機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも皆様。先日のビルドダイバーズリライズ、滅茶苦茶重かったですね(^q^)作者の藤和木 士です。歌詞が……歌詞が重くのしかかる……。

レイ「あはは……アシスタントのレイだよ~」

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。色々とこれまでのリライズ、そして無印ダイバーズに関係のあるお話しでしたね」

前作での喜びが、真綿のように締め付けてきやがるぜ……;つД`)前作と合わせてガンダムしている件。
さて、そんな勢いに負けることなく、今回は2話投稿です。と言ってもこの次は黒の館DNなんですがね。

レイ「理由はもうすぐ作者自身の誕生日なんだよね~」

ジャンヌ「しかも以前も触れたかもしれませんが、最近将棋界で最年少タイトルホルダーになった方と同じ誕生日なんですよね」

私も将棋かじってた時期あったけど、本当にあの人凄いですわ。年下とは思えない。同じ誕生日でここまで変わるんですね。と、そんなわけで今回と次回は二話投稿ということです。
さてEPISODE52、前回の続きで彼女の過去、そしていよいよこの時代での元と千恵里の再会です。

レイ「でも、元君その助けた子を追いかけてきているんだよね……大丈夫かなぁ」

ジャンヌ「助けたことをどう思うのか、ですね」

そんな身構えなくても……(´・ω・`)では本編をどうぞ。


EPISODE52 無垢なる少女2

 

 

 千恵里達はクルスと名乗った少女の話を聞く。彼女はとある施設で実験を受けていたのだという。オースラリアの出身らしい。彼女は大災害で被災し、家族を失った。それを今の施設が引き取ってくれたそうだ。

 その施設でMSの試験をするようになった。そこでは薬を飲んでMSを動かす。その薬を飲むと前後の記憶が飛ぶようになったという。

 素人の千恵里でも分かる。その薬は危険なものだと。記憶が飛ぶなんていくらなんでもおかしいし、MSの操縦に必要となれば怪しさ満々だ。

 恐る恐るクルスに施設の名前、いや、それを運営する組織の名前を訊く。

 

「ねぇ、クルス。あなたを引き取った施設って」

 

 その言葉に、クルスは顔を俯かせる。そして言いにくくもはっきりと言った。

 

「うん……ゼロンっていう、宗教の人」

 

「やっぱり……」

 

 返ってきたのは予想通りあの組織の名前。カルトの名前を聞いて荒立てない様にと言う都美樹。

 

「ちぇ、ちぇりー?分かるけど今は……」

 

「流石にこんなところで怒らないし、怒れないよ……」

 

 カルト集団に良い感情を抱かない千恵里でも流石に怒れない。先も思ったが、彼女が生きるにはそれしかなかった。組織に恨みこそあれ、彼女に恨みはない。

 当の本人は申し訳なさを感じて謝罪する。

 

「ごめんなさい。カルトになんて所属して……私なんかと関わったら、HOWとかに捕まっちゃうかも……」

 

「何言ってるのよ。人を助けてHOWに捕まるくらいなら私はHOWには入らない」

 

「ち、千恵里ちゃん!?」

 

 謝るクルスにその必要はないと胸を張って答えた。これは人助けだ。聴取されることはあっても、それで捕まるという可能性は少ない、はず。恩人のHOWに逆らうことになると思っている命の心配は稀有だろう。

 今は病人だ。いくら何でもHOWがそんな暴力的行為に及んでまで彼女を捕らえることはしないのではないだろうか。

 そう思って私は世間話のようにクルスに訊く。

 

「ねぇ、あなたはゼロンのために働きたいって思ってるの?」

 

「えっ」

 

「ちぇりー?」

 

「あなたがどう思っているか、知りたい。遠慮なんて無用よ。あなたが、ゼロンをどう思っているのか」

 

 二人の制止を聞かず、追及する。少しだけ逡巡する素振りを見せてから、答えるクルス。

 

「……私は、災害の時に助けてもらったことは凄く感謝、してる。だけど、戦闘の後は頭が痛くなるし、記憶もなくなった。その間何をしていたのとかも、よく、分からない……凄く機体を動かしていたことが、ぼんやり覚えてるだけ……」

 

「……」

 

「多分、いけないことをしていたんだと、思う。私は、そんなの、嫌だ」

 

「なら、HOWに保護を」

 

 そう言った千恵里の言葉に、首を横に振ったクルス。なぜ?という問いに彼女は応える。

 

「私が捕まれば、あの人達は追いかけてくる。みんなも襲われる。だから」

 

「そんなの、関係ない!あんな奴らの事……」

 

「私も、あんな奴らの仲間だよ?それにHOWも私の確保に、容赦なんてしない、と思う」

 

「そんなこと……」

 

 ない、と言い切ろうとしたその時部屋が開かれる。向くと軍服と制服を着た大人達が入ってくる。いきなりの事で取り乱しかける。しかしそれを制する様に声が響いた。

 

「急で申し訳ないが、下がっていてもらおう」

 

「この声……!」

 

 入ってきたのは千恵里憧れの人物。HOWの柱と呼べる黒和元その人だった。

 実際に顔を合わせるのは初めてだった。しかし忘れることの出来ない声ではっきりと分かる。銀の髪は日本人とは思えない幻想的な印象を与えてくる。隣に控えるような女性も銀髪で、お揃いにしているのだろうか。

 茫然とする千恵里に気づいた元。いることに疑問符を浮かべた。

 

「お前は……なぜ?」

 

「え、この人ってまさか……」

 

「千恵里ちゃんの……憧れの?」

 

 そう。私の憧れの人。もう一人の銀髪の女性がその名を私達に告げた。

 

「突然の訪問、申し訳ありません。私はHOWの試作遊撃部隊副隊長のジャンヌ・ファーフニルです。こちらは隊長の黒和元。そちらの入嶋千恵里さんとは三年ぶりですかね」

 

「覚えて、くれているんですね」

 

「それは、そうですよ。あんな子、忘れるわけはありません」

 

 女性も、あの時黒のガンダムから聞こえていた声の持ち主だ。突然の再会は千恵里の心を大きく動揺させる。けれど、続く言葉は更に動揺を生んだ。

 

「紹介はここまでだ。そちらの少女を引き渡してもらう。彼女はゼロンだ」

 

「っ」

 

「ま、待ってください!彼女は被害者ですよ!」

 

 元の前に立ち塞がる。彼女がゼロンに所属しているのは分かっている。だけど彼女もまた自身の行動を由としていない。事情を話してからでも遅くはないはず。

 しかし、彼は全てを知っていた。

 

「オースラリア、シドニーア出身、クルス・クルーシア」

 

「えっ」

 

「三年前に起こったオースラリア大地震と連鎖起こったガス貯蔵施設の大火災。それに巻き込まれたのが彼女」

 

「しって、いるの?」

 

「施設から資料は入手している。それによる被検体であることもな。彼女は危険だ。身柄は確保させてもらう」

 

 全てを知っていた。知った上で彼女を確保しにきていた。病院の先生たちも遅れてやってきた。

 

「すみませんが、彼女は……」

 

「すまないな。自衛軍からの要請なんだ」

 

「じ、自衛軍!?」

 

「自衛軍まで……」

 

 自衛軍の軍人も彼女の引き渡しに来た。先生達はその自衛軍の人に出された書類を見て渋々その引き渡しに応じていた。

 その流れをただ見ているしかない。それでも振り絞って言った。

 

「彼女は……クルスはどうなるんです?」

 

「彼女は既に自衛軍の特殊部隊の隊員を殺している。それが故意であれそうでなくとも、彼女は既に手を上げた。人を傷つけ、脅威となる存在を自衛軍もHOWも、そして世界も許さない」

 

「そんな!事情があるって分かって」

 

「それを決めるのは、君でも、ましてや俺でもない」

 

「っ」

 

「決めるのは、その立場にある者。俺はただ、指示に従ってそいつらを捕らえる、あるいは滅ぼすだけ。それに、ここに居れば、ここの人達がゼロンに襲われる」

 

 冷たく、突きつけられる現実。それは鋭いナイフのように、そうするしかないのだと言わんばかりに彼女に向けられた。例え魔王と呼ばれる彼でさえ、ルールに逆らわない。規則を守っている。そして民間人の安全を優先する。

 千恵里が知らない世界。知らなかった世界。だが当然なのだ。これが人、人の法だから。でなければ感情がまかり通ってしまう歪な世界になってしまうから。

 彼女を救いたかった。でもこれ以上自分が出来ることは、ない。顔を俯かせた。その脇を元さんに指示された先生たちが隊員の準備を始める。クルスに対して、背を向けたまま言う。

 

「……ごめん」

 

「……いいんだよ。私は、これで」

 

「ちぇりー……」

 

 何かしたかった。でも何も出来ない。無力な自分を呪いたい。

 そんな千恵里に、声を掛ける存在があった。

 

「―――すみません、お三方、ちょっとお時間をもらってもいいですか?」

 

「え?」

 

「ジャンヌ?」

 

 先程の紹介をした女性、ジャンヌ・ファーフニルが千恵里達を誘う。

 

 

 

 

「すみません。病院側の準備などもあるので、それまでの間、ということになるのですが、お話したくて」

 

「い、いえ……そんな、副隊長さんが私達なんかに話があるなんて……恐縮です」

 

 三人は病院の待合所の席に座り、ジャンヌと対談する形となっていた。彼女達以外にはHOWの女性隊員二人がガードに付いている。

 突然の誘いに当惑を隠せなかった千恵里達。緊張で縮こまる三人、いや、正確には命以外の二人にほぐすようにジャンヌが言った。

 

「恐縮なんてしなくていいですよ。命さんも言ってあげてくださいな」

 

「そうですね。千恵里ちゃんも都美樹ちゃんも、構えなくていいよ」

 

「え……命知り合いなの?」

 

 あまりにフレンドリーのように感じられて尋ねる。すると命はその理由を教えてくれた。

 

「はい。前にお父様の仕事関係でお会いしています。ジャンヌさんも異次元ではいいところのお嬢様ということで、結構気が合うんです」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「みこっちのお父さんってことは……機械関係?あ、もしかしてMSの!?」

 

「ふふ。それは機密事項、ということで」

 

 都美樹の言葉にクスリと笑うジャンヌ。言葉に恐怖して思わず都美樹の頭を抑える。

 危うく地雷を踏み抜きかけたものの、それに気にすることなくジャンヌは三人に今回の件について、黒和元のことについて話す。

 

「先程はすみません。元も仕事のこともあって、あのような無礼を」

 

「ぶ、無礼だなんて!むしろ私の方が無礼ですよ……あんな食って掛かって」

 

 さっきのあれはよくよく考えればあまりにも失礼だったと反省している。気持ちがはやり過ぎたのではと思ってしまう。

 だがしかし、そうではないと銀色の髪を揺らして首を横に振るジャンヌさん。側頭部に結んだリボンが揺れる。

 

「いいえ。むしろあれくらい言われた方が気も楽です。元だって、全てが全て上の方針に納得がいっているわけではないんですから」

 

「……それって?」

 

 首を傾げた都美樹の反応と同じく私も唖然とする。ああ言っていたのに……本当は違うって……?

 ジャンヌさんはそれを話してくれた。

 

「今回の任務、資料を手に入れた時に私達は彼女の経歴を見ました。元はその時点で一度本部に処遇について確認を入れているんです」

 

「処遇について……」

 

 処遇と聞くと彼女のその後ということになる。決めるべき人の判断。彼女をどうするのかと尋ねたのだろう。

 

「結論としては彼女も機体も、重要参考人扱い。自由は限りなくないとのことでした」

 

「自由のない……生活」

 

「それに対して、元は苦言を述べていました。成長過程にある彼女にそれは酷だと。それでも上は考えを変えませんでしたが」

 

 ため息をつく。ジャンヌも上の決定にそのまま賛成というわけではなさそうだ。そのままジャンヌはもう一つ明かす。

 

「それに……先程みなさんとお話ししていた時も、彼はやるせなさを感じていましたから」

 

「それは……ジャンヌさんの見立てで、です?」

 

「いえ、私と元はDNL、次元感応者なんです」

 

「DNLって、あの心が読めるっていう?」

 

 頷くジャンヌ。ニュースなどで聞いている、次元世界に適応した新人類と称される人達の事だ。最近この世界でも適応者が出ているらしいが、元々は外の世界で能力を得た人がやってきたことが初めてらしい。

 とはいえ千恵里達も流石に目の前の彼らがその最初のDNLであるとは知らなかった。ジャンヌは頷き、先程の元の気持ちについて語る。

 

「元の心は、声は確かにやるせなさを伝えています。特に千恵里さん、あなたの言葉に対して元は申し訳なさを思っているようですよ」

 

「元さんが……」

 

 あの時の鋭い表情の裏で、そんなことを。憧れの人の考えは容易には読めない。もしかして、今までの会話の中でも、正反対の感情を抱いていたのかもしれないと思ってしまう。このまま入れたとしても私はあの人の下で働けるのだろうか心配になる。

 そんな千恵里の心も見透かすように、ジャンヌは語りかける。

 

「大丈夫ですよ。この三年で、あなたも考え方を充分変えられたようですから」

 

「い、いえ……三年前のあの日、蒼いガンダムのパイロットに言われましたから」

 

「ふふっ。……そろそろですかね。では失礼いたします。お時間を取らせていただき、申し訳ありませんでした」

 

 三人に向かって頭を下げたジャンヌ。その銀色の髪を翻して、ジャンヌは席を立つ。千恵里達も遅れて立ち上がって礼を述べる。

 

「いえ!ありがとうござます。教えてくださって」

 

「また何かあれば、西園寺グループをよろしくお願いしますね」

 

「いえいえ。その時はまた」

 

 ジャンヌと別れた千恵里達。千恵里のその表情はどこか不安ながらも安心を見せていた。

 きっとあの人達なら何とかしてくれる。難しくても精一杯やってくれる。それでだめだったとしても構わない。だけどやはりクルスが幸せになってくれる結末になってほしい。それを願いつつ三人で病院を出た。

 

 

「さて、じゃあ遅くなったけど帰ろっか」

 

「だね。お父様に怒られちゃうかも」

 

「あー、そうだねぇ。母さんに言わないと」

 

 早く帰らなければ、とそれぞれ急ぎ足になる。そんな彼らを止める声が一つ。

 

「すみません。そこのお三方」

 

「ん?誰」

 

 振り返ると、そこに男が立っていた。どこかの重役とも呼べるようなスーツを着こなす中年男性と言った風貌だ。しかし女子学生にそんな男が話しかけてくることに、危機感を感じないわけではない。しかも会ったことのないともなれば要注意だ。

 男性はそんなこちらの忌諱を無視して話してくる。

 

「先程クルスとお話ししていましたね?」

 

「クルスを……知ってる?」

 

「それにHOWの方々と随分親しく話しておられた。いいですねぇ、HOWに顔の利く人物というのは」

 

「何を言って……」

 

「ち、千恵里ちゃん!」

 

 命の悲鳴でようやく気付く。周囲を黒服の人物達に囲まれている。しかもその手には銃が握られていた。

 囲まれた……。動けない私達に、男は名乗る。

 

 

 

 

「私達はゼロン。世界の正常化のため、あなた達には協力してもらいます。嫌でもね……」

 

 

NEXT EPISODE

 




EPISODE51はここまでです。……最後のあれがどうなってしまうのか?(゚Д゚;)

レイ「絶対関わってくるよね……人質とか……」

ジャンヌ「ゼロンも基本的には次元覇院と同じ、ということでしょうか?」

今のところはそんな感じだね。ただ少し違うことだけは言っておくね。

レイ「心配だね。でも元君もちゃんと考えていてよかったー」

ジャンヌ「真意を明かさない、というのは少々もどかしさを感じますが、それも必要以上に人を巻き込まないため、と考えると今までの元さんと違いますね」

10年近い時間が彼を変えたんですよ。あの事件とかでね(´-ω-`)

レイ「魔王として……かぁ」

ジャンヌ「今後が気になりますね」

では同日公開の黒の館DNもよろしくお願いします。

レイ「よろしく~ねっ」
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