機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

24 / 322
どうも、皆様。藤和木 士です。

ネイ「アシスタントのネイです」

グリーフィア「アシスタントのグリーフィアよぉ。第2章が前話から始まったわね」

ネイ「そうだね、姉さん。元さんも無事戻ったみたいだし」

今回はそんな元君が戻ってから、学校での話です。平和はいいなぁ\(^o^)/

グリーフィア「貴方がそう言うと全然そう思えないの不思議ねぇ」

今までそんなやり取り一度もなかったよね!?(;゚Д゚)

グリーフィア「うふふっ。冗談よぉ♪」

ネイ「けど、事件なんてそういう時に起こるよね。特に作者さんの作品」

あ、あははー。それじゃあEPISODE18どうぞ!( ゚Д゚)



EPISODE18 エラクス2

 

 

 元がファーフニル家に戻ってから、4日が過ぎた月曜日。既に季節は梅雨の時期に入る直前、生徒達も梅雨に対する備えをする声が多い。だがそんな彼らの話の中心は専ら元に向けられていた。より正確に言うなら、元の持つガンダムと、元の主ジャンヌとの関係である。

 元のガンダムはもといそれに関わった事件そのものに学園側は生徒に箝口令を敷いた。軍も関わってのこの箝口令は、竜人族が機械化を施してまで竜人族の名家の子女を襲ったという衝撃的な事実を隠すことも含められた。しかしそれでも相手はまだまだ好奇心旺盛な学生達。社会のルールをかじっている名家の者達も元の持つ、創世記にも出るMSの話題に食いつかないわけがなかった。元が監視役のローレインに聞いた話によれば、もう学園の裏サイト(運営・ローレイン)ではそれに関するスレが立っていて、学園内でもその噂を元は何度も聞いていた。

 元自身、それは学生という身分ではしょうがないことだと思っていた。以前自分が学生だった時もそういった有名人などの来訪にはクラスメイトがいつも騒ぎ、元も少しくらい気になることもあった。むしろそれこそ学生の本分の1つではないかと思う。だからこそ、元とジャンヌの関係という問題には元も手を焼いていた。

 それは学生に戻って1日目から知ったことだ。記憶が戻り、自分がただの人間であること、そして黒和元という名前であることを始業前に教卓横で話し、改めてよろしくと挨拶して席に着いた。そして1限目の授業終了後、クラスメイト達が集まってきて飛んできた最初の質問。

 

『元とジャンヌさんって、付き合ってるの?』

 

 むせた。いきなりそんなことを言われ、思い切り唾が細かく飛び、咄嗟に構えた教科書の上を濡らす。それらを拭いてから即座に否定するが、クラスメイト達が確証もない事実としていじり出す。ローレインによれば裏サイトのスレが立つ際、こちらの話題の方が先に上がり、更に数もこちら関係の方が多いらしい。

 当然それらの話題はジャンヌの周辺でも飛び出た。嫌な予感を感じて元がジャンヌのクラスに向かう。だが途中でジャンヌと遭遇し、早速その話題をジャンヌもぶつけられ、自分がその噂の出所と勝手に思い込み問いただすつもりだったという。そうした言い合いもすぐに周囲の学生が学園中に噂を広げて大騒ぎ。結局2日連続で警察を学園に呼ぶ事態となってしまったのだった。

 それらの火消しにローレインを通してドラグディア軍に要請したが、出た結論は「自分達でどうにかしろ」という事実上の責任放棄。ジャンヌとローレイン、そして友人達で相談した結果、「ノーコメント」ということで口を開かないことにしたのだった。人の噂も七十五日。すぐに忘れるだろう。……七十五日がとても長いことに、元は思ってから気づいたが。

 

 

 

 

5日目の昼休み、元は校舎の屋上に出る。学園の屋上はいくつかの背もたれ代わりの壁板とそれに平行に設置されたベンチがある。少しでも人混みを避けたいがために出たのだが、すぐに生徒の眼がそれに気づき、こそこそと小声で噂する。それに構わず元はベンチの後ろの壁にもたれかかる。

 全く、学生は呑気なもんだな。まぁ俺も専門学校卒業する直前でこんな異世界に来たから、まだ学生だったわけなんだけど。けどまさか俺みたいななんの取り得もなさそうなのがこんな学生に噂されるほどにまで成長するとは……人間何があるか分からねぇ。さっさと飯食って帰るか……って、あ。

 購買で購入したパンの袋を開いたところで視界に入った人物に気づく。銀髪のウェーブがかった髪に黒いレースの髪飾りを付ける少女。少女は2人の友人と共に地面にレジャーシートを広げ、そこに座って食事を採っていた

誰の目から見ても美少女、もしくは姫様という言葉が似合うほどの容姿端麗なルックスを備えたその女生徒。だが元は知っている。彼女の本性が実際は相当ひねくれていることも、それでも容姿にたがわぬ笑顔を見せてくれる自分の自慢の主であることを。

 その少女が見つめていた元自身を見つける。少し掌を向けて会釈するが、彼女は恨みつらみを抱えた表情を見せ顔で出口の方へと行くように指し示す。元もそれには同感だ。流石に今こんな状況でいつまでもいたらまた変な噂が立つ。ようやく見つけた食事場所を手放すのは惜しかったが、元は噂の流布を嫌ってその場を離れようとした。だが聞き覚えのある声がそれを遮った。

 

「よう、ハジメ。ここにいたのか」

 

「こんなところで昼食なんて、大変だねぇ有名人さんは」

 

 声を掛けたのは1組の男女。カップルのように聞こえるが、髪の色や質、そして顔付きの共通点からカップルよりも別の意味での仲に見える。元は彼らの名を呼んだ。

 

「そういうとこお前らはブレないよなレヴ、リッド。流石リヴァイ兄妹、仲睦まじいことで」

 

 少し茶化しながらの発言を兄妹の2人はツッコミを入れる。

 

「いや何で仲が良いことがそこで返しとして出てくる……」

 

「そうよ、ハジメ君。レヴが私を溺愛してるだけなんだから。私まで巻き込まないでっ」

 

「いや、何でだよ!?」

 

 兄妹は仲の良さを見せつけてくる。2人は双子の兄妹なのだ。兄の方でやや目つきの悪いのが「レヴ・リヴァイ」、妹の方で髪をポニーテールで束ねているのが「リッド・リヴァイ」である。

 そんな二人を見ていると、自分の事を少し思い出してしまう。自分にも昔は彼らのように仲が良く、しかし「あの時」以来家にいても話すことすらしない妹がいた。今になって生まれた妹への名残惜しさが、どうしても彼らをからかいたくなってしまったのだ。

 そんな彼らの戯れを見ながら、元はその場を後にしようとする。がそれを2人に呼び止められる。

 

「おい、もう行くのか?」

 

「あぁ。ちょっと主様の機嫌がね……」

 

 元が指を指すその先には、レイア達と昼食を取るジャンヌの姿がある。元がさっさと移動しなかったからか、その表情は更に不機嫌を思わせる顔になっていた。

 それを見て事情を察する2人。

 

「あー……ありゃあおっかねえな」

 

「ファーフニル家のお嬢様……ジャンヌさんって扱い難しいから従者さんって大変なんだよね。ハジメ君に同情するわ」

 

 あまりジャンヌと交友のない2人でもその怒りが手に取るように分かるほどの怒りが、自分に向けられていては昼食が入る物も入らない。しかしリッドが周りを見てからハジメに言った。

 

「でも今離れるのはむしろ逆効果だと思うけど?周りの人達も気付いているみたいだし」

 

 その言葉に従い、周囲を見回すと既に元とジャンヌの様子を窺う生徒が何人もいた。こそこそと内緒話している姿が、如何にも2人の事に気になっているという感じが出ている。しかもいつの間にか元達とジャンヌの周囲をそれらが取り囲んでおり、囲みを出ることすら気まずい様子だ。

 元は顔を戻し、ジャンヌの方を一瞥してからため息をつく。そして2人に話しかけるように独り言を呟く。

 

「……みたいだな。仕方ない、さっさと飯食って教室戻るか」

 

「その方が良いな。てか俺らも巻き込まれてたんだな」

 

「馬鹿?」

 

「馬鹿じゃない!」

 

 2人の双子漫才が響く。それを見ながら元も昼食のパンをほおばる。2人もベンチに座って各々の昼食である購買のパンを食する。食べ進める間に3人は会話を挟む。

 

「それで……元って今度軍に入るんだったよな?」

 

「あぁ、まぁ厳密には違うけど、そうなるな。それがどうした?」

 

「いや、俺も学校卒業したら、軍学校にでも行こうかなって思ってな」

 

「そうなのか?」

 

 パンをほおばりつつそう語るレヴ。彼の言葉にリッドは嫌悪感を示す。

 

「やめてよ、レヴ。そんな戦争に死にに行くみたいな話、こんな昼食の時にさ。ハジメ君も相槌打たない」

 

 リッドの言葉はある意味正しい。せっかくの昼食を血みどろ関係の話で汚されたくないのだろう。しかしレヴは文句を言いつつ理由を語る。

 

「死にに行くって言い方の方が縁起悪いだろ。給料的に安定するってのはあるけど、どっちかっていうと被災地支援みたいなことをする軍に入ってMSを装依したいんだよ。昔は軍もそれをやってたらしいんだけど、今はもうさっぱりだからな。戦場に駆り出されるなら、後方支援がいいなぁ……」

 

「そうか、まぁどちらにせよ頑張れとしか言えないな」

 

 元は正面を見てぼうっとしたまま返事をする。血気盛んかと思ったが、どちらかと言えば戦争が終わった後の、自衛隊みたいな組織のMS装依者になりたいのではないだろうかと感じる。どちらにせよリッドの心配は絶えないと思う。だがそれは決して一概に咎められる理由ではない。だからこそ、元もそれを応援した。

 それを聞いて、レヴは調子づいて元の肩を叩く。

 

「その時は前戦頼むぜ、ハジメ」

 

「身勝手ねぇ……けど馬鹿兄ぃ止められるのはハジメ君くらいだし、もしその時が来たらお守りはお願いするわ」

 

「任務にもよるかもだけど、善処する」

 

 そんな話と共に昼食のパンを各々ほおばる。するとそこに更に来訪者が訪れた。

 

「よう、3人共昼食早いな」

 

 声の主はローレインだった。男性用の制服を纏った彼女は袋を示しつつ声を掛けてくる

 

「お、誰かと思えばローレインじゃん。これからお昼か?」

 

「まぁね。ハジメの噂に少し巻き込まれててって感じだ」

 

 レヴの問いかけに肩をすくめるローレイン。彼女は表向きには学生、更に自身のクラスメイトだが、裏ではドラグディア軍の諜報部エージェント、そして元の監視役だ。そんな彼女も元やガンダム関連で奔走している。おそらくそれらも含めての遅れだったのだろう。元はそれに対する感謝と礼を述べる。

 

「それは悪かった。ありがとう」

 

「あー、もうそれだけ聞けりゃあ私は満足だぁ!ぎゅー!」

 

「ちょ、ローレ!?ハジメ君も驚いてるから離れなさいって!」

 

 元の言葉を聞き、突如スキンシップと言わんばかりの激しさでローレインは抱き付いてくる。そんな光景をいきなり見せられたため、リッドは慌てて大声で注意する。だがそれがむしろ周りの生徒の注目を集める。中には「え、二股?それとも三股?」と言い出している。いい迷惑だ。

 流石の元も、ローレインのこの行動に困惑が走る。いくら何でも悪ふざけすぎる。後で騒ぎを大きくし過ぎとジャンヌに怒られるのも不味い。すぐに元はやめさせようとしたが、ローレインが耳元でとんでもない言葉を発した。

 

 

 

 

(総司令からの伝言だ。ネア・ラインの周辺に気を付けろ)

 

(!?)

 

 

 

 

 抱き付くという行動から一転して仕事モードとも言える調子で、耳元に囁くローレイン。一瞬呆けてしまうが、続く言葉で元も状況を理解することとなる。

 

(以前の事件はまだ終わっていない。次はネアが狙われる。詳しいことはまた話す。スターターの使用許可を出した。もし何かあったら全力でネアを護れ)

 

 急を要する内容に元は固唾を飲む。抱き付く行動なら多少目は惹くが誰もそんなときにこれほど重要なことを話しているとは思わないだろう。あまりにも大胆すぎる伝え方に驚きつつも、元はそれを了解する。

 

(分かった。ありがとうございます)

 

 小声でそう答えたタイミングで突如ローレインの身体が元から離れる。ローレインのすぐ後ろにはリッドがその手でローレインの制服の後ろを怒りの表情で掴んでいる。羞恥も含んだその表情でリッドが抱き付いていたローレインを咎める。

 

「ローレ?今のはやり過ぎだと思うんだけど?」

 

「あははっ。……リッドの声も大きすぎだと思うんだけどなー」

 

 ローレインの指摘に顔を赤くさせるリッド。だが問題はそうではないとローレインの体を引き寄せそのまま抱きしめる。そして彼女のわき腹などを責め立てる。

 

「問題を逸らさないッ!!このっ!」

 

「あっ、やめっ!!くすぐったい!くすぐったいって!?ひゃん!?」

 

 ローレインの嬌声が響く。横で聞いているにはあまりにも恥ずかしい声で元とレヴは視線を逸らす。

 全く、何やっているんだか……。けど、ローレインのあの言葉……事件は終わっていない、ネアが狙われる……?ネアに一体、何があるっていうんだ……。

 元の視線がジャンヌ達の方に向く。こちらの様子に呆れながらも、3人で仲良く食事を行う姿。その1人であるネアは特に変わった様子なく共に食事をとっている。とても彼女が狙われているようには思えない。

 ふとジャンヌがその視線に気づいた。こちらに目線を向けていたためだろう。彼女はすぐに視線を外すように指示するハンドサインを送る。元も特にこだわることはなかったためすぐに視線をまた外す。そうこうしているうちにパンも全て食した元は、再びレヴと言葉を交わし、昼食の時間を過ごしていった。ネアに対する一抹の不安を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 学園の授業が終わり、その帰り道。ジャンヌはレイアとネア、それにハジメというノーヴェを除くいつもの面々で下校していた。いつも通りジャンヌはレイアの右隣り、ネアがその更に右隣でハジメはその後方だ。

 ジャンヌはいつものようにレイアとの会話に興じる。

 

「今日も楽しかったねー」

 

「えぇ、レイアさんといられて楽しいです。ただ、あの噂話は迷惑ですが……」

 

 ジャンヌは言葉を濁す。あの噂話とは無論、ハジメとの関係という話だ。比較的育ちのいい子女の通う聖トゥインクル学園も、噂話となればそれを騒ぎ立てるのは他の学園と同じ。むしろ平常が何も変哲もないからかこういった大きな出来事は、先の誘拐事件の話題の際も含めて大きく学内で取り上げられるのは必然とも言えた。

 誘拐事件の時の騒ぎも迷惑だったが、今のこの噂もジャンヌにとってはいい迷惑だ。方向性が違うとはいえ、レイアを想うジャンヌにとってはこれほど迷惑な噂話は今後一切ないだろう。それだけにハジメへの当たりは強い。

 

「ハジメ、貴方も昼食を食べる場所くらい考えてくれないかしら?」

 

「それはすみませんでした。ただ友人連中が、あのタイミングで離れる方がむしろ騒ぎを長続きさせる、と言っていたものでして。お嬢様も変に気を使われて騒ぎが大きくなるよりはいても何もない方が良いのでは?」

 

「……ハジメ、主人のお願いを聞けないということかしら?」

 

 生意気な口を叩くハジメに、ジャンヌは叱りの言葉を向ける。自分の言葉に否定的なハジメに我慢の限界が来ていた。最近のハジメはこういうことが多い。いくら職が見つかりそう、それに救世主と似たMSを駆るとはいえ、それをおごりにされては腹が立つ。ハジメは従者、自分の命令を聞いていればいいのだ。

 しかしそんなジャンヌの考えにハジメは気にすることなく更に意見する。

 

「願いは聞きます。しかし状況によって行動するかは違います。願いを聞いた方が余計問題になること、そしてお嬢様が間違った道に進みそうなときは全力で止めます。従者は主人の間違いを正す役割もあると学びましたから」

 

「うぐっ……な、生意気よ!」

 

 思わず本音が漏れる。確かに従者とは命じられて動くものだが、操り人形ではない。時によっては従者が主を止めることだってある。従者とは主と主が望むものを護るために働く存在なのだ。主の言うことの通りが通っているのなら、従者自身もそれに応えていく。それが主従関係なのだ。

 ただハジメの発言はあまりにも直球な意見だ。聞いていたネアもそれについて発言する。

 

「は、ハジメさん……確かにそうですが、お嬢様に対してあまりそういうのは……お嬢様はこういう方ですし……」

 

 ネアがジャンヌにフォローを入れる。ジャンヌ自身そういった傲慢なところがあるのは理解している。しかしジャンヌも彼女自身、個人的に噂にされたくないことだってあるのだ。そういう時は言うことを聞いてほしいと思っていた。

 だがそれはジャンヌの思う考えだ。ハジメの言葉に納得したレイアがハジメの言葉に共感を示す。

 

「でもそういうのってロマンチックだよね~!主の間違いに体を張って止める従者って、何だか「白従者」の頼れる従者さんみたいでカッコいいし!」

 

「れ、レイアさんっ……わたくしがあの漫画のように罵られるのがお好きだというのですかっ!?」

 

 2人の会話で出ている「白従者」とはドラグディアの女性達に有名な漫画のタイトルだ。内容は白い執事服を着た従者の青年が主の少女を全力で護るというファンタジー作品で、従者は多々ポカをやらかす天然主を罵倒し、それでも主従の強さで乗り越えていくというものだ。かくいうジャンヌもこの漫画の愛読者でもある。

 ジャンヌの危惧を、レイアはそうじゃないと否定する。

 

「んー、流石に現実であそこまで罵倒されるのはダメだよ?でもあれくらい仲の良い関係に2人ならなれるんじゃないかなーって」

 

「あぁ、そういう……でも前に2回助けてくれたとはいえ、ハジメとあそこまでの信頼関係になれるとは思えませんし」

 

 納得こそするものの、ジャンヌはハジメとの仲はそうではないと否定する。確かにあの時助けてくれた。しかも白従者が助ける時のようなかっこよさでだ。でもだからと言って自分はあそこまで本当に信頼しきってはいない。まだジャンヌはハジメの事をどこか不安に感じていた。

 分からない。ハジメは信頼できるくらいわたくしの事を分かっている。でも何だろう……わたくしは彼を信頼できない。もっと言うなら、信頼するのを怖がっている。何なの……?この気持ちは。

 

「――――お嬢様?」

 

「っ!!あ、ご、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたわ」

 

 考えるのに必死になってネアの呼びかけにびっくりしてしまう。すぐにそう返したジャンヌは足早に帰り道を行く。その様子にすぐにレイアとネアは足を揃えに走る。ハジメもその後を追っていく。とにかくジャンヌは3人に悟られないように行く。

 だがその行く手を遮るものが空より現れた。

 

「ギャウーン!!」

 

「え、な、何!?」

 

 突然響いた猛獣の鳴き声に足を止めるジャンヌ。ジャンヌだけではなく、レイアやネアも足を止める。ハジメもすぐにジャンヌのすぐ近くまで駆け寄り状況を確かめた。そのハジメがその鳴き声の正体を見つける。

 

「!上です。あれは……飛龍?」

 

 ハジメの声に誘導されて上を向くと、そこには編列を成して飛行する飛龍の群れがあった。その上には人が乗っており、それが人に飼いならされた飛龍であることを理解させる。

 その飛龍の群れの上に乗っていたのは、自身もよく見るドラグディア軍の制服を着た者達。それですぐに彼らがドラグディア軍の者達であることを知るジャンヌ。それらはレイア達も同じだ。特にハジメはそれに気づいてジャンヌの前に出て護る姿勢を取る。

 すると、飛龍たちが着地体勢に入る。こちらに降りてくるのだ。だが飛龍たちが降りる前に、1つの人影が地面へと降りてくる。かなりの高所からの着地だが、その人物は既にMSを装依していてそのままDNの恩恵で無事着地する。

 全員の視線がそのMSの方に向けられる。ハジメとネアはそれぞれジャンヌを左右で護る立ち位置でそのMSを注視する。だが緊張は向こうから解かれる。

 

『待て、こちらに今敵対する意思はない』

 

「え……」

 

「……今、ね」

 

 今、と言う言葉にハジメは気づく。ジャンヌも分かっている。今は大丈夫でも、何かをしたら被害が及ぶ可能性があるということに。しかし飛龍達が地面に着地し、他のドラグディア兵達も降りたところで、その人物はMSの装依を解除した。姿を現したのは、自分達より少しだけ年上の雰囲気を出した青年だ。年齢的にはハジメの本来の年齢と同じではないかと思う。

 装依を解除した軍服姿の青年はこちらへと自己紹介を行う。

 

「初めまして、ジャンヌ・ファーフニル嬢、それからそのご友人様、従者様。……そしてネア・ライン。私はドラグディア軍レドリック・ドラス准将直属親衛隊所属、アレク・ケルツァートと申します。以後、お見知りおきを」

 

 深々と頭を下げる彼に倣い、後方で竜を従える兵士達も礼をこちらに向ける。その様子を見つつ、ハジメが用件を聞く。

 

「そうですか。私はクロワ・ハジメ。それで、軍の人が何の御用ですか?いきなり飛龍をこんなに従えて、穏やかではないですが」

 

 ハジメの言う通り、これだけの飛龍を従えて行動など普通はあり得ない。緊急事態でもなければこれだけの飛龍を民間人の前で着陸させるなどあるはずがない。ジャンヌも自然とハジメの後ろで身構える。

 指摘を受けたアレクがその問いに頷きながら、目的を口にする。

 

「まぁ、そうですね。今回はそこにいるファーフニル家の従者の1人、ネア・ラインに用事があります」

 

「わ、私……?」

 

 言葉の矛先はネアに向けられた。ジャンヌもアルクの言葉に疑問が浮かぶ。ネアに一体何の用事なのか。その懸念は続く言葉で緊張感のあるものに変わる。

 

 

 

 

「ネア・ライン。貴女を情報漏えいおよび逃亡幇助の容疑で拘束させていただきます」

 

 

 

 自分の従者の1人に、確かにアレクはそう言った。身柄を拘束すると。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。
事件、起きましたね(´Д`)

ネイ「人のモデルキャラが巻き込まれて何喜んでいるんですかこの作者さん」

グリーフィア「本当、ねぇ。次のお話私が世界の穴でも開けて飛び込んじゃおうかしらぁ?」

いや、あの世界の破壊者みたいな真似するのはよしてください。というか行っても何も出来ないでしょうに……。
まぁ作品の中の出来事は作品内の人物達で、ね?

ネイ「……分かりました。けど、色々と心配ですけどね」

グリーフィア「本当によ。情報漏えいとか逃亡幇助って余程の事だし。ネアちゃんがそんな大事やるような娘には見えないから、次でどういうことか、そしてどうなるのやら……」

あぁ、次は本当に大変だろうね。元君のガンダムが……ね?
それでは、

ネイ「え、じ、次回もよろしくお願いします……?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。