機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。引き続きご覧の方は改めまして。作者の藤和木 士です。

ネイ「アシスタントのネイです」

グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよ~」

それでは引き続き、EPISODE7の公開です。

グリーフィア「変わらず元君に対して嫌悪感丸出しなエターナちゃんねぇ。LEVEL1最後のまま、ここまできちゃったって感じね」

ネイ「すぐに襲い掛かりそうな気がしているんですが、どうなるんでしょうか……」

すぐにわかるさ(´-ω-`)ということで早速本編をどうぞ。


EPISODE7 HOW3

 

 

 黎人に呼ばれて訪れた司令室。そこで懐かしい顔を見た。

 ジャンヌと同じ、母親遺伝の美しい銀色の髪。昔のジャンヌよりも鋭くこちらをやっかむような瞳。それはかつてあの世界を出る時に文句を付けてきた彼女の妹の姿だ。

 あの頃よりも少しだけ背の大きくなった彼女はこちらを一目見ると立ち上がって詰め寄ってくる。

 

「クロワハジメ!あんたが姉様を……姉様を奪ったせいでぇ!」

 

 飛び掛かって首に爪を立てようとする彼女の手を、躱しながら手首を掴み上げる。そしてすぐに背中に回してその動きを地面へと押さえる。

 

「あぐっ!?」

 

「なっ……」

 

「元さん!?」

 

「元!そこまでにして」

 

 狼狽する千恵里を宥める形で、ジャンヌが制止する。これ以上はしないが、それでもまだ暴れる彼女を抑えざるを得ない。

 ジャンヌがエターナのもとに腰を下ろしたのを確認して、その拘束を解く。腕を庇いながらエターナは駆け寄ったジャンヌに恍惚の表情で想いを吐露する。

 

「姉様……やっと会えた……」

 

「エターナ……何でこっちに?」

 

「そんなの、姉様を連れ戻すためです!」

 

 なぜエターナがここにいるのか。話に聞いている限りでは呼ばれたような意味合いをしていた。質問するジャンヌを置いていく勢いでエターナが次々と今のマキナ・ドランディアの状況を語る。

 

「姉様がこの間男に連れられて一年が経った……その間にノット・ア・ジーの奴らはその抵抗を激しくさせてる。お母様も心配しているから、姉様は早く!」

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!一年?一年しかたっていないの?」

 

 はい?とジャンヌの質問に返すエターナ。その言動にジャンヌの口が止まる。元自身もそれが意味していた事実に驚きを隠せていない。

 話がよく分かっていないまま聞いていた千恵里達。ただ一人、黎人と呉島だけが総合的に見てふむ、とこちらに確かめてくる。

 

「隊長、話を聞いていると、どうもおかしな点がありますが」

 

「俺も同感だ」

 

「は、はぁ?あんた何言って」

 

「ふむ……エターナ君、知らないだろうが、元とジャンヌ、二人はこちらの世界に来て、もう11年目に入ろうとしている」

 

「……どういう、こと」

 

 エターナは絶句した。そこで千恵里達の方も状況を理解した。

 

「つ、つまり、彼女はタイムスリップしてきた、ってことです?」

 

「タイムスリップというよりは、流れている時間が違う、というのが正しいな。俺の時と同じだ」

 

「確かに、君が戻ってきたのは5年後だったな」

 

 時間の違いが、このパラドックスを生んだようだ。道理で小さいと思ったが、納得がいく。

 そこで話を大きく脱線してしまっていることに気づいた黎人が話を戻す。

 

「っと、今はそんなことでごたごたしている場合ではないな。元、気づいていると思うが、こちらがガンダムDN一号機を起動させた陣泰高校の相模宗司君」

 

「相模です。その……緊急事態だったとはいえ、本当に申し訳ありません」

 

 黎人に紹介を受けた相模という青年がMSを使用したことを謝罪する。学生でありながら戦ったというところにジャンヌの事を思い出す。勝つためには仕方なかったとはいえ、あんなことを頼み込んでしまった自分はエターナに怒られてしまっても仕方がない。それどころかエターナまで今回巻き込んで、気づいたフォーンや最悪この後ジャンヌに怒られかねない。

 それでも目の前の青年は自分の意志でスターターを手に取った。適合者を見つけたハロの導きで纏った彼によって千恵里も助けられたのだから、その礼は言っておく。

 

「いや、こちらの隊員を助けてくれたこと、感謝する。やった内容には驚きだけどな」

 

「驚いた……?」

 

「無我夢中だったとはいえ、同じ人間を殺したんだ」

 

 その言葉に相模の息が詰まる。それに気づいて言葉を訂正する。

 

「すまない。それも考えていなかったか。無理もない」

 

「い、いえ……」

 

「いや、俺も同じ経験をしている」

 

 同じ経験。かつて暴走した時、誘拐されたジャンヌ達を助けるために無意識化で動いた時、そして記憶を取り戻して戦った時。意図せずして殺してしまった命を、忘れることは出来ない。

 そんな経験をした元だからこそ彼に言う。

 

「だからこそ分かる。お前はHOWに入るべきだ」

 

「えっ」

 

「は、元」

 

 黎人が咎めようとする。言われた相模もまた戸惑いを見せるがそれを押し切って語る。

 

「今のお前では、どこかで躓く。いや、お前の場合もう躓いているんじゃないか?」

 

「な、何を……」

 

「お前の過ごした時間を構成するDNが俺に告げている。過去を引き摺っている。エンゲージシステムで繋がったのなら、エターナも彼の躓きに気づいているんじゃないか?」

 

 DNLとしての直感が彼のトラウマをおぼろげに感じ取る。こちらを見る目もどこか怯えてなおかつ言いよどんでいるような感覚だ。

 どうやら言い当てられたようで、相模は視線を外した。エターナもそれを示すように顔を背けた。そんな彼らに本筋に戻す意味でこれ以上は詮索しないと伝える。

 

「まぁ、話したいなら話せばいい。今はそれが問題じゃない。お前達はガンダムDNに、エンゲージシステムに導かれた。そしてその剣を一度取った。先に進むも、退くも地獄。それを受け入れる覚悟があるかどうかだ」

 

「は、元……流石に……」

 

「事実だろう、黎人。答えに三日やる。それまでに、答えを出せ。千恵里達も、分かっているな」

 

「……はい」

 

 そう言ってジャンヌと共に外へと出た。すべての答えは俺達が決めるのではない。剣を手に取った彼らにのみ、決定権があるのだから。

 

 

 

 

「何よ……何でもかんでも、自分で決めて!」

 

 あのクソ男の横暴さに腹が立つ。マキナ・ドランディアでも英雄とおだて挙げられていたからって、調子に乗って……!

 エターナの声がクロワの消えた司令部の部屋に広がる。それに誰も沈黙していた。その沈黙を破ったのは司令と名乗ったジゲンという男だ。

 

「彼は芯を貫き通すタイプだからね。あながち、間違いではない」

 

「何よ、あんたもあいつに肩を貸すっての?」

 

 庇う姿勢を見せるジゲンにかみつく。その返しにふと考え込んでから答える。

 

「イエスかノーで言えば、イエスだね」

 

「どこがいいのよ!」

 

「じゃあ君は、その嫌な彼にすべての処罰を決められたいかい?」

 

「そ、それは……」

 

 言葉に言いよどむ。あんな奴に自分の命運を預けるのなんて嫌だ。首を横に振る。それを見届けてジゲンの言葉が続く。

 

「彼は周りの者達の事を最大限考える。上からの命令があろうとも、当事者の言葉を聞き、その意見を反映させられるようにしてきた。もっとも、それが全て、思い通りというわけも行かないがね」

 

「聞きました、それ。私の処遇とかも大分融通させたって」

 

 クルスがその通りだと事実を証明していく。例えそうだったとしても、エターナ自身の認識は違う。

 姉様を勝手に連れて行った最低な奴。お母様はいつもお姉様が生きているか心配しているというのに連絡の一つも寄越さないようだった。Gワイバーンを連れているのだから、いつだって戻れるはずなのに。

 

「それでも、あいつはあたしの世界に何の定時連絡も……」

 

「定時連絡……あぁ、そのものずばり、言い忘れていた」

 

 何かを思い出したようなジゲン。その口からとんでもない事実が語られた。

 

「残念ながら、Gワイバーンという機体、今はない」

 

「はぁ!?どういうことよ!?」

 

 Gワイバーンがないという事実に平静が揺らぐ。ないとはどういうことなのか。真相を訊きだそうと詰め寄るエターナを制止する声が開閉音と共に投げかけられる。

 

「その言葉どーりよっ、Gワイバーンは壊れちゃったの」

 

「みっちゃん!じゃなかった、光巴さん」

 

 あだ名を呼んだイリジマが訂正して名を呼ぶ。それは先程も来る途中で出会ったあの意味が分からない程に話を展開する少女だった。

 その姿に頭を抱えるジゲン。

 

「光巴……お前なぁ」

 

「だって、事実隠してもしょうがないじゃん。昔ここにあったMSオーダーズ、父さんと母さんの組織が壊滅しかけた時の戦いで消滅させざるを得なかったんだし」

 

「何……あなた知ってるの?」

 

 気になる単語は置いておくとして、事実を知る少女に尋ねる。すると少女は軽く応える。

 

「そだよー。だって目の前で、ビーム無理矢理拡散させたイグナイターから強制分離させられちゃって、そのまま元さん達と私達の盾になって消えちゃったし」

 

「盾に……でも、あれがなかったら」

 

「うん、帰れないって。でもGワイバーンはそうしなければならないって思った。だから行動したんでしょ」

 

「は、話が見えない……」

 

 二人の展開する話についていけていない人間が何人かいる。その疑問に答える形で、少女は自己紹介をした。

 

「紹介遅れたね。私は次元光巴。こっちにいる次元黎人の娘。そして元さんの機体の支援機、Gワイバーンに命を助けられた者の一人だよ」

 

ミツハは名乗ると、これまでの流れをイリジマに尋ねる。

 

「それでそれで、今話どうなってるの?」

 

「え、えっと」

 

「黒和隊長から二人に覚悟を問いただしていた」

 

「あー、やっぱり元さんはそうするよねー。でもそれが筋だよね。私だって自分の意志聞かずに決められるの嫌だもん。私の場合言っても聞き入れてくれないけど」

 

 言いよどむイリジマに代わり、応えたクレシマの言葉から事情を察した何やら自身の事を愚痴り出す。そんな事を知らないと言う前にミツハは父親とこちらに言う。

 

「とりあえず、回線で流されたエターナちゃんの客室は用意できたから、そこに案内するのでとりあえずはいいよね?」

 

「あぁ。それで問題ない」

 

「それじゃあ、二人は言われた通りに三日後までに答えを出して。戦うか必死に逃げるか」

 

「ちょっと、勝手に決めないで……」

 

「決めなかったらお役所さんに勝手に決められちゃうんだって。それをどうにかするためにも、君達が決めるんだよ。宗司君の方も分かったかな?」

 

「あ……まぁ、考えてはみます」

 

「ちょっと!?」

 

 エターナの言葉を無視して話は進む。もう何が何だか、分からない。

 結局返答は当初の予定通り、三日後までに自当事者たる自分達が決める形になった。あの男の働いている施設で泊まるなど、最悪だったがそれでも姉様と一緒に居られるのは悪くない。

 そうして私はHOWの預かりになるのであった。

 

 

 

 

 HOWの人に送ってもらって、家の前まで着く。一応今日から三日間、周辺にHOWの人が護衛に付いてくれるらしい。

 何かあったら渡した特殊警報通信装置を使って、と言われたが、それはまさに小学生が使う防犯ブザー。形としてはそれが最適なのだろうから仕方がない。HOWの人はこちらの返事の対応者でもあり、覚悟が決まったのなら言えばすぐに本部の方に送り届けられ、その決定に関する書類を書くことになるらしい。

 用意が良いと思う。同じ立場のエターナはHOWの方で客人として扱われると言うし。しかし問題はここからだろう。父と母に何と言おうか。正直に話すのが良いと思うが。

 悩んでいても仕方がない。家に入る。帰宅の挨拶をする。

 

「ただいま」

 

「あら、宗司。おかえりなさい。聞いたわよ。今日学校大変だったんだってねぇ」

 

「あ、うん。父さんは」

 

「父さんもあんたが心配だって早めに帰ってきてる。早くご飯にしましょ、荷物置いてきなさい」

 

 母は気遣ってご飯に来るよう言ってくれる。今はその方がいい。話すのをご飯を食べてからにすることにして、すぐに用意をした。

 

 

 

 

 ご飯を食べ終わってから、宗司は両親と向かい合って今日の事を話した。学校がゼロンに襲われたことや俺が事情聴取として呼ばれていたのは二人も知っていた。しかしその時点では明かされていなかった事実、俺がMSに装依して戦闘をしたことと、それに関してHOWからの要請があったこと、そしてHOWに入るかもしれないこと……。HOW側から伝えておいた方がいいことを明かす。

 

「……ふむ」

 

「あらあら……」

 

 二人は軽く驚いたような表情を見せる。そんなことが裏であったことは知らないから当然だ。

 宗司は今の自分の考えを二人に言う。

 

「俺、MSなんて生活のためのスキルにしたいだけだった。先生達からは凄いって言われてたけど、いざ戦闘なんて……って。でも今日、本当にそれだけの力があるって、実感した。ゼロンも恐ろしい奴らだ。でも、俺なんかに、本当に出来るのかなって。次元覇院にも、あいつから逃げた俺に」

 

 吐露した想い。ゼロンを許せない気持ちと自身にそれが本当に出来るのか。以前の経験が苛む。

 そんな宗司の言葉に、父が言った。

 

「まったく、やっぱり父さんの息子だな、宗司」

 

「父さん?」

 

 呆れにも似た反応。だが父は優しく語りかける。

 

「常日頃から、お酒が苦手な父さんが仕事では飲んでいるっていうの、聞いたことあったかな」

 

「あぁ、うん。仕事先の人への社交辞令、だっけ」

 

「そうだね。正直言って、僕のそれは無謀だ。でも僕は好きでやってる。けどそれを宗司にまで強制するつもりはない。無理はしてほしくない。断って僕らに影響が出てもいい。でも、宗司が行きたいっていうのなら、僕らは止めないよ」

 

 止めないという父の言葉。母も自身の本音を明かしながらもその背中を押すように言った。

 

「あんまり死に急ぐようなことされるのはお母さん嫌だけどね。でもあなたが戦うって言うのなら、それはきっと昔の事を乗り越えられるいい機会かもしれないから」

 

「父さん……母さん」

 

「だから、僕らでは何とも言えないね。今の世の中、どちらに付くのも地獄というのは、そのHOWの人の言う通りだと思うから。まだ三日あるのなら、時間いっぱい考えればいい。でも答えは出さなきゃダメだよ。それはお互いの為でもあるんだから」

 

 両親からの言葉。また自分に決定を委ねられる。そしてその日から約束の日まで、宗司は眠るまで悩み続けるのだった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

グリーフィア「元君、アウト」

暴漢に対して最低限反撃するのはアウトではないはずなんですが(;´・ω・)

ネイ「うぅん……合ってるんですけど……何か受け入れられないといいますか」

グリーフィア「やってることは正しいんだけどね。けど知っている女の子を抑え込むって、最近だとねぇ」

ネイ「ああいう過激な意見に肩持つわけじゃないけど、でもってなっちゃうよね」

ここである人の言葉を一つ。「撃て!撃たなければ撃たれるぞぉ!」( ゚Д゚)

グリーフィア「それ撃ってるの核でしょ!」

ネイ「ガンダムSEED、ムルタ・アズラエルの言葉ですね。そもそもその人も過激派」

まぁそうなんだけどさ(´・ω・`)でも現実でも言えることだし。ま、それは今どうでもいいんだ。向かって来る力に、身体が反応しちゃったんだろうねぇ。

グリーフィア「まーいきなりあんな口走って向かって来ちゃ、ね」

ネイ「総括としては、抑え込んだだけマシ、なんでしょうね」

そゆこと。

ネイ「そして元さん、やっぱり割とフリーダムに動いているんですね」

グリーフィア「政府に融通利かせるって、大分やっちゃってるけどねぇ。これでもまだマシっていうのが怖いわぁ」

元君としては極力不幸が起きないように色々動いているので。その為に機体の情報の横流しとかもあるみたいですし。近々言及される「黄のガンダム」もそれが関係してたりしますし(´-ω-`)

ネイ「黄のガンダム、ですか」

グリーフィア「それはちょっと楽しみねぇ。それで結局、宗司君は決断しなきゃいけない訳か。エターナちゃんもそうだけど、宗司君はどうするのかしら?」

ネイ「イエスかノー、そのどちらも地獄なんて。宗司さんのお父さんお母さんも辛いでしょうに」

グリーフィア「けどそれが最低限元君の用意した選択なんだって思うと、酷よね~。ちょっとHOWの要望も入り込んでいるけど」

HOWもあの機体のパイロットを欲してますからね。とりあえず、今回はここまでとしますか。文字数もいいところだし。

ネイ「次回は黒の館DNですね。ガンダムDNの性能、明らかにしていくみたいです」

グリーフィア「次は三部構成みたいねー。またまた長い!」

とはいえ黒の館は基本一回分で一話って認識ですのでね(;´・ω・)

ネイ「それでは次回もよろしくお願いします」
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