジメが叫ぶ。直後Gワイバーンから球体のエネルギー場が形成された。球状のフィールドはDNウォールではない。周囲の歪み方は以前次元移動をした際に見た次元空間に近い。

 Dトラベルシステムを用いての次元領域形成による防御。この時点でそれに気づく者はスタートを除いて誰もいない。それがどれほどの負荷を掛けるのかも。次元世界そのものを防御に使用してレーザーから二人とその後ろにいた三人と遺体一つを護る。

 拡散したレーザーの束が周囲を焼き焦がしていく。それでもGワイバーンが作り出したフィールドによりレーザーは全て拡散した。

 しかし代償は大きかった。

 

『グ、グアグ……!』

 

 フィールドを展開し終えたGワイバーンから爆発が起こる。大きな爆発の後、小爆発が連鎖していく。

 

「ワイバーンが……」

 

「Gワイバーン、すまないな」

 

 爆発を起こして機能を停止した機竜。もうイグナイターにはなれない。なるにしても再製造が必要で今の戦いでは出来ない。

 それ以上にジャンヌ達の中で、共に戦い続けてきた相棒とも呼べる存在の喪失に悲しみが生まれないはずがなかった。

 

『クソッ、クッソぉぉぉぉ!!』

 

 ハジメが機体を起こす。反撃を見せる構えだ。しかしながら既にこちらは満身創痍。シュバルトゼロガンダムでさえも今は突破が困難のように思えた。

 ジャンヌは祈る。

 

(お願い……どうかハジメに力を……)

 

 これまで幾度となく絶望的な状況に遭遇してきた。それでもハジメとシュバルトゼロガンダムはそれを超えてきた。ジャンヌは信じる。きっと超えられると。今の自分にはそれしか出来ないから。

 そんな思いが一つの軌跡を呼び込んだ。

 

『え?な、何?』

 

 カホの戸惑いに満ちた声。続いて機体に何かが接続される音が響いた。機体のモニターにはバックパックの側面に何かが接続されたとの表示。そして機体DNフェイズカーボンの変色開始が行われる。

 機体外部でこの時起こっていたのはミツキのロートケーニギンが装備していたアクセラレータドローンが背部ハードポイントに接続され、変容を起こしていたこと。機体のカラーリングが黒に加えて赤色が入っていく。

 まるでロートケーニギンを取り込んだかのような姿へと変化していく機体。ジャンヌはその様子を機体の名称変更でわずかに感じ取っていた。

 

「機体コード……Crimson ZERO?」

 

 クリムゾンゼロ(真紅の零)。そう読み取れる名前を冠した機体が攻撃態勢に入る。

 

『Ready set GO!DNF「クリムゾン・イレイザー」!』

 

 機体の前方に変容したアクセラレータドローンが各部を展開、前方に向け砲身を晒す。シュバルトゼロ改めクリムゾンゼロも腕部をドローンにかざしてエネルギー供給を行う。

 ドローンのエネルギー制御回路が稼働していく。溜めの後それを膨大な粒子ビームへと転換して解放した。

 解放されたビームは基地壁面、海上を抉りながらオウ・ヒュドラに向かって伸びる。オウ・ヒュドラ側も再度使用可能になった三つの口部ビームキャノンを束ねて発射、激突する。

 互角に競り合うビーム。しかしそれも一瞬の話。勢いのままクリムゾンゼロのDNFが敵MAのビームを負かしてその巨体の半分を呑みこんだ。

 ビームにより焼かれた三つ首の機械竜。爆発を灯してその巨体が海へと沈んでいった。発射終了と共に変容したアクセラレータドローンは排気して再びバックパック側面へと戻る。

 MA撃墜により戦闘は終了した。したが、結果は決して良いものではない。ハジメの後悔の声が火の収まらない基地で響いた。

 

「クソォ……畜生!!」

 

 拳を地面へと打ち付ける。

 

 

 結果として東響掃討戦の目的は果たした。ガーデンタウンの地下施設は完全に沈黙。東京都心の隠れ家も全てを暴き、一掃もされた。

 それでもオーダーズ・ネストの壊滅は決して目を逸らせない損失だった。同時にSABER隊長である次元光姫の死も、小さくない損失だった。

 参加した隊員達はこの日を忘れなかった。屈辱を受けたこの日を。それでもまだ終わりではない。

 反撃の灯はまだ消えていない。

 

 

第2章 END

 

NEXT CHAPTER AND NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。怒りの感情に、シュバルトゼロは紅く染まったっ!

ネイ「やっぱり元さんやりきれない思いが……っていうか光姫さんの機体の武器が付いて色が変わっただけですよね?」

いや、武器もGワイバーンから受け継いだエヴォリュート・アップで変容を起こして少し変わっているよ。ビーム量とかも全然違うし。

グリーフィア「明らかあのバケモノと互角に張り合える出力出していたものねぇ。けどGワイバーンがこれでお役御免とはね……フォーンさんにバレたらどうなることか」

ネイ「帰れなくなっているよね、マキナ・ドランディアに」

まぁ壊れていることも再び世界超えない限りはばれないから、バレナイカラ(;・∀・)

グリーフィア「まぁいいわ。けどこれは第3章どうなるのか見えた気もするわねぇ。かたき討ちというか、逆襲というか」

その決戦の舞台はいかに!ってところから次章は始まるね。意外とすぐだけども。それでは今回はここまでですっ。

ネイ「次回は黒の館DNです」

グリーフィア「それと用語設定集も第2部用の物を公開する予定みたいねぇ。所謂作者のメモ帳だけども」

やめないかっ(;・∀・)

ネイ「次回もよろしくお願いします」
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