レイ「アシスタントのレイだよ~」
ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。外出自粛ということで今日は藤和木もご友人とリモートバトスピをしていらっしゃいましたね」
今日は全く勝てなかったけどね、ハハッ。さて今回はEPISODE32の公開です。前夜ということであまり動きがありませんが次回の話からもいよいよ動いてくるので今回もそれに向けた深絵達の側の動きをご覧いただければ。
レイ「深絵ちゃんや華穂ちゃんはどんな新しい装備を構えるのかな?」
ジャンヌ「前回名前の挙がったソルジア・エース、華穂さんにも配備されているのでしょうか?」
それでは本編をどうぞ。
こてつを含めた海上艦隊が伊世湾を目指し航行する頃、深絵達地上部隊は自分達の部隊受け入れ先である四ツ田基地へと到着を果たしていた。
四ツ田基地では既に海上作戦に向けての準備・監視が行われていた。それだけではない。愛智の自衛軍並びにオーダーズ支部の戦力も四ツ田基地へと少数ながらも集結していた。
自分達の防衛圏内を守備する戦力を保ちながらも助力してくれている。そこには四ツ田基地の未だMS戦力が充実しきっていない点も背景にあった。
前回の惨状から回復しつつある四ツ田基地の戦力は決して多くはない。だが最前線として彼らも本作戦に臨んでいた。
「作戦へのご協力、感謝します須藤千司令」
「構わないさ。上からの命令でもあるし、この作戦は人類すべてに影響がある。いかんせん最前線の我らだけでは解決できない事態だ。こちらこそ、今回は頼らせてもらう」
部隊の受け入れに礼を述べる深絵に、頼ると明言した四ツ田基地司令の須藤。握手に応じたのち、須藤は後方に控えていた隊員達に号令する。
「四ツ田基地はこれより、全力を以ってオーダーズをサポートする!総員、配置に着け!」
『了解!』
司令の一声に一斉に動き出す基地隊員達。深絵も後方に付いていた隊員達に同じく作戦準備に取り掛かるよう伝える。
「私達も始めるよ。ホリン・ダウン作戦成功の為に!」
『了解!』
隊員達は共に手を取り合い、明朝に向けた最終チェックを行っていく。
現地入りした夕方から数時間。辺りは既に夜の帳が降りて、静かな夜の街並みを見せる中、名護屋港海上に再建された四ツ田基地は反対に活気を見せていた。
作戦まで時間がない以上、突貫で送り込まれたMSの整備を行わないといけない。MSオーダーズの主任整備士である来馬を中心に、四ツ田基地整備士達がまとまっていく。
隊長格の者達も明日の作戦の為の戦術シミュレーションに没頭していた。部隊員達をどのように展開するか。大まかな作戦の流れは出来ていても、細かな設定に皆四苦八苦する。加えて隊長格と一部の隊員には新型MSのソルジア・エースの慣熟訓練も言い渡されていた。最新型かつ後継機。似ているようで違う機体の感触に、シミュレーターからは多くの悲鳴が上がっていた。
『っ、くぅ!!』
その中の一人である華穂も今シミュレーターの中にいた。敵機レベル5。現状の最高ランクで戦っていた。その様子を深絵が外から観測する。
「あれは確かガンダムのパイロットの妹だったか。新型とはいえ中々慣れようとしている」
「須藤司令」
声を掛けてきた須藤に敬礼を行う。須藤は手を軽く上げて返すとその動きに対して見解を尋ねる。
「君から見て彼女はどうだ?彼女だけではなく、他の新型搭乗者もだが」
「はい。華穂は今現状新型機に慣れつつあるパイロットだと思います。他の隊長達より、順応性は高い方かと」
「ほう。して他の搭乗者達は?」
「他の方達も差はありますが適応はしています。ただ、高性能化しすぎたせいで付いて行けない人もちらほらと」
「うん、それは私にもそう見えるな」
頭を抱える。本機はソルジアのハイスペック機を謳ったもの。高性能と引き換えに操縦性は今までの物よりピーキーなものへと変わってしまっていた。
それは既に分かり切っていた。しかしそれでもMSオーダーズのメンバーなら時間を掛けて乗りこなしてくれると判断して開発が進められていた。そう、「時間」が今回の最大の障害だった。
深絵はその問題について触れる。
「やはり、時間がどうしても足りません。敵の新型が投入された場合、どうなるか……」
「それだけは、どうしようもないな。機体の性能にセーフティを掛けるというのは?」
「並行して、というより、今行っている慣熟訓練はその目安としてですね。あまりにひどい場合は現段階で制限を掛けて訓練してもらっています」
「そうか。にしても凄いな。新型の性能は。君も試乗はしたのか?」
ふと質問を投げてきた須藤。突発的だったが、答えられる質問だったので答える。
「えぇ。一応高機動型のブラウの経験もありましたから。けど華穂の操縦を見ているとまだまだかなと」
「ほう?」
不思議そうに言葉を紡ぐ須藤。深絵自身の持論を持ち出す。
「やっぱりMSって靴とかと同じように人それぞれに最適なものが存在するんです。私の高機動狙撃型、はマニアックすぎるんですが、新堂沙織さんや夢乃が近接重視っていう感じに」
「ふむ。装備によっても得意距離は変わるようだしな」
「えぇ。それに関していうと、今回のソルジア・エースは高機動さを売りにした機体です。特別遠距離にも近距離にも秀でていない。機敏さで勝負する機体。だけどその機動性は今までの機体とかなり勝手が違う。素のままだと多分誰にも使えない上、下手に抑え込むと特性を生かしづらくなってしまう。器用貧乏、文字通り最上級と言うべき機体……」
シュバルトゼロガンダムの性能を再現する為に開発された量産機ということもあってか、使いづらさもある程度継承した機体となった。もちろん、エヴォリュート・アップなどという特異性機能も再現できていないが、それ以前に使いこなせる人間が現状少ないという問題に直面した。
せっかくハイエンドモデルとして製造されたにも関わらず、使える人間を更に絞ってしまったような機体。これを量産してしまったのは間違いではないかと思える。
話を聞いて須藤も疑問に思って質問を掛ける。
「だが、あの機体はソルジアの性能向上機体としても開発したのだろう?多少リミッターを掛けて運用できるようになれば、それでいいだろう」
その言葉はもっともだ。扱えないなら抑え込む。扱える人間がいない以上、扱えるようにするべきである。それは話を聞いた元司令の黎人も同見解だった。
「うちの元司令の黎人君もそれでいいと言っていました。だけど、あの機体を扱える人間がいるとしたら、他の人達も躍起になりますよ」
「ふむ?それは元々のガンダムのパイロットである……?」
頷く。だがそれだけではなかった。
「それと、今シミュレーターを動かしている華穂ちゃんです」
「なんと」
「他の同じ機体を動かしている人達は短時間に連続してシミュレーター入っている人達です。撃墜判定を受けて、ミスを繰り返している。でも華穂ちゃんは挙動こそ安定していないけれど入っている時間に比例せず、撃墜判定は少ない」
正直言って、深絵はこの結果に予想外だった。華穂は今年から本格的にオーダーズの警邏活動に参加している。これまではアルバイトとしての扱いの彼女が乗りこなせるなどとは普通は考えられない。
何かの不調かとも思ったが、違う。深絵の出した結論はこうだった。
「おそらく、彼女のMS操作適性は元君と同じ形なんだと思います。高機動・万能型MSに適性がある。流石に元君ほどの高いMS適性ではないでしょうが、兄妹ゆえにMSのクセが似通ったというべきか」
華穂は元の妹。MSが存在していない世代の子どもでも、そういった潜在的能力が形としてあっていたのだろう。
華穂と元はお互い兄妹でも似ても似つかないと学生時代のころから聞いたことがあったが、MSという兵器が実用化した結果、そういった共通点が生まれる結果となった。無論本当かどうかは分からないが、兄の機体の量産検討機で妹が結果を出すというのは何かの縁だろう。
深絵の推測に須藤も相槌を打った。
「なるほどな。ならある意味この機体は成功だろう。たった一人だけとはいえ性能を引き出せたのだから」
「まぁ、量産の意味では軽く失敗なんですけどね。これは性能低下させないとかな」
「ふむ。それで君の方はいいのかい?あの時よりも装備が変わっている……いや、前に作戦配置の助言を私に請うた時よりも更に変わっているようだが」
言って須藤は近くに見える深絵のガンダムに目を向けた。須藤の言う通り、深絵の機体は東響掃討戦の時よりも更に兵装が変更されていた。具体的には左コンテナが形状をやや変更していた。
東響掃討戦に当たり、深絵は以前救助した須藤に戦術指南を乞うていた。スナイパーということで高い位置からの援護狙撃を提案され実行した。途中途中で位置を変えたことで敵からの狙撃予測ポイントも絞らせなかった。
話は戻るがその作戦御教授の時間はわずかに十分足らず。両者共に時間があまりなかった故だが、深絵もそのわずかな間に自身の機体の装備を図面表示させた程度。わずかながらの変化に気づくのは流石歴戦の兵士と言ったところか。深絵も肯定してそのギミックを明かす。
「はい。左肩のコンテナの武装は新型の実弾専用大型ライフル「リボルビング・ガンランチャー」に変更。次元覇院の隊長機に多く見られるビーム反射装甲に対するカウンターとして用意させました。これには須藤司令から頂いたダンガンの設計図を基に開発してもらっています。その節は本当にありがとうございます」
四ツ田基地救援の際に司令より頂いた試作重対物ライフル「ダンガン」の設計図。それを反映させた武装の開発は残念ながら掃討戦には間に合わなかったが、今回ようやく完成にこぎつけた。
威力と射程重視だったダンガンに対し、こちらは弾種を優先させた兵装。それでも通常の実弾兵装以上の破壊力を実現したダンガン譲りの砲身設計と弾丸を装備した本兵装はダンガンの後継種と言って過言ではない。
これなら沢下ともやり合えると確かな自身を持つ深絵。ガンランチャーの資料を見ていた須藤は一つ助言を送る。
「そうでもないさ。ただ一つだけ言わせてもらうなら、ガンランチャーとしたことで弾種切り替えが頻発するだろう」
「?」
「ダンガンは本来威力の為にある程度の汎用性を切り離した銃。弾倉の切り替えと衝撃による弾詰まりには気を付けたまえ」
「それって……」
『あーっ!墜ちたぁ!!』
訊き返そうとしたところで華穂の無念の叫びが響く。どうやら撃墜判定をもらったらしい。終わったのを見て須藤が勧める。
「どうだ。それを踏まえて動かしてみるというのは」
「そう、ですね。やってみます!華穂ちゃん、私もやらせて~」
意気込んで深絵はシミュレーターに入る。明日までの間に出来ることはやっておかなければ。
◆
黎人のいないMSオーダーズは着実と来る決戦に向けて動いていた。そんな様子をわずかしか知らぬまま、黎人は光巴と共に自衛軍の施設にて幽閉という名の保護を受けていた。
作戦の段階ごとの動きも知らない。分かっているのは海上と地上から攻撃する為に部隊が分かれて現地へと向かっているということ。食事を届けに来る自衛軍の担当に訊いても、知らないと答えられるだけだった。
(クソ……本当に隔離するつもりなんだな……。余計な心配をさせないつもりなんだろうが……)
黒和元が仕組んだ彼ら二人の保護。戦いから遠ざけるための処置は、却って彼に味方を心配させていた。
時計は10時を示そうとしている。光巴を寝かしつける時間だったが、どうにもその気になれなかった。気付けなかった。光巴が時計の時間に気づいておどおどと尋ねてくる。
「ねぇ、パパ。わたし、もうおやすみしなくていいの?」
「ん?あぁ……もうそんな時間か……」
「……はじめおにーちゃんたちがきになるの?」
図星を突かれる。娘でも分かるほどに表情に出ていたらしい。すぐに黎人は否定して執心の準備に入ろうとする。
「そんなことはないよ。それよりそうだね。もうおやすみの準備をしようか」
「……うん」
頷く光巴。しかしその様子は遠慮がちだ。子どもには似つかわしくない反応。我慢しているような反応だった。
気にしないようにしたが、布団を準備する途中、思い切って聞いてみる。
「…………光巴、どうしてパパが元達の事を気になると言ったんだい?」
なぜ気になったのかと問う。思えば変な質問だ。子どもに対し、そんな疑い深い質問は。しかし光巴は父親である自分の質問に素直に答えてくれた。
「だって、パパいつもおしごとのときそういうかおしてるし、もやもやしてるってわかるの」
思わぬ発言。いつもの表情をしていると言われて衝撃を受ける。まさか自分はそんなに分かりやすい表情をしていたというのか。
動揺する黎人。何とか動揺を抑え込みつつも黎人は気になるもう一つについて更に深く聞き入る。
「顔に出ていたか……。だけど、もやもやしてるっていうのは……」
「こころでわかるのっ。よくわかんないけど、あたまのなかでじめじめしたのといっしょにパパのかんがえてることとかママのしんじゃうえいぞうがみえるのっ!あっ」
そこまで言って、光巴は怯えた様子で頭を抱える。言ってはいけないことを話してしまったかのように。
これが元の言っていたDNLの力なのだろう。娘は自分の母の死を予言したことに、罪悪感があったのかもしれない。確かに黎人もそれを聞いてあの時の光景が蘇る。娘が母が死ぬと言ったこと、その後すぐに基地へ戻って、実際に妻がビームに貫かれて死亡した姿を見たこと。
思い出して改めて思う。光巴は確実に自分の知らない次元粒子の力に気づいている。娘の分かる物が分からないことに畏怖のようなものを感じつつあった黎人。そこで気づく。
(この子は次元粒子を理解している。私でも気づけない領域を……どこまで知っているというんだ?……待てよ。さっきのこの子の反応)
黎人は若干の思索の後、娘へと聞いてみる。
「光巴。光巴は間違ったことをしていると思っているのかい」
「え……?」
「パパが光巴の事を怖がっていたりして、それで遠慮しているのならはっきりと言って欲しい。パパは光巴の感じる心のもやもやをまだ分からない。だけど、光巴がどう世界を見ているのか知りたい。親として、光巴の助けになってあげたい」
「パパ」
「だから、もし間違ったことをしたと思うなら、謝らせてくれ、光巴」
頭を下げる。自分の娘に対し、格好のつかない行動ではあったが、それでも自分の娘に抱いた感情がそれ以上に情けなく思ったのだ。
元に言われたように、自分が娘の支えになってやらなければいけない。その為に娘に寄り添ってやらねばならない。彼の言う通り、今娘を支えてやれるのは自分だけなのだから。それにその方がまだ決戦に臨む部隊員達への心配を紛らわせることが出来る。
頭を下げる父親に狼狽えているであろう光巴。けれどもしばらくして光巴は話し出す。
「……いまのパパのこころ、あのときのはじめおにーちゃんとおんなじだ」
「あの時……?」
「うん、みつはをたすけてくれたとき、はじめおにーちゃんもいまのパパみたいにだれかをたすけたいってきもちになってた。あったかい!」
「そうか……なら今日は是非目いっぱい聞かせてくれ」
「うん!」
そんな話を皮切りに、光巴は自身が感じ取った動きを無邪気に語り出してくれた。どれくらいぶりだろうか。娘と語らうなどという時間は。
今までずっと司令官として戦い続けてきた黎人が久しく忘れていた家族と過ごす時間。それは、夜遅くまで続いて光巴が眠るまで黎人は熱心に娘の話を聴き入るのだった。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。
レイ「深絵ちゃんと須藤司令さん師弟って感じだね。須藤さんは無事MSを受け入れて居られてるみたいだし、ちゃんと支援を受けられたみたい」
そうしないと今回の前線基地としての提供が出来ないからね。急ピッチで再建されたんです。
ジャンヌ「そうですね。でも華穂さんがソルジア・エースを一番うまく扱えているとは」
私が一番ソルジア・エースを上手く扱えるんだ!( ゚Д゚)って感じだね。
レイ「そこガンダム」
ジャンヌ「フフッ。是非とも一番の活躍を見せてもらいたいものです」
レイ「黎人さんも黎人さんで、光巴ちゃんと向き合っていくみたいだし、親子はこのまま無事でいて欲しいね」
自衛軍を奇襲!なんてことがないといいですね(^ω^)
ジャンヌ「はいはい、止めてくださいよ?」
それでは今回はここまでということで。次回、いよいよホリン・ダウン作戦が始動する!仕上げに向けた元とジャンヌは最後のピースを確信する……?
レイ「それじゃあ次回もよろしくねーっ」