ネイ「アシスタントのネイです」
グリーフィア「アシスタントのグリーフィアっ」
今回はEPISODE53と54の投稿になります。
ネイ「前話でクルスさんがHOWに引き取られましたが……でも千恵里さん達もゼロンに捕まってしまったようですね」
グリーフィア「これは人質確定ねぇ~奴ら絶対人質を示して自分達が正義とか言い出すわよ~?それがこの作品だし」
メタいネタバレの言い方やめようか(;・∀・)さぁ、無事クルスを送り届けられるのでしょうか?それでは本編をどうぞ。
水戸が運転する車で市内を護送する元達CROZEと自衛軍部隊。スレイブレイスとマルコシアスの部隊員が乗る車がこちらの車を挟み込む形だ。
ターゲットの少女は確保できた。だが本当に子どもだったとはな……。資料を見た時は半信半疑だった。しかも、あの入嶋千恵里と同い年と来た。こんな少女が戦場に、と思わされる。
自身のパートナーであるジャンヌは十六歳からパートナーとなっているので、人の事は言えない。ただそれでも他の子ども、ジャンヌ以下の年齢で戦場に出ることが出来る現状に不安を感じえない。こんなことマキナ・ドランディアでは思わなかったが、それはやはり立場からくる感情だろう。
ディスティニーライダーのパイロット、クルス・クルーシア。抵抗しても無駄と分かっているのか、静かに座席に座っていた。時折頭を押さえていたが、急変すると言った様子はない。
クルスに対し、千恵里達の事について訊く。
「なぁ、お前を助けてくれたあの子達を、お前はどう思う?」
「……えっ」
「何だ、庇ってくれていたのに、何も思わないのか」
聞き返した彼女に対し、言い方を変えて再度問いかける。少女は少し考えて、恐る恐る元に対し返答する。
「……すごく、嬉しかった。ゼロンは、みんなに嫌われてる。酷い組織だから。でも私は、それに従うしか、ない。ないのに、あの子は……ちえりちゃんは関係ないって、言ってくれた。無責任だけど、こんな私でも、いいんだって」
「……お前のスターターは回収した。機体の方は厳重に隔離されるだろう。だが、お前自身がどうなるかは、お前次第だ。自衛軍に協力するなら、相応に情状酌量は求められるかもしれない。人を殺したことを、償う気があるのならまた彼女達に会える」
「そう、ですか……」
今回の件について、元は機体のみが危険視されるべきものだと考えていた。パイロットはいずれも被験者、被害者だ。システムによる無理矢理な命令に突き動かされてしまう存在。
本人の意志でないのなら、それは考慮されるべきだ。かつて俺自身がマキナス・ドラグディア双方を襲ってしまった時も、戦争終結後に問われた際にそれが証明されて不問となった。出来れば彼女もそうであってもらいたい。
そんな願望をわずかに伝えた元は外を見る。外からは中の景色が見えない特殊なつくりのガラスからは外の景色がわずかに見える。既に自衛軍東響基地まで続く道まで差し掛かっていた。
「ここまで来れば、もう邪魔はなさそうですね」
「どうかな。ゼロンが自衛軍の研究施設から強奪した技術を用いて作った機体と、それに合わせて調整したパイロットだ。使い捨てにする気はあっても、そう簡単に敵の手に手放すとは思えない。それに……今回の主犯はそういう人物じゃない」
「あぁ……確か……グレイブ・モセスでしたっけ。DNLが人類を滅ぼす人種だと主張している」
グレイブ・モセス。それが今回の事件の首謀者と目される男。
人類進化について研究する学者だった彼は、世界を構成する次元粒子の流れを読み、操る人種「DNL」についても研究していた。その過程で彼は何を誤ったのかDNLが現在の人類を排斥する危険な存在であるとしたのだ。
そんな彼はDNLを利用する自衛軍とHOWを信用できないとしてゼロンへと所属した。今や西日本では一部でDNLが次元世界を侵す悪魔の象徴とされるほどに彼の思想は広まりつつあるという話だ。
ディスティニーライダーもその思想を色濃く受け継ぐ機体。DNLを駆逐するために作られた。元々のシステムは自衛軍がDNLを持つ犯罪者が出た時の為の防衛策としてで、当初は決してDNLを根絶やしにするためではない。が、以前の事件でそれが十分可能なほどの性能を見せられた。
グレイブは現在数多の罪状で指名手配中。そして今回の事件の裏に、その彼が動いている節があった。MSを悪事に使う彼らを、HOWが許す旨はない。発見次第、優先的に確保することが命じられていた。もっとも今はこの護送が優先だ。護衛の重要性を語る。
「自衛軍の基地に着くまでの間に仕掛けてくるとしたらここだ。全員気を抜くな」
「分かりました」
『了解』
気を集中する。あと少しで任務が完了する。ところが、その予感は的中してしまった。
前方で爆発が起こった。先導車が急停止し、こちらも慌てて停止。振動が車を揺らす。ジャンヌの悲鳴が響く。
「きゃっ!?」
「っ、大丈夫か、ジャンヌ」
元は咄嗟に護送対象であるクルスを庇った。幸いクルスの方は頭を強打などはしていない。ジャンヌの方には無事を確かめるのみに留まった。
やはり仕掛けてきた。既に前後の車両からはスレイブレイス、マルコシアスの部隊が応戦を開始している。ならばこちらは護送しつつ迎撃に出る必要があるか。クルスを別の隊員に任せ、ジャンヌと共に外へ出ることを告げる。
「ターゲットの護送は頼んだ。行くぞジャンヌ」
「えぇ!」
二人で車を出る。出た直後すぐに護送車は前の車を抜いて発進する。動く車に敵のザジン部隊の何機かが反応する。だがこちらもすぐに装依する。
『ガンダム ネクストジェネレーション!シュバルトゼロガンダムリペアツヴァイ』
「そちらには行かせない」
ブレードガンの連弾で進行を妨害する。距離を詰めてソードモードで斬りかかった。敵も反応して機体を傾斜させて攻撃を回避、こちらにライフルを向けた。
やはり性能差が……けどそれは読めている!
「ビームマシンキャノン」
ビームマシンキャノンの砲身がザジンに向けられた。直後サーベルが形成されてザジンの頭部を貫く。反動で敵の機体が痙攣し、狙っていたライフルの弾丸は空へと逸れた。
別の機体がライフルで狙いを定めてくる。弾丸は空を切り、姿勢を低くした状態から距離を詰めてもう一機の右腕をブレードガンで刺し貫く。
空はシュバルトゼロガンダムが抑える。そして地上では正人少尉のソルジアスLLカスタムが、縦横無尽に地上を駆け巡っていた。
『はぁ!!』
限りなくその性能を引き出している。空から見ていても分かるほどの殲滅速度。こちらが嫉妬しかねない程に、彼は機体を使いこなしている。
その正人をサポートする形でスレイブレイスの機体も展開する。ここは抑えて早く車が辿りついてくれることを信じる。
「はっ」
両サイドから来た敵の攻撃をブレードガンで止める。残る一機が正面から迫ってくる。攻撃を受け流して対応する中で、ジャンヌが車の状況を知らせる。
『敵別働部隊、護送車に向けて進撃の模様!』
「まだいたのか」
『俺が行きます!』
地上部隊をあらかた片付けた正人が地上を疾走する形で車両を追いかけていく。スレイブレイス部隊もリッパーのソルジアスSRカスタムと二機を残して追従する。
こちらにこの場を任せる形だ。心配だがこれがベストだろう。もしここに半端な戦力を置いて瓦解すれば挟み撃ちになる。それだけこちらを頼られてもいる。
「なら、ここは抑え込む!」
ブレードガン・ビームサーベルモードで一機、二機と落としていく。素早い身のこなしで空の敵を掃討すると、地上の部隊にも襲い掛かった。リッパーの部隊と交戦する敵機を背後から強襲、叩き斬っていく。
そして、最後の一機。
「これで最後!」
『がっ!』
素早く背後を取ると、ザジンの胸部ジェネレーターをバックパックごと背後から貫く。迎撃しようと構えていたアサルトライフルの弾丸が空に向けて放たれ、機体が爆発を起こした。
この場は収拾に成功した。リッパーから隊長達との合流を要請される。
『この場は俺達が待機する。アンタは隊長達の所へ』
「了解した」
『ん?……ちょっと待って!これは……?元、回線を』
取り乱した様子のジャンヌ。彼女から回された通信回線で、元は信じがたい発言を耳にする。
『心して聞け。我らはゼロン。有害人種DNLを滅ぼす者。貴様らに鹵獲されたディスティニーライダーとそのパイロットを引き渡せ、さもなくば……』
『―――いやっ!離しなさいよこのカルト集団!』
「この声……さっきの!」
回線に映る、三人の少女達。それは先程病院で会った入嶋千恵里達の姿だった。三人はどこかの建物に大人達に捕まっているようだ。
なぜ彼女達が……。しかし相手の狙いはまさしくそれだ。HOWの、そして自衛軍の動揺を誘うための人質。
戦闘の音がない。回線では向かったはずの正人達も思うように手が出せない状況だった。
『くっ、何て卑劣な……』
『やれやれ……まったく面倒なことをやってくれるぜ』
虎治郎、フィクサーの言う通りだ。普段なら突っ込んでいた。テロリストに対して交渉など出来ないから。だが今回人質に取られた者の中には、国内有数の工業メーカー「西園寺グループ」の令嬢がいる。もし傷つければ、こちらはその信用を失う。地位による優遇などしたくはないが、それを除いてもこの状況では動けない。
手出しのできないこちらに対しゼロン側の通信者、グレイブ・モセスは好き勝手に話す。
『これは正義だ。有害なDNLを駆逐するためなら、どれだけの犠牲を払っても価値がある!私達が目指すのは70億もの人類の明日を背負うのだから!故に!』
再び出現するゼロンのMS。こちらを包囲し狙いを定める。
「伏兵……」
これだけの数をまた相手にしないといけないとは。いや、今は容易に反撃することすらも控える必要がある。人質の無事を優先する為に。
そうしている間に、敵は目標の奪還に成功していた。離脱していく機体の中にクルス・クルーシアの反応が確認される。
「奪還されたか……」
『クソッ、人質さえいなければ……こんな!』
『おい、どうする元』
『このままやられるのはごめんだぜ!』
どうにかしたいのはある。だが今の状況では更に悪化する場合もある。下手に動けない。それを良いことにゼロンの構成員達が仕掛けた。
『さぁ、やってしまえ!あわよくば有害なガンダムの駆逐を!』
「くっ!」
『―――有害なのは……どっちさ!』
澄み渡る声、同調する形で空から光の矢が敵機体を貫く。撃ち抜かれて一斉に爆散する機体達。
こんな大部隊が、一斉狙撃を?と思ったもつかの間すぐにその理由が分かった。空に浮かぶ、蒼い機影が目に入った。
「あの機体は……深絵か」
蒼梨深絵のガンダム、ブラウジーベンの最新型「ブラウジーベンガンダム・ライブラ」の姿。機体周囲に展開する盾形の誘導兵器に守られた状態で、狙撃用の大型ライフルを向けた。その先には撤退していく機体の数機があった。
彼女の機体は迷うことなくトリガーを引く。放たれたビーム。距離は非常にあったが、敵の内一機のウイング部分を貫く。
『あの距離で……!?』
『何て狙撃性能だ』
驚くフィクサー達。機体の性能だけではない。彼女の成長した技能が成せる技だ。ジャンヌも共感し感嘆を漏らす。
『そうです。あれがブラウジーベンガンダム・ライブラ、今のHOWを支える最強のガンダムとそのパイロットの力……!』
「あぁ、だがやり過ぎたら……」
当然、反撃を受けたゼロン側から回線で制止、いや、恫喝が行われる。
『お前、この映像が見えないのか!この娘たちがどうなっても……』
「だから何?」
『な、何だと……!?』
「人質って、使わないと後がない人がやる手口だよ。逃げるための一手。でもあなたは撤退だけじゃなくこちらに危害を加えようとした。ちょっとイキリすぎ、じゃないかな」
冷たく指摘する口調の深絵。あの戦いから10年、深絵は大きく変わった。冷徹に戦況を見て狙い穿つスナイパー。須藤司令の教えも彼女を更に戦場を支配するスナイパーとして精神的に成長させた。
強気に狙いを崩さない深絵に再度の恫喝が放たれた。
『それがなんだ。勝つために手段は選ばない!』
「二兎追う者は一兎も得ず。手段を択ばないとしても、欲深に求めようとするのならこっちも相応の手段をやるよ」
『ならなぜ撤退中の我らを撃って……』
「ただの威圧。いつでも狙えること、忘れちゃダメだよ?」
『ぐっ……今に見ていろ。ディスティニーライダーの力が、東響にはびこる人類悪たるお前達を撃ち滅ぼす!』
しかしそれに負けることなく、むしろ逆に脅しを掛けて敵を撤退に追い込んだ。先程の一斉射撃と狙撃が相まって、彼女の威圧を高めたのだ。
結果的に深絵によりこの場を助けられることになった。救援にやってきたSABERと基地側の戦力と合流を果たす。
「助かった、深絵。機体の調子もよさそうだな」
「まぁね。そっちは大分性能が詰められて苦労してるね。前の報告の時にも聞いていたけど」
『正直、深絵さん達SABERにこの任務任せたいくらいですね』
あれだけの性能なら深絵に任せた方がいい気もする。いくら高速で動くディスティニーライダーでもあの弾幕なら動きも鈍る。そこにスナイパーライフルを差せば対処も容易。
その意見は深絵の方も同意だった。が、首を横に振った。
「それは私も思ったよ。でも今回は立地が悪い」
「立地が……まさか、もうあいつらの拠点が割れたのか?」
問いかけに頷く。深絵はこちらにデータを提示した。それはかつての西東響ガーデンタウン近くにポツンと立つ、廃棄された施設のものだった。
「この施設はつい先日個人の手によって買い取られた廃棄された実験場。ここにいくつもの実験資材が搬入されている。それにこの施設は丁度東響掃討戦の後に廃棄されているの。それまでの間にはガーデンタウンの研究員がここを訪れていたとの情報も判明している」
「東響掃討戦で……まさか」
続くデータにはその地下施設がかつて潰したガーデンタウン地下基地と繋がっているマップが表示されていた。
今の今になってそれが判明するなど……とはいえ潰した後西東響ガーデンタウンは再開発が行われず、再利用を防ぐためにそのまま埋め立てられた。故にそのような通路もMSが出てきた時の物以外は封鎖されていなかったのだ。
資料によるとここ数日で付近に不可解な地震が起きるようになり、通路が判明したらしい。そしてその施設が通路の出入り口となっていた。深絵達はそれを伝えに来たのだ。
「ここはかつて実験用MSの搬入口だったみたい。あの時のMAのパーツは大きすぎたから基地で直接搬入した。だから気づけなかった。さっきの通信でもこの施設からの電波をキャッチしてる」
「地下施設……てことは、深絵の機体は無理だな」
「そういうこと」
深絵の機体は新規製作した際に多重武装を施した。ホルスタービットなどの遠隔操作武器も、とてもではないが地下などで使うには無理がある。それを考えれば羽の大きさはあれども近接戦を得手とする元達が継続して作戦に参加する方がいいというものだ。
状況は理解した。まずは人質の奪還作戦の展開が必要だ。スレイブレイス、そしてマルコシアスと相談する。
「なら継続してこちらは作戦を行う。フィクサー、あんたの機体で人質の救出作戦の展開は可能か」
『人質救出か。確かに俺のソルジアスなら敵地侵入もやりやすいかもな。だがあの機能はあくまで撹乱だ。専用のステルスはシーカー達に任せる』
「そうか」
『だがそれをやるにも戦力が必要だ。厳密には真っ向からやり合う側のスレイブレイスの戦力が減る』
「だったらRIOTを使って。丁度羽鳥ちゃんの部隊が参戦できる。彼女も自分を使って欲しいって言ってるし」
「……そうか。では各所に通達する。自衛軍基地にて機体の点検後、フタマルにて作戦を開始。RIOTとは現地で合流する。人質の奪還と、ディスティニーライダーを再度捕獲する!」
『了解!』
少女達を救うための作戦が、始まる。
NEXT EPISODE
EPISODE53はここまでです。遂に深絵の次世代型ガンダムお披露目ということで(゚∀゚)
ネイ「すごいですね……あれだけのビットで一斉射、しかも寸分たがわずほぼ全滅とは」
グリーフィア「人質が取られてさえいなければ全滅確定ね~。人質にそれがどうした?って言っても、やっぱりちゃんと厚かけて撤退に追い込んでいるし、やる子なのよね深絵ちゃんって♪」
まぁそうだね(´Д`)深絵さんはこれまでの間にスナイパーのお師匠様として須藤司令に師事を受けていたし、彼の狙撃技術も合わさってHOWの狙撃手として最高になっているよ。とはいえビットは全部機械制御なんだけどね。
ネイ「それでも凄いですよ。けどここでまさか東響掃討戦の話題が掘り起こされるなんて……」
グリーフィア「でも納得ね~。抜け道がどこかとか言っていた時期もあったし、あれだけ叩いたにも関わらずまだ次元覇院の元メンバーが動ける理由もわかったことだし」
さぁ、人質奪還の為に次話で元君達が動きます。主にスレイブレイスのメンバーが!では次話に続きます。
グリーフィア「次もよろしくね~」