機動戦士ガンダムDN   作:藤和木 士

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どうも、皆様。EP78、79の更新です。まずはEP78から。

レイ「宗司君も遂に戦う気になったね。三機で頑張れッ!」

ジャンヌ「果たして、シュバルトゼロにその手は届くんでしょうか……」

というわけで早速本編へ。


EPISODE78 魔竜顕現・英雄の再来7

 

 

 エラクス機同士による高速戦闘が続く。三機による追撃をシュバルトゼロは見事にいなしていた。

 もちろん宗司達は本体に当てるつもりで攻撃を行っていた。エラクスによって上がったスピードと数押しならばと思ったが、そう簡単に思い通りにはならない。

 それでも諦めず、連携攻撃を仕掛ける。アーバレストとゲルプゼクストが挟み込む形でそれぞれの射撃攻撃を放つ。

 

「このっ!」

 

「当てる」

 

「それでは遅いな!」

 

 機体を悠然と動かし、弾幕に一つも当たることなく回避するシュバルトゼロ。パネルウイングをパージして追いかけてくるこちらに向けて反撃を行う。

 追撃から迎撃に切り替えてパネルウイングの対処へと移る。こちらの狙撃を回避してすぐさま反撃の武装を顕現させて攻撃してくる。普段の訓練ならたちまちハチの巣だったが、宗司はその操作に甘さを感じ取る。

 

(武器の切り替えが遅い。まだやれる!)

 

 確信したと同時に攻撃を回避してみせる。続く反撃の一撃。狙い撃った攻撃がパネルウイングを掠めた。

 直撃こそしてはいないものの、事実にスタートが虚を突かれる。

 

「……小賢しい」

 

「どうやら、武器に慣れてないらしいな」

 

 訓練をしていた時、元隊長から言われたことがある。ビット系兵装はMSが強奪されたりした際に一番性能を発揮しづらい兵装だと。元々調整されていた人物ではないパイロットによって運用されるために癖についていけないというのだ。

 特にシュバルトゼロはビットの一つがマルチ・スペースシステムも用いて運用する端末兵装であり、初めての人間がそれらを十全に扱いながら戦闘を継続するのは困難だと言われていた。如何に英雄としても、それは例外ではなかったのだ。

 サポートに付いている光巴からもそれでいいと指示が飛ぶ。

 

『そう、ちぇりーもパネルウイングの撃墜を狙って!』

 

「それ今言うべきじゃないって!でも指示は聞く!」

 

 入嶋も同様に狙いを定めて続けてビームを放ってパネルを撃墜しようとする。しかし今度は動きの俊敏さが勝った。攻撃が当たらない。動きを修正したのだ。

 

「雑兵如きが、粋がるな!」

 

 その言葉通りパネルの動きが激しさを増す。攻撃が当たらず、むしろこちらの動きを制限してくる。回避に全力で対応する。

 このままでは当たる。ところがそれは他の二人にとってのチャンスだったのだ。勇人警部が仕掛ける。

 

「その雑兵に、感けている場合か!」

 

「っ!賢しい真似を!」

 

 注意を向けたスタートの呼び戻したパネルウイングによる迎撃を、勇人はゲルプゼクストの連続変形ですべて回避した。スピードを殺すことなくシュバルトゼロへと肉薄する。

 ゲルプゼクストが銃身を開いたガンブレードで挟むように突き出す。シュバルトゼロは束ねたビームサーベルで受け止める。攻撃は防御されてしまった。スタートはその攻撃を遅いと評する。

 

「残念だが、それでは遅いのだよ」

 

「どうかな」

 

「私達が、いますから!」

 

 入嶋と共に攻撃を仕掛ける。シュバルトゼロ本体、ではなく、展開していたパネルに向けて火砲を一斉射する。意識を勇人に向けていたことで、移動していたパネルの動きはコンピューターメインの単純な動きとなり、二人の構えていた射撃兵装をもろに浴びた。損傷を受けてパネルの大半が推進機能を失って海へと落ちていく。

 それらを見せつけられる形となったスタートは苛立ちを募らせていく。

 

「おのれ……不愉快だな!だがかすり傷だ」

 

「果たしてそうかな?」

 

 弾き合う形で距離を取る両者。シュバルトゼロが素早くパネルウイングを呼び戻す。その間にゲルプゼクスト、アルヴがDNFとDBの発射態勢に入る。

 

「DNF!「ゲルプ・メガキャノン」!」

 

「DB!「アルヴ・クアッドキャノン」!」

 

 ゲルプゼクストは胸部にバスターを合体、アルヴはバックパックの射撃兵装二種からビームを発射、高出力状態にドライブして放つ。二機の収束ビームがシュバルトゼロに向かっていく。気付いたスタートは瞬時に身を翻して避ける。が、集結しつつあったパネルウイングの一部が回収しきれず飲み込まれる。

 爆発はシュバルトゼロの姿を覆い隠す。それを見て宗司の中にわずかに確信が生まれる。これならやれるかもしれない。シュバルトゼロを無力化して、止められる。わずかな希望が見え始めた。

 そんな瞬間だったからこそ、油断も生まれる。煙が晴れた直後、光条が鞭のように煙を割って伸びて薙ぎ払われる。間一髪その光をシールドとドライバ・フィールドで防御しながらも、吹き飛ばされる。

 

「ぐっ!?」

 

「相模君!?」

 

「油断するな!来るぞ」

 

 構える勇人の言うように、煙の中から五体満足のシュバルトゼロが飛び出す。光の鞭として薙ぎ払ったビームランチャーから発生させたビームサーベルをそのままアーバレストに向けて突き出し突貫する。

 

「このまま貫く!」

 

「ちぃ!」

 

 真っ直ぐDNアーバレストを貫くコース。それが直撃する寸前でドライバ・フィールドを再度まとわせた左肩部シールドで受け流す。出力が低下しているのかビームランサーが通過したシールド表面を焼く音がする。

ビームランサーが通過した直後砲身を手放したシュバルトゼロが、両手のイレイザーを至近距離から放つ構えを見せる。スタートが言い放った。

 

「焼き尽くす!」

 

「っ!」

 

 同じ姿勢で咄嗟に両手を突き出す。放たれた広域拡散ビームが両手を軸に展開したドライバ・フィールドによって防御、外側へと拡散されていく。

 拡散されたビームは暴力的な雨となって後方の空を、味方機を焼いていく。防御しているにも関わらず、機体の手が焼かれる感覚を覚える。完全にドライバ・フィールドを展開出来ていない証拠だった。

 

「く……うぅ!」

 

 攻撃を通してたまるかとドライバ・フィールドの強度を上げることを意識する。なるべく味方にも被害が出ないように。そちらに意識を割かれていたからこそ、突然響いた友直の声に驚かされる。

 

「宗司先輩!下、避けて!」

 

「っ!?」

 

 同時に感じ取る悪寒。無理矢理回避すると下方から光の熱戦が先程までいた場所を通過していく。発射元は嫌でも分かる、手放したあのビームランチャーだ。

 鷹宮月子を葬った攻撃法。もし見ていなかったら自分も同じ目に遭っていた。避けれたことに安堵するが、まだ終わりではなかった。

 

「油断したな!」

 

『攻撃倒れて来る!』

 

「っ!?何」

 

 光巴の言う通り直後通り過ぎていくはずだったビームがそのままこちらへ向けて倒れ込む。叩き付けてくるようなそれを咄嗟にシールドで防御する。ドライバ・フィールドの展開が間に合わず、焼き切れながらも機体からの分離で何とかそれから逃れた。

 ビームをそのまま長大なビームサーベルとして振るったビームランチャーがシュバルトゼロの右手に再び握られる。その背後を位置取っていたゲルプゼクストがビームをばら撒くが、それも避ける。

 その流れで再び高速機動戦闘へ移行し、様々なビームを放って戦闘するスタート。追いかける宗司達を指して言う。

 

「所詮エラクスを使おうとも操るパイロットがこれではな」

 

「の、割りには貴様も撃墜できていないが?」

 

 挑発気味に返す勇人警部。それに対しスタートは明らかな不快を口にし、宣言する。

 

「不愉快な……ならば容赦せん!本当のエラクス戦闘という物を見せてくれる!」

 

 よりDNを多量に放出し、速度を上げるシュバルトゼロ。ジグザグとした軌道を取ったのち、こちらに身を翻してビームを放つ。

 一見してどこへ向けての砲撃かと錯覚するほど狙いの甘い攻撃。弾速も遅い。しかしそれは全てスタートの手の内だった。

 

「エラクス、シュート!」

 

「そんな攻撃」

 

「待て、後退!」

 

 余裕と思い回避しつつ接近を選んだこちらに後方への回避指示を送る勇人の声。考える間もなく敵の攻撃が変質、直角に曲がってアーバレストとアルヴに襲い掛かる。

 いきなりのことで声を発する間もなく回避するものの両機体共にビームライフルウエポンを撃ち抜かれ、爆発をもろに喰らう。その間にも跳ね返るようにカーブしたビーム弾が煙を突き破って降り注いでくる。

 それらをドライバ・フィールドでそれぞれ防いでいく。だが攻撃の衝撃で後方へ押し戻されていく。

 

「ぐぅぅぅっ!?」

 

「きゃああああ!?」

 

 二人の苦悶の声と悲鳴が響く。それでも何とか攻撃は防ぐ。完全に攻撃を防ぎ切ったと思ったところでシュバルトゼロは動いた。こちらの爆発の煙を突っ切って狙ってくる。

 

「まずは貴様から狩らせてもらう」

 

「くっ!」

 

 ビームランチャーを投げ捨てての近接格闘戦。それだけでまたビームランチャーの位置を確認しなければというプレッシャーになる。そして今回はそれを見つけられずに反応が遅れた。迫るビーム刃。どこかを犠牲にしなければ防げない。

 判断の遅れたアーバレスト。この窮地に割り込む機体が一機存在した。

 

「宗司先輩!!」

 

「友直!?」

 

 友直のソルジスタがMS刀でシュバルトゼロの振り下ろすビームクローを受け止めに掛かる。振り下ろされた二つの斬撃は確かに斬撃を受け止める。

 約束を守って攻撃を止めた友直。邪魔をされた形となったスタートは憤慨する。

 

「私の邪魔をするのか。俗人の分際で!」

 

「宗司先輩はやらせないっ!」

 

「ならば、貴様も消してくれる!」

 

 スタートが咆えるとシュバルトゼロのビームクローが刃の間隔を狭める。刀を押さえつけていただけのそれは束ねられると一本のより高出力のビームサーベルへと変貌し、友直のソルジスタが握るMS刀の接触面が溶断されていく。

 自身の武器が負けていく光景に息を呑む友直。

 

「嘘……天王寺さんの刀が」

 

「時代遅れなのだよ。そのような鉄屑で、このシュバルトゼロを越えられるとでも思ったか!量産機!」

 

『っ!?宗司君!支援に!』

 

 力を込めて完全に友直の機体のMS刀を切り裂く。直後に伸びたサーベルの刃がそのまま彼女のMSの両腕を肩口から切り裂いてしまう。

 どうすることも出来なくなった彼女に向けてシュバルトゼロがその刃を発生させた手を後方に伸ばす。勢いを付けて串刺しにするために。それをさせてはいけないと光巴の指示が飛ぶ。

 

「あ……いや……」

 

「やられに来ただけだったな、女!」

 

『宗司君!』

 

「っ、友直!」

 

 機体を加速させる。だが脳裏に嫌な感じがその行いを否定しにかかる。

 

(どうしてたすけようとするの?そんなことをしたら、かのじょにあえなくなるよ?)

 

 どこからか聞こえてくる、自身の負の感情の声。躊躇いとして自身にのしかかる。

 そうだ、彼女は言ったじゃないか。機体を滑りこませてでも自分達を守ると。ならこのまま撃墜されたって何の問題もない。彼女はそれで役割を果たす。

 生き残れるなら、とそんな想いが宗司自身の衝動に絡みつく。一人死んだとしても、それは一番叶えたいことの為の、犠牲だ。だから、ここで失っても、と納得させて手を引きかける。

 けれども、あいつの言葉が不意に蘇る。

 

 

 

 

『覚悟、出来てるわね?』

 

 

 

 

 今閉じこもっているパートナーとの二度目の装依を果たしたときの掛け合い。あの時あいつ自身の言葉と思ったそれは、後日元隊長の受け売りだったと知った。

 元隊長がヴァイスインフィニットと再戦した時の独白。それをなぜ彼女が知っているのかとその時も問うたのだが、その時彼女はさぁ、としらを切っていた。

 

『さぁ?何でかしらね。けど、そんなんだから、私は今のあいつも嫌いなんだから』

 

 今なら分かる、かもしれない。あいつが嫌っていたのは元隊長そのものじゃない。そして今やるべきことは、止まっている事じゃない。

 足に絡みついて来るどす黒い感情の象徴がまた甘い言葉を吐く。だが振り払うようにして光巴の声が響き、また心の中で呟き返す。

 

(たすけたって、しぬだけだ。いまならだれもせめない)

 

『お願い、自分の闇に負けないで!』

 

(うるさいな。これはおれの……!)

 

(そうだな。あの時みたいに、五月蝿い騒音のような言葉に、耳を背ければ苦しまなくて済む。だけど、そうじゃない。誰も責めなくても俺自身が、後悔する。あの時もそうだった。なら、俺がするのは、俺がするべきだったのは!)

 

 下ろしかけた手を伸ばす。そして叫びと共に、DNを解放した。

 

 

 

 

 

 

「この手を、伸ばすことだっ!」

 

 

 

 

 

 

 蒼の残像が空を翔ける。瞬間、血しぶきにも似たDNが空に舞う。

 スタートの声が響いた。

 

「な……貴様、正気か」

 

「あ……」

 

『そんな……嘘』

 

 シュバルトゼロが突き出した右手のビームサーベルは、ガンダムDNアーバレストの左の張り手を受け止める形で貫通していた。右手側に両腕を損失してまで身を挺してくれた後輩のMSを抱きかかえている。

 その状態で目の前の、暴走するシュバルトゼロのパイロットに向けて言い放つ。

 

「正気さ……でなきゃ後輩を守ることなんて出来なかった。これは、俺が選んだ、最善手だ!」

 

 選んだという言葉。それは紛れもなく、自分を信じたということ。それに対し、目の前の英雄を名乗る存在はその選択を嘲笑う。

 

「これが最善とはな。節穴かっ!」

 

「ぐがっ!?」

 

「宗司先輩!」

 

 左腕に突き刺さった状態のまま、シュバルトゼロの手が無理矢理引き抜く、いや、引きちぎろうとする。ビームサーベルの刺さったままの痛みがダイレクトに伝わってくる。

 中に攻撃したまま動かそうとして来るので意識が乱れる。ドライバ・フィールドの維持が困難になればたちまちやられてしまう。絶体絶命の危機に彼女が動く。

 

『左腕部、肩から緊急パージ!下がんなさい!』

 

 声と共に左腕部が破損部分を含めて肩口から分離が行われる。声に無我夢中で従って更なる追撃を回避する。

 エラクスの超高機動性能を活かして瞬時に攻撃圏内から退避する。相手が手放していたビームランチャーも見える距離まで十分離れたところで先程の声の主から愚痴が吐かれた。

 

『全く……あそこまで攻撃受けたら、いくらガンダムでも死ぬわよ!?私も含めて!』

 

「そう、だな。ごめん。それを忘れていた。届くかもしれないって思って、焦っていた」

 

 先程までのやり取りはいずこかへ、冷静に自らのパートナーに謝罪を入れる。その間にもシュバルトゼロへの注意は逸らさない。

 向けられた謝罪にやや間を空けてパートナーのエターナは返答する。

 

『……そう。じゃあこの痛みの落とし前、付けてもらおうかしら?』

 

「どうしたら赦す?」

 

『決まってる。目の前のあいつを、英雄と思い上がったAIを叩き潰してあいつの目を覚まさせる!』

 

 過激な発言にやや心配さも出てくる。しかし感じ取れるDNLの音は目の前のシュバルトゼロに向けての慈しみを表していた。

 それだけでいい。確かな選択の道筋をエターナは示してくれた。かつて交わした約束通り、エターナの信じることを、自分が信じる。それに今値する言葉だと確信した。

 友直を下がらせてその手にビームライフルを構えなおす。満身創痍とも言える機体状況をスタートが煽った。

 

「そんな壊れかけのモビルスーツでこのシュバルトゼロに敵うとでも思っているのか、少年!」

 

「普通なら相手なんて絶対出来ない……だが、そう言ってくるならやってみせる」

 

『ええ、やって見せなさいよ、ソージ!』

 

 

 安定したオーバードライバフォームの力をエラクスと合わせて、全力での捕獲行動に挑む。

 

 

 NEXT EPISODE

 




EP78はここまでです。

レイ「ようやく宗司君が主人公っぽいところ見れた気がする!それくらい今の宗司君カッコいいよ!」

ジャンヌ「過去を振り払い、護るべきものの為に手を伸ばす。ありきたりですけど、いい展開ですね。その後のエターナさんとの掛け合いも何というか、良いものがあります」

やって見せろよ宗司!( ゚Д゚)なんとでもなるはずだ(゚∀゚)オーバードライバフォームだとぉ!?(゚Д゚;)と思わず言いたくなりますね(´-ω-`)

レイ「あ、やっぱりそれ意識してたんだ最後のエターナちゃんの言葉」

ジャンヌ「掛け合いは再現しなかった辺り、乱発しようとは思っていない感じですかね」

まぁ無理矢理ねじ込むのも面倒ですし、もう書いちゃっているんでね。流石に繋げられなかった。

レイ「でも、そんなマフティーに謙遜ないくらいの戦いしてた感じかなぁ。連携して追い詰めてるし!」

ジャンヌ「ここから如何にして宗司さんが巻き返すかが見物ですね。次の話でどうなるか……」

次がいよいよ第4章最終話。果たして今章はどういった形で幕を閉じるのか?最後までご覧ください。それでは次話に続きます。
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