レイ「あはは……アシスタントのレイだよー。私はやっぱりネプテイトかなぁ。マーズフォーも剣で好きだけど」
ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。今日8月21日は本作ヒロインにしてわたくしモチーフのキャラ「ジャンヌ・ファーフニル」の誕生日。ということで番外編5はそれに関連したお話です。え、私は……とりあえずジュピターヴで」
ジャンヌ・Fの誕生日がテーマだけども、中身としてはそれが半々となっています。もう半分は投稿時最新話のLEVEL3EPISODE2時点でも登場していないシュバルトゼロガンダムの後継機のお話が混ざっております。
もちろん関係があるんです。それは気づかなければいけない現実、そしてこれからの目標。というわけで番外編をどうぞ。
2025年、8月某日。HOWの活動が始まって間もない頃の事。黒和元達は忙しい日々を送っていた。新組織の活動となると人員の増員などやることも多い。加えてこの人工島「ピースランド」の開発も並行し、人の往来が激しくなる中この一か月間はまともに休息も取れない者達も多かっただろう。
そんな時、元はふと、とある場所を訪れていた。それはHOWの試作兵器開発ガレージ。そこに安置された、ある兵器の亡骸を見るために。
◆
ガレージの扉を認証キーで開く。中に入ると、そこにあったのはとある機械の残骸。爆発によりひしゃげた装甲。しかしその外見は特殊なためか、面影がすぐに判別できる。
西洋の竜のような頭部装甲。これはかつてシュバルトゼロガンダムの強化パーツとなっていた機械竜、Gワイバーンの残骸であった。東響掃討戦で無理な負荷で外れ、その後元達をビームから庇って大破した。
その残骸はもはや機能する見込みはない。あれから二か月も経てば残っている電力もないだろう。そんな残骸に近づき、その頭部を撫でる。
「………………」
過去の過ちを正すことはできない。それでもあの時に戻れたらと思う。犯した二つの罪。それぞれで失ってしまった二つの希望。
傍に座り込んだまま、しばらく経つ。不意に扉が開かれる。振り向くと、扉を開けた人物と目が合う。
「あぁ、元君か」
「来馬さん。どうしました」
「いや、一応ここの管理は私だからね。ドアが開いたのを知って、慌ててきたんだよ」
来馬はそう語る。ガンダムの整備主任ということもあり、彼女もまたHOWの主要メンバーの一人となる。異変を察知してこっちに来たのだという。
その手間に申し訳なさを感じ、ついつい開けてしまったことを謝罪する。
「すみません。わざわざ手間を掛けさせて」
「いいよいいよ。元々これの所有者は元君なんだし。気になるのも無理はないからねぇ」
「……すいません」
ため息を漏らす。仕事の手が空いたのでふらっと立ち寄ったのが裏目に出てしまった。すぐに出ようとした矢先にふと元は話題を振った。
「……あの、来馬さん。今時間ありますか?」
「ん?あぁ……作れるとは思うけど」
「手間を掛けさせて申し訳ないんですが、世間話というか、こいつの事で話したいことが」
残骸を指して言う。二人は一旦この部屋を後にする。やってきたのは開発施設の一室。そこで元は話題を切り出した。
「……Gワイバーンのパーツを使った、新兵器?」
「って言ってもレストアってわけじゃない。Gワイバーンの性能を受け継いだ、ガンダムの新たな兵装の開発をお願いしたいんだ」
新兵器の開発。それは開発者でもある来馬相手だからこその頼みだった。それを来馬も分かっており、了承しつつも気になった件を尋ねてくる。
「それはいいんだけど……どうしてGワイバーンに固執するの?」
「……まぁ、固執っていうか、愛着だな」
「愛着……あぁ、そう言うの分かるかも」
その一言を聞いてなんとなく事情を察せられる。Gワイバーンに関する話を持ち出す。
「Gワイバーンは元々シュバルトゼロガンダムと同系統のガンダムの強化兵装として大昔に開発された支援兵器だ。そしてそれはガンダムとの同時運用で真価を発揮するようになっていた」
「うん。合体機構による戦闘能力向上と、次元世界の移動だったよね?」
「そう。……実は、本当なら今日、本来なら一旦あっちに戻ろうと思っていたんだ。報告がてら、それと、ジャンヌの誕生日だから」
「あぁ、なるほど……えっ、でも壊れて……」
壊れてしまえばマキナ・ドランディアには戻れない。それに頷く。
「壊れちまったから、大分算段が狂った。次元世界移動機構は向こうで研究されてもらっているとはいえ、こっちの実運用データも欲しいと言われていた。こっちに来られるのはだいぶ先だろう」
「うわぁ……じゃあこっちで直した方が早いわけだ。ジャンヌちゃんも災難だねぇ」
来馬の指摘に頷いて見せる。この失態が果たしてどこまで尾を引いて来るのか。それをこちら側でも解決したい。しかし、それ以上に去来する想いがあった。
それに来馬もまた気づいていた。先程の言葉に言及する。
「……って、そういえばそうじゃん!今日ジャンヌちゃんの誕生日!プレゼント用意したの?」
「一応は。でもメインはそのGワイバーン再生プログラム「プロジェクト・リ・ワイバーン」ですよ」
「うわぁ……こっちに押し付けですか……いい御身分で」
「まさしくそうだ。だから、通った時の設計案は既に出来ている」
そう言ってメモリーカードに入れていたプロジェクトの概要、所謂要求性能の概算を見せる。
その内容に頷く来馬。
「ふんふん……まぁ出来ないことはないと思う。上の方でも次元世界移動っていうのには大分関心持ってもらえてるし」
「それなら」
「でも出来るとは大きな違いだよ。やっぱり次元世界移動の機能がネックになってくると思う。それにこの設計だと大分シュバルトゼロガンダムそのものも改造が必要になると思う。これを出すってことは、つまり?」
問いかけに頷く。流石、整備主任だ。こちらの考えていることをすべて想定してくれている。その通りだと俺は語る。
「あぁ。少し早いかもしれないが、シュバルトゼロガンダムの後継機開発もお願いしたい」
シュバルトゼロガンダムの後継機開発。それ自体はマキナ・ドランディアでも考えられていた。シュバルトゼロガンダムに匹敵するMSが開発出来た時点で、シュバルトゼロガンダムは旧式と言っても過言ではなくなってしまう。MS戦において、操縦技術も重要だがやはりもっとも大事なのは「性能差」なのだ。
もし技術で上回れない相手が現れた時に備えて、機体の開発は前々から計画しておく必要がある。Gワイバーンをそのまま直しているだけでは足りないかもしれない。その為のGワイバーンのパーツを用いた「新兵器」の開発なのだ。その新兵器は新造されたシュバルトゼロガンダムの後継機とセットで運用する。これが元の考えだった。
全貌を聞かされた来馬は疲れ切ったように大きくため息をつく。わしゃわしゃと髪をかき分け、その道がとても遠足であると伝える。
「はぁ~……それ、すっごく負担になるって分かってる?」
「開発に時間がかかるのは覚悟している。その間旧式のシュバルトゼロガンダムで挑まないといけないのも。だけど、そのうえで頼みたい。まだ白のガンダム、ヴァイスインフィニットがいるのなら、シュバルトゼロガンダムはそれに追いつけないといけない」
まだ再会していないあの強敵との対峙のために。そこに込められた強い願いを言葉に感じ取った彼女がその首を縦に振った。
「……分かった。この事黎人君には?」
「まだだ。今の今まで、俺自身の中で考えていただけだからな」
「じゃあ、私から提言しておくよ。元君がそう言ってたからって。それより、今日のジャンヌちゃんの誕生日、ちゃんと祝ってあげなさいな。ほら、行った行った!これから資料まとめるから!」
彼女に背中を押される形で厄介払いを受ける。自分の事を気にかけているくらいなら、そんな必要はないとでもいうのだろうか。
しかしその好意をありがたく受け、小さくその場に言葉を残す。
「……ありがとう」
◆
8月21日の仕事が終わり、ジャンヌはハジメに連れられ、食堂まで来ていた。その理由は無論、誕生日のお祝いだった。
「誕生日おめでとうございます、ジャンヌさん!」
「わわ、カホさん、みなさんも知っていらしたんですか?」
抱き付いて来たカホに驚きつつ、訊き返す。自分の誕生日は出会った時辺りに限られた人物しか知らなかったと思ったのだが、それ以上の人間が祝いに来ていた。
ミエがここに至るまでの経緯を話す。
「知ってたっていうか、教えてたっていうのが正解だね。華穂ちゃん夢乃ちゃんが中心になってジャンヌちゃんの知り合いに知らせてもらって、今に至るってこと」
「あんまり大事になっても迷惑だと言ったんだが……ま、しばらく根詰めていたからたまにはいいかもな」
「迷惑だなんて、とんでもない。ありがとうございますっ♪」
ハジメにそう返す。カホとユメノはそれを聞いて集まった全員に今日は花を咲かせる様にと伝える。
「それじゃあ今日は楽しみましょう!」
「まずはプレゼント……は、元さんが一番最初の方がいいです?」
「そうしてくれるのなら、そうさせてもらおう。最初に話しておきたいこともあるからな」
ハジメは言って全員に聞かせるように、「プロジェクト」を話し出す。
「今日来馬さんとも話したが、さっき黎人から正式にシュバルトゼロガンダムの後継機開発計画が発足することが決定した」
「シュバルトゼロガンダムの!」
思わぬ知らせに私は目を丸くした。マキナ・ドランディアでも触れられていたシュバルトゼロガンダムの後継機開発がこちらでもスタートする。それは驚きと共に期待を寄せる。
しかしその必要性に疑問視する声もあった。カホなどはその一人だった。
「え、もう後継機?別にまだ大丈夫なんじゃ……」
「それに至るのは、やはりイグナイターが使えないためですか?」
イグナイターへの変化がない、その重大性はジャンヌも理解していた。それに代わるアレスモードも緊急的に発現したためにまだ信頼性が薄かった。使い方もこれから吟味していかないといけない。それに頼り切らなくていいように、新たな高性能機は欲しいと思っていたのだ。
指摘に対しハジメは頷く。が、それ以外の理由についてもハジメは触れた。
「あぁ。だがそれ以上に俺がどうにかしたいと思っているものがある」
「どうにかしたい?」
「次元世界移動機能、「Dトラベルコントローラー」の修復だ」
その言葉に声を詰まらせる。忘れていた。Gワイバーンが消えたということは、つまりそれも意味することに。
機能の意味に分からずにいる数名。だが私はそれを事実として改めて重く受け止める。
「……そう、ですね。今次元世界を移動することは出来ない。それは、私の世界に帰ることが出来ないって……」
「えっ、ジャンヌさん?」
「忘れてました、今日、本当なら報告の為にマキナ・ドランディアに帰るってこと。お母さんに怒られちゃうな……でも、当日に戻れるわけでもないから、気に、しなくても……」
気にしないで。そう言った私自身の視界が霞む。いや、違う。目元をこするとその手に水滴が付着した。自分の涙、我慢しきれなかった分が目から零れる。
途端に室内の空気が重くなる。ミツハもいるのに悪いことをしてしまった。謝罪しようとした時、彼女が言う。
「おねえちゃん、さびしいの?」
「ぇ?」
「おかあさんにあいたいって、きこえてくるよ?」
ミツハの言うようなことは口に出していない。きっとDNLとしての力だろう。彼女の力の発達に驚く間に彼女は行動に移した。
「じゃあおうたをうたってあげる!ずっとれんしゅうしてたの!」
「歌……」
おそらく誕生日の為に練習してくれたのだろう。まさか歌い手の自分が歌を聴かされる時が来るなんて。ハジメに支えられながら席に座り、その歌を聴く姿勢になる。そして彼女が歌う。
「♪~~♪~♪~~~」
その歌はこの世界でチャートに並ぶ曲だった。小さな子ども達が歌う曲で、巷で流行っていると聞く。何気ない日常を歌った曲は自分の歌う世界への感謝を込めた歌とは違う、無邪気さを感じさせる。
そんな自分とは方向性の違う歌だったが、ジャンヌは思い出す。MSに乗ってからよく聞くようになった授業での先生の言葉、「歌に込めるのは想い。大切に思う者への気持ち。それをいつでも思い返して、どこでも歌えるようになればもう一人前の歌い手である」と。
「……フフッ」
笑みが零れる。涙も気にしない笑顔。その横顔に安心した様子のハジメを見た。
「ジャンヌ?」
「ハジメ……もう大丈夫です。私はどこでだって立てる。戦場でもあなたの横で立ち続ける。そして生きる。生き続ける。だから、護ってくださいね。私の事、私が護りたいもの」
ハジメに何度も問いかけ続けた問い。言って私は視線を戻す。小さな歌い手の精一杯の歌声。それにかつての自分を見出して。
この歌声を、歌に込めた想いを護っていく。それが私の使命。詩巫女として誓うこの世界での使命。ハジメは横でそっと答えてくれた。
「あぁ。分かってる」
「うん。ありがとう」
そこで歌が終わる。見事に歌い上げたミツハにカホ達が称賛する。
「あーすごいすごい!今話題のあの曲だよね?あの子達に負けず劣らずだったー!」
「そうだね。歌の才能あるかも」
「ありがとー、かほおねえちゃん、ゆめのおばちゃん」
「おばちゃんは早いって!?」
「あっはっは!言われてるー」
「むぅぅ……華穂?」
好評な娘の歌の感想を黎人がこちらにも求めてくる。
「少し前から練習していてな。どうだった?詩巫女と呼ばれる君には指摘されることも多いだろうが、あの子なりに頑張ったと思う」
遠慮しがちな黎人にそんな心配はないと私は言った。
「そんなことないです。私の先生がおっしゃっていた歌の基本をちゃんと捉えています。文句なしですよ」
「な、なんかそう言われると照れるな」
「照れるのは普通言われた本人だろう?」
「お、親としての喜びだ」
「ハジメもきっと分かるときが来ますって」
そんなこんなでミツハの歌で場の雰囲気は和やかさを取り戻す。ミツハ本人もこちらに感想を求めた。
「どう?じょーずにうたえてた?」
「えぇ。ありがとうミツハちゃん」
「えへへ♪」
その頭をよしよしと撫でる。気持ちよさそうにほほ笑むミツハの顔にレイアの面影を思い起こす。
(きっと連れ戻しますから、レイアさん)
そんな決意を秘めて、ハジメへと本題を投げかける。
「それで、その新型機の開発は嬉しいんですが、本題のプレゼントは?」
いたずらのような笑みを浮かべる。これだけで用意していないの?と言う気満々で。だけどその予想は裏切られる。もちろん、いい意味で。
「まさか、これだけと思うか?」
「そうじゃないと嬉しいですよ?」
「ならちょうどいい。コレだ」
手渡された箱。ラッピングされているが、軽いものだ。ゆっくりとほどいて開けていくと中にはダークカラーのドレスが入っていた。
「一応、こっちでの衣装を。仕事関係で着るかもしれないからな。スリーサイズは悪いけどスタートに測定をやってもらった」
「私のパーティー衣装……そっか、一応予備は持ってきたけど、基地襲撃の時に焼けちゃったから……」
二か月前の基地襲撃。それらでこちらに持ってきていた生活用品も焼かれてしまっていた。日常の服も最初の間HOWの制服を着用していたくらいだ。
ハジメの用意してくれたドレスはジャンヌの雰囲気にぴったりだった。かつての暗いイメージと思わせつつも、シュバルトゼロガンダムに合うようなイメージ。ハジメはその選択について話す。
「マキナ・ドランディアに転移する前、専門学校で色合わせに関する資格を取っていたからな。基地の制服デザイン担当の人とデザイン詰めて作ってもらったんだ」
「元君そんなデザイン出来たんだ」
「つっても本職には叶わなかったけどな」
肩をすくめたハジメ。だけどそれでもいい。自分の為に精一杯作ってくれた。その気持ちに感謝しないわけがない。人前に立っても恥ずかしくないものを作ってくれたのだから、大切にしたい。
服の入った箱を抱きしめ、感謝の気持ちを面と向かい合って伝える。
「ありがとうございます、これで人前に出ても大丈夫ですね」
「……そう言ってもらえると、作った側も報われる。さ、華穂達も」
少し笑って見せたハジメは妹たちに後を譲る。そうしてジャンヌは誕生日の祝福を受けていく。
この日からシュバルトゼロガンダムの次世代機の開発が開始されていったのである。二人で一機のガンダム、その名前に「
EX EPISODE END
今回もお読みいただきありがとうございます。番外編としては初めて第一部以外での製作となります。
レイ「番外編は話数の通し番号リセットされないんだね」
最初の番外編の活動4周年の話は色々と本筋に絡みづらかったからその法則から外しているんだけどね。あの話もある意味伏線ではあるんだけども(´Д⊂ヽ
ジャンヌ「それにしてもGワイバーンの機能、Dトラベルコントローラー再生のための新機体開発計画ですか」
まぁ言ってしまえば「新しく作り直すならシュバルトゼロガンダムも一緒に作り直しちゃえ」って発想ですよ。元々シュバルトゼロガンダムも後継機がマキナ・ドランディアでも考えられていたくらいですし。戻るまでにどれだけ時間がかかるか分からない。その間に向こうの情勢、特にMSの性能がどれだけ革新しているかも分からないわけだから、こっちでの最新技術を扱えるようにはしたいって話。
レイ「でも、やっぱり一番はジャンヌちゃんをお母さんに会わせてあげたいっていう元君の気持ちなんだね」
ジャンヌ「ちゃんと主の事を考えてあげてる点は素晴らしいです。でもそれならいっそ横に居て安心してあげられるように、身を固めるのがよろしいかと」
それはまた……別の機会にね(´・ω・`)
ジャンヌ「これでいいです?」
うん、いいけどばらすのやめようか( ;∀;)
レイ「でもでも、そんな想いを胸に、元君はこのLEVEL2最後の戦場を駆けていったわけなんだぁ。これを読んでから見るとまた違った見方も見えるかもねっ」
それで設定違いが露見しないといいんですけどね;つД`)マジでミスやめてよ私。
それでは今回はここまでです。同日公開のLEVEL3EPISODE2、そしてこの第4章もよろしくお願いします。
ジャンヌ「それでは、また次回」