レイ「うーん世間では本当ならΞGの活躍を見られているはずなのに、こっちはそのひとつ前ですか」
ΞG言ってるけどそれ閃ハサな。ちなみに私は初めて名前を見た時、三ガンダムって呼んでました。初見読めた人いるですかねぇ。
ジャンヌ「さんは幼稚すぎますね。で、こちらでは本当に前のフェネクス捕獲作戦というわけで、丸ごとクルスさん回でしたが前回は」
今回は元君、そして宗司君達の活躍ですよ。敵も動く本編をどうぞ。
「クルスさん、ヴァルプルギスへと撤退していきました」
『了解っ。後は医療班に任せろ』
クルスの状況を戦闘中の元へと通達する。元の言葉通り、ヴァルプルギスの医療班に向けてメッセージを送る。
メッセージ送信後、元に先程のクルスの行動について言及する。
「クルスさんには負担を掛けてしまいましたね」
『彼女だけじゃない。サポートAIのマリアにも、嫌な思いをさせただろう。だが、このチャンス、逃がしはしないぞ!』
「えぇ!」
元の言葉には同感だ。ターゲットも疲れ知らずとはいえもう籠の中に近い。ジェミニアスの出力を制御しながら、共にフェネクスへと向かっていく。
再び捕まえるにしても、場所が場所だった。出来れば下が陸地であるのが望ましい。ジャンヌは事細かに最寄りの陸地がある場所を確認し、リアルタイムで元へと告げ続ける。それを元が機体を動かしながら深絵さんと宗司さんに指示を送る。
『深絵、曲射射撃2回、12時方向へ逃げるように』
『了解っ!』
『宗司、エターナ、次ポイントS3方面へ侵攻!』
『ちょっと、それ全く意味のないと思うんだけど!?』
「エターナ、従って!」
『了解です、行くぞエターナ』
『あぁ、もう!』
逃げられつつもじりじりとこちらの想定する領域、ポジションへと機体を誘導していく。
何度も交差した後、ようやくその時が来た。私は元達へと叫んだ。
「状況揃いました!今です!!」
『了解!!』
元の一声と共に仕上げへと取り掛かる。最初に深絵のビットが所定の位置から一斉射を行う。放った射撃が空間中でぶつかり合い、拡散し、今までよりも細かい弾幕が完全に進行方向正面を扇状に覆った。
流石のフェネクスも回避不能と判断し、急停止したのち、上へと超機動加速を行う。今までも見たMSの機動でも異常な加速力を誇るそれ、だがその癖を既に元とジャンヌは捉えきっていた。
私は叫ぶ。
「元っ!」
DNL能力全開でシュバルトゼロ・ジェミニアスの制御を行う。瞬時に瞬発力の高いアレスへと移行し空を跳躍。瞬間移動と形容できる速度で加速直後のフェネクスの首を抑え込んだ。
その速度にフェネクスが驚き、声が漏れだす。
(嘘……っ!?)
「嘘だとお思いですか?」
『パターン読めてんだよッ!!』
完全に手玉に取った元は、言葉の勢いと共にフェネクスを下方の島へと向けて投げ飛ばす。同時にDNF「ディメンションブレイカー」も放ち、フェネクスを防護用ユグドラルフィールドごと地表へと叩き付けた。
エネルギー放射終了後、眼下の島を見る。と言っても砂煙ばかり。しかし二人ともにDNLの能力で地表状態を探っていた。落下の衝撃から立ち直り、何とか立ち上がろうとするフェネクスの姿が分かる。
フェネクスが完全に立ち直ると、再び飛行体勢に入る。が、直後砂塵の中のフェネクスの動きが停止した。同時に砂煙が何かの力の影響を受けて晴れていく。砂塵の晴れたフェネクスは空中の壁か何かで完全に拘束される状況となっていた。機体を動かそうとするが、まったくびくともしない。
そうなっているのはもちろん理由がある。それを行ったパイロット、うちの部隊のダークホースの片割れ達の声が回線から流れる。
『ぐっ……フェネクス、ドライバ・フィールドで固定完了……っ!』
ガンダムDNアーバレストの形成したドライバ・フィールド、それらを空間に働きを掛けて、脳がイメージした通りに空間を固定。これによりフェネクスを遠隔で捕獲するに至ったのだ。
これだけなら新装備無しでも作戦は成功だ。しかしそれでも欲したのには訳がある。理由はすぐに明白となる。
『ググッ!こいつ、抵抗激し、過ぎ……!』
「捕獲部隊、すぐに降下を。ユグドラルストーカーで完全に活動を停止させてください!」
エターナの苦悶の声にすぐさま捕獲部隊に指示を飛ばす。これが理由だ。例え動きを縛れても、ドライバ・フィールドは人の意志により強度が変わる領域操作。永続ではない為、そのまま艦の捕獲設備まで持っていくということは厳しかった。
だからこそのユグドラルストーカーだった。もっとも最初は独担当の言っていたように、距離を詰めてからのユグドラルストーカー発射でどこまでも追尾させて捕まえるというのがSABER部隊の想定だったのだが。ドライバ・フィールド使用機を持つCROZE部隊が来たからこそ、思いついた作戦だった。
後は事前の打ち合わせ通り、フェネクスをユグドラルストーカーのロックオンに捉え、タイミングを調整する。すべての準備が整うと、深絵が号令を掛ける。
『ユグドラルストーカー隊、一斉射!』
号令と同時にユグドラルストーカーが放たれる。シュトゥルムの弾頭状の追尾ユニットが固定状態のフェネクスへと進んでいく。着弾直前の数舜の前に元がドライバ・フィールドの解除を命じた。
『フィールド解除!』
『っあ!!』
固定を解除するアーバレスト。直後、フェネクスが飛び立とうとするが、既にユグドラルストーカーの弾頭が四方を囲う状況。ユグドラルフィールド発生前に弾頭が破裂した。中から溢れ出す特製強力トリモチがたちまちフェネクスをからめとっていく。
トリモチはユグドラルフィールドの発生すらも阻害していた。地面からも動くことは出来ない。完全に動けなくなったフェネクスはジェミニアスとライブラの前に首を垂れる。
『イチロクサンヨンセコンド、ターゲットの捕獲を確認した』
深絵さんによる捕獲完了の合図に、回線が沸き立った。無事、ミッション達成の瞬間だった。
◆
「やった、のか……」
息を整え、陸地へと着地するDNアーバレスト。そのカメラで映し出される、白いトリモチにがんじがらめにされる黄金のMS。確かにフェネクスの確保に成功していた。
大仕事を達成した宗司達に元隊長が労いの言葉を掛ける。
「よくやった、宗司、エターナ。抵抗されるのは分かっていたがよく抑え込んだ」
「あ、いえ……」
『エターナもお疲れ様です』
『ね、姉様の為ですもの!けど、大分こっちも疲れが……』
エターナの言葉通り、ドライバ・フィールドの維持には精神的な体力を消耗する。最初に使った時よりもそのメンタルの耐久値は上がっている。それでも、先程のあれを抑え込むのにはその精神力の大半を使わなければ不可能だった。
その証拠にドライバフォームが自動的に解除されている。それほどまでに宗司達の精神力が消耗していた。
それを知っているからか、元隊長達の撤収の手際が良かった。ヴァルプルギスとオーヴェロンへと回収作業を進める。
「回収班は機器を使ってフェネクスの運搬を」
「トリモチに絡まれるなよ。他機は周辺警戒を……」
これで作戦が終わる、はずだった。
突然接近警報が鳴る。その音で何かが来るのを隊長、隊員達が気づく。
「何だ、ってこいつは!?」
急接近する機影、放熱板のような端末が空中を駆け巡る。隊長達が迎撃を開始するが、その弾撃を避けて両部隊の隊長機を挟み込んだ。
「きゃあ!?」
「ぐっ……おっ?」
『あ、ぁ……機体が、身体が、重く……』
挟まれた隊長達が途端に機体の調子を悪くする。唐突な事態に慌てて千恵里が対応しようとする。
「元隊長、深絵隊長どうしたんですか!すぐに助け……」
「駄目、千恵里ちゃん、来ないで!」
「このファンネル……対DNL・ユグドラル兵装だ……」
「えぇっ!?」
隊長達の言葉に耳を疑う千恵里。宗司も聞き間違いかとも思ったが、呉川小隊長が中継した光巴の言葉が肯定した。
『うん、元お兄ちゃんの読み通りアンチユグドラル兵装だよ。それも取りついた後はその機体の機構を利用して防御までこなすタイプの、無理にはがそうとすると、外の機体も危険だと思う』
「と、光巴オペレーターの言葉だ。対処は」
『対処構築はやる。けどそれよりも敵来るよ!』
光巴の言葉通り、敵機反応が海上より近づいて来る。続けざまに一際大きい反応も出現した。その出現の仕方に進が正体を言う。
「この感じ、空中艦か!」
『そうだよお兄ちゃん!敵MS多数……通信、入るっ!』
真由の知らせからすぐに回線で女の声がこちらへと呼びかけが行われる。
『HOW部隊に告げる。フェネクスを置いて直ちにこのエリアから退け。でなければユグドラルキャプチャーで捕らえた2機のガンダムの無事は保証しかねる』
恫喝する女の声。近づいて来るMSは自衛軍のソルジガンと機種が表示されている。そして艦の名は「ローズポート」。その名前はブリーフィングで聞いたルウォ・エンタープライズ、流未緒一派が奪った空中艦の名前だ。
だとすればその女性は。元隊長が回線をオープンにしてその女に話しかける。
「流、未緒か」
『名前を知っているのなら都合がいいわ、魔王。あなたの思い通りにはさせない。ユグドラシルフレーム機の独占、神の力を自分だけのものにして!』
流未緒は自分達、少なくとも元隊長がユグドラシルフレームとやらの独占をしていると思っているようだった。
宗司も既にユグドラシルフレーム、構成するユグドラルフレームの事は知っている。ガンダムの各部に蒼く輝くDNLの力を増幅して力に変える基礎フレーム構造体。
エレメントシフトもまたユグドラルフレームの力と以前に隊長はおぼろげながら言っていた。それが本当に神の力なのか。しかし元隊長は流未緒の言葉、神の力という発言に否定を行った。
「MSは神でも何でもない。神は人が心の拠り所として作り上げた創造物、それを現実に干渉させようとするお前達のやっていることは、ゼロンと同じだ」
『いいえ、私はあいつらとは違う。フェネクスの力を正しく扱い、人の世を、欲望と願望に満ちたこの世界を変革させるわ。あなたこそ、いつまでその余裕を保っているつもりかしら?既にその命は私が握っているのも当然なんだから』
流未緒の言葉は事実で、拘束は未だにジェミニアスとライブラ、二機のガンダムを封じている。下手に刺激して撃墜でもされたらそれこそ終わりで、クローズ回線で紫音艦長から動かない様にと言われていた。
フェネクスも地面に張り付きすぎていて、すぐには逃げられない。対応にこまねいたCROZE、SABER部隊だったが、緊張状態を破ったのは他でもない元隊長の一言だった。
「握っているとは、大きく出たものだ」
『何ですって?』
「こんな状況、昔のシュバルトゼロだったら絶望的だったが、今はジェミニアスだ。それに、深絵は俺の方よりもまだやれる、だろう?」
元隊長の問いかけに深絵隊長もやや辛そうにしていた、機体状況の割りに余裕そうな声が聞こえてくる。
「そうだね。DNLじゃない分、身体の方は問題ないよ」
『……何ですって。DNLじゃない!?』
「そう、私はDNLじゃない。機体はユグドラルフレーム仕様だけどね!」
流未緒の驚きは同じく味方側のこちらにも通じる驚きだった。元隊長も案外大丈夫そうに思える。ジャンヌ副隊長も案外大丈夫なのか。
未だ不利とは思っていない元隊長達。しかし敵はそれが気に入らないようだった。回線に割り込みが入る。
『そんな強気が、何になるっていうんだ!』
「っ、この声……あの時の」
『これ敵のMSから、あの時の奴だよ!』
その声に真っ先に反応する新人組。聞き覚えのある声、学園に突如現れた侵入者と同じ物だと認識できる。すなわち、あの男、及川陽太だ。
声の大元は空中からこちらを見下ろすMS部隊の先頭、ソルジガンを従えているガンダムから発せられていた。そのガンダムが指さすようなジェスチャーと共に元隊長、HOWを貶す。
『今置かれてる状況を客観的に見ろよ!動けないお前に何が出来る!あの時と、東響掃討戦の時と同じだろ!』
「生憎ながら、掃討戦の時にはこんな手軽な対ユグドラル兵装なんて影も形もない。それに、東響掃討戦で、何もしてないなんてよくもまぁ言ってくれる。俺達が成功させなきゃ、お前も自衛軍に入れていないんだぞ、及川陽太」
『うるさい!お前達が勝ったところで、平和になんかなってない。俺は失ったんだ!お前達、HOWと自衛軍に、下らない権力争いの道具に彼女は変えられた!』
意味不明なことを口にして怒る及川陽太。だが怒りに呼応するかのように及川のガンダムは淡く光を放つ。先程一瞬だけ見せたクルスのDIENDと呼ばれるシステムのような雰囲気と同じ物のように思える。
そのシステムの名を及川が叫んだ。
『お前達HOWと自衛軍、カザノ・メカニクスが作ったこのサーガガンダムとL-DLa!自分達の作ったもので、滅べェェェェ!!』
サーガガンダムの目がより強く赤へと発光した。その圧倒的速度で、元隊長達に襲い掛かった。
◆
サーガガンダム、その名前を聞いて元の心内は様々なものが到来していた。
一つは、そのネーミングセンス。神話などとは滑稽だ。神の如きフェネクスを捕まえる物語、とでもいうべきだろうか。
そしてもう一つは聞き覚えのない名前ということ。にも関わらず対峙する及川はそのガンダムを「HOW、自衛軍、カザノが作り上げたもの」として喧伝していた。元の記憶が正しければいずれの組織でもそのような名前のガンダム、機体が開発された記憶はないと思っている。アンネイムド事件の騒動で機体開発プランを確認した時にもないのだ。
となれば、前述の予測から推察するとあのガンダムには別の名前がある、いやあったに違いない。類似する外見のMSはいくつか挙げられる。もしやすると、FRX-9「フォリウムガンダム」がベースだろうか。
そんな予測をするほどなら、余裕があると思われるだろう。先程の発言もある。が、実際はハッタリが含まれている。その証拠が、エンゲージ回線にあった。
『っは、っはぁっ!』
息の荒いジャンヌ。ユグドラルキャプチャーの影響を一番受けているのはジャンヌだった。
このユグドラルキャプチャー、どうやら対フェネクス用に調整されているようだった。そして光巴も絡めたそれぞれの予測で、フェネクスのパイロットのDNLがジャンヌ、すなわち「詩巫女タイプ」に近い狙いを付けていた。その為奴の攻撃で一番ダメージを受けるのは、パイロットである元よりもジャンヌになる。
加えてエンゲージシステムはパイロットの意識も繋げる。だがどちらかと言えば機体の制御系に干渉する為に、機体との電子的距離はパイロットよりも近くなるのだ。それもあってジャンヌはキャプチャーの結界に苦しめられていたのだ。
今までエンゲージの回線を切ってあって他の隊員、特にエターナには知られていないはずだ。エンゲージシステムの恩恵を受けづらく、なおかつ両腕もふさがったこの状況では回避に専念するしかない。
「くっ」
『もらったぁ!』
サーガガンダム、及川陽太が迫る。既に未緒派のソルジガンも動いている。が、そこに阻むのはやはり彼等だった。
「させるかっ!」
『ぐっ、こいつあの時のガキの!』
「宗司」
サーガガンダムの突貫をガンダムDNアーバレストが止めた。ソルジガン部隊もSABER、CROZEの部隊が当たっていた。
二機のガンダムの直援には呉川小隊長とSABER側のまとめ役のソルジアスが付く。同じく直援についた入嶋がこちらの様子を伺った。
「元隊長、動けますか」
「俺は大丈夫だ。ただ機体はそう芳しくない」
「飛べはしますか、深絵隊長」
「ありがとう橋本さん。私はまだ飛べるけど、元君達が満足に動けないと思う。元君のカバーに」
深絵はこちらの事情を既に把握していたようで、こちらへのカバーをするように隊員達へと告げる。その時だった。強烈な心理的圧、プレッシャーを伴った音を感じる。
その時には既に叫んでいた。
「離れろ、お前達!」
「っ!?」
「え、きゃあ!?」
「何っ!?」
元達の周囲に展開していたMS達が一斉に散開する。直後集合地点を正確なビームの一射が貫く。
間一髪奇跡的な回避で逃れるが、それでも嫌な予感が過る。先程のビーム、明らかにソルジガンや、未緒派の物ではない様に思える。サーガガンダムは今も宗司達と交戦していることからも違う。となれば誰が撃ったのか。正体はすぐに明らかとなった。
『―――――ほう、それを避けるか、ガンダム』
「っ!この声っ!」
「………………」
声の主に沈黙を返す。視線の先に新たなMS部隊と艦船が出現していた。ゼロンMSのシシャ達、そしてゼロンが保有することを確認している戦艦の正面方向に、先導者の如く浮かぶ2機のMSがいた。片割れに強い衝動が呼び起こされた。
間違いない。あの角付きの紅いカラーリング。忘れるはずがない。奴との直接的な最初の出会いであるラプラス事件、それ以前から俺は奴を知っていた。宙から送られるはずだったシュバルトゼロ・ジェミニアス一号機を葬ったと報告に受けた時の衝撃は、未だに覚えている。
滅多に見せない、先程ですら見せなかった怒りの声音と苦悶の表情で、そいつの名を口にする。
「真紅の流星の再現……ハル・ハリヴァー……!」
NEXT EPISODE
EP41はここまでです。
レイ「未緒一派に加えて、遂にあの仮面の偽物モデルも登場っと」
ジャンヌ「そう言えば閃光のハサウェイは今回逆襲のシャアの世界準拠だそうですが、ハサウェイさんはフル・フロンタルさんの事どう思っているんでしょうね」
そんなことはエクバで言ってた気がするから気になった人は調べよう。
ジャンヌ「フェネクスも参戦していますからね。でもそのフロンタルベースの人が、まさかジェミニアス一号機を破壊したとは……」
レイ「にわかに信じがたいよねー。やっぱりパイロットの問題?」
それもあるし、動力源が仮の物だったのも影響している。ちなみにその話、今章で重要な点ですので覚えておいておくといいかと。
レイ「それ言っちゃっていいやつ?」
せっかくだから今回は言っておく。
ジャンヌ「そう言う風に言ってると、足元救われますよ?」
まぁ気を付けますわ。ではEP42に続きます。