機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。引き続きご覧の方は改めまして。先日アリスギアにて始めるきっかけとなったキャラクターの最高レアリティゲットで友人に勝利宣言した藤和木 士です。すっかりアリスギア沼に引き込まれたぜ(^ω^)

ネイ「アシスタントのネイです。ツイッターにも上がっていましたね。夜中の2時に」

グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよぉ。もう舞い上がってたわねぇ」

さて、それは置いておいて、引き続きEPISODE37の公開です。

グリーフィア「作者君がストック溜めれているからこその公開ねぇ。けど知ってる?次回の投稿って、黒の館DNよ?」

……え、マジ?(゚Д゚;)

ネイ「確かに、そう言う風に収録してますよね?」

(゚∀゚;)あ、アハハハハハ……ウソダドンドコドーン!(゚Д゚;)てことは3話連投になりますね。

グリーフィア「あ、そうなるのね」

ネイ「別に1話だけでもいいと思いますけどね」

ただ3話を当日30分くらい前から続けて投稿は難しいので次回の投稿までの間のどこかで夜に予約投稿はしておきますね……;つД`)つらたん
ではEPISODE37どうぞ。


EPISODE37 楽園の落日4

 

 

 元が実質的な処刑宣告をした頃、名護屋湾側の華穂もゲルツとの対決を激化させていた。両者の実体剣が交錯し、弾き合う。

 華穂は刃を交えながら己の覚悟を吐露する。

 

「もうあんた達なんかに私の知っている人は殺させない!深絵さんまで死んだら、またにぃや色んな人達が悲しむ!」

 

『フン、それがどうした。戦いに死は当たり前。貴様や貴様らの知人など、私にとっては贄でしかない!貴族の前に平民はひれ伏せ!』

 

「生まれだけで人に命令するな!」

 

 華穂にとって光姫は上司である以上に兄の友人、そして恩人である深絵の恩人だった。その二人が悲しむ姿を、もう誰であっても見たくない。

 二人の為に自分は戦う。それがこの作戦に賭けた想い。それを生まれが良かったくらいで他人全てを犠牲としか思わない目の前の男に奪われたくない。

 倒す、絶対に。二人に危害が及ぶ前に。華穂の斬撃が振り抜かれる。

 

「二人だけは護るんだからぁ!!」

 

「なら、貴様は死ね!!」

 

 渾身の斬撃をリフレクトアームで防がれる。同時に敵の胸部が展開した。形成される砲身、光姫を葬ったあのビーム砲だった。

 突然の事に動揺するも、冷静になる。チャージ完了する前に離れれば……。しかしその思惑は崩れ去る。

 後退しようとした瞬間動きが止まる。敵のアームユニットがこちらの肩部シールドを抑え込んだ。

 

「しまっ」

 

『散れ、雑兵。奴と同じようにな!』

 

 死ぬ――――。死の恐怖に目を閉じてしまう。志半ばで、自分は。後悔が過った。

 ところがそうはならなかった。目の前で爆発が起こった。

 

「きゃっ!?」

 

『ぐぅ!?何だと!?』

 

 驚愕する敵の声。目を開ける。開けた視界の中には、敵の砲身は融解してしまっていた。

 一体どうして。答えにたどり着くよりも先に深絵からの指示が飛ぶ。

 

『華穂ちゃん!そこから離れて!』

 

「っ!!このっ」

 

 MS刀で叩く形で敵のアームユニットの指の拘束を外す。退避を優先して敵との距離を開けた。

 間一髪命を救われた華穂。よく見ると深絵がビームスナイパーライフルに武装を切り替えていた。アームと華穂の機体で隠される中、スナイプで敵の武装のみを削いだのだ。

 いつもながら見事な狙撃だった。けれどもその深絵は華穂の行動に怒った。

 

『ダメだよ、華穂ちゃん!私達だけが無事なんて、そんなのダメ』

 

「深、深絵さん……」

 

 思わず叫んでいた言葉だ。叱りを受けて華穂は縮こまる。その様子を見て立て続けに深絵は叱咤する。

 

『まだだよ』

 

「え」

 

『まだ戦っている最中!全部終わってから怒るから、生きてよ。でないと元君に怒られるんだから!』

 

 言われて茫然となる。だけれども確かにそうだ。深絵にとっては兄から妹を託されたようなもの。なのに勝手に犠牲になろうとした華穂を怒るのは至極当然だ。

 失敗だったと自分でも思う。だが今は彼女の言う通り、目の前の敵機に集中すべき時だ。反省を心の中でして、深絵に言う。

 

「はい」

 

 剣を構えなおす。敵の方は破損した胸部前面を見て怒りに震えていた。

 

『私を……私の機体を、傷つけたなっ!!愚民がぁ』

 

 怒りを爆発させて両手に武器を構えた。動いたのは同時だった。

 刀と刀がぶつかり合う。怒りのままにもう片方のビームソードを振り上げてきたが、それを深絵が迷わず撃ち抜く。

 

『づぅ!?』

 

『華穂ちゃん!』

 

「このまま、押し切る!!」

 

 バックパックの出力を上げる。スラスターからの噴射でゲルツのマキシマムを押し返した。

 ホリンへと近づいていく機体。これ以上好きにやらせないとゲルツもまた機体の動力の出力を振り切った。

 

『えぇい……調子に乗るな!!』

 

 弾かれる機体。距離を取ったと同時にマキシマムが腕のビームガンを連射した。暴れ狂うように放たれた弾丸を回避する。深絵がビームスナイパーライフル、ビームライフル・アサルトで応戦する。

 

『このっ!』

 

『その程度で!!』

 

 だが奴の思考は冷静だった。しっかりとアームユニットを向けて受け止め、深絵に跳ね返してきた。

 深絵も咄嗟に回避行動を取る。やはり奴を倒すには接近戦か実弾兵装しかない。全弾避け切った深絵に対し、提案した。

 

「深絵さん、もう一度あいつと展開します。隙を作ったところをガンランチャーで!」

 

『華穂ちゃん!?何を……』

 

「大丈夫です。死にはしません!」

 

 恐れはしない。深絵が撃ってくれるから。その精度を信じて華穂は囮としてマキシマムの前に立ち塞がる。剣を再びぶつかり合わせ、ゲルツ・ルーダはその戦い方を罵った。

 

『一人では何も出来ん出来損ないが!完璧たる私を崩せるとでも!』

 

 まるで一人で全て解決できるとでも思っているかのような物言いだ。いや、実際彼はこれまで味方を呼んで戦っていない。四ツ田基地でも兄と沢下が戦う所に一人だけで来ている。もしやと思い、深絵は口角を緩める。

 そして挑発した。

 

「一人で全部できる人間が、絶対に賢いんじゃない!けどあんたは違う」

 

『何?』

 

「あんたはただ、自分が貴族だと思って粋がってるだけのガキよ!仲間を引き連れていないのは、みんなあんたの子どもっぽい言動についていけなかったからでしょ!」

 

『ガキ……?私を、私を子ども扱いするとは、不敬極まりないぞ女ァ!!』

 

 狙い通り挑発に乗って怒りを爆発させた。図星だったのだろうが、それ以上にガキという表現が随分と効いたようだ。

 貴族の誇りを穢されたとゲルツの剣技は激しく乱舞する。その動きに華穂も追従した。剣の振りは速いが、やはり精細さを失った分まだ先程よりは捌きやすい。

 深絵の狙撃の為にその瞬間を見定める。幾度かの斬撃の交わりの後、その時は来た。

 

『でぇいぁ!!』

 

「今っ!!」

 

 剣を絡める。力を外へと逃がすように刀身を滑らせる。そして外側へと敵の剣を弾いた。

 

「深絵さん!」

 

 叫ぶ。相手は体勢を崩している。大きな隙だ。すべては深絵へと委ねる。

 

 

 

 

 華穂の声より早く、深絵は動いていた。これまでの戦闘経験でこれくらいは分かる。あのタイミングで華穂なら仕掛けると思った。わざわざ言葉で挑発してまで敵の隙を晒してくれた。

 外しはしない。ガンランチャーで狙いは付けている。外しはしない。徹甲弾ですべて決める。弾種を切り替えたリボルビング・ガンランチャーのトリガーを引き絞る。

 

「っっ!!」

 

 反動が伝わると共に弾が発射する。実弾は真っ直ぐ敵の左のアームユニットの付け根目がけて進み、そのパーツを砕いた。

 

『ぢぃ!!小癪な……』

 

 舌打ちを吐き捨てたゲルツ。深絵の攻撃に間髪入れず華穂も仕掛けた。

 

『てぇぇぇい!!』

 

『このっ!!』

 

 バックパックからビームサーベルの引き抜きが間に合う。ソルジア・エースの斬撃を間一髪受け止められてしまう。再び支援を行おうとするが、それよりも前に華穂が動いていた。

 

『このッ!』

 

『何だ、こいつ……!?』

 

 突如右手を敵の左肩に乗せる華穂。ゲルツも首を傾げる。何をする気なのかと戸惑ううちに、彼女は機体のスラスターを噴かせて、手を置いた部分を支点に機体の上下を「入れ替えた」。

 それはかつて元が訓練でも使用した技術。MSならば反転した後の制御は容易かった。

 剣を交えたまま上へと上がった華穂の機体。剣を弾き、わずかな瞬間に横薙ぎに振るう。その一太刀が晒されていたマキシマムの最後のアームユニットの付け根を切り裂いた。

 咄嗟の事で深絵も理解が追いつかない。だが彼女が敵の防御手段を落としたことに変わりはない。ソルジア・エースを振り払うようにビームソードを振るい、敵は後退する動きを見せた。

 

「させない!」

 

 ビーム攻撃に躊躇いがなくなったことで迷いなくビームライフル・アサルトを選択する。ウイングのレールガンも展開して一斉発射する。弾幕の雨あられに敵が呑まれる。

 

『クソッ!あんなまぐれで俺が落とされるなど!!』

 

 一人称が変わるほどの苛立ちを見せるゲルツ。このまま仕留められる。そう思った。

 しかし思わぬ救援が敵に入る。ホリン方面からアラートが響いた。直後ビームの弾雨が二人に降り注ぐ。

 

「何!?」

 

『嘘、こいつに援軍来るの!?』

 

 予想だにしていなかった攻撃に思惑を外される。とはいえ先程の華穂の発言はあくまで予想に過ぎない。奴が決して味方に避けられるパイロットと決まったわけではないのだ。

 ともかく援軍がどの程度かと警戒を強めたが機影を見てその思考は更に不可解さを伴った。

 向かってきたのは、車。銀色に塗装された車に似た何かだ。それが飛行している。機体の至る箇所から次元粒子を放出しており、それがあってその物体が兵器であると言えるような外見。よく見ると銃口が見えており、先程の銃撃がそれによるものだと分かった。

 更に装甲もよく見るとただの銀ではない。鏡のような艶と反射度を持っていた。すぐにそれがビーム反射装甲と同じ部材であることに直感で気づく。

 とても援軍とは思えない機体の姿に二人は疑念を抱く。

 

『な、何です、あれ。兵器?』

 

「よくは分からない。だけどあれがあいつにとっての援軍だとしたら……」

 

 どのみち相手をせざるを得ない。だが当然そのまま逃がすわけではない。戦闘しながら、隙を突いて背後から撃つ。卑怯かもしれないが、どのみち彼が死なない可能性の方が高かった。一旦撃墜して戦力を減らすことは悪くない判断だ。

 銃を構え、戦闘体勢を再度取る。ところがやってきた援軍を見てゲルツは意外にも笑い声を上げた。

 

『く、ふふふ、くははははは!!そうか、私は、まだ戦える!!いや、ここからが本当の私の実力だ!』

 

『何、あいつ。もう武器はほとんどないっていうのに……』

 

 華穂の困惑を深絵も感じていた。一体あの機体の何が彼をそこまで自信満々にさせているのか。あの一機は二人を相手に出来るのか、それとも人数的な意味で言っているのか。

 困惑の二人に対し不敵な発言を行うゲルツ。彼は思いもしない方法で、彼女達の予想を超えてきた。

 

『見るがいい。我が高貴の満ちたる姿を!』

 

「――――え?」

 

『ちょ、えぇ!?』

 

 起こった「それ」に二人は反応できない。慌ててライフルを放つがそれを無効化される。二人の前に立つ一機の巨体。巨体から奴の声が響いた。

 

『――――さぁ、せいぜい私を愉しませてくれよ?愚民共!!』

 

 

 

 

 沢下のマキシマム・ホーリーとの戦闘を続ける元。しかし勢いは先程までとは違う、一方的なものへと変わりつつあった。

 押されつつあった沢下は舌打ちと共に仲間を招集する。

 

『くっ、直近部隊、こちらを援護せよ!』

 

『了解!沢下戦神官を守れ!』

 

「増援か」

 

『敵機体10に増加!注意を』

 

 数が増えてもやることは変わらない。横に薙ぎ払う形で放ったジェネレーターファンネルのビームが周囲に展開する沢下の直援ごと攻撃する。沢下自身はシールドで防御するが、周りの味方は回避しきれずに焼かれ爆散する。

 飛び上がった沢下達は自機に搭載されたビーム兵器を乱射して応戦する。それを元は下手に動かず、DNウォールで防ぐ。ジャンヌが優先ターゲットを提示した。

 

『ハジメ、右方向より近接格闘!』

 

「了解」

 

 ブレードガン・ニューCを右手に構え、接近戦を仕掛けてきた敵を迎撃する。鍔迫り合いを行うと同時にファンネルをコントロール、抑え込んだまま敵の背部を貫き、爆散させた。

 爆炎から逃れる機体。そこに立て続けに敵は群がってくる。

 

「数が多い!」

 

『沢下機、接近!』

 

 ジャンヌの声に反応しDNLで位置を把握。上空から斬りかかってきた沢下の機体を左腕の盾で受け止めた。

 力任せの攻撃、そして感情の波。まだ先程の事に怒りを持って向かって来ている。沢下は接触回線で再び叫ぶ。

 

『柚羽の死を簡単に片づけて、何が思い出だ!思い出は永遠に、刻み付けられ人は無心にそれを求めるものだ!』

 

「それは人の受け取る考え方次第だ。少なくとも、俺は抱えたままじゃ前に進めなかった。昔が良かったと思い込み続ける!今のお前もただ駄々をこねているだけだ!」

 

『駄々ではない!これは、柚羽の最後の意志だ!それを俺はただ遂行している。断じてそのような自分勝手な欲求ではない!』

 

 弾き合う機体。それに乗じて敵が両側から攻撃を仕掛けた。元は両腕部の武装でそれぞれ受け止める。続いて後方からタイミングをずらしてビームライフルを向けられるのを感じとる。

 

『ハジメ!』

 

 注意を呼びかけるジャンヌの声。即座にシールドユニットを向け、ビームマシンキャノンを連射。敵をハチの巣にして撃墜する。

 受け止めた敵機もその状態から滑る様に後方に下がって切り結びを解除。沢下の機体が切り替えた右腕のビームライフルの射撃を避けて素早く展開したビームソードで斬り裂く。

 順調に敵を減らしていた。敵機残り五機。関係ない機体を一気に葬るべく、元はジャンヌにエラクスの使用を宣言する。

 

「ジャンヌ、エラクスを使う」

 

『了解。DNコントロール、オールグリーン。DNジェネレーター正常稼働!』

 

「エラクス、始動!」

 

 蒼き蒼炎の光を身に纏うクリムゾンゼロ。ジェネレーターファンネルからも凄まじい炎のエフェクトを生みだしている。ファンネルを呼び戻した機体は加速装置として用いて高速化を補助して敵兵へと襲い掛かる。

 敵も蒼い炎を見て警戒を強めた。だが対応するよりも速く、クリムゾンゼロは敵機体を両断、貫通させていく。

 

『グァッ!?』

 

 ジェネレーターファンネルの拡散砲撃も絡めて邪魔となる敵機を排除した蒼炎のクリムゾンゼロは一直線に聖なる名前を冠した極限の機体へと斬りかかった。ブレードガンとビームサーベルがぶつかり合う。

 沢下は変わらぬ妹の悲願を口にする。

 

『あぁ、妹は嘆いている!平和への最短となる道のりを否定し、争いを求める貴様を!死に何も動かされなかった貴様の愚鈍さを呪っている!』

 

「そうかよ。許されなくたっていいさ。俺は結局アイツを救えなかった。だがそれ以上に、お前は、お前達の思想は柚羽の意志に反して、この世界に生きる人間に弊害を与えている!」

 

 エラクスによる高機動で素早く距離を取ると、ホリンの地面を利用して蹴って加速。更にDNで空間装着したジェネレーターファンネルからもブースターの要領でDNを放出、斬り抜ける。一度ではない。何度も、何度も、縦横無尽に奴の周囲を駆け巡る。

 連続斬撃が作り出す戦闘領域を前に沢下のマキシマム・ホーリーは動けなくなる。反撃しようにもできない、一方的な戦闘領域。決してその刃からは逃さない意志で斬り続ける。

 腕部を、ウイングを、腹部を斬り裂き、箇所を失っていくマキシマム・ホーリー。とうとう片足を失って膝をついた。クリムゾンゼロの機体を減速させた元。DNLの力を解放する。

 

「行け、ファンネル!」

 

 フェザー・フィンファンネルが分離して敵周囲を囲う。沢下はビーム射撃を見越してシールドを前面に構える。

 後ろが丸見えではあるが、そこは狙わない。代わりにファンネルを円形になるように配置した。今までなら意味のない配置。そこに意味を持たせる。

 

『DNプロテクション変質形成!』

 

 ジャンヌの声を合図にファンネルからDNプロテクションが展開する。

その形状は沢下を囲う檻のようだ。そう、これは沢下をその場から動かさないための檻だ。かつてヴァイスインフィニットが生身のジャンヌ達相手に使った捕縛フィールドから発想を得た使用法だった。

 ジャンヌにとってはトラウマとも呼べる使い方。その束縛は見事沢下の動きをそのままの状態で縛った。動けないことに沢下が気づく。

 

『何だ、身体が動かん!?』

 

 抵抗のできない次元覇院の希望。その希望を折るために、元はクリムゾンゼロガンダムの全性能を解放した。

 

「ジェネレーターファンネル、最大出力形態!」

 

『ジェネレーターファンネル、最大出力形態(マキシマムドライブ)移行(チェンジ)

 

 円盤のファンネルが内部の機器を展開する。それは円を描きながらも、面積を大きく広げていく。魔法陣のような形状へと姿を変えていく。

 二枚の円盤は変形を終えると回転を開始した。回転に合わせて電撃が迸る。円盤へ向け左手の秩序の盾のボウゲン・ランツェを向ける。槍の本体が分割され、射撃形態を形作る。

 

『ボウゲン・ランツェ、射撃態勢へと出力移行。射線上の敵MS、全て照準(ロック)!』

 

 機体の照準は沢下の機体だけではなくその後ろ、三枝県側の沿岸からこちらに向かいつつあった敵MS、海中から近づきつつあるMAも全て捉えていた。このガンダムなら、そのすべてを打ち漏らさない。

 上昇していく出力に対し、怒りを忘れた沢下が声を絞り出してその性能に怯える。

 

『……何だ?まさか、私達の後方部隊までも狙って……?』

 

「………………そうだよ」

 

『ま、まてっ!!民間人だっているんだぞ!戦う力のない者達が……』

 

 制止を呼びかけた沢下。だが元は冷たく反論する。

 

「お前達はそうやって、何人の無関係な人達を傷つけた?どれだけの人を悲しませた?子どもの親を殺して、それを誇りに晒すお前達がそんな事を言えるのかよ」

 

『き、貴様……!それで許されると!』

 

「第一、民間施設を背にして部隊展開している時点で擁護できないだろ。まぁ安心しな。撃ち落とすのは全部、機動兵器を操る奴だけさ。お前達に出来ない、俺の力だ」

 

 DNL能力を最大にする。敵意を向ける、DNの力を放出する者に意識を集中させた。出力はどんどん上がり続ける。回転が最大まで回ったところで元は言う。

 

「だけど、言っておく。そんなに俺達に非があるというのなら、前に出て戦うようになってから言えよ。この卑怯者」

 

 同時にDNFが放たれる。

 

『Ready set GO! DNF、「クリムゾン・イレイザー・ラスト・シューティング・スター」!!』

 

 クリムゾンゼロガンダムが誇る最大出力が解き放たれた。その直径はクリムゾンゼロのゆうに5、6倍の大きさ。

圧倒的な熱量を持ったビームの奔流がフェザー・フィンファンネル、そして沢下の機体を軽く呑みこんだ。まずフェザー・フィンファンネルが熱量に耐え切れず自壊する形となる。続く沢下のマキシマム・ホーリー自体もシールドで防御するが、その熱量に耐えることなく蒸発していった。

 ビームは止まらずホリンの上面を削りながら三枝県方面へと海上を直進する。敵MSが空中を、そしてMAが海中を進行する前方でビームは分散した。

 分散したビームは展開する敵へ襲い掛かる。MS、MA関係なくだ。降り注ぐビームの雨はまるで流れ星のようだった。しかし暴力的な光が空域・海域を蹂躙する。

 まだ足りないと言わんばかりに発射元である円盤からもビームが次々と撃ち出され続ける。撃っていく間徐々に円盤が蒸発する様にパーツを消していく。自らのパーツを削って破壊の雨を降らしていった。

 やがて全てを出し切ってボウゲン・ランツェからのビーム照射を中止する。役割を終えてジェネレーターファンネルだった円盤パーツが地面へと落下、パーツ単位で煙へと姿を変えていく。

 目の前に映るのは上面が削られ、中身がやや露出しつつあるホリンの上面と燃え上がる前方海域。爆発の煙が至る箇所で昇る。

 

『すべて、出し切りましたね』

 

「あぁ。だけどまだ終わりじゃない」

 

 まだ終わっていない。沢下の機体を消したとき、奴の討ち取った手ごたえを感じ取れなかった。間違いなく、奴はまだマリオネッターシステムで生き残っている。

 それを駆逐するまではまだ作戦は終われない。そう思いつつも元は地面に転がったファンネルの残骸を見てひとり呟いた。

 

「光姫、ありがとうな。力を貸してくれて。俺は、奴を討つ」

 

 決意を胸に、コントロール元にいるターゲットの確認へと任務を切り替える。後は主犯を捕まえるだけ。それだけで済めばいいが。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

ネイ「本当にすべて出し切ったといいますか……」

グリーフィア「怒りを全部ぶつけたって感じよねぇ。まだマリオネッターシステム使っているんだから、出力抑えた方がいいでしょうに」

でも同時にあれは「本気でやったら簡単にお前らを殺せるぞ」っていう元君のメッセージもこもっていますよ(´-ω-`)敢えてすべて出し切って、後がないことを突きつける。

グリーフィア「あー、それで実際の体で直接装依させるのを誘ってトドメを刺すってことね」

ネイ「なるほど。それは分かりました。でも深絵さん達と戦っているゲルツという男のあれは……」

あれこそ次元覇院の切り札よ(゚∀゚)さぁ黒の館DNを挟んで最後の対決の幕が上がるぞっ!人類の未来となるのはどっちだ?
それでは今回はここまでです。

グリーフィア「それじゃあ次回もよろしく~」
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