機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、藤和木 士です。EP22の更新です。

レイ「影義明、明沢正。なんていうか、あの偽名と共通したネーミングだね」

ジャンヌ「アレックスとアスランで共通性持たせているっていうのが丸わかりですね」

それがすぐに分かるくらいがこの作品じゃ丁度いいと思ってる。それではどうぞ。


EPISODE22 自由の剣2

 

 

 影義明の運転する車で、種命島市内を往く元とジャンヌ。この遅い時間から車を出させてしまったことに謝罪する。

 

「すまないな、我儘を押し通させてしまって」

 

「いえ、昼間はこちらも大分迷惑を掛けてしまいましたし、それにお二人なら不用意に言いふらすことはないと信じての事です。くれぐれもご注意を」

 

「えぇ、もちろんです。外出するとは言いましたが、用件については別のやつ言っていますし、上への報告書に関しても私用としておきます」

 

 ジャンヌが言う通り、これから会う人物に関しては他言無用だった。これはオース政府、オース軍においても秘匿性SSの情報だと明から言われていた。だからこそ船の面々にはある程度想像を膨らませる程度、口約束で外へ出る形としていた。

 無論、私用とはいえ何もかも隠して会うというのは褒められたものではない。だがある意味これは私的な要件としてオース軍、影義明という一人の人間に頼んだものだ。個人的に気になった件に関しては一応主要メンバーかつDNL使いとしての権限で独自調査ができる。それも含めれば今回は不用意にそれ以上の情報が漏れはしないだろう。

 それを伝えて外を見る。まだ街灯が薄らと残る街。その光景を見て、3年前の時とは全く違うと言う。

 

「3年前を思い出す。もっともあの時は悲惨だったが、それを忘れるくらい町並みは良い」

 

「この島もこの3年でかつての賑わいを取り戻す勢いですから。観光国家、その姿に」

 

「そうだな。本当に隠すべきものを、隠すために」

 

 それを聞いて押し黙る明。あの事はあまり言われたくないことのようだ。会った時、いや、名前を聞いた時からなんとなく察していたが。

 ため息を吐いて空気を変えるように彼の名を呼んだ。

 

「そんなに昔の自分が嫌か、―――明沢正」

 

「っ!黒和さん、それは」

 

「別に今、聞かれたりしてはいないさ。DNLで分かる。外からは……少々注目されているような感じはあるがな」

 

「なんですって、っ……」

 

 スピードを落とし、周りを見る明。ジャンヌがその方角を教えた。

 

「大体5時の方角ですかね。あの黒コート。でもあれはちょっと違いますね」

 

「っ……違う?」

 

「あぁ。単に車が珍しいってだけなんだろうな」

 

「あぁ……まぁ親父のお古、だからな」

 

 付けられているということはなく、明はホッと胸をなでおろして車が動いていく。数秒して岬の道を走っていく中で先程の話題について明は触れた。

 

「……僕は嫌ですよ。かつて信じたものが、間違いだったと気づけず犯してしまった罪を見るのが」

 

「そうか」

 

 彼の本当の名、それは明沢正だ。かつてこのオースを救った英雄の1人、正義の剣「オースジャスティスガンダム」で最終破壊兵器「リ・ジェネレイション」を、機体を犠牲に破壊して世界を救った英雄。

 だが彼がそれを嫌う理由もまたその最終破壊兵器を巡る戦い、「虚無戦争」で背負った自らの罪が理由。理由を運転の傍ら自ら彼は語る。

 

「俺はかつて、虚ろの零に所属していた。それは決して褒められたものではないです。俺は恥じている。こんな過去を」

 

「そんなもんだろ、寝返った側の心境は。だが忘れちゃいけない。お前は間違いだって気づいたんだから、まだいい方だろう。潰されてもまだ思い上がるあの宗教論者共よりは」

 

 虚ろの零には当時のオースのタカ派、明沢 鳶丸(あけざわ とびまる)に同調したオース軍軍人が所属していた。軍学校に所属していた息子の正もまた父に賛同した。彼の父をその気にさせたのが裏でゼロンと結託していた狂真 嵐(きょうま らん)と呼ばれる男だ。

 鳶丸氏本人は島の発展を求めるべく革命を起こした形だ。正は父の命令でそれがオースの未来があると信じて参加した。無論そんなものは今の時代認められるわけがない。しかし動機は決して一蹴されるべきものではない。方法が間違っていただけ。そして正はそれを直の通り正した。ならいつまでもそれに縛られている場合じゃない。

 元の言葉に自身の考えを吐露する正。

 

「そう、なんですかね。まぁあの連中の考えていることは理解しがたいです。自ら争いを齎し、人を駆り立てるあれは許されない行為です」

 

「あぁ。アイツらは思想諸共、俺が根絶する。……とはいえ、俺達も争いで稼いでしまっているようなもんだがな」

 

 決意を口にしながらも自らの行動を自嘲する。そんな事を話している内に目的地へと到着する。

 やってきたのはやや寂れた様子のダイニングバー。車を止めて、正を先頭に入り口をくぐる。入って最初に思ったのは中の賑わい。外見からは想像しがたいが、人が入っていて活気もある。

 騒がしい客の手が当たらないよう、ジャンヌと順番を入れ替わって正もとい明の後を付いて行く。この賑わいについて明が説明する。

 

「ここは保守派のオース軍が懇意にしている店です。そうそう情報が漏れることはないはずです」

 

「そうなんですか」

 

「スパイでも紛れ込んでいなかったらな。ま、こんな状況だとこっちもDNLの探知が難しい。その面でもいいとは思う」

 

 明が事情を話すと店員が予約席の方へと案内する。バーの奥も奥、特等席に3人で座ると、店員がメニューを置いた後明が告げる。

 

「それでは呼んできます。メニューでも頼みながら少々お待ちください」

 

「分かった」

 

 明が席を外して二人でしばらくメニューを眺める。この状況にジャンヌが少し喜ぶ。

 

「こういうバーに来るのも久々ですね。デートで来れればいいのに」

 

「仕事ばっかりだったからな。二人で落ち着ける時間も少なかった。特にあの新人達の件で色々呼ばれることもあったし」

 

 新人達とは無論相模、入嶋、エターナの三人だ。三人のパイロット申請は大分無理があったのだが、現状報告を行って採用継続が出来ている。上からは早くも心配の声が上がっているので、どうにか心配されることのないレベルまで一刻も早く成長してもらいたいところだ。

 とはいえ筋がいいとしてもそれはあまりに無謀。今は上司である自分達がそれらから護らなくてはならない。色々夜遅くまで立ち回っているために二人でゆっくりと過ごす時間も少ないというわけだ。

 流石に酒は控えておくとしても、料理は観光国家の店。種類は豊富。元は地元の野菜や家畜を使用したチーズドリアセットとアップルジュースを、ジャンヌはペペロンチーノとレモネードを店員に頼んだ。

 注文を終えたところで、明が男を連れて戻ってきた。その男性が帽子を取って顔を見せる。

 

「―――ご無沙汰しています、黒和元さん、ジャンヌ・ファーフニルさん」

 

 やや前髪が立った髪型、優しさを持つ面持ち。黒のジャケットとモスグリーンのスラックスとあまり目立たない格好でやってきたその男性を、元は知っていた。

 三年ぶりとなるその顔に安堵を口にする。

 

「久しぶりだな、大和輝。まだ島を離れたわけじゃない、のか」

 

 大和輝。三年前のオースの英雄、「自由の剣」オースフリーダムガンダムのパイロットが、ここに現れた。

 彼と会うこと、それこそ元が明を頼ってお願いした用件だったのである。元の問いかけに申し訳なさそうにして輝は答える。

 

「はい、隠居と言っても目立つ軍の仕事を離れただけ。町はずれの孤児院で施設整備の仕事をさせてもらっています。里奈と一緒に」

 

「里奈さんも元気なんですね?」

 

「はい。残念ながら今回は来られないんですが代わりに僕が話せることは話したいと」

 

 輝の言い方に少しだけ引っ掛かりを覚える。ジャンヌとも見合わせるが、今は話が聞けることを優先して席に着く。

 机を挟んで座った両者。輝は最初に謝罪をした。

 

「まずは謝罪です。軍を抜けていたこと、そして今日正から聞きましたが、僕の義理の弟の進がご迷惑を掛けてしまったこと、本当に申し訳ありません」

 

「まぁ、そんなに謝るな。こっちも驚いたっちゃ驚いた。けどお前の性格から言えば、軍を抜けたのはあり得た話だ。お前の義理の弟も、こっちの反面教師としてはいい感じだ」

 

「仕方ないことだとは思います。特に輝さんは戦時中の民間人徴兵の形で急遽ストライクのパイロットに指名されてしまったわけなんですから」

 

 謝罪に対しこちらは早々に顔を上げるように言う。彼は元々軍人ではない。オースの工業学校の生徒だった彼が、たまたま学校の地下に隠されていたMSに乗って自身に秘められた才能を開花させた結果、戦いを終わらせる切り札となったに過ぎない。

 そういった意味では元もそれに当てはまる。だが自分はジャンヌと共に戦うことを選んだ。ならば彼が戦いを辞める理由も理解できた。だからこそ口惜しさもこぼしてしまう。

 

「しかし、戦力が落ちた、というのは小さくない事象だが」

 

「それは……本当に申し訳ないです」

 

「元さん、輝の選択は」

 

「あぁ、俺達が決めつけるわけにはいかない。お前と大守里奈の未来はお前達が決めていくべきこと。俺達がどうこう言うことじゃない。俺達が戦う選択をしたように」

 

 否定などしない。人の道はその人が決める。人生はそういうものであるべきだから。

 そのうえで今の島の危機についてどこまで知っているのかを尋ねる。

 

「それで、お前は知っているんだろうな。今回俺が来た理由は」

 

「はい。一応、当事者と言えますから……特に里奈が」

 

 かつてのオースの首長、大守里奈が関わる。今回の件に彼女の恋人である輝が無関係なはずもない。それについて輝も語る。

 

「一応、里奈とも相談してはいますが、今僕らが動いても却ってオースの人々の混乱をもたらすと思います。そこをゼロンに逆利用される可能性を考えるとなおさらです」

 

「当然か。軍にいたとしてもそもそも介入しづらかった。むしろいた方が軍の士気の混乱を招くわけだ」

 

「だからこそ、今回は俺が解決するんです。もっとも、味方陣営が信用しきれないので元さん達HOWに協力を依頼したわけですが」

 

 明の言葉に不甲斐なさを感じた。本当に今回は自分の手でどうにかしたかったようだ。味方を信じられないと話す明にジャンヌは訊き返す。

 

「味方を信じられない……ということは、今日戦った中に事前情報にあった美愛派がいると?」

 

 そう聞くと明はやや自信なく首を振る。

 

「確証はありません。ですが、そうとしか思えない出来事が、以前にあったんです」

 

「その出来事、というのは?」

 

 尋ねるもそれは明かせないと明は再び首を振った。

 

「それについては、明かせません。すみません」

 

「……そうか」

 

 気になる感覚を感じたものの、これ以上は彼らも触れてもらいたくないという意志から詮索は止める。

 でも、と輝は自身の義理の弟、昼に会った進に関する話題に触れた。

 

「進には本当に悪いことをしたと思っています。僕の選択自身を辞めるつもりはありませんが、まさか、そのせいであのSEEDシステムに関わることになるなんて……」

 

「SEEDか。お前達種命島で生まれた子ども達しか扱えない秘密の力」

 

 あの場で元も見た力は3年前の虚無戦争の行方を左右した力だ。出自としては問題ないが、問題はその機能の開発者。

 

「今回の件では完全に開発者、種田博士は美愛派にあると見て間違いないです」

 

「事前情報通り、か。あのじーさんなんかやらかすと思ってたが案の定だな」

 

 SEEDシステムの開発者が敵側に着いている。この事実は既存のSEEDシステム機の運用に不信感を抱かざるを得ない。未だに種田博士の国内での行方が掴めていないのは間違いなくあの美愛派に匿われているからだろう。

 輝は博士について述べる。

 

「あの人のやったことは、罪だ。僕や正、進がそれを証明してしまっている」

 

「止めるさ。俺が、お前の分まで博士の野望を終わらせる」

 

「……そんなに思うなら、戦えばいい」

 

「……そうですね。でも、今の僕にはどうしてもそれは叶わないんです。今の僕に出来るのは、ただ明や進、元さん達が無事に帰ってきてくれることだけです。卑怯ですよね、こんな僕は……」

 

 自嘲を交える輝。その口ぶりはまるで戦いたくとも戦えないことを示している。

 いずれにせよオース軍はこの限られた中でも国内で起ころうとする侵略に対し精一杯足掻こうとしている。それに協力することは変わらない。ともかく当初の目的は果たした。ここまでやってきてくれた輝に礼を言う。

 

「すまなかったな、輝。大守里奈と関係のあるお前が本当に今回の件に関わっていないのか気になってな」

 

「そうですか……。いえ、心配させてすみませんでした。今回の件の解決、お願いします」

 

「あぁ」

 

 事件の解決を改めてお願いされ再び握手を交わす。そのタイミングで頼んでいた料理が運ばれてくる。

 

「わぁ、やっぱり観光国家なだけあっていい見栄えですね」

 

 運ばれてきた料理にジャンヌの興味が向けられる。元の注文したチーズドリアもいい感じの焦げ目が食欲を沸き立たせる。

 それらの料理の評判と代金について輝が言及した。

 

「ここの店はかつての保守派の人が開業した店で、島の隠れた名店として評判良いですからね。あと代金は僕の方が払います」

 

「輝、代金は俺が払うと言っただろう?」

 

「僕がいなかったからここまで来てもらうことになったんだ。それくらいはさせてよ明。元さんもどうかここは払わせてください」

 

 明の反対も押し切って願い出る輝に、少しだけ考えるように顎を抑える。ジャンヌからの視線を感じつつも元はそれを了解した。

 

「分かった。そう言われるのなら、ありがたくそうさせてもらおう」

 

「ありがとうございます。僕たちも夕ご飯はまだだから、何か頼もっか、明」

 

「はぁ……分かったよ」

 

 

 

 

 料理を食べ終えて明の車でオース保守派の基地へと戻ってくるジャンヌ達。明と別れて元と二人で母艦へと歩く中で問いかける。

 

「ねぇ、元は気づきました?」

 

 何に、とは言わない。だが元はその続く言葉が分かっているように返答をする。

 

「なんとなくな。あいつらの隠し事、ジャマーで読みづらかったがこっちに知られたくないものがあるっぽいな」

 

「やっぱり……」

 

 ジャンヌもまた同じ感覚を感じていた。今回の件に関係していると思われる案件についてと、代金を払う時のやり取りの二つに何か隠していると感じたのだ。

 元と同じで何を隠しているのかは見えなかった。二人ともDNLの読心能力を防ぐジャマーを身に着けていたため読み取れなかった。ある程度弱いジャマーなら問題ないが、流石にあのオース軍に所属する、していた二人、機材は十分すぎた。

 

「あの二人だから裏切っているということはないだろう」

 

「高をくくるのは正直危ないと思うんですが……でも、その方が高いですよね」

 

「あぁ、問題はそこまでして隠さなければならないことを、二人の間で共有しているってことだ」

 

 あの二人は幼少期からの幼馴染だ。というより、この島の若者は大抵島という小さな大地で暮らしているために、同年代はほぼ顔見知りだと聞く。

 仲がいいのは良いことだ。もっともその友情も三年前の戦争で崩れかけたのだが。それはともかくもし隠しているのであれば大きいものだと二人は感じていた。この時期で隠さなければいけないとなると間違いなく今回の件に関わってくることだろう。

 元も先程の密会を振り返ってため息を漏らす。

 

「俺達にも明かせない情報。もう少しだけ訊きだすべきだったか?」

 

「正直聞きたい気持ちはありますね。でも明日からもまた忙しいです」

 

 明日からは明後日の任務当日に向けての準備をしなければならない。今日の夜をこの時間に当てたために余裕はない。

 気になりはするものの今は二人を信じて明日に備えるべきだった。元も明日からの予定について触れる。

 

「明日は関係各所の下見と謁見だ。あの妹様も大変な中で時間を作ってくれている。そっちに集中だ」

 

「えぇ。エターナと衝突しないといいんですけれど……」

 

「……あいつも今は首長だ。エターナとはそうぶつかることはないだろう」

 

 頭を抱えながらも何もないとお祈りする元。二人はそのまま艦へと戻っていくのであった。

 

 

NEXT EPISODE

 




EP22はここまでです。

レイ「大和輝君は、やっぱりキラ・ヤマトって感じの人だったね」

ジャンヌ「戦いたくない、だから戦いの火種になることを拒んで表舞台から姿を消したわけですか。大守里奈という方と一緒に」

まぁやはり、キラ・ヤマトと言えばその不殺・平和主義なところですからね。それを自分なりに解釈するんでちょっと大変。アニメもっと見なきゃって思う。

レイ「でも藤和木ってシン君派だよね?」

ガンダム見始めた当初はキラ派けどね。やっぱシンの方が主人公のままストーリーを展開した方が良かったって思う。マジで変更になっていったの許さん。
とまぁそれは置いておく。

ジャンヌ「それはそうとして、元さんがその大和輝さんと会った理由は単に心配だったから、でしょうか?」

その解釈で合ってる。そこら辺はまた後々展開していくからね。という所で今回はここまでです。次回もお楽しみに。
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