機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。第2章の始まりです。藤和木 士です。

ジャンヌ「アシスタントのジャンヌ・ドラニエスです」

レイ「アシスタントのレイ・オーバだよっ!いよいよ第2章なんだね」

ジャンヌ「ですね。第2章のタイトルは……姉妹?今までにいましたっけ?」

レイ「新しいキャラ?」

うん、半分正解で、半分間違いかな。一応伏線は既に出ているんだけどね。さて、第2章も行ってみましょうか(´ω`*)


第2章 陰謀錯綜、姉妹の絆はガンダムの怒り?
EPISODE17 エラクス1


 

 ドラグディアの首都セント・ニーベリュング市で起こった騒動は、ハジメ・ナッシュ改め黒和元とガンダムの活躍により、無事終結した。同時に国境で起こっていたハジメ身柄引き渡し部隊による戦闘も、バァン・ウロヴォース少将の駆るドラグーナ・ヴォロスとガンド・ファーフニル少佐のドラグーナ・ガンドヴァルによりその場を制して負傷者の出たマキナス側が撤退。ヴールーン古戦場跡は事実上ドラグディアの領地となった。

 様々なことがこの事件……「救世主再臨騒動」で動いた。だがこれは後の始まりに過ぎなかった。そして、戦争の足音が静かに聞こえ始めていた。

 

 

 

 

 

 元は今、ドラグディア軍の司令部にある応接室にいた。あの後、警察部隊の突入と共に身柄の保護、そして聴取の為にと警察ではなく軍の者に同行を要請されたのだ。

結局ジャンヌ・ファーフニルを人質にした、聖トゥインクル学園立てこもり事件は、同時に起こっていた関わりの深い国境での救世主身柄引き渡し騒動を含めて、その深部に当たるガンダムを含めて詳細には情報規制が掛けられることとなるという。

 無理もないな。俺の事もそうだが、それ以上にお嬢様が今回の事件で負った心の傷は浅くない。あんな映像や音声が、ドラグディアの民衆に広まればファーフニル家の権威は失墜する。ここに来るまでの間に軍の人に聞いた話だと、学校の生徒達にも情報統制が教師を通して要請されるらしいが、それでも不安はぬぐえない。

 ふと、ジャンヌの顔が脳裏に過る。無事助け出すことの出来た主の顔は、恐怖から解放されたことへの安心感に満ちていた。あの笑顔を護れたことは自分にとってもかけがえのない大きなものだ。これからもそれを護るために、自分は何ができるのか。それを考える。

 

「……!」

 

 元が考え込もうとしたところで、自分が入室した応接室のドアが開かれる。元は反射的行動で立ち上がってその方向に向き直る。しかし、直ぐにその表情に波が生まれる。入室したのはガンドと同じドラグディア軍の軍服を纏う、老齢な男性。そして、自分が良く知る1人の女性であった。元はその女性に対し、その名を呼んだ。

 

「え……ローレイン……?どうして……」

 

「おっと、この立場として挨拶するのは初めてだったな。久しぶり、ハジメ」

 

 女性であるにも関わらず、男性の服装を着こなす姿は間違いなく元のマネージメント科のクラスメイト「ローレイン・ナーグ」その人だったのである。

 日頃からハジメであったころからの友人であり、何かと気に掛けてくれていた友人がなぜここにという元の疑問は軍服の老人が教えてくれた。

 

「彼女は我がドラグディアの情報局エージェント「ファントム・ナーガ」として行動してくれていたのだ。君の事も彼女が今まで監視していたのだ」

 

「なんかだましていたみたいで悪いな。けどこっちも仕事だった。正体明かして、これから本当によろしくな」

 

「あ、あぁ……よろしく……。で、貴方は」

 

 話を聞かされて元も全ては理解できない。だがしかしとりあえずは味方であると知った元は事態の付いて行けなさに戸惑いつつもローレインと言葉を交わす。それから老年の男性に名前を問う。

 

「自己紹介がまだだったね。私はドラグディア軍全部隊を統括指揮する総司令官、グランツ・フリードだ。君も知るフォーン・フリードとヴェール・フリードは私の子ども達なのだ。よろしく」

 

「総司令官……しかも、フォーンさんとヴェールさんの……初めまして、黒和元です」

 

 慌てて握手に応じる。まさか目の前の人物がそこまで重要な職に就いているとは思ってもいなかったので顔色を変えて対応した。

 グランツは微笑んで握手を行うと、あまり緊張しないように伝えた。

 

「そんなに慌てなくても、私は気にしないよ救世主殿。その呼び方は、やめた方が良いかな?」

 

「あ……はい、そうですね……。あんまり自分もそういう自覚がないので……」

 

「そうか。分かったよ、元君。それでは本題に入ろうか」

 

 グランツがそのように発言すると、外の景色が消える。おそらく外部からの監視を防ぐためのそういった機能なのだろう。密室感が強まった部屋で、お互い席に座ったところでグランツが話し始める。

 

「今回の一件で、君はMS「シュバルトゼロガンダム」を持った。本来MSは軍の保有するものであり、個人所有物ではない。ただ、君のMSは事情が違う」

 

「はい。というより、スターターの元々あったところとかが分からないから、特定のしようがない、って感じですよね」

 

「その通りだ。だが、それでも世間からして見てもMSの個人所有はあまり例がなく、また認可されたものではないから人から見てもあまり快いものではない。そこでだ」

 

 ローレインに指示をすると、彼女は元に対してとある書類を差し出す。その書類を元が手に取ると、グランツがその書類を説明する。

 

「君を、ドラグディア軍の特別民間協力者として軍に協力してもらいたい。もちろん、これは君のMS所有を正当化するためのいわば理由づけだが、私達としても欲を言ってしまえばガンダムの力を借りたいというのがある。署名は任意だが、これは事実上の……」

 

 言葉を濁すグランツ。しかし元にもそれが何を意味するのかは分かっている。口止めというやつなのだ。書類の内容に目を通していく元。

 特別民間協力者……非常時における戦闘への協力か。1週間に一度の整備ハンガーへモビルスーツの点検要求、監視員の配属もある。……あ、監視員はローレインなのか……後はMSの必要以上の情報流布……って、ん?

 元の書類を見る視線が、とある一文に注がれる。よく読んでからその条文の内容について訊いた。

 

「あの……この部分なんですけど……場合によっては軍への正式な入隊を要請するって部分」

 

「ん?あぁ、これは……戦争の激化によっては、本当に君に力を借りなければならないかもしれない。そうなった時の条文だ。先程も言ったように、私達もガンダムの力を欲しているのは事実だからね。それがどうしたのだい」

 

 グランツの説明、それは元も意味は理解できていた。ただ、元の望んだ回答はそれではない。先程の質問には更に続く言葉があるのだ。元は続くはずだった言葉を今伝える。

 

「あぁ……いや、これって自分が望むのっていいんですかって聞きたくて……」

 

「……つまり、君は軍に入りたいと?」

 

 グランツの指摘に頷く。元は先程、ジャンヌを護るために強くなりたいと考えていた。唐突な形ではあったが、このように軍という組織ならばそのための力を付けることも出来るのではないだろうか。それが元の考えだったのだ。

 まさか本人からそのようなことを望む声が返ってくるとは、考えもしなかった2人は顔を見合わせる。少し考えてからグランツは再びゆっくりと口を開く。

 

「君がそれを所望するのなら……ただ、君は今学生であるし……」

 

 グランツの言葉を聞き、とあることを思い出す。それはある意味周りの環境が変わるかもしれない発言だ。だが元は不安要素をなくすべく、その事を2人に明かした。

 

「あ、それなんですけど俺、二十歳すぎているんですが……」

 

「え、お前二十歳なの!?」

 

 ローレインから素っ頓狂な声がストレートに飛んでくる。そう、元は本来(もと)の世界では成人式を迎えた青年なのだ。この世界では出会った当初、ファーフニル家の計らいで17歳の高等科生として学園に編入したが、それはあくまでも仮。本当はちゃんと高校は卒業している。あまり楽しい思い出はなかったが。

 それだけはファーフニル家にも伝えなければなるまいと思っていたことだった。しかし、元も年齢によって生じる件には少し思う所があるため、相談しようと思っていた。ちょうど良い機会だったので元はそれを伝えたのである。その話を聞き、伸びた髭を擦るグランツ。

 

「そうだった……君は記憶を失っていたから、仮の戸籍では17歳だったね。……それなら軍への入隊もさほど問題ではないが……学校の方は?」

 

「それを相談したいんですが……今は在籍させていただきたいと思いまして……」

 

「ほぅ?」

 

 一瞬、グランツの眼が鋭くなる。その眼は見た目が老いていても未だに威圧感を放ち、元の息を止める。

 凄まじい眼光だ。おそらくここが戦場だったなら、同時に銃を向けられていたのではないだろうか。彼が若ければ同時にその手がこちらに伸びていたかもしれない。というより既にこちらに襲い掛かってくるビジョンが眼差しと共に出てきたほどで服の中じっとりと汗が濡らしている。

 蛇に睨まれた蛙のような気分を感じていた元だったが、口の中に溜まった唾を呑みこむと、ローレインの視線もある中自らの重くなった口から理由を告げた。

 

「確かに自分は記憶を取り戻しました。でも、この世界の事を俺はまだよく知らない。もっとあの学校でこの世界の色んなことを知りたい。それにお嬢様をもっと近くで護りたい。だから、まだ学校にはいたいんです」

 

 元の素直な気持ちだった。あの学園ではまだやるべきことが元にはあったのだ。それを聞いて、一拍置いてからグランツが答える。

 

「そうか。分かった。学園にはこちらから話を通しておこう。それとガンド君にも伝えておかなければな」

 

「……!ありがとうございます!!」

 

 さっきとは一転して穏やかな表情を見せたグランツは、納得してそれを許した。元は深く一礼する。元の懸念が晴れたことにローレインも傍まで来て労いの言葉を掛ける。

 

「良かったな、ハジメ。けど本題は違うだろう?」

 

「あぁ、そうだな。それで軍にも生活していくためのお金くらいは出したいと思っていたので……それにまたお嬢様が同じ目に遭った時、いや、そうならないために強くなりたいんです」

 

 元は事情を説明する。お金の事以外にもジャンヌをまた同じ目に遭わせたくないということも伝える。すると総司令は頷きながら元にとある名称を告げた。

 

「おぉ、それもあるか。そういうことなら、非常勤軍人としての採用がいいかもしれないかな」

 

「非常勤軍人、ですか?」

 

 その単語を復唱する。非常勤というのは元にも分かる。しかし、軍人は非常勤でするものなのかという疑問が浮かぶ。するとその疑問にローレインが回答してくれた。

 

「まぁ大元は特別民間協力者と同じだ。けど非常勤なら軍のトレーニング器具とかが使えるし、戦闘・戦術の勉強も出来る。こっちも監視はしやすいし、それだけじゃなくMSのメンテナンスもやりやすい。ガンダムの整備も行いやすいから、こっちとしてもウィンウィンの関係だから軍としてもお願いしたい、理想的な関係ってことだ。それでもいいならいいんだけどよ。どうする?」

 

 話を聞き、どういうものか納得する。なら答えは決まっている。元はグランツに対しそれを要請した。

 

「はい。その方がそちらも良いのでしたら、自分も非常勤軍人としてこの先お願いしたいです」

 

「ふっ、了解した。申請はこちらに。ただ手続きにも時間がかかるから今すぐには無理だが、先にガンダムの簡単な整備には後で出してほしい。ローレイン、案内を」

 

「はい、総司令」

 

 先にローレインとグランツが立ち、それに元も続く。部屋を出ると今度はよろしくの意味を込めた握手を交わし、元はローレインと共にMSハンガーへと向かった。

 

 

 

 

「……もうこんな時間なんだな……」

 

 元は竜の背中でそのようなことを口にする。MSハンガーでシュバルトゼロガンダムの整備をお願いした後、しばらく時間を潰した元は夕刻となって用件を済ませた。それまでの間ローレインとこれからどうなるのかについてを話し合っていたのだが、思ったよりもガンダムの整備に時間が掛かりそのせいでこのような時間まで総司令部の基地にいたのだ。

 ガンダムの整備ハンガー担当となったのはヴェール。先の事件で元に色々と関わってくれたこともあり専任の整備士になるそうだ。ただ彼女の指摘もあったのだが、ガンダムの機体パーツ各部にどうもガタが来ているらしい。元々何千年も前の機体でもあったがそのせいで機体のシステムにも障害が出ているらしく、一度大きなオーバーホールに来てほしいとのことだった。

 元もそれを了承し、修理用パーツの確保の為に今日は一旦スターターを返却してもらい、帰宅となった。ちなみに今元が乗っている竜はドラグディア軍が用意してくれた移動用の飛龍だ。元の前には飛龍を操る騎手の男性が同じく竜にまたがっていて飛龍をコントロールしていた。眼下の景色は煌びやかでとても今日事件があったとは思えなかった。

 とはいえ、元もこの高さには少し恐怖を感じていた。いくらガンダムで飛んだとはいえ、あの時は全く高さなど気にしていなかったのに、今は気にしてしまうほど高いところは得意ではなかった。しかしすぐに目的地だと言われ、心を引き締める。果たしてジャンヌは今どうしているのだろうか。時刻は夕飯の時間を過ぎていることからおそらく家の人は全員休憩時間だろう。お風呂の時間には早い。帰るころとしてはそれなりにベストではないだろうか。

 と思いつつ見えて来たファーフニル家の屋敷を空から見下ろす。しかし、元の視界には予想外の光景があった。

 

「さてと…………あ」

 

 それは不意を突かれたとでもいうべきものだ。予想が外れていた。しかし悪い方ではなく、この場合はいい方の意味だ。元の口元が唖然と開く。家へと続く正門からの道に家に仕える使用人達が勢ぞろいしていたのだ。

 家に勤務しているほぼすべての使用人が庭の噴水前まで続いている。その壮観さに元や竜の騎手も驚いている。飛龍がそのまま低空飛行して噴水の奥まで降下すると、そこにガンド達が待ちわびるかのように整列していた。

 

「戻ってきたな、ハジメ」

 

「当主!それに奥様やフォーン様、それにネア先輩まで……そちらの方は?」

 

 着地した竜から飛び降りた元は当主にそのように言葉を投げかける。飛龍の騎手は送り届けたのを確認すると、また空へと上がり帰路に就く。元の疑問にクリエが答える。

 

「そういえばハジメ君は初めてだったわねぇ。私の娘たちと一番上の子のお婿さんよ」

 

「初めまして、私はジーナ・ボルメス。ジャンヌの姉よ。よく私の妹を護った、少年!!」

 

「相変わらずジーナは妹に過保護だよ……。僕はジーナの婿のテュート・ボルメスといいます。初めまして、ハジメ君」

 

「あぁ、はい。前はハジメ・ナッシュと名乗っていました、黒和元です。お二方ともよろしくお願いします」

 

 先行して挨拶する夫婦に元は丁寧に頭を下げる。2人もまるで親戚のおじいちゃんおばあちゃんのように元に接してくる。

 

「あらあら!こんな子が付き人なんて、ジャンヌが羨ましいわ~。将来のお婿さん候補じゃない」

 

「そ、そうですか?」

 

「こらこら、ジーナもからかい過ぎるんじゃないって。でもガンダムの使い手がボディーガードなら、この先またあんなことになるのは杞憂になりそうだね。フォーンさんも彼がいてくれると助かるんじゃないですか?」

 

 テュートの誘いにフォーンは一息ついた後、その言葉に返答する。

 

「そうでもないさ、戦闘の型がなっていない。お嬢様を護るならもっとしっかりしてもらわねば困る」

 

 フォーンらしい手厳しい言葉だ。元も分かっていたとはいえ少し気落ちしてしまう。しかし、その言葉に当主であり、ジャンヌやジーナ達の父でもあるガンドはフォローを付ける。

 

「フォーンの言葉は一理ある。だが初めてであれなら筋はあるさ。後はこれから指導者に師事すれば何とかなるさ。な、ボディーガードの講師?」

 

「……確かにそうだがその言い方はやめろ」

 

 当主の話にフォーンは釘を刺すような眼差しを向ける。その様子がまた一色触発のようだったので、元はもう1人の方にも声を掛けようとする。

 

「あ……そ、それでそこの彼女は……」

 

「…………あ゛?」

 

 すごい拒絶の声を出されてしまい、同じく引いてしまう。年齢はジャンヌより低めだろうか。しかしジャンヌの面影がどことなくある少女は、ふくれっ面を通り越したまるでごみを見るかのような視線でこちらを見つめている。その視線は奇しくも、数日前までジャンヌが自分を見ていた目と同じものであるのが皮肉であった。一難去ってまた一難である。

 しかし、そのタイミングでそれを乏しめる声が屋敷から響いた。

 

 

「―――――エターナ、彼はわたくしの従者ですよ。挨拶なさい」

 

 

 帰ってきたことへの喜びで沸く中庭に矢を飛ばすように鋭い、だがはっきりとした声が響く。その声は元にとって懐かしさのある、だが今日聞いたばかりのものだ。その声は自然と元の視線をその方向に向けさせた。

 視線の先にいるのは、自分が護った彼の主。切り傷などに包帯やガーゼなどを当てている姿は本来の彼女らしくはないが、それを忘れさせるような白の高貴なワンピースドレスに身を包んだ姿はそれを忘れさせるほどだ。元は彼女の名を呼んだ。

 

「ジャンヌお嬢様」

 

 元の主、ジャンヌ・ファーフニルは確かに元の視線の先、ファーフニル邸の玄関口の階段をこちらに向かって降りてきていた。腕を庇うような形でその視線をこちらに向けてくる。

 一方ジャンヌに乏しめられたエターナという少女はその続柄としての名を口にする。

 

「お、お姉様。……エターナ・ファーフニルよ」

 

 姉であるジャンヌにうろたえつつ、エターナは自己紹介する。とはいえ先程よりマシになっただけで、未だその眼には敵意を感じる。元もそれは分かっていたがむしろジャンヌとよく似ている面が強調されていて、姉妹というのを感じやすいと思ってそれには触れない。こちらも挨拶をする。

 

「よろしくお願いします、エターナ様」

 

 その声にエターナは何も返すことなく、そっぽを向く。それに呆れた様子でジャンヌはやってきて元に声を掛ける。

 

「……ハジメ、その……あの時はありがとう……。誘拐事件の時と、今日の事」

 

「いえ、それよりもお嬢様がご無事で何よりです」

 

 膝を地面に付いて、頭を垂れる。ハジメの時の記憶が残っていることから体はスムーズにその体勢となる。記憶を取り戻した直後の戦闘後でも見せたそれは、初めて家族たちが見ることとなった2人の主従関係の象徴だ。各々の表情が反応する。

 しかし言葉が自身に向けられる前にジャンヌはその顔を上げさせ別の話題に切り替える。

 

「ん……今は顔を上げていいわ。それよりハジメ、貴方の名前の事なんだけど……」

 

「え、あ……あの時も言いましたが、それがどうかしましたか?」

 

 元がそう聞くと、ジャンヌは顔を逸らしまごついた様子ながらもそれを聞いた。

 

「その……クロワ・ハジメって、言ってたじゃない?だからこれからクロワって言った方が良いのかしらって……」

 

 名前の呼び方に戸惑うジャンヌ。ドラグディアはそのほとんどが自身の名前が前に来る名づけであり、元の本来の名での言い方は彼女に混乱を与えていたのだ。とはいえそこには少なからず名前で呼ぶことへの羞恥心がジャンヌにも出てきていたことでもあった。

そうとは知らず、また元もそこまで名前に気になる方ではない。だから元は落ち着いた様子で自分の名前について説明した。

 

「大丈夫ですよ。自分の名前はファミリーネームが先に来る名づけ方なので。これまでの呼び方で慣れていらっしゃるのならこれまで通りで。後自分の名前漢字で名前を書くので……」

 

「何、君の名前は漢字で書くのかい?それは……」

 

「救世主じゃないっていうけど、流石救世主ガンダムの機体を駆る子ね。まさかドラグディア国内でも一部の地域でしか名前に使われていない漢字を使うだなんて……!」

 

 漢字と言う単語にボルメス夫妻が反応する。漢字による本名命名はドラグディアでは珍しいものなのだ。元も漢字がここでは珍しいことを納得する。ジャンヌも姉夫妻の興味には触れず、名前の事だけ少し考えてから結論を出す。

 

「そ、そう……じゃあ、これからもハジメ、って呼んでいいかしら?」

 

「えぇ。よろしくお願いします、お嬢様」

 

 2人の間で呼称が決定する。2人の信頼関係がようやく出来たような瞬間である。それを見ていた当主ガンドは納得したように頷きながら、まだ出迎えがこれからであることを伝える。

 

「さぁ、いつまでもこんなところで油を売っていないでみんな中に入ろう。今日の夕食は豪華だぞ!テュート君も一緒に」

 

「キャー!お父さん太っ腹~!!」

 

「あ、ありがとうございます、お義父さん」

 

「エターナも、今日は久しぶりに家族や家の人みんなでご馳走よぉ」

 

「…………うん!」

 

 家の中に次々と入っていく家族たち。元とジャンヌも従者であり先輩であり、家族に最も距離の近いネアとフォーンと足並みを揃えて家に入っていく。

 

「今日はハジメ、お前の祝いの席だ。遠慮するな」

 

「あはは……フォーン様にそう言われると、何だか不思議な気分ですね」

 

「そうらしいわよ、フォーン?」

 

「……片付けは手伝わせてやろうか?」

 

「え…………あ、いや……」

 

「フォーンさん、今日はあまりハジメさんを困らせないであげましょうよ。お嬢様も、久しぶりの夕食楽しそうですよね」

 

「……えぇ。特にネアも含めた従者一同となんていつ以来かしら」

 

 4人は主と従者の関係を程よく忘れた、穏やかな会話を交わしながら家に戻っていく。その日のファーフニル邸は活気に満ち溢れていた。それはまるで、新たな門出を祝うかのような活気であった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。今回は前章のエピローグ的な視点でもありました。

ジャンヌ「そういえばわたくしモチーフのキャラ3姉妹でしたね……ということはわたくしがまた中心に?」

レイ「あれ、でもジャンヌちゃん関連で前に伏線なんてあったっけ?」

さて、そこら辺は次回明らかにする予定です。
というか先日からツイッターで呟いていたんですが、あのVチューバ―に影響されて制作放置していたMGレッドフレーム改組み上げたんですよね(^ω^)いやーアストレイはフレームとか日本刀がカッコいい。斗和キセキ本人も曲とかはいい感じですし。

ジャンヌ「あぁ、あの斗和キセキって娘ですか。いきなりクローゼットからガンプラの箱を引き出して組み始めた時は驚きました。そういえば前作SSRのゼロも日本刀がありましたよね。あれもレッドフレームが関係しているので?」

いや、あれはヴァル○レイヴ。まぁ初期に考えたゼロとかはそれがモチーフ元だけど。

レイ「でもカッコいいよねー。あんな三角形背負ってみたいなぁ」

お、これはVチューバ―レイさんのフラグか?(´Д`)

ジャンヌ「でもそれやるの藤和木ですよね?」

一応その解釈で間違ってはいないから困る(´・ω・`)では本日はここまで。

レイ「次回もよろしくねっ!」
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