ネイ「艦長さんキャラにしては……今回かなり若かったですよね」
グリーフィア「今まで艦長キャラってこの作品おじいちゃんとか年喰った人が多かったわよね~」
まぁ若い人が艦長の方がいいだろうし、何よりMSの歴史が大分出来上がってきているので余裕が出来たってのもあるかもです。若い人が戦場に出ているけど。
グリーフィア「うーん矛盾」
ネイ「まぁ経験を積んだと解釈した方がいいかもですね」
そういうこと。それではどうぞ。
いくつかのミーティングを挟んで迎えた金曜日。宗司達はいよいよ出発の朝を迎えた。
やってきたのはHOWの滑走路。いくつかの同型艦が並ぶ中で一際外観の違う船があった。
「これが、ヴァルプルギス」
白い艦体に四本の突き出された可変翼。前方は三つのブロックが機首と格納庫を作り出し、後方は大型円錐型バーニアと尾翼が見える。
船、というには海に浮かぶものより異様な姿だが、既存の知っている空中艦とさほどかけ離れた姿というわけではない。現代の宗司達には見慣れた姿と言える。
「まずは中に入って手荷物を入れろ。あらかじめ搬入してある者も、荷物は確認だ」
「分かりました」
「さってと、俺の秘蔵コレクションは入ってるかなぁ~」
「……変なの詰め込んで問題になる気しないのかしら……」
Gチームの面々も取り付けられたタラップを使って船へと乗艦していく。
船の個人ルームは艦中央ブロックから後方に掛けて配置されていた。部屋にはベッドと机、クローゼットまでが備え付けられている。
部屋の開閉にはカードキーが使われており、ドア近くに差し込んでおくことで電気の管理も行っていた。
広さは最低限のもの。だがストレッチくらいはでき、また何人か呼んでトランプやらは出来る広さだろうか。
「ここが俺の部屋」
カバンを机の横に置き、ベッドに腰かける。すると近くの壁が自動でスライドする。展開するとそれは小型のパソコンとなり、自身の角度に合わせて可動した。
「すごいな……しかもこれ、Wi-Fi機能付きか」
個人一人にここまで設備が充実しているのには驚いた。量産艦まで共通なのか、はたまたこの艦の設備が凄まじいのか。
ゆっくりしていたくなるが、一通り部屋は見たので集合場所へと向かうことにする。クローゼットを開けると、HOWの隊員制服が入っていた。
向かう前に袖を通しておけと言われていた。着替えるとサイズは合っている。鏡の前で確認する。
「行くか」
カードキーを取って部屋を出る。と、丁度移動しようとしていた呉川隊長達が見える。
駆け足でそれに追いつき、声を掛ける。
「隊長」
「相模、どうだった」
「結構いいですね。パソコンまであって凄い。服も丁度いいです」
「だろだろ?パソコンのおかげで俺の秘蔵コレクションも無駄にならずに済んだぜ~!」
「本艦の設備は他の量産艦よりも優れている。が、概ねの機能はほぼ同じだ。使い勝手は覚えておけ。これからブリッジに上がってもらう」
呉川隊長の後を付いて艦内を進む。いくらか前方付近まで行って着いた部屋に入ると、そこは艦の先端。艦を動かすブリッジの光景が目に入る。
遅れて入嶋達も後に続く形で入ってくる。Gチームパイロットが揃うと、艦長席に座っていた紫音・プラネリアスがややけだるげな眼をこちらに向ける。
「ん、あら、Gチームの人達ね。あなたが……」
「Gチームを預かる呉川だ。隊長、Gチーム一同を連れて参りました」
呉川隊長が一礼する。艦長と共に黒和元隊長とジャンヌ・ファーフニル副隊長もいた。元隊長は呉川隊長とこちらに声を掛ける。
「来たか。Gチーム一同にはわざわざ来てもらってすまないな」
「わざわざ呼んだってことは、何か言いたいことでもあるんじゃないの?」
エターナが面倒くさそうに早く用件を言えと急かす。元隊長は彼女の意見を汲んでか早速用件を言う。
「言いたい、というか伝えておくことがな。お前達のコールを行う管制官についてだ。よく知っている人物だからな」
「はいはーい、私が主にみんなの管制務める次元光巴でーすっ」
響いた声は宗司達もよく知る彼女、光巴の物だった。耳にヘッドマイクを付けて手を振る。
「あぁ、いつもベースからやっていたけど、今後はここから指示出すんだ」
「指示っていうか状況伝達だね。仮にもみんなの機体の調整役もやるから、私の制止はちゃーんと聞くように!」
胸を張ってそれを示す光巴。だが元隊長はやや納得いかない顔で本音を語る。
「まぁ実際のところは光巴の見張りでもあるんだがな」
「見張り?」
「酷いんだよ~、お父さんと元お兄ちゃん、それに基地の大人の人みーんな私にMS触らせてくれないもん。危険だからって。失礼しちゃう!」
MSを触らせないという言葉に引っ掛かりを覚える。
確か強化訓練期間の時に中学時代には試験を突破しているような事を聞いた覚えがある。だがまだMSに触っていないというのはどういうことなのか。
するとジャンヌ副隊長が事情を教えてくれた。
「光巴さんは確かに中学時代で既にMS所持法の模擬問題と、本試験を突破して初めて中学生で所持法を獲得した人物です。ですが所持法の基本条件からその年齢でのMS搭乗を許可されていませんでした。そして高校生になった彼女ですが、彼女はHOW総司令次元黎人の一人娘。後継者として以前からも狙われていた彼女をMSで出すことは非常に危険との観点から現在MS搭乗は許可されていないんです」
「確かに、光巴ちゃん黎人総司令の娘さんだよね」
クルーシアが納得する。よくよく考えてみれば、彼女は所謂ご令嬢。HOWの要人とも呼べる彼女がMSで出たら敵は間違いなくそちらを狙い撃ちしてくる。
普通なら前線に出さない選択を、隊長達は苦肉の策として艦に乗船させているわけだ。如何に戦場に出たいと言われても、出すわけにはいかない。その苦肉の策がオペレーターなのだろう。
光巴も十分分かった上でしかしと切り返す。
「そうだよ。けどさ、私ももう自分で護れる年齢になったんだもん。いつまでもMSを操縦できるままじゃ成長しないよ!」
「操縦できるだけじゃダメだ。お前はMSを管理する組織の代表の子ども。命を狙われている自覚を、もっと知ってからでないと許可は出せない」
「むー……!またそれだよっ」
元の説教に何回目かと言うように顔を背ける光巴。ため息を吐いて元隊長は状況を改めて説明する。
「と言った具合に、本人が諦めきれないから総司令からしばらく面倒見てやってくれと言うことでこの部隊に配属されているわけだ。今までのGチームメンバーは知っているとは思うが」
「まぁ、ご苦労お察しします」
呉川隊長が労いの言葉を掛ける。宗司も大体の事情は分かったと返答した。
「光巴って結構シビアな立ち位置にいるんですね」
「敵対勢力にとってはアキレウス腱。なんてあんた中々かわいそうね」
「それは分かっちゃいるけどさ……ってか、アキレウス健?」
エターナからも憐れまれる。光巴もまだ何もかもを受け入れた様子でなくともその事実だけは受け止めていた。
そんな様子を見て艦長のプラネリアスは言った。
「確かに彼女を前線に出すことは、艦長である私としてもかなりの負担ね。それを念頭に入れて艦も動かさなきゃいけないわけだから。だけどそれでもこのクルーという場所に配備した理由ってあるんでしょう隊長?」
「あぁ。彼女のDNL能力、俺達と違う意味で未知数だ。出来れば前線でその経過を見届けたい。いつまでも籠の鳥というわけにいかないから時々MSシミュレーターで模擬戦も行わせたいがな」
DNL能力。エターナが目覚めているという異能の力。人類の進化とも呼ばれている力を持つ光巴の成長を見届けることに、何か意味があるのだろう。
と話している内に発進準備が整ったようだ。クルーから艦長に対し報告が行われる。
「艦長、発進準備整いました」
「分かったわ。基地管制に連絡を。これより、ヴァルプルギス発進する」
ブリッジが慌ただしくなっていく。宗司達はブリッジを後にしようとしたが、元隊長がそれを止める。
「いや、せっかくの機会だ。ヴァルプルギスの処女航海、最初の時くらいここで見ておけ」
「こんな機会滅多にねぇからな。新人達にはいい経験だなっ」
「クルツ先輩とかはそういう経験はもうしてそうですよね」
「あぁ。だが専用艦のブリッジから眺める機会は初めてだ」
呉川隊長も心待ちにする中、遂に艦はその時を迎えた。
響く轟音、徐々に景色が下がっていく。エンジンの唸り声がここまで感じる。
艦長の声が響く。
「ヴァルプルギス、オース種命島へ向け、発進!」
「了解」
ヴァルプルギスが空へと飛び立つ。雄大な巨大がオースへと進路を取って、空を進んでいく。
◆
ヴァルプルギスの発進後元はGチームを連れて格納庫を訪れた。
「お前達の使うのは右舷カタパルト、左舷との往来は俺のシュバルトゼロガンダム・ジェミニアスを格納する中央ブロックを挟んだ通路か、艦内通路を使え」
構造の説明をしながら使う場所の確認を行う。他のチームはそれぞれに任せているが、Gチームは新人が多い。隊そのものを預かる隊長として、面倒は見る必要があった。
格納庫は機体の出力ハンガーが縦に二段重ね、それらが横に並んでいる構成だ。上下への移動は基本備え付けのエレベーターで移動する形である。
相模がその光景に率直な感想を述べる。
「結構狭いんですね」
「あぁ。最大搭載数まで今回入れているが、あまり全戦力投入もないから、今回みたいなことは滅多にない。とはいえ往来の邪魔になる可能性があるから、ここではあまり大人数で来ることが無いようにしてくれ。今回は特別だ」
狭いというのは仕方がない。片側15機ずつはどうやっても場所を取ってしまう。なるべく中央のスペースは整備班のブリーフィングなどに使いたいということで側面への二段配置になっている。なるべく星北達の願いはかなえてやりたい。
それを踏まえるとやはりこの形しかなかった。出力ハンガーまで端末で出現可能かどうかまでは気になったが、問題なく出来た。これで簡単にハンガーの増減が出来る。
そして場所を移動して中央格納庫、元のシュバルトゼロガンダム・ジェミニアスが使用するブロックに移動した。
「そしてここが中央格納庫。シュバルトゼロガンダム・ジェミニアスの管理を行うブロックだ。もっとも機体が増えればここも他のMS格納ブロックとして使うがな」
「結構広い……って、なんかもう既にすごい数の格納ケージがあるんですけど!?」
一目見て入嶋が驚く。シュバルトゼロガンダム・ジェミニアスの周囲には大量の武装が格納されたケージユニットが散見される。
無論これらはジェミニアスに必要な武装群。それをGチームに明かす。
「これ全部を今回のジェミニアスは使う」
「えっ換装してですか?」
「普通そうでしょ。こんなのいつも付けっぱなしにしてたら、姉様死んじゃうし」
クルスの言葉にエターナがツッコミを入れる。エターナの指摘通り流石にこれらを同時に装備は戦えない。
だがクルスの表現も間違っているわけではない。付けているのに付けていない。それが本機の特徴。ジャンヌが端的に話す。
「確かに換装するのは間違っていません。ですが、その度にこちらに戻る必要はないですよ」
「船に戻る必要がない換装……」
「呉川隊長みたく、武装を射出して換装するとか?」
「それに近いが、船から射出してもらう必要もない。次世代の換装システムとなる」
「……それどうやって換装するんです?」
宗司は首を傾げる。その他面々も困った表情を見せる。これまでとは全く違う換装システム、そう簡単には言っても分かるまい。
今見せるのもいいが、それはそれで整備員達に負担を強いることになる。彼らにはとりあえず実戦で見せることを告げる。
「今はまだシステム調整中だ。見せるのは実戦の中で。だからと言ってそれに注目して目の前の戦いに疎かになったら怒るからな」
「了解です。Gチーム一同気は抜きません」
呉川が先頭に立って言葉を飲んだ。
これで格納庫の紹介は終了。続いてあまり入ることはないだろうがエンジンブロックとよく使うブリーフィングルームなどの紹介に移動しようとする。その時エターナがある点に気づく。
「……そう言えばこっちのスペースは何?」
シュバルトゼロガンダム・ジェミニアスが安置されるその後方に、やや広いスペースが取られている。その部分には武装が置かれておらず、また地面にMS用ケージとは異なる固定パーツが存在した。
もちろんそれには意味がある。現段階で使わないそれについても説明を加えた。
「それは……今後、ジェミニアスに追加されるサポートメカのメンテナンススペースだ」
「サポートメカ……Gワイバーン!?直せるの!?」
エターナはその名を叫ぶ。シュバルトゼロガンダムのサポートメカと聞けば、やはりそれが真っ先に思いつくだろう。
Gワイバーンが直れば次元世界移動も出来る。そんな期待が目に浮かぶ。だがとりあえず最初の誤解だけは解いておかねば。
自身に代わってジャンヌが訂正を行う。
「いいえ。直すというよりは作り変えですね」
「作り変え……?」
「Gワイバーンそのものを直しても、今のジェミニアスに装備することは難しい。性能も据え置きです。だからシステム系列は移植してガワは全くの新規で生まれ変わらせる。Gワイバーンと同じくガンダムの性能を限界まで引き上げることは間違いありませんが」
ジャンヌの言う通り、生まれ変わる。Gワイバーンをジェミニアスの新たな力として新生する。
その力もまたシュバルトゼロガンダム・ジェミニアスを支える。Gワイバーンの持っていたあの次元移動も黎人達が苦心し続けてくれている。
「上手くいけば、次元移動も復活する。そこは黎人司令次第だがな」
「次元移動!」
「それって、エターナがこっちに来たっていう」
「隊長も副隊長もそれを使ってこちらに戻って、かつやってきている。もっとも最初に聞いた時は眉唾だったがな」
「あれ、でも次元移動って結構難しいとかいう話では……?」
分かっている面々はすぐに理解する。が、分からない組もいた。次元移動について軽く話しておく必要があるかとも思ったが、そこにクルツが新入り組に言った。
「まぁ次元移動の専門的知識は今大抵カレッジの領分さ。ハイスクールのお前らが勝手を知らないのも仕方ねぇ。俺も知ってはいてもこの前まで見たことなかったしな」
「この前……あぁ、私の?」
「そういうことだ。昔は次元障害って呼ばれてたそれも、今は超次元現象って呼ばれるようになった。次元移動はその一つ、文字通り人が次元を行き来する。神隠しなんかがそうだって言われているな」
神隠し。クルツのたとえはもっとも適した言い方だ。元自身もかつてはあの事件、モバイルスーツ暴走事件で別次元に飛ばされていたものの発見できずに行方不明扱いになっていたのだから。
今の状況ではエターナもあちらの世界で行方不明になっているかもしれない。
あらかじめ行くことを周囲に伝えていたジャンヌはともかく、エターナはそういった示しを付けていると聞いていない。
自分のよく知るファーフニル家執事のあの人が、今血眼になって軍と共に探している光景が目に浮かぶ……。
出来れば早いところエターナを送り返す、あるいは無事を伝えたいところだ。もしかしたら初の運用テストが安否を明らかにするになるかもしれない。
どちらにせよ今は使っていないスペースの紹介はこのくらいにしておく。元はGチームに残りの場所への案内を告げる。
「さて、次元障害の講座をやってもいいんだが、まだ艦内設備の案内は残っている。そこら辺はクルツに任せておいて、次に行くぞ」
「えっ、俺が!?」
「冗談だ。まぁ、果たせるのなら任せたいところではある。お前の講座、割と理解しやすいみたいだからな。期待している」
「良かったな。隊長に認められて」
「あ、はは……善処します」
俺と呉川の言葉に苦笑いで返答するクルツ。案内はそのまま続いていく。オース到着までに済ませておかなければ。到着まで、まだそれなりに時間があった。
NEXT EPISODE
EP17はここまでです。
ネイ「専用艦ヴァルプルギス……名称自体は既にこの作品でも出ていますよね」
ロートケーニギンの武装の一つ、だったかな。出してますね」
グリーフィア「その名前の艦を元君の乗艦に。色々勘ぐっちゃうわねぇ~」
大腿その読みは正解。まぁ詳しくはここでは言わんけど。そして今の時代MSケージすらも専用の始動機で呼び出す仕様です。
ネイ「あくまで機体のセッティング用、としての場所確保のためになんですね」
そういうこと。あと何か触れることある?
グリーフィア「光巴ちゃんの事かしらね。クルーにしても危なくないかしら?」
ネイ「そうだよね。艦が真っ先に狙われそう……」
グリーフィア「そこんところはどうなの?」
まぁ彼女自身がDNLだから、危機はすぐに知らせて艦長さんが考えるさ。
グリーフィア「じゃあまぁこんなものかしらね」
ネイ「次は……黒の館DNです?」
そうだね。あ、ちなみに当時のテンションのままですので、何が起こっていたのか見られます。というか今日更新しておくわ。
ネイ「もう一個更新ですか……」
グリーフィア「3話更新ねー」
では次は黒の館DNです。