ネイ「アシスタントのネイです」
グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよ~。決戦前夜、ねぇ。嵐の前の静けさ、でも良かったんじゃない?」
あ、それ私も少し考えたよ(;´・ω・)ただ今回はこっち。そのタイトルはまたの機会に。
ネイ「EPISODE31ですか。LEVEL1だとここから第3章の始まりだったんですよね」
そうなんだよねぇ。さて、いよいよ発令されたホリン・ダウン作戦。挟み撃ちの為に元達に自衛軍から提供されたMS運用試験空母が譲渡されます。4隻の艦に付けられた名前にはちょっと気になるものも。そして新たな機体も提供(?)されます。それではどうぞ。
作戦実行と共にオーダーズ仮拠点から続々と飛行艇と軍用車が出発する。飛行艇は全機そのまま名護屋まで、軍用車は港へと向かっていた。
軍用車が休みの都内を走っていく。その行く先に見えた港には巨大な空母が確認できた。自衛軍が前身の組織から運用してきた空母のいずれとも似て非なる空母。それは自衛軍がMSオーダーズと共に秘密裏に開発を続けていたMS空母だった。
中には既にMSが搬入されており、その中には新たな装備のシュバルトゼロガンダムことクリムゾンゼロガンダム、そしてMSオーダーズがかねてより開発していたソルジアの決戦仕様が搬入されていた。
ソルジアの決戦仕様は飛行艇の方にも搬入されている。隊長クラスにのみ許された機体だ。とはいえ本来ならおかしな点も存在した。
なぜオーダーズの基地が襲撃されたにも関わらず、本機は無事だったのか、だ。あらかじめ作戦に投入されていたわけでも、別のMSオーダーズ基地から無事だった本機を譲渡されたわけでもない。
しかしそれは非常に単純な、そして聡明な理由だった。自衛軍に一任していたのだ。本機の製造・管理を。
それは機体の出自・開発経緯故の特別な処置。そのおかげで本機は先の作戦での被害を免れていたのだった。
その特別な理由とは、何なのか。艦に乗り込んだ元達が会話の中でそれに触れていた。
◆
「もう大丈夫なんだな、ジャンヌ」
「えぇ。まだ痛みますが、それでも元だけでは機体を十分に生かせませんから」
「そ、そうだな……」
オーダーズの制服を着て、胸を張る動作をしたジャンヌ。彼女もまた自衛軍東響本部基地から先に到着していた。
服の下の包帯を少しだけ見せて、まだ本調子でないことを告げるもジャンヌは心配ないと言って見せる。少しだけ顔を逸らして見せるも、元もその通りであることを認める。
ため息を吐いて、並ぶ機体に目を向ける。
多数のソルジアタイプの中に一際異彩を放つ赤と黒のガンダム。これまでなら元と光姫のガンダムであることを示すように見えた文が、今では元の機体だけを指す言葉となっていた。
元のガンダムに対し同行する夢乃も変わり様に一言。
「なんていうか……本当にお姉ちゃんの機体が乗り移ったみたい」
「機体形式番号はなし……とりあえずもとのシュバルトゼロガンダムのやつにCZとでも後で設定しておいてもらうか」
形式番号がないというのはイグナイターでも経験したことだ。ただしあれは戦闘中の進化と言うことで受け入れていた。今のこれは完全に一体化して機体を変容させている。
変容ということでかかる負担の増加を危惧したが、整備主任の来馬とスタートの調べによると、イグナイターのモニターで見られた搭乗者への負荷は極力なくなっているとのことだった。
負荷の掛からない変容。それは最後の砲撃でも感じていた。ジャンヌもあの時は自分が意識を朦朧としていながら制御がされていたという。
一体何がそうさせているのか。まさか光姫の思念が乗り移ったとでも……。そんな疑念を抱える。
そう考えている間にジャンヌの興味はソルジアタイプのMSの内、ウイングバックパックの装備されている機体へと向けられた。
「にしても、これがソルジア・エースですか」
「そう。君達MSオーダーズが新たに開発した決戦を見据えたMSだったな」
「新堂さん。今回はこの機体を貸与して頂き、ありがとうございます」
やってきた新堂に対し、夢乃が深々と頭を下げた。しかし新堂は首を振ってその認識が誤りだと指摘する。
「それは違うよ、夢乃。この機体は元々、君達が開発しようとしていたものを自衛軍が制限を設けてこちらで開発・管理していたものだ。本来君達が最初から運用しても、何らおかしくなかった機体だよ」
「そうですね。V2と違ってシュバルトゼロガンダムの外見的模倣も取り入れた結果、なんか知らんが危険だってことで性能実証まで自衛軍で開発を進めるってことになったんだよな……」
沙織の言葉に続いて元は文句を付ける。二人の言う通り、本機はシュバルトゼロガンダムの性能を模倣する形で開発が行われた機体。いわば量産型シュバルトゼロガンダムに位置する機体となっていた。
性能はオーダーズ開発時点でも申し分ない機体性能となっていた。ところが機体量産計画を申し出たところ、自衛軍から謎の圧力とでもいうべき通達で機体の量産計画を持っていかれてしまったのだ。
あまりにおかしな話だったので沙織や藤谷司令、それに晴宮防衛大臣にもコンタクトを取り確認を取ったのだが、それによれば政府が確認の時点で様子見の形で自衛軍に機体を預けさせた方がいいとの通達を受けてのことだった。もっともそれも、今ではもう一つの思惑が絡んでいたことが判明している。
「けれど、今明らかにしている最中だが、まさかこの機体の実戦配備の遅延も次元覇院が絡んでいたとはね」
「あ、それも次元覇院の仕業なんですか?」
「あぁ。昨日取り押さえたスパイたちが色々やっていたらしい。その主犯だった厚生労働大臣もね」
結果的に、昨日のスパイ騒動は無事解決した。最後の逃げたMSを沙織が捕らえ、更なる調査の結果政府の重要人物だった厚生労働大臣もスパイの一人だったことも判明した。
厚生労働大臣は昨日MSオーダーズの取り扱いに自衛軍への吸収合併を強く求めていた者の一人だ。おそらく吸収合併してから自衛軍に更なるスパイを送り込んで、その機体を掌握しようとしていたのだろう。同じく厚生労働大臣の意見に賛成していた国土交通大臣に関しては、裏で厚生労働大臣からの要請で動いていただけで彼がまさか次元覇院に通じているとは思ってもいなかったらしい。
ともかく彼らはMSオーダーズの戦力増強を嫌い、圧力を掛けたのは間違いない。現在そのデータ流出がないかどうかの調査が葉隠を中心として行われているとのことだ。
情報に関してはそちらに任せ、元はようやく配備された決戦用の機体達を見て安堵する。
「けど、結果的にこの大事な局面で戦力を温存できたと思えばこれはこれでって感じだな」
「そうだな。ま、こっちはいきなりぶっつけ本番で新しい機体の整備させられるから、負担かなり大きいんだけども」
「あら、ホシキタさんもこちらだったんですね」
「そうだよ。あと海斗も一緒だな。今は別の機体の方を見てる」
ジャンヌにそう返した平次。彼が一応海上側のメカニックのまとめ役となっている。来馬は深絵達の側に回っている。
そんな彼らにも念のため現状のシュバルトゼロについて訊いてみる。
「それで、こっちのメカニック主任は何か俺の機体で分かったことは?」
「あー……それな。聞いた限りでも全く分からん。というかこれから見るからもう少し待ってくれそれは」
質問に対し、さっぱりだと答える平次。昨日から今日の話の為か、まだ手付かずのようだった。
仕方ないと思いつつもやはりそれは作戦に必要な情報。なるべく早い解析を頼み込む。
「そうか。こっちも使い勝手の再確認とかしなきゃいけないから、なるべく早く頼む。実質主役だし」
「主役ねぇ。実際そうだから、ご期待に沿えるようにしておくよ。あ、そうそう。光姫さんからの最後の頼み事、検証とかが済んだ。こっちも確認しておいてくれ。じゃあ」
代わりに資料を渡して整備の方に戻っていく平次。その後ろ姿を見届け、早速資料の内容をジャンヌ達と共に見ていこうとする。するとそのタイミングで艦長の藤谷の声が響いた。
『積荷、並びに全員の搭乗を確認した。これより「こてつ」は同型2番艦「ふうと」、3番艦「あきなみ」、4番艦「せいなん」と共に出港する。この航海が明日の宙を良きものになるよう、総員その場で港方向に敬礼!』
艦長の声に合わせ、その方角に向けて敬礼する。同時に機関が指導し、船がゆっくりと動いていく感覚を覚えた。
いよいよ出港だ。目指すは伊世湾沖。おそらく三枝、四河市も見えるかもしれない。久々の故郷、そしてすべての始まりの地。
縁と因縁が交わる地を前に、元の胸中は複雑だった。
◆
航海は順調に進み、夜が訪れる。夜となっても空母は変わらず三枝県伊世湾沖を目指して進む。
元々時間がない。夜中に敵地へ向けての進軍は多少のリスクはあるが、それでも作戦時間には間に合わせなければ。
その事もありパイロットの夕食は個別に取って残りは周辺警戒に当たるようにしていた。夢乃も既に夕食を頂き、交代で見張りを行っていた。
(……次元覇院はどこまで私達の動きを把握しているんだろう)
先日の作戦。その動きは彼らに察知されていた。そのせいでオーダーズ・ネストは崩壊し、自身の姉である光姫は死んでしまった。
その原因でもあったスパイはいずれも沙織達自衛軍の方々のおかげで取り払われた。けれどもまだいるのではないかという不安が夢乃にはあった。
これだけの規模の軍を編成しての侵攻。彼らが黙って見過ごしているとは簡単には思えない。マリオネッターシステムシステムによる遠隔地派遣を行える彼等ならなおさらそう思える。
不安で不安で仕方がない。今乗っている機体も新型とはいえ、操作に不安が残る。自然と周辺への警戒が強まる。
そんな夢乃はふと、付近で同じく警戒に当たっていたシュバルトゼロのパイロット、自分にとっては未だ申し訳なさを引きずる相手黒和元へ敵の動きについて訊いてみることにした。
「あの、元さん」
『ん?どうした』
「……元さんは、敵が既にこちらの動きに気づいて行動している、と思いませんか?」
『んー……追跡、という意味ではまだないだろうな』
気になる言い方で返答した元。夢乃もその意味を理解しきれていない。なので詳細を要求する。
「追跡だけに関して、ですか?どうしてそう言い切れると」
『夢乃ちゃんにはまだ話していなかったな。俺はDNL、次元粒子の動きを読む。世界の動きを音として捉えて把握する』
「それって、光巴ちゃんの……」
『そうだ。これまでの間に、その追跡の動きを知らせるような音は聞こえていない。だから追跡はないと言える』
憶測、そう言っても差し支えない内容。眉唾ものと言えなくもないが、そうではないと言える点もある。それを裏付けるように「こてつ」に乗艦する新堂沙織からレーダーの索敵報告が入った。
『今現状、この海域にこちら以外のMS反応はない。ついでに味方の艦隊の動向もおかしなものは見られない。裏切り、という線も今はないだろう』
「沙織さん……」
上官二人の言葉に、夢乃も黙るしかなかった。きっと自分の考えは心配のし過ぎなのだろうと。
そんな彼女の気持ちを察してか、元は話しかけてくる。
『夢乃ちゃんが心配するのも無理はない。前にあんな形で奇襲されたら、疑い深くなるのは当然だからな』
「……いえ、それだけじゃないですから。私は」
夢乃の表情は暗くなる。今回のことだけじゃない。夢乃が戦ってきたMSオーダーズ神名川基地では彼らの卑劣とも呼べる手を何回も経験していた。
その一端を語り聞かせる。
「神名川でのあいつらは最低だった。人質は当たり前のように取るし、こっちの味方を盾にして戦闘を進めてくる。爆発寸前の機体を敵味方問わずこっちに投げ込んで、市街地への被害もお構いなし……。そこまでやってくるあいつらだから、私も掃討戦には全力で臨んだ。同じことをお姉ちゃんがいる東響の街で起こしたくないから」
東響掃討戦に臨んだ理由。夢乃はそれを神名川支部の司令に進言して東響本部オーダーズ・ネストにやってきたのだった。
姉が死んだことにはショックを受けた。けれどもやることは変わらない。死んでいった姉の為にも、ここで失敗することは許されないのだ。
それを元達にも分かってほしかった。あいつらは卑劣な輩なのだと。しかし、元、そして沙織の反応は違った。
『爆発寸前の機体を……凄いな。あいつらにしては』
「え?」
『確かに。不本意だが最悪自爆しかねない危険な策を思い切ってやってくる。それは並大抵の技術では不可能だ』
「な、なんでっ!?」
批判は少なく、代わりにその卑劣な行為を褒める言動をした二人。正気とは思えないと思わず声が出てしまう。
二人も当然聞いていた。すると二人は誤解であると夢乃に言った。
『あぁ、いや、もちろんあいつらは許せないさ。だけどそれとは別にそいつは強いってことを言いたかったんだ』
強い。それは一理ある。その証拠に夢乃は神名川の次元覇院を殲滅しきれなかった。いつも逃げられてしまっていた。
だからと言って強いだなんて思いたくない。そう思ってしまえば自分が一生叶わない気がした。それを砕くように沙織は意見を述べる。
『そうだね。敵を許せないと思うのは自然だ。だが敵の強さ、それを認めなければ負ける戦いもある』
「強さを認めないと、負ける……」
『そうだ。世の中、何でもかんでも一方的に正しいなんてことはない。私達自衛軍や、MSオーダーズだって、相手が罪を罰していたとしても人を殺したことは誇れるものではないだろう。次元覇院も言っていることや、やっていることは滅茶苦茶だが全員が全員、そうではないかもしれない。だが、非情さは必要だ。そんな敵への情けを排除しなければ、味方の誰かが死ぬ。どんなことをしてでも勝つ。彼らには葛藤することなく実行できるメンタルがある。それを覚悟してそれ以上の心の強さで挑まなければな』
「元さん……沙織さん……」
そんなこと、考えたこともなかった。今まで自分は5年前の失態からずっと次元覇院の事を嫌っていた。奴らは最低、人を操り、愉悦に浸っている屑共だと思っていた。価値なんてないんだと、思い続けてきた。
けれども二人は嫌いつつもその強さを認めていた。一人は自らを別の世界へと飛ばしたはずだというのにだ。
とてもではないが叶わない。いくらMS開発においてテストパイロットを務めた自分でも、パイロットセンスがどれだけあっても敵わない志を持ったパイロット達の言葉。座学が苦手な夢乃でも差を歴然と感じさせられる。
気落ちする夢乃。それを察してか、沙織の近くにいたと思われる艦長の藤谷が言葉を掛ける。
『二人の考えは兵士としてもっともだ。だが君の嫌な物を嫌だと思う姿勢、分からないことをなぜと言うこと、はっきりと拒絶することも人生では大事だ。場面を考え、そのうえで適切な言葉を使うんだ』
「……はい」
その言葉に肯定する。会話が終わると元や沙織もそれぞれの持ち場に戻った。
敵の強さを認める。今まで思いもしなかった考え方。姉もそういう気持ちを持って戦ってきたのだろうか。
今まで直感で戦ってきた自分が恥ずかしい。考えるよりも先に動くことを信条として来た自分が、果たしてこの先生きのこれるのかと。
パイロットのままではいけない。これからも生き残るために出来ることを、夢乃は模索し始めるのであった。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。新型機ソルジア・エース、シュバルトゼロガンダムの性能を模した強化機体です。
グリーフィア「とどのつまり、量産機ってこと?」
みたいな感じだけど、正式に量産ってわけじゃない。劇場版マク○スFのトル○ードパックみたいなものと読者には思っていただければ。
ネイ「つまり正式な量産機を出すつもりはあるんですね」
そうだね。ストライク→ウィンダムみたいな流れにしたいなぁ(´ρ`)
グリーフィア「それやるとインフレ凄まじいけれど?」
流石に性能そのままには出来ないよ(;´・ω・)DNL関連の装備は省くし。
ネイ「量産機まで変容し出したらもう、ね」
設定がややこしくなるからね。次回は深絵達の視点に変わりますよ~あと黎人の動向も明らかになります。
グリーフィア「あの元司令さん、こっちの動向気にしすぎてそうよねぇ」
ネイ「そうだね。それではみなさん、次回もよろしくお願いしますね」