機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。明日はかのガンダムゲームバーサスシリーズの家庭版最新作、待望のマキブONの発売と、ビルドダイバーズリライズの最新話公開日です、作者の藤和木 士です( ゚Д゚)刻限のゼルトザーム……どうなるっ?あ、ちなみにマキブONは様子見です。ネット対戦もあんまりやりたくないしなぁ……

レイ「アシスタントのレイだよー」

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌです。囚われたシドウ・マサキさんを救う……奇しくも今回の話も、機体の暴走に囚われたあのパイロットとの対決なっていますね」

その通り(´-ω-`)というわけでEPISODE56、公開です。戦慄の騎士に取り込まれたクルスを、元達は解放できるのか。

レイ「解放って聞くと、無事に救出って意味もあるし、単に暴走から解き放つためにこれ以上苦しまないように楽にするって意味合いもあるよねー」

ジャンヌ「そうですよね。無事に、だといいんですが……」

ガンダムシリーズでは大抵ヒロインが暴走すると救えないジンクスがありますが……(゚∀゚)本当にどうなるんだろうね!それでは本編をどうぞ。


EPISODE56 運命の乗り手2

 

 

 髭の人の背後からそのMS戦を見る千恵里達。

 戦っている。元さんと、クルスが。いくつもの光線が飛び、機体が動く。これが、戦い。子どもの時とでは考え方は違う。最初の頃は恐怖心で目の前しか、あの時は元さんしか見えなかった。でも今は……違う。戦っている二人が誰なのかを知っている。あの二人が戦うなんて、考えるだけで怖くなる。

 これが本当の戦い。相手も思想がバケモノでも、同じ人間なのだと嫌でも自覚させられる。こんな状況で、みんな戦っているんだ。人を、撃っている。

 それでも私はその眼を離さない。命と都美樹は早く逃げ出したいと口々に言う。

 

「こ、こんなに激しいと……私達死んじゃうかも!」

 

「それもだけど……ガンダムも思い切って戦えないかもだよ」

 

『そうだな。俺達としては君達にはこの場から逃げてもらいたいところだ。だが……』

 

 髭の人はそれが山々と渋る。出口近くにいる敵MSが邪魔だった。最初の戦力でなら突破できたかもしれない。が、今の彼だけではどうにもならないようだ。

 それもこれも、私が移動を躊躇ったから……。責任を強く感じる。そうすれば、こんな悲しい現実を見なくても良かったかもしれないのに。

 その時、深絵の言葉が蘇る。

 

(裏切られるかもしれなくても、誰かを助けられる心を持つ……)

 

 そうだ。見たくないもの、それを見せられても助けられる心を持てと、あの人は言った。なら私がすべきことは……。

 意を決して、私は髭の人にお願いした。

 

「すみません、髭の人、少しだけ前に立ってもいいですか?」

 

『髭って……って、そんなこと出来るわけ』

 

「お願いします。声を届けなきゃ……クルスならきっと!」

 

 そう言って千恵里はクルスに向けて、大きく呼びかけた。

 

「お願い、クルスッ!!もうやめて!!」

 

 

 

 

 続くディスティニーライダーとの戦闘。だが数で勝るはずの元達はその力に圧されていた。

 ソルジアスの一機が腕部をもぎ取られる。そのまま胸部を掴まれ、痙攣する機体を盾にディスティニーライダーが迫る。

 

「くっ、盾にしてきた……」

 

 咄嗟に言うが、頭の中で訂正する。果たして今の彼女に、盾などという概念が存在するだろうか。かつて同じように暴走状態にあった元が取った行動を思い返して、元は動いた。

 

「っ!」

 

 捕まえた機体を引き裂きながら放り投げてくる。それを回避してビームマシンキャノンを連射するも、連弾を苦も無く回避されていく。

 あのような大胆な戦法を使う以上、投げてくるのは読めていた。しかし敵の反応速度が速すぎる。敵意の感応は読めてきたが、徐々に対応しつつある。

 人の修正では不可能だ。やはりシステムによる操縦の強制。DIENDシステムは操縦者に行動を強制する。中の人間が果たして今、ちゃんと呼吸が出来ているのか。

 格闘の為に寄って来る戦慄の騎士を追い払う、少女の声が響き渡る。

 

「お願い、クルスッ!もうやめて!!」

 

「あいつ……下手に前に出たら!」

 

 狙われる。そう思った直後別方向からライフルの弾丸が彼女を襲う。咄嗟に前へと出たフィクサーの機体が防ぐ。放ったのはグレイブの護衛だ。

 高みから見ているくせに、と言わんばかりにビームライフルを放つ。はずだったが瞬時に敵意を読み取ったディスティニーライダーがライフルを掴みかかる。エネルギーを取られるのを避けるべく、ライフルを離す。だが同時にビームマシンキャノンをライフルに直撃させて爆発させた。

 至近距離の爆発でならダメージはあるはず。そう思っていたが、煙の中から現したのは無傷のディスティニーライダー。直後背後から仕掛けたLLカスタムの攻撃も避けてこちらに銃撃が浴びせられる。

 

『す、すみません!こいつの速度……何なんだ!?』

 

「気にするな。それより奴の目を向けろ。おいフィクサー!人質を下げろ!」

 

 気にするなとしつつフィクサーに対して怒声を上げる。人質に怪我などさせられない。しかしフィクサーが言った。

 

『だが、嬢ちゃんが勝手に前に出やがるんだ。声を届けるって』

 

 声を届けると言われて目を見張る。正気かと。今のパイロットには声に応えられるような状態ではない。記憶に関する脳領域を消去されていては、応えるものもないというのに。

 しかし彼女はそれを聴き入れず、諦めていなかった。

 

「私は信じる。守るってクルスは言ってくれた。なら私は、そう言ったクルスを信じる!」

 

『フン、滑稽な!今や彼女は私の命令のみを遂行する純粋なDNLを滅ぼす人形、貴様程度の声は!』

 

 グレイブが嗤う。あまり言いたくないが、彼の言葉には同意できる。声だけでどうにかなるような相手じゃない。耳を塞いだ相手に届く言葉などない。

 元も小さく、それを肯定した。

 

「……聞こえないさ。心を排除した兵士に、その純粋無垢な声は!」

 

 少女の声を否定して、元は前へと機体を動かす。敵もこちらに向かって来て腕を伸ばしていた。

 真正面に向かって来てくれるのは丁度いい。ビームマシンガンでけん制しながらファンネルを展開する。

 本来なら狭い空間で使うべき兵装ではない。だがファンネルは敵を包囲するのではなく、シールドのビームマシンキャノン側面に集中する。それを本体と共に一斉発射、正面に圧倒的な弾幕を形成する。

 ディスティニーライダー、そしてグレイブ達を正面に捉えた位置取り。ディスティニーライダーは攻撃を回避するが避けて襲い掛かってきたビームの弾雨にグレイブ達は晒されて被弾する。

 撃破までは至らない。心の中で舌打ちをする。が、それをしている場合ではなかった。

 

『来るっ!』

 

「っ!」

 

 天井ギリギリまで飛び上がった蒼の機体は背後のバインダーを前へと向ける。正面に向いた四本のバインダーが間に電気を迸らせる。電撃がビームとなり、こちらに放出された。開放バレルから放たれたビームがこちらを薙ぎ払って来る。

 元はギリギリで回避する。正人とリッパーも避けてそのままの体勢から機体のローラーで加速する。いつまでも手をこまねいていられる状況ではないと前に出たのだ。

 

『この機体を作り出したのは、俺達の組織が原因……ならばこの手で!』

 

 ランチャーモードでけん制しながら、バスタースラッシャーAを叩きつけに行く。普通の相手ならとてもではないが受け止めるのに四苦八苦する一撃は、全てが見えているように敵に掴まれる。そのクロー部分で正確に、バスタースラッシャーを白羽取り、機体と繋がる。

 

『ぐぁ!?……き、機体の出力が……落ちて、いく!』

 

「武器を離せ、でないとお前も」

 

 離すように指示する。敵のもう片方の腕が擡げられる。その腕が振り下ろされる寸前で力を振り絞って正人のソルジアスが逃れる。

 砕いた地面の塵が巻き上がる。それにも気に留めずディスティニーライダーは受け止めたバスタースラッシャーAを軽々と握り潰して投げ捨てる。腕の形状から使えないと判断したのか、それとも使おうという考えすらも飛んでいるのか。おそらく後者だろうがそれが却って不気味さを助長させる。

 遠距離は躱され、近距離はむしろこちらが不利。場所が違っていて深絵が投入できたとしても対応できたか怪しい。それでもやらねばならないと、そのどちらとも言える距離で攻めていくことを軸として決めた元は残ったブレードガンにビームを纏わせる。

 ロングビームサーベル、これなら敵との接触を可能な限り避けつつ、あの爪にもダメージを与えられる。接近された時の保険のビームサーベルをもう片方に、再び接近する。

 接近に応じ、構える蒼の機体。開いた爪へと向けて光剣を振り下ろした。

 

「これは防げまい……!」

 

 勢いよくアームパーツごと両断する、はずだった。だが光剣はその振りを止めた。何によって?それは溶断するはずだったあの爪パーツによってだ。

 爪によって止められた光刃。それだけではなく、更に不可思議なことが起こる。再び機体が重くなる。先程の接触時と同じ感覚だ。

 

『き、機体出力、再び低下中……!?』

 

「接近していないぞ。なんで……」

 

 ビームサーベルはANDメタルの影響範囲外のはずだった。素材本体に耐ビームコーティングが施せず、その為に汎用性が皆無と開発が頓挫したのだから。

 一体何が……。そこであることに気づいた。DNの流れがわずかに違う。アームを覆うように別のDNの流れが通う。その質はガンダムでも感じたことがあった。

 

「……そうか、そう言うことか!」

 

『元?』

 

 ジャンヌの声に答える前に、一先ずブレードガンのビームサーベルを解除する。空中を掴む形となったクローを閉じて、こちらを睨み付けてくる。なぜビームサーベルを受け止め、エネルギーを奪い取れたのか、そのカラクリに答えを出す。

 

「そのアームユニット、DNウォール発生器を内蔵している」

 

『えっ?』

 

『ほぅ?』

 

「DNウォールはDNによる防壁だ。DNは人の意識を通すように、物質とも疑似的に接触する」

『接触……まさか!?』

 

 ジャンヌも気付く。グレイブは喜んでその種明かしを行う。

 

『気づいたか。そうだ、DNウォールの持つ物質との空中接触性質を使って、貴様らの諦めた技術、ANDメタルの機能を拡張したのだ!』

 

 やはりか。簡単に言ってしまえばDNウォールを介してビームサーベルからエネルギーを略奪していたのである。同じDNで出来た物質だからこそ、ANDメタルとの接触を補助し、そのエネルギー強奪範囲を拡張したのだ。

 ANDメタルの影響でおそらく覆ったDNウォールもすぐに機体自身のANDメタルに吸収されるだろう。だがそれをすぐに再びDNウォールの発生器に流すことで繰り返し使用する。上手い造りだ。

 DNLを嫌っていてもDNの事は良く精通していると言える。自衛軍も、HOWすらもたどり着けなかった発想で兵器の弱点をカバーされた。ある意味成功作と呼べるだろう。だからといって許されるわけではない。

 

「上手くできた兵装だ。DNLを排斥するという機体に搭載されていなければ、表彰ものだっただろうな」

 

『いいや?称賛されるさ。DNLを消し去ることが合法となり、その立役者としてね!』

 

「冗談!」

 

 ファンネルを展開し、再度突撃を掛ける。ビームサーベルによる連撃は回避され、掴まれれば再度ビームサーベルを解除して逃れる。

 ビームのエネルギーも半永久とはいえいつまでも続くわけではない。使用・吸収された分は戻らない。いつまでもこのままというわけにはいかない。

 戦力も大分消耗している。倒せないのか……。その元の耳に再びあの声が入った。

 

「クルス……お願い、目を覚まして!」

 

 未だに呼びかけ続ける少女。どれだけ助けたいと思っても届かぬ声であるはずなのに。無駄だと言うべきだった。だがスピーカーを開こうとした時、とある考えが思い浮かぶ。

 

(……ANDメタルを使用している。その影響で、DNに関係するエネルギーは一切機体に吸収される。だがそれはDNLの脳波もまた吸収される。それも()()して)

 

 突飛な考えだ。先程まで彼女の考えを否定していて、こんな考えにたどり着くなんて。しかし、勝算もある。かつてクリムゾン・ドラゴニアスからついでの形で教わったDNLの使い方。それを思い出した今なら。もし成功するのなら、今一番多く犠牲を減らせる方法だ。

 一か八かの賭け。それに出るためにジャンヌに確認を取る。

 

「……ジャンヌ、これは賭けだ。これから敵の攻撃に当たる。俺の行動に合わせてDNL能力を使用しろ」

 

『元?』

 

「フィードバックダメージが掛かる。でも今奴を止められるのはこれしかない。傷つく覚悟を背負ってもらう。頼む」

 

 許可ではなく、宣言だった。そうでなければ勝てないと頼み込む。

 パートナーとして、そしてジャンヌを任された身としては最低だと分かっていた。しかし当の本人はそれを受け入れた。

 

『……分かりました。それはきっと、彼女を助けることに繋がるのでしょう?』

 

「察しがいい」

 

『なら行きますよっ!』

 

「あぁ」

 

 咆哮と共に機体をエラクスの蒼炎に染め上げる。DN放出量の上がった機体が高速で敵に突撃する。

 

『愚かな!エラクスシステムの速度でも、私のディスティニーライダーは翻弄出来ん!捉えよ、そして思い知らせてやれ!』

 

 グレイブの命じるままにディスティニーライダーが動く。ガスを流し込むような機体駆動音を中央より激しく鳴らし、展開したアームアーマーで掴みかかる。

 エラクスによる高速突撃で強襲、しかしその宣言通りシュバルトゼロガンダムはディスティニーライダーに腕を掴まれてしまう。腕からDNを吸収しながら握り潰そうとして来る。

 フィードバックダメージにジャンヌが涙声を漏らす。

 

『くぅっ……』

 

 機体出力も見る見るうちに落ちていく。エラクスのDN放出最大出力も含めて急激に機体が重くなっていく。その姿を見て嘲笑うグレイブ。

 

『しくじったなぁ、ガンダム!』

 

「それは……どうかな!」

 

 しかし元はその言葉を否定する。そしてもう片方の手も掴んできている手に添える。接触面が広がり、更にDNが吸われていく。そのタイミングでジャンヌに指示する。

 

「やるぞ、ジャンヌ」

 

『目を覚まして……クルス・クルーシア!』

 

 二人のDNL能力を全開にした。機体から溢れんばかりの高純度DNが機体外へ、両者を包み込むほどに放出される。

 放出した粒子量にゼロン・自衛軍双方が困惑する。そんな彼らを置き去りに叫ぶ。

 

「入嶋千恵里!」

 

「は、はい!?」

 

「呼びかけろ、こいつに。お前の言葉を叫べ!」

 

「……分かりましたっ」

 

 入嶋千恵里に命令する。それはある意味、初めて彼女を認めた瞬間だった。未だ心を失くしたままの運命の乗り手の心を押し叩く。

 

 

「お前にまだ意志があるのなら……その力を拒絶する覚悟があるのなら、あいつの声に、応えて見せろよっ!」

 

 

 光が部屋を包み込んだ。

 

 

 

 

 くらい、つめたい、みえない。そんな世界にわたしはいた。

 護ると誓ったのに、私は外の世界すら見ることも敵わない。きっと今、あのガンダムとまた戦っているのだろう。

 今までよりもずっと強く、深い眠り。生の実感すらないが、意識がまだあるということは、そういうことなのだろう。

 おかしな話だ。心が消えたのに、未だに考えられるなんて。きっと他のみんなもこうして心と体が分離して、知らずの内に体が死んだのだろう。そして自分も、遠からず……。

 そう、思っていた。思っていたはずなのに。

 

(……ルス、クルスッ!)

 

(声……?)

 

 自分を呼ぶ声。不思議だ、どうしてあの子の声が聞こえるのか。分からずにいるクルスに呼びかけるもう一つの声が。

 

(それは、あなたを思ってくれている人の声。私とパートナーが繋いでいる、大切な人の声)

 

(あなたと、パートナーが繋いで……?)

 

(そう。システムに最適化されたあなたを、今呼び戻している。後はあなたが目覚めるだけ……)

 

 呼び戻す、そんなことが出来るなんて……。自身では到底想像できなかった可能性。けれどもその為にどうすればいいのか。目覚めるために必要なことは……そう思った彼女に再びあの子の声が響く。

 

(クルスッ!)

 

(声が、聞こえる……あっち?)

 

 声の聞こえてくる方向、その先に光が差し込んでいた。なんとなく、それが出口であると認識した私はそこへ向かおうとする。

 けれど、後ろからそれを止める声が。

 

(ダメだ。それは人類のためにならない)

 

 何度も聞き続けた声。私を縛り続ける声はここに残るように言う。それは様々な声で私をそちら側へかどわかそうとする。

 

(奴らは人類の敵)

 

(君の家族死んだのは、彼らのせいだ)

 

(君と私でしか、世界は救えない)

 

 響き続ける声。ずっとこの声に縛り続けられていた。もう聞きたくない。聞きたくないのに……。

 足が止まる。声がこっちに来いと急かす。

 

(さぁ)

 

(さぁ)

 

(さぁ!)

 

「……嫌だ」

 

 声を拒絶する。そして振り返る。その先に居たのは、影に染まった人影。いくつもの手のような影にがんじがらめにされた者。

 気味の悪い存在。だけど目をそらさずにその者へと歩み寄る。

 

(そうだ、そのまま近づいて来い!そうすれば……)

 

(あなた……?)

 

「私は、逃げない。あなたが抱え続けてきた、みんなの憎しみから」

 

 分かっていた。それの正体が。自分が抱えて行かなきゃいけないもの、解放するべきもの。彼女の声に応える為に必要な、手段。それに触れて力を込める。

 

(な、なにを……)

 

「もう、苦しまなくていいから……みんなの思いは、私が背負うから」

 

(やめろ……やめろやめろ!)

 

 拒絶する闇を、無理矢理払う。そして見る。瞬間、周囲の闇が、出口の光を中心に広がった。

 そこで明かされる姿。それはまさしく自分の姿。だけど知っている。これが何なのか。いろんなものが集まって生まれたその誰かに、声を掛ける。

 

 

「もう、いいんだよ、DIEND……」

 

 

 それは私達を縛り続けたもの、縛り続けて、影響されたシステムの姿。最初に犠牲になった子どもの意識を中心に再構成された被験者たちの心そのものだ。その化身が涙する。

 

「だって、だって、みんな殺さなきゃいけないって、命令されて……!」

 

 そうだ。この子だって、好きでやっているわけじゃなかった。それを最初に知ったはずなのに、忘れていた。この子もまた博士の傲慢に狂わされたというのに。

 その子に私は語りかける。

 

「もういいよ。もう、いいの」

 

「あ……う……」

 

「一緒に目覚めよう?あの子が待つ世界に……」

 

 そうして光に包まれた。

 

 

 

 

 暗い眠りから目を覚ました。目の前には自身の機体の腕に粉砕されようとしていた漆黒のガンダムの姿が映る。すぐにその状態を解除し、腕を下ろした。

 その姿を見て、彼女が声を掛ける。

 

「…………クルス?」

 

「……うん、私は、ここにいるよ」

 

「クルスッ!」

 

 その声にしっかりと応えた。ディスティニーライダーの瞳は、血走った紅ではなく、澄んだ蒼に変わっていた。彼女は確かに戻ってきたのだった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。無事救出な上に+αな展開となりました!

レイ「おおーっ、おぉ?え、えっと、エンゲージシステム自体の開発の為にも、一人犠牲者がいたってことでいいのこれは?」

そうだね。ある意味DIENDのモデルになったEXAMシステムのマリオンみたいな感じだね。とはいえもういない人物の意識がシステムの自我のモデルになっているだけだよ。

ジャンヌ「もういない……。でも元さんも、思い切りましたね。肉を切らせて骨を断つ、と言いますか」

敢えて攻撃を喰らうことでユグドラシルフレームとの接触面を増加させて、DNの流れに合わせて感応波で呼びかける……ちょっとやってみたかったことではあるんですよね。後々の展開にまた使えたらいいんですけどね(´Д`)

レイ「でも元君だけじゃ出来なかったことだよね?最後まで意識が残っているって信じた千恵里ちゃんの呼びかけがなかったら」

ジャンヌ「彼女の呼びかけもあって初めて呼び戻せたという感じですし、システムそのものの暴走も解除できなかったかもしれませんね」

そんな入嶋千恵里の「強さ」、元君はもう無視することは出来ないでしょう(´-ω-`)とまぁ解決に向かっているように思えますが……まだだ、まだ終わらんよ(^ω^)

レイ「えっ、まだあるの?」

ジャンヌ「もうシュバルトゼロガンダム左腕使えないじゃないですか……」

終わらぬ!最後の黒幕との対峙を、次回君は目撃する!

レイ「黒幕って……」

ジャンヌ「まさか……」

LEVEL2最後の戦闘、エピローグまであと三話!お付き合いください(´Д`)というわけで今回はここまでです。

レイ「次回も、よっろしく~!」
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