ネイ「遺伝子で人の未来、国の未来を定めようとするギルボード・デュランザメス、ですか」
グリーフィア「いよいよ本性現して一戦交える感じねぇ。勝算あるみたいだけど、ひょっとして裏切り者かしらねぇ?誰が敵で、誰が味方か、何がそうさせるのか……ってところ?」
そこは見てからのお楽しみ。というわけで本編をどうぞ。
デュランザメスと歌峰の号令で美愛派が一斉に行動を開始した。真っ先に美愛を狙おうとする美愛派のオース軍MS。そこに進は割って入る。
「進!」
「下がってろ!」
光刃を受け止める。直後テレビ局がパニック状態へと陥り、会場の外へと逃走を始めていた。
明日那を護らなくちゃいけないけど、騒ぎに他の人は巻き込めない……俺は目の前の敵をシールドのガンポートから狙撃すると、そのままビームサーベルで続く2体目、3体目を切り裂く。
「こいつら!」
「っ!進!」
3体目を撃破したところでアイツ、相模の声が飛んだ。明日那の後方から狙撃する敵機が居たらしく、それを相模が迎え撃っていた。更に直援に月子と零が付いて明日那を護衛する。
うかつだったとはいえ、自然と進が前衛となる構成だ。反対側の防衛も、或と加子、そしてHOWのチームGの残りが相手をしてくれている。そして何より、あの魔王がいる。
「いやはや、やはり君の力、圧倒的だね」
襲い来る敵機を次々と落としていくジェミニアスを見て、そう称賛したデュランザメス。圧倒的な戦力に美愛派も徐々に後ずさる。
ある程度を沈黙させたところで攻撃が止まる。圧倒的な状況に対し、降伏勧告を行う黒和元。
「ここまで、か?ギルボード・デュランザメス」
「ここまでか……それは私が判断するものではないよ」
「まだ、やる気か」
未だ降伏の意志を見せないデュランザメスは余裕を崩さない。その余裕に苛立ちを覚える。こんな状況でまだ勝てるなど到底思えない。何がアイツの余裕を持たせているのか、疑問が尽きない。
ならばと進も降伏を要求した。
「もうあんた達に勝てる見込みなんてないだろ!降伏しろ!大人しく捕まれ!」
「フン、君があの大和進……いや、飛鳥進と言った方がいいかな」
「……何で俺の昔の名前を……」
デュランザメスの発言に動揺する。その名前は、自分のかつての名前。本当の両親達と暮らしていた時の名前だ。それをなぜ、目の前の男が知っているのか。
進の疑問にデュランザメスが答える。
「当然さ。私はかつてこの島の研究者。しかも君は私が君の両親達から依頼され、遺伝子を調整した張本人なのだから」
「何だって……」
信じられない。だがあり得る話だ。この島の科学者なら必ず一度は経験するという遺伝子調整訓練。島に生きる人間としての心構えとしてあった。
デュランザメスもまたその考えを肯定する。同時に更なる事実を語った。
「君も知っているだろう。この島を生きる者として一環の作業。だが私はその中でも遺伝子調整作業を生業として来た専門だった。だからこそ言わせてもらおう。君は戦士として非常に類まれな才能を持っている。そう、調整した。君の兄、大和輝も含めて、ね」
「!?輝義兄さんと……?」
「……」
「私は君を良く知っている。君が目指すべき世界は、そちらじゃない。私の下へ来るんだ。それが君の遺伝子にとってもっとも幸福なことなんだよ」
デュランザメスは懐柔を求めてきた。自分が作ったから従え。第三者からはそう思える言葉だ。
無論進はそれを全力で否定した。
「何だよ、それ……ふざけんな!なんでそんなことを!」
「それは残念だ。だが猶予は与えよう。これを目にしても、まだ抗うかな」
「何を……」
する気だ、とデュランザメスに問おうとした時、後方が騒ぐ。
「なっ!?」
「ちょっとレイ!?」
「火葉零、貴様!」
「え……」
チームメイトである零の名前が呼ばれたのに気づいて見る。そこにあったのは、信じがたい光景だった。
「…………」
「零……何やってんだよ!?」
零はビームライフルを構えていた。しかしその銃口は敵であるMSやデュランザメス、歌峰美愛にではなく、自分達が守るべき明日那に向けて向けられていた。
動こうとした進に、零はシールドを向けて警告する。
「動くな。動けば彼女達の命はない」
「ちょっと、零!っあ!?」
「動くなと言った!」
「月子!」
抵抗しようとした月子に対しビームを放つ零。明日那を守るように月子はシールドを構えて防御する。動こうとする進、しかしそれもまた別の声で遮られる。
『おおっと!こっちもいるんだけどねぇ!』
『抵抗するなら、容赦はしないわ。隊長』
「えっ!?」
「くっ、或、加子!?」
或と加子もまた先程まで共に戦っていたにも関わらず、HOWのもう片方の部隊と敵対する構えを取っていた。
頭に過るその言葉を、明が言った。
「裏切った……のか。いや、最初から……」
「えぇ、そうですよ明。いや、明沢正」
裏切り者。それがこんな、身近にいたなんて。味方、仲間だったはずの零に憤りを訴える。
「なんで、どうしてだよ、レイ!」
「……シン、お前に話すことはない」
「ふざけんなよ!今までずっと一緒に戦ってきたのに、相談にも乗ってくれたお前が!何がどうして、だましたりなんかしてたんだよ!答えろ!」
そう叫んでも零は銃を下ろさない。再び月子にビームを放ったオースカオスを見て、進もインパルスを動かそうとする。
「きゃっ!」
「ルナ!クソッ!うっ」
だがシールドのバルカンが威嚇射撃として足元を撃つ。紛れもなく零のオースカオスのシールドから放たれた弾だ。
意識が再び零に向けられる。その零が答える。
「俺は、お前達とは違う。生まれも、人種も」
「はぁ?何言って……」
「俺がその昔、蒼穹島から越してきたのはお前達も知っているだろう」
「それは……まぁ」
零の言葉に頷く。確かに零は蒼穹島の出身であるとかつて話した。蒼穹島もまた自分達オースと同じように遺伝子改良で子孫を残していく人工島。零もその例外ではない。
零が越してきたのは蒼穹島が明確にゼロンに付く前の話だ。ゼロンに与した島の出身で最初は疑われたが、それも俺達が払った。
生まれた島も、遺伝子調整の目安も両島で違うのは承知している。それでも自分達は同じ国を守る仲間だと思ってきた。それを進も伝える。
「だけど、それだけで何に……」
それに対して、零は否定する。そんな単純な話ではないのだと。
「いや、俺にとっては軽い問題じゃない。俺は遺伝子を操作されてはいない」
「は?じゃあ、お前は何で蒼穹島で……」
「俺は…………人間の「クローン」だ」
「え……えぇ!?」
◆
俺、火葉零が生まれたのは部屋に並べられた巨大な管に入った培養液の中だった。
蒼穹島は元々、オースとは違う側面で宇宙、人と人を繋ぐ人種を作ろうと研究に取り組んでいた。その頃は既にテストケースが成功し、最初の子ども達が力を芽生えさせるのを待ちながら次なる子ども達を育てる頃だったという。
だが、そんな彼らに、とある者が接触してきた。男は言った。
『蒼穹島の技術力で私に相応しい後継者を作る手助けをしてほしい』
男は優れた才覚を持っていたが、子どもに恵まれなかった。不妊治療をしても出来る子どもに対し不安があったその男は、蒼穹島の遺伝子操作を以って完璧な後継者づくりを行おうとしていたのだ。
蒼穹島も最初はなるべく期待に添えるように苦心した。ところが男の要求は非常に難題であり、多々求めた「完璧」に苦言を吐くようになった。
中々後継者づくりが上手くいかないことに男も不満が募っていく。あらゆる分野で富と名誉を手に入れた男は自分の思い通りにならないことが大嫌いだった。自分の後を継げるのは物語によくある「転生」をした自分だけだと思うほどに。
その考えに至った時、男にとある考えが思いつく。遺伝子に通じる蒼穹島に提案を持ちかける。
『私のクローンを作れ』
それは禁断の考えだった。蒼穹島側は即座に反対を唱えていた。しかし科学に詳しくない男にとってはそんなものは既に有象無象。自分と同じ人間なら、きっと自分の後継者に相応しいと考えを曲げなかった。
やがて島の秘密を世界に晒すと恫喝した男にノーと言えず、蒼穹島は禁忌のクローン製作を開始した。当時の政府からも何らかの圧力があり、蒼穹島は板挟みに遭いながら何人かの男のクローンを作り上げた。
その中の一人こそ、火葉零だった。だが火葉は後継者としては選ばれず、代わりに最初に生まれた兄がその男の後継者として引き取られていった。
「生まれた残りの俺達は秘密裏に各地の孤児院へと移されていった。男には後継者が一人要るだけであとは用済みだったのさ。俺は只一人、蒼穹島の中で育てられた個体だった。それでも、人並みに生活できるようにしてもらったがな。罪滅ぼしのように」
やがて蒼穹島で生活していた俺の耳に、クローンを作らせた男が火事で焼死したと知らせが届いた。
不審火と処理された事件だが、どうやら男は後継者として選んだ兄が気に入らなかったらしい。同時にクローン体である俺にテロメアの不備が知らされた。クローニングの際に細胞が異常を起こし、俺達の寿命が常人より短いと言われた。それから島の科学者によってテロメアの寿命を伸ばす薬が作られ、服用するようになった。
生きられる時間は長くなったが、薬が切れると激しい苦痛に襲われた。苦しむくらいなら死んだほうがましと思えた。引き取られた兄は寿命の短さに満足のいかなかった男に消されそうになって、火事を起こして消えたのだろうとその時思った。やがてそれは本当だったと証明された。
「そしてそれから幾年が過ぎた後、3年前の事件で雲隠れしていた兄が「虚ろの零」で活動していた。お前達英雄組がよく知る、狂真嵐が世界の復讐に乗り出したのさ」
「何だって!?」
「狂真嵐……あの人が、零の兄……」
実際に見たわけではなかった。オースへと留学していた時期と重なってこそいたが、自分もまたその時は被害者として巻き込まれており当然その黒幕が自分の兄とは知らず、それどころかはた迷惑だと思っていた。
しかし事件が終わって蒼穹島に一時帰国した俺は、製作者から事実を告げられた。今回の主犯は狂真嵐だったと。兄弟島かつテロリストの生みの親でもある蒼穹島にもその情報が回るのは当然だった。
ショックだった。自分の兄があんな事件を起こしたなんて、ではなく、兄が志半ばで散ったことに。死ぬくらいならとこの世界に復讐しようとした兄に、心の中で敬意を覚えた。そんな中で、俺に転機が訪れた。
「兄はこの世界の不条理に反旗を翻した。その行動に俺も賛同した。そしてその時、島にゼロンがやってきた。やってきた者こそ、兄を支援し続けていたギルだった」
「ギル……あんたか」
「そう。彼は私の友人だった。彼の不運を救い、また私も彼に助けられた」
ギルボード・デュランザメス、ギルもまた蒼穹島と種命島に恨みを抱いた者の一人だった。
己の運命を歪められ、そしてそれは種命島では変えられないことを思い知った彼は虚無戦争よりも前に島を出ていた。
島を出たギルは己の理論を証明できる場所を探して各地を転々とした。やがてそれを受け入れてもいい場所が見つかった。それこそゼロンだったのである。
ゼロンの構成員となっていたギルに接触した人物こそ狂真嵐だった。遺伝子に弄ばれることに憎しみを抱いていた二人は意気投合し、やがて嵐の計画にギルが協力した。
「私は彼、狂真が行動を起こせるよう種命島への在留許可に力を貸した。結果的に彼は敗れたが、彼のおかげで今回の足掛かりが出来た。そして、美愛、或、加子、なにより零という協力者も得られた」
「あんた達……!」
「こっちに付いた方がもっと戦争を楽しめるみたいだしね♪」
「悪く思わないで月子。割りがいいのよ、私にとってこっちの方が」
或と加子が歯噛みする月子に告げる。これが俺の、火葉零のこれまでの人生だった。ギルに会わなければ、俺はどこかでリタイアしていただろう。目標となる嵐、そして道を示してくれたギル……。彼らの願いを叶えることが、俺の使命!命の使い道だ。
それをこれまで共に戦ってきた、形だけの戦友、もっとも敵視すべき男に告げる。
「俺の使命、ギルの願いの為に、お前達には消えてもらう!進、お前もだ」
火葉零は、願いを果たすためオースのエースと魔王に立ちはだかる。
◆
「零……くっ、何で、なんでなんだよ!?」
零の話を聞いて、なおも問いかける。こんな状況、想像はしていても納得しがたかった。零は軍学校のルームメイト時代から、共に過ごしてきた仲間だった。或や加子が裏切った事よりもその衝撃は計り知れないほど大きい、義兄が軍を引退した並みだろうか。
進の反応に零は再度言った。
「言っただろう。俺はクローン。人並みの幸せなど当にない存在……。生み出した蒼穹島と同種のこの種命島、それを推進した日本政府を、粛清する!ギルの下で!」
「ふざけんな!クローンだか何だか知らないけど、だからってそんな奴らの考えに従って!」
裏切られたこと、それが一番の怒りの種となって進を激情に走らせていた。お前も輝義兄さんと同じなのかと、言いたかった。
怒りをぶつける進に対し、ギルボード・デュランザメスが言う。
「友を想う、その気持ちは分かる。だからこそ君もまたゼロンに加わるべきだ」
「はぁ……?」
「デュランザメス、何を……」
「君もだよ正。君達は力を持っている。ゼロンにとって必要な力をね。不幸なのは君達が大守明日那、そして日本政府の為に振るおうとしていること。彼等では君達を生かせない。それは無論、そこにいるHOWの魔王もまた同じ」
進と正に、勧誘を持ちかけるデュランザメス。同時に黒和元を乏しめる。デュランザメスはその根拠を語る。
「では君達の何を以って、私がそう言えるのか。簡単だ。遺伝子さ」
「遺伝子……?」
「そう。君達2人の遺伝子は、ゼロンの理想を体現するのに必要だ。君が明日那代表と反発し合っているのがその証拠さ。君は無意識に、遺伝子のままに彼女の考えに拒否反応を起こしている。私は遺伝子ですべてが統制された世界を求めている。それこそが平和を作り出せる方法、私にはそれを裁定する目がある。目覚めるんだ、君達自身の使命に。零と一緒に、この世界を変えるんだよ。君の本当に望む世界は、我らと共にある。平和を騙る悪である彼らに、鉄槌を与えよう。この世界の未来を、共に」
デュランザメスの言葉が混乱を誘う。いつの間にか、観客席の方にはテレビ局員に化けて潜入していたゼロンの構成員の纏ったMSが会場の警備を行っていたオースMS群を制圧している。絶望的な状況に陥っていく中、進の頭が考えに呑まれていく。
家族との思い出、輝義兄さんの家族との記憶、軍学校での騒がしくも楽しかった日々……。その中で俺が求めたのは……求めてたのはこの島の崩壊……?
「くぅ……うぅ……!」
「時間の問題か。なら……!」
悩む進を見てそう言った零は今なお明日那を護衛する月子に勧告を行う。
「月子、潮時だ。そこを退け」
「誰が!」
「そうか。だが後ろからもお前達を狙い撃つ」
「っ!或……!」
零の反対側に位置取っていた或が、砲門を展開して明日那と月子、HOWの狙撃手を狙い定める。陽気な声で味方殺しを喜々として話す或。
「まとめてやっちゃうよぉ!月子ォ?それに」
「或!止めろよ零!」
「止めたければ、お前がやれ」
「えっ?」
零はこちらに、強く言って来る。
「お前が、大守明日那を撃つ。そうすれば被害はそれだけで済む。お前の意志を示せ」
「零!進聞くな、代表を撃つなんてこと」
「あなたは黙っていてください正。これは進の問題だ。さぁ進。選べ、お前の選択で、この国の未来を、明日を!」
「う……俺は、俺は……」
「シン!」
仲間とそうだった者達の言葉が交錯していく。その様子を、ただ黙って見るだけのHOW陣営。流石に我慢が出来ずに相模達も隊長への指示を、要請を行う。
「元隊長、どうするんですっ?」
「さっき回線で、基地の方に向けて島外からの増援がって言ってましたよ!?」
「やっぱり、ゼロンには勝てない……そうなんですか?」
「ちっ、ここで終わりなんてまっぴらごめんですぜ、隊長!」
「元隊長……」
Gチームからの呼びかけに黒和元は答えない。動きをほとんど行わず、ただデュランザメスとにらみ合うままだ。
そんな様子を見かねてか、デュランザメスは話さないのかと問う。
「いつまで、そう黙り込んでいるのかな。いくら君が負けを認めたくないと思っていても、それでは示しが……」
「……フッ。負けを認めたくないのは、お前だろデュランザメス」
「何を言っているのかな?時間を与えた上でこの絶望的状況。もはやチェックメイトだ」
デュランザメスの言葉はその通りだった。どうあっても勝てるわけがない。
しかし、相対する元は言う。
「お前は島のルールに屈して、島を出た。だがそれが認められないから、こうして自分自ら島を自分の物にしようと戻って来た。それに今の状況はチェックを掛けられただけだ。対象が死なない限り、チェックメイトではない」
「負け惜しみを……」
「まだ負けていないからな。それと、お前は俺の遺伝子を見たようだが、どうだったんだ、その結果は」
元の質問に対しほくそ笑むデュランザメス。要求通りその結果を明かす。
「実に情けなかったよ。君の遺伝子はどこをとっても平凡の域でしかない。恐ろしくただの人間でしかない。ただDNLの能力が強いだけの、つまらない人間だ」
それを知って、どれだけデュランザメスは嬉しかったのだろうか。才能などない人間が組織の中核人物をやっている。彼にとってそのような人物は真っ先に下ろす対象だったからこそ。
だからこそ、それに続く元の言葉は予想しなかっただろう。
「そんなの、当り前だろ」
「……ん?」
「え、認め……」
キョトンとする歌峰。肯定されることを思ってもいなかったように。そんな彼らに黒和元は言葉を続ける。
「俺が今ここに居られるのは、ただの運。シュバルトゼロガンダムを手に入れたという幸運の下にある」
「フッ、確かに幸運だ。だがそれがなければただの」
「だが、俺は選択した」
デュランザメスの肯定を遮って言い放つ元の声。その声にははっきりと意志を感じられた。
「護りたいと思ったモノがあった。その選択が正しいからじゃない。俺が正しいと思ったから、その力に手を伸ばした。それがたまたま、ガンダムだった。たったそれだけで、戦い続ける、それ以上を求めもしない!遺伝子なんか、俺には、俺達には関係ない!」
そうして周囲のムラマサを一気に切り裂く。その攻撃にゼロン勢が動く。
「クッ、正気か!」
「ならやってやるってんだよぉ!」
零が元の動きを止めようと駆ける。対照的に或は明日那を殺そうと砲門を光らせる。
「明日那代表っ!」
「あっ」
「零!」
「邪魔だっ!」
動く戦局。だがこれは圧倒的にこちらが危険だった。砲火に晒され、明日那と月子が撃たれ――――――――
る、はずだった。
その流れを止めたのは、上空からのビームの連射だった。
「何っ!?」
「攻撃!?上から!?」
「っ、ようやくか」
ビームの連弾はそれぞれオースカオス、オースアビス、シュバルトゼロガンダム・ジェミニアスを止めた。オースカオスのライフルが撃ち抜かれて爆散、零が辛うじて身を退く。攻撃態勢を止められたオースアビス、ジェミニアスは被弾こそしなかったがそれぞれ攻撃対象から離れる。
何が起こったのか。攻撃をした上を向く。上空には何も見えなかった。超望遠カメラにでもしないと見えない距離なのか。ところがその考えは全く違っていた。突如空間が歪む。
「空間が歪んで……!?」
「あれは……!」
進と正は気づく。その機体がステルスで身を隠していたこと、そしてその機体がどう言った物なのか。
現れた機体は12枚の羽を広げる機動兵器。まるで騎士が舞い降りるかのような姿勢で降り立ってくる。巷で言われるガンダム顔の機体を、進は3年前から知っていた。
その名を、その人物の名を呟く。
「……フリーダム……輝、義兄さん!?」
NEXT EPISODE
EP29はここまでです。
グリーフィア「んークローンねぇ、やっぱレイだからそうだろうとは思っていたんだけど……作った勢力が」
ネイ「蒼穹島って、確か多々触れられているゼロン側に渡った勢力……地の文では種命島と同じ遺伝子改良の子どもが生まれている島ですよね」
そう。ただその島は無茶難題に挑もうとしていた。それは結果的にシュバルトゼロをもしのぐと言われる機体と対抗できるパイロットを生みだしたけど、そういう表ざたに出来ないことをしたからって感じだ。
グリーフィア「ちなみに何で蒼穹島?」
劇中でも触れてるけど、大抵島の人間は生まれた時から幼馴染な感じだから、ここでクローンってことを明かして他の人を驚かせるためなら、別の同じような遺伝子改良を行う島から来たって方がいいかなって思いました。
ネイ「まぁ、確かに突発的だったから驚いてましたね。……それで元さんの強気は、最後のあれですか」
あれです。流石DNLだね。
グリーフィア「さぁ、原作じゃ「お前の力はただ戦場を混乱させるだけだ」って言われてたけど、彼はどうなのかしらね~」
それじゃ、次話に続きます。