機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。色々と疲れることもあります、藤和木 士です。

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「アシスタントのレイ・オーバだよっ!」

さぁ、今回はEPISODE15、いよいよこの日が来た……漆黒のガンダムの復活だ!(゚∀゚)

ジャンヌ「あぁ……ようやくガンダムが……って、前の時ネイも言ってましたが、あそこからどうやってガンダムがどう出てくるんですか。ハジメさんがジャンヌ・Fさんを助けなかったら誰が……」

レイ「あれ、でも今復活って言わなかった?」

ジャンヌ「レイさん?確かに言ってましたが……それが?」

レイ「いや、先週復活なんてこと言ってたかなぁって。助けるのはガンダムが~って言ってたとは思うけど」

ふふ……そう、復活するのさ、ガンダムは!(´ω`*)というわけで本編どうぞ!!


EPISODE15 引き継がれる、覚悟 Standby OK?4

 

 暗い。それが闇の中でハジメが思ったことだった。以前も同じことがあったが、違うのは直前の記憶をはっきりと覚えているということだ。

 負けた。自分は勝負に負けた。勝たなければいけない、勝たなくてはいけない戦いに負けた。立ち上がろうとしても、体に力が入らなかった。このまま眠り続けたのなら、きっと自分はマキナスに身柄が渡っているのだろう。

 それは嫌だ。そんなこと、自分は望んでいない。このままではいけない。ハジメはそう願った。だが同時にこのままでは勝てないというのも、ハジメは分かっていた。白に赤い十字のラインが入った、あの機体。力の差は歴然だった。機体の性能だけではない。操る人間の力量もまるで違う。あの攻めも相手がわざとそうなるようにしていたのだから、言い訳もできない。

 

「俺は……どうしたら…………」

 

 

 

 

「そこで、お前は諦めるのか」

 

 

 

 

 唐突に響いた声。顔を上げると、周囲の景色に変化が生じていた。真っ暗な視界にうっすらと見える大地。足から分かるその触感は柔らかな土のように思える。更に少し遠くからは波の音も聞こえ、地面の正体が砂浜であることを知る。暗闇の中の海岸はまるで夜の海岸のようだが、空に星の1つすら見ることは出来ない。

 そして、広がる砂浜の少し先に人影を見ることが出来た。影は2つ。どちらも同じくらいの大きさだ。やがてその人影はこちらに近づいてくる。とその容姿に二重の意味で驚く。1つはそのうちの1人が見たことのある人間であること。その人物は、以前自分の前に現れた、白髪のもう1人の自分だった。続くもう1つの驚くべき点は、その人物と更にかがみ合わせのような、自身と同じ顔をした黒髪の人物が隣にいたことだ。

 

 

『………………』

 

 

 3人が正面を見るような格好になる。ハジメはその状況に言葉が出てこない。2人も元と同じか、それとも敢えてかその口を閉ざしている。世にも奇妙な3人の同じ顔の人物が、その顔を突き合わせる現状。その静寂を打ち破ったのは、白髪の自身の言葉だった。

 

「また会えたな、ハジメ・ナッシュ。あの時は名乗らなかったが、オレの名はスタート。「始まり」だ」

 

「スタート……」

 

 白髪の自分の名前を続いて復唱する。ハジメが自身の名を発言したのを聞いて、スタートはこの場所の説明、そしてもう1人の正体について口にした。

 

「ここは黒白の海岸。俺が黒の機動戦士の余剰メモリで造り出した、心象空間だ。ここと外界の時間には恐ろしく違いがあるから、時間は気にしなくていい。……それで、一番に気になっているだろう、そこの男だが……そいつは、黒和 元(くろわ はじめ)。記憶を失う前のお前自身だ」

 

「記憶を失う前の……俺……!?」

 

 その言葉に、自分で復唱して驚く。思わずその人物を見る。黒髪の青年は眼鏡をかけていたが、その奥の瞳は強いまなざしをこちらに見せていた。その瞳は様々なものを感じさせる。決意と諦め、覚悟と後悔。矛盾した2人はそれぞれの瞳を見て、自分との違いを感じつつもそれが自分であることを感じ取っていく。

 黒髪の青年が眼鏡を取り、ハジメへと、記憶を失った自分自身に話しかける。

 

「初めまして……俺が、黒和元だ」

 

 はっきりとした、決意を感じさせる声だった。同時に、本当に自分であることを確信する。遂に記憶が巡り合う。スタートがやるべきことを、ハジメにとってある意味辛い現実を告げる。

 

「ハジメ・ナッシュ。記憶を取り戻す時が来た。だが、同時にお前は黒和  元となる。……ハジメ・ナッシュは、記憶の統合と共に黒和元に溶け込む。お前は消えるんだ」

 

 一瞬、何のことかと思ったが、自分が消えるという事実で、それがどういうモノか少しだけ理解する。

 ……そうか。俺は、いや、「おれ」は記憶がない時の、「俺」だから……。そういうことなんだ……。けど、だったら答えは1つだ。

 ハジメは黒髪の自身……本来の自分の前に立つと、手を顔の前まで挙げて拳を作る。その様子を元とスタートは不思議そうに見る。ハジメは呟く。

 

「そっか……そうだよな。おれは本来の俺じゃないから、過去の記憶がない俺だから。だから、記憶を取り戻すんだったら、俺も……でも、いいや。でなきゃ、俺はあいつに勝てない。お嬢様の隣にも行けない。……だからさ、託すよ。本当の俺に。受け継いでくれるかどうかは分からないけど、でも託す。……お嬢様を、救ってくれ、俺」

 

 その顔は、ハジメには分からない。だが、放心したように口を少し開いていた元は口を閉じ、口角を上げると同じように拳を作り、笑顔でそれに応える。

 

 

 

「もちろんだ。俺はおれだ。いや、お嬢様を……ジャンヌ・ファーフニルを救うのは、俺達だ」

 

 

 

 

 拳と拳が重なる。同時にハジメの身体が光となって元へと取り込まれていく。同時に元の髪色がハジメと同じ銀色へと染まっていく。

 あぁ、おれ、やっぱり消えていくんだな。辛いなぁ……お嬢様に最後に何か言いたかった……いや、違う。おれは、俺の中にいる。だから、また会える。なのに悲しくなるなんて。……でも、これだけは言おう。

 

 

 

 

さようなら、お嬢様――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

◆→

 

 

 

 

 

 

 

 

 記憶が流れ込んでくる。「おれ」が過ごした記憶だ。同時に感情も「俺」に流れ込んでくる。あいつが、「おれ」が感じた感情。それが俺は何なのかを知っていた。だが段々とそれが俺の体験したことだと知覚する。

 同時に俺の目元から水滴が滴る。それは悲しみの感情が時間差で生み出した後悔だ。それを俺は服の袖で拭う動作を取る。閉じた目を開き、俺は前を見据える。隣にいたスタートが声を掛ける。

 

「よう、黒和元。気分はどうだ?涙なんか流してたが……」

 

 記憶が封印されている間と同じように、冷やかしをかける自分と同じ顔を持つ青年の言葉。元はそれにまともに応えることなく、返答する。

 

「うるさいんだよ、お前は。それよりもお前も力を貸せ、元英雄の一部」

 

 邪険に扱いつつ、何かを要求するような動作をする元。つれない態度にスタートはがっかりした様子でため息をつく。

 

「まったく。相変わらずのドライだねぇ。……ほらよ」

 

 しかし元の手にそれを放り投げた。スタートの顔には笑みが出来ている。「ZERO」と書かれたカードがその手に握られる。

 同時に海岸線から光が漏れだす。朝日だ。もちろん現実のものではなく、この世界、黒白の海岸の偽りの朝日だ。しかしそれは、意味のあるものだ。黒和元が目覚めるその証明。夜明けが訪れ、(ハジメ)から()へと変わる象徴。朝日が元を現実へと戻した。

 

「さぁ、再来の時だ……目覚めろ、次代の「黒」の機動戦士……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、万全でもない状態で戦うからですよ、救世主よ。まぁ、もっともこれでわてらが正しいことにも一役かってくれますさかい」

 

 うつ伏せに倒れ込むハジメに、ワルトはそのように言い放つ。勝利自体は何も引き渡す意志の決定に何も関係ないというのに、それを言う姿は自身の成果を過剰に見せびらかす傲慢さを感じさせる。もっと言うなら、高級車を買った金持ちが、必要ないにも関わらず別のジャンルの高いものまで見せつけて自分達を貧乏人と罵るかのようだ。

 しかしそう思ってもハジメが敗北したという事実は変わらない。ハジメがこの包囲網を突破し、あわよくばジャンヌの助けに行ってほしかったが、そのようなことはほぼ絵空事とガンドは受け取るしかなかった。

 

(すまない、ジャンヌ……)

 

 悔しさが募る。何も出来ない自分の無力さが娘に届かぬ謝罪を心の中で発する。視線を下に下げる。

 敗北したハジメに、アルスが更に追い打ちの言葉を口にする。

 

 

「救世主なんて、口ほどにもない。その程度の力なら救世主なんて……いらな「救世主じゃねーよ、バーカ」!?」

 

 突如、アルスの声を遮って否定が入った。その声は今聞こえるはずのない声だったため、アルスの動揺を呼ぶ。アルスだけではない。マキナス、そしてドラグディア陣営も同じくざわつく。

 まさか、この声は……っ!!まだ戦えるか。いや、戦えなくては困る。なぜなら、お前はオレの……いや、オレ達ファーフニル家の、ドラグディアの希望なのだから!

 その人物はガンドの視線の先にいた。倒れ込んでいたその人物は服の裾についた砂埃を払っていた。髪を掻いて目覚めをはっきりとさせる人物。その人物―――ハジメ・ナッシュは確かにその場に立っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いきなりの目覚めの一言をかました青年、黒和元は頭を掻きつつも状況を再度確認する。

 さて、ドラグディアの面々が……バァン・ウロヴォースさんと、ヴェール・フリードさん、それに俺の雇い主のガンド・ファーフニル様……それでドラグディアの兵士の皆さん方か。で、マキナスがライドっていうおっさんと狂信者のワルトってロボ、それに……あいつか。

 ハジメこと元の視線がアルス、正確にはアルスの装依するマキナート・レイに向けられ、細くなる。先程自分を倒したマキナスのMS使い。記憶を失う前に自分が見たモバイルスーツにも驚いたが、その先を行くような存在モビルスーツとそれを完璧に操る彼にも驚く。

 さて、これを倒せって普通は無理ゲーだと思うんだが……スタートの言葉通りなら、倒せないと困るけども。とりあえず、否定の意志は伝えとくか。

 元が今までの言葉に対して反論しようとしたところで、マキナスの側から、あのイキリ救世主狂信者のワルトがこちらに問いかけてくる。

 

「やれやれ、いけませんよ救世主?そのような言葉遣いは慎んで……」

 

「慎むのはお前の方だろ、救世主がどうだのこうだの、俺は救世主でも何でもねぇ。そんなに救世主なんて絵空事を口にするなら、小説でも書いてろ中古ロボット。数万年すれば伝説としてその妄想が語り継がれているだろうぜ」

 

 だがワルトの言葉に元はバッサリと言い放つ。これまでのハジメを知っていた人物達の表情に汗が浮かぶ。今までとの変容ぶりに追いつけていないのだ。しかし元の本質は、ハジメと何ら変わりはない。自分に真っすぐだった。

 しかし、残念ながら元の真っ直ぐな批判は当然ワルトの怒りを真っ向から買うこととなった。

 

「救世主とおだてられて否定するかぁ!!このわしをォォォォォォ!!もういいわ!!救世主を打ち果たした者こそ真の救世主よォォォォ!!アルス少尉ィィ!!」

 

「チッ、最初から言っておけばいいものを……旧世代が」

 

 ようやく出た殺害の命令に小さな声で文句を漏らしつつも、アルスがこちらにビームセイバーを向ける。元も改めてMSの再装依を行う。

 

『ゼロ・スターター、リスタート』

 

 スターターが再起動の音声を上げる。未だ余裕を見せるアルスは呟く。

 

「また来ても無駄だ。今度こそ俺のマキナート・レイがお前のMSをぶった切る!」

 

 威勢のいい声だ。だがしかし、元も負けるつもりはない。だからこそ得意げにその言葉を否定する。ポケットから取り出した、ZEROと書かれたカードを手にして。

 

「悪いが、簡単にやられる気は今度こそない。こいつがあるからな」

 

「……?そのカード……!?」

 

「まさか、ハジメ君、それはセレクトスーツカード!?」

 

 セレクトスーツカード。現代のMSのスターターにはない、失われたモビルスーツ換装システム。これを変更することでモビルスーツをバックパックどころか機体すらも変更できるシステムの根幹を成すカードに両国の技術者たちの声が集中する。

 それをスターターの横のスロットに装填する。スターターがカードの名前を読み上げる。

 

『ZERO』

 

 元はこの流れを何度もやっていた。体が記憶を失ったことで入り込んだ、あの黒白の海岸で、スタートに命じられてこのような有事の時に備えて訓練を受けていたのだ。あの海岸で。

 元もそれだけで普通にやって目の前の敵に敵うとは思えない。しかしやるしかない。なぜなら既に溶け込んだおれの願い、そして元自身がそれをやり遂げたいと思ったから。元は意を決し、スターターの装依ボタンを交差した両手で押す。同時に挑発を目の前の戦士に向ける。

 

「かかってこい、機械野郎」

 

『Standby OK?』

 

「貴様ッ!!」

 

 挑発に乗ったアルス。そのまま元に目がけて突撃してくる。そのタイミングで元の前後を光のゲートが挟みこむ。すぐに上部に挟み込んだゲートが回転・上昇し停止と共に下降する。

 出現したのは、黒い重装甲モビルスーツのシュバルトゼロ・ビレフト。その機体に対し、距離を詰めたアルスのマキナート・レイの光剣が襲い掛かる。元はそれに対し、右腕で受け止めた。光刃が右腕の装甲を抉った。

 

「脆い!!」

 

 確かな手ごたえを感じて、アルスが思わず歓喜の声を漏らした。だがそれでよかった。もう、その装甲は、()()姿()()()()()()()()()()()()

 光刃が装甲を抉ったのと同時に機体各所から蒼色のディメンションノイズが吹き上がる。更に装甲も随所がスライドし始める。脚部、腹部、胸部。そして受け止めた腕部も装甲が割れ、同じくDNが漏れ出す。()()D()N()()。その挙動に困惑を見せるアルス。

 

「な、何がどうなって……!?」

 

 うろたえている間に、こちらの準備は終わった。機体からスターターにより機能の名称が読み上げられる。

 

 

 

 

『ロックフルアーマー・オールパージ!!』

 

 

 

 

 元の機体の装甲が一斉にはじけ飛んだ。ビームセイバーが切り込んだ装甲まで分離し、はじけ飛ぶ装甲の直撃も受け大きく後退させられるマキナート・レイ。アルスは頭を振って意識をはっきりさせる。

 

「クソッ……パージだと!?……な、あれは!?」

 

 意識が飛ぶのを耐えたアルスが絶句する。当然だろう。先程まで自身が一度は倒したビレフトの姿が消え、代わりに細身の黒い機体が姿を現したのだ。

その機体は背部に奇怪な機械の翼を持ち、蒼いDNを放出している。そして頭部はマキナートに似た大型の装甲は消え、代わりに人の頭に似た頭部が露出する。その額にはV字を2つ、重なるように形成するブレードアンテナ。下に蒼く光る、2つの双眼がアルスを見つめ返す。

 マキナートとドラグーナに似たMSは一瞬にしてそのどちらでもない、かつて創世記に出現したとされる救世主の姿にそっくりなMSへと姿を変えていたのである。

装依した機体のコンソールにMSの名が表示される。機体名をスターター音声が二つ名とも言えるものと共に読み上げる。

 

 

『スターティング・ゼロ・アウェイクン―――――シュバルトゼロガンダム』

 

 

「シュバルトゼロ…………ガンダム……ッ!!」

 

 

 元はすぐに背中の方に手を伸ばす。翼の付け根がカバーを開き、内蔵されたビームサーベルの柄を右手で握る。抜き放ったビームサーベルが大振りの光刃と反対側に小さな光刃を煌めかせる。ガンダムはその剣を構え、マキナート・レイへと肉薄する。

 

「なっ……こんの……!」

 

 ガンダムの姿に注意散漫となっていたアルスは、ガンダムの急接近に対応が遅れる。ビームセイバーで防御しようとするが、大振りな武装が仇となり、防御する前にその右腕をシュバルトゼロガンダムのビームサーベルに斬り飛ばされる。

 勝負は一瞬で決まった。だが手負いのマキナート・レイにとどめを刺すことなく、元はその脇を通り抜ける。その先には、待ち望んだ救世主の姿に狂乱となるワルトの姿がある。

 

「き、来たぞ!!わてらの最後の希望が……がぁ!?」

 

「……黙ってろ、屑が」

 

 怒りのこもった声で元はワルトの腰部分を両断する。いくら非道だったとはいえ生身の人間を攻撃するのはマキナス、ドラグディア双方に衝撃を与える、元ももちろんどうかと思った。しかし、本当に先程から騒がしかったこと、先程と全く違うことを口走り始めたこと、そして自身の主(ジャンヌ)への仕打ちへの腹いせがこの結果を生んだのだった。

 ワルトを切り捨てたシュバルトゼロガンダムは一気に上空へと飛翔する。空中で制止した元は周波数を合わせてガンドへと回線をつなげる。

 

「周波数調整……ガンド様、聞こえますか」

 

『は、ハジメ?本当にハジメなのか!?』

 

 その声に動揺があるのを元は感じ取った。目まぐるしく変わる状況にガンドも付いていけなかったのだ。今の状況(自分)を説明したい元だったが、時間がないことに危機感を感じ、端的に要請だけを伝える。

 

「お嬢様の所へ行きます。この場はお願いできますか」

 

 あまりにも身勝手な要請だと元も思った。しかし今ベストな手段はこれしかないのだ。ポルンがまたジャンヌに手を出しているのだとしたら、いくら放出した高純度DNで通信を阻害しているにしても、いずれ気付かれる。時間がないのだ。

 おそらく行動の是非を問われるのだろう。元は覚悟した。それでもジャンヌを今助けられるのなら、それでもいい覚悟だった。ところがわずかな沈黙の後、回線先から返ってきたのは意外な言葉だった。

 

『……当たり前だ。私は君に娘の安否を託したんだ。行け、ガンダムッ!!いや、ハジメ!!』

 

「……はい!シュバルトゼロガンダム、黒和元、飛翔する!!」

 

 そうだ、ガンド様は俺に賭けてくれた。だからあの時、手錠を壊した。なら、もう止まらない。成すことを、成して見せる!

激励の言葉を受け応答の返事を勢いよくすると、元はシュバルトゼロガンダムのバーニアを全開にする。全開で吹かした影響で古戦場跡の周囲を更に高純度DNが満たしていく。ガンダムが残した飛翔の軌跡を後に、古戦場もまた戦闘の光が満ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖トゥインクル学園の教室の1つ、詩巫女養成科のAクラスでポルン・ドンドは愉悦に浸っていた。目の前には下着を剥がれ、一糸まとわぬ姿のかつての主、ジャンヌ・ファーフニルが泣き顔で機械化されたシグットに羽交い絞めにされていた。

 少し離れた場所には、ドラグーナのボディーガード仕様が横たわっている。中身はフォーンだ。襲撃を掛けた直後、咄嗟に装依して邪魔をしてきたのだ。しかしマキナス精鋭は伊達ではない。その程度の性能のMSをすぐに制圧し、無事ターゲットを確保できたのだ。

 既に教室にいた他の生徒達はいない。フォーンが這いつくばる姿を横目にポルンがニヤついた様子でジャンヌの白い肌を触れる。

 

「い、嫌ぁ!!」

 

「フフフ……そんなに古竜人族の私に触れられるのが嫌ですか、お嬢様。ですが、お嬢様がいけないんですよ!」

 

 ポルンの脳裏にあの時の光景が蘇る。いつものように苛立つお嬢様を見て触らぬ神に祟りなしと余計なことを言わないようにとしていた時、間違えてお嬢様が大事にしていたハンカチをうっかり勝手に洗濯へと出してしまったのだ。

 少し臭いがあったので、と言ったのだが、それも聞かず、お嬢様は言い放った。「勝手にするのなら、もうわたくしの前をうろちょろしないで。古竜人族はこれだから」と。ただ自分はなぜ自分が古竜人族であることが理由で怒られたわけが分からず、どういうことか聞こうとしただけであったのに、聞くために手を引いたのが少し強かっただけにお嬢様が叫び、騒ぎとなって自分は家を追い出されたのだ。

 傍から見ればポルンが物事の解釈違いによる自業自得とも言える一幕だが、それでもポルンにとってはジャンヌが苛立って腹いせに自分のクビを切ったと思った。その怒りが。恨みが今ジャンヌへと晴らしきれない復讐を遂げさせようとした。

 

「貴女のその傲慢さを、私が裁く!!」

 

「ひっ!ぐぅ……ぅぁ……ぁっ」

 

「ポルン!!クソォ……!」

 

 ポルンの竜の面影が色濃く残る手が、ジャンヌの頬を強く平手打ちする。ジャンヌの頬が赤くうっすらと腫れ、更に尖った爪でひっかき傷を作る。ひっかき傷から血が滴り落ちる。痛みがジャンヌの眼から水滴を流させる。

 フォーンの悔しげな声が響く。ボディーガードであるにもかかわらずその仕事を果たせないことは、フォーンにとって耐えがたい苦痛だろう。その姿はポルンにとってとても恍惚に浸る光景だった。

 

「さぁ、そろそろ本番ですよ……私の復讐の、集大成を!!」

 

 ポルンはジャンヌの下腹部へと手を伸ばす。乙女の秘める場所、侵されざる聖域を穢すために。

 だが、ハプニングが訪れる。周りのマキナスの兵士達が異変に気付き始める。

 

「……何だ?通信が……」

 

「機体カメラも……どうなって……」

 

 マキナートが次々と周囲を見渡し始める。続いてジャンヌを羽交い絞めに拘束していたシグットも異変を口にする。

 

『周囲の通信感度悪化。駆動系に異常感知……』

 

 機械化され復活したシグットは運用にDNを用いている。しかし、その運用に支障が生じ始めている。次々と起こるおかしな状況にポルンも不信感を募らせる。

 

「なんだ、何が起きて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉とほぼ同時だった。窓ガラスが割れる。外から割れた窓ガラスがポルンに襲い掛かる直前に外から飛来した「何か」が地面へと勢いよく教室内に着地する。同時に吹き上がった床を削る砂埃で周囲に突風を起こし、飛び散るはずだった窓ガラスさえ外側へと吹き飛ばす。

 着地の衝撃波は周囲の者達の視界を奪う。その間に次々と「何か」が周りを蹴散らすような音が耳に入ってくる。ポルンも腹に蹴りを入れられ、その場から退く。

 

「ぐぅっ!?何が……」

 

 同時に目の前の方でも金属同士の激突の後、シグットがこちらに吹き飛ばされてくる。当然その腕からジャンヌの姿は消えていた。

 馬鹿な、助けが来ただと!?この状況を知っているのは国境付近にいる当主やその仲間達だけのはず……失敗の連絡なども来ていないというのに、一体誰だ。私の邪魔をする輩は!!

 憎々しげに砂埃を真っすぐと睨み付けるポルン。砂煙が晴れてくるとポルンの眼にその襲撃者の正体がはっきりと映る。

 

『グガッ!!キサマ……私ノ……!』

 

「ば、馬鹿な……貴様は、貴様はッ!?」

 

 その姿にシグットが拒否反応の如く駆動音が騒がしくなる。ポルンも目の前の人物に驚きを感じえなかった。なぜなら、その人物は自分達の一番の仇敵で、国境で依頼主のマキナス軍が確保したいと言っていた人物―――――ハジメ・ナッシュの姿だったのである。

 上着を脱ぎ、シャツの埃を払いつつ目の前の仇敵はこちらにその眼を向ける。

 

「……お待たせしました、お嬢様」

 

 (ジャンヌ)への言葉と共に、強烈なまでの敵意がポルン達へと向けられるのであった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さぁ、この後のEPISODE17もすぐ見られる……はず!

ジャンヌ「な、なるほど……「ハジメ」さんは消えましたが、「元」さんが助けると……」

祝え、全ガンダムを祖に持ち、全ガンダムの祖たるガンダム、その名もシュバルトゼロガンダム……ここに再誕の瞬間である!

レイ「あはは、ウ○ズさんは帰ってねー?」

ジャンヌ「そうですね、ここガンダムの小説ですし」

いや、実際の所言いたかったからね、本編でも言いたいくらいだよ!?誰が言っているかは不明だけど(´・ω・`)

レイ「でもでも、いろんな意味で再誕だよねー」

ジャンヌ「主人公の意志で再び姿を現した救世主、そして主人公の意志で再び出現したシュバルトゼロガンダム……そのセリフ、光樹さんが言ってくださると意味がありそうですよね」

あ、ちなみに光樹君にツイッターの方は行ってもらうつもりだよ。

ジャンヌ「えぇ……(困惑)」

レイ「あはは……光樹君よくオッケーしてくれたね」

それでは次のお話も

レイ「同日公開だから続けてよろしくっ!」
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