レイ「カガリ、じゃない、明日那さんとの打ち合わせもとい熱弁を経て現地偵察って感じだったね前の最後は」
ジャンヌ「現地を確認してからサブタイトルの過去の日々を思い起こすって感じなんでしょうか」
そんなところかな。まぁどっちかっていうとEP23の明日那と進の会話もそれに当てはまってるんだけども。それじゃあどうぞ。
政庁を後にした宗司達はそのまま予定通り会場となる「種命島グランドスタジアム」へと向かった。
そこで元隊長から言い渡された当日の配置に沿ってオース軍の隊員に案内をしてもらいながら、場所の特性について確かめていった。
「俺達の配置場所は……ドーム内、ステージ付近の方か」
予定されているセレモニーの舞台脇、そこが宗司とエターナ達Gチーム+元隊長達の立ち位置だ。反対側の脇には進達ステージツーシリーズのパイロットが立つ。
オース側のリーダーを務める明は当日の予定されている状況について知らせる。
「HOWのCROZEGチームの皆さんにはこちらの右サイドを担当してもらいます。右サイドは美愛派の面々が位置する。そちらの方の確保は元さん達にお任せします」
「そしてそちらは明日那代表の護衛と、来賓ギルボード・デュランザメスの確保、か。まぁ悪くはない妥当な配置か」
元隊長の言うように、自らの国のトップを自分達で守る構え。来賓も出来るだけ傷つけない為に慣れたメンバーで行動するというのが目的だ。
明もそうだと答える。
「えぇ。昨日の戦闘を見る限り、直接的な連携を、というのは少々難しいかと」
「フン、俺は構わないですよ。こんなやつらと一緒に行動なんて」
「私の方も同じね。アンタみたいな色々飛んでくる機体とじゃ連携なんて出来ないし」
「何だと!?」
「何よ!?」
『……はぁ』
宗司と明のため息が被る。こうも見せつけられると本当に連携は無理なように思える。
ところが元隊長は考え込むようにして、明に提案を持ちかけた。
「確かに、この二人では少々相性が悪い。他の人員でも不安が残るだろう。だがこの宗司とエターナを含めて、そちらのステージツーの二人とを入れ替えてこちらの側に置いておく、というのは考えている」
「ちょ、元さん!?」
「ちょっと、何勝手に決めてんのよ!?私だってこいつの組むの嫌よ!?」
隊長の選択に反対の意志を示す入嶋、そしてエターナ。明もその意図を掴めずに訊き返す。
「は、はぁ。ですが彼らの相性は既に分かっているはず」
しかし、元は言う。
「一度ぶつかり合っているのなら、それだけ手の内は少なからず分かっているはずだ。そこから明日までの間に可能な限り連携を詰める。第一、こっちは訓練も兼ねてやってきているんだ。即席で組まざるを得ない状況の経験も積ませなきゃ意味がない。状況や相性が悪いのは目に見えている。だがそれでもやらなきゃいけないときはあるし、少なくともこいつらはやれると俺は思っているからな」
本来の目的は確かにこの護衛任務だ。だが元隊長は同時にこの場を俺達新人組の訓練の場ともしていた。
実戦投入も視野に入れての今回の行程で、隊長はなるべく経験を積ませようとしている。やや強引な気もしたが、向こうの隊長はその意向をくみ取った。
「……そう言えばそちらからも言われていましたね。分かりました。お力添えできるよう試してみましょう。その結果次第で、そちらの位置取りに変更するということでも?」
「構わない。出来れば当事者たち周辺だけでやっておきたい」
「ではこの後、基地のシミュレーターポッドの貸し切りを申請します」
そうこう言っている内に予定に訓練が組まれた。明日の為にもやっておいて損はないが、まさかあのインパルスのパイロットとコンビを組むことになろうとは。
もちろん不満が上がるのは当然だった。エターナが立場も忘れて元に物申す。
「おまっ!何勝手に決めてんのよ!」
「エターナ、目上の人にそんなこと」
「姉さんも止めてよ!?何呑気にこいつの独断許してるのっ!?」
「これが元ですから、もう慣れました」
「慣れたって……」
姉から遠回しに諦めてと言われたエターナが膝から崩れ落ちる。それほど嫌だったのだろう。
対する進も苦言を露わにしていた。
「俺も嫌ですよ、またこいつらと訓練なんて」
「進、この人に目を掛けてもらえるのはそうそうない。それにさっきも助けられただろう?」
「うっ、それ言われたら返せないじゃんか……」
が、こちらも先程の官邸でのやり取りを引き合いに出され押し黙ることとなる。返されてしまったことに仲間達がからかいを掛ける。
「ふふっ、シンってば墓穴掘ってんのー」
「うるさいルナ!」
「でもルナの言ってること間違ってないって。ねーレイ?」
「……まぁ、諦めるんだな」
「こ、こらアル!レイもそんなこと言うなよ……」
嫌だという声も結局抑え込まれることになった。こちらは不安を抱きつつも、隊長達はこの視察を進めることを優先した。
「さぁ、場所の把握はきっちりしておけ。どこから来ても自分が最大限生かせる立ち位置がどこか考えろよ?」
『はい』
「……あぁ、もう。最悪よ……」
「人の話を聞かない……まさに魔王だな」
「……はぁ」
3人それぞれが悪態を吐く。こんなので上手くいくはずがないと。
◆
嫌々ながらも視察終了後エターナ達は基地へと戻り、貸し切られたシミュレーションポッドルームへとやってきていた。
昨日借りた部屋よりも更に殺風景で、人員も堅苦しい人物が多そうだ。アキラが研究員と会話を交わしたのち、こちらに開始を告げる。
「では始めましょうか。相手に関してですが……」
「それについては、お前に頼みたい。影義隊長」
「えっ、隊長と!?」
ハジメの要請にススムがびっくりして訊き返す。それが事実だとハジメは答えた。
「あぁ。おそらく、その方が準備は手早く済むだろう?」
「えぇ。それに元さんの機体は以前のシュバルトゼロガンダムRⅡしかデータがないですから、流石にこの最新鋭機2機との対決は辛いでしょうし」
「そういうことだ。とはいえこの影義明も決して俺に劣る者ではない」
「それって……こいつがこの国の英雄って言う?」
エターナは昨日聞いていた話を思い出す。来馬から聞いた話。それによればこのカゲヨシアキラと呼ばれる男の本名は、アケザワタダシというのだ。
その問いかけに姉のジャンヌが驚きつつも肯定した。
「えっ、えぇ、そうだけど……どうしてそれを」
「クルバから聞いたから。温泉で」
「来馬さんかぁ。けどそれなら話が早いですね。そうです。彼はかつて戦争を終わらせた英雄の一人、明沢正というエースパイロットです」
ジャンヌが改めて紹介するとアキラ、もとい本人も答える。
「あぁ。とはいえ、元々はテロを起こした虚ろの零で事件を起こしてしまったんだがな。途中で寝返った形だ」
「寝返り……やっぱり、テロはダメだって思ったんですか?」
「そんなところだね。それをわざわざ明かさせた、ということは」
ソージの言葉に応えてタダシがハジメに問いかけた。ハジメはその答えを告げた。
「かつての英雄としての実力で、こいつらと戦ってほしい」
「やはり、ですか」
「え、それってつまり……」
何かを察したススムだったが、そうではないと先回りしてハジメが答える。
「流石にオースジャスティスで、とは言わない。だがオースセイバーでも当時の実力は引き出せる、だろう?」
「分かりました。ということだ進。お前にも見せていない本気で行く」
「ま、マジかよ!?あれよりもヤバいって?」
挑発染みたハジメに余裕と達観を含めた表情で応えるタダシ。
まだあの馬鹿が見たことのない本気をぶつけられるなんて、正直言って迷惑甚だしい。それをぶつけさせるこのクソハジメには恨み以外の何物もない。嫌がらせでしょ!
そんなことを心の中で思うエターナ。それを気遣ってか姉はプラスに考えるようにと言う。
「正直言って嫌がらせみたいに思うかもしれないですけど、これもあなた達が成長する様にとの元の考えです。強引なのは否めませんが」
「姉様もそう思うなら止めてよ!パートナーでしょ!?」
思わず反射的にそう返した。ところがそれは実にエターナ自身にとっての失言だった。
「あら、元が私のパートナーだって認めてくれるんですね?」
「あぐっ!?そ、それはそれで、でも……」
「うわぁ……」
それはエターナ自身が最も認めたくない事実。姉がアイツのパートナーになっているなんてことは今までも散々否定してきていた。
しかし今姉にパートナーとして止めるように求めたのは、パートナーであるという事実の肯定に他ならない。
同じく失言であることを悟っていたソージもため息を漏らす。何も言えないままクロワハジメに準備の確認を問われる。
「そろそろ始めていくぞ。チームプレーを心掛けろよ」
「は、はい」
「ぬぅぅ~!……あんた、一発で終わらせるわよ!」
「命令すんなよ!ガキの癖に!」
「……これは、時間がかかりそうですね」
「だから予定を繰り上げているんだがな」
上官達に心配される中で私達の訓練は始まった。
『ぐっ、避けられた!?』
『おいガキども、やられ……』
「ソージ!防御っ!!」
結果は、敗北の連続だった。シミュレーターが停止し、何度目かの排出がされる。
疲労感の溜まったまま、苛立ちを吐き出す。
「あぁっ、もう!これで何回負けてんのよ!」
「クッソ!こいつらがいなかったら、今頃俺なら勝てて……」
「一人で勝てるなんて、思い上がりも甚だしい!」
「何だとっ!」
「お前達!」
『がっ!?』
責任の押し付け合いの中タダシの手刀がエターナとススムの頭を直撃した。窘めるタダシは先程までの戦闘のミスを指摘する。
「相変わらず連携がなっていない。しかもさっきは呼び出したリヴァイバーユニットで味方を突き飛ばすなんて……」
「フン、トロいだけだろ」
「なぁ!?」
トロいと貶されて怒りのボルテージが加速する。だがまだ終わらない。
「そして、その時宗司君、いや、あれはエターナ君か。銃を向けかけていなかったかな」
「そ、そんなの何であたしに?あたしはあくまでパートナー……」
「あ、よく分かりましたね。エターナが操縦権奪ってました」
「おい!」
勝手に自分の行動を肯定されて更に自分の怒りを沸騰させた。
そんな勝手なことをやっていたと露見して姉のジャンヌから呆れの声が漏れる。
「エターナ、もしやとは思ってたけど……あの時やっぱり」
「ねね、姉様!違うの!ついカッとなって!」
謝罪なんかしなければ、早々にハジメも諦めたかもしれない。けれどもそんな事をしたらまた姉に失望され、姉にすら見捨てられてしまうと思い言えなかった。
何とかこの場を越えなくては。勝たなきゃ。そんな気持ちを高ぶらせる。
そこで時計を見たハジメが戦闘再開前に告げる。
「そろそろまた訓練再開したいところだが、今のままだとダメだな」
「そんなの最初っから分かってたじゃない!」
「しっかりしてくれよ!魔王が!」
ブーイングをぶつける不満組の二人。しかし圧されることも一切なく提案を行った。
「だから、少し休憩がてらの質問だ。お前達の戦う意味は何だ?」
「はぁ?」
いきなり、そんなことを問われる。が、ハジメは至って真面目であることを語る。
「共通の敵と戦うのに、理由がバラバラなのか?別に呉越同舟で戦わざるを得ない状況ではないはず。お前達が真に、何の為に戦うのか。それを理解する」
「それが、連携とどういう関係が……」
「それが分かってないようだから、今言った。君自身も戦う理由が揺らいでいるように思えるからな」
「……それも、DNLだから、ですか?」
「どうかな。ともかく、お前ら全員で確かめ合え。開始はお前らに任せる」
言って再びシミュレーションの準備が開始された。ポッドに戻ってポッド内回線が開く。
『って言ってたけど、二人は言う気は?』
「冗談じゃない。それだけで勝てるだなんて、そんなわけないじゃない」
『当り前だろ。俺が悪いだなんて、思わない。お前らが付いて来れないだけだ』
「お前……!」
ソージからの意見を一蹴する。言って何になるのか。二人は皮肉にもその点では共通した意見を持ち合わせていることも気付かずに。
そのまま試験空間に突入しようとした時、二人を抑えるようにソージは言う。
『協力しなくて、この訓練に意味があるのか?』
思わず息が詰まる。が、頭を振って考えを否定しようとした。
「な、何よ!これはあくまであのオースの隊長を落とすのが……」
『でもそれはあくまでこの中でのターゲットとしてだろう。目的は明日の為の連携の為。今連携出来なかったら、何の意味もない』
「ぐっ……!それが間違ってるってことを証明してやるんじゃないの!連携なんて出来なくてもやれるってことを」
『それで何回負けた?明日は何回ミスできるんだよ』
「……それは」
言葉に詰まる。明日は一度きり。やり直すなんて出来やしない。
例えエターナの最終的な目的が姉の帰還でも、姉の仕事を邪魔すれば目的が遠のくのは違いない。
今はこの世界の組織HOWの一員。姉に迷惑を掛けられない。こんなくだらないことを繰り返している暇なんてない。
けれども、あの男の指示にやはり素直に従うことなんて……と嫌悪感がぬぐえない。もちろんこの島の危機を放っておくなんてことを出来もしない。今組んでいるこいつも嫌だがハジメ程じゃない。それならいっそ、なのかと考え始める。
そんなタイミングでソージの意見に耳を傾けていたススムが言った。
『島外の人間が。偉そうに当たり前のこと言うなよ』
「偉そうにって!」
『……けど、事実だ。島外の、新人にそんなこと言われるなんてな』
だが先程までとは違ってその発言を認める返答をした。これまでとは違う返しに続いて語り出す。
『俺は兄貴に言われたんだ。軍学校に入った時、一緒にオースの首長達を、この国の人達を護ろうって。本当の兄貴じゃなくっても、俺や妹を拾ってくれた。親を結果的に殺した人だとしても、付いて行こうって、それ以上の人になろうって思った』
「親を殺したって……」
『避難している時に、兄貴が避けた敵の流れ弾に当たって……。俺達は咄嗟に庇われたんだ』
『それが、大和輝さんとの出会い……』
呑気にそんなことを話している場合か、と思ったもののこれ以上の時間のロスはよろしくないと自分の中に言葉を飲み込んだ。
続けたススムの言葉が二人に掛けられる。
『俺は、兄貴に見せつけてやりたい。戦場から逃げた兄貴に、今の俺はあんたと違って使命を果たしてるって。それをまず、今回の作戦で示す。きっと、見ているはずだから』
その言葉は奇しくもエターナの求める理想に酷似していた。クロワハジメに対する自分。姉を取り戻すときの姿に。
まだ雲を掴むような力しかない自分には遠い道を、この男は見据えていた。彼の誓いを聞いて複雑に思いながらも平静を装って返す。
「そう。見てないかもしれないのに、希望的観測なんて」
『そもそも、作戦が成功しなきゃ見せても意味がないんだ。それで、お前らはどうなんだよ』
「私らの戦う理由……は」
話を回されて戸惑う。がそれは全てソージが済ませる。
『少なくとも俺の戦う理由は、エターナの力になることだ。そして、エターナの戦う理由はお姉さんと一緒にもとの世界に帰ること』
「お、おいソージ!勝手に!」
『もとの世界?あぁ、お前確かあの魔王のパートナーの妹だったな、異世界出身とか』
「あぁ……もう!そうよ!私は姉様にもとの世界に帰ってきてほしいの!だからこの世界に来る羽目になった姉様の大切な人を探すの!取り返すの!」
勝手に話されたことに十分腹を立てる暇もなく勢いで話す。だが、そのままでは癪なので仕返しにソージの付属する点についても暴露した。
「あと、こいつは見知らぬ誰かを信じる自信が今はないから、暫定的に私を信じて力を貸すようにしているって感じ。エンゲージシステムで覗かれたから」
『まぁ、そうだな』
『ふぅん。エンゲージシステムっていうのも大変なもんだな。SEEDならそんなことないってのに』
「ハッ、言ってなさい」
タメ口を利いてさりげなく自賛が入る。だからエターナも同じく軽口をたたいた。だがそんなものはもうどうでも良かった。言いたいことはあるが、今すべきことはそうじゃない。
感情が抑えられたこのタイミングで二人を先導する様に開始を予告する。
「行くわよ、あんた達」
『分かってる』
『ついて来いよっ!』
シミュレーションが再開される。待ちかねた様子のタダシのオースセイバーに二機のガンダムが向かっていく。
NEXT EPISODE
EP24はここまでです。
レイ「うーん元君の考えがよく分からないなぁ……」
そこまで言うかい。
ジャンヌ「考え合っての事で、練度を高めさせたいっていうのは納得できます。けどそれならなおさら連携の取れてない入嶋さんも入れた方がいいのではって思います」
そらそうだろうね。とはいえその答えはもう出してるよ。紫音さんが言っていたように千恵里は中距離戦闘の基本そのものがなっていない。慣れてきたとはいえ、それを補強する必要があったから他で訓練する必要がある。だからこのシミュレーションでは参加していないって感じなんだよ。まぁもっと言うと、流石に正相手でも3体1は辛すぎるだろうって判断なのだろうけども。
ジャンヌ「あ、そっかそもそもみんな最新鋭機ですもんね」
レイ「考えればそれも当然ってことかぁ。全員が元君じゃないんだからね……。あれ、元君化け物?」
気付いたか……まぁそれは今どうでもいいんだわ。もっと言うと元君はジャンヌもいるから。
ジャンヌ「果たして次回勝利まで行けるのか、という感じですね」
予想外の展開になる予定ですがね。とりあえず今回はここまで。
レイ「また次回!」