機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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ど、どうも皆様。バトスピSBでダブルオー優勝だぁと報告しながら駄弁るシーン書こうとしたら、いつもの次話投稿画面が何か新しくなっていることに驚いてしまった藤和木 士です……え、何が追加されたの(゚Д゚;)

レイ「アシスタントのレイだよーっ。00ライザーさっすがぁ!一発で戦況が変わったよ!」

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。流石ダブルオーライザー。ガンダムの名称を得られなかった分、性能は折り紙付きでしたね」

まぁね、本当にガンダム00強いですよ。組むだけならかなり安く組めて、なおかつ強いんですからコラボスターター内ではSEEDと並んで最優秀だと思います。
とその話は置いてEPISODE45の公開です。LEVEL2第4章の始まりです。

ジャンヌ「LEVEL2最後の章になりますか……」

レイ「魔王と名乗るようになった元君だけど、タイトルからしていきなり悲しいことになりそう……」

さぁ、一体どんな悲しみが止まらないのか?それでは本編をどうぞ。


第4章 新世代(ニュージェネレーション) 二人の少女
EPISODE45 止まらない悲しみ1


 

 

 HOWの活動開始から1か月も経たない頃、黒和元とジャンヌ・ファーフニル、黒和華穂は三枝県を訪れていた。

 未だ次元覇院の残党、檀家が残るこの街は感謝する人間もいるが、多くの人間が教化され、憎むものが多かった。MSオーダーズに関係した組織の人間が訪れるには、非常に危険な土地のままだ。

 にもかかわらず三人が訪れたのには訳があった。会わなければいけない人がいる。会って、説得しなければいけない人が。HOWの黎人達にも許可を取り、危険を冒して彼らはその人物と会った。

 しかし、予感は的中した。夜の雨の中を、彼らは走る。

 

 

「はっ、はっ!」

 

「いたぞ!絶対に逃がすな!」

 

 ジャンヌ達を連れて、夏用のジャケットを濡らしながら路地を走る。三人は一人の初老の男性を連れて走る。

 MSならどうにでもなるだろうが、なるべく表立ってMSを使いたくはなかった。もし使えば、戦場になりかねない。目的の為でも、住んでいたこの街を傷つけるなど……。

 走り続けるうちに初老の男性が足を止めて元達に言った。

 

「も、もういい……お前達だけで行けッ」

 

「父さん!?」

 

「親父、何言って……」

 

「もういいんだ。母さんを置いて父さんだけがお前達の所に行くなんて……出来はしない」

 

 初老の男性は二人の父だった。父のここを離れないという言葉に二人は諦めず説得を続ける。

 父の言うように、本当は母も連れ出すはずだった。しかし母は俺達と会うことを聞いて、あろうことか次元覇院の残党に伝えた。子どもの事を売ったのだ。二人を三枝県から連れ出す予定だった元達は見事に次元覇院の残党と密会現場で鉢合わせ。銃を持ち出した彼らを蹴散らし、何とか父だけでもと連れ出してここまでの逃走劇を演じてきた。

 父は次元覇院のやり方に異を唱え続け、母を戻そうとしていた。華穂の事も心配して、死んだと思われた元の事も忘れずにいてくれたというのだ。昔から父は家族の事を護ってくれていた。そんな父を置いて行けるわけがない。

 二人の気持ちを尊重しながらも、ジャンヌはここをMS無しで切り抜けるのは難しいと進言した。MSを使うべきだと。

 

「ですが、このままでは私達が捕まります。……最悪、死んでしまうかも」

 

「確かにそうだ。もうここはお袋を置いて親父だけでも」

 

 母を見捨てて、父だけでもと言いかけた元。しかしその発言に父の一喝が飛んだ。

 

「元、母さんをそんな風に言うな」

 

「親父」

 

「お前達の言いたいことは分かる。だけどな、母さんはお前達の母さんなんだ。父さんは母さんと一生を誓い合った。裏切ることは出来ない」

 

 父の言葉は分かるつもりだ。結婚した時の誓いを果たす。それが夫婦の務めだということも。

 だが納得しがたい。子どもだって親の無事を願う時はある。鬱陶しく思う時があっても、重い病気の時は嫌がる親を病院へと連れて行くときのように。今父にだけでも彼らの魔の手から逃れて欲しかった。父自身のためでもあるし、同時に元達の今後の為にも、だ。

 人質に取られて動けない、なんてことになるのはごめんだ。俺は何とかしてこの場を潜り抜けられる方法を考えながら、走る。だがMSを使う以上に理想的なプランが見つからない。何とか港まで抜けられれば……。

 直後残党に見つかる。

 

「見つけた!撃てェ!」

 

「きゃっ!」

 

「ちぃ!」

 

 物陰にジャンヌを引き寄せ銃でけん制する。華穂達は来た道を一部引き返して逃げ道を探る。ところが途中で元達の父がその足を止めた。

 

「親父?」

 

「もういい」

 

「父さん!」

 

 諦めを口にした父。華穂は認められずその手を引こうとするが、ジャンヌが静かにその手を抑える。

 

「お二人のお父様の言う通りです。既に、囲まれています。逃げ場は……もう」

 

「そんな……」

 

 ジャンヌの言う通り、周囲を何人かが囲みつつあった。この状況で全員脱出するにはMSしかない。ならばMSで、とも思ったが父は二人に頼み込む。

 

「最後に、二人に会えてよかった」

 

「親父……」

 

「嫌だよ……お父さん!」

 

 泣きつく華穂。涙がすぐに雨で同化して分からなくなる。父は息子である元に最後の願いを言う。

 

「元、最後の頼みだ。俺を殺せ」

 

「何を……!」

 

「俺だけじゃない。母さんもだ。明日俺と母さんは、母さんの連れてきた養子の息子と共に、桑南(くわな)の永島スパランドに行く。お前達ともよく行った場所だ。そこで殺してくれ」

 

「ふざけんな!」

 

 何かの悪い冗談だ。殺してくれだなんて。そんなことをするためにここまで来たんじゃない!父に殴りかかるように胸倉を掴んだ、父はそれでも屈せずに俺に叱ってくる。

 

「今のお前は仲間を背負っている!海上での戦いも見た。お前が魔王と名乗ったことも!」

 

「!」

 

「人類の未来を背負って戦う魔王……結構なことだ。何であれ、お前があそこから立ち直ってくれたんだからな。それを俺や母さんの事で立ち止まらせるのは親として恥ずかしいんだよ!」

 

 両親はもちろん柚羽の事で意気消沈した元のことを知っていた。将来が不安視されてカウンセリングを受けさせようとしていたことを元は知っている。

 どうやってもやる気を持てずにいた元の未来を心配してくれていた両親。母親はどうか怪しいが、それでも一定以上の気は掛けていてくれていた。元が消えたと知った時には号泣していたと華穂から聞いている。

 そんな彼ら、少なくとも父からしてみれば、今の元は非常に希望に満ちていたのだ。魔王と名乗っても人の為に、護りたい人の為に戦う元を応援してくれていた。

 

「こんな可愛い彼女さんだっているんだ。そんな彼女さんに恥ずかしいと思わないのか」

 

「か、彼女っ!」

 

「そんなんじゃ……」

 

「何を躊躇っている。魔王と名乗って、この程度の覚悟だったのか、お前は!」

 

 父の叱責を受ける元の心が揺れる。その名詞に嘘偽りはない。魔王であると言い続けなければならない。

 父はそれを分かって厳しく声を掛けてくれている。父の言葉に、裏切りたくない。意を決し、元は縦に頷いた。

 

「………………分かった」

 

「にぃ!?」

 

「元」

 

「昔よく行ったあのテーマパークのレストランでやるよ。外の席にいて……!」

 

 父に狙撃地点を教えてすぐに元はジャンヌと華穂の腰を抱える。次の瞬間には父を置いて素早く壁を蹴って廃ビルのベランダ部分に逃げ込んだ。直後数人の足音と共に会話が聞こえる。

 

「おい、HOWの奴らはどうした!」

 

「あいつらなら私を置いて逃げ去ったよ。ここを離れたくないとごねたらもういい、とね」

 

 父は事実を含めつつも適度にぼやかしてくれていた。これなら逃げられる。二人に対し静かに行動することをハンドサインで伝え、俺達はその場を離れる。これが父と直接言葉を交わした、最後の時間だった。

 

 

 

 

 翌日、華穂達は父元時(もととき)の言葉に従い、永島スパランドの遊園地近くまで来ていた。

 永島スパランドは温泉施設と遊園地部分の存在する複合型テーマパーク。遊園地部分には大型プールも併設されていて、夏と年末の時期には多くの人でにぎわう。そうでなくても花火なども見られて閑静な地方でも県外からも人が来る場所だった。

 今いる建物からも遊園地の外観が良く見える。昔はにぃやお父さん、お母さんと一緒に色んなのに乗ったなぁ。けど歳が重なるにつれて、にぃとお父さんはスパの方に良く行くようになって、私は母さんと遊園地の方に行くようになったけど。

 双眼鏡で狙撃地点を確認していたジャンヌが施設に対し感想を口にする。

 

「ここがお二人もよく行っていた思い出の地、なんですね」

 

「そう。にぃが向こうの世界に渡ってからは、全然来てなかったけど」

 

「そりゃそうだろ。あの後お前深絵に泣きついて東響まで行ったんだからな」

 

 兄の発言にうるさい、と一言釘を刺す。実際それが事実なのは否めないが。それほど行ったわけでもない場所だが、それでもここには家族の思い出がある。

 そんな場所が両親の死に場所になるなんて。しかも殺そうとしているのは他でもない子どもの私とにぃの二人。いや、ジャンヌさんも合わせて三人だ。狙撃地点を改めて双眼鏡で確認する。狙撃地点となるレストランにはターゲット以外にも多くの家族連れ、恋人達が食事をとっていた。

 母と父は小さな子供と共に食事を取っていた。あの子どもこそ、華穂が東響へ逃げた後、次元覇院から育ててほしいと言われ育てたという子どもだろう。

 話によればオーダーズとの戦いで親を失った子どもだったらしいが、そんなのは知らない。父さんと母さんの子どもは私とにぃだけなんだ。よりにもよって、あいつらの思想に従った親の子どもなんて。

 それを受け入れた母を殴りたいと思っていた。母だけでも自分が、と言ったのだが兄には聞き入れてもらえなかった。

 

『私怨だけで動くな。それこそ奴らとどこが違う』

 

 にぃに正論言われたのは悔しいが、大人しく従う。ここで勝手に動いて、深絵さんとかに迷惑が掛かるのも嫌だし。逃走に力を貸してくれる四ツ田基地の面々は大丈夫だろうか。最新MS「エアフォース」は中々扱いの難しい機体だが……まぁ須藤司令の事だから、上手くやってくれるだろう。

 狙撃銃を組み立てが終わると、兄は早速銃を構える。スコープ越しに覗く兄の視線が鋭くなるのを見る。

 

「………………」

 

 静かだ。実に静かに目標を狙い定めている。感覚だけでほぼ狙撃を成功させている深絵さんとは違うけど、集中しているのは明らかだ。

 兄の集中を邪魔するわけにはいかない。最初の狙撃が失敗すればターゲットが騒いでこちらが捕まりかねないから。しかし邪魔にならないように離れようとした時、それに気づく。

 

「……!」

 

 兄の手が震えている。口元もわずかに動いていた。覚悟なんて出来ていないのだ。

 

「ハジメ、手が」

 

「大丈夫だ。まだ……!」

 

 ジャンヌも気付いて指摘する。だが元は問題ないとスコープを覗き続ける。覗いた先に見えているであろう父と母の姿。その最期を最初に見るのは兄なのだ。

 私がやる。そう言いたかった。憎しみで母だけでも撃てれば……にぃがこれ以上背負う必要なんてない。

 しかし元はそう言う前に、行動に移した。

 

「っ、今!」

 

 トリガーが引き絞られる。直後銃撃音が鳴る。慌てて華穂とジャンヌは双眼鏡を覗いた。双眼鏡で見える景色。確かに母が頭を打ち抜かれて血を流しているのが見えた。

 狙撃の成功で第一段階はクリアした。異変に気づいて周囲の客がパニックを起こす。人が狙撃の当たらない場所へと駆けだしていき、二度目の狙撃は難しいように思えた。しかし、父はそれを分かって行動した。

 

「父さんが、前に!」

 

「ハジメっ」

 

 父は一歩前に歩み出た。狙撃が通りやすくなるように、あるいは後ろに逃がした養子と死んだ母を庇うように。

 それを見てからの兄の行動は早かった。構えなおしてすぐに二射目を放つ。弾は狂いなく父の眉間を撃った。父は少量の出血と共に地面へと倒れ込んだ。

 やったんだ、本当に。自然と呼吸が過度に行われる。やってしまったこと重大さを改めて感じ取る。けれどそれはにぃもまた感じ、いや、私以上のショックを受けていた。

 

「……くぅ……なんで、なんでこんな……っ」

 

「にぃ……」

 

「ハジメ、気持ちは分かりますが行きましょう。敵に補足されます」

 

 ジャンヌの言う通り、これだけの騒ぎに次元覇院の残党が動かないとは思えない。警察もまだ次元覇院に毒されたままで正常化がなされていない。今は涙を堪えて県外へ出なければ。

 

「あぁ、分かってる!」

 

 兄も分かっていると言って荒々しくスターターを装着する。それは両親を撃ってしまったことのやるせなさか。乱暴にスターターの装依ボタンを押してシュバルトゼロガンダムへと装依した。

 ライフルを持ってその場を離れる。兄の機体と手を繋いで、エラクスで急速離脱。そのまま愛智へと飛び去った。

 もう父と母は居ない。この事件の後、にぃは恨んでくれと言った。でもそんなこと出来なかった。しょうがなかった。それが父の願いでもあったんだ。それからにぃは早く結婚しろと言うようになった。最初はそれとなく拒絶していたけど、だんだんそれを聴き入れて、三年後私はMSオーダーズ訓練学校時代の同級生で、HOWのRIOT部隊の隊員と結婚した。まぁ、ひと悶着はあったけど、良かったと思う。

 だけど、忘れちゃいけない。あの時の事を。そしていつか向き合わなくちゃいけない。にぃと、その罪を。

 

 

 

 

 その時の事件は犯人不明の狙撃事件として警察、そして軍によって処理された。のちに次元覇院の残党が、次元覇院の未来を担う子どもの芽を摘み取ろうとした事件だと暴動を起こしたが、それも愛智県の四ツ田基地自衛軍部隊のMSエアフォースの部隊によって制圧させられた。

 実際には事実その通りだが、事実は完全に闇に葬られることになった。これはシュバルトゼロガンダムを戦線に立たせるための苦肉の策であった。魔王に注目を集め、日本を宗教から切り離し、再編するための。

 しかし皮肉にもこの事件を発端として各地のカルト集団の活動は活発・多様化していくこととなる。

 時は四年後に飛ぶ。これはとあるカルト組織の戦闘から始まる、魔王と一人の少女との出会いだ。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。今日00を使ってきたからか知らないけど滅茶苦茶刹那と重なってしまう元君……

レイ「いや、重ならないよ!?元君の場合はやるしかなかったって感じで、むしろアレルヤさんじゃない!?」

生憎、私のデッキはアレルヤ入ってないんだ(゚∀゚)

レイ「まさかのここでハブラレルヤ……ってそんなことじゃない!本当にああするしかなかったの?」

けどお父さんも言ってたでしょ。子どもの邪魔になりたくないって。元君も父親の覚悟に応えて、そうしたんだよ。もっとも今回の行動は隠密行動が優先だったから、救出の時もMSを表立って使えなかったわけだけども。

ジャンヌ「……その隠密行動厳守の理由とは?」

ヘタに刺激して残党の過激派に口実を与えないためってところかな。過激派の中にまだ元君の家族をどうにもならなくした元凶の母方の叔母が残ってたし、元君もその人とは面識を避けたかったっていうのがある設定だし。

レイ「でも……やっぱりお父さんだけでも助けた方が良かったんじゃ」

けどお父さん自身も次元覇院の情報、特に周辺の人間情報を知っていたから残党からしてみれば情報が渡るのは阻止したかったってのがある。余計な追撃をもらうよりは、組織にも負担がない。これ以上ない、最適な結末って感じなんだよ(´・ω・`)悲しいけど。

ジャンヌ「そう、なんですかね……」

それにもっと言うとシュバルトゼロガンダムをこの時点で動かすのはあまりベストではなかったし。

レイ「それって?」

クリムゾンゼロガンダムのデータ解析とか、アレスモードの処遇についてとか混乱していたんだよ。特にアレスモードは出所不明なもんだから、使うべきかってことで上が悩んでいたの。そのせいでシュバルトゼロガンダムは実質アレスモードなしで運用しなきゃいけなかった。その状態だと戦力も恐ろしく減少するし。

ジャンヌ「それは……確かに、戦闘は避けたかったというのはありますね」

レイ「華穂ちゃんもいたから下手に撃墜なんてされるよりは……良かったのかな……」

けどこの事件は兄妹にとって無視できない物ではある。結果的に華穂ちゃんは結婚して戦線離脱したから、これからどうなることか……。
というところで今回はここまでです。

ジャンヌ「次回、もタイトル続くってことは、悲しみがまた続くってことですよね……」

まぁ誰のって書いてないけどね(;・∀・)

ジャンヌ「じゃあ、次回もよろしくお願いします」
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