ジャンヌ「どんな入り方ですか……アシスタントのジャンヌ・ドラニエスです」
レイ「同じくアシスタントのレイ・オーバだよ!それを言ったら、私モデルのレイアちゃんの名前も「わ」が「あ」に変わったくらいでそっくりだよっ」
おお、せやな!(゚д゚)!
ジャンヌ「いや、二人してそこに食い入らないでください。本日はEPISODE21ですか?紹介早く行きましょうよ」
あ、はい。(´・ω・`)EPISODE21公開です。決闘宣言をしたところですね。
レイ「前回はアレだよね。グリーフィアちゃんそっくりなネアちゃんのお姉さんのグリューネちゃん登場した回だよね!」
ジャンヌ「色とかの地の文見てもらえれば分かりますが、彼女は既に前章の最後にちらっと出ている監視カメラを仕掛けた人なんですよね。……でも本当にインスピレーションというか、パクリというか、影響されたって感じですね」
あ、あはは(;´Д`)さて、決闘の宣言は受理されるのか?
レイ「あ、ちなみにこの作品はプロローグの時は令和なの?」
今そこ触れる!?(;゚Д゚)とりあえず、説明はあとがきでね?本編どうぞ!
「な、何だって……」
「事件関連のナイトバトルって、いつ以来だ?」
「それより、国家反逆罪の人物が、娘?隠し子か?」
グリューネの発言を聞き、取材陣は口々にその話題に触れていく。ナイトバトル。それはこの世界「マキナ・ドランディア」の伝統的な決め事の1つであった。政治的問題などで争い事が起きた際、各々の主張が混在した状況を打開する為に各々の代表者を立て、その者同士で決闘を行う。その結果勝者が属している者の主張を「確固たる意思のある意見」として認めるというものだ。いわば勝敗を「勝者側がどれだけその思いを貫き通すのに、力を込めているのか」という判断材料にすることになる。
しかし今の現代社会は意見の整合性を重視する傾向にある。そのため力でゴリ押すようなナイトバトルは敬遠されていた。もちろんグリューネはそれを知っている。この後続くであろう言葉を予測していた。そして、その言葉がヴァルトから告げられる。
「ふん、ナイトバトルとはまた古いものを……力だけで意見を黙殺させるつもりか?」
一般人から帰ってくる、もっともなストレートな意見だ。しかしそれは一般的に出回っているとある視点からの通説である。それを指摘する。
「あら、さっきの発言のどこが力だけで黙殺なんです?そもそも、ナイトバトルが決めるのは意志の強さ。意見の正当化ではない。むしろその考えこそ一部の平等主義者が言い出した、自分達を正当化するための言い訳だと思うのですが」
「グリューネ……!言い訳を聞いているんじゃない!私にあらぬ疑いをかけるのはやめろ!」
激高するヴァルト。レドリックもその鋭い視線をグリューネとバァンの間で交互に動かす。会見の場が喧騒としたものとなり、取材陣の声も合わせて更に騒がしくなっていく。
それでもグリューネは、当初の計画通り話し続ける。
「実の娘に自分の責任を擦り付ける人が言えるかしらっ!それに、これはある意味ドラグディアの歴史を鑑みれば、貴方達にも理に適っているわ」
「なんだと……?」
思わぬ発言が周囲の者達の混乱を誘う。彼女の発言の意図が取れなかったからだ。これから一体、グリューネが何を語るのか。注目が彼女に集まる。そしてその口が開かれた。
「ナイトバトルは、国家間の代理戦争でもあった。そしてその代表の多くは、ガンダムが務めることがほとんどだった。もしナイトバトルを今後完全に否定するなら、そのガンダムを倒して初めて、無用の長物であることを証明することが出来るのではなくて?」
「……象徴たるものを倒して、初めて完全に根絶できる、と?」
「えぇ。それに、先の対決をした2人も、まだ納得できていないようですので」
グリューネの示した視線の先には、未だにらみ合いの続く元と、アレクの姿があった。一触即発の雰囲気に、取材陣もたじろいでいた。ただ、それも見てレドリックは方針を変えた。
「……まぁ、それはそれでいいでしょう。アレク、構わんな?」
「れ、レドリック准将!」
レドリックの判断に反対を示すヴァルト。しかし耳を拝借したレドリックから何かを言われたヴァルトは、その口を閉じる。そして判断を仰がれたアレクもその言葉に同調した。
「えぇ、僕も構いませんよ。そこの彼とは、まだ本当に決着がついたわけではない。……恥ずかしい話、僕は負けず嫌いですから」
そう言って鋭い眼差しをハジメ、そして彼に付き従う形となっていたネアとジャンヌに向けられる。2人の少女達は再び向けられた戦意に怯え、ハジメで視線を遮る立ち位置に姿を隠す。ハジメも2人を護るように立ちふさがる。
ハジメもまた、アレクの言葉に返答する形で了承する。
「俺も無論賛成だ。負けず嫌いっていうのもその通りだが、機体が万全でない状態で勝ち逃げされるのなんてまっぴらごめんだからな」
「ふっ、こちらとてそれは同じ。もうすぐ完成する僕の新型機、それで今度こそ君のガンダムを止めてあげよう」
2人の宣言が終わり、その場を締めくくるようにグリューネは決闘の内容をメディアに対して公表した。
「決定ね!決闘の時間は今から1週間後!火曜日の正午から行うわ。決闘の場所はフリュウ州のナイトバトル発祥の地、ローディアン市の「グラン・ドラン決闘場」で開催することでよろしく」
グリューネの一声に取材陣の構えたカメラのフラッシュが集中する。フラッシュがたかれる中での、彼女の表情は明るいものであった。
◆
「さて、とりあえず無事宣言は出来たようだね。みんな、ご苦労様」
ヴェールとローレインがお茶出しを準備する中、グランツは記者会見に乗り込んだ面々に告げた。バァン、ガンド、グリューネ、ネア、ジャンヌ、そして元はそのお茶を頂いて一息つく。
「いえいえ、頑張ったのはグリューネ嬢です。私はレドリックの注意を引いていただけですよ」
「そんな事無いです。バァン少将がいてくれたからあれだけの事が言えましたから。ハジメさんもアレクの相手を引き受けてくれてありがとね」
「まぁ、構いませんよ。ただ、最初のそのことを聞かされた時は、本当に驚きましたが」
あの場で口を開いた3人は各々回想して互いに称賛する。グリューネの打開策とは、ナイトバトルを行うこと。そしてその勝利のカギとして元に代表として出てもらうことであった。
しかしそれにこぎつけるまで、少し論争はあった。話は昨日の事になる。
「それでも方法はあります。ちょっと強引な方法ですけどね。そのためにもハジメさん、協力お願いできるかしら?」
「……協力、というと?」
グリューネの発言に、元は聞き返す。協力といっても、何に協力すればいいのかは聞いておかなければならない。内容によっては拒否せざるを得ないが、元はこの件に協力的であった。ネアは記憶喪失の時からお世話になっている。だからこそ、そのために何をすればいいのか知らなければならなかった。
グリューネは頷くとカバンの中から端末を取り出す。そして目的の物をこちらに見せてくる。メモツールの表題に「ナイトバトル」と書かれていた。
「これは……?」
「ナイトバトル。簡単に言えば決闘。それに出て欲しいの。相手はもちろんヴァルト側から選出されるであろう人物とね」
グリューネの言葉を聞きながら、端末のメモツールにまとめられた内容を見る。そこにはナイトバトルの詳細な情報が書かれていた。
発祥は創世記時代。元々は国々でどうしても争わなければならない事態に陥った時、なるべく平和的に解決できるように考案された方法。現在は意見の対立時にどちらが信念のある意見かを決めるためのモノへと変わった風習。過去は高い家柄同士の争いでも行われたが、現在は司法重視の解決路線への路線変更と、MSの所持法改正の為行われること自体が少なくなった、か。つまりグリューネはこのナイトバトルの勝敗を味方に付けたいって感じなのだろう。
資料を読み終えると、元はグリューネの言葉に答えを返す。
「なるほど、分かりました。引き受けます」
「ちょ……ちょっと待ってよ、ハジメ!グリューネも勝手に決めないで!」
しかしその決定に話を聞いていたジャンヌが待ったをかける。隣で話を聞いていたレイアもジャンヌの声に体を強張らせる。
「ジャ、ジャンヌちゃん!?ど、どうしたのっ!」
「あら、私はちゃんと資料を見せた上で判断を促したんだけど、どこかおかしかった?」
グリューネが指摘する。確かに彼女は突飛とも言える案を出したものの、ちゃんと説明はされている。何より、彼女から既に話を聞いていたであろう大人達から反対意見が出ていない。グリューネの対応にはどこも落ち度はないと思える。
しかしジャンヌは自身の不満をぶつける。
「おかしいわよ!第一ハジメはわたくしの従者ですっ。いくらネアの無実の証明とはいえ、そのためにハジメが戦うのを決めるのは、主たるわたくしが決めることです!それに、そんな危険が伴うような戦いに、簡単に出すわけがないでしょう!?」
「お、お嬢様……」
ネアがその気迫に怖気づく。ジャンヌの言い分としては、自分の従者を勝手に使うことが気に入らないように見える。それに死ぬ可能性もないわけではない。元もそれは申し訳なさと感謝の気持ちを感じる。
しかし、それは見方を変えればとある事実を証明できるものである。それがグリューネの口から指摘される。
「あらあら……随分彼にご執心みたいね。恋人を他の女に取られたくないって感じかしら?」
「はぁ!?!?な、何へ……変なこと言っているの!!こ、こんなのが恋人なわけないじゃない!?」
虚を突かれた発言に慌ててその事実を否定するジャンヌ。思わぬ指摘は彼女の親であるガンドも衝撃を受けている。元も何を言っているのやら、と呆れを見せる。しかしながら面と向かって、しかも指で指された上での否定は心に来るものがある。だがグリューネも、それで引き下がりはせずにジャンヌを更にたき付ける。
「あらあら、そんなに慌てて否定しなくても。でもそんなに他人に自分の従者を貸すのが嫌?人を貸すのに意地を張る必要がある?それともそんなに人の頼みを断るのが好きな性格かしら?」
「うっ……うぅ……ぐぬぬぬぬ……」
次々と図星であるように言葉に躊躇う主。元もそこまでジャンヌが嫌な性格ではあれど、根はそうではないというのは知っている。しかし元もここで言うのは更にジャンヌの立場を追い込むこととなると思い、口を閉ざす。レイアが心配そうな眼差しでジャンヌの顔を覗き込む。
「……ジャンヌちゃん……?」
「……わ、分かりました……ハジメ、貴方はいいのよね?」
「はい。自分もあの連中……特に、あのMSのパイロットとは決着を着けたいと思っていましたから」
「……じゃあ、そういうことで」
投げやり気味に許可を出すジャンヌ。まだその顔には不満が残っていたが、頬に赤く残る物を隠したいがためにそれ以上は何も言わない。許可をもらい、グリューネは感謝の言葉を送り、元に早速次の行動の手はずを伝える。
「じゃあ決まりね。ありがと、ジャンヌ。というわけだからハジメさん。明日私達と一緒にヴァルト市長の記者会見場に乗り込むわよ」
「私達と……って、他に誰が?」
元の疑問にバァンが自身の胸に手を当てて答える。
「私と、他の部隊員数人。それにネア嬢には来て頂くつもりだ。グランツ司令はここに残るがね」
「私はある意味この一件に肩入れするのはタブーだ。何せネア君をファーフニル家に居られるようにした者の1人だからね。それにグリューネ君の作戦は私が直接関わらないことを前提としている。会見での宣言後は少し関わらないといけないかもしれないが」
「分かりました。……お嬢様」
バァンとグランツに了解を伝えると、元はジャンヌに声を掛ける。ジャンヌは先程の件から立ち直れずに、項垂れた様子で返事をする。
「……何?」
「よろしければ明日、お嬢様も来ていただけませんか。何が起こるか分かりませんし、グリューネさんの指示も仰がねばいけませんが、それでもネアの支えになってあげた方がいいと思うのです」
「ハジメ!……いや、ジャンヌ、どうする?」
元の意見に待ったをかけようとしたガンド。しかし少し考えてから娘に訊く。ここで恥を掻かせたままというのもあれだというのもあるし、それに何より、本当にネアの支えとして、今まで共に過ごした家族に近しい人物が必要だと感じたのだ。
そんな元の考えを察してガンドも娘の判断を優先した。ジャンヌは一度レイアの方を向き、それから視線を元の方に戻す。そしてその口から自身の判断を告げた。
「…………行きます」
明確に口にした、行くという意志。それを聞いたグリューネもそれを了承する。
「分かったわ。じゃあジャンヌはハジメさんと一緒にネアといてあげて。レイアさんは?」
グリューネからの誘いがレイアにも向けられる。レイアはネアの親友とも言える人物だ。それ関連ならばと思ったのだろう。しかしレイアは首を横に振る。
「私は遠慮しておくよ。……家の問題とか、私には色々と無理そうだし。でもっ、応援はするよ!ネアがいられる場所があるように!」
家の問題。それはレイアには確かに重いものだ。だが、彼女は断ると同時に自身に出来ることをすると言った。その言葉だけでも、ネアには十分届く。感謝の言葉を伝える。
「レイア……ありがとう」
「ううん。私にはこれしか出来ないから……。ハジメ君、ジャンヌちゃん。後は頼んだよ!」
「はい!レイアさんの気持ちに賭けて、ネアの無実を証明します!」
「あぁ、確かにその言葉、受け取りました。お任せを」
レイアからの頼みをジャンヌと元は受け止めた。そして明日に備えての準備を行っていった。
と言った具合に、こんな論争があったものの結局元は頼みを承諾、今日記者会見場にてグリューネの決闘宣言に同行したまでに至るのである。しかしまだこれは始まりにしか過ぎない。ガンドがそのことに触れる。
「とはいえ、ここからが本番だ。特にハジメ。いくら機体を強化しても、君自身が付いてこられなければ意味がない」
この作戦で重要になるのは間違いなく元の役割だ。元がこの勝負に勝てなければ意味がない。だからこそ、元の戦闘能力の底上げは必須だ。そしてグリューネ達もその用意をしていた。
「というわけでハジメさん。悪いんだけど、この1週間グランツ総司令の管轄下にあるルヴァン基地地下に行ってもらえる?そこからならファーフニル家まで距離はそんなにないし、それにMSの整備とか、訓練施設も豊富だから。それとその基地の司令さんが今回の戦闘指南役をしていただけるそうよ。もし他にあれば言ってくれれば用意してくれるそうよ」
「分かりました」
グリューネからの指示に元は頷く。元としても元々軍に入る段階で肉体改造は行うつもりではあった。それが少し早まったくらいだ。しかも今回は軍の司令官クラスの人間が指南に当たってくれるという。またとないチャンスと言ってもいいだろう。元にも断る理由は見当たらない。
「あ、あのっ」
と、そこでジャンヌが手を上げて意見を申し出る。何だろうと思った者達の視線がジャンヌに集中する。視線の集中を受ける中、ジャンヌはその口から自身の考えを述べる。
「ネアはしばらく学校に出れないとして、その、言い方が悪くなるけどわたくし、暇、になるじゃない?邪魔になるかもしれないけど、ハジメの訓練に付いて行ってもいいかしらって。お父様、ダメ?」
それは元に付いて基地に行くということだった。仮にも元が行くのは軍の内部施設。ジャンヌが軍人の子どもだとしても、そして元の主であっても同伴は厳しいように見えた。
だが顎に手を当ててから、ガンドがグランツとグリューネに自身の考えを伝える。
「……グランツ司令、またうちの子が狙われる……その可能性はまだゼロではないですよね?」
ガンドの口から語られたのは、再びジャンヌが狙われる可能性。ポルンがいなくなった今、その可能性は少ないと思った元だったが、グランツもそれを懸念していた。
「確かに。彼女もまたネアに近しい人物。レイア君の方には私の部下を監視役として付けているが、君の娘は元君がその役割を担っているわけだから出来ればその方がいいだろう。それに……」
「それに基地の位置はセント・ニーベリュング近郊。ファーフニル邸までの道のり近くの脇道にありますから、戻って二度手間になるよりは2人で一緒に行動してもらった方が良いかもしれません」
2人もまた彼女がまた狙われる可能性を感じていた。元々ネアが巻き込まれた事件がきっかけでこの事件は起きている。いくら主犯が死亡したとはいえ、その糸を裏で引いていた者達がまた襲いに来ない保証はない。むしろ今回の件もまた引いている可能性がないとも言い切れない。ならばまだ監視の目を怠ってはいけない。
三人の意見がまとまると、ガンドからジャンヌの要求が承認される。
「というわけだ。悪いがジャンヌ、元としばらくは基地の方に行ってもらう。まぁネアも同じ基地で保護してもらうつもりだから、顔出しと思ってもらえればいい。構わないか?」
「うん。元々は私がお願いしたことだから。ありがとうございます、お父様」
ジャンヌは深々と礼をして席を立つ。元も席を立ち、グランツ総司令に声を掛ける。
「じゃあ、今日はこれでお開き、ですか?」
「そうだね。とはいえ今日から早速基地の方で司令官で指南役となるゼント君に会ってもらいたい。グリューネ君からは最初から本気でやってもらいたいというオーダーなのでね」
「分かりました。では失礼します」
2人はグランツ、それにバァンに礼をして部屋を出る。ドアを出て案内役のヴェールとその護衛の隊員、それにグリューネと少し話していたネアが来るのを待って彼らはルヴァン基地へと向かう。
◆
ドラグディアの首都、セント・ニーベリュング市の近郊に軍事基地の1つが存在する。首都は国の守るべき拠点であり、そのためにも多くの軍事基地が近くに存在していることは少なくない。これは隣国マキナスでも同じことでお互い睨みを利かせるのにも役割を果たしている。
そしてその中の1つルヴァン基地はその要とも言える基地だ。いくつかの要因があって重要施設となっているこの基地はとある人物の部隊によって管理されていた。その部隊の名は「ガルグイユ隊」。首都とそれに類する人物達を全力で護るための人材を育てる特別訓練部隊の名だ。そしてその部隊を率いる人物こそ、グランツ総司令の懐刀と称される部隊長、そして基地司令官である「ゼント・ガルギュール」と呼ばれる男だった。
絶対防衛線を敷く彼の部隊はいずれも一流。そんな彼の下にまた1人、訓練を受ける者が現れた。それも1週間で技術をモノにし、にも関わらずほぼ全くの素人が、だ。だが訓練を受ける側も彼を知らない。彼が別名「人斬り鬼教官」と呼ばれていることも……。
◆
「お待たせ。ここがルヴァン基地よ。ちょっと確認してもらうから、待っていて」
車に乗せられ、ジャンヌ達がやって来たのは件のルヴァン基地だ。自分達の登下校ルートからは近郊に出る道を1つ曲がってから、都市を迂回して少し離れた場所にあり、自分達の家の近くにこのような施設があったことは驚きを隠せない。途中の林地帯がカモフラージュで投影されたものだと気づかなければ、当然だろう。
基地の入り口に車を止め、出入りを管理する入り口の見張りにヴェールが運転手と共に確認を取ってもらっている間、ジャンヌは基地の外観を見て感想を口にする。
「すごい……こんなところに基地があるだなんて……」
自分の通学路の近くに、これほどの基地が隠されていたことは、ジャンヌにも驚きだ。内部に入らなければ中が確認できないような立体映像、そして隠し対象である基地の大きさ、おそらく自身の家であるファーフニル邸の敷地とほぼ同等ではないかとため息を漏らす。
ジャンヌの隣でもハジメ、そしてネアが同じように呆然と感想を述べる。
「すごい……自分達の近くにこんな施設が本当に存在していたなんて……」
「そういえばこの近く、フォーン様が非常時に駆け込むように言われていた場所……。こういう施設があったからこそ、言っておられたんですね。
ネアの言葉に注意が向く。確かにジャンヌも何度か、フォーンに避難経路の確認でこの近くへの非常時の避難経路として言われていたような気がした。そう思えば確かに納得できるものがあった。
こんな施設だったら確かに逃げ込んでかつ身を護れるわ……。でも、これって知ってなかったら意味ないんじゃ……?
思わず出た心のツッコミは、確認の終えたヴェールの呼びかけで後回しにされる。
「……よし、それじゃあ入るわ」
車が再度発進し、フェンスタイプのゲートが開いてそこから基地内部に進入していく。やがて車が基地の建物脇の駐車場で停止して、ジャンヌ達は車から降りる。すると、車を降りた彼女達に基地の人間と思われる人物が声を掛けてくる。
「来たか。ヴェール・フリード技術大尉。それに……ふむ、君か」
「……」
その人物はハジメの前に立つと、その顔をじっくりとあらゆる角度から見る。まるで買い物で商品を見定めるかのようだ。ハジメは蛇に睨まれた様子でその品定めを受ける。
それが終わると、自己紹介を行う。
「俺はゼント・ガルギュール。この基地の司令官で、部隊の教官をやっている。階級は大佐だ。お前は」
「はい。クロワ・ハジメです。今回は決闘に備えての戦闘技術の特訓ということで……」
「あー、用件まではいい。既にグランツ総司令から話は聞いている。まさか俺が、ガンダムの装依者に教えることになるとは思わなかったがな。それで、1週間だったな」
ゼント・ガルギュールはハジメの言葉を半分で遮って、物事の確認をヴェールに取る。ヴェールが肩を竦めて、そうであると伝える。
「はい……。それで、もうガンダムの方は……」
「おう、届いている。既に地下の秘匿ハンガーに入れてある。グランツ司令経由で、あんたが指定した改修素材も含めてな。人員も受け入れているから、問題ない」
「ちょ、ちょっと待ってください!貴方、いくら何でもぶっきらぼうすぎるのでは!?」
ジャンヌが我慢の限界となって、従者へのを含めた非礼を咎める。ゼントは面倒くさそうな反応で顔を向ける。
「あー?そーいやあんた誰……って、そういやヴェールお前なんか言ってたな。追加でもう1人来るって」
「な……!あんたって何!?わたくしはガンド・ファーフニルの次女ジャンヌ!っていうか、こんな人にハジメが鍛えられるっていうんですか!?」
思わずキレてしまうジャンヌ。自分への無作法な扱いに、彼がハジメの指南役というのも忘れて思わず口が出てしまう。しかしそれを収めるべくヴェールが2人の間に入って仲裁する。
「す、すみません、ジャンヌ様。この人ストイックって言いますか……。ゼントさんも出会ってすぐに人の堪忍袋の緒を切らせない!」
しかし仲裁する2人の様子は、どこかじゃれ合いのようにも見える。ジャンヌはそれに気づかなかったが、それを見ていたハジメはその点を指摘した。
「……失礼ですが、ヴェールさんはこの方とお知り合いなんですか?仲のよさそうにしていますが……」
するとヴェールが肯定し、関係を教えてくれた。
「ゼント大佐は私のお父さん、グランツ・フリードの友人の息子さんなの。家に来たときとかよく話し相手になってくれたから、その時からの縁だね」
「そういうことだ。けどその話はあとだ。ジャンヌ・ファーフニル……ジャンヌ嬢ちゃんでいいか。悪いが早速訓練に入る。嬢ちゃんの執事を借りるぞ」
だがその関係が明かされても、ゼントはジャンヌの言葉に耳を貸すことなく、代わりにハジメの身柄を借りていくことを伝える。変わらない対応にジャンヌが文句を言った。
「だ、だからぁ!」
しかしジャンヌの言葉を、ゼントが現状を語って封じる。
「聞いたところ、執事の坊主は1週間であの「速烈の剣士」と互角の戦いを所望してるっていう。けど、戦闘技能は素人らしいな?今すぐやらねぇと勝てねぇぞ?」
「うっ……」
ゼントはしっかりと現実的な話をしていた。続けてゼントの口から非情な現実を告げられる。
「俺は勝てるように鍛えてやれとグランツさんに言われた。あの人の言葉は絶対だ。そして、執事の坊主はそれを望んだ。なら、俺は絶対的に勝てるように、そのために全力で鍛えてやらなけりゃならねぇ。時間が1秒でも惜しい。嬢ちゃんも、そのネアって子を護りたいんだろ?だったら今は従ってもらう。いいな?」
ぶっきらぼうに感じられるその発言。しかし、彼の眼と言葉、そして外見からはその本気さが感じられた。それ以上に、彼女もまたそれを分かっていた。ハジメが出来る限りの力を、いや、あの男に勝たなければならないことを。
なら彼の言葉に従うしかない。今更人選を変える暇もない。それにそれだけ考えてくれるのなら、こちらも全力で応える必要がある。それが今の彼女達に出来ること。口を挟まないことがそれに繋がるのなら。ただし、予防線だけは張っておく。
「…………分かりました。けど、終わったらたっぷり文句は言わせてもらいます」
「ヘッ、それは覚悟しとくぜ。……さて、じゃあハジメ。まずはこの訓練着に着替えてから基地の外周20周走り込み!それから基地の地下8階まで全力疾走で降りてこい!それが終わったら模擬戦闘を行う。返事は!」
「え……、あ、ハイ!!」
ハジメの教官となったゼントからの、最初の無茶な訓練内容の通達を啖呵に、この1週間の地獄のトレーニングは始まったのである。
NEXT EPISODE
今回もお読みいただきありがとうございます。最近文字数がすごく多くなってきてるんじゃあ……(;´∀`)
ジャンヌ「でしたら減らすか分けてください」
そろそろ以前みたいに投稿前に分けるって、前もやっていたことをしないといけないかもしれん(´・ω・`)
レイ「けどいきなりあんな練習メニューを言われるって相当だよねー。元君大丈夫なのかなぁ」
さぁ?けどゼントさんが言っている通り、時間がないから無理にでも付いて行かないといけないですね。あ、ちなみにそこら辺の描写はほぼ割愛して次回機体のとある機能に関しての話になります。
レイ「えぇ~、端折るの?」
いや、まぁまだ第1部の第2章だし……ちなみに第1部は4章構成になります。
ジャンヌ「意外と短いですね……戦争ってもっとかかる物では?」
いや、1年かけて戦争終結させてるのはデュ○マのアニメとかくらいのものだって……かの有名な一年戦争も、実際始まったのは1月からだから1年だけど、初代ガンダムのストーリーはその4分の1程度だからね。後は外伝で外埋めよ。
レイ「だ、大胆に言い切ったね……大丈夫なの?何か言われたりとか」
でも実際そうだからそれ以上は無理だし。それに時系列的に開ける部分があるから、そこの話をクリスマスとかそれら関連のスペシャルエピソード書くって決めてるから。
ジャンヌ「あ、そのための構成なんですね」
レイ「1年丸々使わない利点はそこかぁ……。じゃあ特別エピソードに期待だね!」
というわけで今回はここまで。
レイ「次回もよろしくっ!まったねー」
レイ「あ、ちなみに前書きで言ってた時代については?」
あ、はい。年数的に元号は平成が終わった次の元号だけど、そもそも元君の世界では、平成の終わりが5年くらい早まっているし、元号も違うからあんまり影響はないね。けど一応令和的な時期真っただ中だね。
レイ「じゃあ、令和ガンダムなんだね、シュバルトゼロは!」
……すみません、そうとは限らない(´・ω・`)(シュバルトゼロガンダム自体は平成に考えているため)
レイ「えー、残念」