機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、藤和木 士です。引き続きEP40の公開です。

ネイ「フェネクス捕獲作戦……宗司さんもドライバフォームを発動させて本気モードですね」

グリーフィア「新兵器のユグドラル・ストーカー、果たしてフェネクスを捕まえられるのかしら~。あとあの声は、きっとあそこから、ね?」

まぁ原作再現なら分かりやすそうですね。とはいえちょっとこの時点で隠しているものがあるわけなんですが。
というわけで早速本編をどうぞ。


EPISODE40 神話の担い手3

 

 

 フェネクスがドライバフォーム状態のDNアーバレストを含めた機体達から逃走する。その様子を、ユグドラルストーカーを放つために待機しているクルスと千恵里は観察していた。

 HOW最強とも呼べる機体とオースの新型機、それに追いかけられてもなお逃げられ続けるフェネクスは確実に自身のシクサス・リッターもといかつてのディスティニーライダーよりも強いと分かる。

 それに気づいていた千恵里からも不安の声が漏れてくる。

 

「……一応、押してはいるけど……こんなにも逃げられる物なの?元さんだってシュバルトゼロ・ジェミニアスなのに……」

 

「……訂正しないといけないね」

 

「クルス?」

 

 不安げな彼女に、はっきりと事実を告げる。絶望も、希望も余すところなく。

 

「あのガンダムは、確実に私のシクサス、ディスティニーよりも強い。制限が掛かっている状態でも、はるかに」

 

「そんなっ」

 

「けど、それを追いかけているのはうちの精鋭ぞろいだよ。宗司君も進さんもGチームエースは伊達じゃない。元さんも一度は捕らえてる。私を止められたんだから、行けるはず。私達は、その時に動けるように、なるべく近くでいつでも発射できるように」

 

 確信ではないが、それでも希望は充分にある。私の言葉に千恵里ちゃんもいくらかやる気を取り戻し、前を向いた。

 

「そうだよね。元隊長達が追い込めた時の為に、ちゃんとやらないと!」

 

「他の人達も移動している、行こう千恵里ちゃん」

「うん!」

 

 クルス達、そしてGチームも先発する他チームへと追従してフェネクスを追う。

 フェネクスと現在交戦しているのは元隊長と進さんだった。ジェミニアスはハルピュイアへとエレメントシフトし、高速機動しながらビームライフルとシールドのカノンで動きを縛る。その間にインパルス・ルフトは先程と同じように近接格闘戦兵装で距離を詰める

 

『このっ、落ちろっ!』

 

『進少尉、こいつは落とすのが目的じゃないぞ』

 

『だぁぁ!落とす気でやらなきゃ、こんなのあたらないだろっ!ってうわぁっ!?』

 

 直情的に元隊長の言葉に返答した進に対し、フェネクスが光波を放ってきていた。時を戻すユグドラルの軌跡。

 間違いなく直撃だったそれだったが、そこはオースのエースパイロット、そして最新鋭機。対応して見せた。

 

『ぐっ、くっ!!』

 

 瞬時に機体を上下に分離させて光波を回避させる。オース戦でも多用した進の得意技だ。だが今回は回避だけに終わらない。分離した勢いで距離を詰めると、ビームサーベルを振り下ろす。

 思いがけない奇襲にフェネクスも反応が鈍る。それでも振りかざされたビームサーベルを回避し、逃走を再開する。

 進の言う通り、フェネクスを捕らえるには撃墜をしようとしなければ無理のように思える。それを可能な限り避け、なおかつギリギリを攻めている隊長達の技量が窺える。

 そして遂にそのタッグが実現する。元隊長のジェミニアスが紅いフレーム、アレスモードへと切り替わり前衛へ、蒼梨隊長がそのアシストをする構えだ。

 

『行くぞ、深絵』

 

『深絵さん、支援頼みますよ』

 

『任せて、相手は逃がさないっ!』

 

 直後ライブラの一斉射がフェネクスに向けて襲い掛かった。自動照準のビットと、狙い澄ました本体からの射撃、加えて背後に回ったジェミニアス・アレスの近接攻撃がフェネクスを翻弄する。

 本来ならその圧倒的な弾幕と格闘の連撃に対応しきるのは難しいだろう。しかし相手はこれまで何度もフェネクスと対峙し続けている。いくらガンダムで、なおかつ脅威の神眼を持ち合わせる蒼梨隊長でもパターンを読み切られていた。

 狙撃直後にカウンターの如く刻戻しの光波を放ってくる。ビットが回避行動を行うが、何基かが光波に巻き込まれて分解した。ライブラも回避しなければならないが、蒼梨隊長は動かない。何が、と思ったが違った。

 

『はぁっ!』

 

『っ!今っ!』

 

 ライブラの前に瞬時に移動したジェミニアスが移動した。その拳にユグドラルフィールドを発生させて、ジェミニアスが刻戻しの光波を吹き飛ばしたのだ。同じユグドラルフィールドによる現象の攻撃が、刻戻しの光波を相殺していく。それらは衝撃波となってフェネクスにも小規模の影響を与えた。

 結果として目くらましとなった隙にフェネクスは再び逃走を図るが、それすらも隊長達は見通していた。ジェミニアスが貸した肩の上にスナイパーライフルを構えたライブラが、狙い澄ました一射を進行方向先へと向けて放つ。ビットユニットSPIRITによる曲射。本来ならば直撃の難しいそれは不意を打つように移動中のフェネクスを横から叩くように当たった。

 ユグドラルフィールドによる軽減で機体へのダメージは少ないようだ。しかしなぜそんなことが出来たのか、DNLの機微に優れたクルスには分かった。スナイパーライフルと接触したジェミニアス、そのパイロットである元隊長とジャンヌ副隊長が攻撃にDNLを乗せて放った。これにより二人のDNL音波で敵の読心を撹乱、攻撃を直撃させていた。

 流石はディスティニーライダーと渡り合ったパイロット。ここまで読んでの事だったのだろうか。今ならチャンスかもしれないと、千恵里ちゃんに向けて更に接近することを告げる。

 

「千恵里ちゃん。そろそろチャンスかも」

 

「よっし、ターゲットを……」

 

『いや、待て捕獲部隊!』

 

 二人の行動を制止する様に元隊長が全部隊へと待機指示を出す。なぜ、と思ったが理由は明白になる。フェネクスは吹き飛ばされながらも無理に離脱軌道を取ろうとしていた。ところがその先を読むように移動方向にガンダムDNアーバレストと空戦タイプのルフトから砲撃戦仕様のシュトラールへと切り替えたオースインパルスが待ち伏せる。

 両機体がほぼ同時に火砲を一斉に放った。ミサイルとビームの雨あられがフェネクスの行く手を遮る。正面方向はその弾幕と周囲に展開していた他の機体が抑える。よってフェネクスの逃げる方向は後方、つまり今クルス達のいる方向へと逃げていく。

 元隊長はこの展開まで見越していたのだ。おそらく、宗司君達にもあの位置、あの装備で待機する様にと言っていたに違いない。何にしても絶好の機会だ。

 

「来たっ!千恵里ちゃん行くよ!」

 

「わ、分かった!」

 

 二人はユグドラルストーカーを構えた。位置的に一番近いのは自分達だ。よく狙いを絞ってフェネクスをストーカーの端末がターゲットロックするのを待つ。

 数秒でようやく端末側から追尾機能が有効になった知らせが届く。後は撃つだけ、そう思ってトリガーを引こうとした。

 

(どいてっ!)

 

「っ!今の」

 

「こ、声っ!?誰が……まさかあの?」

 

 二人は突然脳裏に響いた声に動揺する。だがクルスはすぐに思考を巡らせる。

 この感じ、DNLの精神感応だ。送ってきたのは……きっと目の前のMSから。それにこの反応、さっき宗司君が見せた反応と客観的に見て似ている。きっとさっきの時も宗司君はこの声を聞いたんだ。

 となれば、その隙にフェネクスは包囲網を突破するに違いない。クルスの予測は的中し、フェネクスは二人の視界から外れて回避しようとしていた。

 

「あぁ、しまっ」

 

「させないっ!」

 

 既にクルスの体が動いていた。ユグドラルストーカーを投げ捨てて、シクサス・リッターでフェネクスと交戦に入る。こちらの弾丸の雨あられをフェネクスは回避していく。クルスにはまだDNLの機微を感じられるのにも関わらず、フェネクスはその弾幕を避ける。

 このままでは逃げられる。元隊長達も追ってきて、なおかつこちら側のCROZE、SABER部隊も止めようとしていたが、止めるには戦力、実力が足りないのは明白だろう。

 だからこそ、クルスも決意した。

 

「―――マリア」

 

『うん、クルスどうしました?』

 

 私はシクサス・リッターのサポートAI「マリア」へと呼びかける。呼びかけに応じるマリアに、私はあれを告げた。

 

「DIENDを使う」

 

 それは禁断のシステムの名。既にシクサス・リッターからは外されたはずのシステムの名前だった。ターゲットのMSが運用するL-DLaから生み出された禁断のシステム。

 マリアもそのシステムがもう機体にはないことを告げる。

 

『お言葉だけど、DIENDは既にこの機体にはないシステムの名前。ないものは出来ないですよ』

 

 もちろんそれはクルスも知っている。だがそれは偽りでもあることも知っている。そのうえでもう一度言った。

 

「それは「書類上の話」でしょう?DIENDは嫌でもあなたに付随しているもの。封印されただけ。私はそれを解放してと、言っているの」

 

『……けど、それは私も、あなたも不幸にする』

 

 マリアは危険だと言う。しかし今の状態も十分危険だった。各部がフェネクスに追いつくためにオーバーヒートに近い状況となっている。渡り合えているのが奇跡なほどだ。もちろんDIENDを発動するのが危険なのも分かっていた。けれども、私はこの作戦に賭ける想いを告げた。

 

「それでも、あのシステムと同じもので不幸になった人を、これ以上見たくない!私が止めなきゃ、今度は、私が!」

 

 かつて千恵里と黒和元に救ってもらったからこそ、目の前のターゲットを捕らえたいと思った。退くように言われても退かない理由、やると思ったことはやる、それが今のクルス・クルーシアだった。

 その言葉に呆れたようなため息を吐くと、マリアはその考えに毒舌を吐く。

 

『全く、つい半年までゼロンなしでは生きてくのすらおぼつかなかった子が、偉そうに』

 

「うぐっ!そ、それは……」

 

『どこの子の影響を受けたんだか……けど、彼女に恩がないわけじゃありません。そして、あの私と同じような存在に興味がないわけでもない』

 

 毒を吐きながらも、やれやれと言った具合でまんざらでもないと示すマリア。彼女が言った。

 

『久々の機動です。念のためのセーブも掛けてありますが、制限時間は15秒です。準備無しの起動なんですから、文句ないですね?』

 

「!それだけあれば、十分!」

 

 マリアの言葉に希望を見出す。10秒だけでも、クルスにとってはありがたい。息を整え、フェネクスの動きに合わせてタイミングを計る。

 遂にその時が訪れた。

 

「DIEND-Limited、スタートッ!」

 

『DIEND-Limited、システムを一部書き換えます。搭乗者とAIへの反動にご注意を……』

 

 マリアとは違うAIがシステム発動を告げる。直後、機体が振動する。奇妙に動く機体の手足、一度頭を俯けると、機体のデュアルアイが紅く染め上げられる。

 これが久々のDIEND……!マリアの苦悶に満ちた声が聞こえてくる。

 

『う、うがぁっ!』

 

 それも当然だ。DIEND-Limitedは一時的にマリアのAI領域を「DIENDシステム」へと直結させる。そのせいでマリアはDIENDに侵食させられ、最悪マリアがDIENDに再度囚われてしまう可能性も少なからずあった。

 

「時間がない、突撃する……っ!」

 

 長くマリアを苦しめるわけにはいかない。素早く終わらせるために機体を一気に加速させる。その速度は斥力で飛行するフェネクスと同等だった。しかし同時にクルスへと多大なGを掛け、電子空間の体を押しつぶそうとしていた。

 これまでのDIENDではクルスが薬物を摂取することで装依システムでも緩和し切れないGを無視してきた。だがHOWに入った今では、そんなものは服用しないし身体も治療がされている。

 マリアと同じでクルスも今は身を削ってDIENDを発動させるしかない。まさに諸刃の剣。それでもクルスは体の負荷を堪えて10秒だけのデッドレースを開始する。

 

「はぁあぁ!!」

 

 一気に回り込んで前からフェネクスをを抑え込もうとする。普通なら抑え込めるはずのスピードをフェネクスは予見していたかのように体を捻らせ回避した。脇をすり抜けて直も逃走を続けようとする。

 ここまでして、逃がしはしない。覚悟を決めて決死の再チャレンジを行う。

 

「ぐ、このおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 伸びきった腕をそのまま勢いを付けて、体への負担の高い回転機動へとつなげる。一度弧を描くような軌道で再度フェネクスへと肉薄する。フェネクスも気付くが、時すでに遅し。

 周囲のユグドラルフィールドをDIENDの出力向上と勢いのまま無理矢理突破する。その腕部を掴み上げる。

 

(そんな無理を!)

 

「無茶だっていうなら、大人しく捕まってよ!」

 

 あの声が聞こえてくるが、構わず元隊長達の方角へと投げ飛ばす。そこでとうとうDIEND-Limitedの使用限界時間に達する。強制的にDIENDシステムと切り離されたマリアが無事を確認してくる。

 

『……クルス、大丈夫ですかクルス!?』

 

「あ、うぅ……」

 

 大丈夫、と言いたかったが言葉が言えない。久しぶりのDIENDは想像以上に負荷が重すぎた。無茶な機動で体に痛みを抱えたまま落下していく。

 こんなところで終わるなんて……。諦めかけたその時、彼女の声が響いた。

 

「―――クルスッ!!」

 

「っ、あ」

 

 チームメイトである千恵里の声。直後重力で落下していく機体が支えられた。カメラが映す彼女の機体の顔。回線がつながり、涙ぐむ彼女の顔が映る。

 千恵里ちゃんは涙声で私を叱った。

 

「もう!なんて無茶するのよっ!」

 

「ぁ、ごめ、ん」

 

『やれやれ、無茶するもの同士がよく言います。まぁ今回は私もそのどっかのおせっかい焼きさんに影響されて、無茶を許可したんですが』

 

「え、何てマリア?」

 

『何でもないです。さ、まだ仕事が残ってます』

 

 マリアは千恵里にやるべき事をと告げる。その頃にはマリアが機体制御システムに干渉し、何とか飛行できる程度に機体を保っていた。

 見える先の空中では追いついたジェミニアス、ライブラ、アーバレストの3機がフェネクスを逃がすまいとしていた。

 自分が体を張ったからこそある状況。だからこそクルスは無二のチームメイトに発破をかける。

 

「そう、だよ。千恵里ちゃん、あれを、フェネクスを、捕まえて……!」

 

「うっ……でも」

 

『ほら!あれを捕まえなければ、私達も体を張った意味がありません。こちらのユグドラルストーカーも拾ったなら、とっとと捕まえてくださいな』

 

「は、はい!?すぐにっ」

 

 マリアのやや強めの発破にビビりながら千恵里ちゃんはフェネクスの捕獲任務へと戻った。これでいい。マリアに感謝の言葉を贈る。

 

「ありが、とう、マリア……」

 

『もう、死にかけじゃないですか。私もサポートしますから、とっとと迎えに来ているヴァルプルギスに戻りますよ』

 

「うん……」

 

 マリアの気遣いを受けながら、クルスは母艦へと戻っていった。

 

 

NEXT EPISODE

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

グリーフィア「えぇ……DIENDシステム残ってたの……?」

一応サポートAIマリアの根幹に残り香として残ってる。けどリミテッドの名の通り、限定的だし、疑似再現と言っていい。

ネイ「で、でもそのおかげで短時間ながら元さん達の救援を間に合わせたんですから、流石は第4章の強敵枠ですね」

グリーフィア「でもこれさぁ、彼女の後継機枠にまたDIEND装備来たりするんじゃないの~?」

それも面白いけど別の方向性で強化入れようと思ってるよ。それこそ今回の話がターニングポイントになるかもだし。

グリーフィア「あら、それは今から予想が楽しみってわけね」

ネイ「面白いものが見られるかも、だね」

さぁ捕獲作戦は次回がクライマックス。だけど、これで終わらないんだよねぇこれがぁ!

ネイ「まぁ前々から言ってますもんね。アナザーUC・ナラティブ編って。しかもまだ以前の話で出てきた彼らの出番がまだですし。ていうか語尾がもう示していますが」

というわけで次回もよろしくお願いします。

ネイ「次回はもうちょっと早く投稿したいそうです」
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