機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

261 / 322
どうも、藤和木 士です。EP51と52の公開です。まずはEP51から。

レイ「DNアーマー出撃!いよいよ千恵里ちゃんの方にもスポットライトが当たるときだね!」

ジャンヌ「ユグドラシルフィールド……果たして止められるでしょうか?」

というわけで本編どうぞ。


EPISODE51 世界を変革する神話領域3

 

 

 合体した入嶋のガンダムDNアルヴはその両側と肩部に巨大なビーム砲、重火器を携えていた。迫力からしてみれば、自身のガンダムDNアーバレストを超えるほどの火力が期待できそうだった。

 巨大なブースターユニットとドッキングした姿に圧倒される。だが彼女だけではない。反対側でも元隊長に指示されていつもの換装スタイルではなく同系のDNブースターとドッキングする呉川小隊長のソルジアスの姿があった。

 ドッキングを終えた二機が前方へと加速し、こちらに追いつく。

 

『DNアーマーS-Side、ドッキング完了』

 

「これが、MAとの対決も考慮した対策、か」

 

『あーいいなぁ、あんな重装備私も装備したいっ!』

 

 オペレーターの光巴がそんな欲望を口にする。徹底したメカフェチ、否MSフェチのようだ。

 とはいえ装備の大きさがもたらす利点、欠点は装着した二人も理解しているようだ。それぞれ感想を漏らす。

 

『出力が段違い……機体自体にもDNジェネレーターが入ってるにしても、これは……!』

 

『だがその分、出力制御は慎重にやらねばならない。動き自体も緩慢だ。あまり近づきすぎるなよ、入嶋』

 

『了解ですって!』

 

 二人の会話の後、ヴァルプルギスからジェミニアスが発艦した。早速クローズフェニックスと合体し、シュバルトゼロクローザーへと姿を変える。

 すぐに艦の甲板へと降り立ち、感触を確かめるような動作をするクローザー。それは無論ジャンヌ副隊長の様子を確かめているのであった。蒼梨隊長が具合を尋ねる。

 

『元君、ジャンヌちゃんは本当に大丈夫なの?』

 

 蒼梨隊長のジャンヌ副隊長への心配に元隊長は自信が無さげに対策を語る。

 

『なるべく俺に負担を集めるが、ジャッジメントクローズモードを使う以上、パイロットのエンゲージパートナー双方にダメージが及ぶのは間違いない。その時は頼んだ』

 

『あぁ……相変わらず無茶ばかりをする……』

 

 無茶を通り越して無謀を感じさせるが、それしかないのもまた事実のようだ。ジャンヌ副隊長が、こちらのエンゲージパートナーであるエターナに釘を刺す。

 

『エターナ、私に何があっても、あなた達は任務に集中してください。いいですね?』

 

『って言われても、姉様が撃墜されでもしたら!』

 

『それでも、今は最重要ターゲットを止めなければいけない。アンネイムドの、暴走を止めなければ、今ある世界が終わってしまう。私とて、この世界が終わってしまうのは嫌ですからね』

 

『うぅ……でも、その為に姉様が犠牲になることは』

 

 ジャンヌ副隊長、エターナはこの世界の住人ではない。この世界のもめ事に、いくら発端があったとしても命を張る必要があるのだろうか。

 しかしジャンヌ副隊長にはその気があった。いや、少し違うだろうか。副隊長は言う。

 

『犠牲になんてなるつもりはありません。ただ私は、レイアさんに笑っていてほしい。助け出した後に後悔なんてしてもらいたくないから』

 

『……もうっ。元君と似て、強情なんだから……』

 

 呆れと叱りを込めた蒼梨隊長の声には、これまでも何度も肩を並べて戦った者同士の慣れとも言うべきものを感じ取れた。言っても聞かないと分かって、そのうえで止めたい気持ちを抑えている。

 既に出た機体を下げることも出来る。にも関わらず、蒼梨隊長は自衛軍の新堂隊長と作戦の確認を行う。

 

『それじゃあ、新堂さん、手筈通りに』

 

『あぁ。宗司君、私達の方に』

 

「了解です」

 

 宗司は先程の打ち合わせ通り、自衛軍、新堂沙織の率いるソルジスタ部隊と合流した。合流した先で学校の後輩二人と軽く挨拶する。

 

「というわけで、二人のお師匠様にお供させてもらうよ」

 

『まさか、宗司先輩と共同戦線を張ることになるなんて、ちょっと驚きです』

 

『ほんまや。先輩つっても、加減しませんからね?』

 

「あぁ。エターナも頼む」

 

『しょうがないわね。姉様を護るためにも、こっちが囮になるわよ!』

 

 共に奮起する。そして全MSが一気に速度を上げて、戦線を構築するべく敵と接敵した。

 

 

 

 

 俺達はまず、真っすぐにニア・ゼロング近くに位置取っていたハル・ハリヴァーの機体へと急接近する。当然敵の弾幕、本体からの近づけさせないための射撃が飛んでくる。

 先頭の新堂隊長はMS刀を抜くと、その弾幕を切り捨てていく。

 

「っ、はぁ!」

 

 回避も織り交ぜて順調に距離を詰めていく新堂隊長。宗司と友直、智夜は共にその後を追うが、流れ来る弾雨に対処しつつも、新堂隊長に付いて行くのがやっとだった。

 弾を避ければ、また次の弾が飛んでくる。避けきれない弾は咄嗟に展開したドライバ・フィールドで防いでいく。この人に付いて行くのは元隊長以上にきつそうだ。

 ドライバ・フィールドを使えない友直達が心配だったが心配は無用だった。二人の機体もそれぞれの格闘戦兵装、友直は新堂隊長と同じMS刀で、智夜は槍で攻撃を捌いていた。

 

『くうっ、てぇい!』

 

『よっ、ほっ。まぁ数だけ多いやね!』

 

 二人の技量を少々甘く見ていたようだ。負けられない。宗司も目覚めつつある直感で侵攻の速度を上げていく。

 弾幕の雨を突破する頃には既に他部隊への迎撃に敵の意識が向けられ、新堂隊長がシナンジュ・ゼロン、並びに別の白いMSとの戦闘に入っていた。

 

『このっ、量産機風情が!』

 

『その機体で、よくやる』

 

『生憎ながら、私も部隊の隊長を務めているのでね』

 

 一対二でありながら高級機二機を相手に翻弄している。それを少しでも楽にすべく、宗司もまたDNアーバレストを戦いに割り込ませる。

 

「はぁっ!」

 

『む』

 

 ザッパーでシナンジュ・ゼロンへと斬りかかる。ハリヴァーはそれを回避する。重装型に装備変更しているにも関わらず、容易く避ける様は、やはり二つ名を持つエースと言ったところか。

 友直と智夜も白い重装型との相手を務める。接近戦を仕掛ける両機に、他機からの支援を受けながら射撃戦で苦手な近接距離の戦闘を避けていく。

 だがそれでも誰もが目の前の敵に食い下がっていく。新堂隊長の機体と共にシナンジュ・ゼロンと刃を交える。

 

『ガンダムDN……噂には聞いていたが、よくやる』

 

「っ、そうじゃなきゃ、止められない!」

 

 接触回線で聞こえた敵からの賛辞に対し返す。元隊長の作戦の為にここで抑え込まなければならない。エターナも姉を護るべく反射的に返す。

 

『あんたなんか、姉様の敵じゃ!』

 

『宗司君、エターナ君避けろ!』

 

 飛んできた新堂隊長の声に合わせて、ハリヴァーのシナンジュ・ゼロンに追加されていた肩部アームユニットからビームが振るわれた。横薙ぎにビームサーベルとしての一撃が、間一髪避けて胸部へのわずかな傷を作り出す。

 回避こそしたものの、制御に手間取る。続く追撃を辛うじて新堂隊長の機体に防いでもらう形となった。

 新堂隊長の機体はそのまま二度の鍔迫り合いの後弾く。先程の言葉の続きを、ハリヴァーが語る。

 

『だが、まだ甘い。いや、若い、かな?言葉に熱がこもっている。それを経験して、大人になればいいがね』

 

「くっ」

 

 大人になればいい、とは随分と洒落た挑発だ。こちらを撃墜するつもりでやってきたにも関わらず、そんなこと思ってもいないだろうに。

 だがその指摘は事実だ。それを認めて今度は黙って戦闘態勢を整える。ハリヴァーは装備を展開し、迎撃する構えを見せた。と、そこでニア・ゼロングの側の敵にも気づいていた。

 

『む、あれはMA……ふふ、対艦戦用装備か』

 

 DNアーマーとニア・ゼロングが戦闘を開始した。DNウォールを破るべく、呉川小隊長、入嶋、そして蒼梨隊長がそれぞれ部隊を率いて撹乱して隙を探る。

 ニア・ゼロングはこちらを気にも留めず応戦する。予定通りだ。ニア・ゼロングをあの機体達で押さえられれば元隊長達の方に戦力は向けられない。

 フェネクス達の起こしているユグドラルフィールドが拡大しているおかげで、こちらも徐々に距離を取り始めている。フィールド解除後の奇襲もしづらくなる。

 しかし当然、敵もそれには気づいていた。シナンジュ・ゼロンがこちらの戦線を抜けようと急加速を行う。が、それを阻むようにこちらも塞ぐ。

 

『悪いが、あのMAも君も、フリーにするわけにはいかないな』

 

『だろうな。だがしかし、君も知っているはずだ。あのMA、Ⅱニア・ゼロングがただのMSやMA程度では止められないことを。そして』

 

 シナンジュ・ゼロンの増加装甲部が動き、拡張された。

 

 

『この今の私の機体が、かつて君達を苦しめた、ニア・ゼロングのオリジナルコアにして、その後継形態であることを、君達に教えよう。―――――ユグドラルアーマー、ユグドラルシャード展開。爆ぜろ!!』

 

 瞬間、おぞましい意志を感じ、咄嗟にドライバ・フィールドによる防御姿勢を取った。が、続く光景に言葉を失う。

 

『がぁ!?』

 

「っ、新堂隊長!」

 

 新堂隊長のソルジスタが、敵に触れられることなく、爆発を起こした。

 

 

 

 

 深絵や沙織さん、CROZEメンバー達が奮戦する中、艦のいる後方まで待機していた俺達も動く。

 

「ジャンヌ、行けるか」

 

『出力系の感じは掴みました。体力も調整出来ています。いつでも』

 

 こちらの呼びかけにジャンヌはそう答える。艦でモニタリングしていたメディカル担当医とジェミニアス機付長の来馬もOKサインを出す。

 

『心拍数、血圧、共に正常値をキープ』

 

『シンクロ率に問題はなし。だけど分かってると思うけど、ジャッジメントクローズモードはジェミニアスの、エラクスモード時をも超える負荷がかかる。しかもジャンヌちゃんは前の戦闘で倒れかけてるし、何なら実機でのクローザー各モードを彼女はほぼ触っていない。無理だと判断したら、すぐ後退を』

 

 いつものおちゃらけはどこへか、慎重な声音で通信を行う。曲がりなりにも彼女もまたMSオーダーズ時代からのHOWのベテラン。年数で言えば元よりも長い。

 特に東響掃討戦以後からは周りの整備メンバーの体調管理などにはきちんと配るようにもしている。機体の特性をデータから読み取り、こうしてこちらにも注意を向けるほどに成長していた。

 そんな彼女の言葉に元とジャンヌももちろんだと頷く。

 

「あぁ。分かっている。止めた上でジャンヌを生還させる」

 

『生きて帰らないと来馬さんも大泣きしちゃいそうですからね』

 

『もうっ。もし帰らぬ人になったら、髪全部私が冷凍保存するからね!そんな鬼人みたいなことさせないでよ!』

 

『あらら……それは普通に嫌ですね』

 

 そんな出撃前のような笑いのムードを作っていると、紫音から現状の報告を受ける。

 

『隊長。前衛部隊が敵と交戦を開始。予定通り、戦線を上げてフィールドから距離を話しているわ』

 

「よし、こっちも手っ取り早く片付けよう。白と利一もいいな」

 

『問題ないです』

 

『一応何かあった時の為の予備戦力として持ってきておいて正解だったな』

 

 白と利一がアンネイムドとは違う、本来の彼らのソルジアスで応答する。それぞれがアンネイムド用のビームマグナム装備と可変機用のビームランチャー装備で構える。

 フィールドに対抗している間は専用機を奪われている彼らがサポートに付いてくれる。逆に言えばそれしか戦力に回せないわけだが。

 確認を終え、最後に再びジャンヌにクローズ回線で言葉を掛ける。

 

「ジャンヌ……すまない」

 

『謝らないでください。もとはと言えば、私がアンチユグドラル兵装の接近に気づかなかったがいけなかったんですから。エンゲージパートナー失格ですね、あはは』

 

 嘘だ。本来敵機の反応には自分が気づくべきだったのに。DNLとしての能力を使わずとも、ジャンヌの必要以上の不甲斐なさが、言葉の端にとれる。

 けれどもそれは裏を返せば元自身にも当てはまることだろう。謝るなと、俺が悪かったと、エンゲージパイロット失格なんだと、ジャンヌには聞こえているのかもしれない。DNLでひしひしと伝わってくるかもしれない。

 今の俺に出来るのは、ただ破壊することだけだ。目の前の障害、世界を作り変えようとする「奇跡」を望む者達の願望の領域。誰かにとっての希望は誰かにとっての絶望だ。その希望を破壊する魔王として今の人の世を革命の如く壊そうとする救世の産声を叩く。

 だから発破を自身に掛けるように俺は発進を合図した。

 

「……行くぞ。シュバルトゼロクローザー、これより敵超次元現象強制適用フィールドの破壊行動を開始する!」

 

 艦の甲板から飛ぶと肩部合体バインダーの蓋を開いて粒子を放出、加速する。やはりこれまで以上の圧倒的な加速力。体にGを感じる。

 なるべくジャンヌに負担がかからないよう、そして白達が付いて来れるように速度をセーブして海上のユグドラシルフィールド発生領域へと向かう。到着すると、周りにはフィールドの接触を受けて轟沈したローズ・ポート、並びに未緒一派に属していたMS達の退避行動が見られた。

 混雑した回線からは傭兵達の契約金の支払いや、それに応対しつつも今は未緒を信じて敵を止めろと叫ぶ側近の声が聞こえる。やはり金の切れ目が縁の切れ目と言った具合か。

 しかしそれでも一部の傭兵達は迎撃に来た。

 

『敵機です。数は5』

 

「ちっ、こんな時に」

 

 邪魔な奴の相手はごめんだ。ところが、それを相手にする者こそ、追随する白と利一だ。

 

『やりますよ、利一大尉!』

 

『あぁ、白!』

 

 二人は素早く狙いを定めると攻撃を開始した。ミサイルランチャーで敵を動かし、そこをそれぞれビームマグナムとビームランチャーで一網打尽にし、あっという間に交戦を終わらせた。

 流石は二年前の事件でアンネイムドのパイロットとして戦っただけはある。アンネイムドに乗ってなくともこれだけの力を持っている。

 とはいえ、彼らに出来るのはこれくらいだろう。彼らの援護を受けて、今ようやく件のユグドラシルフィールドの前まで到着する。

 

『これが……二年前白さんが起こしかけて、今はそれをも超える出力のユグドラシルフィールド……』

 

『単純計算で三倍。でもこれは、単一の願いを他の二人が無理矢理増幅させているものだ』

 

 白の言う通り、このフィールドから伝わるのはとある一人の念だ。怒り、悲しみ、妬み、後悔。誰の物かは想像がつく。

 例えそうだとしてもやることはただ一つ。だからこそその名を周囲へ告げた。

 

 

 

 

「さぁ、世界を壊そう。革命を起こそうとする者に鉄槌を下すために。ジャッジメントクローズモード、解放!!」

 

 宣言と共にクローザーの出力が上昇を始めた。フレームが金色の輝きへと変わっていく。エレメントも同色が多量に振り撒かれていく。

 機体外見の大きな変形はない。だがその変貌は誰の目からしても変質を感じ取れるほどにエネルギーが溢れていた。

 背部マルチプル・スペースシフターから自動で武器が分離し、組み上げられていく。完成したのはジェミニショットライフルと、これまで一度も武器に組み込まれてこなかったジェミニブレードウイング、それから持ち手のパワーグリップで構成された大剣。

 ジェミニアスでもっとも高威力の武器でありながらその威力の為に今までの戦闘で封じられてきた兵装、ジェミニアス・マテリアル・デトネイターを握り、掲げた。

 すべては新しい世界の実現を止めるために。魔王の裁きが下されようとしていた。

 

 

NEXT EPISODE

 




EP51はここまでです。

レイ「千恵里ちゃんの大活躍~と思ったけど、視点は宗司君だったね。でも無事MAとの交戦には入ってるみたいだね。でもそれ以上にシナンジュの方がヤバいことやってるよぉ?」

ジャンヌ「まるで、というよりネオ・ジオングの力をそのまま引き出しているように思えますね。いきなり爆発って」

それこそシナンジュ・ゼロン・ハルの力。小さくなってもニア・ゼロングを2体相手にしているのと同等ですからね。

ジャンヌ「そんなヤバい敵を放っておいてシュバルトゼロクローザーは遂に神話領域の破壊を行おうとしているわけですね」

レイ「世界を壊す、革命に鉄槌ってもう悪役だねぇ。でも止めないといけないから合ってるよねコレ」

必ずしも革命が正しいとは限らない。そもそも革命も成功したから革命と呼ばれるのであって、やってることはまぁまぁテロみたいなものだし。とそれは今いいわ。
シュバルトゼロクローザーもいよいよ最終兵器ジェミニアス・マテリアル・デトネイターを持ち出したぜ(^ω^)

レイ「あらかじめ紹介されていたけどジェミニアスで一番強いって武器らしいね。ぶった切るのかなぁ?」

ジャンヌ「精神の奇跡を、果たして人類の叡智が上回る、でしょうか?」

というわけで次に続きます。そのまま続けてよろしくどうぞ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。