機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうもまた1週間空きました作者の藤和木 士です。EPISODE63と64の公開です。まずはEP63の方から。

ジャンヌ「なんで空いたんでしょうね、という質問は今はしないでおきましょう」

レイ「まぁでもそれが解決したからこっちに割り振れるってわけだし、私達としては良かったってことだもんね」

迷いは晴れた、ってところ用件の方で見せたいところですわ。で内容。

ジャンヌ「聖戦の始まり、ということでいよいよゼロンとの対決ですかね」

レイ「今章のメインだからね~、どうなることかっ!」

とはいえまずはお茶濁しからです、どうぞ。


EPISODE63 聖戦の始まり1

 

 

 決戦の朝。宗司はエターナと共にとある人物の下を尋ねていた。その人物とは先日顔合わせをした公安所属のガンダムパイロット、古橋勇人だ。

 なぜ尋ねることになったのか。それは黒和元へととあることを相談したからに他ならない。

 

『ドライバ・フィールドとユグドラルフィールドをどう組み合わせればいいのか分からない』

 

 以前の戦闘からずっと考えていた。ドライバ・フィールドとユグドラルフィールドは形質がどちらも似ており、同時展開すると意識のリソースが割かれる事態に陥っていたのだ。

 とはいえ形成できることは出来ており、それを維持しようとも務めている。それでもあまりに負担が大きいことから、決戦にて不安をぬぐえず隊長へとそれに詳しい人物がいないかどうか尋ねたのだ。

 専門ではない、としつつも元隊長は公安所属の友人、古橋勇人に尋ねることを勧めてくれた。昨日の時点でもしかしたらと思っていたのだがやはり適任者は彼をおいていないだろう。

 話の場は隊長が設けてくれた。来てもらった古橋さんに礼を言う。

 

「今日は貴重な時間を割いていただき、ありがとうございます」

 

「あまり時間はない。が、こっちも暇はしていたからな。最終チェック位のものだ。それより、お前の方は大丈夫なのか」

 

 こちらの心配はいい、と逆に心配される。新人だからこその応答だ。実際こんなタイミングで尋ねる事も双方にとっていいのだろうかと思ったくらいだ。

 それに頷きつつ、本題を切り出す。

 

「自分としてもあまり時間を裂いてはいられないと思ってます。けど、これだけは聞いておきたいので」

 

「まさか、あいつのパートナーとの関係、とかじゃないな?」

 

「流石にもう聞きませんよそれは……。同じ、ドライバ・フィールドとユグドラルフィールドを使える人、ということで聞きたくて」

 

「フン?なるほどな」

 

 呼び出された理由を聞いて察しの付く古橋に宗司は用件を言った。

 

「古橋さんはドライバ・フィールドとユグドラルフィールド、どうやって同時に使っているんですか」

 

 一体どうやってこの問題を解決しているのか。真似できるかどうかは分からないがそれを乗り越えられる方法があるなら自分も試したい。何かが得られれば、と。

 しかしその考えは古橋からの思わぬ回答で根底から崩されることになった。

 

「同時に?そんなことやっていないが?」

 

「えっ?」

 

「一応出来る、とは言われているが俺は操作が煩雑になり過ぎるから完全にどっちかだけで運用している。もっぱら汎用性の利くドライバ・フィールドがメインだがな」

 

 まさかの回答。古橋さんはどっちも使えるが、片方しか使わないという回答が返ってきたのだ。

 確かに煩雑ならどちらかしか使わないというのは理にかなった方法だ。けれどもそれでは片方を持て余していると言える。そうではないのかと問う。

 

「け、けどそれじゃあ機能を持て余しているんじゃ……」

 

「実際そうだな。改修案にその機能を削ることも考えている。例えDNLでもそれら機能を同時に運用するなんて、馬鹿なアイデアだったな」

 

 使えなかったことを自嘲する古橋に宗司達は頭を抱える。エターナも失礼なことを気にも留めず舌打ちで愚痴る。

 

「ちっ、前任者でこれってそういうの分からずに作ったんじゃない」

 

「エターナ。古橋さんの前でそれは……」

 

「ま、事実だから言い返せねぇよ。イラつきはするけどな。ただ、悲観するのはまだ早いぞ」

 

 事実を認めながら、考えがあると示す古橋の言葉に二人の意識は吸い寄せられる。二人の反応に不敵に笑う古橋。

 

「何よ、そんなにおかしい?」

 

「いや?あいつらしい部下だと思ってな」

 

「それで何か思いついたんですか?」

 

 待ちかねるこちらにあくまで予想、と前置きしてここまでの分析を古橋は語った。

 

「勝手な予想だが、あいつは俺がゲルプゼクスト、つまり俺のガンダムでドライバとユグドラルの両力場を片方しか使っていないのを知らなかった訳じゃないと思う。そもそもお前達の側の機体はおそらく俺のガンダムの運用データから作っている」

 

「それは……同じドライバ・フィールド運用機ならあり得る話ですよね」

 

「おまけにユグドラルフィールドも使えるようにしてる。実質的な後継機なんじゃないの?」

 

 話によればガンダムDNはこれまでに開発したカラーガンダム達を平均化し、量産機への技術流用を目的としたテスト機としての思惑が強い機体だという。バックパックやドライバ・フィールドも今は後発の量産機の装備として開発途中で、同時進行だったDNアーマーは既に各隊で運用されているらしい。

 その中でもアーバレストは同じドライバ・フィールド搭載機のガンダムを参考にしたと聞いた。おそらくは古橋さんの機体だろう。

 ならば、と前提を踏まえたうえで古橋は持論を語る。

 

「お前達の機体は既にその対策がなされている、いや、対策途中の機体なのではないか?」

 

「対策が……」

 

「いやいや、安定した同時展開なんて出来てないじゃん!」

 

 文句を言うエターナの言う通り、その実感がない。同時に展開出来ているとはいえ、これでは不安定としか言えない。

 そこで古橋さんの口から飛び出したのはその運用体系についての質問だった。

 

「ちなみに聞くが、二人の割り振りはどうなっているんだ?」

 

「割り振り?機体制御とかって話?」

 

「そう。どうなんだ?」

 

 言われて首を傾げる。が、言うほど困るものでもない為それを言っていく。

 

「俺は基本の戦闘担当、機体制御と攻撃・防御面、ドライバ・フィールド、ユグドラルフィールドの運用担当です」

 

「私はサポートメイン、通信の受領とレーダー索敵、DNL索敵のメイン、火器管制とかもなるべくやってるわ」

 

 普段の仕事の割り振りとしてはこのような感じだった。ちなみにDNLでの索敵は自分も最低限やっているし、エターナも防御・回避指令を出して緊急回避を行う場合もある。オースで二人がかりによるドライバ・フィールドの出力増大が良い例だろうか。

 そんなものを聞いてどうするのだろうか。気になっているとそれを聞いた古橋さんの口からとんでもない言葉が返ってきた。

 

「なら、フィールドの精製を別担当にすればいいんじゃないか」

 

「別担当……?」

 

 言葉の意味を図りかねる。別担当、ということは三人目のパイロットを採用するということだろうか。しかし古橋の言葉はそれよりももっと単純明快だった。

 

「ドライバを宗司、ユグドラルを……えぇとエターナだったか、君がやる様にする」

 

「はぁ!?本気で言ってんの!?」

 

 提案を真っ向から否定するエターナ。それが理想的なのは分かっている。けれどもユグドラルフィールドを使用可能になるオーバードライバフォームは二人掛かりで起動する必要がある。

 その必要性を理解しているならば出てこない意見に宗司も事情を説明する。

 

「それは無理だと思います。オーバードライバフォームは俺達二人で起動させなきゃ到底使えない。人数を増やして担当を増やすのならまだしも、エターナだけのDNLの力じゃ……」

 

 しかしその事実を認めたうえで更なる考えを古橋さんは提示した。

 

「発動は二人掛かりでも、維持には二人はかからないんじゃないか?」

 

「えっ?」

 

「起動条件が必ずしも使用条件とイコールではない。探知が可能なら、ユグドラルフィールドの発生も一人で出来るんじゃないか?」

 

「それは……やったこと、ないし……」

 

 考えるような仕草でエターナが目を逸らす。考えもしなかった。どうしても起動するための条件がユグドラルフィールドの発生につながっていると思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。

 ならばなぜ、エクストラロック解除の条件がそんなことになっていたのだろうか。ふと呟く。

 

「けど、ならどうして条件が」

 

「おそらくだが保険だろうな。パートナーの補助が必要な時に代わりに使うための。あるいは本当にDNLのレベルが二人分必要なのか……ともかくやったことが無いのなら試せ。エンゲージシステムなんていうごちゃごちゃしたものを乗せているのはそう言った理由があると、俺は思う。俺から言えるのはこれくらいだ」

 

 これ以上は言えることはない、と語る古橋さん。試すしかないのは言えている。エターナが少々消化不足のような様子だが、言葉を飲み込んで宗司は引き下がる判断をする。

 

「分かりました。やってみます」

 

「正しいかどうかは分からない。しかし若いなら飛び込んだっていい。実戦で一か八かやるくらいなら練習をこなせ」

 

「はい」

 

 礼を行ってエターナを連れて古橋と別れる。

 

 

 

 

「……これは」

 

『出来てる、わね』

 

 結果として古橋の言葉は正しかった。オーバードライバフォームのシミュレーションで宗司がドライバ・フィールドを、エターナがユグドラルフィールドを形成していた。

 出力はユグドラルフィールドの方が劣っているものの、安定性に関してはこちらの方がずっといい数値だ。こちらもドライバ・フィールドの維持にだけ努めればいい分戦闘にも集中しやすい。

 事実シミュレーション結果は今までの中でもっともいい。強力な攻撃や高いユグドラルフィールド機に当たらない限り、ユグドラルフィールドに比重を寄らせる必要もない。問題ないと言える。

 だが同時に物足りなさを感じていた。

 

「性能は安定した。でもなんか納得がいかないな……」

 

『そう?まぁ私も手伝わなきゃいけないっていうのは、正直言ってだるいけどね。けどおまけって感じはしなくなったからこれで良いとは思ってるけど』

 

 珍しく前向きなエターナが言う。おまけだなんて思ってはいないのだがエターナからしてみればそう思っていたのだろう。むしろおかしいのは自分だ。

 そもそもどうしてエンゲージシステム機なのか。古橋さんが言うようにこの機能を十全に扱えるように、とも取れる。疑問は解決できるが果たして本当にそういうことなのだろうか。もっと何か裏があるように思える。

 

(……なんで、人を心から信じられなかった俺が選ばれたんだ……)

 

 エンゲージシステムはパートナーを信用しなければ使えないと聞かされている。ならばどうしてあの時契約が出来たのか。

 悩みは絶えない。けれども一つだけ分かることがあった。自分はきっと信頼でエターナとパートナーになったのではない。きっと何か別の要因がある。それを今開発者達に聞く気は起きなかったが。

 

 

 

 

「あれでよかった、のか」

 

「あぁ。あいつらの経験を深める意味ではお前が適任だよ、古橋」

 

 HOWの新人、宗司達が去ってから仕掛け人となっていた元にそう語りかける。彼らが訪ねる前に古橋は既に元から用件について聞いていた。

 同じドライバ・フィールド運用者だから、というのは納得できる。だが同時に適任者として宛がわられたもう一つの理由にはその時何故と思ったものだ。

 理由について愚痴をこぼす。

 

「二人とも他人との関係を作るのが苦手、とは言っていたがそんなことなかったぞ。エターナは口調が大分荒いと思ったが」

 

 元は自身に対し、ドライバ・フィールドとユグドラルフィールドの同時展開法だけでなく「彼らの対人関係強化の協力」もお願いしてきた。最初は何を言っているのか問い返したが見ればわかると言われなし崩し的に見ることになった。

 結果としてほぼフィールド関連の話しかしていない。というか、問題があるとすればエターナの年上を敬わない態度とは思う。もっともそこをうるさく言うつもりはないが。

 しかしそれだけではないのだと元が言う。

 

「じゃあ、宗司の事はどう思う?」

 

「どうって?エターナの手綱を握っている、真面目で寡黙っぽさを感じさせる若者って感じだが。ちょっと自分を出していないって感じはしたが」

 

 率直にそう答える。古橋からしてみれば宗司はいい子という言葉が似合うほど、素直かつ真面目。感情の気迫は見受けられるが、真面目過ぎてむしろ「気味が悪い」という感想も同時に抱いていた。

 手が掛からないのは良いことだが、あれくらいの年なら反発くらいあっていいとは思った。逆に本音をさらけ出していないのが却ってこちらを気掛かりにさせる。まるで誰かのようだと思った。

 せっかくなので皮肉も込めて言及する。

 

「なんて言うか、お前の部隊員らしいと思うよ。自分から不利な状況に追い込んでいるところとか」

 

「余計なお世話だ。だがやはり同じことを感じたか」

 

「フン。てことは俺に任せたのはそう言う理由か」

 

 理由、それはおそらく自分からでは彼に注意が出来ないからだろう。自分自身がもっともその状況に当てはまり、指摘しようにもお前が言うなと言われかねないと。

 それでも心配だから向こうの本命のドライバ・フィールドとユグドラルフィールドの同時制御方法と合わせて指摘できないかと踏んだのだろう。そちらは要点を伝えなかったせいで台無しとなってしまっていた。元も肩を落とし頷く。

 

「そうだよ。同じDNLなら雰囲気察してくれると思ったんだが」

 

「DNLはエスパーじゃないってお前も言っているだろ。まったく、鋭いのか鈍いのか」

 

 部下の深みへの陥り、自分の失策は分かっているにも関わらずそれを自分で解決できずにいる。そして何より恋人と公言していたにも関わらず二人の仲が壊れつつあることは控えめに言ってみていて気の良いものではなかった。

 その思考に陥らせている奴の振る舞いに俺は苦言、いや否定を入れる。

 

「だが、お前のそれはやがて自分自身も破滅させるぞ。徹底的に悪を潰すそれはお前の思考では耐えられない。悪いとは言わないがお前は」

 

「気遣い、感謝するよ。流石は警察の公安までその年齢で登り詰めただけある」

 

 一言で分かる嘘だ。もっと内面で苦しくもがいているイメージを感じ取れた。きっとそれに気づいたこちらを悟ってもいる。そのうえで元は覚悟とも取れる願いを告げる。

 

「だけどな、俺は止まらない。奴らにとっての絶対悪として戦い続ける。俺は魔王。人類にとっての救世主で、信者にとっての魔王。例えそれが非難されても、この身が果てようとみんなの平和とあいつの願いは果たす」

 

「……それは本当に平和なのか?」

 

 問いかけに沈黙をぶつけてくる。やがてあいつは沈黙に耐えられずに部屋を出ていく。寸前、置き土産の如く言い残す。

 

「宗司達の事、何かあったら頼む。嫌な予感がする」

 

「そうかい、覚えておくよ」

 

 部屋のドアが閉まる。再び部屋に静けさが戻る。時間はちょうどいい頃だ。

 出撃の準備の傍ら、あいつの対応に愚痴をこぼす。

 

「王を名乗ったとしても、自分が生きてなきゃ意味ないだろ。女を泣かせる馬鹿が、今にも童貞にナイフ突き立てられるぞ」

 

 それは自分とは違う、どれだけ突き放しても尽くしてくれるパートナーを見捨てるアイツへの恨み節だった。

 

 

NEXT EPISODE

 




EP63はここまでです。

レイ「本当にお茶を濁した……でもまぁここで宗司君と古橋さんを早速絡ませてくるんだね」

ジャンヌ「忘れないうちに、というわけですか?」

そういうこと。やっぱ早めに書きたかったですし。

レイ「表向きのドライバ、ユグドラルの展開も解決方法を見出すとは流石エースパイロット、いや、エリート警官かな?」

ジャンヌ「公安に所属しているだけあって優秀ですね。すぐに解決策を出すとは。でもこれ元隊長達からも出そうなアイデアですよね。やっぱり後半の目的が理由ですよねこれ」

宗司君とエターナ、特に宗司君を心配した元君が他の人の意見も聞きたかったってところだからね。実際懸念通りに宗司君は抱えがちな感じだったし。

レイ「でも元君も痛いところ突かれてるね~。無理している精神……これやっぱり不安なフラグ乱立してるなぁ」

ジャンヌ「まぁでも逆にこれだけフラグ立てると生存はしそうですよね。嫌な事が起きそうではありますが」

そこは回避じゃないんですか……

レイ「だって最近配信やってたマク○スFじゃ隊長は死にかけたけど死なずに別の人が死んじゃったじゃん」

ジャンヌ「ヒロイン……ジャンヌさんが、というわけではないのなら、まさか今回再登場した夢乃さんが……」

おいおい君達……夢乃ちゃんを詩に引きずり込むんじゃないよ。

レイ「だって元君除いたら死にそうなの夢乃ちゃんだもん」

ジャンヌ「まぁそこは詳しくは追及しませんが」

ふぅ。では続く同日公開のEP64へ。
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