レイ「アシスタントのレイ・オーバだよっ。いやぁ、もう藤和木が活動して4年なんだねぇ……」
ジャンヌ「アシスタントのジャンヌ・ドラニエスです。わたくし達はアシスタントを担当するようになって3年ほどですけれど、感慨深いですねぇ」
というわけで今回の番外編は、前作が関わってくる「IF」とも呼べるお話です。いきなり驚く展開ですが、ご了承ください。読んでいけばなんとなく分かります。ではどうぞ!
それは、地獄のような戦場だった。ふと目を覚ました元の視界は、とある戦場の中だった。見たことのない異空間と、空中に浮かぶ大陸の数々。そしてゲームでしか見たことのないような異形のモンスター達……。異世界とも呼べるその光景は、ドラゴンのいる世界へと投げ出された元すらも驚かせるには十分な光景だった。
いきなりこうなっているのも驚くが、それ以上に驚いているのはどうして自分がこんなところにいるのかだった。既に周囲は爆発の余波で粉砕したと思われる地面と、燃え盛る炎で包まれていた。丁度近くにあった割れた水晶に目が惹かれポケットに投げ込んだところで、近くから声が聞こえてくる。
「頑張って!!コウキ君!!」
コウキという誰かの名を指す単語を聞き、元はその方角へと向かう。すると、そこにいたのは元も驚きの存在だった。
「ッ!?あれは……ガンダム!?」
そう、元の視界に映ったのは背中の機械で出来た翼を広げ、空中戦を展開する黒いガンダムの姿だった。シュバルトゼロガンダムにも似たその機体は、同じく空中を飛び回る黒い機体と激突している。
自分以外のガンダムの存在に、元は岩肌で隠れて観察する。観察の中で更に気づいたのは、自身の手前の方で見物している、MSの集団があった事、そしてそこにいた機体がいずれもガンダムの顔をしたMSだったことだ。
(あんなにガンダムが……ここはマキナ・ドランディアじゃないのか?)
マキナ・ドランディアでは救世主と崇められているほどのガンダムが、これほどいる光景に元は若干戦慄する。もしかすると、この世界はガンダムの世界なのではと思ってしまう。しかし、戦場へと視線を戻した元はその戦闘の中で更に目撃してしまう。そう、ガンダムをだ。
(……戦っているのも、ガンダムだ。一体、これは……)
漆黒のガンダムと戦う機体もまた、同じく黒のガンダムだった。違うのは、フレームと思われる部分が赤か金色かの違い、それに武装も違う。赤いフレームの方はビームサーベルを振るい、更にその腰部にはブレードガン・ニューによく似た銃剣を装備している。対する金色のフレームを持つ黒いガンダムはその手にかなり大きめの、装飾が施された大剣を2本振り回している。どちらの機体も、よく似た2つの大型翼の間に小羽とも言える小さなパーツが浮遊しているウイングを装備している。細かいところは違うが、その装備数は3対。兄弟機の様にも思えた。
赤い機体の姿に、元はシュバルトゼロガンダムの面影を強く感じる。武装面は翼を除き似通っており、ブレードガン・ニューに似た武装やサイドアーマーを形成している武装は強化改修前のガンダムのサイドアーマーに似ていた。それに何より戦い方が自分の使うガンダムと同じだったのだ。
何度も激突する、2機の漆黒のガンダム。しかし、金色のフレームの機体が大きく突き放す。同時に大剣を掲げて剣の柄を煌めかせる。
「行くぞ、コウキよ!キングロイヤルブレイク!」
『ノイズフォースビックバン、キングロイヤルブレイク』
「ぐっ!!」
柄から展開された光の障壁を貫きながら、大剣からビームが放たれる。圧倒的な出力に空気が揺れる。それらは隣り合っていた別の空間にも及び、そこにいた誰かの声が、再び赤いフレームのガンダムの装依者を呼ぶ。
(コウキっ!負けないでっ!)
当の本人であるコウキと呼ばれた人物は、攻撃を何とか受け止めるも地面へと叩き付けられる。爆発と共に煙が周囲を覆う。煙が晴れていくと、ガンダムは無事だったが、各所からスパークが散っていた。あれだけの大きな攻撃を受けたのだ。元のガンダムでもあれを防ぐ自身は無い。それどころか、先程まで見ていた空中での激闘も、スピードを目が追っていくのが精一杯だった。一目であの2人が自分よりもレベルの高い人物だと確信する。
劣勢状態のガンダムに、金色のフレームのガンダムが負けを認めるように言う。
「ここまでだな、ワトウコウキ。この次元も、いや、全次元世界は私、シュバルトキングガンダムのもの!!」
「させるかよ……シュバルトゼロガンダムの名に賭けて、今までに苦しんだ無数の俺達の願いを叶えるために、テメェをぶっ潰す!!」
対して赤いフレームの、自身と同じガンダムの名を口にしたワトウコウキという少年は、シュバルトキングガンダムの男に抵抗する。その話の内容から、どうやらキングの方は世界を征服しようとしているようだ。コウキという少年の無数の俺達という言葉には、あまり理解が追いつかなかったが。
……まったく、とんだ夢物語の世界に来たみたいだ。けど、そういう話が進んでいるなら、俺も黙っちゃいられない!どういうわけか、「これ」もあるわけだしな。
そして、元は行動した。
「やれやれ、そんな勝手に世界レベルの侵攻が進んでいるなんて、はた迷惑な」
「!?誰だ!」
コウキという少年がこちらに声を飛ばす。そう、元はこの戦場に飛び込んだのだ。その様子を訝しむようにキングは名を問う。
「ほう……?見慣れぬ者だな……何者だ?」
キングの問いかけを受け、元はその場にいた者達に名乗りを挙げる。
「俺は黒和元。かつては平和な地球で暮らして、今は竜と機械の種族の住む世界、マキナ・ドランディアの名家「ファーフニル家」預かりのしがない執事だ。……もっとも、同時にこいつの使い手だけどな」
そう語り元はスターターを示しながら腰に装着する。突然現れた謎の男性に、ガンダムの集団からも警戒心が生まれてくる。
「クロワ、ハジメ……」
「地球って、私達の世界の住人?」
「竜と機械の世界って……?」
「マキナ・ドランディア……聞いたことがないな」
「ファーフニル家って一体どこの家?そのマキナ・ドランディアっていうところの?」
「っていうか、それの使い手?ベルトってことは……いやドライバー?」
(色々と考えてるみたいだな。けど、驚きはこれからか)
スターターにガンダムを装依するための機体認証キー「ロックリリーサー」と「セレクトスーツカード」を装填する。そして、手を交差させ構えてから大仰に腕を振るってから装依ボタンを押し、構える。
『Standby OK?』
「装依」
スターターからの問いかけに、元は返答する。返答に合わせ元の前後を光のゲート「アクセス・ゲート」が挟み込む。挟み込まれた元の体が電子へと変換される。ゲートは挟み込んだまま、上部へ回りそのまま下降する。光のゲートを潜って現れたのは、損傷から新たな姿へと再構成された、シュバルトゼロガンダムの改修機「シュバルトゼロガンダム[リペア]」である。修復されたその姿は、赤いフレームのガンダムに更に近くなっていた。
『スターティング・ゼロ・アウェイクン シュバルトゼロガンダム』
スターターからの機体名称呼称がなされる。現れたもう1機のガンダムに、見物していた他のガンダム達が驚きの声を漏らす。
「嘘……シュバルトゼロがもう1機!?」
「あれも、アイツの言ってた旧戦争の遺物?」
「で、でもでも、キングの方も予想外みたいな反応してなかった!?あれってキングの方も想定してない、把握してない機体なんじゃ……」
イレギュラーとも呼べる機体の出現。それは無論相手側にとっても同じだった。キングもその姿に動揺を見せる。
「が、ガンダムがもう1機だと!?えぇい、何がどうなっている!?くそっ!」
キングは動揺しながらも、元を撃墜しようとその剣を向けてくる。先程と同じく、圧倒的なスピードでこちらに距離を詰めてくる。が、途中、突然機体の動きが鈍くなる。
「何?」
「ッ!しめた!」
スピードの失速した動きに合わせ、元はビームサーベルを振るう。攻撃自体は防がれるものの、先手をこちらが取る。なぜスピードが落ちたのか。元も疑問を抱くが、次第にその理由が明らかになる。
「くぅ、スピードが出せん……この蒼い粒子か?」」
「そうか、高濃度DNが、あのガンダムの動きを遅らせている?ならこちらが有利!」
元のガンダムが放出する蒼い高濃度DN。それが相手の機体の、赤いDN、量産型の出力を落としていたのだ。それが分かると元は反対の手にブレードガン・ニューを構え、更に攻撃を加える。激突する剣筋。その間にもう1機のガンダム、コウキのシュバルトゼロガンダムが立ち上がる。コウキは立ち上がると、サイドアーマーを前方に向け叫ぶ。
「避けろ、クロワハジメ!!」
「っと!?」
その声に反応し、元は退避する。その方角に向け、大出力のビームがサイドアーマーから放たれる。一撃必殺とも言える火力に見える。
だが必殺を期して放たれたそのビームは、元の居た付近よりスピード、熱量共に落ちていく。そのおかげで間一髪攻撃を回避するキング。
どうやら、俺の機体の粒子がこの世界のガンダムの出力を下げるみたいだ……。けど、一体どうして……?
新たに生まれる元の疑問。しかし、その疑問は解決する前に遮られる。怒りを露わにしたキングは機体から更に粒子を放出し荒れ狂う。
「何故だ、何故たった1機のMS如きに、王たるこのガンダムが後れを取る!!」
すると、それに返答したのはこちらに歩み寄ってくるもう1機のシュバルトゼロガンダムだった。ガンダムはブレードガン・ニューに似た銃剣を両手に装備し、元の隣に立つ。
「……それに関しては、俺も疑問に思うな。だが、今はそんな事を言ってる場合じゃない。さっきお前はあのガンダム……シュバルトキングガンダムの行いに対して、はた迷惑だと言った。……つまり、俺達の味方をしてくれる、っていうことか?」
銃剣を構えた状態で、問いかけてくるもう1機のシュバルトゼロガンダム。こちらを疑っている、ということは間違いなく伝わってくる。誰も知らない、しかし自分達の良く知るガンダムと同じ機体にあちらは興味があるようだ。もっとも、それはどちらかと言えば敵対関係を明らかにしたい、というようだが。
しかし、元もそこは素直に答える。それは人として当たり前の発言だった。
「侵攻してくるやつだったら、俺は戦う。それと敵対している人達がいるなら、俺は協力する。助け合いとは、そういうものでしょう?」
皮肉っぽく、そう発言する。実際皮肉であり、元も危険だから一緒に戦う、敵の敵は味方理論での発言だったが、それでも同じ名を持つガンダムの装依者はやや緊張感を崩すように発言する。
「……フッ。まぁ、そうだな。あの有名特撮でも「助け合いでしょ」って言ってたくらいだ。今回の場合は……そう、ガンダムなら、助け合いだろ、ってか」
もう1機のシュバルトゼロの装依者であるコウキは、剣を向ける相手をこちらから敵側……シュバルトキングガンダムへと向ける。剣を向けられるも、その心意気に余裕を取り戻すキング。
「ハハッ。いいのか?そいつといれば、お前も更に力を奪われるというのに」
「構わねぇさ。その中で一方的に戦える奴がいる、そいつが手を組んでくれるっていうんならな!」
コウキは、キングの指摘した欠点に笑みを見せながら返す。そして2機のガンダムは、敵に対してその剣を向け背中合わせに口上を述べる。
「シュバルトゼロガンダム[リペア]、黒和元!」
「シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス
2つの機動戦士の言葉に、他のガンダム達が武器を構え、援護の態勢を整える。その合図となるように執事の青年と総司令の少年の言葉が響く。
「行きます!!」
「目標を、撃破する!!」
一斉にガンダム達が飛翔する。それを受けるようにキングもまた、こちらへと激突する構えを取る。2人の剣がキングの剣と激突し、光が溢れ――――――――
「――――――ハジメ?起きなさいよー!」
「ん……んあ?あ、お嬢様?」
目が覚める。まどろみから覚めた元の眼を、証明の光が差し込んでくる。目を覚ますと、そこは大きな地下訓練場のフィールドだった。先程までの不思議な異空間や浮遊する大陸などは存在しない、平和な世界が広がっていた。
そこでようやく元は体感していたように思えた空間が、夢の産物であったことを知る。とはいえ、今になって思うとやや不整合性があったのを感じる。
(まぁいきなりあんなところにいるっていうのもおかしい話だ。訓練でノックアウトされたから、当然前後の記憶はない。それにあんな空間だったとはいえ、お嬢様がいなかったのも今じゃ不自然だ。それに、もっとおかしいのはあの時スタートがまったく会話に入らなかったことだ)
スターターを装依したとき、そして装依後もいつもなら何か一言あるはずのスタートが何も言っていなかったのもおかしい点だ。もっとも、あの時は状況が状況だったことから、それを気になる暇さえなかったようだが。
状況を整理し体を起こすと元は自らの主、ジャンヌ・ファーフニルへと目覚めの挨拶を行う。
「おはようございます、お嬢様。どうやら少し寝てしまっていたようで……」
「もう……っ!びっくりしたわよ。少し倒れている時間が長かったから、心配して駆けつけてみれば……本当にアレクを倒せるんでしょうね!」
「ははは……面目ないです。ですが倒さなければという気持ちは十分ありますよ。負けられませんから」
元は心配させまいとジャンヌにしっかりと意気込みを伝える。まだ決戦までの期間は4日ある。それまでに鍛え上げなければならない。それに、あの異世界で戦った時もたまたまガンダムのDNがあの世界のガンダムに対して有効的だっただけで、実力では確実にあのガンダムに負けていた。機体相性という物があるとはいえ、あれはほぼガンダムの特殊な性能に頼って防げただけ。次に戦う相手は、そんなものは通用しないのだから。
元は立って天井を見上げる。もしあのような場面に出会うことがあったのなら、この世界や元の世界を襲う別世界の存在がいたとしたら、それに立ち向かいたいと思う。そして、またあのガンダムと共に戦いたい。あのガンダム達と対等に立ち向かえるほどに強くなりたい。……とはいえ、彼らは空想の産物ではあるが。しかし、妙にリアル感があったよう感じる。風の感じ方も荒廃したようにも感じていた。本当にあれは夢だったのだろうか。そんな疑いを浮かべる。
妙にリアルさのあった夢をよそに、元に帰りの支度を要請するジャンヌ。その声に急かされ、元は急いで彼女の後を追う。
「それより早く帰りましょ。もうこんな時間だし」
「あぁ、そうですね。それじゃあゼントさんに顔を見せてから帰りましょうか、お嬢様」
ジャンヌの後を追うように元は走り出す。決闘の日は近い。夢のような決戦に立ち向かえるような強さを求め、まずは目の前の対決に目を向けなければ。元はこの遅れを取り戻すためにも、明日は全力で臨もうと強く思ったのであった。
だが彼のポケットから光る物質が地面へと落下していた。それは透き通るような美しさを持つ、紅い水晶の欠片。だがそれは部屋の電気が消灯されたタイミングで砕け、更に砂粒となって宙に消えた。紅い粒子と共に。
それは水晶の見せた、夢幻。夢幻となって現れたのは、遠くて近い、ある次元の激闘の記憶であった。
EX-EPISODE END
今回もお読みいただきありがとうございます。番外編と同時公開のEP29では、この訓練期間後の結末が見られますので、そちらもご覧いただけると幸いです。
ジャンヌ「コウキさんは、あのコウキさんでいいんでしょうか……。でもあの物語は完結せずに終わっているので、何ともですね」
レイ「でも、きっとあの光樹君だよ!前作SSRの!けど夢オチかぁ……仕方ないけどさ」
SSRとは私が原作・超次元ゲイムネプテューヌで書いていた「新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG」の事です。今作とは一部設定を流用した別作品ですが、シュバルトゼロガンダムなどの関連機も多く存在しています。
ちなみに今回のお話で登場したシュバルトキングガンダムは、ラスボスの予定だった機体ですね(*´ω`)出せなかったのは残念だけど、こういう形で出せてよかった。
レイ「けどキングの姿、もう少し分かりやすいといいんだけどねー」
あ、シュバルトキングガンダムはベースはSZGに仮面ラ○ダーブ○イド キングフォームのイメージを落とし込んでいます(´・ω・`)
ジャンヌ「ガンダムに仮面ラ○ダーのイメージを落とし込むって……」
まぁ鎧をかぶせていたり、武器がキングラ○ザーっぽいって感じなんだけどね。とりあえず今回はここまで。
ジャンヌ「次回黒の館及び続くお話もお楽しみください」