機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、藤和木 士です。EPISODE65と66の更新です。

レイ「今回は早いね」

ジャンヌ「劇中で戦闘も始まっていますし筆が乗ったということで?」

寧ろ速度落ちてんだよなぁ。もしかしたらまた長く待たせるかもと。それでは早速本編をどうぞ。


EPISODE65 聖戦の始まり3

 

 

 シュバルトゼロクローザーがゼロンエース二機と戦う頃、既に東側戦力の各エース部隊もゼロンのエースと激突を開始していた。

 オースの英雄二人はゼロンのタイプシリーズこと黄金のタイプシリーズ「タイプ[リズン]」と対峙していた。が、その圧倒的性能に押されていた。

 

「ぬぉぉ!?」

 

「正!くっ、フリーダムでも回避が精一杯……こんな、これは!」

 

「ハハハハハ!!こんな程度か、種命島ご自慢のコーディネイティアは!」

 

 種命島勢力だけでは抑えきれない様相を見せていた。一方自衛軍のアンネイムド率いる部隊はタイプシリーズの二機タイプ[イグジスト]、[ディナイアル]との対決を展開する。

 

「くっ、これがタイプシリーズ……確かに僕らの機体と似ている」

 

「似ているからこそあなたには理解してもらいたい。あなた達は私達と戦う理由なんてない」

 

「白!そいつらの言葉を聞くな!こいつらは日本の政府を、乱す者だ」

 

「乱しているのはお前達だろ!こんなやつらに理解してもらわなくとも!」

 

 両者形質的にも似通った力で激突し、言葉を交わし合う。相手への理解と今の日本の主導権がどちらにあるかを問いながら。

 その様子を横目に深絵と夢乃はシュバルトゼロクローザーの後を追って進軍していく。

 左方向には本来元が率いるはずのCROZE部隊、Gチームがよく見えている。新型の機体・装備が多いが今のところ被弾もなくよくやっている。

 片手間に向かって来る敵機と交戦しながら深絵は夢乃と話す。

 

「シュバルトゼロクローザー……速すぎるよ」

 

『やっぱりそうですよね。進軍スピードが追いついていない』

 

 元達のスピードが速すぎる。想定していたよりもこちらが追いついていない状態で奥へと進んでいる。DNの散布によって通信もやや阻害され出していて声も届いていない様に思えた。

 やっぱり、元君が焦っている。早くレイアって子をジャンヌちゃんの下に返したいって思いに逸っているんだ。

 急ぐ元に何とか追いつこうと夢乃にも全速前進を指示した。

 

「夢乃ちゃんビットで突破口を開く。開いたら一気に突撃して!」

 

『了解です!』

 

 返答を聞き届けてからライフルビット、ホルスタービットで陣形を作る。ひし形を三つ正面に重ねて展開し、筒状の銃口を向ける。一番外側だけがやや大型の窓枠を正面方向に作ったそれは一直線に敵を捉えていた。

 そこに向けスナイパーライフルを構える。もはや狙いは丸わかりだ。しかしそれでいい。撃墜しようができまいがそこに「穴」が作れれば。

 トリガーを引き絞りビームを放つ。ビームはホルスタービットの枠を通過するとエネルギーを増大させて次の枠へと伝達、より出力の高いビームへと昇華させていく。最前面のホルスタービットまで到達すると溜められていたビームが一気に放出された。

 放出したビームはまるで大洪水の放水とでも言うべき勢いで、竜巻を横倒しにしたような攻撃範囲を持って敵陣営へと放たれた。

 ビームに気づいて敵機が逃げ出す。だがその圧倒的な攻撃範囲は並大抵のMSでは外側しか逃れられず、大抵のMSを飲み込んだ。加えて艦艇もビームの中に呑みこまれる、あるいは巻き込まれて艦体の半分を喪失しながら撃沈していった。

 敵艦隊を貫く形で通り過ぎたビームの後には敵がほとんどいない。すぐに埋まるのは分かっていたがそれでもこちらの狙い通り進撃のチャンス。夢乃を先頭に突撃していく。

 

『突撃!弾幕なんて、全部切り捨てるっ!』

 

 宣誓を口に突撃した。それを早速実現させる様に狙い澄ました一発が夢乃のグリューンアハトガンダムに向けて襲い掛かる。

 

「夢乃ちゃん!」

 

『っと!』

 

 ビームを手にした銃剣「バトルザッパー」で弾き返す。返す刀で反撃しようとする夢乃だったが、その姿を視認して唖然とした様子を見せた。

 

『なっ、なんであんたが!?』

 

「……あなたは」

 

 深絵も気付いた。攻撃を放ったのは本来こんな前線でいるはずのないMS。後ろで戦闘指揮をやっているような機体のはずなのだ。計算違いの敵機の遭遇に絶句してしまった。

 対する敵MSからは動揺が指摘される。

 

『―――そんなに私がいることが想定外かなっ』

 

「っ!!」

 

 そのまま速射される。間一髪膝のSPIRITをフィールドモードで起動して攻撃を防いだ。その間にこちらもスナイパーライフルを構える。

 流石はゼロンのエースパイロットの中でも格が違う相手。ハリヴァーのコピー元。

 そのパイロットと機体の名を呼ぶ。

 

「相変わらずこっちの裏をかくのが好きですね、戦線指揮をしなくていいの?真紅の流星、いいえ、シャア・アライバル!ゼロ・サザビーは止めて見せる!」

 

 彼こそゼロンの最強のパイロット、DNL使いにして真紅の流星の再現のオリジナル。

 ゼロ・サザビーはそんな彼の専用機。しかし元を辿ればその機体はかつて自衛軍で開発されたソルジアⅡカスタム「アケシキ」がベースだ。

 数年前の機体に遅れは取らないつもりだ。が、そんな意気込みは崩れ去ることになる。

 

『ほう。これほどまでに私のゼロ・サザビーを知りながら恐れを知らないとは。そういった人材は、稀有だな!』

 

「くっ、待てっ!」

 

 戦闘機動に入るゼロ・サザビーに向け足止めの一射をスナイパーライフルから放つ。だがそれは掠めもせずに空へと消える。追いかけようとするがその必要すらなかった。

 シャアは周囲を飛び回りながら攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

『私は逃げんさ。君達を、ここに縫い付ける。魂もな!』

 

 素早く周囲を移動しながら攻撃を仕掛けてくるゼロ・サザビー。包囲する敵、味方の機体の体を蹴り、スラスターも駆使しての機動に対し、夢乃も深絵も応戦する。

 夢乃はスラスターを全開にして追いつこうとする。が、届く前に離れて苦し紛れの一発も交わされる。

 

『速い!』

 

「任せて!」

 

 続いてその逃げるゼロ・サザビーの行く先を予測してこちらが狙い撃つ。かなりの速度とはいえ、軌道は読める。そのままいけば当たる動きだ。

 しかしゼロ・サザビーは動いた。シールドを軸に軌道を変更、速度を落とさずに攻撃を回避した。

 あの感じ……シールドのスラスターで避けた?いや、そうだとしても適切な推進量を噴射しなければ機動時にバランスを崩すはず。それを容易くやって見せる姿は、やっぱり元君と同レベルのDNLだから……っ。

 考えている間にもライフルの射撃が飛ぶ。通常弾に加え散弾が飛んできていくらかを被弾する。夢乃もグリューンアハトのビームウイングで機体をカバーして防戦一方になりつつあった。

 

『くっ!動けない……』

 

「進撃を止められる……これが、ゼロンの真紅の流星の実力……!」

 

 その彼女らに余裕を見せたシャアは作戦の真意について語る。

 

『君達も狙っているはずだ。魔王の駆るシュバルトゼロと我らが救世主と駆るヴァイスインフィニットとの対決を』

 

「っ!なんでその事を……」

 

『まさか……ゼロンも狙って!?』

 

 シュバルトゼロとヴァイスインフィニットの対決を、あちらも想定していた。となれば相手もそれを狙ってこの作戦を遂行していることになる。

 予想としては立てられていたが、本当に敵は知った上で行動している。ならば罠が仕掛けられている可能性も……。

 シャアはこちらの考えに首を縦に振った。

 

『今宵時代が動くのだろう。世直しなどではない。革命の刻。生憎ながら私は革命も世直しも興味はないが』

 

「興味がないのなら、どうしてゼロンに」

 

『自衛軍もまた粛清される対象だからだ!それを理解出来うるのは奴しかいない!』

 

 こちらの射撃を回避して斬りこんでくる。間一髪夢乃のグリューンアハトが割って入って反撃に転じる。

 

『何?私達は眼中にないって!?』

 

『君達だけではない。シュバルトゼロすらも私には興味はない。故にヴァイスインフィニットに討たせるのみ!』

 

「そんなこと、させないっ!」

 

 鍔ぜりあう横からゼロ・サザビーをビットと共に狙い撃つ。ところが素早く鍔迫り合いを解除してゼロ・サザビーは攻撃から逃れる。ビットすらも足場にして腹部ハイメガキャノンの拡散弾が襲い掛かる。

 二体一にも関わらずこの圧倒的な力。元達と模擬戦をしたときのような感覚を覚える。機体性能差が縮まっているのに加えてこれがDNLと自分達との差。

 そうだとしてもこの戦線を持たせなくてはならない。ここをこの男に突破されたら撤退する他ない。私はそう決意し、夢乃ちゃんに何としても戦線を維持、撃退することを意気込む。

 

「絶対にここで食い止めるよ夢乃ちゃん!」

 

『もちろんですよ深絵さん!』

 

 久々に見せる時が来た。二人のコンビネーションを見せつける。

 

 

 

 

 各部隊が敵戦力と対峙していく中、Gチームは未だ進撃を続けていた。だが彼らにとってはまだその方が二つの意味で助かった。

 どのみち進撃は続けなければならない。陣取りゲームの要領で適切な空域を占領しておけば相手はそこに戦力を裂かなければならない。その間に別の空域が楽になれば間接的に支援になるし、こっち側から背後を取る動きも出来る。

 そしてGチームは特に新型MSが多い構成となっている。同時に新人も。三か月最前線で戦ってきたとはいえその練度は危うさもある。そこに新型機体が来たとなればいつもの実力を出せるかどうかは明白だった。故に進撃を続けているというのはそれを阻害する「強敵」とまだ接敵していないという事実なのだ。

 それがどれだけ幸運なことか。その恩恵を多く受けているのはGチームの一人入嶋だった。

 

「ぐぬぅ!そこっ!」

 

 敵の攻撃を増加装甲内に仕込まれた強化スラスター「フェアリィスラスター」で回避しながら右腕部のガンアサルトⅢで攻撃、撃墜する。

 最初は重いだのバランスがだのと言っていたがなんだかんだ使えてはいた。しかし使えるだけであってその問題は解消しきれていなかった。重い装甲の癖にスラスターは出力が高すぎて制御は困難。じゃじゃ馬が過ぎる。遅いと思っていた機体の動きは逆にスラスターが過敏に働き、重りが却って加速時のGを掛ける結果となっていた。

 端的に言えば速いが空中を飛び回れる機体ではないというものだ。オーダー通りで無くてよかったのか悪かったのか……。もっともそんなことを悠長に考えていられもしない。クルスがすかさず意識外の敵機を撃つ。

 

『千恵里ちゃん危ない!』

 

「っ!クルス!」

 

 クルスの声に反応して回避行動を取る。再びGに息が詰まるが素早く向きを整えてバックパックのヴァルスビーで狙い撃った。敵をシールドごと貫き爆散させた。

 乱戦の中呉川小隊長から現状を維持しつつ前進することの命令を受ける。

 

『各機、このままこの空域を押し返す。エネルギー補給が必要なら言え』

 

「エネルギー残量、問題ないです!」

 

『武装損失ほぼなし。パートナーの消耗も規定値。アーバレストも行けます』

 

 同型のアーバレストもドライバフォーム状態となっているが問題ないと宗司が語る。

 元々同程度のスペックで競争していくとなっていたはずの二つのガンダムDN。しかしアーバレストはDNL機として輝かしい道を進み続けているが、対する自分は扱いの難しい装備ばかりを押し付けられている。

 使いこなすと星北の前で言った手前、文句などはないがそれでも与えられた装備を十全に使える宗司に焦りを覚える。嫉妬の感情を知らずに抱いてしまっていた。

 それを察していたクルスからは心配されてしまう。

 

『大丈夫。千恵里ちゃんは千恵里ちゃんだよ。ちゃんと役割があるなら役立ってる』

 

「クルス……」

 

『それより今は戦いに集中して。ゼロンが本気なら私でも千恵里ちゃんを護りきれない』

 

 クルスでも太刀打ちできないという発言にハッとして戦いへと意識を戻す。クルツ先輩からもクルスの言葉が正しいと予測する。

 

『クルスちゃんの言う通りだな。途中まで一緒だった蒼梨隊長さん達を抑え込んだ真紅の流星……。直援の部隊とかがこっちを全力で止めなかったのは何かある。いや、誘い込まれてるな』

 

「誘い込まれて……」

 

『俺も同じことを思っている。元隊長の支援のために引き付けなければならないのは分かっているが、こう誘い込まれては撤退の判断も……』

 

 渋々撤退の判断も仄めかす呉川。その呉川の予感が現実のものとなった。新たな敵反応をキャッチしたアーバレストのエンゲージパートナーであるエターナがGチームへと伝達する。

 

『ちっ、新しいお客さんよ。反応四つ!これまでにパターンの例のない新型二機、もう二機は……っ!?この機種って』

 

 動揺を口にするエターナちゃん。口はきつめだが割と冷静な思考を持つ彼女が敵のパターンを解析してそこまで驚いた事例は少ない。余程の想定外の敵と見える。

 そしてそれが何なのか。彼女から聞くまでもなく、Gチームのとあるパイロットが接近する敵の姿を視認しての反応で分かった。

 

『っ!なるほど。お前もやっぱり来たのか!』

 

 そのとある一人、進が声を上げた対象は間違いない。2か月前オースの記念式典でオース軍を裏切っていたパイロット達の操るステージツーシリーズのガンダム「オースカオスガンダム」「オースガイアガンダム」の二機だった。

 それら二機が今までに見たことのない、ガンダムに似て異なる耳の部分が大きく伸びた頭部と腰の後ろから左右に広がる翼のような珍妙なユニットを備えた機体を引き連れている。こちらの姿を認めたオースカオスが一気に加速して詰め寄る。

 

『零!』

 

 応じるように進のオースインパルスもビームサーベルを抜き放って突撃する。二機が空中でサーベルをぶつけ合わせる。

 進の回線から火葉零の声が聞こえてくる。

 

『進!今日こそお前を落とす。ギルの前に立ちはだかる、裏切り者をここで!』

 

『それはこっちの台詞だ!オースを裏切って、俺達を裏切った事!反省してもらう!』

 

 白熱する二人の会話。そこに割り込む一つの影。変形して空中跳躍を行うオースガイアによる奇襲だ。

 その動きに進が気づき、驚く。

 

『っ!?速い―――』

 

 それを咄嗟に前に出た呉川小隊長が防ぐ。バインダーから取り出したカッター状の武器でウイングのビームエッジを防ぐと、素早くオースガイアは空中で飛びのく姿勢を取り回転しながら人型形態へと戻る。

 そのまま呉川は戦闘体勢を取る様に言う。

 

『各機応戦しろ。ツーマンセルで行け』

 

『了解!』

 

「了解、ですっ!」

 

 千恵里達も構える。やはり敵も新型二機がそれぞれアーバレストとソル・シャドウ、アルヴとシクサス・リッターのペアで対峙を開始する。

 接近する敵機に向け胸部増加装甲内のマシン・ビームバスターを掃射する。だがガンダムに似たその敵機体は展開したDNの粒子防壁で防ぐ。

 

『DNウォールっ!?』

 

「っ!やってくれるじゃないの!!」

 

 DNウォールで射撃攻撃は効かないと判断し、ビームサーベルを抜き放って応戦する。相手もバインダーを後ろに展開し加速してぶつかってくる。

 その時接触回線がオンになる。相手に向かって咆える。

 

「たとえ新型でも、私は負けたりなんか!」

 

『!……へぇ、やって見せてよ、その意気込みがどこまで続くかっ』

 

 一瞬相手の声に胸がドクンと鼓動する。感じたのは懐かしさ。この声で何かが思い起こされるような感覚。私はこの声を聞いたことがあるような……。

 相手への疑念を抱く。しかし今は悠長に考えている暇はなかった。ビームサーベルを弾き合い、反撃の素早く構えたガンアサルトⅢとビームアサルトライフルの弾とが衝突しはじけ飛ぶ。

 戦いに集中して目の前の敵機との激突を繰り広げていく。その奇妙な激突に違和感を抱きながら、その疑念が大きくなって確信へと迫っていくとも知らずに。

 

 

NEXT EPISODE

 




EP65はここまでです。

レイ「それぞれの戦闘が始まった……。名有りのエースとか新型も出てきて激戦を感じさせるね」

ジャンヌ「この世界での「シャア」も二人相手に抑え込む……実力は高そう、いいえ、高いんでしょうね」

戦いの幕は上がった。ここからそれぞれの戦いをしていくわけです。やがてその戦いは対立する二つの復讐者達の激戦に決着を委ねていくわけです。

ジャンヌ「対立する二つの復讐者……」

レイ「もう誰か分かっちゃうね。次でぶつかるのかな?」

気になる続きも同日公開。EP66に続きます。
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