レイ「アシスタントのレイだよー」
ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです」
今回はEPISODE47の公開です。憧れは病にもにて、です。
ジャンヌ「憧れ、ですか」
レイ「だねぇ。ここ最近で憧れって言う言葉が合う人物って言ったら、前回のあの子かな?」
まぁ最初に浮かぶのは彼女でしょうねぇ。ただもう一人の事についても触れていくので、今回はその前半を見るということですね。
レイ「憧れるっていうのは誰の心にもあるものだよねー。私もノアちゃんに憧れてたし!」
ジャンヌ「私の憧れはいつでもレイさんですよっ」
うーんレイジャン(´ρ`)てか久しぶりにこのネタしたね(´・ω・`)
ジャンヌ「SSRでやった事柄こっちに反映されていないものもありますからね」
レイ「うんうん!まぁ今それは置いておくことにする?」
そうだね。では本編をどうぞ。
地獄を見た。2029年に起こった神名川の夫婦聖院襲撃事件で、私は家族を失った。家を離れて、私は東響都内のとある老夫婦の家に引き取られた。父さんや母さん、玖亜と一緒に暮らしたあの家を捨てるのは嫌だったけど、そうするしかあの時の私には出来なかった。
東響での暮らしに不便はなかった。強いて言うならクラスメイトの視線が少しだけ痛かった。夫婦聖院の被害を受けたということで、腫れもののように見られていた。でもそんな私に声を掛けてくれた友人は私を庇ってくれた。感謝の言葉しかない。
そうして新しい生活に溶け込んでいった。でも私の中で変わらないものがあった。ショッピングモールでMSの暴力から私を助けてくれた、漆黒のガンダムが所属する組織「HOW」。あの後調べて、そのガンダムの名前がシュバルトゼロガンダムであることを知った。
そう、私はまだHOWに入ることを諦めてなんかいない。MS所持法の制限でMSに乗れなくたっていい。私は、あの人の下で働きたいんだ。あの頃よりももっと強くそれを思うようになった。母さん達を助けたいだけじゃない。私は、あの人達に憧れていたんだ。
その転換期が、小学校六年生の時に起こった。あの時の事件を私は忘れない。
2032年、秋。この日も平穏な日々がここ東響の都立港内湾岸小学校にも訪れていた。先日の夫婦聖院壊滅に伴って校区も一安心となりつつある。残党もそれほど戦力はないだろうと、緩んでいるところもあった。
教室で生徒達はいつも通り授業を受ける。その中にかの少女もいた。少女はこのニュースを嬉しく思う傍らで、同時に悲しく思っていた。HOWからの連絡で、夫婦聖院によって誘拐されていた母と玖亜の身柄を確保できなかったことを告げられていたのだ。
現在HOWは身元の把握を行っているそうだが、もしかしたら兵士として駆り出されていて……。生存が著しく低いことを前置きしていた。仕方のないことかもしれない。それでも本当にそうだと思うとこのニュースを手放しに喜べるわけではなかった。
「……?」
ノートを書く手を止めていると、横から紙くずが回ってきた。向くと隣の男子が友人の方を指さす。それで事情を把握してその紙くずを開いた。手紙だ。友人は「どうしたの?なんかあった?」と記していた。
後ろの席にいた友人から心配されるほど顔に出ていたらしい。事情を今回すのは少々迷惑だろうから別の紙に「今は大丈夫、休み時間にでも話すよ」と書いてクシャっと丸める。それをまた隣の男子に小さく謝罪して回してもらう。友人は小さく頷いてまた授業に戻った。
今は授業が大事だ。余計なことを振り払って、ノートを書く手を再開させた。その時だった。小さな破裂音のようなものが廊下から響く。それに気づいた生徒の何人かがざわついた。
「こら、静かに―――」
生徒に口を慎むように言った先生の言葉を、放送からの声が遮った。
『―――――聞け!我々は夫婦聖院!夫婦神カーナスを讃えし者!これよりここを夫婦聖院の新たな聖地とする。この学校の生徒は、皆使徒となる!永遠の夫婦となるのだ!』
いきなりの宣言に全員が動揺した。壊滅したはずの組織を名乗っての占拠。不安を煽るには十分すぎた。
「先生、夫婦聖院って」
「落ち着いて、みなさん。私が状況を見てきますから、みなさんは教室で静かにしていてください。何があっても不用意に騒がないこと、いいですね?」
あわてず騒がず、と言って先生は教室を出た。妥当だろうが、それでもベストな選択とは少女は思えなかった。アイツらは大人しくしていればどこまでもつけあがる。HOWや他の警察部隊はまだなのだろうか。
私は席を移動してきた友人と今の心境を共有する。
「ね、ねぇ大丈夫かな先生」
「分からない。もしかすると、出会った時点で殺されてるかも……」
「うそっ!?」
「こういうの言うのもなんだけど、あんたが言うと急に説得力が出てくるわ……。前も襲われたんでしょ?」
「うん。あの時はガンダムに助けてもらった……忘れられないよ」
今回もきっと助けてくれる。そう思えたのはやはりガンダムのおかげだろう。希望を失わずに済む。だから諦めないでと親友の二人に言う。
「きっとHOWも警察だって動いてくれている」
「そ、そうだよね!」
「……動いてくれていても、全員無事で逃げられるの……?これ」
学校にはおそらく何体ものMSが入ってきているに違いない。校庭を見ても何機かのMSが見られていた。周辺の人が異変に気付いて知らせてくれていればいいのだが……。
何か今のままでも出来ることはないかと思い、少女は教室を見回す。そこで気づいた。教室の隅に設置された緊急のスライダー設置装置があることに。
「……」
「ちょ、どしたし?」
「それ……火事の時とかに使うやつだよね」
今までは下に投げて受け取った人が滑り台のように引っ張って上から滑り降りて逃げるための装置だった。今はMSの装依技術を使って、窓に設置後即席の金属製滑り台を現実化させる。
これなら教室を直接移動するより素早く校庭から逃げられる。校庭のMSがいなくなれば……。みんなにも伝えようとした。けど見上げた瞬間、夫婦聖院のMSと目が合った。
「あっ……」
教室内で企みが起こっていないか、調べに来たのだろう。自分のような頭のキレた者がいないかどうか。銃口が向けられる。間違いなく死んだ。
後ろから親友の声が響く。だけど何を言っているのか分からない。目の前のMSに殺されるという恐怖心で聞こえない。
死を覚悟する。だけどその銃弾は放たれなかった。機体の背後から放たれたビームが頭部を貫く。遅れて爆発が起こり、反射的に頭を床に付けた。振動する窓、教室にいたクラスメイトも悲鳴を上げた。
伏せている間にも音が激しく鳴り続ける。音が鎮まると窓が唐突に割られた。教室内に入ってくるMS。顔を見上げて、それがHOWのMSであると認識する。
「落ち着いて、私はHOWです。あなた達を助けに来ました」
HOWのMSパイロット達は次々と学校の教室へと入っていく。廊下側の警戒をしながら生徒を落ち着かせるHOW。落ち着かせたところで彼らは避難する様に呼びかける。
「これから誘導に従って外へ逃げてもらいます。脱出ルートを確保次第、ここから」
「あ、あの!ちょっといいですか」
私はみんなの前へと歩み出る。先程思いついた案をHOWの人に提案した。少し考えてHOWは緊急展開式のスライダーの装置を見る。
「…………その方が早い、か」
「ですがこれ認証の必要な奴ですよ。教員じゃないと」
「なら教員の奪還優先。こっちでもセキュリティが破れないか試す。全部隊にこの事を共有、教室に敵を入れるなよ?」
「了解」
少女の考えを採用する形でプランを作成した隊長格のパイロット。パイロットはこの考えを立案した少女に礼を述べる。
「ありがとう。けどまさかそんな考えを思いつくとはな」
「いえ、それほどでも」
「みんなももう少し待っていて。すぐにここから逃げられるから」
聞いて安堵の声をもらすクラスメイト。それからしばらく避難装置の前で四苦八苦するMS。
私はその人にあの機体について訊いてみる。
「そういえば、シュバルトゼロガンダムは来ないんですか?」
「え?あぁ、本部のスーパーエース様か。悪いけど私達は港内区の防衛支部の部隊なんだ。あっちは中央区の湾内。近い距離だから来るかもしれないけど今スクランブルで来たのは私達だけよ」
「そう、ですか。変なこと聞いてすみません」
来ていないことに落胆する。また救ってもらえる、なんてそううまい話はない。それにそう思う方が不謹慎だと言われるかもしれない。助けに来てもらったのにそう思ってはあんまりだ。
しかしそのパイロットの人もやり取りで分かったのか、言葉を続ける。
「まぁ彼は凄いからね。MSだけじゃない。パイロットとしての質が違う。背負ってるものが違うんだろうね、あれは」
「いえ!別にそんなこと……」
「私でもパイロットとして彼には嫉妬するよ。でも彼がいるからこそ私達がこうして前線で戦える。だから君の抱くような感情も理解できるよ。っとどうした?」
そうこうしている内にパイロットは通信を受ける。しばらくして装置を操作すると装置が起動する。パスワードの入力に成功したのだ。
「よし、離れて。すぐに出る」
後ろに下がるように言ってすぐに装置は緊急用スライダーへと変化した。校庭に装置が次々と展開されていく。校舎の一階から既に逃げていた生徒達を避けて出来上がった脱出装置。
HOWはすぐに生徒達へ避難誘導を行う。
「さぁ、みんな!」
隣の教室から次々と聞こえてくるスライダー使用の音。クラスメイト達も同じく我先にとスライダーを利用する。校庭には既にHOWのMSが付いてくれている。汎用型と、可変型の二機種だ。校内からはまだ戦いの音が響いていた。少女も友人と共に最後に並んだ。
最後の順番になった時、廊下側のMSが交戦を開始する。パイロットの人が急かす。
「気にしないで、今は降りることだけを考えて!」
「分かりました。行こう二人とも」
「は、はい!」
「私から行くよぉ!」
友人2人が先に降りる。最後は私。躊躇わず滑り始めた。これでもう安心だ。そのはずだった。
突然後方から爆発音が響く。次いでスライダーが傾斜を始め、背中側に重力を感じていく。
落ちてる?そう思った時には反射的に頭を両腕で覆った。地面へと落下した衝撃が体に襲い掛かる。
「だっ!っ~……」
痛い。背中も腕も……。頭に直接衝撃があったら、死んでいたかもしれない……。何とか足を動かして、近い出口からスライダーを脱出する。光が目を照らす。目を開けるとそこにあいつらのモビルスーツが空に立ち並んでいた。
「何、で……」
「やれやれ……まさか備え付けの災害用スライダーで逃げるとは……。報告を聞いた時には焦りましたが、まぁ一人でも人質には十分でしょう」
言って躊躇いなく銃口を向けた夫婦聖院のMS。校舎で外で戦っていた先程の女性パイロットが叫ぶ。
『逃げてー!』
「っ」
逃げたい。銃口を突きつけられたら誰だって思う。けどそうしなかったのは体の痛さと、もう一つ、個人的な理由があったから。
夫婦聖院に対し睨み付けるように視線を細める。
「何が夫婦神よ……あんた達の考えは、やってることは、夫婦が一番やっちゃいけない事でしょ!」
「フン。強がりを。教えを広めるのに、これは致し方ない犠牲さ」
「何が致し方ない、よ。子どもの親を殺して!家族を引き裂いて!立派な犯罪じゃない!」
「貴様!!」
『ダメ、刺激しちゃ!ぐぅ!』
逃げない。絶対に逃げない。こいつらなんかに屈したりしない。私は今までの苦しみを吐き捨てる。
「私はあんた達を許さない!母さんと玖亜を攫って、殺したお前達を!」
「いいでしょうなら慈悲だ!あなたの家族の下へ、送ってくれる!」
「ダメェ!」
「いいわよ。私の犠牲でみんなが逃げられるんなら!」
銃の狙いが向けられる。私の意志は変わらない。あいつらに命乞いするくらいなら、あいつらの思惑を壊して、みんなを助ける方がいい!
唯一心残りだったのは養父母だった。こんなことしたら親不孝だろうな、と。ところが運は彼女の味方をした。空からビームが敵の銃口を貫いた。同時に声が響く。
『―――――暴力に屈しない、それはいい。けど助かった命を投げ捨てることを簡単に口にするなっ』
「この声……」
「まさかっ」
空を蒼い流星が翔ける。瞬く間に銃を向けていたMSの僚機を切り裂いて、本体へと斬りかかった。
蒼い光が解除されると、彼女の求めた黒いガンンダムが姿を現す。忘れもしないあの時のMS。その人は彼女を褒めながらも叱る。そして目の前の敵に容赦する素振りを見せない。
夫婦聖院のパイロットは恨み言を口にする。
「おのれ……魔王!」
対して黒のガンダムパイロットは不敵に応えて見せる。
「正解。俺は、お前達の存在を否定する、神を殺す魔王だ!」
光剣を交える両者。共に距離を取る。その姿に少女は立ち尽くす。
来てくれた。あの人は、ううん、あの人達が来てくれた。私は言いようのない喜びとしてそのMSの名を呟いた。
「シュバルトゼロ、ガンダム」
神を殺す魔王、その力に敵は屈する。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。この時点で7年経過ですよ(゚∀゚)時がたつのは早いなー。
レイ「でも元君とジャンヌちゃんは全く変わってないんだよね?DNLの覚醒で」
そうだね。と言ってもDNLの覚醒はジャンヌ・Fのお母さんのクリエもそうだけど、歳を取らなくなるにはもう一つ条件があるんですけどね(;・∀・)
ジャンヌ「あら、その条件って?」
簡単に言うとエンゲージシステムが関わってくる。エンゲージシステムでパートナーと繋がって初めて老加速度低下が起こるって感じ。これに関してはまたいつかの用語集で説明するよ。
まぁ話は戻すとして。
レイ「うーん、まだHOWに入るのを諦めていないって、すごい執念というか……っていうかこの女の子元君のこと好きなの?」
ジャンヌ「なんだか好意を持っているような感じもしますよね……いや、これは敬愛ですか?」
まぁ敬愛に近いね。助けられた恩からその人の事をずっと追いかけているって感じ。とはいえそれを元君が認めるわけでもないんだなぁ。それは次の話で明らかにしていくよ。
ということで今回はここまでで。
レイ「次回もよろしくねー」