機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、藤和木 士です。EP60と61の更新です。EP61となります。

ネイ「作戦の概要、本隊が敵侵攻を抑える中でシュバルトゼロが奪還する。スケールが大きいですがかつてのヴァイスインフィニットとの戦いを彷彿とさせますね」

グリーフィア「でも今回は一筋縄じゃ行かなそうよ?横槍は入るでしょうし、そもそも辿りつけるかも。正々堂々と前に来るかも分からないわけだし」

とまぁ作戦についての話かと思いきや、始まるのはその作戦通達が終わってからの話なんですがね。というわけでどうぞ。


EPISODE61 狙うエース・オア・ジョーカー4

 

 

 長い作戦通達が終わり、千恵里達は母艦ヴァルプルギスへと戻っていた。とはいえやることは多く、すぐに各々の機体のチェックに取り掛かる。

 いつもながら面倒だと思っている。しかしちゃんと見ておかないと損をするのは実際に戦う自分自身。しかも今回は元隊長の支援を受けられない。いつも以上に引き締めなければならない。その中でもとりわけ忙しいのは私を含めたGチームの一同だ。

 私は自身の変貌していく愛機の前で呟く。

 

「こんなごっつい装備……アルヴって名前とかけ離れてません?」

 

「はは、入嶋ちゃんの言うことは一理あるな。とはいえ今さら俺がこれに独自のチューンナップをする時間はないよ」

 

 そう言うのはヴァルプルギスのGチームガンダム担当の整備士星北。今入嶋のガンダムDNアルヴには追加装備の武装アーマーが取り付けられている最中だった。

 解説書には「新型スラスターとそれを抑え込む増加装甲・武装群」とある。何でもスラスターの推力が高すぎて今は装甲の重りで制御しろとのことだ。

 追加武器は良い。だけど、他の人への追加物資と比べるとあまりにも大雑把さを感じた。ふと他の人達の機体を見る。クルスと宗司達の機体は相変わらずだが、自身の方と同じように整備士達がマニュアルとにらめっこしている機体が二機。そこにはGチーム小隊長の呉川と先輩のクルツがいる。

 彼らの機体も新型に置き換わり、その調整段階にあった。各々の真剣な様子でそれぞれの機体と向き合っている。

 

「武装はこのバインダーにほぼ集約されています。バインダーの武装は変更も可能ですが、おそらく今回では変更の機会はないかと」

 

「うむ。ようやく俺の望んだ機体が来た、というわけだ」

 

「―――で、ライフルはこちらがビーム仕様、こっちが実体弾です。テールのライフルは機体のAMBACも兼ねているので、制御は以前より難しいですが……って聞いてます!?」

 

「聞いてる聞いてる。ちょっと武装は減ったが、俺好みだ。ステルスも狙撃手が様になって来たってわけよ」

 

 二人とも自分の望んだ機体が来たようで満足の様子だ。隊長達の喜びの横で千恵里はため息を吐く。それをたまたま来ていた宗司が目撃していた。ため息の理由を尋ねてくる。

 

「どうしたんだ入嶋。ため息なんて。新しい機体なんだろ?」

 

「機体っていうか、装備だよ。もっとも、アルヴのスピードを殺すような装備……上の判断だから文句なんて言えないけど」

 

 愚痴りたい気持ちはある。だけど仕方がないんだと言い聞かせる。アルヴの仕様変更はこれまでの千恵里が望んでいたものではない。隊長達が意見に沿った改修をされている中でこの強化は自身にとっては仕打ちと言ってもいい、と自分で思っていた。

 アルヴの名前は妖精から取ったと前に聞いた。なら、妖精らしくもっと軽い感じの、スラスターや大きく広がったウイングが付いた追加装備でも良かったのではと思った。

 それを宗司にも聞かせた。

 

「でもさ、あたしだって成長しているんだよ。だから、もうちょっと望んでいる強化が来たって……」

 

「ふむ……でも強化が来てるってことは、声は聴いてくれてるってことじゃないのか?俺の方はいつものメンテナンスだけだし、むしろ万全を期すためにもっと入るかと」

 

「そりゃそうだけど……だからって今までと同じじゃ味気ないっていうか、あなたに追いつけない……」

 

 これまで続いて来たポジションと嫉妬に文句を言おうとしたところで作業をしていた星北さんがこちらに顔を向ける。

 

「やれやれ、うちの新人ちゃんは注文が多いなぁ」

 

「星北さん聞いていたんですね」

 

「そりゃね。で、次の注文はシュバルトゼロみたいなウイングを付けてくれってか?」

 

「そ、そこまでは……」

 

 思わぬ返しに戸惑う。それを見てふん、と様子を覗き見た星北整備長は再び背を向けて機体と向き合って話す。

 

「ま、追加装備っていうのはいくつかパターンがある。純粋に機体を強化する、実験の為のテスト、はたまた企業同士の技術供与、利益供与……いずれの場合でも本人の意思が尊重される場面が少ないのは事実だ。君が嫌いそうなやつだな」

 

「笑わないでください!私は真面目に……」

 

「だが、今回のは割と真面目だ。あんまり言うのは良くないんだが、この装備は間もなく完成するお前の後継機のテスト装備だ」

 

「えっ」

 

 唐突にそんな話を持ってこられる。後継機の意味はよく分かっている。元隊長にとってのシュバルトゼロRⅡからのジェミニアス。要するに機体の昇格のようなもの。

 ガンダムDNが次世代の機体の為のテストベットというのは前にも聞いた。しかしそれは他の機体のためだと思っていて、後継機、それも自分の為のとは聞いていなかった。

 星北さんは言う。

 

「お前の新しい機体の装備は、これに準じている。もしこの戦闘が長引いても到着した新兵器に順応できるように。まぁ、それはほぼないと思いたいがな」

 

「新型と……同じ」

 

「同じなら確かに、この方式ならすぐに扱えるかもですね」

 

「ま、細かい調整しないとすぐには無理だけどな」

 

 その話には納得できた。新型とほぼ同等の性能に機体を上げる。素早く戦力増強も出来て、なおかつ今後に繋げられるのなら文句はない。

 だからといってこのちぐはぐとも呼べる仕様は納得できない。扱えるとはいえこれは、と文句を言う。

 

「でも、なんで重装甲に加速性のあるスラスターを……。どうせならスラスターは機体本体に付ければ……」

 

 疑問に対し素早く星北さんが逆に問いをぶつけてくる。

 

「じゃあ聞くが、お前は機体制御も未熟な後輩に、いきなり高性能な機体を渡すとする時、お前はまず何をする?」

 

「何ですか、その質問」

 

「いいから。答えなきゃそれ以下だぞ?」

 

 弄ばれてる。そんな感想を心の中で抱きながらも今のままでは意趣返しもままならないので自分の答えを返す。

 

「そりゃあ……まずは機体の性質について確認を……」

 

「はずれ。それはお前がするんじゃなくて、後輩がするものだろ」

 

「ぐぬっ!?」

 

 最初の答えを叩き落とすかの如く不正解と言われる。理屈も実際正しく、言われて擬音が口に出てしまう。

 とはいえ回答は一度だけと言われたわけではない。そのまま矢継ぎ早に答えを言っていく。

 

「扱えるようになる訓練メニューを作る!」

 

「それは必要だがこっちが言っているのはもっと前の段階だ」

 

「似たような性質を持つ機体で練習する!」

 

「さっきのと似てる気もするが、それも似たのがなかった意味がない」

 

「じゃ、じゃあそれの性質を再現する兵装を別の機体に装備して試させる!」

 

「だからなんでそれをする理由を聞いてんだよ!」

 

「分かるかー!!」

 

 お手上げとなりそう叫ぶ。一際大きく響き、周りの人からの視線も一斉に向く。流石に恥ずかしくなって各方面に「すいません、すいませんっ」と頭を下げる。

 その様子をおかしく笑う星北整備長。恥ずかしさで私は彼を睨み付けて頬を膨らませる。自分が悪かったとはいえ、こんな辱めを受けるとは。こうなったら満足する説明を受けなければ辱められたと言いふらそうか。

 答えの出る様子のないこちらに星北は助け舟もとい、ヒントを出した。

 

「出ると思ったんだけどな。じゃあヒントだ。お前の競争相手、相模宗司のガンダムDNアーバレストはその仕組みを取っている」

 

「え、俺の機体の?」

 

 言われて相模君が目を丸くする。相模宗司のガンダムDNアーバレストはドライバ・フィールドを用いる形態変更式のMS。

 そのアーバレストに取り入れられた仕組みと同じ、となると形態変更が思い浮かぶ。高性能な機体を制御するためには、つまり形態変更を行う……?

 千恵里は考えを巡らせる。既に今のアルヴは増加装甲で覆って形態変更を行っている。だがそれでは機能を活かせるとは言い難い。機能を封印されていては……。

 

「……ん?」

 

 そこで閃く。未熟な後輩、相模君も適性は高かったとはいえ最初は未熟そのもの。ガンダムDNアーバレストも完全ではない。徐々にエクストラロックを解かれて行ったことで、今の性能がある。形態変更もそれと密接につながっている。

 先程の質問は「未熟な後輩に高性能機を渡す際、自分は何をするべきか」。自分があるべきことではないが、たどり着いた答えを提示してみる。

 

「……機能を制限、する?」

 

「おっ、正解」

 

 あっさりと声が返ってくる。やっぱりか、と思いつつも問題の整合性について問う。

 

「でもそれ、実際にやるのは星北さん達整備員では?」

 

「そりゃな。よく分かっている上級整備員だと各々の判断でその設定掛けるんだけど、大抵は上官が指示する。今回は武器構成の大半に元が関わってるからなおさらな」

 

 問題はないと答える星北整備長。同時にこの武器が元隊長の指示のもと作られていることを知る。

 そのうえで星北整備長が諭してくる。

 

「あいつは味方の事よく見てるよ。MS操縦技術が得意じゃないお前に開発プランを合わせてやってる」

 

「……そんなこと言わなくても」

 

「言えるよ。機体のレコード見てるんだから。そのうえであいつはお前のやりたいことを叶えようとしている。今回の増加装甲と新開発の「フェアリィスラスター」。今はフェアリィスラスターの高すぎる性能を、増加装甲とセットにして押さえるって意味合いが強いが、戦闘中に一部のパーツを外すことも出来る。戦闘中に外して身軽になって少しだけ動きを上回るって使い方が出来る」

 

 星北整備長の言うことは事実で、解説書にも使い方の一つとして不要部分の排除が可能となっている。その際にスラスターも外れてしまうが、その部分の重量が軽くなるとも書かれている。

 その部分以外のフェアリィスラスターは問題なく稼働でき、確かにその動きも出来る。思っていた以上に出来ることは多い。ただしその分扱いが難しくなると書いてあり、星北整備長も欠点に触れる。

 

「ただその分コントロール能力を求められる。いっそ全パージを強制するのも良かったんだが、あいつがその方がいいってな。それだけ腕は信用されている、ちゃんと期待はされてんだよ、お前は」

 

 言われて黙る。今まで自分はその隊長の厚意に反抗していた。何も言えるわけがない。

 黙ったままのこちらの返答を待つことなく整備長は付け足す。

 

「新型機はこいつの性能を更に上回る。その分扱いは難しい。ここで手間取るようなら使えんぞ?一応シミュレーターにこいつのデータはもうインプットしてもらってあるから、行って来い」

 

 背中を押される。そうだ、言うよりも行動。特殊な技能も持たない私にはそれしかない。相模君と進、二人に追いつくなら。

 非礼を詫び、先程の言葉に従う。

 

「すいませんでした、文句言って。私、行ってきます」

 

「おう、無理はすんなよ、明日本番なんだからな」

 

 その言葉を背に受けて、足早に訓練に向かった。憧れの人の期待に応えられるように。

 

 

 

 

 入嶋が立ち去った後、残された宗司はそのまま星北さんに尋ねる。

 

「あの、星北整備長」

 

「何だ?今度はお前の機体に何の追加装備もないって言いに来たか?」

 

「あぁ……そう言えばそうでしたね」

 

「違うんかいっ。まぁいいや、それも答えるけど、質問は?」

 

 早とちりした星北さん。この流れでならそれもあり得るから申し訳ないと思いながら、こちらはこちらで問題となっていることについて見識を訊く。

 

「元隊長と、ジャンヌ副隊長の不仲……って、どう思ってます?というか、友人として何か言ったりとかは」

 

「あ~……まぁお前ならそうだよなぁ」

 

 納得した様子で返答する星北さん。お前なら、と付けた理由は無論俺がエターナのパートナーだからであろう。

 もちろんそれも正しいのだが、個人的には言葉通りの意味を持っている。宗司自身もそれを踏まえて話す。

 

「えぇ。あいつのパートナー……っていうのもあるんですけど、俺個人としては、その……」

 

 これまで幾度かのパートナーの協力を得て、トラウマを克服してきたとはいえ、他人の関係に踏み入るのにはためらいがあった。しかし星北さんはそれを察して自分から口を開いてくれた。

 

「……そうだな。俺はあいつのことを小学校の時からよく知ってる。昔はちょっと今より雰囲気は明るかったが、基本真面目で過保護になりがちだった。あの頃は痴話げんかしてたが、柚羽のことを気にしてたな。あいつが亡くなって、拗らせたあたりもそうなんだろうな」

 

 あまり聞いたことのない名前。亡くなったということは聞いていなくて当然、いや、エターナや最悪ジャンヌさんも知らないのか……。

 それはどうか置いておくとして、星北さんの話に耳を傾ける。今の現状について星北さんの思っていることを明かしてくれた。

 

「正直言って、今のあいつはその時のようにならないために頑張り過ぎている。いや、何が何でも見えた目標を逃すまいと盲目になってやがる。トラウマを再発してる」

 

「やっぱり……そう見えますか」

 

「あぁ。あいつがこの世界に帰ってきた時、そのトラウマはもう向こうでの友人やジャンヌちゃんと一緒に乗り越えたとは言っていた。けどあれは、抑え込んでてまたぶり返した。きっと光姫が、光巴ちゃんのお母さんが死んだのがやっぱり相当堪えたんだろう。だが、俺としては魔王という存在の重責だろうと思う」

 

 光巴がしてくれた持論とほぼ同じ推察。やはり鍵はそこなのだろう。だけど、これを解決するのは、少なくとも自分達には無理なのではと思った。

 宗司の考えを見透かしていたのか、星北さんが断りを入れる。

 

「言っとくが、心配してくれるのはありがたいが君が関わるのだけは止めておけ。エターナちゃんも姉さんが心配だろうが、これはきっと、あの時寄り添ってやれなかった俺達の責任だ」

 

「星北さん……」

 

 忠告して星北さんはおどけた様子を見せた。

 

「まったく、まだ俺も相手が見つかってないのに同級生の恋仲を応援してやらないといけないとはよ。あいつには世話になってるけど、手間もかかるよ。部下にこんな心配までさせて」

 

「……早く問題が解決するといいですね」

 

「本当にな。けど、そうするためには君には今回の任務で頑張ってもらわないと」

 

 言って星北さんは一応上げておいたもう一つの質問にも流れで伝える。

 

「今回新武装がなかったとはいえ、大立ち回りしてもらわなきゃ困る。ちなみに君の後継機はよりシュバルトゼロの戦闘能力に比類させた大変ハイスペックな奴になる予定だ。言うなれば、オーバードライバモードが平常運転に加えて相反する新装備付きのな」

 

「相反する装備……?」

 

「ま、今は急ぎでそっちを使う機会はないだろう。使うことになっても、ドライバにユグドラルの力も手に入れた君なら行けるさ」

 

 随分と期待を寄せられている。新装備が気になりはするが、その期待に応え、感謝を伝える。

 

「分かりました。明日の戦闘、生きて帰ります」

 

「それが一番だ。じゃあ作業に戻るぜ」

 

「はい。では」

 

 言って別れる。明日の決戦、それですべてが決まるだろう。果たして、生き延びることが出来るのか。不安も胸に、一旦自室へと戻ることにした。

 

 

NEXT EPISODE

 




EP61はここまでです。

ネイ「作業風景って感じですね。けど新装備が凄いあるみたいですね」

グリーフィア「やっぱり大作戦ってことで色々追加するみたいね。それと千恵里の方はちゃんとDNアーバレストと同じようにエクストラロック解除って感じで追加装備ってわけ。でも文章だけでも結構何言ってんのって話よね、強力なスラスターを抑え込む増加装甲群?」

まぁ性能高すぎてですね、DNLじゃない入嶋千恵里には扱いづら過ぎる、というか本来ならDNLが使う装備の延長線上ですからね今回の追加装備は。

グリーフィア「じゃあ何でそれを今回?」

それはガンダムDNの本来の開発理由にある。技術をスピンオフして次なる機体へ。量産機でもそれら高性能兵装を扱えるように試験する機体がDNなんだから、色々試してもらわないと困るってわけだ。

ネイ「確かに最初の頃の黒の館DNでも言っていたような気がしますね」

グリーフィア「まーそれはそうね。DNLじゃなくてもDNLと同じ装備で追いつく、ってことのテストケースか」

そういうこと。まぁそれに関してはまた驚くこともあるでしょうが。

ネイ「それで元さんの事、星北さんも心配していらっしゃってましたね」

グリーフィア「友人だから余計に辛いわねぇ。元君達に心配かけさせているのも辛いって感じ、夢乃ちゃんも言っていたものね」

こっちが心配しているのと同じで、出してませんけど佐倉君も心配してたりしますので。と、雑談はこのくらいで。

ネイ「次回もよろしくお願いします」
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